肝臓
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58 巻, 11 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • 大山 淳史, 高木 章乃夫, 安中 哲也, 足立 卓哉, 池田 房雄, 和田 望, 竹内 康人, 大西 秀樹, 中村 進一郎, 白羽 英則, ...
    2017 年 58 巻 11 号 p. 599-604
    発行日: 2017/11/20
    公開日: 2017/11/29
    ジャーナル フリー

    肝移植後C型肝炎に対するDirect Acting Antivirals(DAA)治療効果を検討した.Genotype1は29症例で,ダクラタスビル+アスナプレビル(DCV+ASV)5例,ソホスブビル+レジパスビル(SOF+LDV)25例(含DCV+ASV無効1例),Genotype2が2症例でSOF+リバビリン治療を行った.DCV+ASVは5例中4例で治療完遂,3例でSustained viral response(SVR)24を達成.SOF+LDVは全例SVR24を達成.移植後2カ月以内の肝炎再燃例も含まれているが問題なく治療完遂可能であった.Genotype2はSVR24を達成.SOF中心レジメンで100%のSVR24達成率であり,移植後早期においても問題なくウイルス駆除達成可能であった.C型肝硬変の肝移植適応評価においてC型肝炎のネガティブインパクトはなくなったと言っても過言ではない.

症例報告
  • 高橋 幸治, 鈴木 英一郎, 千葉 哲博, 前田 隆宏, 横山 昌幸, 齊藤 朋子, 小笠原 定久, 大岡 美彦, 神田 達郎, 丸山 紀史 ...
    2017 年 58 巻 11 号 p. 605-610
    発行日: 2017/11/20
    公開日: 2017/11/29
    ジャーナル フリー

    症例は82歳男性で,肝細胞癌に対して2度の肝切除術を受けたが,2度目の肝切除から11カ月後に肝内再発と肺転移を認めたため,ソラフェニブ療法を行っていた.ソラフェニブ内服開始から18週後に上腹部痛が出現し当院を受診した.造影超音波検査,造影CT検査で肝動脈瘤破裂と中肝静脈の分枝への穿破による肝動静脈瘻の診断となり,血管造影検査,ならびにゼラチンスポンジによる肝動脈塞栓術を施行した.その後は肝動脈瘤の再発なく経過し,退院より16カ月後に肝細胞癌の病状進行により死亡した.肝細胞癌に対する治療歴がある症例では肝動脈瘤の発生に注意しながら診療を行うべきであり,また,破裂時には周囲血管との関係も含めて迅速かつ正確な画像診断を行ってから治療に臨む必要がある.

  • 木村 泰彦, 大野 勝志, 日向 眞, 山本 真也, 鏡原 康介, 北田 憲一, 柴田 憲, 大元 謙治
    2017 年 58 巻 11 号 p. 611-618
    発行日: 2017/11/20
    公開日: 2017/11/29
    ジャーナル フリー

    症例は67歳男性.下肢のしびれ・疼痛を主訴に当院を受診し,血液検査にてC型肝炎ウイルス感染を伴うアルコール性肝炎,糖尿病と診断され,精査・加療目的にて入院となった.入院時に施行した腹部エコー検査にて,肝S8の限局性低脂肪化域に,径2 cm大のやや高エコーを呈する肝占拠性病変(SOL)を認めたため,引き続きダイナミックCTを施行した.SOLは早期濃染に乏しく,腹部造影MRIではT1で低信号,T2で高信号,DWIで高信号であり,辺縁にリング状の濃染を呈していた.低分化型肝細胞癌,転移性肝腫瘍,肝炎症性偽腫瘍,などが疑われたが画像診断のみでは診断に至らず,経皮的肝生検を施行した.結果は肝細胞の脱落と著明な小型浸潤リンパ球を伴った線維化を認め,炎症性偽腫瘍(inflammatory pseudotumor(IPT))と診断された.経過観察1年の段階でSOLは縮小・不鮮明化している.肝IPTは比較的まれな疾患であるが,肝癌発症リスクファクターを複数持つ慢性肝疾患患者においても,肝SOLの鑑別では念頭に置くことが重要と思われた.

