一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第54回大会
選択された号の論文の401件中151~200を表示しています
  • 菊永 茂司, 石橋 源次
    p. 151
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
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    長距離ランナーは、スポーツ貧血や疲労骨折等の無機質の栄養状態に起因する疾病を発症しやすい。しかし、その望ましい摂取量は策定されていない。無機質の尿への排泄量は、体内必要量の充足状態や摂取量によって変動する。そこで、尿中無機質量を反映する因子で処理した指標により、望ましい摂取量を推定できる可能性を考えた。長距離ランナーに先んじて、安定した無機質の代謝状態にある健常な女子大生を被験者にしてそれら指標の妥当性を検討した。その結果、排泄無機質量を尿中クレアチニン量やBMR, BMIで除した指標は、いずれも有意に高い相関を示した。また、一日尿のそれらの指標と初尿の指標との間に有意に高い相関があり、初尿のそれらの指標から望ましい摂取量を推定できる可能性が示唆された。
  • 末田 香里, 鄭 玉栄
    p. 152
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
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    月経周期における嗅覚の閾値と快楽度を測定した。20∼26歳の女性19名を対象とし、基礎体温に従って、月経周期の月経期、卵胞期、排卵期、黄体期を確認し、それぞれの時期でアンドロステノン、フェニルエチルアルコール、バニリンに対して嗅覚を検討した。結果1)フェニルエチルアルコールに対する感度は月経期、卵胞期、排卵期、黄体期で差はなかった。アンドロステノンに対する感度は黄体期に比較して排卵期で高くなった、一方バニリンに対しては月経期と比較して排卵期で低くなった。2)快楽度は匂い物質によって評価点は異なったが、月経周期で差はなかった。以上匂い物質の種類によって月経周期に伴う閾値の変化に差がみられた。匂いに対する快楽度と閾値との間には相関はなかった。
  • 江口 雅美, 丸山 悦子
    p. 153
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
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    目的 おいしい白飯に重要とされる条件をイメージにより明確に設定するためにアンケート調査を行った。方法 関西圏の10∼20代の男女学生を対象とし、一対比較法により解析した。結果 おいしい白飯に重要な要因としてうま味、甘味などの味要因が重要視され、色、透明感、つやなどの外観は重要度が低く、因子別では味、硬さ、形状、表面の粘り、弾力、香り、外観の順であった。おいしい白飯の要因として美容、スタミナ、消化、栄養バランスなどに有意差が認められ、女性の方がおいしい白飯は健康的であると認識し、いずれも健康の因子が第一因子であった。
  • 丸山 悦子, 佐藤 真美, 勝田 啓子
    p. 154
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
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    目的 米飯の食味の約70%を占めているテクスチャーを数量化するため、刺激と応答を客観的に評価し、米飯品種間の差異を明らかにするため、レオロジー的要因の面から検討し、その要素解析模型を示唆した。方法 農研センターの供試米17品種を用いた。炊飯米の物性測定には山電(株)製レオメーター(3305型)を使用し、テクスチャー、破断、クリープ測定を行った。溶出でんぷんの分子量の測定にはMalles HPLCシステムを使用した。結果 食味良好米飯は口中で流動変形があり、低食味米飯ほど直線的にひずみ一応力が増大し、最大荷重が大で、食味と破断特性値には違いがみられた。古米、新米、もち米についてのクリープ解析から、6つの物性要素模型に分類された。
  • 小川 宣子, 山中 なつみ, 長屋 郁子
    p. 155
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
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    炊飯過程におけるCaが飯の性状に及ぼす影響を硬さ, 破断応力, 瞬間弾性率(E0)と定常粘性率(ηN)から調べた結果、0.0018N Ca溶液で炊飯した飯は蒸留水で炊飯した飯に比べ、硬さ, 破断応力, 瞬間弾性率が大きくなり、Ca濃度が濃くなるほどこの傾向は顕著であった。洗米·浸漬時の米へのCaの浸透は、洗米·浸漬時により、Caは米の表面10%の部分では内部より胚乳細胞壁に沿って多く存在していた。また、洗米·浸漬時のCaの存在により、飯の体積増加率は小さく、硬さ, 破断応力, E0, ηNは大きくなった。糊化度は88.37と洗米·浸漬時にCaが存在しない飯の94.05に比べて小さくなった。飯のCa分布は米の場合と同様の傾向であった。
  • 筒井 和美, 勝田 啓子, 丸山 悦子
    p. 156
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
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    冷凍∼解凍(冷蔵)の繰り返しが、粳米デンプンゲルの安定性にどのような影響を及ぼすかを力学測定(クリープ、破断測定)および熱的測定(DSC測定)により検討した。DSCの1st-scanでは二つの吸熱ピークが観察されたが、貯蔵後の2nd-scanでは2ndピークのみがより高温側にシフトし、エンタルピーの減少が観察された。冷凍∼解凍(冷蔵)を繰り返すと、ゲルのクリープコンプライアンスは冷蔵のみのゲルに比べ著しく小さくなり、3サイクル繰り返すと破断測定ではショルダーが観察された。以上から、冷凍∼解凍(冷蔵)の繰り返しにより予想以上に固く、脆いゲルとなる、即ち老化が促進されることが判明した。
