一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第54回大会
選択された号の論文の401件中51~100を表示しています
  • —北海道における学校給食での摂取実態からの検討
    鵜飼 光子, 市井 茜
    p. 51
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
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    北海道では野菜類の生産量が多いことから新鮮で品質のよいものが容易に入手出来る。学校給食においても有効に地ものの野菜が利用されている。しかし学校給食での残食に野菜類が多くみられ児童生徒の野菜類の嗜好性は低いと考えられる。そこで、北海道における学校給食での野菜類の摂取状態からその嗜好特性について検討した。北海道函館市内の中学校における給食の献立表調査及び中学生や大学生を対象にした野菜の嗜好性、摂取頻度、認識度等についてのアンケート調査を行った。対象とした中学生は426人、大学生は91人で回収率は100%だった。野菜の嗜好性は高く、中学生でも大学生でも認識している野菜の名称は多かった。北海道を代表する野菜としていずれもじゃがいも、とうもろこし、玉ねぎを順にあげた。特にじゃがいもは料理名を多くあげ最も利用頻度や嗜好性が高かった。給食メニューの中で嫌いな料理は地ものの各種魚入り昆布まき、野菜の炒めものや中華風煮もの、海藻類の酢のもの、クローヨ、生野菜等であった。
  • 清水 知子, 秋永 優子, 比嘉 雅美, 川口 進
    p. 52
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
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    学校給食での地場産物の使用が4年前から開始した福岡県宗像市で、児童と生産者らとの交流を実施した。2000年度および2001年度に、計4つの小学校において、生産者がゲストティーチャーとして授業に参加した後、児童と一緒に給食をとった。交流実施前は、いずれの学校においても、地場産物が使用されているという事実を、児童の4割から5割しか知らなかった。交流の実施により、児童に、嫌いな野菜に対して「生産者の顔が浮かぶから」、「宗像で作られたものだから」頑張って食べるなどの態度が多く現われるようになるなど、様々な変化が見られた。生産者からは、「子どもたちのために大切な仕事をしているという実感が湧いた」、「このような交流は今後も必要だ」などの感想があげられた。
  • 金 金花
    p. 53
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
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    本研究では水平断面形状から既製服用ボディ設計に必要とする多人数の立体形状を把握することを主目的とする。人体計測は三次元計測装置を用いて計測し、被験者は20代の韓国成人女性101名とした。研究対象の部位はバスト位、ウエスト位、ヒップ位を含めた13の主要部位である。水平断面の数量化のためには半円と方形に分け、図形の内部に2つの焦点を設定して断面形状計測を行なった。平均図作成は断面形状計測の平均値を用いてAuto Cad LT97で作成し、輪郭線はスプライン曲線で描いた。研究結果は多人数の水平断面の数量化と13部位の平均図による形状把握が可能となった。今後の課題は、前後位置関係計測とその結果を用いた平面図としての水平断面重合図と立面図(正面図·側面図)を作成し、ボディ設計の具体化をする事である。
  • 山本 高美, 鳴海 多恵子
    p. 54
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
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    アパレルCADを利用した教育方法について研究し、アパレルCAD本来の機能の他に人体水平断面図の図形処理において使用した。授業内容は、機器による人体計測データを用いたスカート原型の作成·量産方法による縫製であり、CADは「水平断面図の作成·水平断面図の計測·重合図の作成·ダーツ量の計測」に用いた。CAD導入における利点は、複数のデータ処理において合理的に使用できることであり、問題点は学生の基礎的な知識の不足·進度差が大きいなどであった。今回は先行導入であったため、問題点もあったが、興味を持つ学生も多くCAD導入は有効といえる。
  • 佐藤 悦子, 流合 えり子
    p. 55
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
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    衣服の打ち合わせの違いがボタンかけはずし動作に及ぼす影響を検討するために, 台衿付き半袖シャツ2種(前あき右上前, 左上前)を用いて, 被験者(女子学生20名, 男子学生20名)による動作実験を行った。動作をビデオ録画し、所要時間を測定した。さらに, 被験者男女各2名の両手ならびに片手でのボタンかけはずし操作について観察した。その結果, ボタンかけの所要時間は, 男女共に打ち合わせの違いによる有意差が認められ, 着慣れていない打ち合わせに対して男子は女子より時間を要した。ボタンはずしでは, 男子に打ち合わせの違いによる有意差が認められ, 女子には差が見られなかった。また, 被験者4名の観察から, 両手でのかけはずし操作には, 被験者によって回転する手や方向は異なるものの, 全般に手首の回転が見られた。片手での操作は, 手首の回転はほとんど見られなかった。
  • 金子 文実, 斎藤 祥子
    p. 56
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
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    目的 竹久夢二は, 多くの子どもを描いた作品を残している。大正時代は, デモクラシーの風潮の中, 教育についても新しい考えが生まれ明治時代の知識つめ込み主義に対する反省が高まっていった. 子ども服においての西洋化はいつ頃からどのように導入されていったのか, その過程を見ていく。方法 「別冊太陽 竹久夢二—子どもの四季—」に掲載されている竹久夢二の子ども絵を中心に, 子どもの着用する服飾について, 形態, 色, 模様について分析·集計した. 結果 竹久夢二の描く作品から, 1918(大正7)を境に, それ以前とそれ以降とでは時代背景の違いによって, 子ども服にそれぞれ特徴が見られることが明らかになった.
