自己免疫性肝・胆道疾患の臨床現場では,オーバーラップ(overlap)と総称され,異なる疾患が共存/合併する病態を経験することがある.この中でもPBC-AIH overlapは,その実態が不明で,かつ治療方針が十分に定まっていない疾患病態である.世界的にも診断と治療に定義と基準,指針がないのが現状であり,日本でも診療に不確実な状況が続いていることも予想される.このため厚生労働省難治性疾患政策研究事業「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班では,PBC-AIH overlapの概念,診断と治療についてわれわれの立場を表明し,日本の臨床現場での指針とすべく,PBC-AIH overlap診療ステートメント作成委員会を立ち上げ,今回PBC-AIH overlap診療ステートメントを作成した.
今回,日本肝臓学会企画広報委員会・薬物性肝障害ワーキンググループの活動の一環としてタモキシフェンによる肝障害に関する意識調査を行い,261名の日本肝臓学会評議員(支部評議員を含む)から回答を得た.タモキシフェン投与中の肝障害のモニタリング方法としては,2~3カ月毎の血液検査と半年~1年毎の腹部エコー検査を推奨する意見が最多であった.肝胆道系酵素上昇時の対応としては,検査値が基準上限値の2倍までにとどまる場合はタモキシフェンを継続可能と考える意見が7~8割と多く,一方で基準上限値の3倍を超えた場合は肝臓専門医への紹介を推奨する意見が約8割を占めた.また,画像検査により新規の脂肪肝や脂肪肝の増悪を指摘された場合も,7~8割の回答者が肝臓専門医への紹介を推奨していた.本調査結果が乳癌治療医と肝臓専門医との円滑な連携を促進し,タモキシフェンによる薬物性肝障害に対する診療の一助となることを期待する.
60代男性,肝細胞癌破裂に対して肝外側区域切除後.術後4カ月で門脈後区域枝,門脈臍部の腫瘍栓を伴う多発肝細胞癌再発を認め,切除不能と判断した.レンバチニブ+シスプラチン肝動注化学療法導入となるも,著明な腫瘍マーカー上昇(AFP:358,830 ng/ml,PIVKA-II:691,661 mAU/ml),腫瘍増大を認め,デュルバルマブ+トレメリムマブ併用療法導入となった.2コース施行後に免疫関連有害事象である間質性肺炎を発症したが,ステロイドパルス療法の後軽快した.腫瘍は著明に縮小,腫瘍マーカーはほぼ正常範囲まで著明に低下し,コンバージョン手術の方針となった.肝S1,4,6,7部分切除を施行し,周術期合併症なく退院した.病理学的検査所見では,S4病変の一部にviableな小癌巣を認めるも,他病変や腫瘍栓は壊死に陥っていた.術後6カ月の時点で腫瘍マーカーの上昇なく,再発病変なく経過している.