出火した箇所には,プラグの差刃やコンセントの刃受に溶融痕跡が存在する場合がある。これらの溶融痕跡は,火災原因調査の際,発火(出火)原因を解明する大きな手がかりになる可能性がある。これらの溶融痕跡が出火時(1次的)に生成されたものか,火災による短絡により2次的に生成されたものかの判別方法を確立するため,実験的に1次・2次溶融痕跡を作製してどのような差があるか検討したところ,以下の結果が得られた。
1)両刃溶断は1次痕・2次痕とも生じるが,片刃溶断,両刃溶融塊は1次痕にしか生じなかった。
2)1次痕のDAS(Dendrite Arm Spacing)と2次痕のDASには明らかな差があり,1次痕では3. 5~14. 0μm,2次痕(生成時の雰囲気温度:450℃~950℃)では,24.5~56.8μmであった。
3)したがって,溶融痕跡中のDASが測定できる場合は,溶融痕跡の生成時の雰囲気温度の推定ができ,1次痕か2次痕かの判別が可能になる。
(オンラインのみ掲載)
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