  • 杉田 洋子, 高橋 千恵
    p. 57
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
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    衣服の持つイメージが、それを観察する側の年代によって違いがあるか否かについて、理科系、家政系の学生や教職員には着用の機会が多く、馴染の深い衣服の一つであるが、一般には日常着として用いられることが少ない白衣に着目し、女子学生およびその親の中年世代を対象者とするアンケート調査を行なった。調査内容は、白衣のイメージを測る15項目の形容詞対に対する7段階の回答形式の質問などからなり、2001年12月に調査を実施した。その結果、「やぼったい-洗練された」、「カジュアルな-フォーマルな」、「うっとうしい-さわやかな」、「好きな-嫌いな」などで世代間に有意差が認められ、学生の方が白衣に対してやや洗練された、フォーマルな、さわやかな、好きなイメージを持っていることがわかった。
  • 佐藤 祥子
    p. 58
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
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    衣服の低価格化が進んでいる。本報は、第1に低価格衣料品についての意識を調査することで、現代の消費者の購買行動を探ること。第2に衣服の購入時に重視する品質特性や普段の格好などにより、衣服の購買価格や低価格衣料品に対する意識に違いがあるのかを明らかにすることを目的とする。そこで衣服の購買価格、購入に重視する品質特性、低価格衣料品に対する意識について、女子大生180名(有効回答数)にアンケート調査をおこなった。その結果、衣服の購買価格は、平成7年度調査と比較すると、調査アイテムすべてで低下しており、低価格化の影響がみられた。低価格衣料品については、8割近くが肯定的な意見であったが、「皆が着ている」といった否定的な意見もあった。購買時に重視する品質特性といった購買行動の違いにより、購買価格や、低価格衣料品に対する意識にも違いが認められた。
  • 泉 加代子, 門之園 史子
    p. 59
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    高齢男性と中年男性の被服への関心と「好きで着たいと思う普段着」のイメージを検討するために、京都府下の健常な40∼80歳代の男性を対象として、2001年11∼12月に集団調査法および配票留置法による無記名の質問紙調査を実施した。有効回答者数は、65歳以上(高齢者)202名、65歳未満(中年)199名、計401名である。両者の「好きで着たい普段着」のイメージを比較すると、高齢男性の方が中年男性よりも、「明るい」「高級感がある」「派手な」「あらたまった」「目立つ」服装が好きで着たいと答え、T検定の結果1%水準で有意差が認められた。クロス表分析の結果、40·50歳代よりも60·70歳代の男性の方が、「他人の服装を注意してみる」「服に合わせて小物を替えている」など服装に関心が高い傾向が見られた。
  • 遠山 千代子
    p. 60
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    短大家政科の手芸合同作品制作には、学生の制作意欲·技術の向上や、大作完成による達成感の体験を図るという基本的な目的がある。作品としてのオリジナリティは、それを遂げるために考えられた準備や指導の中から生み出されたものと言える。毎年度テーマのもとに一枚ずつ制作してきた合同作品のデザイン·素材·手法などを分析し、そこに至るまでの指導も一部紹介する。(1)デザイン:伝統的パターンも含みつつ全体としてはテーマ毎のオリジナル作品である(制作者全員のイニシャルをステッチする)(2)素材:木綿の布を中心に絹·羊毛·化学繊維さらにガラス(ビーズ, ミラー)など多種類にわたる(3)手法:代表的な縫う·編む·織るの他に染める·撚る·繋ぐ·捻る·結ぶなどが複雑に組合わされている
  • 林 青めい
    p. 61
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
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    本研究は、ブライダル専門雑誌『MARIAGES』をとりあげ、そこに掲載されたウェディングドレスの流行の変化の仕方を出現率から割り出し、各特徴を明確にすることを試みた。1964年から1995年までの計31,518件を分析した結果、常にベルシルエットがその主流を占めているが、1964年はドーム型が中心に、1965年∼1975年まではフィットアンドフレアが全盛であった。しかし、1976年を境に再びドーム型が主流となったことがみてとれる。そして、襟の主流であったラウンド·ネックラインは、1980年代後半からオフショルダー·ネックラインへと変化した。また、袖は、1980年まではタイト·スリーブが台頭していたが、その後、レッグオブマトン·スリーブとシース·スリーブがその主流となったのである。
  • 河合 陽子, 森 俊夫, 小見山 二郎
    p. 62
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    布が過度に変形を受けたとき、たとえ外力が除かれても残留変形がしわとして残る。しかし、粘弾性体であるために時間の経過とともに、徐々にしわが回復する。このようなしわ外観の視覚的変化を客観的に評価するために、しわ外観の経時変化を画像解析した。人の視知覚と深く関係し、主観評価と対応のよい画像情報量を用いることにより、しわ外観の緩和過程を定量的に評価することができた。視覚的しわ回復指数を算出したが、画像情報量によって若干異なる結果が得られた。ポリエステルや羊毛の視覚的しわ回復性はよく、綿や麻は悪いことがわかった。画像情報量から多様なしわ外観の特徴を個別的に評価できるが、総合的な評価にどの程度応用できるかは今後さらに検討する必要がある。
  • 駒城 素子, 尾畑 納子, 片山 倫子, 杉原 黎子, 前島 雅子, 山口 庸子, 吉田 紘子
    p. 63
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    近年, ドライマーク表示した衣料を水洗いしようという動きとともに, 市販の電気洗濯機も大きく変わりつつある. そこで毛100%セーター2種(防縮加工, 未加工)を, 回転ドラム式洗濯機(TW-21, T社 2001年製)のドライコースにより繰り返し10回洗濯し, どの程度の損傷で洗濯できるかについて, 7大学合同で試験を行なった. その結果, セーターの未加工品は丈方向が1∼2回まで伸び, 3回以後ほぼ単調に収縮した. 幅方向は1∼2回で大きく収縮し以後あまり増加しない. ゴム編み部分の収縮は著しい. 防縮加工品では, 丈方向は変化が少なく, 幅方向(身頃)は未加工品と同傾向であり, いずれも収縮率5%程度. ゴム編み部分は未加工品と同程度に収縮した. これらの特徴は編み製品の構造に由来すると考える.
