肝臓
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63 巻, 5 号
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特別寄稿
  • 持田 智, 中山 伸朗, 寺井 崇二, 吉治 仁志, 清水 雅仁, 井戸 章雄, 井上 和明, 玄田 拓哉, 滝川 康裕, 高見 太郎, 加 ...
    2022 年 63 巻 5 号 p. 219-223
    発行日: 2022/05/01
    公開日: 2022/05/13
    ジャーナル フリー

    厚生労働省研究班は「Child-Pughスコアが5~9点の代償性ないし非代償性肝硬変に,アルコール多飲,感染症,消化管出血,原疾患増悪などの増悪要因が加わって,28日以内に高度の肝機能異常に基づいて,プロトロンビン時間INRが1.5以上ないし同活性が40%以下で,総ビリルビン濃度が5.0 mg/dL以上を示す症例」をacute-on-chronic liver failure(ACLF)と診断し,肝,腎,脳,血液凝固,循環器,呼吸器の臓器機能障害を基に重症度を4段階に分類することを2018年に提案した.同研究班はこの診断基準(案)に準拠する症例とこれに関連する病態の症例の全国調査を実施し,2017~19年に発症した計501例の臨床像を解析した.その結果,同診断基準(案)は肝硬変症例の中で,特に予後不良の症例を囲い込むために有用であることが明らかになった.そこで,同(案)を正式な診断基準として,今後の診療と研究に用いることを決定した.

原著
  • 藤岡 ひかり, 菊池 健太郎, 松本 光太郎, 大谷津 翔, 成山 倫之, 幸山 正, 吉田 稔, 守時 由起, 原 眞純
    2022 年 63 巻 5 号 p. 224-231
    発行日: 2022/05/01
    公開日: 2022/05/13
    ジャーナル フリー

    当院では術前・入院時の肝炎ウイルス検査陽性例にInfection Control Team(ICT)が肝炎ウイルスラウンドを行い,消化器内科への紹介依頼を電子カルテに記載している.開始初年度の検証で非専門科の医師からの紹介受診率が低いこと,中でも短期入院患者で低いことが明らかになり,向上のため2年目初頭の院内感染対策講習会でナッジを活用して呼びかけを行い,有効性を検討した.その結果短期入院例の紹介受診率はラウンド開始前14.3%(3/21),初年度31.6%(6/19)から2年目66.7%(8/12)と上昇し,開始前と比較して有意な増加を認めた(p<0.01).短期入院例を担当する非専門科の医師には,紹介依頼のカルテ記載のみではなく,ナッジにより自発的な行動変容を促すことが紹介受診率の向上に有効である可能性が示唆された.

症例報告
  • 貝塚 玄樹, 杉本 勝俊, 阿部 正和, 吉益 悠, 竹内 啓人, 笠井 美孝, 代田 夏彦, 佐口 徹, 山口 浩, 糸井 隆夫
    2022 年 63 巻 5 号 p. 232-237
    発行日: 2022/05/01
    公開日: 2022/05/13
    ジャーナル フリー

    症例は20代男性.高ビリルビン血症,広汎性発達障害で小児科通院中に腹部超音波検査で先天性門脈体循環シャントが疑われた.腹部造影CT検査で門脈左枝と下大静脈とのシャントが確認され,先天性門脈体循環シャントの中でも静脈管開存症と診断された.また3年程前から高アンモニア血症も伴っておりIVRによるシャント塞栓術を行う方針となった.シャント径が漏斗状に拡張していたため,プラグと金属コイルを併用してシャント塞栓を行った.術後経過として肝予備能・血中アンモニア値の改善が得られた.門脈体循環シャントの治療として,以前より外科的結紮術が施行されてきたが侵襲が高いことから,近年ではIVRによるシャント塞栓術が報告されている.今回我々はIVRの手技上の工夫により,短径のシャント血管を確実に塞栓することができた.

  • 内田 党央, 青山 徹, 寺井 悠二, 山口 菜緒美, 加藤 真吾, 屋嘉比 康治, 菊池 淳, 小笠原 幸子, 矢野 博久, 名越 澄子
    2022 年 63 巻 5 号 p. 238-245
    発行日: 2022/05/01
    公開日: 2022/05/13
    ジャーナル フリー

    70歳代男性.肝左葉を中心に20 cm大の腫瘤を認め,生検で低分化型肝細胞癌と診断された.Lenvatinib 4 mg/日を開始したが,AST,LDH値の上昇がみられたため8日間で投与を中止した.中止後4日目に肝細胞癌が破裂し止血を試みたが永眠された.病理解剖所見では腫瘍結節に出血・壊死が広範囲に分布していた.FGF19の高発現によりlenvatinibが癌細胞死を強く誘導した可能性を考えたが,非腫瘍部の一部に細胞質と核にFGF19弱陽性細胞がみられたのに対して,びまん性に腫瘍細胞の核にFGF19陽性所見を認めた.FGF19の細胞内局在の意義は不明であるが,腫瘍部への血流がlenvatinibの中止により再び増加し出血性壊死・破裂に至った可能性がある.腫瘍容積が大きく肝区域II,III,VIに位置する場合はlenvatinibの投与量に関わらず,投与中止後も破裂の危険性があることに留意する必要がある.

  • 松﨑 豊, 藤元 瞳, 安達 翔太, 松本 航, 雄山 澄華, 齊藤 博美, 西条 勇哉, 小豆畑 康児, 伊藤 信夫, 五十嵐 亨, 新倉 ...
    2022 年 63 巻 5 号 p. 246-254
    発行日: 2022/05/01
    公開日: 2022/05/13
    ジャーナル フリー

    50代男性.肺血栓塞栓症発症2年後に,心窩部痛と黄疸で入院した.初診時,総ビリルビン7.7 mg/dL,AST 893 IU/L,ALT 1217 IU/Lと急性肝炎様であった.ウイルス性,薬物性,アルコール性肝炎は否定され,抗核抗体320倍,抗ミトコンドリアM2抗体(AMA-M2)強陽性であり自己免疫性肝疾患が疑われた.肝生検で胆管病変や肉芽腫は無く,門脈域・小葉内の炎症性細胞浸潤やinterface hepatitis像,小葉全体の肝細胞壊死,rosette形成等の所見からAMA-M2陽性の自己免疫性肝炎(AIH)の急性発症と診断した.PSLとUDCAの併用療法で肝機能検査異常は基準値範囲内に改善した.先行した血栓症とAIHとの関係は不明である.文献的にAMA-M2陽性AIHの大多数は女性である.重大な血栓症既往のある急性肝炎様発症AMA-M2陽性AIH男性例は稀有と思われ報告する.

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