一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第54回大会
選択された号の論文の401件中1~50を表示しています
  • 菊地 篤子
    p. 1
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、乳児保育に携わる人々の関係の在り方を考え、担当者、支援者という語を用いて、心理相談員としての関わりと育児体験に基づきその役割を分析し、相互関係を検討する。その結果、まず担当者とはある場で主となり保育をする者、支援者とはそれを支える者をいう。支援の方向性や形は様々で場合によっては「弊害」となる可能性がある。担当者は自らの保育のスタンスを持ち、主体性を持って支援者と関わることが望ましい。両者には相互性があり、「支え合い」ということができる。両者の信頼関係の形成を前提に、実際場面に即する有効な支え合いのシステムを検討する必要性が明らかになった。
  • 柴坂 寿子, 倉持 清美
    p. 2
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    園において子どもは他の子どもから、ある行動を取るように、あるいは逆にある行動をしないように指示されることがある。特に、二人の子どもの間で、ある時期、一方向的にこうした行動コントロールが繰り返されることがある。本研究ではこうした仲間関係に子どもがどのように対応していくのか、事例から検討した。2年間に渡り行った幼稚園の観察資料から、3組の女児間の関係を取り上げ、行動コントロールへの対応を分析した。行動コントロールには反発が起きやすく、言葉で反発したり、距離を取ったりする様子が見られた。また相手に逆に行動コントロールを向けて、関係が一方的でなくなるという変化が見られることもあった。
  • 若井 希水子, 一棟 宏子
    p. 3
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    本報は2000年7月次世代の家庭を担う女子大生(有効回答122件、回収率95.3%)にアンケート調査を実施、家族の交流の実態とその評価を求め、理想の家族像とその意識について報告する。(1)家事を手伝う学生は結構多いが、家事が家族交流を推進するかたちにはなっていない。(2)家庭の役割として「心の安らぎ」が求められているが、家庭では一人で行なう行為が多く、家族で行なう行為は少ない。特に、父親とは話をする機会も少なく、母親と比べて交流に隔たりがあるが「うまくいっている」と評価、満足度は高い。現在、家族関係は距離感を持ったつながりの「緩系化」が望まれ、絆を深めるつもりはないようにみえる。しかし、人間関係の質的側面の充足は、行為を共にすることで理解が深められていくのではなかろうか。
  • —場面に対する自発反応を手がかりとして—
    岩崎 恭枝, 岡野 雅子
    p. 4
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、大学生を対象として、子どもとのかかわり場面を描いたイラスト面を提示し、それに対する自発反応を手がかりとして、幼児をどのように捉え、かかわろうとしているかについて探った。その結果、受容的友好的行為を伴うプラス反応が6∼8割と多く、拒否的なマイナス反応は3∼13%と少ないが、多くの場面で女子の方が男子に比べてプラス反応が多い。「子ども嫌い」は7%にすぎないが性差は認められず、プラス反応が少なくマイナス反応が多い。1/3の学生は中学生·高校生の時に保育実習体験があるが、「体験有り」群と「体験無し」群の間に差はない。したがって、幼児からの直接的接近場面では、受容的友好的反応と拒否的反応に比較的分かれるようであり、子ども嫌いの場合には拒否的反応が強まる傾向が認められる。
  • 塚田 絵理奈, 村上 知子
    p. 5
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    平成13年12月、釧路市の小学校5年生(1323名)を対象に、たべもの選択の意識と実態に関する質問紙調査を行った。小学生にとって身近なおやつ(市販のお菓子)10品目を選ぶときに重視している上位3項目は、いずれも「味」、「値段」、「量」の順であった。小学校家庭科調理実習で取り上げられている野菜類やじゃがいもを選択するときの視点は、「見た目」と「産地」が多かった。食品の安全性に関わる用語の認識度は「加工食品」37.4%、「品質表示」18.7%、「食品添加物」10.4%、「有機栽培」39.4%、「輸入食品」76.0%であった。輸入食品の認識度については家の人とたべものの話をする機会や、テレビ·新聞でニュースを見る頻度が多い児童に高い傾向が見られた。
  • 小林 美佳子, 荒木 順子, 市丸 雄平
    p. 6
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    臨床栄養学実習における治療食献立の評価プログラムを、コンピュータを用いて開発した。Microsoft ExcelおよびVisual Basic for Applicationを用いて献立作成支援プログラムを独自に開発し、それを用いて慢性膵炎の治療食の献立作成演習を行った。次に、プログラムに献立作成上の問題点を指摘する機能を組み込むため、学生の献立中に認められた問題点を分類し、献立評価の定量化を試みた。献立中の問題点を分類することにより、献立作成における問題点を定量的に把握すること、献立作成時に学生に促すべき注意点の把握が可能であることが明らかとなった。
  • 後藤 郁子, 田尻 美千子, 潮田 ひとみ
    p. 7
