日本火災学会論文集
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50 巻, 2 号
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論文
  • 中川 祐一
    2000 年 50 巻 2 号 p. 41-48
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/06/28
    ジャーナル フリー
    本稿では,火災による多環芳香族炭化水素の排出とその毒性,特に環境・健康影響に関する研究動向について,ダイオキシン類の排出との比較に焦点を当てながら概説した。特にドイツにおけるトンネル内車両火災実験時や各種実火災後に採取された煤及び残灰試料中の塩化ダイオキシン類及び多環芳香族炭化水素の分析結果から,火災による粒子状排出物に含まれる多環芳香族炭化水素の発がんリスクはダイオキシン類以上に大きい可能性が示唆される点を紹介した。
    (オンラインのみ掲載)
  • -広島県竹原市の林野火災を例として-
    小泉 俊雄, 家城 啓輔
    2000 年 50 巻 2 号 p. 49-62
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/06/28
    ジャーナル フリー
    1994年8月11日,広島県竹原市に林野火災が発生した。火災は一旦鎮圧されたものの,台風による強風と干ばつのため再燃した。鎮火までの間に378haを消失し,損害額はおよそ5億円に達し,損害額では日本最大規模の林野火災となった。著者らは先に1993年4月の群馬県万場町で発生した林野火災を例にとり,局所地形の影響を考慮した林野火災の被害区域予測法を提示した。本論文は,竹原市で発生した林野火災をもとに,前論文で提示した手法に新しい知見を加え,手法を発展させ,精度の向上を図ったものである。新たに取り入れた解析項目は,(1)風向,風速を詳細に設定し,風向,風速の変化に対応した解析を試みた,(2)地形因子の抽出法に工夫,改善を加えた,(3)より詳細な数値地形データを用いた解析を行った,(4)林相の情報を解析に取り入れた である。これらの結果,前論文と合わせて,本手法の有効性が確かめられた。
    (オンラインのみ掲載)
  • 芦澤 清美
    2000 年 50 巻 2 号 p. 63-70
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/06/28
    ジャーナル フリー
    AC100Vを印加したコンセントの刃受と差込プラグの刃(いずれも2極)との接触不良の発熱による差込プラグの熱劣化から発火までの過程を,実験研究し,新たな発火機構について述べた。接触不良の発熱により,差込プラグ絶縁物のPVCの表面及び内部が熱劣化する。激しく熱劣化したPVCは熱分解により脱塩酸し,さらに含有カルシウム分と反応して吸湿性の強い塩化カルシウムを生成する。この熱劣化により両刃間の絶縁抵抗は105Ω程度に低下し,その後放置するとPVC表面及び内部の吸湿によりさらに103Ω程度に低下することが判明した。この過程を経て絶縁抵抗が低下した差込プラグを用いて発火実験を行ったところ,103Ω程度に低下すると発火危険性のあることを示した。
    (オンラインのみ掲載)
  • 李 義平, 大谷 英雄, 松原 美之, 関 勉, 長谷川 秀夫, 今田 修二, 矢代 勲
    2000 年 50 巻 2 号 p. 71-80
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/06/28
    ジャーナル フリー
    大部分の出火箇所には電気溶融痕が存在し,その電気溶融痕は出火原因を解明する大きな手がかりになる可能性がある。これらの溶融痕が火災の原因になったもの(1次溶融痕)か,火災の炎によって生じたもの(2次溶融痕)かを識別する手法はいろいろ検討されてきたが,巻き込み炭化残渣による判別方法についてはほとんど検討されていない。そこで,本研究では,ビニル平行コードを用いて1次溶融痕と2次溶融痕を作製し,巻き込まれている炭化残渣中の炭素の結晶構造を分析することによって,1次・2次溶融痕の判別が可能かどうかを検討した。その結果,1次溶融痕の中にはグラファイト化炭素とアモルファス炭素が巻き込まれているが,2次溶融痕の中にはアモルファス炭素しか巻き込まれていないことがわかった。
    (オンラインのみ掲載)
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