  • 藤井 薫, 梅山 理恵子, 高橋 育子, 片山 倫子
    p. 64
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    自然乾燥及び乾燥機乾燥における衣類の乾燥挙動を明らかにし、各乾燥特性を比較するために衣類乾燥のモデル実験を行った。被乾燥物には、脱水終了後の含水率一定の綿シーツを準備した。一定時間乾燥後の重量変化から乾燥曲線を求めた。乾燥機には電気式垂直方向回転型のA機と水平方向回転型のB機を、ガス式垂直方向回転型C機を用いた。自然乾燥としては、竿干しによる乾燥実験を実施した。結果は、日当たりの良い風が通る廊下(14℃、52%RH)で日向干しの場合は1時間で乾き、日が当たらない閉め切った廊下(18℃、83%RH)で陰干しの場合は6時間経過しても含水率は約12%であった。C機は0.0097m3のガスを使用し20分で乾燥した。A機は消費電力量1.375kWhで90分で乾燥した。B機は消費電力量1.994kWhで120分で乾燥した。
  • 片山 倫子, 小澤 玲子, 船橋 良, 藤川 尚子, 與沢 文花, 溝田 典子, 藤井 薫
    p. 65
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    デンマーク技術研究所製のオリジナルMA試験布、および洗濯科学協会製湿式人工汚染布作製用綿白布、関西衣生活研究会綿白布から作製した3種の小型MA試験布をつくり、ターゴトメーターで同浴洗浄を行ない、各布のMA値を比較したところ洗濯科学協会製綿白布で作製したMA試験布のMA値は、オリジナルMA試験布のMA値に近似したデータが得られた。3種の小型MA試験布と湿式人工汚染布を用い、標準洗濯機による洗浄力試験を行なった。得られたMA値および汚染布の洗浄前後のK/S値の差から、種々の条件下における洗浄力と被洗物が受けた機械力との関係を示した。
  • 小笠原 繭子, 島田 寛子, 生野 晴美
    p. 66
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    羊毛製品の水系洗濯における洗浄性を明らかにするため、市販の羊毛汚染布3種、湿式人工汚染布(JIS C 9606)に準じて新たに作成した羊毛汚染布4種(トロピカル、ギャバ、ギャバ脱スケール、ギャバBAP加工)を標準的な条件でターゴトメータを用いて洗浄した。弱アルカリ性洗剤による洗浄、ドライクリーニングも行い、表面反射率から洗浄率を算出し、蛍光X線分析により鉄、チタン等の脱落率を測定した。羊毛汚染布の表面反射率は同一汚垢の綿汚染布よりも有意に低かった。中性洗剤を用いた水系洗濯の洗浄率は全般に低く、汚染布の種類、精練の有無、加工により大きく異なった。鉄等の脱落率は洗浄率よりも高かった。羊毛製品の洗浄性能評価には表面反射率の高い汚染布が適することが示唆された。
  • 森田 みゆき, 木村 美智子
    p. 67
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    汚染布に湿式人工汚染布を使用した場合の洗浄条件の違いによる洗浄性の検討と、サポニンの洗浄性能に及ぼす硬度の影響について検討した。大豆サポニンの洗浄性は湿式人工汚染布と浴比調整用白布を用いて、Carmody緩衝溶液でpHコントロールを行い、ラウンダーメーターで洗浄試験を行った。洗浄後、風乾し、汚染布の表面反射率を測定して、洗浄効率を求めた。洗浄性に及ぼす影響を、サポニン濃度、pH、温度、洗浄時間について検討した結果、最適洗浄条件は臨界ミセル濃度で40°C、pH10.0、洗浄時間30分となった。油化学協会法の汚染布と比較して、湿式人工汚染布では約5倍の洗浄効率となった。洗濯用水の硬度の影響について検討した結果、大豆サポニンの洗浄性は硬度の影響を受けなかった。
  • 谷田貝 麻美子
    p. 68
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    たまねぎ外皮で染色した羊毛布(無媒染、Al媒染、Fe媒染)について、JIS洗剤、市販洗剤、界面活性剤、金属イオン封鎖剤を用いた洗濯試験を行い、洗濯前後の染色布のL*a*b*値を測定して変退色を調べた。また、たまねぎ外皮の主要色素クエルセチン溶液にAlまたはFe、界面活性剤、金属イオン封鎖剤、硬度成分を添加して紫外可視吸収スペクトルを測定した。その結果、染色布の洗濯による変退色は洗剤組成によって異なり、とくに色相の変化が顕著に認められた。また、洗剤成分のうち、金属イオン封鎖剤の影響が大きいことがわかった。クエルセチンと金属を含む溶液に洗剤成分を添加すると、ピークの消失など吸収スペクトルが変化し、金属イオン封鎖剤による媒染剤金属イオンへの影響が示唆された。
  • 前川 昌子
    p. 69
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    染色物の色合わせは、染料のスペクトル等を用いて行われてきたが、実際には染色挙動を把握することなしには考えられない。染色は複数の染料を配合して目的の色に染め上げるので, 配合する染料の組み合わせにより, また染色条件によって染色物の色が様々に異なり, 色の予測はきわめて困難である。そこで、本研究では、色合わせを正確に行うための理論を構築するための一考察として、2種染料の配合染色を行い、染色物の色に影響する諸要因について検討した。その結果、染色物の色は, 単独で染色した場合にそれぞれで目立った差がなくても, 配合染色をすることにより異なる色となる場合があることが認められた。これは, 染料間の相互作用の違いに起因して, 繊維内の染料濃度が異なることが一因であることが分かった。
  • —ブランド品と量販品—
    勢畑 章子, 関口 彩香, 小見山 二郎
    p. 70