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    高校生の制服に関する被服管理の現状を把握し、適切な衛生意識の向上と改善につながる教材の開発を目的として、衛生意識と被服管理に関する調査·研究を行った。公立高校生103名を対象とし、質問紙法によって調査した。制服の着方、アンダーウェア着用の有無、洗濯の頻度などの実態をもとに生活習慣との関連性を明らかにした。高校生の衛生に対する意識は高いものの、被服管理を保護者任せにしているものが多く、適切な被服管理行動は取れていなかった。着用者の実態を踏まえた上で適切な被服管理方法を提言する必要があることがわかった。
  • 田尻 美千子, 後藤 郁子, 潮田 ひとみ
    p. 8
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    高校生の衛生意識をもとに、制服のカッターシャツとブラウスに注目し、アンダーウェアの着用の有無によって衛生状態に違いがあるかどうかを調査した。また、衛生状態と被服管理との関係についても検討した。フードスタンプ法を用いて、制服のカッターシャツ·ブラウスの襟内側、袖口、腹部·背部の4点の細菌数を調査した。汗や皮脂の付着と細菌数との関連を明らかにするために、未着用ブラウス、洗濯後ブラウスに対してもフードスタンプ法による測定を行った。その結果、ヨゴレを視覚的に表すことのできるフードスタンプ法は、被服管理の正しい方法を理解させるために有効な教材となり得ることが明らかになった。
  • —初等教員養成系学生の場合—
    米今 由希子
    p. 9
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    初等教員養成系の学生177名を対象に、質問紙法によりアンケート調査を行った。アンケート内容は、家庭科の授業について各領域ごとに教育内容を挙げ、学んだ経験·興味を持った内容·興味を持てなかった内容·生活に役立つ内容についての回答を得た。結果は興味を持った内容は調理·被服製作などが多く、実践的学習活動という教科の独自性を示していた。また、生活に役立つ知識や技能を得られた内容は、栄養、調理、日常食の調理、野菜や卵の調理、米飯·みそ汁·サンドイッチなどの調理と、食物が目立ち栄養以外は調理であった。また、ボタン付け·手縫い·ミシン縫いの回答も多く、被服に関しては基礎的な技能の習得が生活に役立つと考えられていることがわかった。
  • 沈 惠芳, 市丸 雄平, 小林 美佳子
    p. 10
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    目的:胃電図により胃の動態を正しく解釈するために、胃電図と生理情報(胃電図·心電図·脳波·血圧)同時記録、解析するシステムの構築を試みた。対象と方法:健常女子5名を対象とし、胃電図、脳波、心電図、血圧を同時記録した。胃電図の解析は最小自乗余弦スペクトル法を用い、胃電気現象の出現時間を求めた。結果:脳波、心拍変動、血圧および胃電図の振幅および平均周波数を時系列的に描画することが可能になった。胃電図は、20秒前後の周期成分と呼吸成分が混在の部があり、定常的には認められず、胃電図振幅の変化も認められた。胃電図と他の生理的パラメータの同時解析により胃電図変動と自律神経および脳波活動の関連性の有無を明らかにすることが可能になった。
  • 前田 敦子, 中森 千佳子
    p. 11
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    地域通貨の参加者は、貨幣経済とは異なった経済システムで、人と人を結びつける「関係の媒体」という貨幣のもともとの機能を体験することになる。そこで、本研究では、地域通貨を例に経済システムのありようが生活者の意識と生活の質に及ぼす影響を明らかにすることを目的にする。まず、第1報では、地域通貨の実践地域での現状と地域通貨参加者の意識の変化について調査した結果を報告する。調査は、日本を代表する地域通貨であるおうみ(滋賀県草津市)とクリン(北海道夕張郡栗山町)の運営グループ関係者と参加者を対象に、2000年7月∼11月に面接法による聞き取り調査を実施した。参加者の意識の変化は、(1)金銭意識の変化、(2)無償労働の評価と自分の能力の再確認、(3)人間関係の重視、などにみられた。
  • 小倉 史子, 小川 睦美, 福場 博保
    p. 12
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    現在、カロチノイド代謝研究は、血中カロチノイド·レチノール量が主流で代謝産物である糞便に関する報告はほとんどない。そこで本研究は、被験者を募り、身近なカロチノイド源であるキャロットジュース(C)、トマトジュース(T)を14日間、連続飲用(1日2本)してもらい、飲用前、飲用終了直後、飲用終了3週間後の計3回の血中、糞便中カロチノイド、レチノールについてHPLCによって、同定、定量を行なった。さらに血中脂質、腸内細菌叢の影響も観察した。血清カロチノイド分析はC群、T群ともジュース飲用に伴い、β-カロチン、リコピンレベルが上昇した。糞便中カロチノイド分析はC群でβ-カロチン、リコピンの排泄量が増加した。血中脂質、腸内細菌叢への影響は認められなかった。
  • 森 みどり, 長谷川 昇
    p. 13
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    (目的)本研究では緑茶の抗酸化作用に着目し、脂肪合成過程において粉末緑茶添加が細胞内トリグリセライドとSOD活性の経時的変化にどのような影響を及ぼすかを調べる目的で行った。(結果·考察)粉末緑茶とインスリンを添加した細胞におけるSOD活性はインスリンのみ添加した細胞より高値を示し、日数経過ごとに増加した。トリグリセライドの値はインスリンのみを添加した細胞が粉末緑茶を添加した細胞より高値を示し、日数経過ごとに増加した。これらのことから粉末緑茶は細胞中のSOD活性を増加させるため、脂肪合成過程を抑制するのではないかと考えられる。
  • 片山(須川) 洋子, 藤永 奈都子
    p. 14
