一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
選択された号の論文の296件中1~50を表示しています
  • 奥田 弘枝, 岡本 洋子, 小園 佳美
    セッションID: 1P-1
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    【目的】本報告では、広島県備北一帯で食されている「ワニ」を取り上げて、ワニ料理ならびに広島県全域におけるワニ料理の調製状況を調べ、広島県におけるワニ食文化の一端を明らかにする目的とした。【方法】ワニの調理法およびワニ食の背景については、広島県比婆郡口和町に在住の女性3名(50歳代_から_70歳代)に、ワニ料理を再現してもらい、聞き書きした。広島県内の14地域171名を対象に、魚介類の食され方について質問紙調査を行い、ワニ料理の出現を調べた。【結果】(1) 広島県比婆郡に在住の女性3名にワニ料理 (ワニの刺身・ワニの湯引き・ワニの煮こごり・ワニの南蛮漬け・ワニの巻きずし・ワニめし等) を再現してもらい、調理法ならびに食の背景を記録した。聴き取り調査によると、備北地方は、海に遠い内陸部であるため、流通手段や冷凍技術の発達していなかった時代には、「ワニ」は刺身にできる数少ない魚であることがわかった。また、ワニ肉には、浸透圧調節のために多量の尿素が含まれており、死後、この尿素がアンモニアに変化し防腐剤の役割するために、常温で2週間くらいは保存できたといわれている。(2) 広島県内14地域で質問紙調査を行った結果、総記載料理数4,685であり、そのうち、ワニ料理の出現は三次市で9件、庄原市で5件、甲奴郡上下町で2件みられ、いずれも備北周辺であり、他の地域ではみられなかった。さしみ(10件)、湯引き(4件)、煮こごり(1件)、フライ(1件)で食されおり、日常食(15件)、正月・祭りなどの晴れ食(8件)であった。さしみの辛みとしては、しょうが(7件)、わさび(4件)、なし(1件)であった。
  • 岡本 洋子, 奥田 弘枝, 小園 佳美
    セッションID: 1P-2
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    【目的】本報告では、広島県県北に水源を発している江の川流域で採取される魚を取り上げて、その種類、調理法、食されている背景等を調べ、広島県における川魚の食文化の一端を明らかにする目的とした。【方法】江の川水系の川魚アユ、ギギ、オイカワ、コイ等について、広島県三次市在住の男性2名(40歳代・70歳代)に、それらの料理を再現してもらい、聞き書きした。広島県内の14地域171名を対象に、魚介類の食され方についてアンケート調査を行い、川魚の出現状況を調べた。【結果】アユ、ギギ(ギギュウ)、オイカワ(ハヤ、ハエ、寒ハエ)、コイについて、若鮎の姿焼き、鮎寿司、鮎の背越し、落ち鮎の甘露煮、ギギの照り焼き、オイカワの甘露煮、鯉こく、鯉の刺身等の調理法を記録した。川魚は季節によって成分・テクスチャーが異なり、その特質を生かした調理が行われていた。広島県内14地域でアンケート調査を行った結果、総記載料理数4,685であり、川魚としては、アユ(70件)、コイ(18件)、オイカワ(9件)、ヤマメ(4件)、ギギ(3件)、フナ(2件)、ウグイ(1件) 等が出現した。川魚の出現頻度の高い地域として、三次市(38件)、上下町(23件)、広島市(23件)、庄原市(9件)が挙げられた。アユでは、塩焼き(47件)、甘露煮(7件)、背越し・刺身(4件)、鮎寿司(3件)、うるか(3件)等で食さており、日常食(67件)、晴れ食(8件)であった。コイでは、鯉こく(8件)、刺身(5件)、甘露煮(2件)等、オイカワでは、甘酢漬け(3件)、甘露煮(3件)、南蛮漬け(2件)等、ギギでは、から揚げ(2件)、照り焼き(1件)で食されていた。
  • -大阪府都市型生活者の状況-
    東根 裕子, 澤田 参子, 阪上 愛子, 山本 信子
    セッションID: 1P-3