  • 手塚 尚子, 高橋 節子
    p. 157
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
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    アワの調理適性を明らかにすることを目的としてアワ澱粉を抽出し、その理化学的性質を検討した。アワ澱粉の調製は、アワ粉を5倍量の0.2%水酸化ナトリウム溶液に1回または3回懸濁し、酸で中和後、水で洗浄する遠心分離法により抽出し、従来法と比較した。得られたアワ澱粉の収率、タンパク質含量、灰分、透光度、粘度、物性ならびに澱粉粒の観察を行った。アワ澱粉は、0.2%水酸化ナトリウム溶液に3回懸濁する方法で純度の高い澱粉が調製できた。1回懸濁に比べ透光度が高く、高粘度で、ゲル化性の高い性質を示し、タンパク質含量、灰分においては低い値であった。また澱粉調製に約20日間を要する従来法に対し、遠心分離法では約3日間でアワ澱粉の調製が可能であった。
  • 木村 友子, 菅原 龍幸, 亀田 清, 佐々木 弘子, 中茎 秀夫
    p. 158
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
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    蒟蒻飛粉を食品素材として活用する目的で, 無処理飛粉(素材 C), 超音波併用のエタノール処理品(素材A), エタノール処理品(素材B)を添加したビスケットを製造し,その製品の化学成分, 嗜好と保存性に及ぼす影響を研究した。結果は, 素材Aは副材料として小麦粉の10%まで添加でき, 焼成品(試料A)の成分はたんぱく質, 食物繊維, 無機成分の含有量が無添加品(試料S)より多く栄養特性の改善が期待された。製品の嗜好性に関与する遊離アミノ酸では試料Aは試料SよりAsp, Glu, Ala, Serなどが多く含まれ, しかも遊離糖の含量が多く旨味を付加し, 嗜好面では試料Aは試料Sと同程度に好まれた。しかし, 素材B, Cの10%添加品は食味が劣った。試料AとSの48日間, 明所(1,500Lx)保存中のPOVは両者とも大きな油脂の変敗はなく安全であった。
  • 市川 朝子, 下坂 智惠, 高井 有香, 清水 友里, 下村 道子
    p. 159
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
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    ポン·デ·ケイジョは独特のモチモチとした食感が日本人に好まれ、最近はパン屋でもよく見かけるようになった。そこでこのモチモチ感を米粉を用いて調製する方法を検討した。米粉は上新粉、白玉粉、上新粉と白玉粉を50%ずつ混合したもので比較した。生地中の水分量、捏ね回数、チーズの種類と形状などが製品の比容積、水分率、硬さ、官能検査にどのように影響するかを検討した。その結果、米粉では白玉粉が多く含まれるものの方が比容積が大で軟らかく、官能検査でも好まれた。捏ね回数を増やしても比容積、硬さに差はみられなかった。チーズは粉末状で、生地中の水分量が43∼48%前後になるように均質に混ぜ込むと、生地に気泡が形成され、それが製品の膨化と適度な硬さに寄与するものとみなされた。
  • 堀内 理恵, 山手 好枝, 福田 満
    p. 160
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
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    乾燥オカラ添加パンを生産して, パンの微細構造, 物性, 食味特性について調べた。また, パンを冷蔵保存し老化についても測定した。オカラの添加の有無によってパンの微細構造の差異が認められた。小麦粉のオカラ置換によって, 高さ, 比容積は減少し, 置換率が20%以上になると減少率が大きくなった。水分含有率, 硬さは増加し, 凝集性は低下した。以上の測定の結果より, パンにおいては10%まで置換可能であったが, 官能検査では, 20%まで置換可能であった。また, オカラで置換することにより老化が抑制されることがわかった。
  • 柴田 由美子, 飯野 久和, 島田 淳子, 小崎 道雄
    p. 161
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    酒饅頭の製造工程別の詳細な微生物の変化を知るため微生物相の検討するとともに, 分離酵母を用いて実験的な酒饅頭の膨化とその比較を目的として, 生地の膨化実験を行った。試料は酒饅頭の製造所で麹, もと汁, 生地, 種を採取し常法を用いて検討した。次に3種の製造所の生地から分離した酵母を添加したモデル生地を調製し, 遠心沈殿管に充填し, 26℃で酵母の生地膨化力を測定した。製造工程で分離された酵母は, いずれも, マルトースの発酵性が強い, Saccharomyces属酵母であった。分離酵母3株を選択し膨化実験を行った結果, 生地の膨化は菌株間に若干の差異が認められたものの, もととして甘酒を用いた場合の方がマルトース添加生地に比較し膨化速度が早かった。
  • 石黒 初紀, 神田 由紀, 小西 雅子, 渋川 祥子
    p. 162