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    健常者71名を対象に難消化性デキストリンを含有する粉末飲料の摂取による便性への影響について検討した。試験食として難消化性デキストリンを2.0g含有する粉末飲料(4.3g/1包)を、対照食として難消化性デキストリンをマルトデキストリンに置き換えた粉末飲料をそれぞれ2週間ずつ摂取させるシングルブラインド·クロスオーバー試験により実施した。試験期間中、便性についてのアンケート調査を行い、対象者を便秘傾向者、通常排便者、多排便傾向者に分類して検討した結果、試験食摂取期間における便秘傾向者の排便回数ならびに排便量は有意に増加した。また、対象者のうち42名に各期間中3日間の食事調査を行ったところ、便秘傾向者の食物繊維摂取量は有意に少なかった。
  • 田中 順子, 柴尾 知志和, 田原 モト子, 山本 由喜子
    p. 15
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    女子学生の骨量と食生活, 栄養摂取, 運動状況等の関連を検討した。その結果, 女子学生の音響的骨評価値(OSI)と現在の栄養素摂取量との間には相関がなく, 現在の体位や運動量, 過去の運動量とも相関が見られなかった。月経との関連では, 初潮年齢が低い人でOSIが高い値であった。また骨量と主要食品の摂取頻度·嗜好度との関連を検討した結果, 牛乳·乳製品の現在ならびに過去(小学生∼高校生)の嗜好度および摂取頻度との間に相関が見られ, 現在ならびに成長期における牛乳·乳製品の摂取が骨量に影響することが示唆された。また小魚の摂取頻度との間にも相関が認められた。
  • 飯沼 恵美, 塚本 幾代
    p. 16
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    マウスの大腿骨を採取し、DME培地(対照群)、あるいはH2O2(1mM)、Asc(100μg/ml)を添加したDME培地で培養した。48時間培養後、H2O2存在下ではアルカリホスファターゼ(ALP)活牲は対照群の約70%に減少し、酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP)活性は約170%に増加し、Ca量は約90%に減少した。一方、Asc存在下ではALP活性は対照群の約130%に増加し、TRAP活性は約80%に減少し、Ca量は約120%に増加した。即ち、酸化的ストレスによる骨形成の抑制と骨吸収の促進が示唆された。又、リポポリサッカライド(10μg/ml)による骨代謝抑制、デキサメタゾン(0.1μM)による骨代謝亢進が認められ、本アッセイ系が骨代謝に直接的に影響する因子を評価するのに有効であることが判明した。
  • 飯田 絵梨子, 後藤 明日香, 塚本 幾代
    p. 17
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    ラットにエタノール1mlあるいは、2ml/kg.B.W.を投与し(A1, A2)、24時間後に、血液と大腿骨を採取し、血清と骨のアルカリホスファターゼ(ALP)活性、酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP)活性、カルシウム(Ca)及び骨のヒドロキシプロリン(HyP)量を定量した。血清中のALP活性は、A1, A2群で対照群の約50%、40%に減少したが、TRAP活性は、対照群との差異は認められなかった。大腿骨中のALP活性は、A1, A2群で、対照群の約60%、50%に減少し、Ca量は、A1, A2群で対照群の約80%、70%に減少した。骨のTRAP活性とHyp量にはエタノール投与による差異がなかった。即ち、エタノールは、骨のALP活性を減少し、骨形成活性の阻害によって骨のCaの減少をもたらすことが示された。
  • 中田 理恵子
    p. 18
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    葉酸欠乏過程における組織中のホモシステイン(Hcys)濃度の変化を明らかにするとともに、過酸化および抗酸化物質の動態を検討した。ラットを葉酸欠乏群と対照群に分け、一定期間飼育後、血液と肝臓、腎臓、心臓、脳を採取し、葉酸誘導体とHcys, ビタミンC, TBARS, グルタチオン量を定量した。Hcys濃度は、血漿では欠乏間始2週目から、肝臓, 心臓では4週目から対照群に対して有意に上昇した。TBARSは、肝臓と心臓において有意に上昇した。ビタミンC量は血漿, 肝臓, 腎臓, 心臓において、グルタチオン量は肝臓において有意に減少した。脳では、いずれの値も対照群と有意差が認められなかった。葉酸欠乏により、脳を除く血漿, 肝臓, 腎臓, 心臓でHcys濃度が上昇し、それに伴う酸化ストレスの亢進が示唆された。
  • 鵜飼 光子, 小又 祐子, 畑井 朝子
    p. 19
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    目的 日本の若年者の栄養問題では、女子の体重コントロールや「やせ」願望は強く栄養不良が指摘されている。本研究では若年者の食物摂取実態とライフスタイルについて民族と性の差異から検討した。方法 2000年10月∼2001年7月に北海道教育大学教育学部函館校の学生231名と、姉妹校のオーストラリアシドニー工科大学及びカナダセントメリーズ大学の学生100名を調査の対象とした。調査方法は自記式質問紙法を用いたアンケート調査である。結果 BMIが標準域にある者の割合は民族差はなかったが、性差は認められ、女子ではいずれもBMI標準域の者が少なかった。学生のライフスタイルは日本人学生は一人暮らしの者が75%以上であるが、外国の学生では家族と同居している者が多かった。食事回数は日本人では3回食が約40%、外国人は70%以上であり、ライフスタイルとの関連が認められた。日本人の方がスタイルの満足度は低く、太っていると自己評価する者が多く、民族差が顕著であった。体重コントロール願望は男子よりも女子の方が強く、性差が認められた。
