肝臓
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54 巻 , 4 号
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原著
  • 平峯 靖也, 玉井 努, 今村 也寸志, 馬場 芳郎, 樋脇 卓也, 山下 容雅, 庄 幸彦, 田原 憲治, 鐘撞 一郎, 坪内 博仁
    2013 年 54 巻 4 号 p. 233-248
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/02
    ジャーナル フリー
    Child-Pugh分類Aかつ遠隔転移のない進行肝細胞癌に対して,治療法選択および後治療の有無が予後に影響するか検討した.一次治療としてHAICを施行した83例(HAIC開始群),Sorafenibを施行した53例(Sorafenib開始群),無治療で経過を観察した12例,合計148例を対象とした.HAIC開始群とSorafenib開始群の比較では,奏効率に有意差を認めたが(26.5% vs. 7.5%,P=0.007),腫瘍制御率と生存率には有意差を認めなかった.また,両群とも無治療群と比較して有意に生存期間の延長を認めた.さらに,後治療の有無により両治療群を副グループ化し追加検討した.結果,Sorafenibで治療を開始し後治療が施行された症例は最も生存率が高く,多変量解析でも独立した予後因子であった([HR];0.144,P<0.001).また,Sorafenibから後治療(HAIC)へ移行するためには,Sorafenibの初期体重換算投与量:[13>―≥7(mg/kg/day)]が寄与因子であった.進行肝細胞癌は,体重を指標にSorafenibを先行投与しHAICへ移行することで予後の改善が得られる可能性がある.
  • 小森 桂子, 望月 千枝, 桝 喜惠, 長谷川 徳子, 石原 朗雄, 榊原 充, 今中 和穗, 大川 和良, 松永 隆, 片山 和宏
    2013 年 54 巻 4 号 p. 249-256
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/02
    ジャーナル フリー
    進行肝細胞癌患者21例に対しソラフェニブ治療開始決定時より多職種で副作用モニタリングを実施し,副作用発現時期および重篤度と治療の継続性との関連について検討した.年齢中央値は76歳,男性は18例,女性は3例,ソラフェニブ1日平均服用量は406 mg/day,生存期間中央値は13.4カ月,副作用発現率は95%であった.4週以内の主な副作用は手足皮膚反応と血圧上昇で4週以降は疲労・倦怠感と下痢であった.副作用による休薬は48%,減量は43%で見られたが,いずれも治療は再開や継続が可能であった.副作用による治療中止は29%で見られ,手足皮膚反応での中止例はなく,全て4週以降に発現した疲労・倦怠感が原因だった.ソラフェニブ治療の副作用として手足皮膚反応が注目されているが,4週以降の疲労・倦怠感がコントロール困難で,治療中止の主な理由であったことは本治療を行う上での今後の課題である.
  • 宮川 昌巳, 宮永 靖子, 安田 洋二, 阿辻 清人, 田中 宏樹, 天池 寿, 南 祐仁, 上田 和茂, 伊藤 義人
    2013 年 54 巻 4 号 p. 257-265
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/02
    ジャーナル フリー
    肝外発育型肝細胞癌は特殊な形態を呈する比較的稀な肝細胞癌である.通常の肝細胞癌と同様,肝動脈に由来しない栄養血管(以下,肝外栄養血管)を伴うことがあり,時に周辺臓器への直接浸潤を来す.過去に報告された肝外発育型肝細胞癌を医学中央雑誌により検索した結果と,その引用文献に報告されている症例に自験例を合わせた157例を用いて,肝外発育型肝細胞癌の特徴,肝外栄養血管,他臓器浸潤に関する検討を行った.他臓器浸潤群は非浸潤群に比べて有意に腫瘍径が大きく,肝外栄養血管を伴う割合も高かった.さらに,腫瘍径の増大に従って肝外栄養血管を伴う腫瘍の割合は上昇していたが,その他の特徴に有意差は認めなかった.また,肝外栄養血管を伴う群は伴わない群に比較して有意に腫瘍径が大きかった.以上より,肝外発育型肝細胞癌の他臓器浸潤には腫瘍径の増大が重要であり,肝外栄養血管の評価が有用となる可能性が示唆された.
