全国的にB型肝炎患者の専門医への紹介率が低いことが課題である.我々は2017年2月から5月,個人の動機や思考のプロセスを探り出す手法・深層面接法(デプスインタビュー)で,非肝臓専門医に聞き取り調査を行なった.B型肝炎患者を紹介する医師は23名中14名(61%)で,内科系17名中13名(76%),外科系6名中1名(17%)と差がみられた(p=0.036).紹介しない理由に診療情報提供書を書く時間の不足・紹介方法の不識を,紹介率向上への工夫として診療情報提供書の簡素化・平易な診療予約制度をあげる医師が多かった.
この結果から当院では同年8月,短時間で記載できる「肝炎用診療情報提供書」の運用を開始した.導入後,B型肝炎に限らずC型肝炎・その他も含めた肝疾患全体の紹介患者数は前年比1.6倍に増加した.厚生労働省研究班で水平展開を試みており,データ蓄積からより効率的なシステムの構築が期待できる.
100例の肝細胞癌終末期患者を対象に,予後予測モデルの週単位(3週生存)の精度について後ろ向きに検討した.Receiver operating characteristic(ROC)解析とArea Under the Curve(AUC)より3週生存における各モデルのcut off値を選定し,予測能を感度・特異度・陽性的中率・陰性的中率・正診率を用いて評価した.Palliative Prognostic Index(PPI)がAUC 0.89,正診率80%・Biological Prognostic Score(BPS)2がAUC 0.72,正診率72%・BPS3がAUC 0.82,正診率79%・Model for End-Stage Liver Disease(MELD)スコアがAUC 0.71,正診率70%と優秀な予測能を示し,これらの組み合わせで予後予測の層別化が可能であった.
高感度HBs抗原試薬「ルミパルスプレストHBsAg-HQ」の基礎的・臨床的有用性を評価した.基本性能は良好で,B型肝炎ウイルス(HBV)genotype別希釈感度試験やセロコンパージョンパネルでの検討において,従来法(HISCL)より高感度で早期にHBsAgを検出できた.臨床検体を用いた検討では,高い特異度(99.84%,1,256/1,258)に加えて,HBV再活性化を起こした13例中9例でHISCL陰性,HBsAg-HQ陽性の期間があり,より早期にウイルスの変動を捉えることができ,3例ではHBsAg-HQによるHBsAg検出はHBV-DNA陽転より早期であった.「ルミパルスプレストHBsAg-HQ」はHBV-DNA検査と比べて安価で迅速に結果が得られる点を考慮すると,HBV再活性化の早期診断・早期治療や輸血前後のスクリーニングなど,臨床的にも幅広く活用されることが期待できる.