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    現在、蒸し加熱とオーブンの機能をあわせもつスチームコンベクションオーブンは大量調理に用いられ、その利点がしられているが、加熱特性の検討は充分とは言えない。そこで、加熱するジャガイモの大きさを変え、温度と湿度の設定条件と調理成績の関係を検討した。ジャガイモモデルとして、市販のマッシュポテトフレークを練ったものを使用し、3種類の型に詰め成形し、庫内温度を5段階、蒸気量を3段階に設定し、加熱時間、試料内部の温度上昇速度、試料の水分変化、仕上がりの表面状態、焼き色、硬さを測定した。加熱時間、初期の中心部分の温度上昇速度、水分蒸発率は大きさにかかわらず、庫内温度低温では、蒸気量の影響を受けるが、庫内温度高温では蒸気量の影響を受けにくいという結果が得られた。
  • 神田 由紀, 石黒 初紀, 小西 雅子, 渋川 祥子
    p. 163
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    蒸し加熱とオーブンの機能を兼ね備えたスチームコンベクションオーブンは、大量調理において、その利点が知られているが、その特性の検討は十分とは言えない。そこで、材質による加熱特性を明らかにするために、加熱温度と湿度の設定条件、試料の大きさを等しくし、異なる材質の調理成績を比較、検討した。試料に鶏ムネ肉の挽肉を用いて3種類の型に成型し、庫内温度を5段階、蒸気量を3段階に設定し、同条件で加熱したマッシュポテトと加熱時間、試料内部の温度上昇速度、重量変化、仕上がりの表面状態について比較した。加熱時間と初期の中心部の温度上昇速度は、材質の違いによる差は見られなかった。重量減少率は、ジャガイモは蒸気の存在により低下したが、鶏肉は蒸気による低下は見られなかった。
  • 辰口 直子, 渋川 祥子
    p. 164
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    先行研究では有限要素法プログラムを用い、試料の大きさ、形状を変えた場合でもゆで加熱時の食品の温度上昇を予測できた。しかしこの場合は限られた個数に対する予測である。そこで本研究では実際の調理条件に見合った量の推定を調べることを目的とし、試料の量を変えて解析を行った。熱電対で試料中心温度及び鍋内中心水温を測定し、有限要素法解析ソフト(Ansys Ver5.7)で算出された解析値と実測値を比較した。境界条件として鍋内水温実測値を使用しシミュレーションを行った結果、試料の量や水量が変わった場合でも、内部温度履歴の実測値と解析値はよく一致した。従って水温を予測することにより試料の量が変化しても、有限要素法による加熱時間の推定は可能であることが確認された。
  • —最適加熱時間に及ぼす浸漬および浸漬冷凍の効果—
    香西 みどり, 関谷 陵子, 畑江 敬子
    p. 165
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    大豆の加熱時間を短縮する方法として、浸漬や浸漬冷凍の前処理を行い、これらの処理が軟化速度と煮熟時間に及ぼす影響を検討した。浸漬条件は20℃で20h、冷凍条件は−20℃で24h、解凍条件は20℃で2hとした。75∼99.5℃で所定時間加熱をした試料の硬さ。吸水率を測定し、その経時的変化から速度論的解析を行い、軟化の速度定数を求めた。無浸漬大豆では吸水による軟化と加熱による軟化がカップリングしていると予測され、官能検査により決定した最適加熱時間が約160分であった。浸漬処理大豆では、予め吸水による軟化が進行していたと考えられ、最適加熱時間は約73分に短縮された。浸漬冷凍処理大豆では、永結晶による組織損傷の影響により、最適加熱時間が約44分となった。
  • —竹炭浸漬液で加熱した豆類の調理特性—
    熊崎 稔子, 貝沼 やす子, 溝口 忠, 福田 靖子
    p. 166
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    竹の利活用が望まれており, 竹を炭化させた竹炭も利用法の一つである. 竹炭の浸漬液には無機成分が多く溶出している. この浸漬液を調理·加工に利用すると水とは異なった特性を持つと考えられる. 本研究では浸漬液を用いて豆類を煮熟した時の煮汁および豆の調理特性について検討した. 竹炭は一定条件(500, 800, 1100℃で炭化したものを用いた. 各竹炭を蒸留水に浸漬し, その浸漬液で大豆と金時豆を煮熟した. その結果, 浸漬液のpHは炭化温度が高いほど高く, 豆を煮熟するとpHは低下した. 浸漬液の伝導度は炭化温度800, 1100, 500℃の順に低くなったが, 800℃は著しく高かった. 800℃の浸漬液で煮た2種の豆は500, 1100℃の豆より軟らかく, 色も濃かった.
  • —渋切りの有無がささげ赤飯の色調におよぼす影響—
    比護 和子, 小倉 史子, 村上 智子, 林 一也, 津久井 亜紀夫
    p. 167
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    ささげ(岡山県倉敷市陶産)40gに7倍量の純水280gを加え、沸騰後15分間加熱して、煮豆と煮汁液を調製した。この煮汁液に洗ったもち米を加え室温で3時間浸漬した。もち米と米浸漬液にわけた後、もち米に煮豆を加え40分間蒸煮した。この時10分毎に3回振り水(米浸漬液)を行った。煮豆の渋切りの有無が、煮汁液、米の浸漬液および赤飯への影響について、色調(L*a*b*値)の測定を行った。煮汁液の色調(a*値、b*値)は、渋切り有無ではほとんど差がなかった。煮汁液により着色したもち米は、蒸煮することによりさらに赤みが増し、赤飯の色は、渋切りした煮汁で作った方が、渋切りしない方より若干赤みが見られた。
  • 大羽 和子, 森山 三千江
    p. 168
