一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
(一社)日本家政学会第55回大会
選択された号の論文の389件中1~50を表示しています
  • ~米国家政学の「社会貢献」についての文献的考察~
    山口 厚子, 鈴木 真由子, 吉井 美奈子
    p. 62
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    【問題と目的】近年の教育改革や社会変化(少子化、就職難等)は、家庭科の授業時間減少、家政系大学の存続問題(卒業生の進路、学部改組等)を誘発し、家政学研究者、家庭科教員にこれまでにない困難を与えている。それを解決するには、家政学の存在意義を社会へ訴え、承認を得る必要がある。では、家政学の存在意義は何か、どのように社会へ訴え、承認を得ることが可能か。その追究のため、家政教育研究委員会のプロジェクトメンバーが、"家政学の存在意義は「社会貢献」にある"という視点に基づき、家政学会員を対象にした『(仮)家政学者の社会貢献(意識・行動)に関する実態調査』を計画中である。本報では、調査に先立ち、米国家政学の「社会貢献」について文献的考察を行う。【方法】米国家政学の最近の活動を示す参考資料を、1)社会貢献は (1)誰に対して行われるか、(2)到達目標は何か、(3)どのように(a.専門〔職〕、b.場所、c.活動)行われるか、2)どのような方法で家政学の社会貢献を社会へ訴えるのか、3)それを支える家政学会の活動は何か という点から分析する。【結果】米国家政学の社会貢献は、1)(1)個人,家族,地域社会に対して、(2)それらのwell-beingを目指し、(3)a.9つの専門分野、歴史的に発展した専門職、b.企業,大学,教育,エクステンションなど,c.情報公開活動などによって行われる。2)資格認定制度,社会へ訴えるための議論,社会政策に関わる活動などの方法がとられる。3)スコッツデイル会議(1993)以降、歴史・理論体系の整理・公表・定着推進などを実施していることが明らかになった。
  • ~ヴァージニア・B・ヴィンセンティの役割~
    倉元 綾子
    p. 62
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】1993年アメリカ家政学はアリゾナ州スコッツデイルで「21世紀にむけての専門職の位置づけ」会議を開いた。会議は,家政学の目的,焦点,活動様式をあらわすような新しい概念枠組みを発展させるとともに,名称を家族・消費者科学とすることを検討するよう勧告した。会議ではまた,『家政学再考-アメリカ合衆国における女性と専門職の歴史-(倉元綾子監訳,近代文芸社,2002)』の概要が紹介された。その後,出版された『家政学再考』は「一連の重要な歴史的できごとについての決定的な研究」(スクラー)という高い評価を受けている。本報告では,アメリカ家政学史研究の新段階とヴィンセンティの役割について検討した。【方法】『家政学再考』,『家政学 未来への挑戦-全米スコッツデイル会議におけるホーム・エコノミストの選択』(日本家政学会家政学原論部会翻訳・監修,建帛社,2002),ヴィンセンティの論文を調査した。【結果】(1)アメリカ家政学における歴史研究は『家政学再考』によって新しい段階に入った。その特徴は,家政学をジェンダー,階級,人種,政治などの社会的文脈に位置づけて検討したこと,女性学・歴史学などの他分野との協同によって詳細で深く広がりをもったケース・スタディが行われたこと,家政学関連の新しい資料が発掘され使用されたことである。(2)ヴィンセンティはアメリカ家政学史研究の新段階に大きく貢献した。彼女は1981年の学位論文“A History of the Philosophy of Home Economics”ですでに新しい研究枠組みの基本部分を提示し,その後それらを進展させてきた。
  • 増田 啓子, 古寺 浩, 東 珠実, 柿野 成美, 鈴木 真由子, 田崎 裕美, 吉本 敏子, 村尾 勇之
    p. 63
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】学校教育法の一部改正に伴い、大学が文部科学相の認証を受けた認証評価機関による第三者評価を定期的に受けることが制度化された。実際の施行は平成16年度からで、当初は対象となる専門分野がある特定の分野に限られるものの、今後、様々な専門分野の教育・研究の質を個々にどのような認証評価機関が、どのような手続きにより、どのような基準によって評価するのか大変注目されるところである。本報告では、わが国における大学評価の全般的な現状をふまえながら、報告者らの研究グル-プがこれまでに明らかにしてきたアメリカ家政学会による認定活動に関する研究成果と、わが国においてすでに実施されている特定専門分野における認定活動における評価基準および、認定組織・手続きを比較・分析することにより、わが国で大学に対する専門分野別第三者評価が現実のものとなった場合の家政学分野における諸課題を見出すことを研究の目的とする。【方法】学校教育法の改正内容と特にその経緯を中教審などの公表資料(議事録など)から明らかにするとともに、アメリカ家政学会が発行している専門分野別基準認定手引書、日本技術者教育認定機構(JABEE)の同様な手引き・申請書式などから認定評価基準・認定組織・申請から認定取得に至る手続きを明らかにし、両者のそれを比較・分析する。【結果】比較した日米両組織が設定する認定評価基準は、教育プログラムの構造をはじめ細部にわたるもので、中教審の議論にもみられたように大学による自由な教育権との関係を明確にする必要がある。改名・改組という流れの中で、わが国の家政系学部・学科構成は多様化しており、特定専門職者育成に関わる分野に比して基準策定・適用が困難である。
  • ~新潟県長岡市の事例~
    高橋 桂子
    p. 63
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    《目的》「米百俵」のまち・新潟県長岡市。石油が沸き,明治30年代に女子師範学校や看護婦養成所が設立された長岡市は,女株券師,教員や看護士など専門的職業に従事していた女性が多く,現代の女性起業を支援する風土の源流を形成している。郷土資料館での資料収集,師範卒業後定年まで女教員として生活してきた女性たちへのヒアリング・アンケート調査,起業家の聞き取りから得た彼女たちの生活史の一部を,当時の資料とあわせて報告する。《方法》昭和19~21年に長岡女子師範学校を卒業した女性425名に職業と家庭生活の両立に関するアンケート・ヒアリング調査を実施。ヒアリング調査は計14ケース(県内8・県外6人。調査時期2000~2001年)。起業女性へのヒアリングは2ケース(調査時期2002年)。《結果》○全国でも珍しい女株券師・早期導入された女駅員・電話交換手,○統計にみる師範学校,師範学校入試問題・全寮制の生活実態・学校生活と教育実習,分娩後30日の有給休暇導入(1906年),教員生活と家庭生活の両立,○厳しい女性就業環境,環境整備に活かされない雇用者経験
  • 關戸 啓子
    p. 64
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
     目的 家族形態の変化や社会・地域環境の変化に伴って,幼児のとる行動や保護者の子育てもかつてとは違ってきていることが指摘されている。そこで,現代の幼児にみられる行動の特徴や,保護者の子育てに対する考え方や態度の特徴についてその傾向を把握する目的で,幼稚園・保育所に対してアンケート調査を実施した。 方法 全国の幼稚園と保育所を無作為に選び,各700 施設にアンケート用紙を郵送した。調査は2000年8月~10月に行った。アンケートの内容は,山陽新聞社が岡山県内で行った同様の調査を参考に作成した。幼児の行動の特徴に関する質問項目が16,保護者の子育てに関する質問項目が19で,「思う」から「思わない」までの5段階で回答を求めた。 結果 アンケートの回収数は幼稚園406(回収率58.0%),保育所388(回収率55.4%)であった。有効回答数は,幼稚園389(有効回答率95.8%),保育所370(有効回答率95.4%)であった。幼児についての質問の中で最も多くの幼稚園・保育所が「思う」と回答した項目は,「夜ふかしなど夜型の生活リズムの子が増えた」であった。「やや思う」も含めると,8割以上の施設がこの点を指摘していた。他には,基礎体力がない,感情が抑制できない,自己中心的な子が増えたという項目に約7割の施設が「思う」「やや思う」と回答した。 保護者の子育てに関して,幼稚園・保育所ともに最も多く「思う」「やや思う」と回答した項目は,「子どもを受容することと,わがままを許すことの区別がついていない親が増えた」であった。9割近い幼稚園・保育所が回答していた。他の項目は,回答した幼稚園・保育所によって比較的意見がわかれており,一定の傾向はつかめなかった。
  • 菊地 篤子
    p. 64
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】本研究では、子どもと関わる大人の中で頻繁に話題にあがる「第一反抗期」が、子どものいつ頃のどのような状態を指しているのかを確認し、第一反抗期の子育てにおける親の対応について、事例を通して検討する。【方法】認可外保育所の保育士と対象児の母親による、第一子R(男)の記録について、第一反抗期の子どもの姿や大人(特に親)の対応を分析する。なお今回用いる資料は、Rの反抗的態度が頻出し始めた1歳10カ月~認可外保育所保育終了時の3歳8カ月の1年10カ月間の記録である。【結果】第一反抗期とは、子どもの自己表現手段のひとつであり、その態度はきょうだいの有無などの外的因子と個々の気質などの内的因子の双方が影響し、多様であることが解った。その出現時期は、0歳児から既にみられる拒否や抵抗という態度から、2歳過ぎの不満や不安の表現まで、幅が広い。子どもの表現・態度を自己主張とするか、反抗的態度ととらえるかは、子の発達への理解度、子と離れる時間の有無、精神的ゆとりの有無などによって変容する親の主観に左右されると考えられ、また、子どもの反抗的態度の激しさと、親の子育てに関する悩みやストレスの多さとは、必ずしも一致しないことがいえた。次に、Rの記録を発達段階を追って(1)反抗の始まり、(2)弟の誕生と反抗の多様化、(3)自立の進行と反抗、の三段階に分けて検討した結果、次の実態が捉えられた。・弟の誕生の前後で、反抗の表れ方が顕著に異なる。・日本語の文章力がつくとともに反抗の仕方が複雑化する。・反抗する相手は、「甘え」が許されると自己判断した特定の大人である。今後の課題は、今回の対象児Rとともに弟の反抗的態度も合わせて追跡し、きょうだい関係と第一反抗期についての探求である。