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    輸入衣料品が日常的なものになってきた今日でも、消費者からのクレームで最も多い項目は染色堅牢度である。昨年の報告に続き、実際に市場で購入したブランド品について、洗濯、日光、摩擦、汗堅牢度試験を行い、量販品の結果と比較した。色差計で測定したK/S値より、退色·変色挙動を4つに分類できた。またΔEより求めた等級では、ブランド品が量販品より堅牢度における品質が劣る結果になった。前報で得られたΔEと{1-(K/S)r}(洗濯、光照射による染料の脱離、分割の割合)(x)の経験式、ΔE=a{1-(K/S)r}2+bは、収縮による濃色化の場合にも適用でき、この式からはずれた測定値の布では染色加工において、染料または染色法に問題があることが指摘された。
  • 稲垣 円, 森田 みゆき, 小松 恵美子
    p. 71
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    未染色の綿白布には未処理の生成りから漂白や増白処理された物まで, 様々な白さの物がある。綿白布の白さの認識や嗜好及び白さの違う布の洗濯後の白さの変化に対する嗜好について, 日本とエジプトで調査を行い比較した。調査は, 目視でも表面反射率の値からも明らかに白さの違う4種の綿布を用いたアンケートを作成して, 日本では札幌の男30名, 女28名の計58名, エジプトではカイロの男32名, 女17名の計49名を対象に行った。エジプトでは, 日本と比べて未処理布よりも漂白または増白処理された布を白とみなしやすかった。また, 洗濯することで未処理布の色も漂白·増白された白さになると考える人が多く, さらに, 好きな白さと洗濯後に求める白さが一致している人が多いことも明らかとなった。
  • 中山 栄子, 保月 さおり, 岸 香織, 佐藤 豊, 中島 利誠
    p. 72
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    日本国内ではSPM(浮遊粒子状物質)による健康被害が問題になっている。特にSPMのうち48%がディーゼル排気ガスからの排気粒子(DEP)によって占められている。しかし、中国では、まだディーゼル排ガスについては研究段階であり、対策を検討している。そこで2001年春に、中国上海市内21ケ所において、ミニポンプによるSPM測定を行った。吸引部に粗大粒子除去用キャップをつけた濾紙ホルダを装着し、3分間(3L/min)吸引し、ガラス繊維濾紙上にSPMを捕集した。濾紙上のSPMは濾紙の汚れと考え、未使用濾紙との色差を測定し、PM2.5換算捕集質量(μg)を算出した。上海市内での交通量の多い場所では、多くの地点で日本での測定結果を上回った。
  • 富田 寿代, 水谷 令子
    p. 73
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究はシルクロードを中心とする寡雨地帯の生活文化を研究することを目的として、タクラマカン砂漠周辺のオアシス都市の生活用水の水質、使用実態を調査した。この地域の都市では上水道が整備されているが、しばしば断水があり、一部の民家では水道水をカメなどに貯蔵しているため、一般細菌や大腸菌に汚染される機会が多い。大都市のホテルを除き、水道水に残留塩素は認められなかった。この地域の生活用水は、pHが幾分高く、ミネラル分を多く含有した硬水であるが、比較的良質の水であるといえる。
  • —加工食品包装の開封性について—
    杉山 久仁子, 阿部 廣子, 和田 淑子
    p. 74
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    フィルムシート型容器食品の一種であるハム容器の開封性について調査した。真空包装および脱酸素剤封入包装のハム各数種を試料とし、開封に要する力(開封力)を測定し、学生50名による開封テスト(開封時間測定、開けやすさ評価)を行なった。包装形態や開封力に差異がないハムでは、シール面積が小さく開封時間の短いものが開けやすいと評価された。包装形態の異なるハムでは、開封時に手で保持することのできる面積の大きいものが開けやすいと判断された。さらに、袋型包装食品やプルタブ型·ねじ蓋型容器食品の開封力についても開封力を測定し、包装食品のあけやすさの実態を整理した。プルタブ型·ねじ蓋型容器では開封の際に開封力を軽減するための工夫が必要であることが明らかとなった。
  • 川畑 昌子, 豊田 美佐子
    p. 75
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】手芸は手指の巧緻性を高め、脳の発達を促し、作業療法にも効果がある。高齢者は経験と知恵により、体力の現状維持、衰退の遅延を可能とする。高齢者と手芸の関係を被服教育指導の一助とする目的でデイサービス活動の製作過程を中心に調査分析した。【方法】調査はデイサービスでの観察、聞き取りである。本報は、利用状況と活動状況を介護法改訂前の調査と比較検討し、手芸活動を中心に手指使用細目と作業工程を観察した。【結果および考察】デイサービスの利用状況は、職員数·利用者·利用回数などに変化がみられ、利用者年齢は67歳∼94歳であった。手指の活動細目は2項目増し、作業は簡単なもの、費用は安価なものに変更されていた。
  • 市村 知佳子, 瀬沼 頼子
    p. 76
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    長寿社会の中で、高齢者が健康で生きがいのある日々の生活を営むためには、地域社会のあり方が重要である。そこで、高齢者のいきがいや地域活動の実態やニーズを明らかにし、その上で、地域空間に求められるものは何かを明らかにし、提案を行なっていくことを本研究の目的としている。資料は、総務庁や横浜市等の既存資料を基にして実態分析を行った。さらに横浜市における地域空間の視察調査を行った。その結果、多様ないきがいや活動実態を行いニーズがあるが、地域での友人や高齢者を支えてくれる人の大切さが明らかとなり、世代間交流も必要である。こうした実態に対し、少子化で空き教室の目立つ学校という空間が、今後の地域空間としての大きな機能と役割を果たしていくものと考えられる。
