ミラノ基準(単発5 cm以下,もしくは3個以下3 cm以下)の肝細胞癌に対する推奨治療は,根治治療である肝切除,ラジオ波焼灼療法であり,欧米では肝移植が加わる.これら3つの治療は,侵襲度が大きく異なるため,肝予備能に加えて肝細胞癌の治療後再発を予測した慎重な選択が必要である.ミラノ基準内であっても,肝細胞癌の悪性度には差が見られるが,病理学的・分子生物学的検索で初めてわかるものから,腫瘍径や腫瘍数,画像診断等,治療前からある程度予測することが可能なものもある.腫瘍悪性度によって,各治療成績は異なってくるため,悪性度に対応した治療選択が望ましい.日本と欧米のガイドラインでは,肝移植の診療状況の違い等により肝細胞癌治療選択に若干の違いが見られる.本稿では,肝細胞癌の悪性度の評価方法を整理するとともに,治療選択に関する日本と欧米の差も含めて紹介する.
術前検査などで肝炎ウイルス検査を実施することが一般的となっている.陽性者に対する受診勧奨の施策として,電子カルテアラートシステムが普及しつつあるが,その効果は限定的との報告もある.当院では電子カルテアラートシステム導入に加え,2016年7月より非専門診療科毎の勉強会を実施,2019年7月より臨床検査技師を含む多職種連携による個別勧奨を実施してきたので,取り組みの効果を検証した.非専門診療科における陽性者への対応率は診療科毎の勉強会実施後上昇した.さらに多職種連携による個別勧奨後の対応率は92.0%と飛躍的に上昇した.受診勧奨を契機にB型肝炎20例で核酸アナログ製剤投与が,C型肝炎32例で直接型抗ウイルス薬(DAA)治療が開始された.また,DAA治療症例の受診契機として,2017年以降,院内紹介の割合が増加していた.院内受診勧奨には診療科毎の勉強会や多職種連携による個別勧奨は有用である.
81歳男性,201X年4月に肝障害を契機に当科を紹介受診した.CT検査にて肝左葉を占拠する15 cm大の巨大腫瘍を認め,切除不能肝細胞癌と診断した.原発巣が大きいため,まず腫瘍減量を目的にエピルビシン含浸球状塞栓物質による肝動脈化学塞栓療法を先行した後に分子標的薬による全身化学療法を行う方針とした.腫瘍崩壊症候群や塞栓後症候群の対策として一括での塞栓を避け,同年5,6,7月にDEB-TACEを分割施行した.治療に際して一過性の肝障害以外の有害事象は認めず,肝予備能は良好に保たれた.続いて同年8月より,腫瘍辺縁の残存病変に対し分子標的薬であるレンバチニブを開始した.3カ月後のCTによる治療効果判定では完全奏効(CR)が得られ,腫瘍マーカーはAFP,PIVKA-2ともに正常範囲となった.以降レンバチニブ継続にてCRを維持している.
症例は64歳,男性.過去の健診でビリルビン高値の指摘あり.家人に黄疸を指摘され,前医を受診,AST 1526 U/l,ALT 2058 U/lと肝障害を認め入院,ビリルビン上昇も伴っていたが,PT正常で急性肝不全には陥っていなかった.HEV RNA陽性が判明,肝生検で急性肝炎像を呈しており,急性E型肝炎として保存的加療となった.Transaminseは低下,PTも正常範囲を維持,HEV RNA陰性化したが高ビリルビン血症悪化,第75病日に転院.急性腎不全を合併,消化管出血,更に細菌性・真菌性敗血症を合併し,第169病日に死亡した.病理解剖にて,肝臓は萎縮もなく,肝細胞壊死や肝線維化は軽度で強い胆汁栓を認める所見であった.肝合成能は維持されるも胆汁うっ滞が遷延し,全身合併症により死亡したと考えられ,移植適応をどう考えていくかを含めて示唆に富む症例であり,報告する.