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    【目的】近畿地方では古くから魚介類が利用され、食文化が培われてきたが、近年の利用状況を把握するため大阪市を中心とした都市型生活者に対し調査を実施した。これは平成15・16年度日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学」の一環として行ったものである。【方法】大阪市とその近郊都市に住む37世帯を対象に平成15年12月から平成16年5月に自記式調査を行った。上記研究の調査用紙と方法に基づき、利用する魚介類、入手方法、料理名、調理法、調味料や季節、日常的利用か行事や伝統的な特別の日であるかなどについて聞いた。【結果】調査対象者の年齢は、30歳代から80歳代までと年齢差が大きかったが、30から50歳代で全体の約70%を占めた。魚の種類とその料理数は総計3140であり、1人平均85であった。利用の多い魚介類は、いか、えび、あじ、さけ、さばの順であった。調理法は、焼き物が一番多く、次いで煮物、なま物、揚げ物、飯・麺料理となった。いかでは、なま物・煮物・揚げ物・焼き物がほぼ同率であったが、えびでは揚げ物、あじ・さけでは焼き物、さばは煮物・焼き物が多かった。行事食は、正月に一般的なかずのこ、たい、ぶりをはじめ、ふぐやあなごも使用されていた。かつて大阪では、さばが塩干物やしめさば、船場汁として食べられていたが、今回の調査ではそれらは少なく、伝統的さば料理は減少傾向を示した。一方岸和田市では、小魚と水茄子漬物の煮物、めごちのから揚げ、ふかの酢味噌和え、はもすき、八尾市では、なまり節の煮物などの伝統料理が伝承されていた。
  • -兵庫の魚料理-
    川原崎 淑子, 片寄 眞木子, 岸田 恵津, 福本 タミ子, 藤井 昭子, 山下 英代
    セッションID: 1P-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    【目的】兵庫県は日本海と太平洋を臨み、古くから多種多様の魚料理が培われてきた。そこで近年の利用状況を知るため、沿岸部や山間部などの地域をランダムに抽出し、調査を実施した。併せてこの調査は平成15・16年度日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学」の一貫として行った。<BR>【方法】調査地域は兵庫県南東部4・神戸7・洲本4・加古川11・御津3・豊岡5の総数34世帯を対象に、平成15年7月から16年7月の期間、上記特別研究の調査用紙と調査方法に基づき、自記入方式で行った。調査項目は利用する魚介類、入手方法、料理名、調理法、調味料や季節、行事食や伝統的な料理などである。<BR>【結果】_丸1_調査対象者の年齢は30歳と40歳代60%、50歳以上が40%であり比較的若い層の調査である。_丸2_家族構成は1世代と2世代で67%と集中し都市型の家族構成であった。_丸3_魚は3252の出現し、1世帯当たり平均95で多いものでは318の魚料理の回答があった。魚の種類は魚卵を除き90種類あり、さけ、いわし類、いか類、あじ類、えび類、さば類の順に利用が多かった。_丸4_調理法は焼く・煮る・生・和え物・揚げるなどが多く、また意外に多いのはマリネや下味の準備をして焼く・揚げる調理法であった。_丸5_瀬戸内海沿岸の地域ではいかなご漁が解禁となると、いかなごの釘煮が作られている。本調査でも豊岡を除いて24世帯で釘煮が作られていた。また郷土料理として秋祭りにはさばずしやこのしろすしが作られていた。
  • -京都府の漁村地域と都市地域-
    片寄 眞木子, 川原崎 淑子, 小西 春江, 四方 幸子, 冨岡 和子, 米田 泰子
    セッションID: 1P-5
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    〔目的〕近畿地方では古くから魚介類の利用が盛んで多彩な魚介類の食文化が培われてきた。近年の利用状況を知るため、京都府の漁村地域と都市地域(以下漁村と都市と略す)において調査を実施した。平成15・16年度日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学」の一環として行った。〔方法〕調査時期は2003年9月から2004年3月。調査地域は漁村地域(伊根町、久美浜町)12世帯と都市地域(京都市、京田辺市)12世帯。上記特別研究の調査用紙と調査方法に基づき、自記方式によった。調査項目は利用する魚介類、入手方法、料理名、調理法、調味料、季節、行事食や伝統的な料理等である。〔結果〕1)調査対象者の年齢は漁村では60歳代75%、都市では60から20歳代が分散していた。家族構成は漁村では3世代から1世代が分散しており、都市では2世代が92%であった。2)漁村で多く利用されている魚介類はいか、あじ、いわし、かわはぎ、さば類で、都市ではいか、いわし、たい、さけ・ます、さば類の順であった。淡水魚と魚介卵は都市が漁村より多かった。一世帯当りの平均魚介類料理数は漁村が89、都市が109であった。3)調理方法で分類すると漁村は焼、煮、生、揚、汁、飯、茹、漬、和、蒸で、都市は焼、煮、生、揚、飯、和、茹、漬、汁、蒸、炒の順であった。4)行事食は、漁村では正月、祝儀、祭、来客、仏事にいか、たい、あまだい、ぶり、かずのこ等の料理が作られ、都市ではかずのこ、いわし、はも、にしん等の料理が一般的であった。
