肝臓
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55 巻 , 1 号
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総説
原著
  • 松本 倫典, 柴 浩明, 北 嘉昭, 脇山 茂樹, 石田 祐一, 後町 武志, 筒井 信浩, 二川 康郎, 矢永 勝彦
    2014 年 55 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2014/01/20
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
    日本肝移植研究会に所属する全国65施設中,東京に13施設(20%)が集中している.一方,脳死肝移植が極端に少ない本邦では肝移植を受けられる症例が限られる.東京地区で肝移植の新規参入施設である当科の問題点を探るため,2003年4月から2012年12月までに当科を受診した肝移植候補者105例(年齢:52.6±11.2歳,男:女=62:43)を解析した.評価中の6例を除く99例中57例(58%)を適応ありと判断し,他施設希望の4例を除く53例中,「適合生体ドナーあり」と判断されたのは22例(42%)であった.12例が当科に入院し,11例に移植を施行した.残り10例(緊急例6例,ABO血液型不適合4例)は他施設で生体肝移植を受けた.全体として国内で生体肝移植を施行した21例中19例(90%)およびドナー不在のため海外で脳死肝移植を施行した11例中7例(64%)が生存中である.他施設と連携し,自施設での生体肝移植の診療体制の充実ならびに脳死肝移植認定施設の取得が重要と考える.
  • 堀江 義則, 山岸 由幸, 海老沼 浩利, 金井 隆典
    2014 年 55 巻 1 号 p. 22-32
    発行日: 2014/01/20
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
    アルコール性肝炎のうち,重症度スコア(Japan Alcoholic Hepatitis Score, JAS)で中等症・重症例では,禁酒しても肝腫大が持続する例があり予後不良である.2011年度の中等症・重症アルコール性肝炎の全国調査を行い,中等症26例(死亡4例:死亡率15%),重症33例(死亡17例:52%)の報告があった.JASとMELDスコアに相関を認めた.重症の死亡例でCr, PT(INR)が高く,消化管出血,腎不全,DICの合併率が高かった.各治療法の施行率は血漿交換12%,顆粒球吸着療法(GMA)21%,ステロイド投与33%,透析21%と低かったが,生存例のGMA施行率は38%と有意に高かった.ステロイド不応例が11例中5例に認められた.白血球数10,000/μl以上でGMA未施行群の死亡率は55%(11/20)に対し,GMA施行群では14%(1/7)と低い傾向にあった.JASで重症の場合,また中等症でもMELDスコア18以上の場合やスコアで3点の項目がある場合などは,合併症が出現する前の早期から,禁酒,肝庇護剤投与以外の集学的治療による介入を考慮する必要がある.
  • 野ツ俣 和夫, 潮木 保幸, 熊井 達男, 上田 晃行, 松田 尚登, 真田 拓, 新 浩一, 渡邊 弘之, 登谷 大修, 田中 延善
    2014 年 55 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 2014/01/20
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
    C型慢性肝炎に対するPeginterferon, Ribavirin, Telaprevir 3剤療法において発生する腎障害の発生機序およびその対策について検討した.C型慢性肝炎に対する3剤併用療法施行例のうち12週以上投与した78例で腎機能の推移を観察し,うち40例で一般生化学検査の他に血中CystatinC,尿中L-FABP,尿中NAG,ナトリウム排泄率(FENa),尿中アルブミン量の推移を観察した.血中CystatinCは1週後有意に低下した.尿中L-FABPは4週目まで変化せず,尿中NAGは4週目に上昇した.FENaは4週目まで1未満を推移した.尿中アルブミン量は4週目まで増加する傾向にあった.以上の結果より,3剤併用療法時には,最初に腎細動脈血流低下から糸球体濾過機能が低下し,血流低下の影響により遅れて遠位尿細管機能が低下するものと思われた.したがって,3剤併用療法にみられる腎機能障害に対しては,補液や腎動脈拡張薬投与が予防法の一つになると考えられた.
症例報告
  • 三石 雄大, 安部 宏, 關 伸嘉, 宮崎 民浩, 会田 雄太, 板垣 宗徳, 石黒 晴哉, 須藤 訓, 相澤 良夫
    2014 年 55 巻 1 号 p. 40-50
    発行日: 2014/01/20
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
    症例は41歳男性.尿潜血の原因検索のため行った腹部単純CTで肝S7, 8を中心に多発する低吸収な腫瘤性病変を認め,ダイナミック造影では辺縁部から緩徐な造影効果を呈した.画像による鑑別は困難で,組織学的検索の同意は得られず,経過観察となった.しかし,約半年後に病変は増大・増加したため狙撃生検を施行したところ,組織学的に非乾酪壊死性の類上皮細胞肉芽腫を認めた.肝結核やサルコイドーシスを疑ったが,全血インターフェロンガンマ応答測定法や生検組織の結核菌PCRは陰性で結核を示唆する所見は得られなかった.一方,血清カルシウムやアンギオテンシン転換酵素は正常で,両側肺門部リンパ節腫脹も認めず,サルコイドーシスは否定的であった.短期間で増悪する経過から,結核の可能性を強く疑い,抗結核薬を開始した.治療半年後に病変はほぼ消失した.確定診断に苦慮したが,治療が奏功した肝結核の1例を経験したので報告する.