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    乾燥豆100g中のVC量はエンドウ属で多く、南海緑(7.40mg)>久留米豊(5.59mg)>白竜(3.23mg)>ウスイ(0.32mg)であった。ササゲ属では緑豆で最も多く(6.50mg)>小豆(2.61mg)>大納言(0.46mg)>大緑豆(0.45mg)の順に少なくなった。ダイズ属ではつるの子(3.50mg)>たまほまれ(2.48mg)>黒大豆(1.95mg)>大袖(0.72mg)であった。ソラマメ属では早生そらまめ(1.65mg)>さぬき長莢早生(2.01mg)>仁徳一寸(0.21mg)であり、インゲン属は4種のうち大正金時(0.84mg)、虎豆(0.10mg)でVCが検出できた。ラッカセイは微量(0.13mg)存在した。水浸漬後にはエンドウ属のVC量は減少したが、ササゲ属の緑豆(29.2mg)、黒緑豆(1.41mg)、ダイズ属のつるの子(3.99mg)、黒大豆(2.66mg)で増加した。しかし、煮熟後にはVC量が検出されないほど減少した。
  • 外山 友紀, 亀田 清, 吉田 久美
    p. 169
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    梅干しの赤色は、高い食塩濃度(約20%)による水の運動性低下と、梅の有機酸により梅酢が酸性になるため安定である。しかし、着色に影響する要因は解明されていない。そこで、着色開始時に梅酢量とpHを調整して、梅の着色を調べた。17kgの南高梅を、常法(20%NaCl)と減塩条件(10%NaCl, 10%EtOH)で塩漬け後、梅酢量を生梅1kg当たりに0.47Lとし、赤シソを加えた後にクエン酸とNaOHでpHを2とした。経時的に梅酢を赤色、色素成分の変化、及び梅の色を分析した。結果、梅酢pHを2とすることで減塩梅干しも常法とほぼ同程度に赤くなり、着色には梅酢中のアントシアニンの安定性が大きく寄与することがわかった。さらに、梅の果肉から色素を抽出して分析したところ、その組成比は梅酢と異なり、ロズマリン酸が多いことがわかった。
  • 堀 光代, 説田 佑子, 粕谷 志郎, 庄司 善哉, 長野 宏子
    p. 170
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    伝統発酵食品である乳製品、饅頭、魚醤等に関与している微生物を探索しているが、これら微生物が産生する酵素の働きとして小麦粉たんぱく質を分解する事などをこれまでに明らかにした。小麦中のアレルギー物質は従来から言われている塩可溶性画分のみならず、塩不溶性画分についても報告されている。伝統発酵食品から分離した微生物の安全性と小麦粉たんぱく質の作用を検討した。微生物の安全性試験では、微生物すべての群において体重増加、解剖所見、臓器重量ともにコントロール群と有意な差は認められなかった。コラーゲン分解能の測定では遊離アミノ酸含量の増加が認められた。塩可溶·塩不溶性画分におけるSDS-PAGEでは塩可溶性画分は酵素の働きにより分解され、疎水性部分の分解が示唆された。
  • 今井 由紀, 小田 きく子
    p. 171
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    中国特殊調味料の使用拡大のために中国料理以外の日常食への利用法を考察することを目的とし、文献·調査によりその種類·特徴·使用法および販売状況を調べ、実際にそれらを用いて(1)豆板醤を入れた炒り鶏(2)ごう油を入れた鶏肉の酢煮(3)海鮮醤を入れたロールみそかつ(4)ごう油と葱油を入れたトマトソースのオムレツ(5)ごう油を入れたブリの照り焼き(6)豆板醤を入れたブリの照り焼き(7)豆板醤を入れた大根の酢の物の7種の料理を試作·試食した。その結果、(1)豆板醤を入れた炒り鶏と(6)豆板醤を入れたブリの照り焼きは通常のものより評価が高く、効果的な利用法であるといえる。逆に(3)海鮮醤を入れたロールみそかつと(7)豆板醤を入れた大根の酢の物は通常のものより評価は低く、効果は認められなかった。
  • 荒田 玲子, 田中 景子
    p. 172
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    植物由来の天然ミネラル素材であるアクアミネラルを食パン、チョコレート、パスタ、クッキー、アイスクリーム、ゼリー、てんぷら衣等の調製初期に添加して、その適応の良·不良を確認した。結果は、(1)アクアミネラルは無味無臭の微粉末なので、各食品とも官能検査結果は良好である。(2)チョコレートのテンパリングを容易にする。また、ブルーム現象を起こしにくくし、食感の改良効果がある。(3)小麦粉ドウの粘弾性を高める。食パンの発酵を若干阻害し食感を変える。等の結果を得た。以上、ほとんどの食品や、料理へのアクアミネラルの添加は大きな問題が無く、カルシウムと同時にマグネシウム等の微量成分を補給でき、現代の食バランスの向上に寄与する、使いやすいカルシウム食材であると言える。
  • 新井 映子, 原 安夫
    p. 173
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    水道水を弱電解処理して得られる酸性電解水とアルカリ性電解水を使用して豆腐を製造し, その特性を水道水使用の豆腐と比較した. 酸性電解水およびアルカリ性電解水で製造した豆腐は, 水道水よりも軟らかくて保水性に富み, 組織が均質であった. これは, 電解生成水によるタンパク質の構造変化によると推察された. 官能検査では, アルカリ性電解水で製造した豆腐は, 水道水よりもこく味が強いと評価された. これは, アルカリ性電解水により, 豆腐のカルボニル化合物が増加したためと推察された. 一方, 酸性電解水で製造した豆腐は不快味が生じ, 水道水よりも好まれなかった. これらより, 豆腐の製造に電解生成水を使用すると, 水道水で製造した場合とは異なる特性を有する豆腐を製造できることが判明した.
  • 畑江 敬子, 木下 暁子, 松本 美鈴, 香西 みどり
    p. 174