  • 橋本 静, 奈良 智美, 小林 美佳子, 市丸 雄平
    p. 77
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    本学家政学部栄養学科及び短期大学部栄養科の学生(377名)における約1ヶ月間の生活時間(Time Study)を時系列的に、表計算ソフト(Microsoft Excel)に任意にフォームで入力するよう依頼した。次に、これらの入力様式をタイプ別に分類したところ39種類にも及んだ。活動内容は2896項目に及び、これを経験的に117項目に類型化した。集団の個人データを高速に解析するために、入力形式を統一化する必要性があることが明らかになった。そこで、入力形式の一定化を図るために、Microsoft Excel及びVisual Basic for Applicationを用いて調査対象者が利用しやすい生活時間調査の入力フォームを作成した。本アプリケーションにより、より多くのデータを高速且つ正確に解析することが可能となった。
  • 内田 恵津子, 平林 令稔, 稲葉 美穂子
    p. 78
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    化粧料を塗布するタイプのシート状化粧料は、肌へ塗布するという使用方法であるため、有効成分を肌へ均一塗布させることが重要な課題の一つである。我々は、均一塗布可能な不織布組成を見い出すべく、肌への液移行量を指標としたモデル評価法を確立し、不織布の構造及び素材の検討を行った結果、均一塗布性は不織布の構造及び素材の組合せにより大きく変化すると共に、素材の配合率と相関することを見出した。更に、均一塗布性を有する不織布は、含浸する液の粘度に影響されず、均一塗布可能であることを確認した。
  • —「回想法」を応用したファッション·ショーの試み—
    山岸 裕美子
    p. 79
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】高齢者福祉施設では、利用者個々の生活史について利用者同士はもとより職員でさえも深く理解しているとはいえない。過去の生活の中の華やかな部分を利用者自身が再認職するとともに、施設全体でそれらを受容するために、新しい形式でのファッション·ショーを行った。【方法】高齢者施設において、「回想法」の手法を用いたファッション·ショーを行った。出演者の所持している衣服を紹介しながら、本人の生活史の中の華々しい部分をナレーションで“聞かせる”形で紹介した。【結果】出演した利用者が自分に自信が持てるようになったと同時に、過去の良き思い出を再認識し、生活に張りが出る結果となった。また、それに刺激を受けた他の利用者にも同じような波及効果が生じた。
  • 日景 弥生
    p. 80
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    中学生195名を対象に、ジェンダーに気づく授業を行い、授業前後のジェンダーに関する意識調査と授業後の感想文などからその授業効果を分析した。その結果、授業を実施したクラスと実施しなかったクラスとも、授業後の方がジェンダーバイアスの傾向がやや高まった。そこで、ジェンダーフリーの傾向を示した生徒に着目し授業前後の意識を比較したところ、授業前に比べて実施したクラスの方がフリーの傾向が大きいことがわかった。また、授業後の感想文は6つのカテゴリーに分類できた。それらと意識調査とを対照したところ、「楽しい·おもしろい」などの感想を書いた生徒は意識調査でジェンダーバイアスの傾向がみられたが、「ジェンダーへの気づき」や「性別役割分業·固定的ステレオタイプ」などの感想を書いた生徒はジェンダーフリーの傾向がみられた。
  • 宮澤 寛子, 千葉 貴子, 南 江美子
    p. 81
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    福島市内在住の女子学生に対し喫煙習慣およびその原因に関するアンケートを行ない、さらに喫煙習慣があると回答した294名のうち喫煙の理由として、「ストレス」に関する項目を挙げた218名を、ストレス解消教室に参加するグループ(1)と喫煙の害を勉強するグループ(2)に分けた。グループ(1)は参加者を3つのグループに分け(A:軽運動、B:クラフト、C:ラベンダーの香り)、各グループにストレス解消に効果的な方法について指導を行った。参加者には、1ヶ月間、毎日の生活記録表を記入してもらった。女子学生の喫煙原因として「ストレス」が非常に高い割合を占めていることが明らかとなった。また、喫煙防止のためには、軽運動のようなストレスを解消する手段が重要であることが示唆された。
  • —生体肝移植経験家族の夫婦関係—
    吉野 真弓, 吉野 浩之, 草野 篤子
    p. 82
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、生体肝移植における家族関係、特に父親と母親(夫婦)の関係に注目し、子どもの入院中、移植後の家族関係を明らかにすることを目的とする。調査対象は、A大学にて生体肝移植手術を受けた全53家族の母親と父親である。調査は質問紙調査を行った。調査期間は2000年7月下旬から9月上旬である。結果は「子どもの病気をめぐっての夫婦げんか」は増加していない。(2)子どもが入院中、夫が「見舞いにいった」「妻の話を聞いた」「妻の相談にのった」について、「よくあった」と回答している者が多く、また妻も夫について同じくらいと評価していることが明らかになった。(3)移植後の家族関係は、「家族といる時間」が移植前よりも多いと回答している父親が多く、家庭生活を重視する父親の姿が明らかとなった。
