肝臓
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57 巻, 6 号
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総説
  • 坂井田 功
    2016 年57 巻6 号 p. 269-279
    発行日: 2016/06/20
    公開日: 2016/07/01
    ジャーナル フリー
    抗ウイルス剤の進歩によりウイルス性肝炎の制御が可能になったが,アルコール多飲や非アルコール性脂肪肝炎による肝硬変は増加しており,依然として肝移植待機患者が多数存在する.肝移植の治療効果は劇的だが,ドナー不足,手術侵襲,免疫拒絶,医療費などの問題のため,肝移植の実施は限られているのが実情である.この肝移植の実施を補う肝硬変治療として,幹細胞による肝臓再生療法の基礎研究とそれに続く臨床研究が進められてきた.これまでに報告された臨床研究では主な細胞源として骨髄が用いられてきた.近年,複数のランダム化比較試験が実施され,幹細胞を用いた肝臓再生療法の有効性が示されてきたが,規模も小さく,各臨床研究で投与細胞数や経路が異なるため,今後はこれらの標準化が必要である.また,iPS細胞の登場により肝臓再生療法は新たな局面を迎え,人工的に肝芽などの臓器原基の作成が可能となり,新たな概念として臓器原基移植療法が提唱されている.今後,これらの肝臓再生療法の実用化が「再生医療等製品の実用化に対応した承認制度」の実施に伴い加速することが期待される.
原著
  • 杉原 誉明, 孝田 雅彦, 岡本 敏明, 三好 謙一, 的野 智光, 法正 恵子, 岡野 淳一, 磯本 一, 矢田 晋作, 大内 泰文
    2016 年57 巻6 号 p. 280-286
    発行日: 2016/06/20
    公開日: 2016/07/01
    ジャーナル フリー
    経頸静脈的肝生検(Transjugular liver biopsy;TJLB)は経皮的肝生検(Percutaneous liver biopsy;PLB)適応外例での代替生検法と認識されている.今回当院にてTJLBを実施した10例で,その選択理由とTJLBで得られた生検組織の診断能を後ろ向きに検討した.TJLBの主な選択理由は凝固異常(血小板数・プロトロンビン時間低値)5例(うち有腹水2例),腹水貯留4例,高ビリルビン血症1例であった.生検組織により,7例(アミロイドーシス,非アルコール性脂肪肝炎,結核,薬物性肝障害,原発性胆汁性肝硬変,悪性リンパ腫,成人T細胞性白血病/リンパ腫の肝浸潤)で確定診断された.その他の3例も線維化・肝硬変などの補助的な所見が得られた.有害事象は頸静脈刺入部の止血遅延1例のみであった.TJLBは主にPLBが適応にならない凝固異常,腹水貯留患者で安全に実施された.
症例報告
  • 五十嵐 俊三, 土屋 淳紀, 中野 応央樹, 罇 陽介, 山本 幹, 横山 純二, 横尾 健, 上村 顕也, 高村 昌昭, 川合 弘一, 山 ...
    2016 年57 巻6 号 p. 287-294
    発行日: 2016/06/20
    公開日: 2016/07/01
    ジャーナル フリー
    症例は関節リウマチの診断で外来加療中の76歳女性.当科受診2カ月前から全身倦怠感,1カ月前から軽度右季肋部痛を自覚していた.近医を受診し,腹部超音波検査で肝右葉に35 mm大の腫瘤を指摘された.造影CTでは肝右葉から右腎に及ぶ造影効果の乏しい腫瘤に加え,両側腎,左肺に腫瘤を認めた.悪性腫瘍を疑い,肝生検目的で当科に入院した.腹部超音波検査では約2週間で肝腫瘤が16 mmに縮小していたが,診断目的で経皮的肝針生検を施行した.検体内には軽度炎症細胞浸潤を伴う高度線維化領域を認めたが,腫瘍性病変は指摘できなかった.組織像に加え画像検査で肝,腎,肺いずれの病変も縮小したことから,炎症性偽腫瘍と診断し経過観察の方針とした.本疾患はあらゆる臓器を原発とする可能性があり,しばしば悪性腫瘍との鑑別が困難で切除に至る症例もある.多発症例も報告されているが,検索し得た限りでは3臓器にわたる多発症例はなく貴重な症例と考え報告する.
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