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    肉を加熱するときにワインを添加すると、肉が軟らかくなったり風味が向上したりするといわれている。結合組織が多く硬い部位である牛すじを、ワインで加熱すると水より軟化が早く、その効果は赤ワインより白ワインの方が、また予め浸漬させた方が大きかった。肉の加熱に伴う重量と粗タンパク質量の減少量は水よりワインの方が大きかった。走査型電子顕微鏡により水·白ワイン煮では加熱時間の延長に伴い組織が膨潤して表面構造が粗くなり、白ワインで60分加熱し軟化した試料ではコラーゲン繊維の一本一本が明瞭に区別できた。赤ワイン煮では肉表面が膜に覆われたような様相となりタンニンや色素の沈着がみられた。牛すじのタンパク質量の変化や結合組織膨潤が、軟化に関与していると考えた。
  • 西村 公雄, 宮本 有香
    p. 175
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
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    鶏ささ身を75及び100℃で15分間真空調理した。官能検査及び物性測定を行った結果, 75℃加熱した試料の方が軟らかく, 筋肉組織がしっかりしていることが推察された。走査電子顕微鏡観察では75℃加熱の試料は, 100℃加熱のものに比べ, 筋線維間が狭く, 加熱前に近かった。ミオシン溶液(約4.0mg/ml)を両温度にて10分間加熱したところ, 75℃加熱では, ミオシン分子の凝集体が均一に分布していたが, 100℃加熱ではその分布は不均一となった。1-Ethyl-3-carbodiimideを30mMとなるよう両加熱後のミオシン溶液に添加し, 10% 2-Mercaptoethanol存在下でSDS-PAGEを行ったところ, 75℃よりも, 100℃加熱の方が, 重合化の促進が認められた。このことは, 75℃より100℃加熱の方が, ミオシン分子間が近接していることを示していた。
  • 田中 智子, 森内 安子, 逵 牧子, 森下 敏子
    p. 176
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
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    レモン果汁を魚の酢じめに使用した場合の魚肉の硬さと食味に及ぼす影響について検討した。レモン果汁と酢の配合を変えた4種類の条件で5時間浸漬し、硬さとpHおよび官能検査を行なった。レモン果汁は市販品を用いた。魚の酢じめにレモン果汁を用いると、酢より魚肉に早く酸が浸透し、酢100%の場合より魚肉は早く軟化した。また、レモン果汁の配合割合においてはレモン果汁の増加とともに、酸の魚肉への浸透は早くなり、魚肉の軟化が認められた。また、レモン果汁の配合を変えた酢じめについて、順位法による官能検査を行ったところ、サバは酢とレモン果汁が8:2の場合、うまみにおいて有意水準5%で好まれることが認められた。
  • 藤 恵子, 梅木 陽子, 太田 朗子, 早渕 仁美
    p. 177
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    魚卵有効活用のための基礎知見を得る目的で、卵巣の魚種による相違を明らかにするとともに、凍結解凍が卵細胞及び卵膜の組織形態に与える影響を検討した。魚卵巣の入手性は、年間を通しての卵巣集積度、取り扱いの難易度や卵質(退行卵の有無)等から、スケトウダラ>コイ>カツオ>マダイの順に容易かつ良好であった。卵巣の形状や構造は魚種によって異なり、卵径組成はスケトウダラとコイで二峰型、マダイとカツオで多峰型を示し、前者の方が均質な卵巣構造をしていることが示された。卵巣の凍結解凍に伴い、マダイとコイの両者とも卵細胞には構造崩壊がみられたが、卵膜はその基本構造を維持しており、海産魚、淡水魚による顕著な相違は認められなかった。
  • 太田 朗子, 梅木 陽子, 藤 恵子, 早渕 仁美
    p. 178
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    魚卵有効活用に際し、凍結解凍及び貯蔵期間が魚卵の卵膜·卵内部液におよぼす影響についてスケトウダラ卵を用いて検討した。凍結後、卵巣は赤みを帯び、卵は透明化し、卵径が増大した。遠心分離後のペレット重量割合、分離層数は減少し、液層·ペレット層ともに透明感が増した。上清の粘度は低下し、タンパク質分子量構成が変化した。顕微鏡下で不透明であった卵は透明化した。NaCl水溶液浸漬時の配向上昇は速くなり、卵の膨潤の程度は減少した。凍結期間中の大きな変化はなかったが、長期ではペレット重量割合や上清タンパク質分子量構成が変化し、NaCl水溶液浸漬時の卵膨潤は減少傾向にあった。スケトウダラ卵は凍結前後で最も変化し、凍結貯蔵期間による変化は比較的小さいことが分かった。
  • 梅木 陽子, 太田 朗子, 藤 恵子, 早渕 仁美
    p. 179
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    マダイ卵巣は肌色で卵の形状は不均一で小さく、コイ卵巣は灰色で重量はマダイと比較し約6∼8倍大きく、卵は均一で大きかった。凍結後、いずれの卵巣も赤みを帯び、透明化した。pHはいずれも冷蔵、凍結が長くなるにつれ低下し、コイの冷蔵で顕著であり、強い腐臭を伴った。遠心分離によって得られたペレット重量割合は、凍結後いずれも減少し、特にコイの凍結後の変化は顕著であった。上清タンパク質分子量構成は凍結後、分子量の大きい成分の増加がみられた。偏光顕微鏡観察では、不透明であった卵が凍結後若干透明化し、凍結6ヶ月後でマダイは2.5%NaCl中で、コイは水中で卵の顕著に膨潤した。いずれの卵も冷蔵により腐臭を伴い劣化し、凍結により卵内部の性質が変化し、浸漬液の浸透性にも変化がみられた。
  • 長野 隆男, 西成 勝好
    p. 180