  • 上山 恵子, 坂本 裕子, 三好 正満
    p. 65
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】我が国では高齢化と共に、女性に加え男性においても骨粗鬆症が増加するといわれている。そこで、男性高齢者を対象に骨強度の2年間の変化と生活状況を調査し、骨強度の変化に影響を与える要因について検討した。【方法】1999年~2002年にN市内に在住する60歳~86歳の健常な男性68名を対象に、超音波測定による踵骨の骨強度(stiffness)および体脂肪率の測定と、身体状況、食生活・運動を含む日常生活習慣、社会活動状況などについて聞き取り調査を行った。解析には同性・同年齢健常者におけるstiffness の平均比較値であるAM値を用いて、初年度値を100とした時の2年後の変化値を求めた。変化値97~103の者を除く前期高齢者(60~74歳)26名、後期高齢者(75~86歳)22名の計48名で生活習慣等との関連について検討した。パラメトリック項目については得点を与え、t検定を行い比較した。【結果】初年度及び2年目の対象者全員のAM値および変化値の平均は、それぞれ94.8±11.0、96.4±18.0および101.7±7.7であった。また、前期及び後期高齢者の各変化率はそれぞれ101.4±6.9、102.1±8.8で両者に有意な差はみられなかったが、体脂肪率、牛乳量および乳・乳製品や卵の摂取頻度などの食事に関する項目で後期高齢者が、一方、速足歩行時間や趣味活動量などの活動量に関する項目で前期高齢者が有意に高かった。また、前・後期高齢者をそれぞれ上・下位群にわけ、生活習慣の差異を比較した結果、後期では両群に明確な違いが得られなかったが、前期では牛乳量および乳製品摂取頻度などの食事に関する項目や、地域活動・友人交際時間および趣味代謝量で上位群の得点が高い傾向にあり、適切な生活習慣による骨強度の維持が示唆された。
  • 中田 理恵子
    p. 65
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】葉酸とビタミンB12は、共に抗貧血因子として作用することが知られている。また、メチル基転移反応を触媒する酵素の補酵素として同時に作用することから、2つのビタミンの代謝は密接関連していると考えられている。そこで、生体内での葉酸とビタミンB12の相互作用を検討するため、ビタミンB12欠乏ラットを用い、その欠乏過程における葉酸誘導体の変化を検討した。【方法】離乳直後のラットを葉酸欠乏群(葉酸フリー,ビタミンB12 30μg/kg diet),ビタミンB12欠乏群(葉酸8mg/kg diet,ビタミンB12 フリー),対照群(葉酸8mg/kg diet, ビタミンB12 30μg/kg diet)に分け、各々の実験食を自由摂取させた。実験食開始後2,4,6週目に血液と肝臓を採取し、肝臓の葉酸誘導体量とビタミンB12量を特異的に定量した。また、メチル基転移反応を触媒するメチオニンシンターゼ活性と、S-アデノシルメチオニン(SAM)とS-アデノシルホモシステイン(SAH)を定量した。【結果】葉酸とビタミンB12を補酵素として作用するメチオニンシンターゼ活性は、ビタミンB12欠乏群で欠乏2週目から対照群に対して有意に減少したが、葉酸欠乏群では変化しなかった。ビタミンB12欠乏群では、葉酸を十分に摂取しているにも関わらず、4週目から葉酸誘導体の有意な減少が見られたが、葉酸欠乏群においてはビタミンB12量の減少は見られなかった。以上より、ビタミンB12欠乏時には、メチオニンシンターゼ活性が阻害され、その結果葉酸代謝が阻害され、葉酸誘導体の減少を起こることが明らかとなった。
  • 玉城 優子, 上江洲 榮子, 崎浜 美智子, 伊是名 カエ, 長嶺 勝
    p. 66
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 沖縄県で伝統的に用いられてきた野菜や料理の抗酸化活性を評価するために,煮沸した食材や,伝統的食材を用いた料理の抗酸化活性について測定した。【方法】 日常的に利用されており, 購入可能な市販野菜を, 20倍量の熱湯(98℃)中にて摩砕し, さらに1時間同様な温度条件下で抽出した。また,抗酸化活性の強い食材を利用した料理を作成し, ブレンダーにて摩細し, 75%エタノールにて1時間抽出した。それぞれの抽出液の抗酸化活性をDPPH法によって測定した。【結果】 測定した32種の野菜のうち, 上位10種に属するものは、活性の高い順に,ヤエヤマカズラ>ニガナ(ホソバワダン)>パプリカ(橙)>モロヘイヤ>ヨモギ>青シソ>エンサイ>リュウキュウハンダマ>パプリカ(黄)>パプリカ(赤)であった。これらの野菜を活用したいくつかの料理においても抗酸化活性が認められた。
  • 赤井 裕子, 青木 洋子, 前田 雅子, 大野 佳美, 平井 和子
    p. 66
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 ネパール住民の血清脂質の栄養状態を検討するために、血清中の中性脂肪、コレステロール及び脂肪酸組成を測定し、それらの相互関係について解析を行った。【方法】 カトマンズに居住する16歳から84歳の男性50名、女性63名の計113名の早朝空腹時血清を試料とした。中性脂肪(TG)とコレステロール(Chol)は酵素法で、血清脂肪酸はメチル化後キャピラリーカラムガスクロマトグラフにより定量した。【結果】 TGは男性147 mg/100mlに対して女性105 mg/100mlが低く、総Cholは男性162 mg/100mlが女性136 mg/100mlよりも高く、HDL-Cholは男女各々39 mg/100m、37 mg/100mlと同程度であった。動脈硬化指数(LDL/HDL)は男性3.38の方が女性2.80よりも高く、HDL-Cholと負に相関し、低HDL-Cholの場合での動脈硬化の促進が示唆された。脂肪酸組成を比較すると、エイコサペンタエン酸(EPA)は男女各々1.39 mg/100mlと1.21 mg/100ml で、アラキドン酸(AA)は男女各々15.6 mg/100mlと11.9 mg/100mlで両値共に女性のほうが低かった。EPA/AA比は男性 (0.086) よりも女性 (0.102) で高く、EPA/AA比はEPAと正に相関した。n-3系多価不飽和脂肪酸 (n-3 PUFA) は男女各々8.40 mg/100ml、8.06 mg/100mlと同程度で、n-6系多価不飽和脂肪酸 (n-6 PUFA) は男性99.8mg/100mlと比べて女性82.5mg/100mlの方が低く、n-3/n-6比は男性0.082に対して女性0.097と高く、n-3/n-6比はn-3 PUFAと正に相関した。これらの結果から、EPAなどのn-3 PUFA及びEPA/AA比やn-3/n-6比は日本人の値と比較して低く、n-3 PUFA不足が示唆された。
  • 森 みどり, 望月 美也子, 長谷川 昇
    p. 67
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    (目的)我々は、生活習慣病への様々な効果が期待されている緑茶に着目し、細胞レベルで研究を行ってきた結果トリグリセライド(TG)蓄積やGPDH活性、SOD活性に及ぼす効果が明らかになった。1)本研究では、これらの時間経過に伴う相互関係を明らかにするために行われた。(方法)3T3-L1細胞をDMEM培地で培養し、confluenceになった時点でFCS培地に変換し、(1)インスリンのみ(2)インスリンと粉末緑茶(3)インスリンと含有カフェイン(4)インスリンと含有ビタミンCを添加した細胞を経時的にGPDH活性・SOD活性・TG蓄積量を測定した。(結果)GPDH活性は(1)(3)(4)の細胞では約3~4週間まで経時的に増加し、それ以降減少する傾向が見られた。SOD活性は(1)(2)(3)(4)の細胞において経時的に増加した。中でも(2)の細胞は初期段階のSODが高値を示した。TG値は(1)(2)(3)(4)の細胞において経時的に増加したが、(2)の細胞はその程度を抑制した。
  • 西岡 道子, 團野 哲也, 彼末 富貴, 後藤 昌弘
    p. 67
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    目的 海外生活では、環境や生活習慣、食生活の変化等による精神面や身体面への影響が大きく、滞在中に体調を崩す者も少なくない。しかしながら、海外赴任者を対象とした調査は少ないため、本報告では、中高年の海外赴任者の健康管理を行うための基礎資料の第1歩として、ジョルダン派遣シニア海外ボランティアの赴任前及び赴任中の生活状況と食生活を調査した。方法 JICAジョルダン派遣シニア海外ボランティア52名を対象に、赴任前及び赴任中の身体状況(ストレス症状を含む)、生活状況及び食生活についてアンケート調査を実施した。ジョルダン赴任中の栄養摂取状況については、身体状況及び活動の程度に応じた対象者各個人のエネルギー所要量(以下、エネルギー所要量)を算出し、栄養摂取状況との比較を行った。回収率は63.5%であった。結果 ジョルダン赴任前では「仕事の進み具合」、「赴任前の不安」、赴任中では「仕事の進み具合」、「対人関係」にストレスを感じている者が多く、ストレスに起因する自覚症状については、赴任前では「症状なし」、赴任中では「眼が疲れる」が最も多くなっていた。赴任中の栄養摂取状況については、エネルギー、たんぱく質、脂質、食塩について、エネルギー所要量よりも多く摂取している者が過半数を占めていた。以上の結果から、赴任前と比べて赴任中にはストレスの内容やストレスによる症状が変化し、栄養摂取状況は、個人に応じた適切な量よりも多く摂取する傾向が示された。
  • 木村 安美, 美谷島 杏子, 水上 戴子
    p. 68
