肝臓
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62 巻 , 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
総説
  • 上嶋 英介, 祖父江 慶太郎, 村上 卓道
    2021 年 62 巻 5 号 p. 229-239
    発行日: 2021/05/01
    公開日: 2021/05/14
    ジャーナル フリー

    欧米における肝細胞癌患者の増加を背景に,肝腫瘤に対する画像診断レポートの標準化が求められてきた.LI-RADSはLiver Imaging Reporting and Data Systemの略語で,American College of Radiologyによって提唱された肝細胞癌の診断アルゴリズムである.2006年に初版が作成され,最新版 v2018ではCT/MRI,超音波に加え治療効果判定基準も含まれている.本アルゴリズムはアメリカ肝臓学会の診断基準に採用され,アメリカでは日常の読影レポートに使用されているが,本邦における認知度は高くない.本稿ではLI-RADSの概要に加え,v2018における検査・画像所見およびカテゴリゼーションについて詳細に説明する.また,LI-RADSは肝腫瘤の画像診断における国際標準になると予想されるが,現状の問題点についても概説する.

  • 西村 貴士, 飯島 尋子
    2021 年 62 巻 5 号 p. 240-250
    発行日: 2021/05/01
    公開日: 2021/05/14
    ジャーナル フリー

    肝腫瘍に対して,米国を中心として画像診断レポートの標準化が行われている.CT/MRIに続いて超音波判定システムであるUS/CEUS LI-RADSは,American College of Radiology(ACR)によって提唱された肝癌診断アルゴリズムであり,American Institute of Ultrasound in Medicine(AIUM)やAmerican Association for the Study of Liver Diseases(AASLD)でも推奨され用いられている.今後わが国でも,US/CEUS LI-RADSに基づいた肝腫瘍のカテゴリー分類,レポートの標準化に向かう方向と考えられ,米国のCEUS LI-RADSとわが国の肝癌診療ガイドラインを併せてSonazoidによる診断を追記し概説する.

レポート
  • 日本肝癌研究会追跡調査委員会
    工藤 正俊, 泉 並木, 久保 正二, 國土 典宏, 坂元 亨宇, 椎名 秀一朗, 高山 忠利, 建石 良介, 中島 収, 村上 卓道, 松 ...
    2021 年 62 巻 5 号 p. 251-299
    発行日: 2021/05/01
    公開日: 2021/05/14
    ジャーナル フリー

    第22回全国原発性肝癌追跡調査においては,2012年1月1日から2013年12月31日までの2年間の21,155例の新規症例と43,041例の追跡症例が538施設から集計された.基礎統計は,第22回新規登録症例を対象として死因,既往歴,臨床診断,画像診断,治療法別の各因子,病理診断,再発,剖検についてまとめた.第21回調査と比較し,肝細胞癌における臨床診断時の高齢化,女性の増加,非B非C肝癌の増加,腫瘍径の縮小の傾向が,治療においては切除の割合の増加,局所療法におけるラジオ波焼灼療法の増加が認められた.2002年から2013年まで新規登録症例の中で最終予後が生存または死亡となった症例(追跡不能症例を除く)について肝細胞癌,肝内胆管癌,混合型肝癌の治療法別,背景因子別生存中央値・累積生存率を算出した.肝細胞癌については腫瘍個数,腫瘍径,肝障害度,Child-Pugh分類を組み合わせることにより背景因子を揃えて,治療法別(肝切除,局所療法,肝動脈塞栓療法(TACE)),肝動注化学療法・全身薬物療法(分子標的治療)の累積生存率を算出し,また,1978年から2013年までの新規登録症例を5期に分け,累積生存率を算出した.新規登録症例数は経時的に増加し,肝細胞癌,肝内胆管癌,混合型肝癌ともに予後の改善が著しいことが明らかとなった.本追跡調査が原発性肝癌の研究および診療の進歩に役立つことを期待する.

症例報告
  • 末廣 洋介, 河岡 友和, 相方 浩, 内川 慎介, 児玉 健一郎, 難波 麻衣子, 大屋 一輝, 盛生 慶, 中原 隆志, 村上 英介, ...
    2021 年 62 巻 5 号 p. 300-309
    発行日: 2021/05/01
    公開日: 2021/05/14
    ジャーナル フリー

    79歳,男性.高血圧,高脂血症,アルコール性肝障害にて近医通院中の患者であり,この度検診目的に受けた腹部超音波検査にて肝臓に複数の異常陰影を指摘したため当院紹介となった.