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    BST式を用いて圧縮速度が卵白ゲルの圧縮—歪み曲線に与える影響を明らかにする目的でおこなった。圧縮速度を変えて得られた卵白の圧縮—歪み曲線は, BST式でどの圧縮速度においてもよく適用できた。そこでBST式を適用させて, ヤング率(E), 破断応力(σB), 破断伸長比(λB), 弾性パラメータ(n)の値を求めた。その結果, Eは圧縮速度が速くなるに従い直線的に増加した。σBも圧縮速度が速くなるに従い増加したが, 低圧縮速度領域と高圧縮速度領域では異なる増加率を示した。λBは, 圧縮速度に対して下に凸の曲線となった。nは低圧縮速度領域ではゲルの濃度による違いがほとんど観察されなかったが, 高圧縮速度領域で濃度依存性がみられた。
  • 山本 恵梨子, 勝田 啓子, 丸山 悦子, 上田 隆宣
    p. 181
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    加熱過程における乳清タンパク質(WPI)のゾル-ゲル転移点の定量化を目的に、フーリエ合成波を用いた周波数分散同時測定法を試みたところ、FT-RM(Fourier Transform Rheometry)法により、非線形性を排除しながら、加熱ゲル形成過程での粘弾性パラメーターの周波数分散同時測定を行うことに成功し、力学的ゲル化点の定量化とべき指数の算出を可能とした。WPI 14wt%分散液の貯蔵弾性率G′および損失弾性率G″は温度上昇に伴い69℃付近でドラスティックに増加し、69.9℃で同じ周波数依存性(力学的ゲル化点)を示した。この時の指数nは0.20であった。また、ゾル-ゲル転移点は濃度の増加に伴い低温側にシフトし、指数nは大きくなった。
  • 武田 珠美, 香西 みどり, 島田 淳子, 福田 靖子, 畑江 敬子
    p. 182
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    すりゴマの物性の加水による変化を明らかにする目的で、200°Cで10分間焙煎したゴマを電動磨砕機で1∼50分間磨砕した。各すりゴマに12.5∼100%(w/w)の脱イオン水を混合し、加水すりゴマを調製した。硬さ、付着度(付着性/硬さ)をテクスチュロメータで測定した。いずれの磨砕時間のすりゴマも12.5%加水のとき最も硬く、加水前より硬かった。磨砕時間15分以上では25∼50%加水のときも添加により硬くなった。硬化後は加水量の増加に伴い軟化した。付着度については、磨砕時間1∼10分間のすりゴマはどの加水量でも加水前より増加した。遠心分離により加水量が50%までは油が分離し、100%になると水が顕著に分離した。光顕により、15分間磨砕したゴマに100%加水した際、油滴が分散している像が観察された。
  • 平尾 和子, 松永 直子, 高橋 節子
    p. 183
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    澱粉を主原料として調製する芋羊羮を取り上げ, う歯予防やカロリーの低下作用を有するトレハロースを, 蔗糖の0, 25, 50, 75および100%置換した場合の物性, 官能評価に及ぼす影響および冷凍·解凍安定性について検討を行った. また, 絹素材食品(以下シルクゲルとする)を水に対して0, 5, 10, 25あるいは50%添加し, 同様の検討を行った. 芋羊羮にトレハロースを添加することにより硬さ, 破断力は低下し, 冷凍·解凍安定性は増した. シルクゲルは5%の添加により硬さ, もろさは増加したが, 10%以上の添加では逆に低下する傾向がみられた. 官能評価ではトレハロース25%添加の芋羊羮が蔗糖で調製したものと同様に好まれ, シルクゲルを添加した芋羊羮は, 無添加のものに比べてつやがあり, 有意に好まれた.
  • 大橋 きょう子, 島田 淳子
    p. 184
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    ジアシルグリセロール(DAG)の乳化特性の基礎的知見を明らかにすることを目的とした。脂肪酸組成、トコフェロール含量をそろえた調製DAGとTAGを試料油とし、油相体積比70%、卵黄:3.5%酢酸水溶液1:1、食塩、辛子、胡椒、砂糖を各々全量の1, 1, 0.5, 1%(w/v)とし、更に食塩のみ0.1∼6.0%まで濃度を上げた。卵黄、酢酸、副材料の混合物に試料油を0.1ml/secで滴下しつつ6,000回転で10分間攪拌し試料を調製し、流動特性と粒度分布を測定した。その結果、DAG·TAG共に食塩、辛子、胡椒の添加がエマルションの粘度を有意に高め、食塩の効果は他の材料に比べ乳化に大きく影響し、特にDAGにおいて顕著であった。TAGは食塩濃度の上昇に伴い粘度は徐々に高くなり6.0%でもエマルションを形成した。DAGは食塩濃度1.1%までは粘性が高く1.2%以上になると次第に低くなり2.0%で分離した。DAGは乳化形成においてイオンの影響を受け易いことが明らかとなった。
  • 森高 初恵, 木村 修一, 福場 博保
    p. 185
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    マトリックスジェランガムゲルに微小粒ジェランガムゲルを混合した固体-固体分散系ゲルの力学特性について検討した. マトリックスへCaCl2を添加した系では, 微小粒ゲルの混合割合が増加するほど破断応力, 歪み, エネルギーは減少し, CaCl2無添加マトリックスでは, 破断応力, エネルギーは増加し, 破断歪みは減少した. 30%圧縮では, 塩添加ゲルでは混合割合が増すに従い, もとの形が変化したが, 塩無添加ゲルでは形状が保持され, 微小粒ゲルの混合により構造が強化されていることが確認された. 貯蔵弾性率の温度依存性は架橋領域同士にある程度の連続性がある場合には強く現れ, 微小粒の混合割合が高くなるとこの性質の発現は低下した. 離漿は塩添加の有無に関わらず, どの混合割合においても時間経過と共に離漿量が増える傾向があることが確認された.