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年、若い女性の間では必要以上のやせ願望があり、ダイエットをする傾向が多くみられる。成長期、妊娠期、授乳期の食餌制限と、食餌中のたんぱく質の違いが、母体と子の発育にどのような影響を及ぼすかを把握するために、ラットを用いて検討を行った。【方法】実験1では、12週齢のWistar系ラットを、妊娠確認後4群に分けた。カゼイン自由摂取群(C群)、C群摂取量の30%制限群(CR群)、SPI自由摂取群(S群)、S群摂取量の30%制限群(SR群)とし、妊娠期、授乳期を通じて6週間飼育した。実験2では、成長期(9~12週齢)のみ制限(RC群)、成長期と妊娠期のみ制限(RR群)と自由摂取群(CC群)を比較した。食餌制限の方法はPair-feedingにより行った。【結果】実験1の食餌量の違いにより、授乳期終了後の母体の血漿中遊離アミノ酸濃度は、分枝アミノ酸が制限群で高い値を示した。体重、臓器重量において、新生子ではSR群がS群より、離乳子では制限群が自由摂取群より有意に低下した。摂取たんぱく質による違いでは、母体の肝臓中総DNA量が、SR群ではCR群より有意に低下した。離乳子の体重、臓器重量は、SPI群がカゼイン群より有意に低くなった。母乳の成分は、制限群がたんぱく質では高く、逆に水分では低い値を示した。実験2において、成長期の食餌制限の影響では、新生子の体重が低下し、離乳子の肝臓中たんぱく質、核酸量において制限群が自由摂取群より低値を示した。以上より、成長期の食餌制限は、新生子の体重、離乳子の肝臓中成分に影響を及ぼした。妊娠期では30%程度の食餌制限の影響は少ないが、授乳期の食餌制限では、母子ともに影響が大きくみられ、たんぱく質の差が顕著になった。
  • 屋代 彰子, 石井 春香, 深町 倫早, 森 香代子
    p. 68
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    (目的)日常生沽活動は上肢動作および歩行を伴う低強度活動である。上肢動作における筋活動量については不明の点が多く、歩行における筋活動量については多くの報告がある。種々の歩行の活動強度についてはよく知られているが、日常的歩行時の下肢筋放電量とエネルギー消費量との関係については知見が乏しい。そこで、本実験ではこの点を明らかにすることを目的とした。(方法)実験時期:平成14年7月、実験場所:屋内廊下(直線20m)、被験者:健康な女子学生5名、歩行条件:自由歩行・60サイクル/分・70サイクル/分などで10分間歩行、測定筋:右中殿筋・右大腿直筋・右外側腓腹筋・右外側ヒラメ筋、主な測定機器:呼気ガス代謝モニターMeteMaxIIおよび専用解析ソフトMetaSoft、ホルター筋電計ME3000Pおよび専用解析ソフトMegaWinなど。(結果と考察)(1)下肢筋放電量および酸素摂取量について歩行間の比較を行うと、70サイクル歩行と他の歩行との間に統計的有意差を認めた。(2)70サイクル歩行では筋放電量および酸素摂取量の個人差か著しかった。(3)ビデオ映像より歩数、歩幅さらに歩行距離、速度等を求めた。(4)すべての歩行における筋放電量と酸素摂取量との関係では、ヒラメ筋および腓腹筋放電量と酸素摂取量との間に強い正の相関を認めた。(5)歩行連度と筋放電量、歩行速度と酸素摂取量との間にも強い正の相関を認めた。以上の結果より、活動筋におけるエネルギー需要の増加が酸素摂取量の増加と密接に関係していることが判った。
  • 望月 美也子, 長谷川 昇
    p. 69
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 茶(Camellia sinensis)は、近年、生理機能が多数解明され注目されている嗜好飲料である。その効果は多岐にわたっており、我々は既に、粉末緑茶が脂肪細胞の脂肪蓄積を阻害し、脂肪分解を促進する事を明らかにしている。本研究では、緑茶中の渋み成分である茶カテキン類に着目し、脂肪細胞における脂肪合成に及ぼす茶カテキン類の効果を確かめるために行われた。【方法】 3T3-L1細胞を培養し、細胞がConfluenceに達した時点でインスリンを培養液に加え、脂肪細胞へと分化させた。茶カテキン類は、インスリンと同時に添加した。分化の程度の判定は、細胞内中性脂肪(TG)濃度と分化マーカーとして知られるGlycerophosphate dehydorogenase(GPDH)活性の測定により行った。【結果・考察】 インスリンを添加すると、脂肪粒の形成が見られた。この際、インスリンと EGCGを添加したものは、コントロールと比べ脂肪粒の蓄積が抑制された。一方、インスリンと(+)カテキンを添加したものはでは脂肪粒形成が増強された。脂肪細胞の脂肪合成に及ぼす効果は、茶カテキンのうち、含有量の最も多いEGCGの効果と考えられる。
  • ―消費者調査
    峯木 真知子, 棚橋 伸子, 戸塚 清子, 藤井 昭子, 金谷 昭子
    p. 69
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    「目的」「環境と調理科学」プロジェクトの「食環境における食市場の変化と消費者行動―有機農産物の流通と消費の調査を進めてきた。有機農産物の店頭調査では、東京都・近郊県および神戸市における1999年~2002年の各年変遷を報告した。本報告では、1999年に行った消費者調査と同様の調査を2002年6-8月にアンケート調査し、4年前と比較した。[方法]調査項目は、一般農産物購入時の注意点、有機農産物に対する関心度・関心の理由、購入の実態などを留め置き法によるアンケート調査を行った1)。調査対象は青葉短大および神戸女大の学生を中心に行った。1)峯木ら:調理科学誌、34巻、2号[結果]調査数は、青葉短大 (東京都および近郊県在住) 86名、神戸女大(神戸市および近郊在住)162名の計248名。一般農産物購入時の注意点は、鮮度83.4%、価格68.1%、健康・自然・有機栽培の表示37.9%が重視されていた。健康・自然・有機栽培の表示、産地や銘柄、店の信頼度と答えた割合は4年前と比較すると増加していたが、価格、一回の購入量は10%程度減少していた。有機農産物の購入の実態は、「ある」が68.5%で4年前より増加し、気にしない人が減少していた。また、関心がある理由は、健康によい85.9%、環境によい48.4%、鮮度がよい38.7%、おいしい40.7%が多かった。いずれも4年前より増加し、最近話題であるは12.5%で減少していた。有機農産物が食市場に浸透、安定した状態を示した。以後の有機農産物の課題は、価格の低下52.4%、表示の信用度47.6%、身近で常時購入状態38.7%、品質の向上29.4%が上げられ、いずれも4年前より増加していた。
  • ~脳磁場応答による分析~
    小園 佳美, 奥田 弘枝, 橋詰 顕, 栗栖 薫, 長尾 絵美子, 佐藤 千絵, 繁冨 梨絵, 吉本 知津
    p. 70
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
     目的 食物の色彩は人間の食欲に影響を与え、色彩嗜好と味覚にも関連があることが、これまで演者らが行ったアンケート調査で明らかになった。本研究では、脳活動レベルにおいて、色彩嗜好と味覚に関連があるか否かについて検討するため、食品の色彩別脳磁場応答と味覚誘発脳磁場応答について研究を行った。 方法 健常者10名(21・22歳の女性のみ)を対象とし、(1)着色した6種類の飲料・ゼリーの静止画像から受ける視覚刺激により誘発される脳磁場応答をNeuromag社製204ch脳磁計で測定し、周波数解析を行った。(2)5種類の味溶液と蒸留水を用いて、口に含んだ状態と飲み込んだ状態で脳磁場応答を測定し、周波数解析を行った。(3)測定後、着色画像では食欲・五味について、味溶液では味覚の快・不快についてのアンケートを行い、周波数解析の結果と比較した。 結果 飲料・ゼリーともに、赤色・オレンジ色・青色・透明のパワー値が高く、緑色・黒色でパワー値が低い傾向が見られた。センサー別のパワー値は緑色・黒色において、後頭部で8~13ヘルツの帯域のパワー値が低かった。味覚脳磁場応答では、快と感じられた味覚刺激においてパワー値が高く、不快と感じられた味覚でパワー値が低かった。また、苦味では右側頭部でパワー値が高い傾向が見られた。食品の色と味覚との関連性については脳内で複雑な情報処理がなされているのではないかと推察された。
  • 稲荷 妙子, 竹内 徳男
    p. 70
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 どんぐりは、稲作が発達する以前の大切な食糧であった。どんぐりの中でも、しいの実はタンニン量が少なく生で食べることができ、V.C量が多いという特徴がある。そこで、アンケートを実施し、しいの実の認識を明らかにすることにした。また、しいの実の成分が調理加工によってどのように変化するかを探り、有効利用法の検討を目的とした。【方法】 (1)試料:岐阜県庁広場及び岐阜県立大垣西高校のグランドで同年の秋に採取したしいの実(スタジイ)。生並びに60℃での乾燥(実、粉末)、炒り、ゆでを用いた。(2)試験項目:アンケート調査、V.C(ヒドラジン法)、タンニン(Folin-Denis法)、抗酸化力(DPPHラジカル捕捉活性)、しいの実利用菓子の官能検査。【結果】 (1)397人のアンケート結果より若い人ほどしいの実を知らないことが、年齢間で有意に(P<0.001)認められた。生でしいの実を食べたことがある人は全体の11.1%、調理加工したものを食べたことがある人は全体の4.3%と低い結果であった。また、しいの実の利用法では焼き菓子の提案が47.1%と最も高かった。(2)総V.C量は生112mg/100gと高い値が得られ、炒りとゆでも生と大差なく高かったが、乾燥は激減した。また、総V.C量の約90%がAsA量と特徴ある結果が得られた。(3)生のタンニン量は0.25%含まれ、乾燥により減少するが、炒り、ゆでの変化は些少であった。(4)炒りが最も強い抗酸化力を示した。次いで、ゆで、生、乾燥(実、粉末)の順に弱くなった。炒りとゆでのタンニン量とAsA量の高さが抗酸化力に影響したと考えられる。(5)スダジイ乾燥粉末を用いたシュークリームの官能検査では、スダジイ有無の差は認められなかった。
  • -ドッグフードの酸化について-
    伊藤 知子, 和田 恵, 岸本 妙子, 大久保 泰恵, 原田 和樹
    p. 71
