世界的パンデミックとなった重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は特に重症例で肝酵素上昇を引き起こす.機序としてはウイルスによる直接的な障害よりも,投与薬剤やサイトカインストーム,低酸素などの関与が示唆される.COVID-19で肝酵素上昇を認めた際は他疾患の有無を評価し,厳重な肝酵素のフォローが必要である.慢性肝疾患に合併したCOVID-19例では,基礎疾患の治療が中断されることのないよう遠隔診療や電話診療を活用し,不要不急な外来受診を控え,感染拡大防止に努める.代謝性脂肪肝疾患では肥満,糖尿病,高血圧の合併が多く,重症化のリスク要因となる可能性が示唆されている.国際学会からはガイダンスも提言されており,COVID-19と肝障害,COVID-19パンデミック下での慢性肝疾患患者のマネジメントに関してこれまでのエビデンスを概説する.
症例は45歳女性.急性骨髄性白血病に対して同種骨髄移植が行われ,移植後はタクロリムス,ステロイドによる免疫抑制療法を18カ月継続した.移植前はHBV既往感染の状態であったが,移植から38カ月後に肝機能障害,HBs抗原陽転化,HBV-DNA量上昇を認め,HBV再活性化と診断した.同種骨髄移植前後に赤血球濃厚液の頻回の輸血によりヘモクロマトーシスを合併していた影響もあり,血清フェリチン値は著明高値であった.肝生検では過剰な鉄沈着と急性肝炎の所見を認めた.ラミブジンにより治療を開始し,その後テノホビルアラフェナミドへ切り替えた.HBV再活性化とヘモクロマトーシスの関連性は不明であったが,HBV治療と鉄キレート剤により血清フェリチン値も漸減した.HBV既往感染状態での同種骨髄移植では,長期間にわたりHBV再活性化への注意が必要である.
乾癬患者ではVEGFの産生が亢進しており,切除不能肝細胞癌患者においてソラフェニブの投与により乾癬が改善した症例もあるが悪化例も報告されている.レンバチニブやラムシルマブについては実臨床での報告例はない.患者は尋常性乾癬の治療歴がある68歳女性.C型肝硬変を背景とした多発肝細胞癌に対してレンバチニブを開始した.開始後Grade 3の手足症候群ならびに乾癬の悪化を疑う所見がみられてレンバチニブを中止した.中止後皮膚症状は軽快した.ラムシルマブへ変更後手足症候群や乾癬の悪化はなく,画像所見上stable diseaseを維持しながら約6カ月治療を継続できている.ラムシルマブはVEGFR-2に対するヒト型モノクローナル抗体であり他のシグナル伝達系への直接的な作用がなく,乾癬を合併した切除不能肝細胞癌患者において乾癬を悪化させることなく治療を継続できる可能性が示唆された.
症例は75歳女性.肝硬変で経過観察中に貧血を指摘された.精査の結果,胃前庭部毛細血管拡張症(GAVE)からの出血が貧血の原因と考えられた.アルゴンプラズマ凝固止血法(APC)を繰り返し施行したが奏効しなかった.その後も断続的に輸血を必要とした.そこで,トロンボポエチン受容体作動薬であるルストロンボパグ(lusutrombopag)を投与してからAPCを施行することにした.ルストロンボパグの投与により,血小板数を増加させることが可能であり,安全に止血術を施行し得た.また,ルストロンボパグの効果は血小板の生体半減期に比べ比較的長期にわたるため,消化管出血を生じているGAVE患者に対する止血効果をも期待できるのではないかと考えられた.
We investigated the positive detection rates for hepatitis B surface antigens (HBsAg) and hepatitis C (HCV) antibodies as well as the elevation of AST and ALT in patients who were to undergo oral surgery. Our results revealed positive rates of 1.1% and 1.5% for HBsAgs and HCV antibodies, respectively. Patients older than 40 years had a higher proportion of positive HBsAg or HCV antibody results than did patients younger than 40 years. The rate of AST and ALT elevation was 7.3%. There were some missing data on viral infection in patient referral documents or interview sheets, suggesting a perception gap existed with respect to the seriousness of viral hepatitis among dental doctors and patients. These findings suggest that designating a hepatitis medical care coordinator might help not only in understanding patients' infection status but also in collaborating with hepatologists in the field of oral surgery.