  • -奈良県の伝統食にみる魚食文化と地域性-
    冨岡 典子, 太田 暁子, 志垣 瞳, 福本 タミ子, 山下 英代
    セッションID: 1P-6
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    [目的」日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学ー魚介類ー」調査の一環として、奈良県内における魚介類の利用状況について調査を行い、本報では、奈良県の伝統食にみる魚食文化と地域性を検討した。
    [方法]調査地は奈良県北西部の平野部(奈良市4・生駒郡3・生駒市1・大和郡山1)、北東部の山間部(山辺郡6)、東南部の農山村部(磯城郡1・桜井市3・宇陀郡1)、西部の農山村部(葛城郡2・五条市5)、南部の山間部(吉野郡7)の34所帯(調査対象者20(1)、30(1)、40(13)、50(12)、60(5)、80(2)歳代・()は件数)を対象に2003年夏から冬にかけて聞き取り調査および質問紙調査を実施した。
    [結果]奈良県の伝統食(祭り、行事、儀礼など)に利用された魚介類として、北東部の山間部はさけ、さば、たこの酢の物(酢作り)やさけのかす汁、ほたるいかの酢味噌あえ、にしんの煮物を葬式の時に、えいの煮物を正月に、さば、いわし、たい、かますの焼き物やとび魚を秋祭り、新嘗祭、神社行事、地鎮祭の供物に、かつおのたたきを祭りに、各種魚のすしやさけのきずしを春秋の彼岸に、あゆの塩焼きを祭り・祝い事に供し、山間部でも種々の魚介類が利用されていたが、これらの魚介類は隣接する三重県の魚食文化に類似のものであった。また、西部五条市や南部の吉野山間部ではさばやさけの柿の葉ずしを夏祭りや秋祭りに供し、和歌山県に隣接の十津川ではさんまずし(含なれずし)が祭りや正月に供されていた。県の大部分が山間部である奈良県の伝統食の魚介類利用の地域性をみると、海岸部を有する隣接県の魚食文化が大きく影響していることが明らかとなった。
  • -琵琶湖周辺の3地域-
    小西 春江, 坂本 裕子, 片寄 眞木子
    セッションID: 1P-7
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    【目的】近畿地方では古くから魚介類が利用され、多彩な食文化が培われてきたが、近年の利用状況を知るため、滋賀県中央部に位置する淡水湖である琵琶湖周辺地域において調査を実施した。平成15・16年度の日本調理科学特別研究「調理文化の地域性と調理科学」の一環として行った。<BR>【方法】調査時期は平成15年10月_から_16年7月。調査地域は湖南地域、湖北地域、湖東地域(以下湖南、湖北、湖東と略す)で湖南(大津市)8世帯、湖北(東浅井郡、伊香郡)6世帯、湖東(近江八幡、蒲生郡)4世帯において自記式調査を行った。調査内容は、利用する魚介類、入手方法、料理名、調理法、調味料、季節、行事食や伝統的な料理などである。<BR>【結果】調査対象の年齢は湖南40・50歳代、湖北は50・60歳代、湖東は40歳代から70歳代であった。よく利用されている魚介類は、湖南はえび、さけ、いか、さば、ぶりで、湖北ではいか、さば、いわし、たい、あじ、湖東はいわし、さけ、さば、ぶり、あじで、調理法を分類すると3地域とも焼くが一番多く、次いで煮る、三番目は湖北と湖東では生が、湖南では揚げるであった。琵琶湖で獲れる湖魚の利用は湖北と湖東で多く、湖南は少なかった。あゆやふな、こい、もろこが利用され、調理法は煮る、焼く、揚げるの順であった。行事食は、湖北では祝事や法事、祭りにあゆの佃煮やふな寿司、えび豆、にしんの麹漬け、棒だらが利用され、かずのこは3地域で正月に利用されていた。湖北は利用する魚介類も多く、湖魚を利用した多彩な伝統料理が多く作られていた。
  • -和歌山県の魚の料理-
    堀 京子, 小西 春江
    セッションID: 1P-8
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    目的 和歌山県は近畿では南に位置し、平野部は少なく、海に面した市町村が特色である。また、大阪などに魚介類や農産物を出荷している生産県である。和歌山の魚介類の利用状況や伝統的な調理・加工法について報告する。