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    <緒言> 生体内の活性酸素、フリーラジカルがガンや脳血管疾患などを引き起こす要因であることが明らかになり、食品成分中の脂質の酸化状態、食品成分が有する抗酸化能が注目されている。今や2,400億円規模の市場となりつつあるペットフードも、人間が摂取する食品と同様、ペットの健康への懸念から安全性、機能性などが求められるようになり、そのパッケージに栄養機能表示が目立つ。ドッグフードのラジカル発生酸化を中心に機能性について検討を行った。<方法> (1)ドッグフードパッケージの栄養表示について解析を行った。 (2)犬の飼主がどのような基準でドッグフードを選択する/しないのかアンケート調査を行った。 (3)対象となる犬の年齢等が異なる4種のドッグフードについて、パッケージ開封後のラジカル発生酸化について電子スピン共鳴装置(ESR)を用いて経時的に測定を行った。<結果> (1)表示については、多くの製品に栄養機能表示、特に脂質に関するものが見られた。 (2)平成14年11月から15年1月にかけて、大阪府および京都府でアンケート調査を行った。約90%が栄養面等からドッグフードに対して肯定的であり、その利用率は高まっているものと考えられた。 (3)パッケージ開封後のラジカル発生酸化についてESRにより経時的に測定を行った。製品により異なる酸化傾向を示す場合があった。
  • 安部 あいか, 市井 茜, 鵜飼 光子
    p. 71
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    目的:日本茶は代表的な嗜好飲料であり広く利用されている嗜好飲料である。製造方法により紅茶と緑茶とがあるが、日本茶は緑茶が主である。緑茶には玉露、煎茶、ほうじ茶などがある。茶の種類により発現するラジカルが異なることが既に報告されている。本研究ではラジカルの迅速な検出が可能なESR法を応用して緑茶中のラジカル種の検出を行った。さらにESR信号より遷移金属イオンを検出した。方法:試料の緑茶は市販の茶葉(新茶、ほうじ茶、番茶、抹茶)を用いた。購入後直ちに冷蔵保存し実験に供した。試料は300mgを秤取後、ESR試料管(99.9 %石英ガラス、英光社製)に封入した。全てのESR測定は、ESR分光器(JES-FE1XG, 日本電子KK)を用いて行った。測定に用いたマイクロ波の周波数は、Xバンド(9.3 GHz)である。共鳴磁場は、250と320mTとし掃引磁場は500と100mTを用いた。胡椒中の飽和挙動を検討するためにマイクロ波磁場を変化させ遂次飽和曲線を求めた。ESR測定の検出温度は、すべて室温(20 ℃)である。各種緑茶試料のESR信号は常圧下でも減圧下においてもスペクトルの挙動に有意の差異は認められなかった。本研究におけるESR測定は常圧下で行った。結果:緑茶のESR信号は3種あり、それぞれMn2+による超微細構造線、有機フリーラジカル由来の信号、Fe3+による遷移金属イオンと同定した。各ESR信号は緑茶の種類が違っても本質的に同一であったが、有機フリーラジカルの信号に差異が認められた。
  • 堀口 恵子, 吉田 奈央, 六平 いく子, 押田 敏雄, 坂田 亮一
    p. 72
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    <目的> コンビニエンスストア(以下、コンビニ)の弁当は、身近な食品の一つとして我々の生活に定着している。その弁当の栄養素充足率と食品添加物の使用実態を調べることにより、人々の食生活への関心をそそぐことを目的に今回の調査を行った。<方法 > 1996年から2002年までの7年間、前橋市内のコンビニ7店舗の米飯弁当売れ筋ベスト5を各店5個、合計35個、7年間で245個を抽出し、これらの弁当についての栄養素充足率と食品添加物使用動向調査を行った。<結果> 1) 栄養素充足率:比較的栄養素が充足されている弁当は、「幕の内弁当」と「のり弁」であることがわかった。また、カルシウムが100%、食物繊維が97%、鉄およびビタミンCが94%の弁当で不足していた。2) 食品添加物の使用実態調査:7年間の食品添加物使用数は、弁当1食に対して各店舗で0.6から12.8種類とバラツキが大きく、平均は8.3個であった。添加物の使用順位は、年度に関係なく1位が調味料のアミノ酸、2位はpH調整剤であったが、最近は調味料のグリシンや色素カラメルが使われるようになった。年度別の合成着色料のタール色素の使用について、2002年の秋から7店舗の全部の弁当でこの色素を使用した弁当はみられなかった。7年間の年度別の保存料で使用機会が一番多かったのはポリリジンであった。2002年の弁当での甘味料として、ステビアと甘草が6食の弁当に使用されていた。本調査の結果、発癌性や催奇形性が懸念される添加物の使用は減少傾向であったが、全体の添加物の使用数は、減少の傾向とは言えなかった。このような実態から、コンビニ弁当における添加物の使用については、引き続き注意を払わなくてはならない。
  • 大野 信子, 岡留 美穂, 岡田 弥生, 藤井 貴明
    p. 72
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】大豆発酵食品テンペの主要製造菌Rhizopus oligosporusが細胞外に生産する酵素について、その培養生産条件を検討した。特に、繊維分解に関わる酵素については培養物より酵素を精製し、その諸性質について検討した。【方法および結果】R.oligosporus IFO 32002は脱脂大豆粉と洗浄フスマを混合した培地での培養においてセルラーゼ(CMCase、β-グルコシダーゼ)、キシラナーゼ、アミラーゼやプロテアーゼを生産した。本菌は、洗浄小麦フスマを唯一の栄養源とする培地においても良好に生育し、繊維分解に関与する酵素については、脱脂大豆粉の替わりに酵母エキスを添加した培地で同様な酵素の生産が認められた。それらのうち、最も高い活性が得られたCMCaseの精製を試みた。CMCaseは洗浄フスマ-酵母エキス培地で3日間培養したものを洗浄して得られた粗酵素液を減圧濃縮液し、硫安分画を行ったのち、各種クロマトグラフィーに付して精製した。試料をCM-Sephadexカラムで処理した場合、少なくとも2つのCMCaseの活性分画に分かれた。その中で主要な画分を回収して精製を進めた。最終的に比活性が粗酵素液から約40倍に上昇した部分精製標品を得、これを用いて酵素学的諸性質を検討した。本酵素の活性の至適温度は50℃、酵素はそれ以下の温度で安定であった。本菌の酵素は多くの糸状菌のセルラーゼと同様に酸性側に活性の至適pH(5.5)を有した。本酵素の活性はHg2+、Cu2+やBa2+のような2価の陽イオン、Naや、Kのような1価の陽イオンよって阻害された。本酵素は、CMC以外にα-セルロース、濾紙やセロファンチューブに対しても活性を示した。
  • 高橋 京子, 相原 真由美, 五味 智子, 竹山 三津代, 秋本 裕美
    p. 73
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】ショウガは調理の際に油脂と共に加熱五味智子して用いられることが多い。本研究では、ショウガを油脂と共に加熱した際の油脂へ移行する辛味成分について調べることにした。また、加熱時に揮発する香気成分との関連についても検討した。【方法】細刻した近江ショウガ 15gと市販のなたね油 30gをフラスコに入れ、オイルバスにより 9 分間加熱した。辛味成分は、加熱後の油脂をHPLCで分析した。揮発香気成分は、固相マイクロ抽出(SPME)法により加熱時に 5 分間採取し、GCで分析した。【結果】加熱条件がオイルバス温度 120℃では、ショウガと共に加熱した油脂中の辛味成分としてショウガの主要辛味成分である 6-Gingerol の油脂中濃度を定量したところ、0.3 mg/ml であり、室温条件に較べて約 6 倍 に達した。揮発した香気成分の量は、この加熱条件では室温条件に較べて 10 倍以上と著しく多かった。さらに、加熱温度により揮発香気成分の組成比が変化し、加熱温度が高温では Camphene は減少したが Geranial の占める割合は増加することもわかった。
  • 請田 芳恵
    p. 73
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    [目的] 和名が水前寺草で、キク科サンシチソウ属の熱帯アジア原産の多年草である金時草は、石川県金沢市農産物ブランド協会が地域食材の消費拡大、種の保存、栽培技術の継承と生産の維持を目的に加賀野菜として認定している品目のひとつである。これまで、金時草はカルシウム、鉄分を多く含む野菜であると報告してきた。この野菜の旬は夏から秋にかけてであるが、一年中出荷されており、いつでも金沢市民の食卓に供されている。そこで、季節により成分に相違があるか、特にビタミンC、カルシウム、鉄分を中心に検討を行った。[方法] 実験材料に用いた金時草は、2001年4月から2002年3月にかけて金沢市中央卸市場から入荷した当日のものを金沢市内の小売店から購入した。ビタミンCの定量はヒドラジン比色法、カルシウムの定量は乾式灰化法で得られた試料をEDTA滴定法で、鉄の定量は-フェナントロリン吸光光度法で行なった。各測定値は、平均値±標準偏差で示し、実験結果はボンフェローニの方法による多重検定を行い、危険率5%以下を有意とした。[結果] 金時草成分の年平均含有量はビタミンCが21.95±10.90mg%、カルシウムが158.35±18.33mg%、鉄が1.23±0.33mg%であった。金時草のビタミンC、カルシウム含量は冬季に、鉄含量は春季に多い傾向を示した。3成分とも季節による有意差(p<0.05)が認められた。
  • 久木野 睦子, 久木野 憲司
    p. 74
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】魚介類では新鮮さを保つため輸送にさまざまな工夫がされている。本研究では消費地までのイカの輸送方法の違いが保存時のイカ肉の死後変化にどのような影響を及ぼすのかを知るために、異なる方法で輸送したイカを保存して、イカ肉の変化を調べた。【方法】長崎県近海で捕れた体重約 1kg の活きの良いアオリイカを用いた。実験群は4つとし、漁獲後すぐに内臓神経を切断して即殺したイカ(漁獲後即殺群)、生きたまま冷蔵ボックスに入れて2時間輸送したイカ(冷蔵輸送群)、生きたまま氷海水中に入れて2時間輸送したイカ(冷海水蔵輸送群)、活魚輸送車で 2 時間輸送した生きたイカ(活魚輸送群)を試料として保存実験に供した。外套膜をポリエチレンフィルムに包んで5℃に保存し、6・12・24時間後の生イカと加熱イカ(沸騰水中 20 分)を測定に供した。測定は ATP 量の測定、破断特性の測定、透過型電子顕微鏡による筋組織構造の観察とした。【結果】ATP 量の変化は活魚輸送群と漁獲後即殺群で同程度であったが、冷海水蔵輸送群では保存 0 時間で ATP は既に殆ど分解しており、そのイカ筋組織には筋束間に大きな乖離を生じていることがわかった。また、物性測定においても冷海水蔵輸送群は他の3群とは異なった変化を示した。冷蔵輸送群の ATP 分解のパターンは冷海水蔵輸送群の場合と似ていたが、筋組織構造は漁獲後即殺群のそれに近いものであった。
