肝臓
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53 巻 , 12 号
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原著
  • 熊田 博光, 岡上 武
    2012 年 53 巻 12 号 p. 803-813
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/26
    ジャーナル フリー
    C型代償性肝硬変患者102例を対象として,ペグインターフェロン アルファ-2b(1.0 μg/kg)をリバビリンと併用(PEG/RBV)し48週間投与した.HCV-RNA持続陰性化率は「Genotype 1かつ高ウイルス量」及び「Genotype 1かつ高ウイルス量」以外でそれぞれ21.7%(15/69例)及び78.8%(26/33例)で,全体では40.2%(41/102例 95%両側信頼区間30.6%~50.4%)であり事前に設定したHCV-RNA持続陰性化率10%を有意に上回った.有害事象は全例に発現したが,C型慢性肝炎に対するインターフェロン単独療法及びPEG/RBV併用療法でよくみられる有害事象であった.重篤な有害事象は14例(13.7%)16件に認められたが死亡例はなかった.PEG/R併用療法は難治性(Genotype 1かつ高ウイルス量)を含むC型代償性肝硬変に対する新たな治療選択肢と考えられた.
症例報告
  • 久米井 伸介, 柴田 道彦, 本間 雄一, 松橋 亨, 日浦 政明, 大西 裕, 阿部 慎太郎, 田原 章成, 原田 大
    2012 年 53 巻 12 号 p. 814-820
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/26
    ジャーナル フリー
    症例は42歳男性.20歳頃より記銘力障害や軽度の人格障害が出現し,30歳頃より暴言,被害妄想を認め,統合失調症と診断され内服加療をされていた.2010年12月に原因不明の肝硬変及び肝機能障害を指摘され,非アルコール性脂肪性肝炎及び薬物性肝障害と診断された.治療を受けていたが2011年1月より歩行障害,転倒,動作緩慢を認め薬剤性パーキンソニズムが疑われ,肝硬変の精査とともに当院を受診した.Kayser-Fleischer角膜輪の存在,血清セルロプラスミン低値,尿中銅排泄量の増加,肝生検での肝硬変の所見と肝組織中銅含量増加ならびに頭部MRIにて大脳基底核の信号異常を認め,一連の精神,神経症状と合わせて肝神経型のウイルソン病と診断した.Trientine hydrochlorideと酢酸亜鉛の内服及びリハビリテーションの開始により,肝機能ならびにパーキンソニズムや精神症状は徐々に改善を認めている.
  • 中島 隆善, 塚本 忠司, 金沢 景繁, 清水 貞利, 高台 真太郎, 山添 定明, 中井 隆志, 川崎 靖子, 木岡 清英, 柴田 幹子, ...
    2012 年 53 巻 12 号 p. 821-828
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/26
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,女性.他院にてC型慢性肝炎に対してインターフェロン治療および前医にて肝S6の肝細胞癌に対して肝動脈塞栓術の治療歴がある.肝S3の肝細胞癌の再発と同時期に肉眼的血尿を発症,急速に腎機能の悪化を呈し急速進行性糸球体腎炎と診断した.肝細胞癌に対して腹腔鏡下肝S3部分切除術を施行し,術後経過は良好で術6日後に退院となった.その後の外来経過観察にて血尿の程度は徐々に減少したのち消失,さらにBUN,Cre値も正常範囲にまで改善した.急速進行性糸球体腎炎は突然発症し,急速に慢性腎臓病に進行する予後不良な腎炎で,その原因は様々であるが,自験例では肝細胞癌の出現とともに発症したANCA陰性の腎炎が肝細胞癌の切除により軽快しており,両者の関連が考えられる.