    方法 調査期間は平成15年8月_から_平成16年3月。調査地域は和歌山市、海南市、有田市、那賀郡、新宮市の20世帯。地方都市が13、農村地帯が4、半農半魚の地域が2、海に近い都市が1世帯。調査項目は、魚介類の種類、料理名、調理法、調味料、季節、行事食などで、平成15,16年度日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学」による。
    結果 __丸1_調査対象者の年齢は70・60・50・40・30・20歳代が各々1・1・7・4・3・4名であり、家族構成は3・2・1世代が2・16・2世帯であった。__丸2__魚の料理名は、世帯平均38.8種類であった。80・70・50・40・30・20・10種類以上あげた世帯は、各々1・1・3・3・4・7・1世帯であった。__丸3__魚の購入は92%を占めた。__丸4__調理方法では、焼、煮、生、揚、飯、茹、和、漬、汁、炒、蒸の順であった。上位の4種類の調理法で78.4%を占めた。__丸5__魚介類の種類は延べ102種類で、あじ、えび、さば、かつお、たい、たちうお、いか、ぶり、たこ、さんま、さけ、いわしなどはすべての世帯で作られた。__丸6__お正月にはたい、かつお、さばの焼き物、あせ寿司、さんま寿司が作られ、秋祭りにはあせ寿司、じゃこ寿司が作られた。
  • -統計年報等から探る生産・流通・消費の変遷-
    高橋 洋子, 加藤 征江, 粟津原 宏子, 小谷 スミ子
    セッションID: 1P-9
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    目的: 年越しの膳に欠かせない“年取り魚”は、東日本では鮭、西日本では鰤で、東西の境界は糸魚川-静岡構造線付近とされる。本報では、その境界に位置する新潟・富山・長野の3県における、鮭と鰤の生産・流通・消費の変遷に関する文献調査を行った。現在の漁獲量からは鮭や鰤の主要産地とはいえない3県において、過去の漁業実績や加工品製造等から、現在も鮭や鰤が特別な魚と認識され、購入量にも反映している様子を検証する。
    方法: 農林水産省統計表・県史の資料編・古文書の記録等から、鮭と鰤の漁獲量、および塩鮭・塩鰤の生産量の変遷を調べた。また、家計調査年報から購入量を、『日本の食生活全集』『地域資源活用食品加工総覧』等から用途や調理法・加工法などを調査した。
    結果: (1)現在の購入量:家計調査の都道府県庁所在市別ランキング(平成13から15年平均)で、購入量(一世帯当たり/年)の全国順位を比較すると、「さけ」は長野3位・新潟7位・富山23位、「塩さけ」は新潟2位・富山6位・長野13位、「ぶり」は富山1位・新潟27位・長野43位であった。(2)現在の購入量に影響していると考えられる歴史的背景:<鮭>平安時代から江戸時代にかけては、新潟・富山・長野が鮭の主要産地であった。新潟では独特の塩引鮭が製造され、江戸時代から鮭の孵化事業が行われた。昭和初期にダムができるまでは、日本海から遡上した鮭が長野県内でも多数捕獲されていた。<鰤>富山湾は古くから鰤の名産地で、定置網漁法の発祥地としても知られる。そこで獲れた鰤が塩鰤(寒鰤の塩干品)に加工され、流通の経由地名を冠した「飛騨鰤」「糸魚川鰤」として信州に運ばれ、“年取り魚”になったが、塩鰤の生産は昭和20年代に激減した。
  • 岸田 恵津, 一円 とうこ
    セッションID: 1P-10
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    目的 食生活の変化や動向については、国民栄養調査や家計調査年報等の公刊データを用いて摂取食品や栄養素等摂取量から分析されている場合がある。しかし、これらの資料で示される結果を使って、家庭での調理レベルの変化を検討するのは困難である。そこで近年の食生活の変化を「料理する・つくる」という観点から検討するために、今回は魚料理をとりあげ、料理雑誌を用いて魚料理の変化と特性を調べるとともに、料理雑誌を資料として用いることの妥当性についても検討することを本研究の目的とした。
    方法 料理雑誌として継続性があり、発行部数が比較的多く、毎日のごはんを手作りすることが編集方針の根幹であるテレビテキスト「きょうの料理」を資料とし、調理形態による分類や作業内容等について40年間(1960-2000年)の変化を調べた。また、家計調査年報やアンケート調査から得られた結果と合わせて検討した。