18歳男性.20XX年2月17日に,誘因なく突然の血便を認めたため当院を受診した.腹部造影CT検査にて著明な脾腫および側副血行路の発達と食道および胃静脈瘤を認め,静脈瘤破裂の診断で入院.緊急で行った上部内視鏡検査にて,胃噴門部にF2の赤色栓を伴う静脈瘤を認め胃噴門部静脈瘤破裂と診断した.67%NBCA(n-butyl-2-cyanoacrylate:HistacrylⓇ)の局注にて止血を行い,入院にて経静脈的逆行性門脈造影,腹部血管造影および経皮的肝生検を行い,先天性門脈体循環シャント(congenital porto-systemic shunt:CPS)と診断した.また,LmF2-3RC0の食道静脈瘤が併存していたため内視鏡的静脈瘤硬化療法(EIS)を2回行い,第27病日に退院となった.胃噴門部静脈瘤破裂を契機に診断されたCPS症例の報告は稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.
症例は8歳男児.黄疸,肝胆道系酵素上昇,および血液凝固能低下のため入院となった.肝生検にて非特異的肝炎と診断し,プレドニゾロン(PSL)投与により肝機能障害は軽快したが,PSL漸減中に腹痛,肝機能障害が再燃した.シクロスポリン併用により改善傾向が得られたが,再び肝胆道系酵素が上昇した.病理所見では門脈域の炎症と線維化が増悪し,グリソン鞘内に非乾酪性類上皮肉芽腫が認められ,血清アンギオテンシン変換酵素,可溶性インターロイキン2受容体値の上昇が認められたことから肝サルコイドーシスと診断した.ステロイドパルス療法が著効し,アザチオプリン併用による維持療法により3カ月後の追跡肝生検では,肉芽腫を伴う結節の消失を含め著明な肝組織像の改善が認められた.小児における肝サルコイドーシスの報告は稀であるが,成因不明のものが多いとされる重症急性肝炎の診療において鑑別すべき疾患の一つであることが示された.
症例は42歳男性.2015年,アルコール性肝硬変と診断された際に腹部造影CTで肝S8に8 mm大の結節性病変を指摘されていた.2018年2月,肝S8の結節性病変が14 mmと増大を認め,CTやMRIなどの造影検査で早期濃染を認め肝細胞癌が疑われた.肝S8,内側区域一部切除および胆囊摘出術が施行された.病理組織学的な最終診断は一部に浸潤癌を伴った胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)であった.局在が肝末梢であった点や慢性肝疾患を背景としている点および画像所見がIPNBとしては非典型的であり術前診断が困難であった.
症例は82歳,男性.2016年8月に初発肝細胞癌に対し拡大肝左葉切除術,2017年4月に残肝の多発再発に対し肝動脈化学塞栓療法,2018年11月に肝内の単発再発に対し経皮的ラジオ波焼灼療法を施行された.しかしその後はPIVKA-IIが経時的に上昇し,2019年10月の心エコー,心臓造影CTにて右心室内に腫瘍を認め,肝細胞癌の右心室転移と診断した.下大静脈や右心房には腫瘍を認めず,肝内再発も認めなかった.同月,レンバチニブの投与を開始し,翌11月の心エコーおよび12月の心臓造影CTでは腫瘍の縮小傾向を認めた.レンバチニブは12カ月間継続し,蛋白尿やAFPの増悪傾向,右心室腫瘍も増大傾向となったためレゴラフェニブに変更し,右心室転移の診断後14カ月の現在も生存中である.肝細胞癌の孤在性心臓転移は極めて稀で,レンバチニブの投与例もこれまで1例のみの報告であるため,貴重な症例と考え報告する.
肝原発神経内分泌腫瘍は画像診断に苦慮することが多く,肝腫瘍生検を行うことで診断されることが多い.同腫瘍の画像所見において,腹部超音波検査では不均一な高エコー腫瘤,そして腹部CT検査では単純CTで低吸収,造影CTで腫瘍辺縁部のみの濃染像として描出され,MRIではT1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号を示すのが特徴であると言われている1).
今回我々が経験した2症例は,超音波検査で低エコー腫瘤として描出され,造影CT検査で画一的な造影効果が認められなかったことから,画像診断における貴重な症例であると考え文献的考察を加えて報告する.
In developing guidelines, clinical questions (CQs) are developed, followed by a comprehensive literature search, and then, articles are selected according to clear selection criteria. In the process, the first screening is based on the title and abstract, while the second screening is based on the full text. We have developed a system for all processes of article selection deployed in a cloud storage system, which can be accessed by multiple users simultaneously. This system is equipped with management functions of reviewers, CQs, bibliographic data, and full-text documents and could monitor real-time progress and resolve discrepancies among reviewers' selection on the system, which can significantly reduce the effort required for the paper selection process.