肝臓
Online ISSN : 1881-3593
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66 巻, 12 号
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原著
  • 大浦 杏子, 森下 朝洋, 矢野 莉絵, 琢磨 慧, 中原 麻衣, 田所 智子, 三村 志麻, 藤田 浩二, 谷 丈二, 小原 英幹
    2025 年66 巻12 号 p. 509-517
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/10
    ジャーナル フリー

    門脈圧亢進症(PH)合併肝細胞癌(HCC)に対するAtezolizumab/Bevacizumab(Atezo/Bev)療法が食道胃静脈瘤(EGV)に与える影響を検討した.Atezo/Bev療法を受けた79例中,PH群39例ではEGV増悪が25.6%,破裂が5.1%に認められ,Non-PH群に比して高率であった.PH群の全生存期間中央値は378日で,Non-PH群より短い傾向を示したが,有意差はなく,PHがEGV増悪の危険因子であった.EGV破裂症例はいずれも門脈腫瘍栓を合併しており,予防的処置やEGVの程度に関わらず,早期に破裂を来した.Atezo/Bev療法はPH合併例においても有用な治療選択肢となり得るが,EGV破裂は致死的合併症であり,門脈腫瘍栓を伴う症例では内視鏡的管理の強化に加え,腫瘍栓の局所制御を目的とした他治療との組み合わせも検討すべきである.

症例報告
  • 鈴木 貴也, 今井 則博, 佐原 和規, 水野 史崇, 松田 宜賢, 山本 崇文, 横山 晋也, 山本 健太, 伊藤 隆徳, 石津 洋二, ...
    2025 年66 巻12 号 p. 518-525
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/10
    ジャーナル フリー

    症例は40代女性.30代の初回妊娠時に肝硬変を指摘され,妊娠30週で帝王切開術を施行された.今回体外受精で妊娠後,下腿浮腫の増悪を認め妊娠20週で当院を受診した.妊娠前と比較し体重は15 kg増加を認め妊娠24週より入院.アルブミン製剤と利尿薬による体液調整を行ったが,妊娠25週で体重は妊娠前より31 kg増加し,総ビリルビン値3.9 mg/dL,PT活性値40%と悪化を認めたため妊娠継続は母体の肝不全リスクが高いと考え,血漿交換を3回施行した後に妊娠26週6日で帝王切開術を施行した.胎児娩出後は肝予備能の改善,体重減少を認め退院した.胎児は1,045 gで娩出,NICUにて加療を行い退院した.肝硬変合併妊娠では食道胃静脈瘤,体液過剰の治療が重要となる.特に妊娠前MELDスコアが10以上の症例においては母体および胎児の合併症リスクが高いと報告されている.

  • 矢野 莉絵, 田所 智子, 大浦 杏子, 中原 麻衣, 琢磨 慧, 藤田 浩二, 三村 志麻, 谷 丈二, 森下 朝洋, 小野 正文, 正木 ...
    2025 年66 巻12 号 p. 526-532
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/10
    ジャーナル フリー

    症例は19歳男性.3歳時に完全大血管転位,肺動脈狭窄,僧帽弁右室嵌入に対してFontan手術施行後,定期検査の腹部超音波検査で肝腫瘤を指摘された.腹部ダイナミックCT,Gd-EOB-DTPA造影MRIでは肝細胞癌に類似した画像所見を呈し,経皮的肝生検を行った.病理診断の結果,肝細胞癌は否定的であり5年間著変なく経過している.Fontan-associated liver disease(FALD)はFontan術後に起こりうる重篤な合併症の一つであるが,肝細胞癌とその他の結節の鑑別に苦慮することも多い.FALD診療における多血性肝腫瘍の診断とサーベイランスについて考察する.

  • 佐野 有哉, 有永 照子, 真田 咲子, 天野 恵介, 堤 翼, 中野 暖, 山口 真紀, 長藤 宏司, 三好 寛明, 秋葉 純, 川口 巧
    2025 年66 巻12 号 p. 533-541
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/10
    ジャーナル フリー

    症例は70歳代女性.肝移植後15年目に発症した悪性リンパ腫のために症状出現から約1カ月の経過で死亡退院となった.生前には観血的な組織採取は困難で確定診断には至らなかったが,病理解剖によりびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と診断された.発症時に上昇を認めたEBV-DNAと可溶性IL2レセプターについて,発症前1年間の保存血清を用いて早期診断への有用性を検討したが,いずれも発症前には有意な上昇は認めなかった.肝移植後のde novo悪性腫瘍は高率とされ,肝移植患者にとって重大な合併症の1つであり,原因として免疫抑制薬などの関連が示唆されるが詳細は不明である.de novo悪性腫瘍に対する取り組みとして免疫抑制薬の調整や癌スクリーニングのプロトコールの確立が望まれる.

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