  • 水田 敏彦, 藤崎 邦夫, 梶原 英二, 杉 和洋, 中尾 一彦, 渡邊 洋, 道免 和文, 藤山 重俊, 東 雅司, 丸山 俊博, 佐田 ...
    2013 年 54 巻 4 号 p. 266-276
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/02
    ジャーナル フリー
    九州内肝臓専門医療機関の多施設研究により,1型,高ウイルスC型慢性肝炎(CHC)に対するペグインターフェロン(PEG-IFN)α-2a+リバビリン(RBV)療法の有効性,安全性について検討を行なった.総数は320例,抗ウイルス効果判定症例は288例,安全性評価症例は310例.持続ウイルス陰性化(SVR)率はIntention-to-treatで53.1%,Per Protocol Set(44週間以上投与)で59.6%であった.13~36週目のRNA陰性化例では,延長投与が有効であった.SVRに寄与する因子は,治療前では年齢,BMI,総コレステロール,ウイルス量であったが,治療開始後では12週目までのウイルス陰性化のみであった.有害事象による治療中止例は14例(4.5%)であり,難治性CHCに対するPEG-IFNα-2a+RBV療法は安全性が高く,50%以上のSVR率が期待できる.
症例報告
  • 道免 和文, 稲富 裕佑, 田中 博文, 春野 政虎, 藤原 弘明, 大野 純, 清島 保, 和田 裕子, 下田 慎治, 坂井 英隆
    2013 年 54 巻 4 号 p. 277-283
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/02
    ジャーナル フリー
    症例は91歳の女性.約10年前より非アルコール性脂肪肝より進展した肝硬変と診断され,近医で加療されていた.腹水の管理目的にて当科に紹介入院となった.血清アルブミンは3.0 g/dlと低値で,画像上,多量の腹水を伴った肝硬変所見を認めた.ALTは9 IU/lと低値であった.利尿剤投与,腹水穿刺排液による治療を行なったが,入院第36病日に呼吸困難の出現ならびに酸素分圧の低下を来たした.胸部X線にて多量の右胸水を認め,肝性胸水と診断された.肝性胸水発症9日目の血液検査でASTが439 IU/l,ALTが1196 IU/lと著明な上昇を呈し,超音波検査ならびに断層撮影では肝内に多発性の低輝度,低濃度結節,門脈血栓を認めた.肝性胸水発症19日目に肝不全・呼吸不全で死亡した.剖検では肝硬変,門脈血栓,右無気肺,右胸水,腹水を認めた.肝偽小葉は散在性に壊死に陥っており,超音波検査,断層撮影で示された肝の多発性低輝度,低濃度結節に一致した.肝偽小葉壊死は肝性胸水に伴う低酸素血症による肝虚血,門脈血栓を原因とした門脈流低下による肝虚血という両者の複合が原因と考えられた.
  • 齊藤 博美, 城下 智, 吉澤 要, 藤森 芳史, 丸山 康弘, 伊藤 哲也, 児玉 亮, 横沢 秀一, 小松 通治, 梅村 武司, 田中 ...
    2013 年 54 巻 4 号 p. 284-290
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/02
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,女性.60歳時にC型慢性肝炎と診断された.69歳時に子宮頸癌を合併し,放射線療法にて加療された.70歳時より肝細胞癌を合併し,ラジオ波焼灼,エタノール注入,肝動脈化学塞栓療法にて計9回加療されたが完治せず,74歳時に子宮頸癌肺転移を認めたため,支持緩和療法中であった.腹部膨満感が増悪し当科へ入院した.腹水は乳び様であり,腹水中のTGが506 mg/dlであったことから乳び腹水と診断した.脂肪制限食に加え,オクトレオチドの持続皮下注療法を開始した.腹部膨満感は徐々に軽減し,腹水検査では黄色透明の腹水が採取されるまで回復した.計2回のオクトレオチド治療を行い,腹部膨満感はほぼ消失したので第44病日に転院した.乳び腹水は,低栄養の進行など全身状態が増悪する可能性があるため適切な治療が必要である.本症例ではオクトレオチドによる保存的治療が有効であった.