  • 峯木 真知子, 棚橋 伸子, 渡邊 康一
    p. 74
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    「目的」生クリームと卵黄を用いた「なめらか」・「とろける」プリンが高級化嗜好に伴い、好まれている。市販品6種のテクスチャーおよび組織構造の一部については、既に報告した1,2)。そこで、生クリームを用いたプリンを調製し、プリンにおける組織観察および物性測定を行い、生クリームの影響を検討する。「方法」プリンは、鶏卵および割卵して取り出した卵黄と、牛乳(全農協、成分無調整牛乳)・動物生クリーム(スジャータ純乳40)・植物生クリーム(スジャータホイップ、脂肪分45%)、上白糖で調製した。卵・卵黄1、乳・クリーム3、上白糖は0.6(全体の15%)の割合で混合し、オーブンで150℃、30分加熱した。組織試料は、室温に冷却後、プリン中央部から7?角を採取し、10%ホルマリン・カルシウム固定を行った。アラビアゴム・シュークロース液に置換後、コンパウンド液に入れ、ドライアイス・アセトンで凍結し、クリオスタット切片(10μ)にした。タンパク質・脂肪二重染色を行い、水溶性封入剤で封入後鏡検した。同時にパラフィン切片によるPAS染色も行った。破断試験測定は、1日冷蔵庫保存後、レオナーRE3305((株)山電)でプランジャーP-22型を用い、ロードセル2kgの条件で行った。赤外線水分計によるプリンの水分測定も行った。「結果」牛乳,動物および植物クリームによるプリンでは、オイルレッドOに赤く染まった脂肪滴の大小、分散状態に明瞭な違いがあった。植物クリームの脂肪滴は動物クリームよりもやや大きく,全卵を用いたプリンの基質には分散しにくい傾向にあった。クリームで調製したプリンの破断応力は、牛乳を用いたものより軟らかく、植物クリームより動物クリーム使用プリンが軟らかかった。卵黄を用いたプリンは全卵よりいずれも硬かった。
  • 荒木 裕子, 山本 直子
    p. 75
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】これまでに演者らは、極地冒険家の携帯食について設計・開発を行い実際に共用された携帯食の成分分析等を行い報告してきた。今回は、演者らが設計開発した携帯食が実際に極地冒険に供された際の利用状況を調査し、併せて日常生活とは異なる苛酷な環境下での食物摂取ついて検討したので報告する。【方法】冒険家大場満郎氏の1997年の北極海単独徒歩横断に際し、演者らが設計開発した携帯食の利用状況について調査した。調査方法は大場氏の冒険中の克明な記録をもとに調査し、併せて大場氏への聞き取り調査をおこなった。【結果】主食となる朝・夕食用A食、昼食用B食の2種とも冒険中の摂取量に変動が見られ、冒険開始直後から約2週間は予定摂取量の50~70%にとどまり、一日の摂取エネルギーも3200~4500Kcalと低かった。このことは環境の変化と高脂肪食が身体に順応していないためと心理的ストレスからの食欲不振と推測された。冒険の中盤からは食欲が増進し、予定摂取量の20~30%増の摂取がみられた。また、冒険終盤で外気温が高くなると食欲が減少するという気温と食欲との微妙な関係もみられた。現地での喫食方法はA食では微温湯を添加し5分ほど蒸らしてから喫食していたが凍結乾燥品の復元状態には問題はなかった。B食は予め凍結による硬化を防止するため油脂等を混入して調製したが、実際にはポケットに入れ体温で硬化を防止した。主食以外の食糧は乾燥肉や即席の汁粉、コーンスープなどであったが主食とこれらの食糧をうまく組み合わせることにより単調な食事に変化をもたせていた。また、不足しがちなビタミンを補給するためにサプリメントも利用されていた。
  • 高橋 ユリア, 下村 道子
    p. 75
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
     目的 摂食障害者の毛髪中含有微量元素の変動、特異的な食概念・食行動、健常者の食概念との比較、家族環境との関係、食によるストレス情報伝達方法などについて発表してきた。今回は摂食障害者の「調理」という観点から「食」と「ストレス」のかかわり方を分析する事を目的とした。 方法 摂食障害者60名に食概念とストレスについて、調理を中心にアンケートおよび聞き取り調査を行った。また、調理が好きであると回答した摂食障害者のなかから、調査協力を得られた20組の母親および家族に、摂食障害者から受ける調理・食・ストレスとの関係についてのアンケートおよび聞き取り調査を行った。さらに、過食症女子短大生の手記95件(1992年7月~11月)、拒食症の娘を子供に持つ母親の手記15件(1995年~1999年)から、調理・食・ストレスに関係する表記を抽出し分析を行った。この両者についても聞き取り調査を行った。 結果 摂食障害者60名中46名が調理をすると答えた。この46名中32名が調理をすることが好きであると答えた。好きな理由として、食べる事はしないが味見による満足感、家族への強制摂食要求、自分の調理したものを相手が食べる事の支配感、調理は誰にも邪魔されない時間・空間、自分の思い通りにできるなどであった。しかし、作った料理を強制的に大量に摂食させられる母親、家族にとっては食べる事もストレスであり、また食べない事も摂食障害者のストレスの原因となり、この事が自分達のストレスへとつながっていた。摂食障害者は調理条件へのこだわりも強く、自分自身のストレスにもなっていた。
  • -長崎県の場合-
    山下 エリ子, 重久 麻衣, 本岡 聖子, 安達 町子
    p. 76
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    [目的] だしは料理の味の基本となるものであり、わが国では昔から昆布、かつお節、煮干しなどを使ってだしをとり、そのだしで料理のおいしさを引き出してきた。だしをとるということは少々手間のかかることであり最近では、便利な旨味調味料、風味調味料の流通や、女性の社会進出も伴って、家庭でだしをとることが少なくなっているように思われる。そこで、長崎県の主婦を対象に、現在、料理によってどのようなだしのとり方をしているのかを調べ、現代の食文化の推移の一端を考察した。[調査方法] 長崎県の主婦783名に自記式質問紙調査法によりアンケートに答えてもらった。(1)味噌汁、吸い物、煮物、麺類、雑煮、スープのだしのとり方と、各料理に使用する具体的な天然だし素材について(2)旨味調味料・風味調味料の使用理由について(3)天然だし素材の使用理由について質問し、結果を年代別、仕事の有無別、地域別に比較した。[結果] 料理によって天然のだしの使用率は異なり、味噌汁や吸い物のように、だしが主役となる料理では、煮物や麺類よりも高い比率で天然のだしが使用されており、行事食の雑煮ではさらに使用率が高く、抽出に時間のかかるス-プではあまり天然のだしが使用されていない事がわかった。年代別だしのとり方を比較したところ、年代が高いほど天然のだしを多く使用しており、若い年代ほど旨味調味料や風味調味料を多く使用していることが明らかになった。地域別にだしのとり方を比較すると、市街地で天然のだしの使用率が低く、旨味調味料や風味調味料の使用率が高いことがわかった。また仕事の有無とだしのとり方に関連性は見られなかった。
  • 寺本 あい, 松本 泰明, 渕上 倫子
    p. 76
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    目的 カリンは石細胞を有し果肉が硬く通常生食されないが、煮熟により軟化する。カリンの生組織を希塩酸、続いて酢酸塩緩衝液に浸漬し、ペクチン質をエステル化度の違いにより分別抽出した後の組織構造の変化と、カリンを煮熟したときのペクチン質と組織構造の変化について検討した。方法 カリンの円盤(直径10mm、厚さ5mm)を35℃のA液(0.01N塩酸溶液、pH2.0)、続いて35℃のB液(酢酸塩緩衝液、pH4.0)、90℃のC液(ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液、pH4.0)、D液(0.05N塩酸溶液)に長時間浸漬、および沸騰水中で15、30分煮熟したときの硬さの変化をレオメーター(不動工業製)で測定し、石細胞、柔組織の変化を光学顕微鏡で観察した。また、細胞壁の変化をクライオ-走査電子顕微鏡(日立S-4500)で観察した。生および煮熟後の組織からアルコール不溶物(AIS)を作製し、AISから20℃の蒸留水で水可溶性ペクチン質を抽出後、上記の方法で分別抽出しこれらのペクチンをWSP、PA、PB、PC、PDと称し、その割合の変化を調べた。結果 生のカリンをA液に2日間浸すと相当軟化し、細胞壁がわずかに緩んだが中層の開裂はみられなかった。長期間A液、B液に浸漬すると中層が大きく開裂した。A、B、C、D液で抽出するごとに徐々に軟化が進んだ。C液中で加熱すると細胞の離解が大きく一次壁に相当緩みが生じた。生のWSP、PA、PB、PC、PDは3.7、38.7、4.9、48.1、4.5%であったが、煮熟によりPAは減少しWSPが増加した。高エステル化度のPAがβ脱離により分解して溶出したがPB~PDは変化なかった。
  • 後藤 昌弘, 彼末 富貴, 西村 公雄, 澤 蘭
    p. 77
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    目的 牛乳にショウガ搾汁を加えて電子レンジで加熱したところ凝固した。そこで,この凝固条件とその機構について検討した。また,この凝固物が新しい料理になるかに関して官能検査により検討した。方法 ショウガは,‘黄金の里’(高知県土佐山田町産)の貯蔵ショウガ,牛乳は,市販品(成分無調整)を用いた。搾汁は,ショウガをセラミック製おろし金ですりおろした後,ガーゼで絞って得た。一定量の牛乳に搾汁を加え,加熱時間,加熱温度,搾汁の添加量による凝固の程度を観察した。さらに,SDS-PAGE法を行い,牛乳タンパク質の変化を調べた。また,ショウガのプロテアーゼ活性をカゼインを基質として測定した。次に,牛乳にショウガ搾汁を加えて得られた凝固物に砂糖(0,3,6%)を加え,食品としての受け入れやすさについて女子学生20名をパネルに官能検査によって調査した。結果 凝固強度は,搾汁の添加量が牛乳量の4%のとき最も強く,加熱温度では,70~100℃のときが強かった。加熱中の牛乳タンパク質の変化をSDS-PAGE法により追跡したところ,重合化は認められず,分子量30,000のバンドが消失していた。一方,搾汁にはプロテアーゼ活性が認められ,この搾汁を加熱して牛乳に添加しても凝固は見られなかった。このことは,この凝固機構にショウガ中のプロテアーゼが関与していること,また,その重合化に水素結合などの非共有結合が関わっていることを強く示唆している。官能検査では,砂糖添加3%で「受け入れやすい」,「どちらかといえば受け入れやすい」が,90%と,甘味を添加した場合は料理として受け入れられる可能性が示された。
