肝臓
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53 巻, 8 号
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特集
原著
  • 小山 幸法, 波多野 悦朗, 田浦 康二朗, 中村 公治郎, 長田 博光, 成田 匡大, 石井 隆道, 松尾 幸憲, 上本 伸二
    2012 年53 巻8 号 p. 486-493
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/30
    ジャーナル フリー
    切除不能肝細胞癌で,下大静脈腫瘍栓(5例)および門脈腫瘍栓(6例)の病勢コントロール目的に放射線治療(総線量39-60 Gy)を行った計11例を対象とし腫瘍栓に対する放射線治療の効果,腫瘍栓の無増悪期間,有害事象を検討した.腫瘍栓に対する前治療は11例中10例に肝動脈注入化学療法が行われていた.下大静脈腫瘍栓に対する有効性はCR 1例 PR 2例 SD 2例(奏効率60%)であったのに対し,門脈腫瘍栓ではPR 1例 SD 4例 PD 1例(奏効率16.7%)であった.放射線治療開始日からの生存期間中央値は下大静脈腫瘍栓症例で401日(141-612日),門脈腫瘍栓症例で374日(136-469日)であった.有害事象としては1例に放射線性肺臓炎を認めたが軽快した.放射線治療に伴う治療関連死は認めなかった.切除不能,肝動注不応腫瘍栓に対する放射線照射は,特に下大静脈腫瘍栓の病勢コントロールに有用である可能性が示唆された.
症例報告
  • 古川 賢英, 柴 浩明, 二川 康郎, 脇山 茂樹, 三澤 健之, 矢永 勝彦
    2012 年53 巻8 号 p. 494-498
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/30
    ジャーナル フリー
    症例は70歳男性.半年前に進行胆管癌に対して膵頭十二指腸切除術,門脈再建術施行.T4N2M0 Stage IVbであったが,術後の補助化学療法については臨床研究に登録し,化学療法を行なわないこととなった.外来にて経過をみていたところ,食欲不振,肝障害にて緊急入院となった.入院時血液所見では,AST 759 IU/L,ALT 182 IU/L,T-Bil 3.3 mg/dl,Alb 2.8 g/dl,PT 38%と肝機能障害を認めた.CT,MRIでは,多発する肝腫瘍,門脈圧亢進に伴う変化を認めたが,血管造影を含めてA-P shuntの診断であった.肝障害の原因がA-P shuntと考えられたので,A-P shuntに対して肝動脈塞栓術を計画したが,肝動脈の閉塞でも求肝性の門脈血流を認めず施行できなかった.また,入院中血清Ca値の上昇を認め,骨シンチグラフィを施行したところ,多発骨転移を認めた.徐々に全身状態は悪化し,肝不全にて永眠された.剖検にて肝右葉全体の再発腫瘍,左葉にも多発腫瘍を認め,胆管癌による転移性肝癌が原因となった著明なA-P shuntの診断であった.今回,剖検から診断された胆管癌術後肝転移によるA-P shuntの症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
  • 辰川 裕美子, 北本 幹也, 國原 紗代子, 井川 敦, 小道 大輔, 桑田 幸央, 平本 智樹, 平賀 裕子, 赤木 盛久, 渡辺 千之, ...
    2012 年53 巻8 号 p. 499-505
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/30
    ジャーナル フリー
    症例は76歳女性.偶然指摘された肝胆道系酵素高値について精査し,AIHスコア7点確診例となり自己免疫性肝炎と診断した.プレドニゾロン(以下PSL)40 mg/日投与で治療を開始し,トランスアミナーゼ・IgGの改善に従ってPSLを漸減していたが,治療開始より4週目頃より発熱・咳嗽が出現した.誘発喀痰細胞診よりニューモシスチス肺炎(以下PCP)と診断,ST合剤を用いて治療を行い,症状は改善した.その間もPSL投与は中断せず,PSLを10 mg/日まで減量しトランスアミナーゼ・IgGが安定して正常範囲内にあることを確認して退院とした.PCPは,消化器領域での合併報告は多くないものの,発症すると急速に重篤な転機を辿ることもあり,早期診断・早期治療介入が必要である.消化器領域でもCorticosteroid投与の機会は少なからずあり,PCPを念頭に置いた経過観察と呼吸器症状出現の際の早期検査導入が望まれる.またPCPのハイリスクに該当する症例には,ST合剤予防投与も検討するべきである.