  • 山崎 美佐子, 草野 篤子
    p. 83
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では祖父母を対象に、孫の母親の就業も絡めて、孫育てへの関わりを調査し、孫の存在や祖父母としての役割がどう認知されているか、それらがどのような要因によって形成されているのかを明らかにすることを目的とし、質問紙による配票調査を行った。祖父母·孫関係には、祖父母の性別、孫との居住形態、孫との続柄、母親の就業が影響を及ぼし、孫育てへの関わりが多いほど、孫の存在に対する認識や祖父母としての意識は強かった。今回の調査では孫育てを好意的に受け止め、生きがいとする祖父母が多数であった。同時に、孫育ては祖父母に疲労感を与え、距離を置いて温かく見守りたいといった姿勢も見られた。
  • 倉持 清美, 田村 毅, 中澤 智恵, 及川 裕子, 木村 恭子, 岸田 泰子, 泉 裕之, 持田 恭子, 荒牧 美佐子, 森田 千恵
    p. 84
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は妊娠期から出産後まで縦断的に夫婦関係を調査する研究の一部である。妊娠期の夫婦について、妊娠に至るプロセス、妊娠後の夫婦関係の変化、出産後の生活の様子などについて調査し、妊婦期の夫婦関係の特徴について検討することを目的とする。研究方法として、妊娠中の妻とその夫について、質問紙調査しインタビューを行った。十分に話し合って妊娠を決定した夫婦は少なかった。妊娠がわかった時点では、とても喜んでいるものの、夫婦ともに不安を感じていることがわかった。出産後の生活変化については、妻の方が大きく変化を予測し、子育て参加については妻が期待するより夫は意欲的であった。インタビューの内容も含めて、子どものいる家族への移行期としての妊娠期の特徴を、考察した。
  • 大泉 伊奈美, 松岡 英子
    p. 85
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は, ジェンダー視点から, 介護者のストレスの状況を明らかにするとともに, 介護ストレスに影響を与えている要因を探ることを目的とする。分析データは, 長野県在住の要介護認定を受けた高齢者を在宅介護している介護者を対象にした調査を用い, 介護者の性別の内訳は, 男性が20.5%, 女性が78.8%である。要介護高齢者からみた介護者の続柄をみると, 男性介護者の50.0%が配偶者であり, 女性介護者の約2倍であった。介護ストレスへの影響要因は, 基本属性8変数(介護者の属性4変数, 高齢者の属性4変数), 介護意識2変数, 資源9変数(介護者個人資源3変数, 家族資源4変数, 社会的サポート2変数)で分析し, 男性介護者と女性介護者の介護ストレスに影響を与えている要因の差異を明らかにした。
  • 松本 由記, 松岡 英子
    p. 86
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は青年期の自尊感情に影響を与えている要因を析出することを目的とし、長野市内の中学校4校の2年生を対象とした調査(配票数1000, 有効回答数867[86.7%])及び同市内の高等学校3校の2年生を対象とした調査(配票数982, 有効回答数864[88.0%])を実施した。影響要因として、基本属性(7変数)学校生活要因(13変数)家族生活要因(5変数)自己の身体要因(3変数)を用いた。分析の結果、中学生は、性別、部活動、教師サポート、友人へのサポート提供、友人数、学業、学校生活満足度、家族からの受容的支援、家族に対する評価、自己の身体像評価、身体意識度、高校生は、性別、教師サポート、友人へのサポート提供、友人数、学業、家族に対する評価、家族生活満足度、自己の身体像評価の効果が見られた。
  • 鈴木 敏子
    p. 87
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    目的 「家族」に関してその実際とは異なった言説が流布したり、人々に認識されたりしていることが多々ある。そのうち「家族」の構成にかかわってみられるいくつかの言説、学生の知識·認識、統計や学生の家族の実態との相違から、「家族」の言説を明らかにし、それがつくられる背景、その役割などについて考察し、「家族」に関する教育の課題を探る。方法 横浜国立大学教育学部(1998年度入学生より教育人間科学部)で開講している「家庭科概説」および「家族関係学」の授業で、1996年度ころから毎年実施してきたアンケートを主たる分析資料とする。結果 大学生は、大正期の核家族率、現在最も多い世帯人数、近年の出生動向等々について、言説的にとらえていることが明らかになった。
  • 長嶋 俊介, 吉本 敏子
    p. 88
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究においては、生活経営学を基礎科学とする教育である「ライフ·マネジメント教育」の体系とその生涯教育的展開を示すことを目的とする。そこで、ライフ·マネジメント教育の教育的価値に関わるプラグマティズムの実践的価値論と位階的主体形成論の統合の観点から、長嶋(2001)の主体性形成のマネジメント論及びスペンサーの教育論を基に理論を展開した。その結果、人間(生活主体)を中心に据えた5つの環境構成要素と、5層からなるライフ·マネジメントの位階的構造を組み込んだライフ·マネジメントの体系モデルを示した。さらに、この体系を教育内容の中核として包含するライフ·マネジメント教育とその生涯教育としての展開の可能性を明らかにした。
  • 大竹 美登利
    p. 89