  • —フードバランスシート(FAO)および女子大生を対象とした栄養摂取量調査から—
    イレイ ベロニカ, 赤松 香奈子, 坂本 裕子, 三好 正満
    p. 20
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    目的:民族的、文化的に異なるアルゼンチンと日本において両国の食料供給状況と栄養摂取量を比較し、特にカルシウムの摂取量とその摂取源について詳しく検討した。方法:2国のFAOフードバランスシートに基づき、1984年、1991年、1998年の主要栄養素の供給量を両国の食品成分表を用いて各々算出し、また奈良とブエノスアイレス両都市の女子大生の食物摂取パターンおよび栄養素量を比較した。結果:カルシウム供給のみ両国ともにRDAに対して不十分であり、アルゼンチンの供給が主に乳·乳製品からであったのに対し、日本では魚·豆からも供給されていた。両市の学生の栄養摂取量はRDAに対して共にカルシウムと鉄、マグネシウムが低く、アルゼンチンの学生のカルシウム摂取源は乳·乳製品にかたよっていた。
  • 須川 妙子
    p. 21
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    女子高校生の間食に対するイメージと間食摂取の関係、食事の時間帯と間食摂取の関係を検討した。間食摂取をよいと考えている場合は、摂取回数は1日に複数回、摂取理由は食事までの中継ぎ、好みの味は薄めであった。悪いと考えている場合の摂取回数は1, 2週間に1回程度、摂取理由はつきあい、好みの味ははっきり感じる濃い味であった。悪いイメージをもつ場合は、摂取回数を減らし、満足感のある濃い味付けを好む傾向がうかがえた。また、食品の種類も健康的なイメージのあるものを選ぶようにしていることが現われていた。食事の時間帯が不都合であるとの回答が多く、現在の学校生活の時間割が、間食イメージの良し悪しにかかわらず、間食の摂取回数増加につながっていた。
  • 南 江美子, 千葉 貴子, 宮澤 寛子
    p. 22
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    近年、学生生活の中でストレスを感じる学生が増加してきており、食生活との関わりも一要因として取り上げられてきている。本研究では、ストレスと食生活のうち、既製食品の利用率との関係を調査することを目的とした。方法として、福島市内の短期大学に通う女子学生(18∼20歳)115名を対象に1週間の既製食品利用についてアンケートを行った。また、同学生について日常イライラ事尺度を用いて、ストレスについての調査を行った。統計解析は、各利用食品とストレスとの関係について、Peassonの相関係数の検定(SPSS)を用いて求めた。その結果、ストレスとサンドイッチおよびレトルト食品の利用率について高い相関があった。
  • 稲荷 妙子, 竹内 徳男
    p. 23
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    市販食品の過酸化水素量について調理法や香辛料添加による変化を調べた。試料中のアスコルビン酸を酸化させ、Kリン酸緩衝液にて磨砕、遠心分離して抽出液を得た。グアヤコール、horse radish peroxidaseを加え、生成したテトラグアヤコール量を測定して求めた。測定したすべてから過酸化水素は検出された。野菜類の生ではタケノコが最も高く、種類により大きく異なり、調理法による増減も種類によって異なった。イモ類の生ではサツマイモが最も高く、次いでサトイモであった。キノコ類の生では、シメジ、マイタケの順であった。肉類の生では鶏肉が最も高く、加熱調理により減少した。胡椒、チリペッパー、マスタードは、牛肉の過酸化水素を抑制し、赤ワイン浸では焼くことにより抑制した。
  • —睡眠改善作用の検討—
    上江洲 榮子, 玉城 優子, 石川 香織
    p. 24
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    沖縄在来野菜の中で抗酸化活性の強いものを選びだし、睡眠に対する影響について、すでに効果が確認されているアキノワスレグサと比較検討した。収穫後1-2日の新鮮な野菜を、10倍量の熱湯(100℃)または75%エタノール(75℃)中にて摩砕、抽出し、DPPH法により抗酸化活性を測定した。また、60℃にて加熱乾操し、ブレンダーにて粉末化し、市販の粉末飼料(日本クレア、CE-2)に0.4%の割合で添加し、マウスに2週間投与の後に、睡眠-覚醒の判定のための脳波を測定した。ボタンボウフウ(別名 長命草)は、抽出方法にかかわらずアキノワスレグサより強い抗酸化活性を示した。ボタンボウフウはアキノワスレグサより弱いけれども、マウスの睡眠時間を増加させた。
  • 片平 理子, 別府 道子
    p. 25
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    市販ペットボトル飲料23製品の細菌検査を行ったところ、開封直後の飲料からは細菌が検出されなかった。大腸菌(E. coli K12)または唾液0.1ml中に含まれる細菌で人工汚染した飲料(汚染時の細菌数; 106c.f.u./500ml飲料)を、5℃、22℃、37℃で24時間保存すると、pH4.5以下の酸性飲料では細菌が死滅したのに対し、pHが6∼7の中性付近の飲料(主に茶系飲料)では、5℃の冷蔵では生菌数は増加しなかったが、22℃や37℃での保存中には保存前の4∼35000倍にまで生菌数が増加した。結果から、ペットボトル飲料を携帯して利用する利用者に対し、飲用時には唾液の混入を極力避け、常温で長時間携帯しないよう、メーカー側が注意を促す必要があると考えられた。
  • 西山 一朗
    p. 26
