肝臓
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62 巻, 7 号
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原著
  • 齋藤 直人, 畑中 健, 中野 佑哉, 中野 彩智, 迫 陽一, 吉田 佐知子, 蜂巣 陽子, 田中 良樹, 吉永 輝夫, 柏原 賢治, 戸 ...
    2021 年62 巻7 号 p. 393-402
    発行日: 2021/07/01
    公開日: 2021/07/08
    ジャーナル フリー

    活動性の炎症(NAS≥4)と進行した線維化(F≧2)を伴う非アルコール性脂肪肝炎(NASH)症例を,非侵襲的に同定する方法としてFibroScan-AST(FAST)スコアの有用性が近年報告された.これはASTとFibroScanで測定された肝硬度とCAPを用いて算出される.本研究では日本人におけるFASTスコアの有用性を後ろ向きに検討した.2018年4月から2020年3月まで当院で経皮的肝生検で非アルコール性脂肪性肝疾患と診断した34例を対象とした.FASTスコアが0.43のとき,感度は92.9%,特異度は75.0%で,AUROCは0.86(95% CI 0.74-0.99)で,他の非侵襲的指標と比較して最も良好であった.FASTスコアは活動性の炎症と進行した線維化を伴うNASH症例の拾い上げに有用なツールであった.さらなる症例の集積で日本人の最適なカットオフ値の確立が望まれる.

症例報告
  • 太田 隆徳, 伊藤 孝一, 杉浦 時雄, 小山 典久, 齋藤 伸治, 村上 周子, 田中 靖人
    2021 年62 巻7 号 p. 403-412
    発行日: 2021/07/01
    公開日: 2021/07/08
    ジャーナル フリー

    症例は2歳男児.母と姉と祖母がB型肝炎ウイルス(HBV)キャリアで,母と姉はHBe抗原陽性かつ高HBV DNA量(HBV DNA>7 log IU/ml)だった.出生直後に抗HBsヒト免疫グロブリンが投与され,HBワクチンが出生時,生後1,6カ月時に接種された.1歳時にHBs抗原陰性,HBs抗体333.8 mIU/mlだったが,2歳時にHBs抗原0.25 IU/ml,HBs抗体115.6 mIU/ml,HBV DNA 3.5 log IU/mlとHBV感染が成立した.直接シークエンス法による遺伝子解析により,本児,母,姉由来のHBVにワクチンエスケープ変異として知られるG145R変異とP120Q変異を認めた.母と姉が保有していた変異株が1歳以降に本児に水平感染したと考えられた.高ウイルス量HBVキャリア妊婦から出生した児では,2歳以降も継続的なフォローアップと積極的なワクチン追加接種も考慮する必要があると考えられた.

  • 長井 一樹, 山下 竜也, 玉井 利克, 寺島 健志, 堀井 里和, 北原 征明, 飯田 宗穂, 島上 哲朗, 川口 和紀, 荒井 邦明, ...
    2021 年62 巻7 号 p. 413-419
    発行日: 2021/07/01
    公開日: 2021/07/08
    ジャーナル フリー

    症例は68歳男性,2014年に交通外傷のため手術を含む集学的治療を受けた.2018年の健康診断において血清γ-GTP高値を指摘された.前医で施行された腹部CT検査で中肝静脈閉塞が疑われたため当科を紹介され2019年5月に入院した.腹部CT検査では右横隔膜ヘルニアを認め,ヘルニア門により中肝静脈が閉塞し還流領域の肝実質が高度に萎縮していた.右肝静脈にも軽度の圧排が疑われた.過去の画像を検討し,受傷直後にも認めていた軽微な横隔膜ヘルニアが経時的に増悪し,脱出する肝の容積が増えるに従って中肝静脈閉塞が生じたものと診断した.外傷性横隔膜ヘルニアに続発した肝静脈閉塞の症例はこれまでに報告がなく,胸腹部外傷後の経過観察を行う上で示唆に富む症例と考え報告する.

  • 永原 天和, 池田 傑, 星野 由樹, 松木 由佳子, 三好 謙一, 的野 智光, 杉原 誉明, 大山 賢治, 岡野 淳一, 磯本 一, 杉 ...
    2021 年62 巻7 号 p. 420-428
    発行日: 2021/07/01
    公開日: 2021/07/08
    ジャーナル フリー

    症例は22歳男性.難治性てんかんにて幼少期から小児科を通院し,複数の抗てんかん薬を服用していた.てんかん発作のため入院中であったが,下痢の精査で行った腹部CTで肝S6に腫瘤を指摘され当科を受診し,約2 cmの多血性肝腫瘍を認め,画像検査および肝腫瘍生検の結果から肝細胞腺腫(HCA)や高分化型肝細胞癌が疑われた.腫瘍の増大傾向を認めたため腹腔鏡下肝部分切除術を施行した.肉眼的には被膜のない黄白色調の充実性腫瘍であった.病理組織学的には異型性の乏しい肝細胞が索状に増生し,類洞の拡張,壁の肥厚した異常血管を認めた.免疫組織染色にてserum amyloid AおよびC-reactive protein陽性であったことから炎症性HCAと診断した.本症例は,抗てんかん薬によって生じた性ホルモン異常がHCAの発症に関与していることを示唆する貴重な症例であり,若干の文献的考察とともに報告する.

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