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    1985年以来5年ごとに、東京郊外の住宅地である多摩ニュータウンに住む、雇用労働者夫妻を対象に生活時間および意識調査を行った。本報告では、こうした生活時間の背景にある生活意識について2000年調査を中心に生活時間との関連で分析し、今日の生活課題を明らかにする。方法は、ミニコミ誌などを通じて募集した323世帯に、2000年10月に日間の生活時間調査、並びに世帯の状況や意識などを問う付帯調査を行った。その結果スポーツや趣味などの活動は、無職妻を中心に活発に行われているが、夫や常勤の妻では無職妻と比べると活動頻度は低く、それが生活時間にも反映していた。こうした性差はスポーツや趣味、近所とのつきあい方などでも現れていた。
  • 志茂 和賀子, 大竹 美登利
    p. 90
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では東京の典型的サラリーマン家庭が多く住む多摩ニュータウン在住の子どもの生活時間の実態を捉え、そこから今日の子どもたちの生活問題を探ることを目的とした。対象は多摩ニュータウン在住の子どもで435人、3日分のべ1335人分の集計を行った。一日24時間について10分ごとにその行動と、一緒にいた人、行動を行った場所を記入してもらい親の就労形態別に分析した。未就学児の平日は母親が常勤やパートの家業(保育)が多く家族といる時間が少ない。小学生女子では親の就労形態別に大きな差はないが男子では母親常勤やパートの家庭で母親といる時間が長い。中高生では平日の女子が一人で過ごす時間が長く、男子が家族と過ごす時間が長く、男女差が大きく母親が常勤の家庭で顕著である。
  • —1995年·2000年調査から—
    粕谷 美砂子, 齊藤 ゆか, 伊藤 純, 水野谷 武志, 天野 寛子, 伊藤 セツ
    p. 91
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    目的:演者らは世田谷区在住雇用労働者夫妻に、90、95、2000年の3回、生活時間調査を行った(過去の日本家政学会で報告)。目的は、夫妻の生活時間配分の実態と、時間配分における関係をみることである。方法:95年と2000年に行った調査データのうち、同一調査協力者25カップルを取り出し、パネルデータを作成し、これを事例的に検証した。結果:事例として妻常勤A夫妻をみれば、この5年、夫妻ともに勤務時間が増加したが、月収が大幅に低下し、夫は家族との団らんが困難になっていた。妻がパートから常勤になったB夫妻は、妻の勤務時間が4倍にもなり、世帯月収は増加したが、家事時間が減少し、夫の勤務時間が減って、家事時間が増えていた。このような事例を挙げてロンジチュージナル視点を入れた。
  • —生涯生活時間への展望—
    齊藤 ゆか, 伊藤 セツ
    p. 92
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    目的:定年をめぐる最近の動向を把握し、定年前後の生活設計、定年後の生涯生活時間への期待、夫妻の生活経営の関わりを明らかにする。方法:主に第53回日本家政学会で、粕谷·齊藤·伊藤らが報告した世田谷区在住の雇用労働者夫妻の生活時間調査付帯アンケートを用いる。結果:近年、パートや契約社員など非正規社員の割合が高く雇用及び労働就業ニーズの多様化·流動化が進み、ボランタリーな活動も重視されている。雇用労働からの一定年齢でのリタイアは、人間の活動力の終わりを意味しない。調査協力者の95%が60歳定年年齢で、定年までの就労継続志向者は83%と高い傾向にあった。定年後に57.3%が雇用継続志向者であった。妻の80%は、配偶者に定年まで働き続け、しかも27%が常勤を望んでいた。
  • 重川 純子, 高桑 鉄
    p. 93
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    学童保育は1997年に法的に位置づけられ、量的には拡充してきたが、対象学年や開設時間などサービス内容は限定的である所も多い。本研究は、学童クラブ利用者(保護者)の利用実態とニーズを明かにすることを目的に、2001年に浦和市で調査を実施した(回答者289名(回収率54.4%))。8.6%は入所を断られた経験があり、約3割は居住場所選択時にクラブの存在を考慮している。利用理由は、公·民営ともに大人不在が8割を超えるが、民営では子どもの発達によいが過半数を占め、積極的な意義を認めている。保育料が公営に比べ3∼5倍高い民営では約6割が現行より低い額を負担可能とし、負担感が強い。運営への関与では、公営は消極的回答が少なくないが、民営は保護者が主体であり「共営」ともいえる。
  • —コレクティブハウスづくりのプロジェクトを事例として—
    嶋崎 東子
    p. 94
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    コレクティブハウスへの居住希望者、NPO(居住希望者のためのワークショップを行なったり、居住希望者と事業主体を結ぶ役割を果たす)、事業主体の三者の関係を中心に、コレクティブハウスづくりへの「参加」の現状と「参加」を阻む要因を明らかにすることを目的とする。「参加」を阻む主な要因は以下の通りである。(1)居住希望者の知識不足やコーディネートするNPOの経験不足、(2)民間企画型の賃貸住宅であること、(3)関心があってもライフコース上や経済的な理由から「参加」できないケースがあること、またワークショップを始めとするコーディネートは、非常に手間がかかる。しかし、その仕事はほとんど無報酬労働である。経済的基盤を確保するためのシステムが整備されることも望まれる。
  • —ワークライフを中心として—
    三善 勝代
    p. 95