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    国内で入手可能な13品種のキウイフルーツ果実について、果汁中のアクチニジン濃度とプロテアーゼ活性を測定した。主要な経済栽培品種であるヘイワードと比較したとき、アボット、香緑、魁蜜および信山では、アクチニジン濃度やプロテアーゼ活性が有意に高値を示した。これらの品種では、食肉軟化剤や酵素の供給源としての利用法が有効だと考えられた。一方、レインボーレッド、ホート16Aおよび香粋の果汁では、プロテアーゼ活性がヘイワードの1/15程度であり、また乳タンパク質、筋原線維タンパク質およびゼラチンの分解活性も軽微であった。そのため、これら3品種では、乳製品やゼラチンと混合した調理や加工が可能であると考えられた。
  • 高橋 京子, 丹治 彩子, 長南 順子, 成瀬 友美
    p. 27
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    食用なたね油を用いてショウガを加熱した際の、ショウガ香気成分の移行について、加熱温度による影響を調べた。細刻した近江ショウガと市販の食用なたね油を油浴により加熱し、揮発成分を捕集した。加熱後のショウガと油を分離し、それぞれ減圧水蒸気蒸留を行なった。各捕集液のジクロロメタン抽出物をGCとGC-MSにより分析した。ショウガ温度80∼150℃では、ショウガから引き出される香気成分は、高温ほど量が多かった。加熱時に揮発する香気成分は、100℃以下では微量であるが高温ほど増加した。成分によって温度による影響は異なっていた。油中の香気成分の割合としては、多くの成分で100℃∼120℃が高かった。
  • 尾間 裕仁, 櫻井 英敏, 太田 尚子
    p. 28
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    Sun Oleic種アラキンのサブユニット組成とそのゲル化に寄与する分子間力をサブユニットレベルで明らかにするために脱脂生落花生より硫安分画したアラキン画分をSDS-PAGEに供した。更に、ゲル化に寄与する分子間力を調べた。その結果、未処理アラキンのSDS-PAGEパターンは還元剤の有無で顕著な違いがみられた。又、形成したゲルのウレア抽出液のサブユニット分析では、高分子ポリマーをはじめ、多数のバンドが検出された。以上の事からSun Oleic種アラキンはVirginia種のそれとは異なるサブユニット組成を有しかつそのゲルは、Virginia種に比べゲル形成における疎水結合の寄与が大きいことが示唆された。
  • 大杉 忠則, 須見 洋行
    p. 29
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    ADPを凝集惹起物質とした場合のラット及び家兎血小板凝集反応はジピコリン酸(DPA)1.0∼5.0×10-3Mでdoes dependentに阻害された(Cl50=約1.8×10-3M). 一方, トロンビンの合成基質(H-D-Phe-Pip-Arg-pNA)分解能では変化ないが, フィブリン形成のclotting timeはDPA1.37×10-2Mでコントロールに比べ3倍に延長され, DPAがフィブリン形成を抑えることが分かった. また, 全血の凝固-線溶(トロンボエラストグラフィー)パターンでも2×10-3M以上で強い抗凝固活性が確認された. 血小板の凝集反応は血液凝固系の引き金として働くものである. 納豆はDPAが約20mg/100gと高含量であるだけに, 納豆あるいはDPA摂取が血栓性疾患の予防及び治療に役立つことが期待される.
  • 増山 悦子, 森脇 弘子, 石田 秀樹
    p. 30
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    食品の抗菌·保存対策が強く求められ, 消費者のユーズの高い天然素材の中でも, カキ殻を粉末調製したカルシウム剤には抗菌能が認められているが, その詳細な解析は行われていない。本研究では, 食中毒菌の電子顕微鏡による超微細構造の観察や生化学的解析を行い, カルシウム剤の抗菌メカニズムを明らかにした。加熱殺菌に不向きである生食用カット野菜に対する抗菌効果を調べ, 実用化へ向けた検討を行った。グラム陰性菌は, 処理により周縁鞭毛が離脱し細胞質が凝縮した電顕像が観察され, カルシウムが+に荷電し高濃度であることが抗菌効果の主因であると推定された。2点嗜好試験法による判定の結果は, 殆どのカット野菜の総合評価にはカルシウム処理, 無処理による有意な差が認められなかった。
  • 中野 輝子, 室田 壽子
    p. 31
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    アマランスの種子は栄養的にすぐれ新食糧資源として注目されている。そこで、アマランスの利用拡大を目的として小麦粉の10%、20%、30%をローストアマランスパウダー(森永製菓製)で代替した蒸しケーキを試作し、生地の比重、ケーキの比容積、クリープメーター(山電)を用いて硬さ、凝集性を求めた。官能検査を行い食味に及ぼす影響を検討した。生地の比重はアマランス粉の代替量が増すに従い大きくなり、蒸しケーキの比容積は小麦粉だけのものが大きくなった。硬さは代替量の増加に伴い硬くなり、凝集性は小さくなった。官能評価は外観、香り、総合評価においてアマランス粉が多くなるにつれて低い評価となった。味は僅差ではあるが10%代替が一番高く、きめ、柔らかさは小麦粉のみが高くなった。
  • 新澤 祥恵, 中村 喜代美, 宗田 典大, 三浦 進, 伊関 靖子
    p. 32
