肝臓
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54 巻, 12 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
総説
  • 近藤 福雄, 副島 友莉恵, 福里 利夫
    2013 年 54 巻 12 号 p. 807-818
    発行日: 2013/12/11
    公開日: 2014/01/08
    ジャーナル フリー
    良性肝細胞性結節には様々な種類があり,従来から,その診断基準は詳細に設定されていた.しかし,肝細胞腺腫(HCA)に関して,2010年の新WHO分類により,肝細胞腺腫の分子病理学的性格を反映した免疫組織化学的診断法が導入されるようになった.そしてHCAは4つの亜型に分類され,また,それはFNHとの鑑別に有用であるとされた.本邦における症例でもその診断法は,HCAの診断,亜型分類,FNHとの鑑別にある程度有用であった.しかし,従来の疾患概念の定義や鑑別診断法と,新WHO分類とは,その診断根拠が異なり,その診断か必ずしも合致しない例も経験される.これらの状況をふまえ,良性肝細胞性結節の診断に関する,新しい考え方を提示する.
症例報告
  • 辻 邦彦, 山崎 大, 永井 一正, 松居 剛志, 友成 暁子, 姜 貞憲, 桜井 康雄, 児玉 芳尚, 真口 宏介
    2013 年 54 巻 12 号 p. 819-825
    発行日: 2013/12/11
    公開日: 2014/01/08
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,男性.アルコール性肝硬変で通院中,肝S4に多血性肝癌を指摘され精査加療目的で入院となった.肝予備能はChild-Pugh Bであった.肝癌は横隔膜直下のS4表面に一部露出しており,体外式の腹部超音波検査では描出が困難であった.大腸癌の手術既往があり開腹術を希望しなかったため,Bipolar型電極を用いた腹腔鏡下のRFAを選択した.アプリケータは腫瘍を取り囲むように3本を穿刺し焼灼した.合併症もなく,充分なsafety marginが獲得され治療効果は良好であった.Bipolar型電極を使用した腹腔鏡下のRFAは非侵襲的で有用と思われた.
  • 赤松 拓司, 山下 幸孝, 信岡 未由, 東 俊二郎, 野口 未央, 松本 久和, 籔内 洋平, 岩上 裕吉, 太田 彩貴子, 三長 孝輔, ...
    2013 年 54 巻 12 号 p. 826-833
    発行日: 2013/12/11
    公開日: 2014/01/08
    ジャーナル フリー
    線維筋痛症(Fibromyalgia:FM)を合併したC型慢性肝炎に対して,インターフェロン(IFN)βとリバビリン(RBV)の併用療法(IFNβ/RBV療法)を施行した一例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.症例は35歳女性.FMのため当院膠原病内科および心療内科に通院中であった.C型慢性肝炎(2a型,高ウィルス量)に対するIFN治療を希望し当科を受診した.患者の強い希望があったため,各科医師と相談し,十分な説明と慎重な観察の下IFNβ/RBV療法を施行した.幸い大きな副作用やFMの悪化を認めず経過し,ウィルス学的著効が得られた.現時点でFMの病因は不明であり,またFMに対するIFNβの投与や抗ウィルス療法の安全性も不明であることから,今後も慎重な態度が必要である.今後の症例の蓄積と,FMの病因解明が望まれる.
  • 東條 加奈, 大谷 一郎, 北本 幹也, 大村 祐乃, 吹上 綾美, 國原 紗代子, 山田 博康, 西淵 いくの, 和田崎 晃一, 門前 芳 ...
    2013 年 54 巻 12 号 p. 834-840
    発行日: 2013/12/11
    公開日: 2014/01/08
    ジャーナル フリー
    症例は75歳女性.腰痛を契機に近医においてCTを受け,肝腫瘍を指摘され当科を紹介された.肝機能はChildA(5点)と肝予備能は良好であり,非B非C例であり,非アルコール性脂肪性肝炎による肝硬変の可能性が考えられた.肝関連腫瘍マーカーはAFP 276 ng/ml,PIVKA-II 74 mAU/mlであった.腫瘍は肝細胞癌と診断されたが,門脈右枝,右肝静脈,中肝静脈,下大静脈に近接し囲まれるように存在していた.ラジオ波熱凝固療法(RFA)は危険であると判断し,外科切除は可能と判断されたものの,本人および家族が希望されなかった.そこで肝動脈化学塞栓術(TACE)を施行し,その後に定位放射線療法(SBRT)を施行する方針とした.TACE施行1カ月後にSBRT(45 Gy/5回)を施行した.その後,4年経過した現在も,肝画像診断反復にて再発徴候を認めず,肝関連腫瘍マーカーは陰性を維持している.
  • 遠藤 佑香, 剛﨑 有加, 今村 潤, 木村 公則, 佐伯 俊一, 高木 康伸, 鎌田 憲子, 林 星舟
    2013 年 54 巻 12 号 p. 841-849
    発行日: 2013/12/11
    公開日: 2014/01/08
    ジャーナル フリー
    症例は56歳男性.過去の肝生検に起因する肝動脈門脈短絡と連続する74 mm大の門脈瘤治療のため2004年4月に当院を再受診した.B型肝硬変であり,脾腎短絡路や拡張した下腸間膜静脈(IMV),それに連続する骨盤腔内を占める拡張した直腸静脈叢,腫瘤状の直腸静脈瘤など複数の遠肝性側副血行路が併存していた.2004年7月に右肝動脈に対してcoilingを施行し,その後異時的に開腹下IMV離断術,脾腎短絡路に対するB-RTOを追加施行した.2009年1月に直腸静脈瘤破裂後に施行した内視鏡的直腸静脈瘤結紮術により直腸静脈叢の血栓形成を認め,その後の血管造影ではIMV血流は求肝性を示した.2013年5月の腹部CT検査ではIMVの再拡張や直腸静脈叢の拡張は認めていない.本例は約4年半にわたるA-P shunt・遠肝性側副血行路治療により門脈血行動態の著しい改善と段階的な肝合成能の改善を認めており,集学的治療が奏功した貴重な症例と考え報告した.
短報
  • 葛谷 貞二, 石津 洋二, 新家 卓郎, 今井 則博, 阿知波 宏一, 荒川 恭宏, 山田 恵一, 中野 聡, 本多 隆, 林 和彦, 石上 ...
    2013 年 54 巻 12 号 p. 850-853
    発行日: 2013/12/11
    公開日: 2014/01/08
    ジャーナル フリー
    We performed percutaneous radio frequency ablation (RFA) therapy by two-step insertion method using VirtuTRAXTM (GE Healthcare, USA) instrument navigator. Subjects were 16 patients (23 nodules) with hepatocellular carcinoma. VirtuTRAXTM position sensor was attached to the hilt of 14-gauge outer needle. In all cases, we could perform 17- gauge Cool-tip RFA without the positional gap between the virtual tract and the actual needle which was caused by the deflection of the needle. The reasons without causing the positional gap were that the outer needle was more rigid than Cool-tip needle, and that it was inserted using initial insertion of a 21-gauge guided needle. RFA by two-step insertion method using VirtuTRAXTM is suggested to be more safe and effective than conventional RFA.
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