肝臓
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59 巻, 4 号
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特別寄稿
  • 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班 自己免疫性肝炎分科会・原発性胆汁性胆管炎分科会, ...
    2018 年 59 巻 4 号 p. 211-216
    発行日: 2018/04/20
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー

    自己免疫性肝炎(autoimmune hepatitis;AIH),原発性胆汁性胆管炎(primary biliary cholangitis;PBC)は自己免疫応答によりそれぞれ肝細胞,胆管上皮細胞が障害される疾患であり,治療が行われない場合,あるいは治療が行われても反応不良の場合進行し肝硬変・肝不全へと至りうる.厚生労働科学研究費補助金による難治性疾患政策研究事業のひとつである「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班(以下「厚労省研究班」と略)では以前よりAIH・PBC診療ガイドラインの作成を行っており,2013年にAIH診療ガイドライン,2012年にPBC診療ガイドラインを作成・公表した.その後,国内外の様々なエビデンスの集積や新規薬剤の登場を受け,2016年から2017年にかけて両ガイドラインの改訂並びに追補を行った.本稿では,AIH・PBC診療ガイドラインの改訂点についての概略を紹介する.なお,AIH・PBC診療ガイドラインともに厚労省研究班のホームページ(http://www.hepatobiliary.jp/)で閲覧・ダウンロード可能である.

症例報告
  • 清野 宗一郎, 丸山 紀史, 小林 和史, 嶋田 太郎, 高橋 正憲, 中村 昌人, 中本 晋吾, 安井 伸, 神田 達郎, 齊藤 朋子, ...
    2018 年 59 巻 4 号 p. 217-223
    発行日: 2018/04/20
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー

    症例は40歳,男性.慢性腎不全による腎移植後のため,近医で通院加療を受けていた.高アンモニア血症と意識消失発作を認め,同院のCT検査で腹部血行異常を疑われたため精査目的に紹介となった.超音波では,門脈から下大静脈へ連続する管腔構造が認められ,門脈側から下大静脈へ向かう血流が観察されたことから静脈管開存が疑われた.血管造影検査では下大静脈から短絡路部へバルンカテーテルが挿入され,静脈管開存の存在が確認された.バルンカテーテルによる短絡路の閉塞試験では,門脈ならびに脾静脈血流は停滞し肝内門脈血流も観察されなかった.以上より,先天性門脈欠損症I型と診断され,外科的な短絡路結紮切離による改善は期待できないと考えられた.なお肝生検組織から,原発性胆汁性胆管炎(Scheuer分類Stage 2,中沼分類Stage 3)と診断された.今後,肝移植の適応を含めた診療の展開が求められる.

  • 久木山 綾, 宮瀬 志保, 束野 奈津己, 岩下 博文, 藤山 重俊, 有馬 信之
    2018 年 59 巻 4 号 p. 224-229
    発行日: 2018/04/20
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー

    症例は40歳男性.上腹部痛を主訴に前医を受診し,腹部超音波検査にて肝腫瘍を指摘され当院に紹介された.造影CTでは,肝左葉のφ12 cmの腫瘍を中心に多発する肝腫瘍を認めた.造影MRIでは肝腫瘍はT1W1で淡い低信号域,T2W1で淡い高信号で,中心部に高信号域が見られ,DWIではいずれも境界明瞭に異常信号域を示した.ダイナミック造影で辺縁より徐々に造影効果を認め,診断に難渋したため,超音波ガイド下腫瘍生検を行った.免疫組織学的検査では,腫瘍細胞において神経内分泌細胞のmarkerであるsynaptophysin,chromogranin Aが陽性,Ki-67 10%であり,核分裂像ははっきり指摘できなかった.以上より,肝原発神経内分泌腫瘍(Grade 2)と診断した.神経内分泌腫瘍は消化管や膵臓においてはしばしば認めるが,肝原発症例は非常にまれである.今回,我々は腫瘍生検により,肝原発神経内分泌腫瘍の確定診断に至った1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

短報
  • 飯尾 悦子, 小川 慎太郎, 島田 紀朋, 江口 有一郎, 平嶋 昇, 松浦 健太郎, 田中 靖人
    2018 年 59 巻 4 号 p. 230-233
    発行日: 2018/04/20
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー

    After direct-acting antiviral agents (DAAs) failure, multiple RAVs emerged in NS5A, especially, P32 deletion (del) in some patients. Total 74 patients with Daclatasvir/Asunaprevir (DCV/ASV) failure were examined NS5A resistant associated variant (RAV), and 32 or 29 del emerged in 9% after DCV/ASV failure. Four of seven patients with del had history of Peg-interferon/ribavirin/simeprevir treatment. Changes of NS5A quasispieces were examined by population sequencing in 4 patients with NS5A P32del. Three of 4 patients have detected P32del since the treatment failure (up to 28 months after DCV/ASV failure). Note that P32del firstly emerged in one patient 6 months after the failure. Hence, NS5A RAVs should be examined before re-treatment of DAA treatment, because P32 del could be resistant to Glecaprevir/Pibrentasvir.

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