    結果 雑誌に取りあげられている全料理に対する魚料理の割合は約25%で40年間ほぼ一定であった。魚料理に使われていた魚の種類は、1965年では30種類であったのが、最近では約50種類と増加していた。家計調査年報で購入数量が多い鮮魚(あじ、いわし、さけ、さば、さんま、ぶり)に着目して調べたところ、各魚の掲載率の変化は、家計調査年報の購入数量の変化と必ずしも対応していなかった。魚ごとの調理法については、あじやさけは多種類の調理が取りあげられているのに対し、ぶりとさんまについては調理法が限られており、魚ごとの調理法の多様性は特徴づけられたが、経年的変化は見られなかった。変遷については、公刊データや種々の調査報告で示されている結果と対応していない内容もあり、料理雑誌を用いて家庭での調理の変化を調べることには問題点もあることが示唆された。
  • 川村 昭子
    セッションID: 1P-11
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    [ 目的 ] 私たちは自然や社会のなかで生活している。その生活の様式・あり方も、時代とともに変化し多様化してきているが、生活には日常的なことと行事的なこととが存在する。平安時代に宮中で行われていた行事が、後に祭事として一般民間で行われるようになり、季節の節目に行われるようになった。現代においてこの行事いわゆる年中行事がどのように意識されているかを知るためにアンケート調査を行った。また、人の一生に関わる人生儀礼についても同様に調査を行った。
    [ 方法 ] 2001から2004年度本学・生活文化学科入学生316名を対象として自己記入法により実施し、即時回収した。年中行事への意識をみるために、調査内容は、年中行事や人生儀礼の認識と実施の有無、行事に関わる食べ物などについて質問し、自由回答あるいは選択回答の形式をとった。これらの結果を集計し、検討した。
    [ 結果 ] 自宅通学生は60.8%、下宿学生は39.2%で、北陸三県(石川・富山・福井)出身者は95.9%である。月別にどのような行事を行っているか記述させると、正月、雛祭り、節分、端午の節句、家族の誕生日や祭り(春・夏・秋)などの30行事名が記された。次に記述されていた行事13を含んで18行事の認識と実施の有無、行事に関わる食べ物の摂取状況では、知っており行い、関する食べ物を食するは多いものの、知っているが行わない、行わないが関わる食べ物だけを食すという回答も多くあり、年齢とともに行うものや行わない行事がみられた。人生儀礼では、まだ実感として理解していないようで、知らない儀礼が多い傾向であった。
  • -食糧調達の内容-
    小竹 佐知子
    セッションID: 1P-12
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
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    目的 『アンネの日記』に書かれている食物関連事項を食糧調達の視点から検討し、“隠れ家”の食生活の様子がどのように変遷していったかを調べた。方法 『アンネの日記 完全版』文春文庫、アンネ・フランク著、深町眞理子訳、文藝春秋社(1994)を調査対象資料とし、日記記載のうち、食品、食器、調理用語、食事動作に関わる内容のものを食物関連事項とした。結果 日記は4.3日に1回の割合で書かれており、そのうちの64%の日に食物関連事項が認められた。隠れ家生活の支援は中心的存在として5人のオランダ人がおり、その他にアムステルダム市内のパン屋、牛乳屋、八百屋、肉屋および地下組織が関わっていた。2年1ヶ月に及ぶ隠れ家生活での食糧事情は、前期・平穏期、中期・悪化期、後期・困苦期の3期に分けられた。隠れ家生活開始直後の平穏期は、充分な貯蔵食糧の存在と比較的容易な食糧調達により、不自由な中にも新しく始まった“隠れ家”生活での食事を楽しむ余裕があった。悪化期は、品薄、品質劣化が目立つようになり、隠れ家での閉塞的な生活による精神的疲労も加味された時期であった。最後の困苦期は、少ない食糧の配分で隠れ家内のメンバー間のいさかいが頻発し、食事を抜く節約法をとらざるを得ない状況であった。隠れ家生活を支援していた人たちの逮捕も、食糧調達を危うくし、隠れ家内のメンバーへのストレスは大きかった。
  • 大久保 恵子, 小竹 佐知子
    セッションID: 1P-13
