肝臓
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55 巻 , 3 号
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原著
  • 岡田 早未, 高木 章乃夫, 八木 孝仁, 安中 哲也, 後藤田 達洋, 麻植 浩樹, 中村 一文, 佐藤 秀一, 貞森 裕, 篠浦 先, ...
    2014 年 55 巻 3 号 p. 143-154
    発行日: 2014/03/20
    公開日: 2014/04/07
    ジャーナル フリー
    肝疾患患者において低酸素血症を来す肝肺症候群の病態について本邦での頻度などの検討は十分になされていない.肝移植前検査で座位と臥位の血液ガス分析を行い,61症例のうち2例(3.2%)に肝肺症候群を認めたので報告する.座位あるいは臥位でPaO2<80かつAaDO2≧15 mmHgを呈した疑診症例が27例(44%),そのうちPaO2<70かつ座位で5%あるいは4 mmHg以上のPaO2低下(orthodeoxia)を伴った症例4例(6.5%),肺血流シンチで肺内シャントの確定がなされた肝肺症候群は2例であった.症例はともにアルコール多飲歴・喫煙歴のあるC型肝硬変であった.PaO2<80かつAaDO2≧15 mmHgを呈する潜在的本症症例の頻度は44%と高く,プロトロンビン時間延長,ビリルビン高値でMELDスコアも高値の重症例であった.肝硬変外来診療における経皮的酸素飽和度モニターなどを利用した本症の把握は重要と思われる.
症例報告
  • 友松 宗史, 岸本 昌浩, 飯田 洋也, 生田 真一, 相原 司, 柳 秀憲, 覚野 綾子, 池内 香子, 山中 若樹
    2014 年 55 巻 3 号 p. 155-161
    発行日: 2014/03/20
    公開日: 2014/04/07
    ジャーナル フリー
    症例は44歳の女性で,2006年8月に右乳癌(StageIIb)に対し,乳房部分切除術と腋窩リンパ節郭清術を行った.2010年9月に黄疸が出現したが,画像上明らかな異常は認めなかった.その後,肝生検にて乳癌のびまん浸潤性肝転移と診断された.総ビリルビンが24.1 mg/dlまで上昇し,life-threateningの状態となったため,血漿交換(PE)を施行した.黄疸とPSが改善したため,引き続きアロマターゼ阻害剤(AI)投与を開始したところ,肝機能の改善と腫瘍マーカーの低下を認めた.黄疸出現後3年経過しているが,現在も生存中である.一部の乳癌や胃癌では,画像上,明らかな腫瘤を形成せず,びまん浸潤性の肝転移から肝不全や肝硬変を呈する症例が稀に報告されている.予後不良とされているが,PEやAI投与により劇的に改善し,長期生存を得た症例を経験したので,若干の文献的考察を含めて報告する.
  • 石川 和真, 宮西 浩嗣, 保木 寿文, 田村 文人, 河野 豊, 高田 弘一, 田中 信悟, 櫻田 晃, 佐藤 康史, 佐藤 勉, 林 毅 ...
    2014 年 55 巻 3 号 p. 162-169
    発行日: 2014/03/20
    公開日: 2014/04/07
    ジャーナル フリー
    症例は54歳の男性.2001年より,B型慢性肝炎に対してラミブジンによる治療を受けていたが,経過中にAST,ALTの上昇,HBV DNAの上昇を認められ,2004年よりアデホビルの併用が開始された.2012年7月より両胸郭・股関節痛を自覚したため前医を受診.採血にてALP高値と腎機能障害を認め,徐々に増悪したため精査加療目的に当科紹介となった.精査の結果,近位尿細管障害および腎性低リン血症を認め,骨シンチグラフィでは疼痛部位に一致したテクネシウムの異常集積を認めた.以上よりFanconi症候群および低リン血症性骨軟化症と診断し,原因としてアデホビルが疑われたため,同薬を中止しエンテカビルへ変更したところ,徐々に腎機能障害,骨痛の改善を認めた.アデホビルによるFanconi症候群は少数ながらも近年報告されている.しかし,治療から改善までの詳細な経過を示したものは無いので,本例の経過を報告する.
