肝臓
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59 巻, 12 号
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特別寄稿
原著
  • 小嶋 清一郎, 高清水 眞二, 市川 仁志, 金子 元基, 山路 葉子, 津田 真吾, 伊藤 裕幸, 永田 順子, 白井 孝之, 渡辺 勲史
    2018 年 59 巻 12 号 p. 668-677
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2018/12/27
    ジャーナル フリー

    C型肝炎ウイルス(HCV)抗体陽性の患者・健診受診者1,047例を対象にアンケートを行ない391例の回答を得た.C型肝炎に関する知識の設問では感染を知っていた者は知らなかった者に比して有意に得点が高かった.感染自覚の契機では「他疾患で受診した際」が48.5%と最も多かった.未通院の理由では「治療の必要はないと医師に言われた」が39.2%と最も多かった.啓発活動では「テレビ」が最も知られていた.次に当院と病診連携関係にある医療施設1,160施設を対象にアンケートを行い123例の回答を得た.HCV抗体陽性かつALT,AST異常高値の場合,「direct acting antivirals(DAA)以外を用いて治療する」が17%,経過観察が6%の施設にみられた.DAAの認知度では「知らなかった」が18%であった.今後当該患者に対する積極的な受診勧奨とさらなる啓発活動が必要であると考えられた.

  • 北山 裕子, 正木 尚彦
    2018 年 59 巻 12 号 p. 678-691
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2018/12/27
    ジャーナル フリー

    肝炎情報センターが平成23年度から平成26年度までの4年間に主催した肝疾患診療連携拠点病院の肝疾患相談・支援センター相談員向け研修会への参加者が提出した「研修会事前レポート」を用い,「研修会ニーズ」に関する質的及び計量テキスト分析を行った.その結果,相談員の研修会ニーズは,「相談支援を行う上での専門的知識・情報」,「専門的支援技術」,「各肝疾患相談・支援センターと関係機関間のネットワーク形成・構築」に大きく集約されることが判明した.特に,情報交換(共有)等のための「ネットワークの形成・構築」に関する内容は,「相談員が抱える課題」を対象としたわれわれの先行研究では抽出されなかったことから,ニーズに特徴的な項目であると考えられた.今回の分析から明らかになった項目の充実は,肝疾患相談の領域のみならず,わが国の相談支援システム強化を図る上で極めて重要である.

症例報告
  • 山口 将太, 津久井 舞未子, 三浦 光一, 森本 直樹, 大竹 俊哉, 高岡 良成, 村山 梢, 渡邊 俊司, 野本 弘章, 福嶋 敬宜, ...
    2018 年 59 巻 12 号 p. 692-699
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2018/12/27
    ジャーナル フリー

    症例は61歳女性.1998年に近医で肝腫瘤を指摘され,2001年に精査目的に当科紹介.画像所見で多発する肝腫瘍を認めた.診断目的に行った肝生検で腫瘍細胞は血管内皮系マーカーであるCD31,Factor VIII,CD34が陽性より,類上皮血管内皮腫(Epithelioid hemangioendothelioma:EHE)と診断した.肺にも小結節を複数認め,経過から肝原発で肺転移を疑った.手術適応はなく,また有効な化学療法も存在しなかったため,十分なインフォームドコンセントのもと,経過観察とした.経過観察中,腫瘍の進展はほとんど見られず,また造影CT検査で当初認められた腫瘍のリング状エンハンスメントも現在は消失している.近医での初診を起点とすると,無治療で20年間の経過観察しえているEHEの1例であり,貴重な症例と考え報告する.

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