  • 近藤 礼一郎, 矢野 博久, 峯 孝志, 谷川 健, 吉田 友子, 鹿毛 政義
    2012 年53 巻8 号 p. 506-512
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/30
    ジャーナル フリー
    症例は20歳男性.腹部違和感,下肢のむくみを主訴に前医を受診し,腹部造影CTで右副腎腫瘍および多発肝腫瘍,下大静脈腫瘍塞栓を認めた.検査所見では肝胆道系酵素の上昇と,尿中コルチゾール,血中アルドステロン,血中dehydroepiandrosterone sulfateの上昇を認めた.血中ACTHは低下していた.治療のため当院へ紹介となり,化学療法を施行されたが病状の進行が急速で全経過約1カ月で永眠された.剖検で右副腎腫瘍は副腎皮質癌と診断され,また偶発的に肝臓にPeliosis hepatis(肝紫斑病)を認めた.Peliosis hepatisは良性疾患とされているが,一部の症例は進行性に経過し生命予後に影響する可能性もある.本症例のように副腎皮質ホルモン分泌過剰を伴う副腎腫瘍にPeliosis hepatisを合併した報告は過去に1例のみであり,貴重な症例と考えられたため報告した.
  • 山崎 哲, 影山 富士人, 太田 和義, 下山 真, 森 泰希, 岩岡 泰志, 住吉 信一, 高井 哲成, 本城 裕美子, 吉井 重人, 山 ...
    2012 年53 巻8 号 p. 513-522
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/30
    ジャーナル フリー
    B型肝炎ウイルス(HBV)とC型肝炎ウイルス(HCV)の重複感染(HBs-Ag陽性及びHCV-RNA陽性)は,それぞれの単独感染と比べて肝硬変および肝癌を発症する割合が高いため積極的な治療が望まれる.治療に関してはPEG-IFNα,リバビリン併用療法が推奨され始めているがまだ十分な情報に乏しい.今回われわれは,HBVとHCVの重複感染2症例にインターフェロン(IFN)およびリバビリン併用療法を施行した.HBe-Ag陰性例ではHCVのSustained Virologic Response(SVR)とHBs-Agの陰性化に至った.一方でHBe-Ag陽性例はHCVのSVRを達成したがHCV消失に伴うHBVの活動性の上昇がおこり重症肝炎および急速な線維化が生じ核酸アナログを使用した.HBVとHCVの重複感染例に対する治療はウイルスの優位性を評価して選択すべきであり,症例によりIFN,リバビリンに核酸アナログを追加する必要がある.
  • 矢田 豊, 竝川 昌司, 神田 大輔, 畑中 健, 大山 達也, 長島 多聞, 久保田 潤, 高木 均, 吉永 輝夫
    2012 年53 巻8 号 p. 523-529
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/30
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,男性.C型肝硬変に腹膜播種を伴う進行肝細胞癌(HCC)を併発し,ペグインターフェロンα併用5FU全身化学療法(PEG-IFN/5FU全身療法)を施行したところ,化学療法開始直後に出血性ショック状態となった.腹部CT検査で腹腔内出血を確認し,化学療法に伴う肝癌破裂と診断した.保存的加療にて軽快し,かつPEG-IFN/5FU全身療法によりHCCは腹膜播種巣を含め著明に縮小した.このため,PEG-IFN/5FU全身療法を計5コース施行したところ,同療法は奏功した.化学療法に伴うHCC破裂は化学療法が有効であるがゆえに生じる可能性があり,循環動態の安定が得られた後に,同療法を繰り返すことで著効が期待できる.腹膜播種を伴う進行HCCにPEG-IFN/5FU全身療法は考慮すべき治療法と考えられた.
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