肝臓
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56 巻, 5 号
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総説
原著
  • 松本 光太郎, 菊池 健太郎, 守時 由起, 茂木 千代子, 山田 はな恵, 綱島 弘道, 小澤 範高, 馬淵 正敏, 梶山 祐介, 土井 ...
    2015 年56 巻5 号 p. 179-185
    発行日: 2015/05/20
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    当院における敗血症性肝障害の臨床的特徴をretrospectiveに調査し,発症早期に予後予測に役立つ因子を検討した.過去1年間の敗血症116例中,敗血症性肝障害を61例(52.6%)に認めた.敗血症性肝障害を合併した例は非合併例に比べて死亡率が有意に高かった.敗血症性肝障害合併例は非合併例と比較してDICの併発例が多く,DIC非併発例でも血清FDP, D-dimer値が高値であることから,敗血症性肝障害の発生にDICが関与していると考えられた.またDICを併発した敗血症性肝障害における死亡例と生存例の比較では死亡例で血清ALPが有意に高値であり,γ-GTPも死亡率に影響を与える可能性があった.敗血症性肝障害例において総ビリルビン値の推移を生存例と死亡例で比較したところ,死亡例で有意に総ビリルビン値の上昇を認め,経過中に黄疸を呈し死亡した例は10例であった.また死亡した10例中,3例からMRSAが検出されており,菌種別の死亡率ではMRSAが最も高かった.予後予測因子について多変量解析(ロジスティック回帰分析)で検討した結果,敗血症性肝障害発生時においてはALP高値が唯一の予後予測因子であった.以上から敗血症性肝障害の発症時に血清ALP, γ-GTPが高値であること,またMRSAが検出されることは,早期の予後予測マーカーになる可能性があると考えられた.
症例報告
  • 大穂 有恒, 黒川 美穂, 山下 尚毅, 牧野 一郎, 金城 満, 梶原 英二
    2015 年56 巻5 号 p. 186-193
    発行日: 2015/05/20
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    肝膿瘍の治療の経過中に肝細胞癌が診断された一例を経験した.症例は73歳男性.入院10日前に右上腹部痛が出現し,腹部エコーで肝左葉外側区の腫瘤を指摘され当院入院となった.造影CTで肝左葉に径6 cmの嚢胞状の低吸収域と辺縁の濃染を認め,発熱と炎症反応を伴っており肝膿瘍と診断した.針生検でも膿瘍の所見であり,培養で複数の腸内細菌が検出された.抗生剤治療で症状は改善したが,腫瘍径は4 cmからの縮小がみられず,造影CTで低吸収域が肝外性に増大したため,肝外側区域切除術と胆嚢摘出術を施行した.術後標本で4.5×3.0 cmの膿瘍の内部に径2.4 cmの中分化型肝細胞癌を認めた.肝膿瘍を契機として発見された肝細胞癌の報告は散見されており,肝膿瘍の治療において,悪性腫瘍合併の可能性を考慮した経過観察の重要性が示唆された.
  • 網倉 克己, 坂本 裕彦, 高橋 遍, 小倉 俊郎, 大道 清彦, 田中 洋一
    2015 年56 巻5 号 p. 194-204
    発行日: 2015/05/20
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    症例は50歳男性.10年以上前HBs-Ag(+)指摘されたが未治療.上腹部痛を主訴に受診.AFP 16.1 ng/ml, PIVKA II 454 mAU/ml, S5/8に70 mm単発の肝細胞癌と診断し,肝前区域切除術施行.術後10カ月CTで単発右腸骨転移(溶骨性,骨外増殖,65×45 mm)を診断された.肝内再発なし.AFP 4454.3 ng/ml, PIVKA II 60.0 mAU/ml.放射線治療51 Gy(3 Gy×17回)/23日間(10 MVリニアックX線,非対向斜入2門),ゾレドロン酸4 mg×5回投与後,疼痛は改善し,腫瘍マーカーも正常化した.CT上,再骨化したままRECIST規準でSDと判断した.骨転移診断から6年後の現在,肝内病変なく長期SDを継続し生存中である.肝細胞癌骨転移の多くは予後不良だが,肝予備能良好,肝内病変なしあるいは制御可能,単発骨転移などで長期生存の報告があり,長期予後を前提とした集学的治療の検討が必要である.
  • 田澤 宏文, 福田 三郎, 江藤 高陽, 守屋 尚, 久賀 祥男, 西田 俊博
    2015 年56 巻5 号 p. 205-212
    発行日: 2015/05/20
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    症例は80歳代,男性.便潜血とCEA高値の精査目的で当院内科紹介受診となった.上部・下部消化管内視鏡で異常を認めず,腹部CTで肝S6に辺縁濃染を示す腫瘤を認めた.MRIでは早期相でリング状濃染を認め,肝細胞相で低信号を示した.腫瘍マーカーはCEA 7.1のみ軽度上昇していた.肝S6部分切除を施行し,病理結果は肝内胆管癌であった.術後6カ月目のCTで肝S6下端に早期濃染を伴う腫瘍を認めた.CEAも再上昇を示していたので,肝内胆管癌の再発を疑い手術を行った.腫瘍は前回手術時の近傍に存在したため,S6亜区域切除を行った.病理結果は中分化型肝細胞癌であった.さらに初回手術より17カ月後にCTで肝S3にリング状の濃染を伴った低濃度腫瘤を認めた.肝S3亜区域切除を行い,病理結果は肝内胆管癌であった.本症例は異時性に3回の重複癌を認め,全て肝切除による治療を行った.調べうる限り同様の報告はなく,若干の文献的考察を交えて報告する.
短報
  • 妹尾 純一, 千葉 哲博, 齊藤 朋子, 大岡 美彦, 小笠原 定久, 小関 寛隆, 叶川 直哉, 鈴木 英一郎, 太和田 暁之, 横須賀 ...
    2015 年56 巻5 号 p. 213-216
    発行日: 2015/05/20
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    Pleural effusion often causes respiratory distress and deterioration of activities of daily living. Here, we describe three hepatocellular carcinoma (HCC) patients exhibiting refractory pleural effusion. The pleural effusion in these patients was caused by a different mechanism in each case: ascites transition to the chest cavity, carcinomatous pleuritis, and bacterial infection. Both the administration of conventional diuretics and thoracentesis failed to resolve the pleural effusion. Ultimately, the patients were successfully treated by chemical pleurodesis with OK-432 and minocycline. Although they developed mild fever and pain shortly after treatment, no severe complications were observed. Given that palliative medicine should be provided in the early stage of cancer treatment, pleurodesis could be useful approach for HCC patients with refractory pleural effusion.
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