肝臓
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60 巻 , 11 号
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原著
  • 小川 浩司, 鈴木 和治, 中井 正人, 荘 拓也, 須田 剛生, 森川 賢一, 坂本 直哉
    2019 年 60 巻 11 号 p. 397-404
    発行日: 2019/11/01
    公開日: 2019/11/05
    ジャーナル フリー

    PIVKA-IIは肝細胞癌に特異性の高い腫瘍マーカーとして知られ,診断の補助や治療効果の判定などに用いられている.今回CLIA法を測定原理としたアーキテクト・PIVKA-IIを用いて,臨床症例における有用性を検討した.慢性肝疾患患者168例(慢性肝炎29例,肝硬変28例,肝細胞癌stage1 29例,stage2 29例,stage3 26例,stage4 27例)を対象とした.保存血清からアーキテクト・PIVKA-IIを測定し,診療時に測定したルミパルスPIVKA-IIおよびAFP値と比較検討を行った.両試薬ともに,肝細胞癌のstage進行に伴って上昇し,AFPとの組み合わせによる診断精度も同等であった.両試薬の測定値は高い相関性を示した.アーキテクト・PIVKA-IIは臨床検体において従来試薬と同等の診断精度を有しており,実臨床でも有用と考えられた.

  • 焦 光裕, 榎本 大, 小谷 晃平, 小田桐 直志, 吉田 香奈子, 元山 宏行, 小塚 立蔵, 藤井 英樹, 萩原 淳司, 打田 佐和子, ...
    2019 年 60 巻 11 号 p. 405-413
    発行日: 2019/11/01
    公開日: 2019/11/05
    ジャーナル フリー

    サルコイドーシスは肺,心臓,眼,皮膚等に病変が見られることが多いが,肝臓に病変を有する症例も存在する.肝サルコイドーシスの診断はしばしば難渋することが多いが,肝機能障害が契機となり,確定診断には肝生検が有用である.今回,当院にて肝機能障害を契機に診断されたサルコイドーシスの5例を既報例と併せて検討した.頻度は中年女性に多く,多くの症例でALP異常優位の肝機能障害を認めた.治療としてステロイドやウルソデオキシコール酸が用いられたが,肝硬変へ進展し死亡する症例も認められた.組織学的に炎症が強い場合,ステロイド投与にも関わらず肝硬変へ進展する症例がある.またウルソデオキシコール酸には病状の進行を遅延させる可能性が示唆されている.

  • 中村 篤志, 吉村 翼, 長田 俊祐, 出口 愛美, 細川 悠栄, 染矢 剛, 市川 武, 奥山 啓二, 吉岡 政洋, 朝倉 均, 小川 健 ...
    2019 年 60 巻 11 号 p. 414-426
    発行日: 2019/11/01
    公開日: 2019/11/05
    ジャーナル フリー

    骨病変は慢性肝疾患患者のQOLに大きく影響する.今回CT画像を用いて慢性肝疾患症患者613例の骨密度を調査し,肝病態との関連を検討した.さらに筋量が減少するサルコペニアとの関わりについても検討した.CT診断による骨粗鬆症の頻度は30%であり,多変量解析の骨密度減少に寄与する因子は年齢,肝硬変,ALT値,筋量が有意であった.また肝硬変の予後にはMELDスコア,Alb,サルコペニアが独立した因子として関わり,Child-Pugh A/Bでは骨密度減少の有無からサルコペニアの予後に差を認めた.高齢化する本邦の肝疾患患者では骨量も重要な留意項目となり,CT画像の骨密度測定は骨病変のスクリーニングに有用と思われた.

症例報告
  • 今井 祐輔, 廣岡 昌史, 砂金 光太郎, 行本 敦, 中村 由子, 田中 孝明, 渡辺 崇夫, 小泉 洋平, 吉田 理, 塚本 大樹, 田 ...
    2019 年 60 巻 11 号 p. 427-432
    発行日: 2019/11/01
    公開日: 2019/11/05
    ジャーナル フリー

    症例は65歳女性,発熱と腹痛を主訴に前医受診.炎症反応の著明な上昇と肝外側区域に60 mmの肝腫瘤を指摘され,肝膿瘍の診断で当科紹介となり抗生剤の投与を開始した.経過中画像所見で液状化が見られず持続排膿ドレナージは困難であった.生検を行い採取組織からstring test陽性のムコイド型Klebsiella pneumoniaeが検出された.抗生剤不応で膿瘍は増大したため内科的治療では救命困難と判断し,肝左葉切除術を施行した.切除後全身状態,炎症反応は著明に改善した.ムコイド型K. pneumoniaeは高病原性であり,しばしば重症化するため早急な確定診断が必要である.本症例のようにムコイド形成により細径針での膿汁吸引が困難な場合は生検による確定診断を行うべきである.抗生剤不応例やドレナージ不能症例が多く,早期に外科的切除を検討すべきである.

  • 岩谷 慶照, 酒井 哲也, 阿見 勝也, 田中 正樹, 田淵 智美, 森本 大樹, 河野 誠之, 辰巳 嘉章, 竹長 真紀, 福岡 正人, ...
    2019 年 60 巻 11 号 p. 433-438
    発行日: 2019/11/01
    公開日: 2019/11/05
    ジャーナル フリー

    今回われわれは胃癌術後の肝転移として切除したが,病理組織学的診断は肝硬化性血管腫であった肝腫瘤症例を経験した.症例は85歳,男性.胃癌(T4a,N3,M0,stageIIIC)術後のフォローアップCT検査で肝S7に単発性の乏血性腫瘤が認められた.転移性肝癌と診断しWeekly PTX 50 mg/bodyによる全身化学療法を行ったところ縮小したが,他に新規病変が出現しなかったため肝部分切除術を施行した.病理組織学的診断は肝硬化性血管腫であった.肝硬化性血管腫は海綿状血管腫が線維化,硝子化などの退行性変化をきたした比較的まれな病態である.癌の術後に新規病変が認められた場合や遠隔転移の診断での全身化学療法施行時においても,常に鑑別を意識して画像評価を行うべきと考えられた.

  • 須永 将梧, 岡村 幸重, 堀江 知史, 亀山 尚子, 寺元 研, 東澤 俊彦, 関根 忠一
    2019 年 60 巻 11 号 p. 439-446
    発行日: 2019/11/01
    公開日: 2019/11/05
    ジャーナル フリー

    症例は52歳女性.橋本病の既往あり.急性の経過で黄疸と肝機能障害を認め,精査により自己免疫性肝炎と診断した.Prednisoloneによる治療を開始したところ,肝機能障害は改善傾向を示したが,原因不明の貧血進行を認めた.血液検査と骨髄検査から自己免疫性溶血性貧血の合併が明らかとなった.Prednisolone投与を継続したところ,肝機能障害と共に貧血も改善を認めた.免疫制御機構の脆弱性が背景としてある自己免疫性肝炎の症例では,他の自己免疫性疾患を合併しうることが報告されているが,自己免疫性溶血性貧血を合併する例は稀である.適切に診断できればステロイドを中心とした免疫抑制により治療が成功する症例が多い.また本症例では肝機能障害に遅れて溶血所見が認められており,急性発症の自己免疫性肝炎に自己免疫性溶血性貧血が続発したことが示唆された.

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