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    石川県林試において育成された新品種シイタケ『LE33』の嗜好評価を行った。官能検査では調理法により異なる結果となった。すなわち、「煮もの」は、総合評価について『中国産シイタケ』『北研607号-在来品種-』『LE33』の順に良いと評価される傾向であったが、有意差はなく、「天ぷら」では、『LE33』は『北研607号』より有意に良いと評価されたが、『中国産シイタケ』とは有意差はなかった。「焼シイタケ」では、『LE33』が『中国産シイタケ』よりよいと評価されたが、『北研607号』とは有意差はみられなかった。また、「焼シイタケ」の物性試験では『中国産シイタケ』は2種類の国産シイタケに比べて弾性が劣っており、また、国産シイタケでは『LE33』が『北研607号』に比べてやや高かった。
  • 小田 きく子, 関本 美貴, 島田 淳子
    p. 33
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    炊飯の最初の操作である洗米を、手で行なうのと、泡立て器で洗米した場合では米粒および米飯の食味にどのように影響するか検討した。平成13年度新潟産コシヒカリを試料とし、手および泡立て器で洗米操作を攪拌速度を手洗いは2回/秒、泡立て器では1回/秒·2回/秒·4回/秒の3条件を設定して洗米した。洗米後の砕け米の重量を測定し、炊飯後はクリープメータでせん断試験と引っ張り試験を行なった。また圧縮による破断強度試験と飯の食味については2点比較法による官能検査を行なった。その結果泡立て器で2回/秒·4回/秒の速度で洗米したものは手洗いより砕け米が多く発生した。また泡立て器4回/秒の米飯の飯粒の破断応力が著しく小さく、飯一粒の吸着応力は大きかった。官能検査では手洗いと泡立て器による洗米には有意差が見られなかった。
  • 寺本 あい, 渕上 倫子
    p. 34
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    卵黄(0、5、10、20%蔗糖添加)を0.1∼686MPa、−20℃で高圧冷凍後、圧力解除して20℃で自然解凍し、卵黄の温度挙動、レオロジー特性(定常流粘性、チクソトロピー性、動的粘弾性)を比較した。卵黄を高圧処理すると、圧力が高くなるに従い、粘度が増し流動性が失われた。20℃よりも−20℃の低温下で高圧処理した方が、レオロジーの変化は少なかった。しかし、0.1、100MPaやフリーザー中で冷凍した卵黄の方が、200MPa以上で高圧冷凍したものより流動性が保たれていた。卵黄は圧力変性を受けやすいため、圧力移動凍結法による急速凍結は、品質の向上につながらなかった。また、蔗糖添加により卵黄の粘度が低くなり、冷凍や高圧力によるゲル化が抑えられた。
  • 鵜飼 光子, 小板 由美子, 上江洲 榮子
    p. 35
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    ツルムラサキ(Basellarubra)は熱帯アジア原産の葉菜類であり琉球料理によく利用されている。栄養価が高いが、特有のにが味があり調理方法は限られている。青茎種直立系の新品種がホウレンソウの代わりに栽培され利用できるようになってきた。そこで、沖縄県産の南方在来品種と埼玉県産の新品種を用い調理特性について比較検討した。試料は収穫後直ちに室温及び冷蔵保管した。定法の茹で操作した試料の色調をカラーメーターで測定し官能検査をおこなった。各種調理操作時の特性も同様に検討した。外観は在来種では緑色と紫色、新品種では緑色を呈した。生の葉や茎の性状にも差異がみられた。蒸す操作によりえぐ味は減り甘味が強く感じられ、揚げる操作によりにが味が減った。緑色品種では茹でる操作や電子レンジ加熱により鮮やかな緑色がえられた。室温放置では数日で黄変がみられたが、冷蔵保存では外観はほとんど変化せず、損傷は13日目から確認された。
  • 津田 淑江, 竹内 枝穂
    p. 36
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    近年、成人病予防などから食物繊維が注目されている。大麦粉には食物繊維が多く加工食品への利用が期待される。そこで、食物繊維を日常的に摂るために、品種又は産地の違う5種類の大麦粉の製パン性について検討した。使用した大麦粉のアミログラフによる糊化特性及びファリノグラフ特性に違いが認められた。製パンには、自動ホームベーカリーを用い、焼き上がり体積、クラムの色差、テクスチャーを測定した。配合割合は、小麦粉の分量に対して大麦粉を20、40、60%置換させた。大麦粉の配合割合が増加するにつれ体積の減少、色差及び圧縮時の荷重の増加が見られた。製パンにおいて品質低下が小さかった新潟産ミノリ麦を用いてパンの改良を行ったところ、多少の改良がみられた。
  • 峯木 真知子, 棚橋 伸子
    p. 37
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    市販品としてプリンが多種多様なタイプが市販されている。そこで、おいしいプリンに対する嗜好基準を調べるために、本学教員並び学生31名を対象に、プリンに対する好き嫌い、購入する場合の目安、おいしいと判断するのに影響する要因を調査した。また、実際に市販プリン6種を購入し、官能検査を行い、そのテクスチャー·組織構造を検討した。プリンの嗜好は、大好き48.4%、好き41.9%で非常に好まれた。購入する目安は「見た目」で、「メーカー」については、気にかけていない人が多かった。おいしさの判断は「なめらかさ」、「カラメルの有無」、「牛乳·生クリームの味」が影響した。市販プリンの破断応力は1.2∼5.0×104Paで違いがあった。生クリームを含んだプリンでは、微細な繊維状構造が観察された。
  • 中町 敦子, 四宮 陽子
    p. 38
