肝臓
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60 巻, 4 号
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原著
  • 宮里 賢, 豊見山 麻未, 名富 久義, 城間 裕子, 與那嶺 圭輔, 西澤 万貴, 馬渕 仁志, 金城 譲, 仲地 紀哉, 島尻 博人, ...
    2019 年 60 巻 4 号 p. 117-126
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー

    感染性肝囊胞は比較的稀な疾患とされているが画像診断の進歩により診断する機会が増加しており,当院では2009年から2018年の間に23例を経験した.今回は画像検査の所見と囊胞液の検査結果,治療経過について検討した.腹部超音波検査では22例に囊胞内のスラッジエコーを認め,腹部造影CT検査では5例に囊胞壁の造影効果を認めた.腹部MRI検査を14例に行い全例でT2強調画像での囊胞内部の信号低下を認め,拡散強調画像を追加した12例では囊胞内部や囊胞辺縁の拡散低下を認めた.囊胞液の培養は12例が陽性で血液培養も10例で陽性であり,起因菌はKlebsiella pneumoniaeが最多であった.治療は全例に抗菌薬投与と囊胞内容液の穿刺吸引または持続ドレナージを施行して11例は塩酸ミノサイクリンによる硬化療法を追加した.1例はドレナージにて改善が得られず外科手術に至ったが,最終的に全例が軽快退院した.

症例報告
  • 宮崎 勇希, 原 康之, 宮城 重人, 中西 史, 戸子台 和哲, 中西 渉, 西村 隆一, 藤島 史喜, 海野 倫明, 亀井 尚
    2019 年 60 巻 4 号 p. 127-134
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー

    症例は25歳女性.2015年1月,健康診断での腹部超音波検査にて肝S7に23 mmの腫瘤を認めた.近医で経過観察されていたが,2017年3月のCT検査で52 mmへ増大したため前医へ紹介.前医で施行した経皮的肝生検では,focal nodular hyperplasia(FNH)を第一に疑うが肝細胞腺腫も否定できなかった.その後も増大を認め,手術目的に当院へ紹介.血液検査では肝胆道系酵素の上昇はなく,腫瘍マーカー,肝炎ウイルスマーカーは陰性.画像検査上はFNHを第一に疑うが特徴的所見に乏しく,経口避妊薬の内服歴や増大傾向から肝細胞腺腫も否定できなかった.肝生検や画像検査で確定診断に至らず,肝細胞腺腫では悪性転化や出血の懸念があるため拡大後区域切除を行った.病理診断はFNHであった.増大するFNHの報告例は散見されるが,経口避妊薬内服中の若年女性における増大例は稀であり文献的考察と共に報告する.

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