速報
  • 田中 弘教, 池田 直人, 岩田 一也, 高嶋 智之, 楊 和典, 石井 昭生, 坂井 良行, 會澤 信弘, 岩田 恵典, 榎本 平之, 齋 ...
    2013 年 54 巻 4 号 p. 291-293
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/02
    ジャーナル フリー
    Since 2012, the VirtuTRAXTM instrument navigator (GE Healthcare, USA) is being used as a navigation system for guiding radiofrequency ablation (RFA) needles in Japan. Fifteen patients were treated using RFA needles guided by VirtuTRAXTM. The short clip method was performed in the following way: after measuring the distance between the body surface and the target position of the needle tip, and considering 3 cm for attachment, a bracket was fixed to the RFA needle at the calculated position. The positional gap caused by the deflection of the RITA needle was small. These gaps were sometimes large for patients undergoing cool-tip RFA because of weak stiffness. However, the positional gap became small and useful for 7 patients on whom the short clip method was used during RFA.
短報
  • 福田 安伸, 長瀬 良彦, 北川 紗里香, 路川 陽介, 平石 哲也, 公文 大輔, 黄 世揚, 馬場 哲, 山田 典栄, 小林 稔, 池田 ...
    2013 年 54 巻 4 号 p. 294-297
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/02
    ジャーナル フリー
    The real-time polymerase chain reaction (PCR) techniques are widely used to diagnose sustained virological response (SVR). And we occasionally come across transient sero-positive HCV-RNA cases during antiviral therapy and after diagnosis of SVR in chronic hepatitis C.
    Eight SVR cases showed transient sero-positivity of HCV-RNA during and within 6 months after IFN treatment (Study 1). And 19 SVR cases showed it in long-term follow up after the diagnosis of SVR (Study 2). Seven out of 8 Study 1 patients were cases with other than sero group 1 with high viral load. Four patients showed sero-positivity during IFN treatment, and rest of patients showed it within 6 months after the IFN treatment, when we diagnose SVR. The viral load of one of them was even quantifiable, and another one of them showed re-positivity after SVR diagnosis.
    In Study 2, 12 out of 19 patients were cases with other than sero group 1 with high viral load. Three patients showed transient positivity of HCV-RNA with quantifiable viral load. And 3 patients showed repeated transient positivities in a long-term follow up. Transient sero-positive HCV-RNA was occasional incidence in SVR patients after IFN treatment for CH-C especially in cases with other than serogroup 1 with high viral load. Although its clinical importance is unclear, HCV is supposed to present in most of those patients. We would be better to beware of the presence of such cases in the follow up of SVR patients.
  • 森下 祐子, 宮瀬 志保, 原岡 克樹, 大内田 義博, 藤山 重俊, 佐々木 裕
    2013 年 54 巻 4 号 p. 298-300
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/02
    ジャーナル フリー
    We examined thyroid function in 358 patients with chronic hepatitis C undergoing interferon (IFN) therapy. Prevalence of antithyroglobulin (TgAb) and antiperoxidase (TPOAb) antibodies before therapy was 10.8% and 9.4%, respectively. Of the 358 patients, 15 (4.2%) developed a thyroid disorder 1-19 months after IFN therapy had commenced. Of these 15 patients, 13 exhibited hypothyroidism and were TgAb- or TPOAb-positive. The remaining 2 patients exhibited signs of hyperthyroidism and neither antibody was detected. High titers of TgAb and TPOAb were seen in patients with thyroid dysfunction compared with subclinical patients. All patients completed IFN therapy. Our findings show that high TgAb and TPOAb titers were predictive factors of thyroid dysfunction during IFN therapy.
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