  • 小口 悦子, 飯田 尚江
    p. 77
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 近年、小麦に対するアレルギー患者が増加し、小麦に代わりうる食品の開発が嘱望されている。その中で、アマランサスの子実がアトピー性皮膚炎に有効であるとの報告がみられる。しかし、アマランサス粉を小麦粉の代替としてパンやスポンジケーキに添加する場合、その食味、物性が著しく劣り小麦粉との代替率は10~30%程度が限界であことが報告されている。そこで本研究では、代替率100%のアマランサス菓子を作成しその食味と嗜好性の向上に関わる材料について検討し、小麦粉の代替としえてアマランサス粉を使用することの可能性について考察することを目的とした。【方法】 ペルー産アマランサス粉を用い、小麦粉をアマランサス粉100%に代替をした菓子16種を作成し、東京家政学院大学の学生と教員9~58名を対象に嗜好意欲尺度法、評点法を用いて官能検査をおこないアマランサス粉を用いた菓子の食味の特徴と嗜好性の向上について検討をおこなった。【結果】 アマランサス粉を用いた菓子は、その特有な風味により小麦粉の代替としての利用が、著しく不向きな菓子があることが確認された。すなわち、アマランサス粉に対する砂糖、油脂、卵の割合が著しく少ない菓子において有意に好まれない傾向が認められた。
  • 岩本 祐子, 村田 容常, 本間 清一
    p. 78
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    〔目的〕フェルラ酸の酸化的架橋による小麦粉ドウの物性・パンの体積変化を調べ、ドウやパン製品改良に応用する可能性を探った。〔方法〕試料に酸化酵素であるlaccase, peroxidaseを加え混捏、発酵後200℃で40分間焼き、体積・フェノール成分について測定・分析を行った。体積は菜種法により測定した。結合型フェノールはアルカリ加水分解により抽出し、フェルラ酸と、主要なダイマーである5-5’ジフェルラ酸、8-O-4’ジフェルラ酸、8-5’ジフェルラ酸についてHPLCによる外部標準法で分析・定量した。〔結果〕酵素添加により小麦粉ドウ中のフェルラ酸は14%程度減少し、三種の架橋型ジフェルラ酸は1.25~1.6倍に増加した。これらの酵素がフェルラ酸を酸化しダイマーを生成していることが確認された。その程度はPOXの方がlaccaseよりも多かった。この細胞壁間の酸化的架橋がパンの体積等に及ぼす影響について現在検討中である。
  • 新澤 祥恵, 中村 喜代美
    p. 78
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】食生活における今日的な問題である食の簡便化や食事状況(個食)の問題を考えるため、調理担当者の意識や、調理実態、食事状況などと、生活環境における諸要因との関連を検討した。【方法】2000年11月に留置法によりアンケート調査を実施した。石川県内に居住する2350世帯に郵送により調査票を配布・回収、有効回収数は1014名(回収率43.1%)であった。調理状況、食事状況等への回答と、回答者の諸属性をクロス集計し検討した。【結果】(1)調理状況、食事状況等と回答者の諸属性とのクロス集計の結果、調理担当者の年齢ではほとんどの項目と関連がみられた。食や調理への意識とは家庭の職業形態や成長期の子供の有無が影響し、調理状況には調理担当者の就業形態などが影響し、食事状況には家族構成なども影響していた。(2)食生活・調理に対しての意識について、どの項目でも年齢が高いものほど意識の高いものが多くなる傾向であったが、職業形態で自営業世帯のものが高い傾向がみられた。(3)調理における献立傾向では、依然和風料理が多いが、若い世代では洋風・中華風料理の多い世帯もかなりみられた。(4)調理状況については調理担当者の就業形態が大きく影響していたが、年齢では40歳代のものの調理簡便化傾向が強かった。(5)盛りつけ方法では、やはり1人盛りが多いが、若い世代では大皿盛りの多い世帯も増えており、今後、食作法も変化していく可能性が示唆された。(6)台所形式ではLDK式が若い世代で多くなっていた。これまでの調査でLDK式では調理への関わりが少なくなる傾向があったことから、この観点からも、若い世代での調理簡便化傾向が示唆される。
  • 四方 幸子, 河野 篤子, 米田 泰子
    p. 79
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】京都府は北は日本海に面し、南は各府県に接した南北に細長い地域である。そこで、北を日本海に、三方を山に囲まれた温暖な気候で農業を中心とした久美浜町(北部)、寺院仏閣が多い、市街地で食材の全てを購入している京都市下京区(中部)、専業農家は少ないが豆、いも、野菜などは自給している家庭の多い京田辺市(南部)の3地域をとりあげ、豆といもの現在の利用状況を把握することを目的とした。【方法】調査時期は平成13年8月~9月で、各地域につき10世帯の調理担当者を対象として、豆といもの利用状況(食材名、自家・入手法、料理名、主・副・間食、季節性等)について聞き取り調査を行った。さらに料理を生物、汁物、焼き物、揚げ物、煮物等に分類し検討した。【結果】調査対象者の平均年齢は59.8歳、家族数の平均は4.3人であった。(豆類について) 地域別出現数は北部は471、中部は488、南部は427であった。調理法別にみると、最も多かったのは煮物で平均34.6%、次いで飯めんの14.0%、汁物12.9%で、最も少なかったのは蒸し物であった。食材の特徴は豆そのものより豆製品の利用が多かった。 (いも類について) 地域別出現数は北部308、中部280、南部は251であった。調理法別にみると、いも類も煮物が34.1%で最も多く、次いで汁物16.7%、揚げ物は11.3%であった。食材の特徴としては、いも類はいもそのものを用いた調理法が行なわれていた。雑煮や煮しめには、頭いもや里いも、えびいもをよく用いていた。世代別にみると、三世代の家庭に揚げ物、炒め物が多いという特徴がみられた。全体的に豆または豆製品(油揚げ、生揚げ、豆腐、がんもどき、凍り豆腐、湯葉)といもおよび根菜類との炊き合わせ料理が多かった。
  • -他責的行動と食生活の関係-
    近藤 淑子, 石村 哲代
    p. 79
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    目的 前報告では、中学生の欲求不満行動と食生活とに関係のあることが示され、食生活の中でもとりわけ、食卓における家族関係との関係が深いことが示された。本報告では、欲求不満行動の中でも他責的反応をとりあげ、他責的反応と食餌内容、食習慣、食卓での家族関係の下位項目との関係を詳しく分析することを目的とした。方法 本学園中学生470名(男子225名、女子245名)を対象に、食生活実態調査とP-Fスタディを実施した。食生活実態調査は食餌内容、食習慣、食卓での家族関係の3つの領域にそれぞれ10項目ずつを設けた質問を用意した。欲求不満行動の指標としては、P-Fスタディの児童用を使用した。いずれも、時間制限はなしに、個人のぺ-スで記入させた。結果 主な結果は次の通りであった。(1) 他責的反応の少ない者は多い者に比して、食餌内容、食習慣、食卓での家族関係のすべての食生活領域において、有意により高い得点を示した。(2) 食生活の各領域の下位項目の分析では、家族関係領域の中の「家族が揃う」「食事時間が楽しい」「食事中の会話が楽しい」等の項目と、他責的反応とに有意な負の相関関係がみられた。(3) 性差の観点から見ると (1)、(2)に見られた傾向は男子よりも女子においてより顕著であった。
  • -女子短大生と女子中学生の欲求不満行動の比較-
    石村 哲代, 近藤 淑子
    p. 80
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    目的:既報1)では、女子短大生の欲求不満行動は、食生活を構成する食餌、食習慣、食卓における家族関係(以下家族関係と略)の中、特に家族関係との関連性が高く、家族関係が良好な群において要求固執型、自責方向などの非攻撃的な反応を示す傾向にあることを報告した。本報では、ほぼ成人に達する年齢の短大生に比べて、未だ発達過程にある中学生の欲求不満行動はこうした家族関係がより顕著に影響しているのではないかとの見地から、欲求不満行動と食生活構成要素との関連性について両者間の比較を試みた。方法:調査時期は2001年1月(女子短大生)、2001年7月(中学生)、分析は女子短大生257名、女子中学生245名についておこなった。食生活調査は各構成要素に関わる10問から成る30問について、「はい」、「どちらともいえない」、「いいえ」の3段階で回答させ得点化した。欲求不満反応は、PFスタディ(成人用、児童用)により、3つの攻撃方向と3つの反応の型を掛け合わせた9つのパターンにより分類し、得点化して示した。結果:(1)PFスタディの結果、女子中学生の方が短大生よりも自我防衛型で他責方向の反応を強く示す傾向が認められた。(2)食生活の内容については、食餌内容、食習慣において両者間に差異が認められたが、家族関係では顕著な差は認められなかった。(3)『食卓における家族関係』は、女子中学生の欲求不満行動に顕著に影響し、家族関係良好群において攻撃的な反応といえる自我防衛型と他責方向とは負の、非攻撃的な反応といえる要求固執型と自責方向とは正の相関性が認められた。1)石村、近藤:日本家政学会第54回研究発表要旨集、p。162、2002。
  • 川村 昭子
    p. 80
