肝臓
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55 巻 , 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著
  • 野ツ俣 和夫, 熊井 達男, 上田 晃之, 松田 尚登, 真田 拓, 新 浩一, 渡邊 弘之, 登谷 大修, 田中 延善, 五十嵐 弘幸, ...
    2014 年 55 巻 2 号 p. 91-99
    発行日: 2014/02/20
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル フリー
    診療情報コード化により自動的にHBV再活性化を防止するシステムを作成し有用性を検証した.免疫抑制・化学療法施行患者のHBV診療状況(HBs抗原,HBc抗体,HBs抗体,HBVDNAの検査結果と検査時期,核酸アナログ投与の状況,高リスク薬使用有無を0~3の数値で表す)を10桁の数値でコード化し,B型肝炎対策ガイドラインのフローチャートに沿わない非適正状況を自動的にチェックし,それぞれの非適正状況に応じて必要な検査や投薬のメッセージを主治医に連絡した.2012年10月1日より2013年5月31日までに延べ5403例が対象となり,HBs抗原未測定は49.4%→19.4%,HBc抗体・HBs抗体未測定は26.4%→10.2%に減少し,ガイドラインに則した検査,治療施行割合が19.8%→69.5%に増加した.また5例のRA加療中のキャリアHBV陽性またはdenovo HBV陽性が判明し,早急な核酸アナログ投与により再活性化が阻止された.本システムの使用により自動的にHBV再活性化防止が可能となるものと思われた.
症例報告
  • 森本 直樹, 礒田 憲夫, 大竹 俊哉, 渡邊 俊司, 津久井 舞未子, 宮田 なつ実, 廣澤 拓也, 長嶺 伸彦, 菅野 健太郎
    2014 年 55 巻 2 号 p. 100-105
    発行日: 2014/02/20
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル フリー
    症例は87歳の男性.2004年に他院にてC型慢性肝炎,肝S8に肝細胞癌を指摘され,肝動脈化学塞栓療法(TACE)および経皮的エタノール注入療法(PEI)を施行された.以後,近傍の再発病変などに対してTACEやPEIが複数回施行された.2010年当院に紹介受診され,2011年10月と2012年1月にS8病変に対してTACEを施行した.2012年7月のCTにて肝周囲腹壁に多数の早期濃染結節を認め,同時にAFPの急激な上昇がみられHCC腹膜播種の診断となった.全身状態は良好であったが高齢のためソラフェニブ400 mg/日の内服を開始したところ,投与開始早期より著明な腫瘍縮小が認められ,投与開始後5カ月で腫瘍は消失,腫瘍マーカーの正常化が得られRECIST規準での完全奏効(CR)と判定した.1年以上経過した現在も200 mgに減量して継続中で,再発徴候は認められていない.HCCの腹膜播種に対してソラフェニブにてCRが得られた症例は稀であり貴重な症例と考えられた.
  • 高田 英志, 吉田 寛, 真々田 裕宏, 谷合 信彦, 吉岡 正人, 川野 陽一, 水口 義昭, 清水 哲也, 柿沼 大輔, 神田 知洋, ...
    2014 年 55 巻 2 号 p. 106-114
    発行日: 2014/02/20
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性.近医で施行された腹部超音波検査にて肝S7に径50 mm大の腫瘍を指摘され,当院紹介となった.腫瘍マーカーはAFP,PIVKA-IIが高値であり,腹部CT,MRI,経動脈性血管造影CTで肝S7,S3に腫瘤を認めた.肝S3の腫瘤の造影効果は典型的ではなかったが,腫瘍マーカーの上昇およびB型肝炎ウイルスの既往感染の背景を考慮し,多発肝細胞癌と診断.肝S7亜区域切除術+肝S3部分切除術を施行した.病理組織学的検査で肝S7の腫瘍は数層からなる索状構造を形成しており,中分化型肝細胞癌と診断した.肝S3の腫瘍は,肝内胆管癌と細胆管細胞癌が混在しており,細胆管細胞癌成分を伴った肝内胆管癌と診断した.胆管癌であり部分切除では不十分と判断し,肝外側区域切除術およびリンパ節郭清を追加施行した.肝細胞癌と細胆管細胞癌成分を伴った肝内胆管癌の同時性重複癌の切除報告例は少なく,稀少性からも貴重な症例と思われたので,文献的考察を加え報告する.
  • 鈴村 和大, 飯室 勇二, 平野 公通, 中村 育夫, 近藤 祐一, 田中 肖吾, 裴 正寛, 鳥井 郁子, 辻村 亨, 藤元 治朗
    2014 年 55 巻 2 号 p. 115-121
    発行日: 2014/02/20
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル フリー
    症例は66歳の男性で,近医にて肝腫瘍を指摘されたため精査加療目的に当科紹介となった.腹部超音波検査にて肝S6およびS7頭側,S7尾側の3カ所に低エコーな腫瘍性病変を認め,造影CTではS6腫瘍は周囲に造影効果を受ける腫瘍として描出され,S7頭側およびS7尾側の腫瘍は造影効果の乏しい腫瘍として描出された.S6腫瘍に対して生検を行ったところ,混合型肝癌の診断であったため,肝後区域切除術を施行した.病理組織学的検査ではS6腫瘍は混合型肝癌で,S7頭側およびS7尾側の腫瘍は肝細胞癌であった.術後約7年の現在,生存中である.混合型肝癌と肝細胞癌の両者が同一肝臓内の異なる部位に同時に存在する,いわゆる重複癌はまれな疾患である.われわれはその1切除例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 雅楽川 英樹, 光井 洋, 木村 晴, 仲地 健一郎, 大久保 政雄, 小林 克也, 関川 憲一郎, 橋本 直明, 山口 肇, 鈴木 丈夫, ...
    2014 年 55 巻 2 号 p. 122-131
    発行日: 2014/02/20
    公開日: 2014/03/01
    ジャーナル フリー
    アロマターゼ阻害薬であるアナストロゾールは乳癌術後の化学療法に用いられる.我々は,アナストロゾールによる薬物誘発性自己免疫性肝炎(AIH)と考えられる2症例を報告する.症例はいずれも中高年女性で,同薬内服開始約半年後に,抗核抗体陽性と高IgG血症を伴って,逸脱酵素上昇をきたした.症例1は黄疸も認めた.両者とも,肝生検組織は慢性活動性肝炎を呈した.ステロイド治療が著効であり,AIH国際診断基準(1999)のスコアリングでは治療の前後いずれも“AIH probable”と診断された.症例1は潜在性に発症していたAIHの顕在化であり,症例2はAIH維持療法中の再燃であった.アナストロゾールは,使用に関連して,シェーグレン症候群,関節リウマチ,橋本甲状腺炎の症例も報告され,疾患感受性を有する特定の個人には自己免疫疾患を誘発・増悪させる可能性が示唆されている.我々の2症例はAIHの疾患感受性因子としてHLA DRB1*0405を有していることから,アナストロゾールによってAIHが増悪した可能性が考えられた.
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