症例は70歳男性.アルコール性肝硬変の経過中にアルコール性肝炎を合併し入院した.血尿を伴うネフローゼ症候群を呈しており,禁酒,利尿剤と栄養療法の導入により蛋白尿は改善した.顕微鏡的血尿が残存したため腎生検を実施し,血栓性微小血管障害症(TMA)と診断した.血漿ADAMTS13活性低下とvon Willebrand factor(VWF)抗原高値がみられ,肝星細胞減少によるADAMTS13産生低下がTMAの原因と想定された.ADAMTS13補充目的に新鮮凍結血漿(FFP)の投与,内皮細胞障害に対してトロンボモジュリン製剤(rTM)を開始した.FFPの漸減,中止後もADAMTS13活性の低下はみられず,腎機能が維持された.肝硬変の経過中に血尿が出現した場合,ADAMTS13活性低下とVWF抗原とのインバランスがある場合はTMAを疑い,FFPやrTMの投与を考慮する必要があると考えられた.
症例は49歳女性.急性肝不全に対して血液型不適合生体部分肝移植を施行した.術後2週間目に急性細胞性拒絶反応を疑う肝機能障害を認め,超音波(US)下肝生検を行った.その際,肝動脈の誤穿刺による腹腔内出血のため,画像下治療(IVR)によるコイル塞栓で止血した.術後4カ月目に再度,腹水貯留と肝機能障害を認めた.USで遠肝性の門脈血流と拍動性の波形がみられた.腹部血管造影検査では,肝動脈造影で門脈前区域枝が逆行性に造影され,肝内動脈門脈瘻と診断し,初回コイル塞栓部の近傍の責任動脈にコイル塞栓を行った.本症例は血液型不適合移植症例で移植直後に急性拒絶反応の既往があり,術後4カ月目に生じた腹水を伴う肝機能障害に対して拒絶反応の再燃も疑われたが,USで門脈の波形に異常を認めたことから肝内動脈門脈瘻の診断に至った.従って,肝移植後の肝生検の既往のある肝機能障害には肝内動脈門脈瘻も鑑別することが肝要である.
症例は70代女性.COVID19ワクチン2回目を接種2日後に黄疸が出現し,急性肝障害のため入院となった.各種ウイルスマーカーは陰性,抗核抗体陽性,抗平滑筋抗体陽性,IgG高値であった.肝生検組織では,肝実質に広範な壊死・炎症がみられた.門脈域にも炎症細胞浸潤がみられたが,線維化やinterface hepatitisは明らかでなかった.COVID19ワクチンに対するリンパ球刺激試験が陽性であり,当初は自己免疫機序の関与が示唆された薬物性肝障害と診断した.しかし,肝庇護療法では肝機能検査異常は改善せず,副腎皮質ステロイド投与を開始し改善した.改善後の肝生検ではロゼット形成,interface hepatitisや形質細胞浸潤が確認され,COVID19ワクチンに誘発された自己免疫性肝炎(AIH)と診断した.COVID19ワクチン投与後に発症したAIHの症例は極めてまれであり報告する.
Hepatitis A virus (HAV) can spread among family members through fecal-oral transmission. We report a case of hepatitis A transmission within a family affecting the mother (index case), father, and their three daughters. The viral sequences obtained from the father and two daughters showed a nucleotide similarity ranging from 99.8% to 100%.
Prevention of the intrafamilial transmission of HAV infection requires strict adherence to contact precautions and immunization against HAV after diagnosis of the index case, which should have been considered for this family.