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 頼山陽の母・梅颸(ばいし1760_から_1843)が26歳から85歳まで書き続けた日記48年間の資料の食品贈答で、畜肉製品の利用状況を検討した。方法 『梅颸日記』から食品贈答の記事を抜粋し、用いられている畜肉製品の頻度、利用状況、贈答相手を調査した。結果 『梅颸日記』に記述されていた食品贈答は、梅颸側から贈ったもの(贈り物)が848項目、梅颸側が貰ったもの(貰い物)が1228項目認められた。このうち畜肉製品は贈り物では3項目2品(鴨2・鶏肉1)、貰い物では33項目12品(鴨13・鶏4・山鳥4・すっぽん3・雉2・雁1・小鳥1・ひよ鳥1・牛1・干はむ1・鶴1・熊1)が登場した。全項目数にしめる畜肉製品の割合は、贈り物での0.4%に比べて、貰い物での2.7%の方が高かった。3項目あった贈り物は、他からの貰い物を贈り物として用いる使い回し(鴨)と結婚祝(鴨)と拝領物の裾分け(鶏)であった。貰い物では、33項目のうち6項目が拝領物であり、このうち頼の家が直接拝領したものが2項目(鴨・鶏)、その他は知人が拝領したもの(鴨)、山陽の叔父が拝領したもの(鴨・雁)、山陽が日野氏より拝領したもの(鶴)を裾分けされていた。貰い物のその他の用途は、謝礼、中元であった。梅颸は貰った食品についての感想をほとんど日記に残さなかったが、文政11年9月22日に貰ったすっぽんについて「甚だチイサシ」と記していた。
  • 關戸 啓子
    セッションID: 1P-14
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 現代の若者に欠食が多いことは,社会的にも問題視されており,さまざまな影響が指摘されている。その中で,今回は大学生を対象として,朝食を欠食することが午前中の学習にどのような影響をもたらすのか検討した。
     方法 看護大学2年の女子学生に研究の趣旨を説明し,午前の授業開始前・午前の授業終了直後に「今の心理状態」(自作の10の対をなす質問項目で,5選択肢について回答を求める形式)を記入するように依頼した。同時に,当日の朝食摂取の有無も調査した。調査は無記名で,研究協力に合意した学生のみが提出することとした。この調査は2003年5月に実施した。分析には,対をなす質問項目ごとに5点から1点を配点し,因子分析の主因子法・バリマックス回転法を用いた。
     結果 調査用紙は学生58人に配付し,53人から提出があった(回収率91.4%)。有効回答数は51であった(有効回答率96.2%)。因子分析の結果,2因子が抽出された。第1因子を「やる気に関する因子」,第2因子を「精神状態の安定に関する因子」と解釈した。
     調査当日,朝食を摂取していた学生は38人で,摂取していなかった学生は13人であった。
     午前中の授業開始前の因子得点を比較すると,朝食を摂取していない学生は,摂取している学生に比べて「やる気に関する因子」の得点が低い傾向が認められた。また,朝食を摂取していない学生は,摂取している学生に比べて「精神状態の安定に関する因子」の因子得点が有意に高く(p<0.05),いらいら感が強く集中力に欠けていることがわかった。
     午前中の授業終了直後には,朝食摂取の有無による因子得点の差は認められなかった。
  • 大坂 佳保里, 永嶋 久美子, 金武 由利子
    セッションID: 1P-15
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的:本研究は生活習慣病の増加の一因として、健康や食生活に対する評価的態度が関与していること想定し、青年期女子の健康や食生活に対する認識を分析することで、大学教育における健康教育のシステム構築の手がかりとすることを目的とした。方法:関東地区の社会科学系および生活科学系の女子学生を対象に、2002年9月から12月に無為名自己記入式の質問紙調査を行い、単純集計とクロス集計を実施した。結果:調査対象者は578名であった。その内、69.2%は自分が健康であると認識しているが、そのための日常生活における保健行動を検討すると、特に運動を心がけていない者は79.6%、睡眠や食事時間などの規則正しい生活習慣を心がけていない者では68.5%と、心がけの態度が低いことが判明した。また、食生活の満足感は70.4%と高いが、日常の食事が良好な栄養バランスではないと評価する者が60.2%と多く認められた。これより青年期は健康感が比較的高いとされているにもかかわらず、適切な保健行動がとられていないことが示唆され、このような認識が生活習慣病の発症の一因になる可能性が高いことが推察された。これらの結果から、早期の健康教育の必要性が示唆された。
  • -保育士養成校の学生の場合-
    宮田 恭子, 冨永 典子
    セッションID: 1P-16
