日本顔学会誌
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巻頭言
学術論文
  • 太田 碧
    2024 年 24 巻 1 号 p. 3-12
    発行日: 2024/12/26
    公開日: 2024/12/26
    ジャーナル フリー

    複数の顔を合成した平均顔は魅力的である。その合成に要する顔の数が多いと個の顔と比較して更に魅力的であるとされている。一方で、大きい目など示差性の高い顔もまた魅力的である。本研究の目的は、誇張された相貌特徴をもつ男女主役アニメキャラクターの顔においても人間の顔と同様に平均顔が魅力的であるのか、平均化によってその特徴を失うことで魅力や主役らしさも失ってしまうのかを明らかにすることである。合成に使用するキャラの顔画像の数が2枚・4枚・8枚・16枚・32枚と異なる平均顔を刺激として作成し、それらの魅力度・主役度・脇役度に違いがあるのかを検討した。多重比較の結果、男性キャラには有意な差が見られず、女性キャラの顔では2枚の平均顔が4枚・8枚よりも魅力的で主役度が高く、合成の使用枚数が多いほど魅力的・主役らしさが低い等の特定の方向への傾向はなかった。しかし女性キャラにおいて最も多くの顔を合成した32枚の平均顔は、個々の顔と比較すると魅力度が高い傾向にあった。男女キャラともに魅力度と主役度には正の相関がみられ、主役度と脇役度には負の相関がみられた。更に主役らしさと脇役らしさを相貌の何らかを手がかりとして判断している可能性が示唆された。

  • 中川 登紀子
    2024 年 24 巻 1 号 p. 13-23
    発行日: 2024/12/26
    公開日: 2024/12/26
    ジャーナル フリー

    近年、日本人女性の多くがヘアカラーリングを行うようになった。髪色は第一印象を大きく変えるが、肌色や髪型に相応しい髪色についてはほとんど研究がなされていない。本研究は、髪型・肌色と髪色の似合いの関係を明らかにすることを目的とし、2種類の髪型(ボブ・ロング)、7色の肌色(平均顔の肌色・低明度・高明度・赤み・黄み・低彩度・高彩度)、5色の髪色(4レベル・8レベルブラウン・8レベルナチュラル・12レベルブラウン・12レベルナチュラル)の組み合わせによる刺激を作成し、似合いの評価を行った。その結果、髪型や肌色に関わらず、4レベルが似合い、12レベルが似合わないと判断される傾向が示された。この似合いやすさの傾向に従った範囲内ではあるが、髪型や肌色も髪の似合いに影響を及ぼし、ボブや高明度の肌では8レベルは4レベルとほぼ同様に似合うと評価されることが示された。4レベルが似合うと評価されやすい要因には単純接触効果などが、また肌色が髪色の似合いに影響を及ぼす要因としては対比や調和などの配色による効果がはたらくと考えられる。

  • 渡部 草太, 長谷川 誠
    2024 年 24 巻 1 号 p. 24-33
    発行日: 2024/12/26
    公開日: 2024/12/26
    ジャーナル フリー

    日々の生活習慣改善によるニキビ予防効果や顔におけるアクネ菌の状態を、生活者自身が評価できるようにするため、可視光で撮影された顔画像のみからアクネ菌を可視化する技術を検討した。皮膚科学分野で用いられる紫外光によるアクネ菌可視化技術に、工学分野で用いられる深層学習技術を応用した。顔に紫外光と可視光を照射して撮影した画像をペアにし、画像間の特徴を深層学習モデルに学習させた。学習効率を向上させるため、ペア画像の切り出し手法および紫外光画像におけるアクネ菌発光箇所の強調手法を検討した。検討の結果、特殊な機器を用いず可視光画像のみからアクネ菌を可視化する深層学習モデルを確立した。本モデルの活用によって、より良い生活習慣づくりを通したニキビ予防を実現し、生活者が顔に自信を持てることによってQOL向上に貢献できると期待する。

研究ノート
  • 佐藤 彰紘, 館岡 周平, 廣瀬 里穂
    2024 年 24 巻 1 号 p. 34-43
    発行日: 2024/12/26
    公開日: 2024/12/26
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究は、異なる2種類の舌トレーニングが喉頭位置やデコルテ面積などの顔貌に変化を与えるかについて明らかにすることを目的とした。

    【方法】スノーボールサンプリングを用いて40-59歳の女性を募集し、応募があった27名を研究参加者とした。研究参加者はランダムに2種類の舌トレーニング群(舌トレーニング用シートグミ使用:シート群、器具を用いたレジスタンストレーニング:レジトレ群)に分けた。研究参加者には事前・事後検査として、舌圧・喉頭位置・デコルテ面積を測定した。事前検査後の60日間、各家庭で1回2分程度の舌トレーニングを1日2回、毎日研究参加者に実施してもらった。事後検査はトレーニング終了翌日に行い、その際はトレーニングの実施状況も提出してもらった。分析は、各群における検査項目のトレーニング前後比較、また、シート群とレジトレ群の各検査項目の変化率について群間比較を行った。

    【結果】トレーニングの前後比較では、舌圧がレジトレ群のみ有意に向上、喉頭位置は両群ともに有意に上昇、デコルテ面積はシート群のみ有意に減少した。各指標の変化率は両群間に有意な差を認めなかった。

    【結論】舌トレーニングは相対的な喉頭位置を挙上させ、トレーニング方法によってはデコルテ面積を減少させるため、顔貌に影響を与える可能性がある。

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