  • 安斎 和也, 鶴谷 康太, 広瀬 俊治, 荒瀬 吉孝, 白石 光一, 庄村 雅子, 峯 徹哉, 加川 建弘
    2017 年 58 巻 11 号 p. 619-625
    発行日: 2017/11/20
    公開日: 2017/11/29
    ジャーナル フリー

    症例は81歳男性.肝細胞癌に対して,2007年に肝S7亜区域切除,肝S5の再発に対して2013年4月,12月にRFAを施行.その後肝内再発は認めなかったが,椎骨と肺に多発転移を認めたため,2014年1月よりソラフェニブを800 mg/日で開始した.手足症候群の出現により400 mg/日まで減量したところ,AFPの上昇(59716 ng/ml),肝内再発,転移巣の増大を認めた.その後,ソラフェニブの副作用は軽快傾向にあったため,2015年7月より600 mg/日に増量したところ,転移巣は著明に縮小し,2016年6月にはAFP 16 ng/mlと正常化を認めた.ソラフェニブは副作用を懸念し400 mg/日で開始する場合も多い.しかしながら,本症例のように増量で著明な抗腫瘍効果が得られる症例も存在するため,たとえ減量後であっても忍容性をみながら増量することを考慮すべきである.

  • 薩田 祐輔, 平石 哲也, 奥瀬 千晃, 鈴木 達也, 森田 望, 末谷 敬吾, 中野 弘康, 石郷岡 晋也, 石井 俊哉, 高橋 秀明, ...
    2017 年 58 巻 11 号 p. 626-631
    発行日: 2017/11/20
    公開日: 2017/11/29
    ジャーナル フリー

    症例は44歳,同性愛者の男性.発熱および粘血便を主訴に受診.下部消化管内視鏡所見および血清抗体価よりアメーバ性大腸炎と診断した.同時点では肝胆道系酵素異常はなく,HBs抗原は陰性であった.アメーバ性大腸炎に対する加療後の経過観察期間中に全身倦怠感に伴うHBs抗原の陽転化ならびに肝胆道系酵素異常が出現した.IgM-HBc抗体が高力価陽性でありB型急性肝炎と診断した.HBV genotypeはAであった.以後ALT 1565 U/L,T.Bil 17.2 mg/dlを最大値に肝炎は沈静化し,HBs抗原から抗体へのセロコンバージョンを認めた.アメーバ性大腸炎治療後の経過観察中に続発したため,発症を捉えることが可能であったB型急性肝炎の1例を経験した.性感染症においては,重複感染を考慮し,潜伏期間を念頭に置いた慎重な経過観察および全身検索が必要である.

  • 金田 義弘, 菱木 智, 中森 義典, 近藤 新平, 張 優美, 三村 秀樹, 池田 礼, 所 知加子, 川名 一朗, 中山 崇, 山中 正 ...
    2017 年 58 巻 11 号 p. 632-638
    発行日: 2017/11/20
    公開日: 2017/11/29
    ジャーナル フリー

    症例は77歳男性.右季肋部痛,肝障害の精査目的で入院した.肝炎ウイルスは陰性であった.腹部USで肝S2,S6に12 mm大の低エコー領域を認めたが,dynamic CTでの造影効果は明瞭ではなかった.MRIでは拡散強調画像で高信号を示していた.肝腫瘍生検を施行し,病理組織学的に小細胞癌と診断した.免疫染色ではchromogranin A,synaptophysin,CD56いずれも陽性であった.肝以外に原発が指摘できなかったため,肝原発小細胞癌と診断した.PS不良であったため,BSCの方針となった.皮膚紅潮や喘息様発作の症状を認め,尿5-HIAAが高値であったことからcarcinoid症候群と診断した.Carcinoid症候群を発症した肝原発小細胞癌は非常に稀であるため,文献的考察を加え報告する.

短報
  • 井上 貴子, 浦野 滋行, 井上 巖, 是永 匡紹, 田中 靖人
    2017 年 58 巻 11 号 p. 639-642
    発行日: 2017/11/20
    公開日: 2017/11/29
    ジャーナル フリー

    Pharmacists belonging to the local pharmaceutical society advised patients with chronic hepatitis C (CHC) who visited their health insurance pharmacies. From March to June, 2017, a leaflet was used to recommend medical consultation and/or treatment to the patients. After this period, a questionnaire was sent to each pharmacy and replies were received from 73 of 156 pharmacies (46.8%), with 71 informative responses. A total of 32 copies of the leaflet was used for advice at 12 pharmacies and 16 patients (50%) received medical consultation and/or treatment in specialized institutions. These results indicate that pharmacists are respected as experts by patients and local inhabitants, and advice from the pharmacists regarding CHC is effective.

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