  • 宮川 恒一郎, 柴田 道彦, 久米井 伸介, 松橋 亨, 日浦 政明, 阿部 慎太郎, 原田 大
    2014 年 55 巻 1 号 p. 51-56
    発行日: 2014/01/20
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
    症例は55歳女性.HBV既往感染者であることを確認後,バセドウ病眼症に対してステロイドパルス療法を第1-3病日,第8-10病日に施行した.第18病日より38℃台の発熱と胸腹部の小丘疹が出現し,第19病日に肝障害を認めたが,HBV-DNAは検出感度以下であった.第20病日に当科に紹介入院となり,血中HBV-DNAは2.8 log copies/mLと陽性化を認めた.肝障害出現時のHBV-DNAが検出感度以下であったこと,入院時のウイルス量が低値であったことから,HBVが急性肝障害の原因とは考え難く,精査により単純ヘルペスウイルス(HSV)による肝炎と診断した.その後HSV肝炎の改善とともに血中HBV-DNAは速やかに陰性化した.本症例の血中HBV-DNA再陽性化は,ステロイド投与により肝細胞内で増殖したHBV-DNAが,HSV肝炎による肝細胞破壊により血中に逸脱したものである可能性が示唆された.ステロイド単剤によりHBV既往感染者でも再活性化が起こり,他の原因による肝障害により血中HBV-DNAが再陽性化することを捉えた興味深い1例と考え報告する.
  • 中山 晴夫, 池谷 伸一, 岡本 大祐, 駒沢 大輔, 渡部 敬之, 伊藤 広道, 土佐 正規, 大楽 尚弘, 池田 智之, 高橋 誠一, ...
    2014 年 55 巻 1 号 p. 57-65
    発行日: 2014/01/20
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
    症例は46歳女性.27歳時に肝障害を認め肝生検で単純性脂肪肝と診断される.44歳より高血圧,高脂血症,脂肪肝の治療をうけるが肝機能改善せず精査紹介となる.BMI 15.8 kg/m2と低体重を認め飲酒歴や拒食症の既往はない.体幹部に比較し顔面や四肢の皮下脂肪が少なく,幼少時よりるい痩を認めた.肝生検にてBrunt分類stage 3小葉改築傾向のある非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と診断された.19年間で単純性脂肪肝から進行したNASHへと進展した.Pioglitazone 15 mg治療開始後に肝機能は正常化し,2年後の肝生検でも炎症や線維化は改善した.肥満を認めない脂肪肝の原因に遺伝的因子が考えられ,最初単純性脂肪肝と診断されても本症例のように進行する例もあり注意が必要である.また,肥満のないNASHでもPioglitazone治療によりインスリン抵抗性や組織学的改善効果を認めた.
  • 平峯 靖也, 今村 也寸志, 伊集院 翔, 西 憲文, 鐘撞 一郎, 小倉 芳人, 宮脇 武徳, 西島 浩雄, 前之原 茂穂
    2014 年 55 巻 1 号 p. 66-75
    発行日: 2014/01/20
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
    難治性の肝性脳症に対して経回結腸静脈的塞栓術(TIO)が有効であった症例を経験したので報告する.症例は82歳の女性で,肝予備能はChild-Pugh分類C,血小板は5.1万,腹部造影CTにて巨大な門脈大循環シャント(傍臍静脈)を認めた.肝予備能より側副血行路の完全閉塞や減圧術(脾臓摘出術・部分的脾動脈塞栓術)の併施は困難であると判断された.よって,全身麻酔下に臍下部を小切開して回結腸静脈経由でカテーテルを挿入し,超音波ドプラ法で門脈血や側副血行路の最大血流速度(Vmax, cm/s)を測定しながら金属コイルにて調節的にシャント塞栓術を施行した.術後の経過は良好であり,5カ月経過した現時点で肝性脳症の再発や顕著な合併症は認めていない.側副血行路の塞栓術は,超音波ドプラ法を使用し経皮的に門脈血流をモニタリングすることで,治療効果と安全性の両側面に配慮した手技が施行できる可能性が示唆された.
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