  • 高正 晴子
    p. 186
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    目的 江戸時代に12回来日した朝鮮通信使のうち1回目から11回目までは江戸まで(2回目は伏見まで)往復し、12回目は対馬で聘礼が行われた。通信使が通過した各地では当時の最高級の日本料理で饗応し食糧の調達も行った。本研究では明暦度(1655)の饗応を明らかにすることを目的とした。方法 「対馬島宗家関係文書」、「宗家記録」その他通信使関係文書、先行研究を資料とし、明暦度の饗応を明らかにする。結果 往路の饗応献立は、三使·上々官には七五三引替三汁十五菜·七五三四つ目五つ目引替三汁十五菜等で饗応地により献立形式は異なる。通信使の好物の猪、豚、雉、鴨、雲雀等の獣鳥肉類が見られる。明暦度の饗応は絢爛豪華であるが、これ以降の饗応は次第に簡略化された。
  • 西明 眞理, 武藤 慶子
    p. 187
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    江戸時代、出島オランダ商館において供されていたオランダ菓子について当時の文献によりオランダ菓子の復元を試みるとともに歴史的背景について検討した。「阿蘭人日本渡海記·全」の「菓子の類」の記述にはパステイ、ソイクルブロート、ワアフル、ボウフルチイ、ブルードル、カネールクーク、スペレッツ、スース、ヲベリイ、ヒロース、タルタ阿んの品々があげられ計11種の菓子について製法が記載されていた。そこでこれらの菓子を制作するとともに、個々の菓子について復元方法の根拠、料理名の由来、食材等に関してしらべた。これらの菓子を現代および過去のヨーロッパの菓子類と比較したところ江戸時代に入ってきたヨーロッパにおける当時の古典菓子、伝統菓子とみられた。
  • 武藤 慶子, 西明 眞理
    p. 188
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    これまで家庭内において日常食の調理技術や料理づくりは母から子どもに伝えることが多かった。しかし食をとりまく環境の変化は家庭における食事づくりに変化を与えている。母親達がどのように日常食の料理づくりの伝承を考えているのかの実態を把握するとともに、子供への料理づくりを教える時期や母親の食行動等12項目で、留め置き法でアンケートを実施した。料理づくりを教えたことがあると答えた者が49%でこれから教えるが47%であった。教える時期は小3·4年29%小1·2年28%であった。教えたい日常食はみそ汁、カレーであった。積極的な食行動をとるグループが子どもへの料理づくりを教えることに積極的な傾向がみられる。
  • —鯖の食習慣の地域性と鯖街道の関わり—
    今田 節子, 藤田 真理子
    p. 189
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    伝統的鯖の食習慣は西日本に多く, その地域性の境界線付近に存在する小浜から京都に至る鯖街道は, 鯖の食習慣の伝播や地域性形成へ大きく影響をおよぼしていた。江戸時代から塩鯖, 刺し鯖, 樽鯖が小浜から京都へ街道を通して運搬された。小浜から運ばれた生鯖が熊川で塩をされ, 仲買人によって京都まで運ばれたり, 小浜から村々を売り歩いて熊川まで運ぶ方法があった。鯖街道沿いには焼き鯖, へしこ, 鯖すし, 慣れずしの食習慣があり, 鮮魚を使う焼き鯖は小浜市では手作り, 熊川, 朽木では購入, 鯖ずしやへしこは小浜市では生鯖から, 朽木では塩鯖から作られた。慣れずしは小浜市では塩抜きしたへしこから, 朽木では塩鯖から作られ, 熊川では両方の方法が混在していた。
  • 今田 節子, 藤田 真理子
    p. 190
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    大正末期の食生活が記載された『日本の食生活全集』, 大正期の食生活が記載された『日本の衣と食』, 明治期以降の交易·運搬が記載された『日本民俗地図』第4集を資料に, 鯖の食習慣の地域性と鯖の漁獲地·流通のかかわりを探った。鯖にまつわる食習慣は北陸·近畿地方以西の西日本地域に多くみられ, 鯖の流通の面からも同様な地域性が確認された。そして, 東日本に比べ西日本地域での鯖の流通範囲は広く, 北陸から北近畿·山陰·九州·四国南部·紀伊半島沿岸まで, 西日本を取り囲む形で鯖の漁獲地が分布していた。以上の結果より鯖の食習慣の地域性は明治時代にはすでに形成されており, その背景の一つとして鯖の漁獲地と流通範囲が大きく関与していたことが明らかになった。
  • 板東 絹恵
    p. 191
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】地域性と伝統性を残した行事食に焦点をあて今後の行事食の在り方を考察する。【方法】女子大学生とその母親356名及び小学生の児童とその母親426名について2001年4月から7月の期間、調査用紙留め置き法にてアンケートを実施した。1年間を通じた14種類の行事食について実施状況、手作り状況、意識の差異を中心に検討した。意識の差異は「欠かせない」「おいしい」「手作りしたい」の3項目とし、5段階尺度を加重平均することにより、意識の高さを数量化し比較検討した。【結果】正月関連の行事食は大学生世帯、小学生世帯共に依然として実施率が高かった。手作り率は12種類について大学生世帯の方が高く、中でも正月雑煮が95.4%と最高値を示した。「欠かせない」という意識について大学生、小学生共にクリスマスケーキが加重平均値+1.40と+1.62で一番高く、母親は共に雑煮で+1.50と+1.52であった。また「おいしい」という意識では大学生+1.56、小学生+1.53、小学生の母親+1.31でクリスマスケーキが高く、大学生の母親では+1.18の雑煮であった。大学生と小学生の母親間で独立性の検定を行った結果、「欠かせない」「おいしい」「手作りしたい」という意識について、それぞれクリスマスケーキ、クリスマス鶏料理に有意な差がみられた。
  • 平山 素子, 大澤 清二
    p. 192
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    正月および日常の食生活の様子、お節料理に対する考え方等について家庭の主婦を対象として1992年、2002年に質問紙調査を行った。お節料理の調理率は、全ての品目において1992年と2002年の調査結果の間で両者に有意な差が認められた。お節料理の調理に影響を与える要因として、1992年の調査では、お節料理を用意するにあたり留意する事項等が、2002年の調査では、梅干しの作製、裏ごし器·正月用食器の使用、お節料理に対する考え方(見栄え·豪華さが大切)等があがった。また、惣菜の使用頻度、重箱の使用、お節料理に対する考え方(正月になくてはならぬもの)等は1992年、2002年の調査で共通にお節料理の調理に影響を与える要因であることが明らかになった。
  • 中村 葵, 久保 加織, 堀越 昌子
    p. 193