  • 横須賀 淳, 瀧川 真吾, 小池 和彦, 鳥巣 勇一, 貞岡 俊一, 高木 一郎, 田尻 久雄, 羽野 寛
    2012 年 53 巻 12 号 p. 829-838
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/26
    ジャーナル フリー
    症例は既往歴にC型慢性肝炎がある79歳男性.5年前に単純CTにて肝S5に2 cm大の低吸収域を呈する腫瘤を認めた.Dynamic CTでは同腫瘤は造影早期から遅延相にかけて遷延濃染像を呈した.暫くの間来院せず,昨年初めには6 cm大と腫瘍の増大を認めた.同腫瘤は肝動脈造影下CT(CTHA)早期相でドーナツ状に濃染し,遅延相では洗い出しを認めた.早期相で濃染しない中心部は遅延相で淡い高吸収域を呈した.画像所見のみでは診断がつかず腫瘍生検を行い,細胆管細胞癌(CoCC)の組織型を得た.腫瘍径や併存疾患のため外科切除を選択せず,Interventional radiology(IVR)治療を開始.初診より約5年,治療開始後約2年が経過している.CoCCは多血性腫瘤を呈することが多いため,切除不能なCoCCに対し,IVR治療が選択肢の一つとなる可能性がある.
  • 山内 理海, 宮本 真樹, 北本 幹也, 村上 祐司, 亀井 豪器, 桑原 正雄
    2012 年 53 巻 12 号 p. 839-845
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/26
    ジャーナル フリー
    2型糖尿病で治療中の68歳男性.右膝の化膿性関節炎を発症した.CTで肝膿瘍が確認され,血液培養からKlebsiella pneumoniaeが検出された.膝関節の感染は肝膿瘍から血行性に波及したものと考えられた.腎膿瘍,前立腺膿瘍,敗血症性肺塞栓症も合併していた.膝病変以外は抗菌薬点滴により治癒したが,右膝化膿性関節炎に対して2回の手術が必要となり,術後も高度のADL障害が残存した.
  • 宮田 央, 宮田 學, 工藤 正俊
    2012 年 53 巻 12 号 p. 846-852
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/26
    ジャーナル フリー
    B型慢性肝炎とC型慢性肝炎の重複感染は我が国では比較的稀であるが,世界的にはB型慢性肝炎高侵淫地域が存在し,重複感染に対する治療が問題となる.IFN+リバビリン併用療法を施行した際,治療終了時かその後に,HBVの再活性化が起こったという報告は台湾などを中心に多数ある.しかし,併用療法中のB型慢性肝炎の急性増悪はほとんど報告されていない.今回我々は,治療前にはHBV-DNAが検出感度以下であったにもかかわらず,PEG-IFNα2a+リバビリン療法を施行中に,B型慢性肝炎の急性増悪をきたした1例を経験した.さらに本症例に対して,次回フレアが懸念されたためエンテカビル投与を開始し鎮静化が得られた.重複感染におけるウイルス動態およびHBV再活性化が起こった際の対処を考える上で示唆に富む症例と考えられた.
  • 高橋 達
    2012 年 53 巻 12 号 p. 853-861
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/26
    ジャーナル フリー
    若年者B型慢性肝炎3例にインターフェロン(IFN)治療を行った.何れもfamilial clusteringを有するキャリア発症の母児感染例で,遺伝子型は全例Cであった.まず全例に天然型IFNα 600万単位4週連日投与を行った.30歳男性は同IFNを週2回,次いで週1回に漸減したところ,HBe抗原のセロコンバージョンを来たし,肝機能正常となった.33歳女性はCH(F4/A2)で,同様に漸減後,peg-IFNα2a 90 μg週1回皮下注としたところ,HBe抗原陽性ながら,肝機能正常となった.41歳独身男性はCH(F3/A3)で,同様に漸減後peg-IFNα2a 90 μg週1回,次いで180 μg週1回に増量したが,ブレークスルーを来たし,エンテカビルを併用投与し,肝機能が改善した.IL28B遺伝子は前2者がmajorホモ,後者がminorホモであり,IFN抵抗性宿主因子であった可能性がある.