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】保育士は人的環境として子どもの生活と発達を援助することが求められ、生活習慣の1つである「食」についても正しい知識をもって行動する必要がある。本研究では、保育士養成の演習科目である「小児栄養」の授業を通じて、保育士資格取得を目指す学生の食生活に対する知識と意識の変化について検討した。【方法】2003年度および2004年度に、保育士資格取得を目指す学生(2003年度:163人、2004年度:155人)に対し、それぞれの年度ごとに、演習科目である小児栄養の第1回目講義時と最終講義時に食生活に関する知識と意識についてアンケート調査を行った。なお小児栄養の授業は講義、パネルシアターによる幼児向けの食教育教材作成実習、調理実習を組み合わせて行った。【結果】両年度とも、3色食品群や6つの基礎食品のように「食品を栄養によって分類できるか」という設問に関して「できない」あるいは「知らない」と回答した学生が、講義前の約68%から講義後には約30%へと減少していたが、実際の食事の場で、「適切なおかずを選択できるか」や「偏りのない食事をしているか」との設問に「できる」と回答した学生はいずれも30%程度にとどまっており、得た知識を実生活に生かすことが難しい現状が明らかとなった。しかし、食生活に関する意識の変化を認める学生が2004年度では93%に上っており、幼児向けの食教育教材作成や調理実習を通して、適切な知識の獲得と自身の食生活の見直しが必要であると実感していることがうかがえた。
  • -18歳以上の子どもを持つ母親の場合-
    神部 順子, 佐藤 真弓, 長嶋 雲兵
    セッションID: 1P-17
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 食に関する実態と印象を明らかにすることを目的とする。本研究は、18歳以上の子どもを持つ母親に対して聞いた。日本家政学会第55回大会での発表(「食べること」に関する実態と意識(第1報)_-_若者にとっての「食」_-_) と第56回大会での発表(食に関する実態と印象の解析_-_福祉系の短大生、専門学校生の場合_-_)からさらに他の世代での食に関する実態と印象を明らかにしていくこととした。 方法 2003年小平市と佐野市にある短大と文京区にある専門学校に通う学生を経由し、学生の母親に質問紙調査を行った(有効回答数計279名)。食べ方の実態として、調査時点のごく最近に食べた3食について、誰と、どこで、どんなものをとったかを聞いた。また、調査時点の1週間で各食事を作った回数、作ったときに誰に食べてもらうことを意識したか、家庭での食事に対するしつけやこだわりを聞いた。食事を作るときの印象をみるためには12種類、ごく最近に食べたときの3食の印象をみるためには10種類の形容詞対によるSD法を用い、多変量解析で解析した。 結果 朝食と夕食はほとんど母親自身によって作られ、50%以上が主に子どもに食べてもらうことを意識して作っていることが分かった。朝食は80%以上、夕食は90%以上が家族と一緒に食べていた。また、朝食と夕食は90%以上が自宅で食べていた。食事に対するしつけは、育った家の方が今の家よりも厳しいと認識していた。食事を作るときの印象は「安全な」、「健康的な」、「おいしい」、「日常的な」ものであり、各食事での印象は特に夕食に対して良い印象が得られた。
  • 川野 亜紀, 細田 千晴, 小野江 茉莉, 高橋 智子, 大越 ひろ
    セッションID: 1P-18
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 高齢者施設における食事の主流となっている「きざみ食」は、誤嚥などの誘因となり危険性が指摘されているが、「きざみ食」への高齢者自身の要望は高い。そこで「きざみ食」を安全に提供する工夫が必要となる。例えば、きざみ食(ゲル)はとろみのついたあん(ゾル)などをかけるとまとまりやすいといわれている。そこで、まとまりやすく飲み込みやすい形態をもつといわれるとろろを用いたゾル試料と、きざみ食を想定し、長芋を刻み、蒸したゲル試料を用いゾル_-_ゲル混合モデル系試料を調製して、機器測定と官能評価を行った。
    方法 粉末やまいもを水に添加し、5段階(サラダオイル、ヨーグルト、マヨネーズ、大和芋とろろ、マッシュポテト)の硬さに調整したとろろをゾル試料とした。4_mm_角に刻んだ長芋を蒸すことにより3段階の硬さに調整したものをゲル試料とした。ゾル試料については、テクスチャー特性、動的粘弾性、流動特性を測定した。ゲル試料については、テクスチャー特性、破断特性を測定した。ゾル_-_ゲル混合試料については、テクスチャー特性の測定を行った。また、ゾル試料、ゲル試料、およびゾル_-_ゲル混合試料について、順位法を用いた官能評価を行った。