    腹部超音波検査ではS8に直径30 mm,S6に直径15 mmの低エコー腫瘤を指摘した.造影CT検査においてS8,S6の両腫瘍が早期濃染を示す一方,S8は門脈相より徐々にwash outの所見を認め,S6は造影効果が平衡相まで遅延する結果となった.ソナゾイド造影超音波検査ではS8は早期濃染,S6はre-injectionにて早期濃染の所見であった.肝細胞癌の可能性を考え当院外科にて肝S8亜区域切除,S6部分切除を行った.病理組織検査ではS8の腫瘍は中分化型の肝細胞癌,S6の腫瘍は細胆管細胞癌と診断された.患者は現在12カ月無再発にて生存中である.細胆管細胞癌,肝細胞癌の合併は稀な病態であり報告する.

  • 横山 怜子, 大久保 雄介, 水谷 沙織, 中川 皓貴, 北條 紋, 鈴木 雄太, 宅間 健介, 佐藤 真司, 馬場 毅, 中野 茂, 石井 ...
    2021 年 62 巻 5 号 p. 310-315
    発行日: 2021/05/01
    公開日: 2021/05/14
    ジャーナル フリー

    症例は85歳女性,C型肝硬変合併の肝細胞癌(HCC)に対して繰り返し肝動脈化学塞栓術(TACE),体幹部定位放射線療法(SBRT)を行っていた.C型肝炎ウイルス(HCV)治療としてダクラタスビル・アスナプレビル24週投与を行い,投与終了時にHCV-RNAは陰性化したが,16週後に再燃した.そのため2回目のDirect acting antivirals(DAA)治療として,グレカプレビル・ピブレンタスビル投与を開始した.投与開始時にはChild-Pugh分類Aであり,画像上HCCを認めないことを確認していた.投与開始28日目に黄疸・肝機能障害を認め,入院にて加療を開始したものの,肝機能障害の進行,肝腎症候群に至り入院第13病日に死亡した.剖検所見では広範囲の肝線維化と腫瘍凝固壊死,癌細胞の残存を認め,代償性肝硬変であっても複数回のHCC治療歴があるなどの背景肝へのダメージが想定される場合,重篤な副作用も念頭に治療に当たるべきであることを示す一例を経験したため報告する.

  • 河本 泰治, 田中 聡司, 津室 悠, 西村 佑子, 清木 祐介, 西本 奈穂, 早田 菜保子, 宮崎 哲郎, 東 瀬菜, 別所 宏紀, 石 ...
    2021 年 62 巻 5 号 p. 316-326
    発行日: 2021/05/01
    公開日: 2021/05/14
    ジャーナル フリー

    症例はB型慢性肝炎の60歳代の女性.腹部造影CT検査で脾臓に3 cm大の占拠性病変(space occupying lesion;SOL)を認め経過観察中であった.半年後の腹部EOB-MRI検査で肝S4及びS6にSOLを認めた.脾SOLにサイズ増大はなかった.肝SOLは共に動脈相で濃染し平衡相でwashoutしたため肝細胞癌を疑い,肝切除術を行った.手術検体の病理学的評価により濾胞性リンパ腫と診断した.FDG-PETで肝臓,脾臓,胸骨傍・腹部大動脈周囲リンパ節に集積を認め,Ann Arbor分類IV期であった.化学療法を6コース行い,完全寛解を得た.その後,経過観察を続けているが無再発生存中である.B型慢性肝炎の加療中に発見された肝腫瘍で,画像検査所見上は肝細胞癌を示唆する肝脾濾胞性リンパ腫症例を経験したので報告する.

  • 柴田 昌幸, 高森 頼雪, 江川 優子, 山口 智央, 中川 慧人, 中村 めぐみ, 大江 啓史, 成田 圭, 田中 由理子, 小林 倫子, ...
    2021 年 62 巻 5 号 p. 327-332
    発行日: 2021/05/01
    公開日: 2021/05/14
    ジャーナル フリー

    症例は38歳女性.X月1日に友人との食事会でマカダミアナッツを多量に摂取した.翌日から悪心・嘔吐が出現し,徐々に倦怠感,褐色尿,皮膚黄染も伴ってきた.症状改善ないためX月9日に前医受診し,急性肝炎と診断され入院.各種ウイルスマーカーや自己抗体は陰性で,画像検査で器質的異常も認めず入院後も肝機能は増悪した.X月15日に当院転院し,PTが40%未満に低下したためステロイドパルス療法を開始したが,意識障害も出現し状態は悪化した.血漿交換および持続緩徐式血液濾過透析を施行し,計6回の血漿交換後より肝機能は正常化傾向となった.集中治療を脱し,状態が安定してから肝生検を施行したが非特異的な組織像であり,マカダミアナッツのリンパ球刺激試験を実施したところ強陽性で薬物性肝障害と診断した.治療離脱後も問題なく経過し,第46病日に退院となった.食品から劇症肝炎に至り救命された症例は極めてまれであり報告する.

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