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    ‹目的と方法›夫の海外派遣に同行して失職した妻たちは、その後どのようなライフコースを辿るか。ワークライフに焦点を置いて明らかにしたい。帰国子女支援グループを介して対象帰国者へ質問票を送付。有効回答票152部を郵送回収した。回答者の平均年齢は43.5歳。平均子供数は2人。夫の任国は米英豪が約半数。派遣元企業の業種は製造業が最多。‹結果と考察›(1)現在のところ仕事を持つ人は持たない人より少ないが、在外時に帰国後プランを立てていたのは前者に多い。(2)出国前3か月まで仕事のあった24名のその後を、在外時と現在における仕事の有無別で辿ってみたところ、「ワークレス型」、「リワーク型」および「ワークキープ型」(3名)の3パターンが確認された。
  • 八巻 睦子
    p. 96
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    日本の治安悪化に対する認識の高まり、単身世帯の増加や地域社会の紐帯の弱化から、防犯や緊急時対応について、警察や消防という公的機関、あるいは従来型の相互扶助組織のみに頼らず「安全」な生活を送ることが求められる。そこで、日常生活における人々の防犯意識と実施している安全対策の現状について調査を実施した。結果、「危険や不安を感じるとき」で最も高値を示したのは「夜遅く帰宅するときの帰り道」である。また20∼30歳代の女性では自己の安全に対する不安が強いのに対し、40歳代の女性では子どもの安全に対する不安が強い。安全対策としては、「戸締りをしっかりする」「二重ロックにする」という鍵に関する回答が多い。次いで「防犯ベルを持つ」、「携帯電話を持つ」、「家族で連絡を取り合う」が続く。
  • 西城戸 宏美, 深井 尚子
    p. 97
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    本調査は、中元·歳暮の実態及び、贈り手·もらい手の意識の把握を目的とした。まずアンケート調査で実態を把握し、さらにインタビューを実施した。中元·歳暮では「欲しいもの」と実際に「贈ったもの」·「もらったもの」は、決して一致する訳ではなくズレが存在した。また、本当に喜ばれているかどうか先様の反応を気にしながらも、直接は聞けずお礼状の感じ等でそれとなく反応を探っていた。もらい手側も嫌な品物をもらっても相手に「迷惑」とは言えずとりあえず無難なお礼をするのが常である。中元·歳暮は、いわば手探り状態でやりとりされており、特に疎遠な人とのやりとりには「わずらわしい」というのが本音。今後、中元·歳暮は減少傾向と思われるが、気持ちを伝えやすい身近な人とのやりとりは残ると考える。
  • 森 英子
    p. 98
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    証券会社が大学に金融関係の講座を提供する風潮がある。原論中心であり、テクニックには言及せず、手の内を開かす筈もない。学生に役立つのは後者なのだが。個人が投資に消極的なのは情報不足と、それ以上に金融業者に操られたリスクの苦い経験があるからである。最近の金融業者の個人顧客軽視と金融サービス法の不備を実証する。(1)倒産マイカル社の社債は専ら法人·機関投資家向けであったが財政悪化を察知し買わなくなると証券会社は、情報に疎い個人に売り付けた。目論見書を渡せば金融サービス法の不備ゆえに法的責任なし。(2)MMFの元金割れの被害はエンロン社の危機を察知したプロは早く解約し逃れ、個人が被った。金融業者のモラル向上と金融サービス法の完備以外に個人のリスク回避は不可能である。
  • —日本版General Social Surveys第2回予備調査データを用いて—
    尾崎 裕子
    p. 99
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    わが国では約1/3の世帯でペットが飼育されているが、飼育動物の種類は様々でその内訳や頭数などについては必ずしも明らかではない。少子高齢化が進みペットが家族の一員としての大きな役割を果たすようになっているが、どのような家庭において、どのような動物が、どのような意識のもとで選択されているのであろうか。集計データからではわかりにくい要因について、1999年日本版JGSS第2回予備調査の個票をもとに、ペット飼育をしている回答者の属性から関連するいくつかの要因を検討する。飼育率は38.0%で、ペット飼育には住居形態が大きく影響している。また飼育動物の種類は最多が犬であったが、室外と室内飼育の比較では家族規模が小さいほどより身近な環境の室内飼育が多くなっている。
  • —学会誌分析—(第16報)20世紀のアメリカ家政学の特質
    吉本 敏子, 東 珠実, 柿野 成美, 古寺 浩, 鈴木 真由子, 田崎 裕美, 増田 啓子, 村尾 勇之
    p. 100
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、アメリカ家政学会誌にみる研究内容の歴史的推移から、家政学の本質を探ろうとするもので、本報では、1990年代の特徴を把握するとともに20世紀のアメリカ家政学の特質を明らかにする。そこで1909年から2000年までに発刊されたアメリカ家政学会誌Journal of Home Economics, Home Economics Research Journal, Journal of Family and Consumer Sciences, Family and Consumer Sciences Research Journal全890冊における6,449本の論文の分析を行った。その結果、年代別論文数と領域別論文数の時系列的推移、年代間の類似性、また学会名称の変更が行われた1990年代の特徴などが明らかになった。
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