日本火災学会論文集
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51 巻, 2 号
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論文
  • ―火炎が天井に接炎しない場合―
    岡 泰資, 栗岡 均, 佐藤 博臣, 須川 修身
    2001 年 51 巻 2 号 p. 55-66
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    縦流式換気方式を採用したトンネル内での火災性状を把握するために,トンネル断面の縦横比が1:1~1:3の3種類の模型トンネルを用いた火災実験を行った。実験結果を基に,傾斜した火炎の有効高さに関する実験式を導いた。さらに,著者等が自由空間において傾斜した火炎の有効高さを変数として組み込んだ火炎傾斜角度予測式を導いた際に採用した手法を,トンネル内での火炎傾斜現象に適用し,実測値との比較から実験定数を決定した。導出した関係式と既存の自由空間での関係式を比較し,トンネル空間での火炎特性について述べた。
    (オンラインのみ掲載)
  • 田村 裕之, 田中 弘, 野村 愼太郎, 河関 大祐, 山下 邦博
    2001 年 51 巻 2 号 p. 67-74
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    文化財建造物の屋外や屋内に感知器を設置しようとしたときの非火災報原因を明らかにするため,5棟の文化財建造物に,熱/煙/炎の感知器や気温/湿度/気圧/風速の気象センサーを取り付け,1年間データを収集した。その結果,低気圧の通過や強風,朝日の差し込み,稲光りなどの気象現象の他に,防虫や腐敗防止のための燻煙による煙,ハロゲンランプの光や木漏れ日,溶接の火花などが非火災報原因になることが分かった。
    (オンラインのみ掲載)
  • 李 義平, 大谷 英雄, 関 勉, 長谷川 秀夫, 今田 修二, 矢代 勲
    2001 年 51 巻 2 号 p. 75-81
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    火災統計によれば電気火災は年々緩やかな増加傾向にある。その中でも短絡によるものが多い。電気コードなどの短絡の要因はいろいろあるが,熱劣化による短絡は主な原因の一つである。(1)被覆の温度がジュール熱などにより急に上昇して短絡する場合と(2)脱塩酸反応をする温度以上ではあるがすぐには短絡しない温度で長時間の熱劣化により短絡する場合とのメカニズムを検討したところ,以下の結果が得られた。1)ビニル平行コードは,放熱不良がなく直線上に伸ばした場合は分岐遮断器の定格電流(20A)の負荷以下では短絡までは至らないが,束ねると分岐遮断器などの保護設備とは関係なく,コードの許容電流程度の負荷でも短絡する。2)ジュール熱により被覆の温度が急に高くなって数分以内に短絡する場合は,被覆の軟化・溶融による線間接触により短絡する。長期間の熱劣化による短絡は,被覆自体の絶縁抵抗の低下により短絡する場合と,吸湿性のCaCl2の吸湿により短絡する場合がある。3)熱劣化過程で発生するHClと充填剤として添加されているCaCO3が反応して吸湿性を有するCaCl2が生じてから,吸湿して短絡するメカニズムが考えられ,CaCl2の生成は定量的に確認可能である。
    (オンラインのみ掲載)
  • ―火災室内の高温層温度と排煙効率の予測法―
    渡部 勇市, 松島 早苗, 山田 常圭
    2001 年 51 巻 2 号 p. 83-94
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    加圧防排煙時における出入り口の遮煙風速を調べるために天井高さを2m~3mに想定した2/5縮尺の中型火災室模型を用いた火災実験を行った。出入り口の遮煙風速を予測するためには,火災室内の高温層温度の予測式を求める必要がある。高温層の温度,排気温度の測定結果を基に排煙効率を調べ,排気による失熱等を考慮した高温層温度の予測方法について研究した。その結果,加圧防排煙時における高温層温度の非定常簡易予測式が得られた。
    (オンラインのみ掲載)
  • ―間欠火炎領域におけるプリューム流量を基にした高温層下端高さの予測方法―
    渡部 勇市, 松島 早苗, 山田 常圭
    2001 年 51 巻 2 号 p. 95-104
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    出入り口の遮煙風速を予測するためには,火災室内の高温層下端部の高さを予測する必要がある。火炎が天井に達するような火源規模で実験を行い,火炎先端が高温層に貫入するような間欠火炎領域でのプリューム流量を基に高温層下端高さの予測方法について研究した。その結果,Heskestadの間欠火炎領域におけるプリューム流量の式を用いることにより高温層下端高さを予測することができた。
    (オンラインのみ掲載)
  • 李 義平, 大谷 英雄, 関 勉, 長谷川 秀夫, 今田 修二, 矢代 勲
    2001 年 51 巻 2 号 p. 105-113
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    出火した箇所には,プラグの差刃やコンセントの刃受に溶融痕跡が存在する場合がある。これらの溶融痕跡は,火災原因調査の際,発火(出火)原因を解明する大きな手がかりになる可能性がある。これらの溶融痕跡が出火時(1次的)に生成されたものか,火災による短絡により2次的に生成されたものかの判別方法を確立するため,実験的に1次・2次溶融痕跡を作製してどのような差があるか検討したところ,以下の結果が得られた。
    1)両刃溶断は1次痕・2次痕とも生じるが,片刃溶断,両刃溶融塊は1次痕にしか生じなかった。
    2)1次痕のDAS(Dendrite Arm Spacing)と2次痕のDASには明らかな差があり,1次痕では3. 5~14. 0μm,2次痕(生成時の雰囲気温度:450℃~950℃)では,24.5~56.8μmであった。
    3)したがって,溶融痕跡中のDASが測定できる場合は,溶融痕跡の生成時の雰囲気温度の推定ができ,1次痕か2次痕かの判別が可能になる。
    (オンラインのみ掲載)
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