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    典型的な1食分の献立を用意しそれを食べると仮定した上でごはんを自由につがせ1食分のごはん摂取量を秤量し、又うつわに焦点をあてて摂取量認識への影響を見た。ごはん目安量に対し平均で78%、年齢別性別で大きく差が表れ特に女性で不足気味である。何を食べれば良いか知っている者程自分専用のごはん茶わんを持つ傾向にあり、どれだけ食べれば良いか知らない者は専用ごはん茶わんを持たない傾向が認められた。高校生迄の食事スタイルが食事摂取量の認識に影響を及ぼし、どれだけ食べれば良いか知っている者程一品ずつうつわにより分けられている食事スタイルであることがわかった。うつわに盛る経験の多い人程食事量の認識が優れておりうつわを使って食事量教育をすることの効果を確認することができた。
  • 今井 悦子
    p. 194
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    目的 属人器の実態の地域による違いを明らかにすることを目的とした。方法 2001年2月、放送大学の宮城、新潟、京都、広島および鹿児島学習センター所属の学生3,482名に対し、家族構成、食器の専用·共用状況と共用への抵抗感、外食の食器に対する抵抗感などをアンケート調査した。解析はχ2検定、CHAIDおよびコレスポンデンス分析を行った。結果 回収率は46%であった。1人世帯を除き、既に報告した埼玉のデータを加えて分析した。どの食器も、各地域の専·共·その他の割合には違いがあった。共用することへの抵抗感の有無は、飯碗、汁物椀および箸において地域差があった。食器の専用実態と共用に抵抗感ありの実態から見て、宮城と新潟、京都と広島はそれぞれ似ていた。
  • 樋口 寿, 武副 礼子, 前田 昭子, 辻野 とも子, 薗田 雅子, 平井 和子
    p. 195
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    3∼6歳の幼児を対象に、排便状況や健康への意識に関する調査を行い、10年間の変化を比較検討した。望ましい1日の食品摂取量を“知っている”と“大体知っている”の合計は、大阪周辺と東京周辺で10年間に増加が認められた。“欠食しない”は両調査年で地域差が見られたが、10年間の差は見られなかった。大阪周辺で“便秘と健康に関連性がある”と答えた割合は、10年間に増加が見られ、“排便は毎日するもの”と答えた割合も、10年間で増加した。“便秘傾向”の割合は、両地域とも10年間に減少が認められた。
  • 中島 園子, 村尾 勝
    p. 196
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    本調査研究では厚生省(現厚生労働省)の調査項目に準じ、主婦の食生活の実態および意識の問題を把握することを試みた。平成13年10月に兵庫県豊岡市内の幼児(2園)の母親を対象に調査した。結果は、30∼39才を中心に、1日のエネルギー摂取量は、ちょうどよいが5割、1日の脂肪摂取量と塩分摂取量は5割強であった。自分の健康のためのエネルギー適量については、まあまあ思うが60.4%であった。自分の健康のための脂肪適量の意識については、かなり思うが47.4%、塩分適量の意識については、まあまあ思うが57.1%であった。エネルギー量適量に対する意識では、自分の心がけが50.3%、次いで市販食品や栄養成分の表示も20%であった。
  • —食生活の構成要素と欲求不満行動との関連性—
    石村 哲代, 近藤 淑子
    p. 197
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    前報では、最近の女子学生の心理的特徴の一つである欲求不満場面における攻撃行動に、食生活の構成要素の一つである食卓を巡る家族関係の有り方が関与しており、良好な群では有意に自責方向の反応(欲求不満のはけ口を他に向けない)を示す傾向を認めた。そこで本報では、食生活の他の構成要素である食餌内容や食習慣の適否と欲求不満行動との間にも特徴的な関連性がみられるのではないかと考え、食餌内容、食習慣、食卓での家族関係に関わる食生活実態調査と絵画欲求不満テストをおこない、前報同様の方法で統計的分析をおこなった。その結果、食餌内容の高得点群では有意に要求固執型の、また食習慣の高得点群では有意に他責方向でない特徴的な反応が認められた。
  • —欲求不満行動と食生活の関係—
    近藤 淑子, 石村 哲代
    p. 198
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    前報までにおいては、女子学生を対象として、欲求不満行動と食生活との関連性について検討してきた。その結果、食生活の中でも食卓を巡る家族関係とP-Fスタディにおける自責反応に有意な関係がみられた。このような食生活と欲求不満行動の関係は、発達途上にあり、心身ともに不安定である中学生においても同様にみられるのだろうか、ということを主たる問題点として、中学生を対象に、P-Fスタディと食生活実態調査を実施した。その結果、望ましい食生活は欲求不満場面においても他を責めることはなく、また、自我防衛反応が少なかった。同様の傾向は食卓での良い家族関係にある者により顕著にみられた。また、他責反応の多い者と少ない者との差異は食餌内容、食習慣、家族関係のすべてにおいて有意な違いがみられた。
  • —若年主婦の食意識を中心に—
    成岡 葉子, 梶浦 由香子
    p. 199
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    味の素(株)では、食生活の大きな流れを捉えることを目的に、ほぼ3年ごとに「AMC調査(Ajinomoto Monitoring Consumer Survey)」を実施している。今回は、全国2人以上世帯の主婦(20∼69歳)1,530名を対象に、2000年11月、留置自記入式により、食生活全般に関する意識·行動全般を調査した。その結果、「食生活重視意識の低下」「低価格志向」などの変化が見られた。それらの牽引となったのは、20代を中心とする若年主婦であった。さらに解析すると若年主婦は「食への思いが軽い」「食事作りへの面倒感が強い」「簡便·省時間志向」「低価格志向」「楽しみ志向」といった特徴が見られた。また、「主婦=食事管理者」としての自信と自負が薄れている様子が伺えた。
  • 山梨 麗, 成岡 葉子, 野坂 千秋, 笠松 千夏
    p. 200
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2003/07/29
    会議録・要旨集 フリー
    若年主婦のリアルな食生活意識·実態を把握し、食生活の課題を発見することを目的に、20代、30代のフルタイム有職主婦(週35時間以上労働)と専業(在宅)主婦の各10名計20名を対象に、『Web会議室』(インターネット上でのグループインタビュー)にて、3ヶ月間にわたり週2回のペースで質問·返答を繰り返しながら情報を収集し分析を行った。その結果、若年主婦は、フルタイム有職主婦、専業(在宅)主婦に関わらず、食生活に重きをおかず、調理に対する積極的な姿勢や食材への関心がもてない「食のシュリンク現象」といった大きな課題が見られた。
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