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    [目的]野菜類はビタミン類、無機質、食物繊維の供給源として健康を維持するために不可欠な食品である。現在は品質改良や温室栽培による収穫期の変化、輸入野菜の増加などで、従来の出回り時期とは関係なく自由に利用されている。また、日本は海に囲まれているので魚介類は豊富であり、魚食文化は日本を代表する食文化でもある。この野菜・魚介類に対する意識についてアンケート調査し、検討した。[方法]2001・2002年、本学・食物栄養専攻・生活デザイン専攻の学生272名を対象として自己記入法により実施し、即時回収した。内容は、野菜・魚介類への意識、摂取と嗜好、購入状況、旬、調理法、加賀野菜、石川の四季の魚などについて質問し、自由回答あるいは選択回答の形式をとった。これらの結果は、単純集計およびクロス集計を行い、検定方法はカイ二乗検定などを用いた。今回は調査の一部を報告する。[結果]自宅通学生は62.1%、下宿学生は37.9%である。野菜・魚介類を「食べている」は、野菜類64.3%、魚介類48.9%、「食べていない」は、野菜類35.7%、魚介類51.1%で、下宿学生は自宅通学生に比べるとあまり食べていない。意識としては、「とても大事」は、野菜類81.3%、魚介類56.6%、「少し大事」は、野菜類17.6%、魚介類40.7%、「大事だと思わない」は、野菜類1.1%、魚介類2.7%で、野菜類は健康・栄養・生のまま食することができる・新鮮など、魚介類は生臭い・調理しにくい・食べにくいなどであった。好きな野菜は日常よく利用していた。魚介類は「好き」59.3%、「普通」33.0%、「嫌い」7.7%であった。好きであってもが自分で調理せず、好んで食さないようであった。
  • -アメリカ・マサチューセッツ州におけるケーススタディ-
    上野 勝代, 張 潤欣
    p. 81
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    目的 2001年10月、「配偶者からの暴力の防止および被害者の保護に関する法律」(いわゆるDV防止法)が施行されて以来、保護命令の申し立て件数は増加し、シェルター(緊急一時保護施設)における一時保護件数も増加している。ところが、わが国においては、シェルターはその数は公・民ともに不足し、同時に公的シェルターの空間基準は売春防止法に基づくものであるため質的にも多くの問題を抱えている。シェルターはDV被害女性の安全を確保し、心の傷を癒し、自立のための出発点ともなる場であるから、その空間的環境が与える影響は大きい。そこで、本研究では、DV被害者のためのシェルターとして先進しているアメリカ・マサチューセッツ州における事例を取り上げ、空間的要件とその特徴を検討することによって、今後のわが国におけるDV被害者のためのシェルター計画に生かしていくことを目的としている。方法 調査法は訪問ヒアリングならびに観察調査。調査対象は、アメリカ、マサチューセッツ州の5施設である。調査時期は2002年8月~9月である。結果 (1)シェルターはソフト・ハードともに安全面での配慮がされている。(2)個人のプライバシーには配慮されており、日本の公的シェルターの多くのところでみられるような相部屋はよほどでない限りはみられない。(3)子どもへのケアが整っている。
  • -東大阪市の世帯の場合-
    若井 希水子, 一棟 宏子
    p. 81
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    目的:ここ数年来、ピッキングによる侵入盗など、住宅における犯罪の増加が目立っている。犯罪や火災は生活の安全・安心を脅かすものとして、住民の関心が高まりつつある。本研究は、住民の防犯・防火対策の実態と関心の度合を把握することを目的としている。方法:2001年7月~10月に東大阪市で消費者団体を通じてアンケート調査を実施した。有効回答数269件、有効回答率80.2%であった。結果:(1)調査対象の77%が住宅の犯罪に不安を感じており、約1割が被害を受けている。防犯対策の実施は78%だが、「郵便受けに新聞をためない」「常夜灯の点灯」など簡易な対策が多い。(2)施錠は家にいる時に6割、ゴミ出しにも1/4がしている。居住年数が短い世帯で施錠率が高い。(3)防犯には地域住民相互のかかわりが重要である。特に人目は防犯効果がある。今回の対象は地域に20年以上住む世帯が多かったため、近隣の顔や名前の把握率が比較的高い。住民と不審者の区別ができる人ほど、犯罪の不安が下がる傾向が認められた。(4)戸建て住宅では不審者に直接声をかけたり挙動に注目する人が9割と多いが、集合住宅では約4割が無視している。(5)対象の75%が火災の不安を感じている。居住年数が古い人の不安は若干低い。(6)地域の防火取組みへの参加意欲は72%と高い。防火対策は「揚げ物のそばをはなれない」「ガス漏れ警報機の設置率」が目立つ。近所に火災があった世帯(約3割)では「消火器具の設置」「消火器の場所・使用法の理解」が多い。木造住宅では「燃える物を置かない」等放火対策をとっている。(7)犯罪や火災への不安が大きいため、地域ぐるみで有効な対策を具体的に推進するなどの方策が必要と思われる。
  • 渡辺 紀子
    p. 82
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    目的 ドライクリーニング溶剤は環境保全の立場から厳しい規制の対象にあり、環境負荷が少なくかつ安全性の高い代替溶剤が求められている。演者は、水溶性および油性色素汚れの除去にエタノール50~60vol%水溶液が有効であることを報告した。一方、近年プロピレングリコールエーテルが一部で使用されているが、この溶剤は水との混和性に優れている。本実験では水との各種混合溶剤に関する洗浄性をエタノール系と比較検討した。方法 溶剤:プロピレングリコールエーテル3種・エタノール、汚染色素:油性色素(スダン?)・水溶性色素(Direct Blue 78)、汚染用布:綿ブロード#40、洗浄実験は50ml共栓付ガラス瓶中に30mlの溶剤および汚染布(2.7cmx2.7cm2枚)を入れ一定時間、振とう機(Taiyo Incubator M-1型)により120rpmで振とうした。洗浄評価は洗浄前後の汚染布の反射率を日本電色工業(株)の色差計(NR-3000)で測定後、K/S値から色素除去率を求めた。また、一部残浴中の色素濃度から除去量を試算した。結果 色素除去率は水との各混合比率(0,20,40,50,60,80,100vol%)において油性・水溶性色素とも水/エタノール系の洗浄実験と類似の傾向を示した。また、3種のプロピレングリコールエーテルともエタノール系より洗浄効果が優れた。油性色素の溶剤への溶解度はエタノール系より高く、このことが洗浄効果に影響していることを確認した。
  • 森 俊夫
    p. 82
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    目的 パターンや形態の視覚的特徴は複雑で、正確にその情報を伝えることは難しい。しかしながら、パターンなどの多種多様な視覚的情報が感覚的、心理的に働いて、われわれに美しいとか快いという感情を与える。このような視覚パターンの最も具体的なものが画像である。画像は空間上の各画素がどのような情報をもち、どのように分布しているかによって規定される視覚情報である。本研究では画像を構成する基本的なパターン要素の種類や個数、位置などを変化させて、パターンの視覚的特徴と美しさについて検討する。方法 試料画像は正方形や円などの基本的パターン要素の個数や位置などを変化させて作成した白黒濃淡画像を用いた。画像解析により、これらのパターン画像の角二次モーメント(ASM)、コントラスト(CON)、相関(COR)、エントロピー(ENT)、グレイレベル平均(MIU)およびフラクタル次元(D)を算出した。また、パターンの美しさに関する官能検査を3段階評価で行なった。結果 正方形などのパターン要素の個数が増大すると、パターン全体の一様性や均一性が失われ、局所的変化や情報量、複雑性は増大した。正方形などのパターン要素の個数を一定にして、それらの位置をランダムに変化させた場合には、視覚的特徴に変化はみられなかった。しかしながら、正方形(一辺20ピクセル)と円(直径20ピクセル)の組み合わせでは、正方形の個数を増大(円の個数は減少)させると、パターン全体の不均一性や局所的変化が増大した。ENTを秩序の、Dを複雑さの尺度と考え、バーコフの美的測度を算出した。これと美しさに対する官能評価値との間には比較的よい一致が見られた。
  • 谷田貝 麻美子, 三浦 あい子
    p. 83
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    《目的》酵素処理がセルロース繊維の物性に及ぼす影響は広く研究されているが、汚染性や洗浄性への影響についてはあまり報告されていない。ここでは、セルラーゼ処理綿布および未処理綿布について、混合汚れおよび固体粒子汚れの付着性と洗濯による除去性を比較検討した。《方法》(1)セルラーゼ処理:pH5の緩衝液に市販セルラーゼ(ナガセケムテックスセルライザー)を0~2g/l添加し、50℃で15~120分振盪した。(2)汚染:混合汚れによる汚染は、JIS C9606の湿式人工汚染布作成法により行った。酸化鉄による汚染は、酸化鉄を分散させた40℃の汚染浴中で30分振盪することにより行った。(3)洗浄:洗浄試験機(東洋精機スクラボメータ)により、40℃で30分行った。(4)汚染性・洗浄性の評価:分光測色計(ミノルタCM-2002)により試料布の反射率を測定してK/S値を求め、汚染度、洗浄効率を算出した。(5)減量率:セルラーゼ処理布、未処理布の絶乾重量より求めた。《結果》(1)汚染性:混合汚れによる汚染度は未処理布に比べてセルラーゼ処理布の方が低く、酸化鉄汚れによる汚染度は逆にセルラーゼ処理布の方が高くなった。処理布の減量率の差は汚染性に反映されなかった。(2)洗浄性:セルラーゼ処理布と未処理布について、反射率の等しい酸化鉄汚染布を作成し洗浄したところ、いずれの洗剤を用いた場合でもセルラーゼ処理布の方が低い洗浄効率を示した。
  • 高橋 維, 谷田貝 麻美子
    p. 83
