症例は71歳男性.近医で胆道系酵素の上昇を指摘され,2011年6月に新潟大学医歯学総合病院消化器内科を紹介受診した.腹部CTでは,肝右葉に10 cm大の囊胞成分と充実成分からなる腫瘤が指摘され,末梢の肝内胆管拡張を伴っていた.また肝門部から大動脈周囲に多発するリンパ節腫大がみられた.肝膿瘍を併発した肝内胆管癌を考えたが,外科的切除の適応外であり,化学療法導入前の組織学的診断のため,2011年8月経皮経肝的肝生検を施行したが腫瘍細胞は認められなかった.その後肝膿瘍に対する抗生剤治療および経皮経肝的ドレナージ術を行ったが,膿瘍腔の十分な縮小には至らなかった.後日,肝病理組織から放線菌を確認し,肝放線菌症と診断して抗生剤をペニシリンに変更したところ,病変の著明な縮小を認めた.肝悪性腫瘍と鑑別を要した肝放線菌症の一例を経験したので報告する.
神経内分泌腫瘍(NET)は神経内分泌系細胞から発生し,消化器では膵,小腸,直腸,虫垂,結腸,胃などに好発するが肝原発は稀である.症例はB型肝炎感染歴のある60歳の女性.経過観察中に造影CTで肝S4に均一な早期濃染,門脈相で染まり抜けを呈し,EOB・プリモビスト造影MRIで平衡相で低信号となる径20 mm大の腫瘤を認めたため肝細胞癌の診断で肝切除を施行した.術後の免疫組織化学染色ではChromogranin A,Synaptophysin,CD56,CK7に陽性で,また他臓器に病変を認めないことから肝原発NETと診断された.消化器NETの肝転移巣に対しては新規分子標的治療薬の有効性が示されているが肝原発NETに対しては肝切除が依然として唯一の根治療法であり,自験例でも術後補助化学療法を施行せず,3年間無再発生存中である.
症例は68歳女性.XX-18年にC型肝硬変を指摘され保存的に治療されていた.XX-3年に肝細胞癌(hepatocellular carcinoma;HCC)を認め,合計3回のtransarterial chemo-embolism;TACE,さらに腫瘍再発・門脈侵襲に対して放射線治療を施行.しかし治療反応性は乏しく腫瘍は急激に転移・増大した.XX年2月食道静脈瘤破裂による失血で死亡.病理解剖にてHCCは壊死しており,残存する腫瘍はすべて神経内分泌癌(neuroendocrine carcinoma;NEC)であった.治療を繰り返すうちにHCCがNECに転化,併存するようになったと思われる.既報告例ではfirst treatmentでHCCとNECの共存例ばかりであるが,本症例のように治療の経過中にHCCにNECが合併する症例はない.貴重な症例と考え報告する.
Relative dose intensity (RDI) is the ratio between the delivered dose intensity and the standard dose. Maintaining high RDI has been shown to improve clinical outcomes in various cancers. The dose of lenvatinib was determined according to patient's weight (12 mg/day for ≥60 kg or 8 mg/day for <60 kg); therefore, RDI could not reflect the actual treatment intensity in some cases. Here, we evaluated the utility of dose intensity/body surface area ratio (DBR). The difference in PFS between patients with high RDI (≥0.67) and low RDI (p = 0.0534) was not significant, whereas patients with high DBR (≥240) showed significantly better PFS than those with low DBR (p < 0.0001). DBR may be more appropriately used in assessing the lenvatinib treatment intensity as compared with RDI.