慢性肝疾患と肝腫瘍の病態を理解するためには肝上皮系細胞の分化・増殖異常を正確に把握することが重要である.成熟肝における肝細胞と肝内胆管上皮細胞は機能も形態もまったく異なっているが,細胞起源は共通であり,胎生後期から新生児期に門脈結合織に接するアルブミン陽性肝芽細胞が胆管上皮細胞に分化する.肝細胞は最終分化した後も表現型の可塑性を保ち,コラーゲン基質の増加などの微小環境の変化により胆管上皮細胞へと分化転換する.マウスを用いたin vivo肝細胞追跡実験により,慢性肝疾患における細胆管反応は肝細胞の分化転換と胆管上皮細胞の増殖と移動による胆管系のリモデリング現象であることが明らかになった.また,肝細胞は高度の再生増殖能を持つとされているが,慢性肝疾患に伴う持続的増殖刺激に反応するのは一部の肝細胞のみであり,肝硬変の再生結節はこれらが選択的にクローン性に増殖したものであることが示唆された.さらに,肝細胞は腫瘍化に伴い,肝芽細胞方向へ種々の程度に脱分化し,肝細胞性腫瘍の多様な組織型は癌遺伝子シグナル経路の相互作用による分化転換と脱分化により規定されていることが明らかになってきた.
自験例と文献的考察よりFusobacteriumによる肝膿瘍の臨床的特徴を明らかにすることを目的とした.1998年から2017年の20年間で経験した化膿性肝膿瘍125例中,Fusobacteriumによる肝膿瘍はFusobacterium necrophorum 1例,Fusobacterium nucleatum 5例,Fusobacterium spp. 3例の計9例であった.年齢の中央値は76歳で男性が多く,背景に腸管疾患,萎縮性胃炎,膵癌,齲歯,咽頭炎がみられたが,糖尿病合併はなかった.他の微生物との混合感染が3例でみられた.Fusobacterium necrophorumによる肝膿瘍はLemièrre症候群に続発し,Fusobacterium nucleatumによる肝膿瘍では大腸癌を併存する症例がみられた.全例が膿瘍ドレナージと抗菌薬により治療され,予後は良好であった.
広島県および全国において肝炎医療コーディネーター(肝炎Co)の活動実態について調査した.広島県の調査では,看護師(医療機関肝炎Co)は【患者としてすでに通院・入院しているキャリア】に,保健師(自治体肝炎Co)は,【感染を知っても継続受診をしていないキャリア】に接することが最も多く,看護師と保健師では活動の内容にも相違がみられた.全国の肝炎Coにおいても,所属機関や職種によって活動実態に相違が認められた.肝炎Coは所属機関や専門性によって接するキャリアが異なることから,医療機関所属の肝炎Coは「医療の相談,精神的ケア」,自治体所属の肝炎Coは,「受検・受療促進・フォローアップシステムへの登録勧奨」など活動内容を分離し,その役割を明確にすることが必要と考えられた.また,全国の医療従事者における肝炎Co養成制度の認知度は3-4割と低く,周知活動をさらに進める必要性が示唆された.
症例は60歳女性,201X年8月に全身倦怠感,腹部膨満感,体重増加,不正出血を主訴に前医を受診,多量の腹水とCA125高値を指摘され当院に紹介となった.CTおよび経膣エコーで婦人科悪性腫瘍の存在は否定的で,腹水細胞診も陰性であった.初診時より肝機能障害も認めていたが,入院後の採血で抗核抗体とIgGが上昇していた.腹水コントロール後に肝生検を行い,自己免疫性肝炎,肝硬変に矛盾しない組織像であった.加療により201X+1年1月のCTでは腹水は消失しており,同年5月にはCA125も正常範囲まで低下していた.
症例は49歳女性.4カ月前より全身倦怠感と食欲不振が出現し,体重減少(6 kg/3カ月)を認めた.1カ月前から下腿浮腫が出現した.近医での血液検査で肝障害を指摘され当科紹介受診.AST 800 IU/L,ALT 641 IU/Lと肝障害を示し,AFP 103 ng/ml,CA19-9 65 U/mlと腫瘍マーカーの上昇を認めた.腹部超音波検査では,肝S3からS4に,内部不均一,境界不明瞭な低エコー域を認めた.CT,MRIでは肝門部から肝左葉にかけて濃染効果を認める腫瘤影を認めた.また,腹水と腹腔内リンパ節腫大を伴っていた.経過観察にて血液検査や症状は改善し,2カ月後に腹水と下腿浮腫は消失した.精査のため肝生検を行い,肝炎症性偽腫瘍と組織診断した.無治療で腫瘍は縮小し,炎症性偽腫瘍に合致する経過であった.高度な肝障害,腹水貯留,腹腔内リンパ節腫大を伴う肝炎症性偽腫瘍の報告はなく,稀な症例と考え報告した.
症例は80歳代女性.食思不振と炎症反応高値が持続し,径8 cm大の肝腫瘤を指摘されたため当科紹介となった.一部肝外に突出し,動脈相から平衡相にかけて腫瘍辺縁の淡い造影効果を伴う乏血性の腫瘤で,生検でも悪性所見は得られなかった.炎症反応高値と併せて,肝放線菌症などによる慢性肝膿瘍を疑い抗生剤加療を開始した.炎症反応が遷延し腫瘤が増大傾向を示したため,再度生検を施行したところ肝肉腫の診断となり,肝後区域切除,横隔膜合併切除が施行された.異型核を持つ腫瘍細胞がシート状に増殖しており,Vimentin(+),AE1/AE3(+)にてUndifferentiated carcinoma(Sarcomatoid carcinoma)と最終診断された.肝未分化癌の報告は稀であり,しばしば弛張熱や炎症反応を伴い肝膿瘍と鑑別が困難な症例が散見される.本例でも同様の経過を辿り診断に苦慮したため報告する.
Attenuation imaging (ATI) is a method to quantitatively assess steatosis by using fat attenuation technique that is installed on Aplio i800, an all-purpose ultrasound diagnostic device (Toshiba Medical Systems). We assessed the correlation between Controlled Attenuation Parameter (CAP) and ATI in 116 patients with chronic hepatitis. Two methods showed excellent correlation (Pearson's r=0.699, 95% CI 0.592-0.782). ATI can be used as a method to assess steatosis without a device dedicated to ATI method.