  • 石橋 啓如, 足立 清太郎, 片倉 芳樹, 吹田 洋將, 糸林 詠, 横須賀 收
    2014 年 55 巻 3 号 p. 170-175
    発行日: 2014/03/20
    公開日: 2014/04/07
    ジャーナル フリー
    症例は48歳の男性.5年前の健診で食道静脈瘤(LmF2CbRC0Lg-)を指摘され,精査にて悪性腫瘍や肝硬変症の合併を認めず,門脈本幹部血栓,肝門部海綿状血管増生,脾腫が確認され,非硬変性門脈血栓症に伴う肝外門脈閉塞症と診断された.5年の経過で門脈血栓,食道胃静脈瘤(LsF3CbRC2LgcF2)は増悪し,予防的に内視鏡的硬化療法を施行した.慢性骨髄増殖性疾患を疑い施行した骨髄生検では慢性骨髄増殖性疾患の合併は否定的であったが,血液検査にてJanus activating kinase 2のV617F遺伝子変異(JAK2変異)が確認されたことから,JAK2変異が門脈血栓症に関与したと考えられた.本症例では5年の経過中,脾腫に比して血小板数が正常域値内に保たれていた.明らかな基礎疾患が指摘されない門脈血栓症に伴う肝外門脈閉塞症ではJAK2変異が存在する可能性について考慮する必要がある.
  • 平江 麻衣, 渡邊 丈久, 吉丸 洋子, 川崎 剛, 泉 和寛, 溝部 典生, 福林 光太郎, 立山 雅邦, 田中 基彦, 猪山 賢一, 佐 ...
    2014 年 55 巻 3 号 p. 176-181
    発行日: 2014/03/20
    公開日: 2014/04/07
    ジャーナル フリー
    症例は48歳女性.12年前に原発性胆汁性肝硬変と診断され,内科的に治療を受けていたが治療に対する反応に乏しく,脳死肝移植に登録し,生体肝移植も検討されていた.定期受診時の血液検査で血清ビリルビン値,肝逸脱酵素の上昇,ならびにそれまで正常であったプロトロンビン時間(PT)の延長を認め,原疾患の増悪を疑い入院となった.精査にてHBs抗原,HBc抗体の陽転が確認され,肝障害増悪の原因はB型急性肝炎の併発によるものと診断した.肝不全の進行が危惧され,肝移植待機例であったため,直ちにエンテカビル内服を開始した.その後,肝逸脱酵素,PTはともに改善し,待機的肝移植が可能となり自宅退院となった.慢性肝疾患の経過中に急激な肝機能増悪を認めた際には,原疾患の増悪のみならず,他の肝疾患合併の可能性も念頭におき精査を行う必要性があることを再認識させられた啓発的な経過であった.
  • 芝原 友也, 梶原 英二, 大穂 有恒, 下釜 達朗, 金城 満, 山下 尚毅
    2014 年 55 巻 3 号 p. 182-188
    発行日: 2014/03/20
    公開日: 2014/04/07
    ジャーナル フリー
    高齢発症の劇症型自己免疫性肝炎救命例を経験した.症例は82歳の女性.高血圧症で通院中であったが,それまで肝障害を指摘されたことはなかった.入院2-3週間前より倦怠感と褐色尿が出現し,入院前日に黄疸に気付き入院.T-Bil 16.6 mg/dl,PT 36.5%,IgG 4608 mg/dl,抗核抗体80倍,肝炎ウイルスマーカーは陰性.健康食品や新たな薬剤服用歴はなかった.急性肝炎重症型と診断し,入院当日よりステロイドパルス療法を施行した.翌日に羽ばたき振戦が出現し,肝性脳症II度となり,自己免疫性肝炎による亜急性型劇症肝炎と診断.PTは改善傾向を認め,引き続きプレドニゾロンを投与し,肝機能検査値は改善した.本症例は高齢にも関わらず早期の副腎皮質ステロイド治療が奏効した劇症型自己免疫性肝炎症例であり,自己免疫性肝炎重症例に対し早期診断および治療の重要性を示唆する症例と考えられた.
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