  • 加藤 正人, 窪田 敬一, 下田 貢, 小菅 崇之, 北 順二, 澤田 登起彦
    2012 年 53 巻 12 号 p. 862-867
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/26
    ジャーナル フリー
    症例は70歳代の男性.趣味の写真撮影で海外渡航を繰り返していた.今回一週間のカナダ滞在中から帰国後も発熱が持続するため前医を受診したところ,全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome:SIRS)状態であったため緊急入院となった.感染症の可能性を考慮し,抗生剤投与を開始した.入院5日目,突然胸部不快感の出現とともにショック状態となった.造影CTにて肝内出血を認めたため当院へ緊急搬送となった.腹部血管造影を施行したところ,肝内肝動脈に数珠状の拡張を認めたが,明らかな出血源は認めなかった.二日後の腹部血管造影にてA6に動脈瘤の増大を認め,同部位に塞栓術施行した.感染による肝内動脈瘤形成を疑ったが,肝細胞生検を含めた各種細菌培養は陰性,遺伝子検査でも原因微生物特定できなかった.また膠原病の可能性も否定的で,特発性肝動脈瘤破裂と診断した.抗生剤の投与にて全身状態,肝内動脈瘤,数珠状拡張は改善した.
  • 坂元 克考, 西躰 隆太, 間中 大, 濱洲 晋哉, 小西 小百合, 吉野 健史
    2012 年 53 巻 12 号 p. 868-874
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/26
    ジャーナル フリー
    右側肝円索はまれにみられる解剖学的変異で胎生期の右側臍静脈遺残に起因すると考えられている.しかし,脈管・区域解剖に関してはいまだ見解が分かれているように感じられる.
    今回,右側肝円索を伴う肝細胞癌の1例を経験したため,脈管・区域解剖を中心に若干の考察を加え,報告する.
    症例は64歳の男性で,肝S8に7 cm大の肝細胞癌を指摘された.同時に右側肝円索も認めた.系統的切除として肝右傍正中領域背側部切除術を施行した.
    右側肝円索例においては正常解剖例に比較して右肝が著明に発達している.すなわち右傍正中領域が大きく発達し,反対にS4は低形成である.このことが肝静脈の発達程度に影響を与え,各静脈枝の解剖学的名称に誤解を生み,結果として区域解剖への見解の相違へとつながる.発生学的には右側肝円索例においても正常解剖例と同様に脈管・区域分布は左右対称と考えることが,正しい解剖の理解につながる.
  • 簑田 竜平, 植木 敏晴, 川本 研一郎, 野間 栄次郎, 光安 智子, 大塚 雄一郎, 松村 圭一郎, 丸尾 達, 松井 敏幸, 三上 公 ...
    2012 年 53 巻 12 号 p. 875-885
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/26
    ジャーナル フリー
    症例は82歳男性.C型肝炎の経過観察中に超音波検査で肝S4に径40 mmの高エコーで一部等エコーの腫瘤を認め,後方エコーの増強と辺縁低エコー帯を伴っていた.Dynamic CTでは,腫瘤は動脈相後期から門脈相にかけて辺縁および内部が濃染され,平衡相ではやや淡い高吸収域であった.MRIではT1強調画像で低信号,T2強調画像で著明な高信号を呈し,血管腫を疑う信号強度であった.Gd-EOB-DTPA造影では,腫瘤は門脈相まで濃染像があり後期相でwash outされ,肝細胞相で均一な低信号域を呈した.造影超音波検査では腫瘤辺縁から流入する腫瘍血管があり,腫瘍内部は中心部は辺縁より遅れて染影され,後血管相では腫瘍内は染影されず肝細胞癌を疑い,肝S4の部分切除術を施行した.組織学的に高分化から中分化型肝細胞癌で,腫瘍内には広範囲に大小不同の多数の類洞様構造(peliotic change)を認めた.本例は腫瘍内に広範にpeliotic changeを認めた肝細胞癌で,診断に造影超音波検査が有用であった.
  • 秦 温信, 松岡 伸一, 中川 隆公, 富岡 伸元, 谷 安弘, 腰塚 靖之, 吉田 純一, 高木 智史, 加藤 総介, 今井 亜季, 江原 ...
    2012 年 53 巻 12 号 p. 886-890
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/26
    ジャーナル フリー
    症例は37歳女性で,腹水による腹部膨満を主訴に来院した.検査所見および画像所見は脾機能亢進を伴う門脈圧亢進症を示し,肝硬変の存在を疑った.開腹すると約1000 mlの腹水,20以上に分葉した肝および巨脾をみとめた.脾摘を行った.患者は術後19年肝不全のため死亡した.
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