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    スパゲティの原料は、デュラム小麦のセモリナ粉100%が主流だが、業務用では普通小麦の強力粉が多用されている。演者らは、平成13年度本大会でデュラムセモリナ100%(試料D)でのアルデンテの客観的評価基準を見出したことを報告した。そこで、原料が強力粉70%、デュラムセモリナ粉30%、直径1.9mm(試料H)を用いて破断試験を行い、破断特性値と破断曲線の形を、試料Dと比較した。水分含量、ゆで歩留も測定した。水分含量とゆで歩留は茹で時間に従い増加し、両者には正の相関があった。破断応力は同じ茹で時間では試料Dの50∼80%と小さく、破断歪は8∼9分で試料Dの85%程度であり、他はほぼ同様だった。破断曲線は、試料Hでは2つのピークの出現率が低く、9分まで肩が90%出現し、11分以降は全てピークが1つの単純波形となった。
  • 加藤 保子, 小澤 慶子
    p. 39
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    卵の主要アレルゲンであるオボムコイド(OM)を除去した凝固卵白に、生の卵黄を混合した低アレルゲン化全卵から各種の卵調理の調製が可能となった。そこで、家庭の調理器具を用いて卵白からOM除去する方法をimmunoblotting、競争阻害ELISAで検討し、実験室で調製した低アレルゲン化卵白と比較した。0.8%食塩水に生卵白を糸状にして注入し、15分間攪拌しながら加熱した凝固卵白中のOM量は生卵の1/1000に、この加熱凝固卵白を流水中で攪拌しながら洗浄すると1/1500に、水切りネットに入れて流水中でもみ洗いすると1/2500に、更に、付着水を除去すると生卵の1/6000にまで減少した。
  • 江口 美紀, 佐藤 秀美, 島田 淳子
    p. 40
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    加熱過程におけるピザ台の水分挙動に及ぼすチーズの影響を検討するために、ピザ台の中心温度および重量変化の経時的測定、また試料の中心部、周辺部およびその中間部の水分含量測定を行った。その結果、水分蒸発速度はソースの有無に関わらずピザ台に置くチーズの量が多いほど小さかった。これより、ピザ台上のチーズは熱容量を大きくし、ピザ台表面からの水分蒸発を抑制する要因となることが推察された。一方ピザ内部の水分含量は、周辺部、中心部、両部位を除くドーナツ状の中間部の順に低くなった。部位による水分含量の差は加熱時間が長くなるほど大きくなった。以上より、ピザ台の水分含量の高くなる部位に置くチーズの量を少なくすると加熱後のピザ台全体の水分含量をほぼ均一に低くできると考えられた。
  • 後藤 昌弘, 彼末 富貴, 谷口 道子
    p. 41
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    前報では家庭用ホームベーカリーを用いた実験を行ったが食品加工の現場とは条件が異なる部分もあった。本報告では, 業務用製パン機器を用い, 同一塩分濃度に調製した深層水, 表層水, 食塩水を加えたパン生地を調製し, 発酵及び焼成の状態ならびに食味におよぼす海洋深層水の影響について調査した。生地の発酵では, 海洋深層水を用いたパンの比容積が食塩水や表層水を用いたものに比べ高い傾向にあった。焼成したパンの比容積の値は深層水が最も大きかったが, 他との有意差はなかった。評点法の甘さ, 総合評価で深層水を用いたパンの評点がやや高かった。年齢層による差は認められなかった。また, 嗜好試験では有意差は認められなかった。
  • 植木 彩子, 今井 悦子
    p. 42
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    目的 家庭レベルでフレッシュハーブをオリーブオイルに浸漬して調製するハーブオイルの酸化について、曝光の影響を中心に調べてみた。方法 コントロール(ハーブ無添加)、ローズマリーおよびバジル添加のハーブオイルは、照度10000lx下に0∼24時間まで2週間放置後ハーブを取り出し、その後同条件下に2週間、またはそれ以上静置したものを用い、POV(クロロホルム法)を酸化の指標として測定した。結果 コントロールのPOVは経時的に上昇したが、ハーブオイルは一度低下してから上昇する傾向が観察された。総合的に、2週間の曝光では食用にならないほどの変化は進行せず、以後暗所で保存すれば酸化は進行しなかったことから、酸化という観点からみて問題ないと考えられた。
  • 荒木 裕子, 山本 直子
    p. 43
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】前報では、極地冒険の携帯食の設計·開発を行い、実際に共用された携帯食の成分分析等を行い報告した。本研究では極地冒険の携帯食を収集·調査し極地冒険のための携帯食について考察した。【方法】実際に冒険に共用された携帯食(5種)を収集し、食糧構成、調理方法、組成分析等を行い、冒険用携帯食について調査した。【結果】全ての携帯食とも水分含量が1.6∼6.6%と少なく、そのまま喫食可能であり、調理する場合でも湯を添加するだけの簡便な方法であった。組成分析した結果、これらの食糧は高たんぱく質、高脂質であり、100g当たりのエネルギー値は478∼579Kcalであった。1日当たりの摂取エネルギーは平均6000∼7000Kcalに相当すると推測された。
  • 峯木 真知子, 戸塚 清子, 棚橋 伸子, 藤井 昭子, 金谷 昭子
    p. 44
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    東京都·近郊県および神戸市のスーパー·デパートなどの有機農産物の販売状況を1999年5月、12月、2000年12月に続いて、2001年12月から2002年1月にかけて行った。東京都では有機農産物の取り扱いは60.0%と激変した。有機農産物特別コーナーの設置も32.1%から27.4%と減少し、地域による差が明らかであった。有機農産物に対する感想·印象は、値段は高い·やや高いが60.6%でいまだ高い印象があるが、東京都内では変わらないとした人が38.9%と多く、昨年より一層市販品との違いが少ない。外観·品質·鮮度についても好印象が増加していた。包装のイメージ·表示については「みにくい·工夫の必要有り」40.3%であるが、いずれの項目も向上していた。