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年、綿織物の洗濯後のしわを抑制することを目的とした種々のDP加工製品が実用化されている。しかし、こうした新規な製品の諸性質のうち、汚染性・洗浄性に関する系統的な検討はなされていない。本研究では、DP加工が綿織物の汚染性・洗浄性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし、DP加工の加工剤としてポリカルボン酸のうちクエン酸を用いて、酸化鉄による汚染性・洗浄性を種々の条件で検討した。【方法】(1)クエン酸処理:綿布をクエン酸・触媒(モル比1:1)水溶液に浸漬し、重量増約130%まで絞り、予備乾燥後、150℃でキュアリングを行った。(2)防しわ率:モンサント法により求めた。)3)汚染:40℃の酸化鉄分散浴中で、30分振盪した。(4)洗浄:種々の洗剤を用いて洗浄試験機(東洋精機スクラボメータ)により40℃で30分行った。(5)評価:分光測色計(ミノルタCM‐2002)で汚染布、洗浄布のY値(Yxy表色系)を測定し、Kubelka‐Munkの式よりK/S値を求め、汚染度、洗浄効率を算出した。【結果】(1)汚染性:クエン酸処理布は未処理布に比べて酸化鉄による汚染度は高くなった。また、処理条件によっても違いがみられた。(2)洗浄性:酸化鉄濃度0.05%の汚染浴で作成したクエン酸処理汚染布は、同濃度の汚染浴で作成した未処理汚染布よりも低い洗浄効率を示したが、洗浄挙動に大差は見られなかった。さらに、未処理布およびクエン酸処理布について、同程度のY値をもつ汚染布を作成し、洗浄性の検討を行った。
  • 小松 恵美子, 山口 江利子, 森田 みゆき
    p. 84
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
     目的 染色廃液中には染料や助剤,媒染剤が残存しているため,廃棄による環境負荷が問題とされている。そこで水に溶解しない土顔料を用いて染色を行い,染色廃液中の顔料をすべて回収して再利用する教材の開発を行っている。バインダーを用いずに土顔料と水,機械力だけで直接布を染色することが可能か検討した。 方法 土顔料は赤,黄,緑,茶の4種を使用した。綿布は油化学会の人口汚染布用さらし金巾を用いた。ボウルに土顔料約20cm3と,同じ体積の水を入れて混ぜ,泥状にした中に縦22cm×横20cmの綿布を入れ,手で布に泥をもみ込むようにして15分間染色を行った。染色布は風乾した後5回すすぎ,乾かしたものを試料布とした。土顔料粒子の綿繊維への付着状態を電子顕微鏡を用いて観察した。 結果 未染色白布との比較によって,どの試料布も繊維表面上に土顔料粒子が付着していることが確認された。粒子の付着状態や付着量は土顔料の種類によって異っている様子が観察された。また土顔料は4種とも粒子の大きさや形状に違いがあることも明らかとなり,繊維表面への付着状態との関連が推察された。試料布は5回すすいだにもかかわらず十分に土顔料の色合いを残しており,用途を考慮すれば染色布として使用が可能であることがわかった。
  • 前島 雅子
    p. 84
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    目的 ドライクリーニングに関する環境規制が強化されるに従って、家庭洗濯の有効化への期待が高まっている。一方、近年の洗濯機には複数の実行プログラムが組み込まれ、被洗物の種類や処理の目的に応じた洗濯をある程度可能とした。本報告では、実物衣料品を洗濯機の緩機械作用プログラムで繰り返し洗濯することにより衣料品に生じる形状変化を確認し、当該洗濯サイクルに柔軟剤処理を組み入れた場合の効果を調べた。方法 水平軸型全自動洗濯機(T社製、2001年購入) 緩機械作用プログラムを用い、毛100 %白地セーターを10回まで繰り返し洗濯処理(天然アルコール系非イオン界面活性剤0.025 %、常温水道水)し、同洗濯処理に毎回柔軟剤(ジアルキルジメチルアミンクロリド主剤)処理を加えた場合の衣料品に出現するサイズその他の変化を実測または官能検査で調べた。結果 各処理回でのセーター面積収縮率の比較で柔軟剤処理(0.05 %)試料に顕著な収縮緩和を認めた。(洗濯のみ10回後の収縮率 :28 %、 洗濯後柔軟処理10回の収縮率 :17 %)官能検査による「かたさ」およびカンチレバー法剛軟度でも柔軟剤処理による緩和効果を認めた。
  • 池田 衆一, 黒坂 玲子
    p. 85
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    (背景) 酵素は広く衣料用洗剤に使用されており、洗剤の成分として一般的なものである。プロテアーゼは粉末・液体いずれの衣料用重質洗剤において最もよく使用される酵素であるが、液体洗剤への配合は保存安定性を考慮する必要がある。またプロテアーゼとそれ以外の酵素を液体洗剤に併用する場合にも保存安定性は重要である。今回は、一般的にプロテアーゼの安定化剤として使用されるホウ酸よりも少量で高い効果のある4-formylphenylboronic acid (以下4FPBA)を使用した、液体洗剤中でのプロテアーゼの安定化について発表する。(方法・結果) 洗剤用プロテアーゼを液体洗剤に添加し、30℃で一定期間保存した後、プロテアーゼの残存活性を測定した。4FPBAを2%含む酵素製剤を洗剤に配合した場合、3週間後のプロテアーゼ残存活性は4FPBAを含まない酵素製剤を使用した場合と比較して高く保たれた。またリパーゼをプロテアーゼと共存させた場合、4FPBAが添加された系では顕著にリパーゼ活性を保持することができた。これにより、液体洗剤へ複数種の酵素を添加し洗剤の性能を向上させることができる。
  • 大浦 律子, 小ノ澤 治子, 渡辺 紀子, 岡田 仲子, 生野 晴美, 尾畑 納子, 中村 順子
    p. 85
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    目的   本研究は、衣服の洗浄による生活排水への負荷を低減するため、衣服の洗浄システムを総合的に見直し、新システムを開発することを目的とした総合研究である。洗浄機構を捉え直し、生活排水への影響を低減するために、それぞれが洗浄に関わる主要素(洗浄剤、洗浄用水、被洗物、漂白剤、非水洗浄)について分担研究し、総合的対策として提案することを目的とする。方法   従来の合成洗剤に代わる環境負荷の少ない酵素を利用した洗剤の開発のために、水晶振動子を用いて酵素の洗浄への寄与を検討した。また、生分解性に優れる機能性高分子ビルダーを開発し、そのカルシウム補足能および油性汚れ、固体粒子汚れに対する乳化・分散能について研究した。洗剤を用いない水系洗浄については油性汚れの除去を、新型洗濯機及び水質分析計により水質改善、超音波の使用、浸透イオン洗浄等を通して検討した。一方、洗浄用水の改良の点からは、水洗い対応加工を付与した諸種の羊毛加工布を用いて汚染性、洗浄性の検討を行った。さらに漂白剤の有効利用として、触媒の開発を行う一方で、洗剤に漂白剤を配合することにより、洗剤の使用量を低下させ、排水への影響を図った。加えて、非水系洗浄溶剤の改良については、水系に近い新規な洗浄溶剤として各種、水/アルコール系混合溶剤廃液の浄化を検討した。結果   酵素を使用した洗浄、高分子ビルダーの開発、酵素および触媒を併用した殺菌、色素汚れ除去、脂質二分子膜の利用、水質の改良、超音波、浸透イオン洗浄、各種加工を施した羊毛の水系洗浄、水/アルコール系混合溶剤を用いた洗浄についてそれぞれ効果的な結果を得た。このことにより、洗浄による生活排水への負荷を低減するいくつかの方策を提案することができた。
  • - 水分移動特性への効果 -
    橋本 恵美子, 山崎 久生, 宮坂 広夫, 向山 恒治
    p. 86
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    [目的]一般的な柔軟仕上げ剤で処理した繊維の水分および熱の移動特性については種々研究されている1)が、カチオン界面活性剤(以下、カチオン)にシリコーンを併用した柔軟仕上げ剤に関してはほとんど検討例がない。本報ではカチオン/シリコーン併用柔軟仕上げ剤で処理した各種繊維の水分移動特性を詳細に検討し、更に処理衣類着用時の快適性について評価した。[方法]評価には、予め前処理した綿、ポリエステルの試験布または衣類を用いた。カチオンのみの柔軟仕上げ剤を対照として、カチオン/シリコーン併用柔軟仕上げ剤の濃度を変化させて処理した各種繊維の、吸水性および蒸散性を接触吸水法により測定した。また、処理衣類着用時の快適性は、発汗時の衣服内温湿度を測定することにより評価した。[結果]一般に、綿繊維の吸水性能は柔軟剤の使用により低下するが、主基材であるカチオンの種類やシリコーンと併用することでこの低下が軽減するとの報告がある2)。カチオン/シリコーン併用柔軟仕上げ剤に関して、シリコーンの量を増加させると吸水性が向上し、綿については柔軟剤非使用と同程度になることが明らかとなった。一方、ポリエステルに関しては、柔軟仕上げ剤を使用すると非使用と比較して吸水性が向上し、シリコーンの併用によりこの効果は更に増大した。また、これら水分移動特性が良好な衣類を着用した場合、発汗時においても衣服内の湿度を低く保つなど、着用時の快適度が高いことが明らかになった。1)井上ら,繊維学会誌,53,p.226(1997)他2)橋山ら,日本家政学会第54回大会要旨集,p.179(2002)他
  • 増子 富美, 美谷 千鶴, 坂本 宗仙, 小野寺 繭子, 小西 貴子, 前田 英理子
    p. 86
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    <目的> 2001年、S社から洗剤0コース付きの全自動洗濯機が発売され、注目を集めている。本研究では、洗浄性などについて、この洗剤0コースと従来型の洗濯コースとの比較を試みた。<方法> 洗剤0コースはS社、洗剤を使う洗濯標準コースはS社及びN社製の全自動洗濯機を用いて行なった。洗剤は、弱アルカリ性洗剤及び中性洗剤を使用した。用いた汚染布は、市販の湿式人工汚染布、EMPA101及び116、及び調製したワイン汚染綿布である。機械力の評価にはMA試験布を用いた。また、市販のTシャツとシャツブラウスを購入し、10回繰り返し洗濯を行い、前後の表面反射率の違いから退色度を求めた。布の耐洗濯堅牢度をJIS L 0844、洗濯による寸法変化をJIS L 1909に準じて測定した。<結果> 洗剤0コースの洗濯水中の有効塩素量は、洗濯標準コースの場合より若干高い傾向を示した。洗剤0コースの洗浄性は、洗剤を使う標準コースと比較すると低いが、洗剤を使わずにN社の洗濯機を使用した場合と比較すると、やや高い傾向にあった。Tシャツ及びシャツブラウスは直接染料で染めたと見られる紺色のものである。Tシャツでは、洗濯による変退色が激しく、洗濯10回での退色度は40%に達した。収縮が激しく、特に、経方向の収縮が顕著であった。布表面に著しいけばが発生した。シャツブラウスでは、Tシャツほど顕著でないが、変退色及び収縮が観察された。
feedback
Top