肝臓
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59 巻, 9 号
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総説
  • 原田 憲一
    2018 年59 巻9 号 p. 455-465
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/27
    ジャーナル フリー

    急性肝炎様の臨床像を呈する自己免疫性肝炎(AIH)は,慢性肝炎AIHからの急性増悪の他,先行する肝障害を伴わない急性発症のAIH(急性肝炎期AIH)も存在する.特に急性肝炎期AIHは自己抗体,高γグロブリン血症等のAIHに特徴的な臨床像を欠いた症例も多く,未だ診断基準は策定されていない.急性肝炎期AIHの組織学的特徴として小葉中心性壊死(CN)がよく知られているが,同様な壊死は薬物性肝障害(DILI)でも見られる所見であり,両者の組織学的鑑別は通常困難である.本稿では,AIHに見られる種々の組織所見について概説し,急性肝炎期の組織所見,DILIとの組織学的異同について紹介する.

原著
  • 重福 隆太, 渡邊 綱正, 服部 伸洋, 池田 裕喜, 松永 光太郎, 松本 伸行, 得平 卓也, 鈴木 達也, 近江 亮介, 五十嵐 洋介 ...
    2018 年59 巻9 号 p. 466-480
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/27
    ジャーナル フリー

    当院において過去20年間に経験した肝膿瘍153例の病原微生物,背景疾患,臨床経過に関して,後方視的に検討した.化膿性肝膿瘍ではアメーバ性肝膿瘍と比較し,糖尿病,悪性疾患,胆道系疾患が有意に高率であった.化膿性肝膿瘍の原因菌は,Klebsiella pneumoniaeEscherichia coliの順に多い.血液培養の検出率は44%であるのに対して,膿瘍培養の検出率は83%と高率であった.抗菌薬に抵抗性を有する原因菌の頻度は少なかった.アメーバ性肝膿瘍では,常用飲酒家が多いことが特徴であった.また感染経路不明の無症候性囊子保有者における免疫抑制療法中の発症があるため注意を要する.肝膿瘍は重症化する例があるため,早期に膿瘍培養を行い,適切に治療することが重要である.中でも,悪性疾患や複数細菌の混合感染例,多臓器に膿瘍形成を有する症例では重症化することがあり留意すべきである.

症例報告
  • 道免 和文, 田中 博文, 小野原 伸也, 石井 孝司, 高橋 和明, 下田 慎治
    2018 年59 巻9 号 p. 481-487
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/27
    ジャーナル フリー

    症例は64歳男性.倦怠感,発熱を主訴に近医を受診し,肝障害を認めたため,当科に紹介入院となった.2週間ほど前に生牡蠣を喫食した生活歴があった.受診当日は総ビリルビン(TB)1.67 mg/dl,AST 1870 IU/l,ALT 1042 IU/l,PT 77.6%の肝障害を認めた.入院第2日目にはTB 3.02 mg/dl,AST 5400 IU/l,ALT 2945 IU/l,PT 47.0%と肝機能は急速に増悪し,この時点でA型急性肝炎と判断した場合の予測劇症化率は13.5%であり,入院第2日目よりステロイドパルス療法を開始した.同療法は奏効し,肝機能は改善した.急性肝障害の原因はA型肝炎ウイルス(HAV)感染と判明した.HAVのgenotypeはIIIAで,クラスターの比較からは近年の流行をみせている韓国株ではなく,南アジアで流行している株と判明した.

  • 詫間 義隆, 植松 周二, 小坂 正成, 里見 拓也, 岩堂 昭太, 岡本 良一, 水木 一仁, 山崎 理恵, 荒木 康之
    2018 年59 巻9 号 p. 488-496
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/27
    ジャーナル フリー

    66歳,男性.5年前,当院で髄膜hemangiopericytoma(HPC)に対する頭蓋内腫瘍摘出術後.近医にて経過観察されていた.今回,腹部超音波検査で肝右葉に約15 cm大の腫瘤を認め,近医より当科紹介受診.画像検査にて肝右葉の巨大腫瘍と肝全体に同様の小腫瘍が無数に認められ,多発骨転移,肺転移を認めた.第14病日に施行した肝腫瘍生検では,異型が強い短紡錘形の腫瘍細胞が錯綜しながら増殖し,細胞密度が高く核分裂像多く,STAT6陽性,Ki-67陽性細胞を高率に認め,髄膜HPCの肝転移と診断した.第45病日,低血糖発作で再入院.腫瘍の産生する高分子IGF-IIによるものと考えられ,頻回の食事摂取とprednisolone内服にて低血糖症状は緩和された.124病日,病勢進行にて永眠された.髄膜HPCは稀で,低血糖を合併しやすく,切除後も高率に再発転移するため,長期間にわたる厳重な経過観察が必要である.

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