  • —教官の意識と指導の現状に関する調査—
    岸田 恵津, 永田 智子
    p. 45
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    教員養成系大学の調理実習に環境教育を取り入れることに関する意見や実施状況についてアンケート調査を行い, 今後の方向性について検討することとした。結果の概要は以下の通りである。1. 調理実習に関わる環境教育の内容のとらえ方は多岐に渡っており, 明確に規定することは難しい。2. 具体的な指導内容は, 食材調達·調理過程·後片づけに関することに集約され, それらは循環するような形で相互に関連している。3. 多くの教官は調理実習で環境教育を行うことについてその意義を認め, 実施しているあるいは実施予定の大学が多いことなどから, 調理実習を環境教育の実践の場として位置づけ, そこから環境教育の理論へと繋げるのが妥当であると考える。
  • 石井 克枝, 伊藤 さやか
    p. 46
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】大学生を対象に調味料の認知と使用実態から家庭料理の多様化の実態をみた。【方法】大学生116名を対象に2001年6月質問紙法にて調味料の認知と所有実態および使用実態について調査した。また、料理本や料理雑誌の和食を対象に調味料使用の変化をみた。【結果】(1)大学生の調味料認知度は35種について80%と多くのものが知っていた。(2)一人暮らしの学生の調味料所有率で80%を超えたのは塩、しょうゆ、砂糖であり、コショウ、マヨネーズ、ケチャップは60∼80%であった。外来調味料を所有しているものはテレビの料理番組や料理雑誌をよく見ていた。(3)大学生の調味料使用頻度が高いものは塩、しょうゆで約60%であり、ついでマヨネーズやコショウが約20%であった。
  • 高橋 ユリア, 下村 道子
    p. 47
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    過食摂食障害者は自分自身の心理的ストレスの情報伝達の最善の方法として摂食、調理、料理というものを重要視している傾向にあった。これらの伝達経路は非常にコントロール化され、さらに儀式化した構造を持っていた。また、家族や他人とのコミュニケーション、価値基準、思考判断、要望等を「食」を通して行う傾向が強かった。特異的食行動と家族との間には極度のストレスが発生し、食を通しての情報伝達の信号を相手が認識できない事により、ストレスの悪循環を形成していた。摂食障害者が発信する、食による情報伝達の正確な読み取りがいかに出来るか、そのような環境がどれだけ整えられるかという事が、摂食障害者の精神的、肉体的な支持、母子間の基本的信頼関係の修復につながるのではないかと考えられた。
  • 河合 知子, 久保田 のぞみ, 佐藤 信
    p. 48
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    昨今、学校給食に地元産食材料を用いる事例が増えている。北海道内における自校方式の学校給食を対象にし、地元産食材料の購入実態やそれらを利用した献立内容等について実態調査を実施した。大都市部に位置する学校(Aグループ、自校方式であるが親子方式をとっている)と学校栄養職員が1名配置されている比較的中規模校(Bグループ)と学校栄養職員がいない僻地、離島の小規模校(Cグループ)の3グループに分類し、グループ別の特徴を整理した。Aグループの特徴は、量的問題で地元産食材料の使用のしづらさが挙げられ、Bグループについては、量的問題に加え、価格上の問題も指摘された。Cグループは、地元産食材料の使用以前の深刻な問題が明らかとなった。
  • 阪上 愛子, 中山 伊紗子, 石村 哲代
    p. 49
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    目的及び方法 女子短大生247名を対象に食生活実態調査(設問は食餌内容、食習慣、家族関係)及びTHIの多愁訴項目を主とした自覚的健康障害調査を実施し、両者の関連性について統計的分析をおこなった。結果 (1)食生活の高得点群は有意に健康状態が良好であり、食生活と健康状態との深い関連性が裏付けられた。食餌内容、食習慣などの各要素についても共に健康状態との有意の相関性が認められた。(2)食餌内容は主として「便秘気味」と、食習慣は主として「朝起きるのが苦痛」との相関性が高かった。(3)朝食欠食群では有意に「朝起きるのが苦痛」、「だるい」などの、孤食群では有意に「だるい」、「疲れやすい」などの、各食生活構成要素に起因する特徴的な健康障害傾向が認められた。
  • 小園 佳美, 奥田 弘枝, 川染 節江
    p. 50
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    食物の色彩は人間の食欲に影響を与え、色彩嗜好と味覚にも関連があることが、これまで演者らが行った調査で明らかになった。本研究では小学生と30∼40代の親世代の、食品の色彩嗜好に対する考え方について、比較検討した。男女計539名を対象に、アンケート用紙と基本的な有彩色として赤、オレンジ、茶、黄、黄緑、緑、青、紫、ピンクと無彩色の10色にそれぞれ明度、彩度の異なる5色ずつ計50色からなるカラーチャートを提示し、1997∼2000年にかけて調査した結果を報告する。多くの者が食べ物の色によって食欲が増減すると答えた。親世代の方がその傾向が強かった。五味をイメージする色では、小学生では様々な色が選択されたが、親世代では、味覚と食品の色との間に一定の関係がみられた。
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