    結果 ゾル_-_ゲル混合試料のテクスチャー特性の硬さは、ゾルの硬さの影響がみられず、マヨネーズおよび大和芋のとろろ程度の硬さを持つゾルを用いたものがもっとも硬くなった。また、この2試料はもっとも飲み込みやすいと評価された。混合試料の凝集性はゾルが硬いものほど高くなり、混合試料の凝集性の高いものほどまとまりやすいと評価された。
  • 中村 恵子, 佐原 美佳
    セッションID: 1P-19
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】凍み大根(凍り大根)は、郷土料理に利用される保存食材の一つであり、大根を冬の夜間の寒気で凍結させ、日中風に当てて乾燥させたものである。東北地方を中心に食されているが、その形状や加工過程は地域によってさまざまである。そこで、東日本における凍み大根の分布および各地の加工方法を調べ、気候との関係を考察するとともに、凍み大根の加工におけるゆでおよび凍結操作の意義を明らかにすることを目的とした。【方法】「日本の食生活全集2000」(CD-ROM版、農文協)を用い、「凍み」「凍り」の記述を検索した。最低気温や積雪量等は、気象庁のデータを利用した。凍み大根加工のモデル実験では、市販の大根を4×4×3cmの直方体に成形し、生のままあるいは熱湯で1時間ゆでた。その後、-20度の冷凍庫で16時間凍結させるかあるいは5度の冷蔵庫で保存し、温風乾燥機(40度)で連続乾燥させた。乾燥中の重量および温度変化を測定した。【結果及び考察】凍み大根は、北海道、東北、関東北部、甲信越、岐阜、石川、静岡の山間部などで加工され、同一地域で食されていた。いずれも、冬期の最低気温が零下になる地域であった。モデル実験の結果、生・凍結なしの試料は乾燥時の重量減少速度が最も遅く、製品は白くしわがよった。その他の試料は、重量減少速度が比較的速く、製品は茶色くなった。ゆでおよび凍結操作は、大根の細胞膜構造を破壊し、乾燥速度を速くする効果があると考えられた。
  • 橋場 浩子, 小見山 二郎, 仲西 正, 牛腸 ヒロミ
    セッションID: 1P-20
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 これまで、呈味成分の食材中の拡散については多くの報告があり、その拡散係数を算出しているものもあるが、それらは全濃度に亘って拡散係数を一定とする、Fickの法則に基づいているものが殆どで、説明は全く与えられていなかった。そこで文献に報告されている拡散係数の濃度依存1) 2)が二元収着拡散理論により解析できることを明らかにする。
    方法 NaClのFickの拡散係数Dを縦軸に、横軸に濃度Cをとると、特定の濃度でピークが見られる結果を2つ選んだ。このようなDの変化に二元収着拡散理論式をあてはめてコンピュータ解析し、2種の拡散種の平衡に関するパラメーター、α、吸着座席濃度、S、熱力学的拡散係数、DT(p)、DT(L)を求める。
    結果 エメンタールチーズを、30%食塩水に4℃で48時間浸漬した場合について、α=12、S=0.45 mol/kg、DT(L)=1.0×10-6 cm2/s、DT(p)=0.52×10-6cm2/sが得られた。豚肉を食塩水に浸漬した場合についても同様に、濃度依存が二元収着拡散理論により、解析できることが明らかになった。
    文献 1)Pajonk, A. S. and Andrieu, J.: J. Food Eng., 60, 307-313. (2003) 2) Guihenneuf, T. M. and Gibbs, S. J.: J. Food. Eng., 31, 457-471. (1997)
  • 石井 克枝, 境 里美
    セッションID: 1P-21
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】
    食生活の洋風化に伴いわが国においてもさまざまなスパイスを使用する調理が多くなってきた。甘い香りのスパイスは味覚に影響を与え、甘味の増強効果が報告されている。しかし、具体的な調理では詳細には明らかにされていない。そこで本研究では、甘い香りを持つスパイスを対象にし、嗜好性と各種調理における甘味の増強効果を調べ、スパイスを利用による砂糖の使用量の減少程度を明らかにすることを目的とした。br>【方法】
    甘い香りを持つスパイスはアニス、フェネル、バニラ、シナモン、バジル、八角の6種類を対象にした。甘味の増強効果は、一定量の各種スパイスに熱湯を加え3分間抽出し、これに蔗糖5%加えスパイス添加蔗糖溶液とし、5%蔗糖溶液を対照とし、3段階で評価した。調理における増強効果は、ババロア(バニラ)、りんごジャム(シナモン)、クッキー(アニス、バジル)、ナイトーフ(八角)、りんごのコンポート(フェネル)を対象にスパイス無添加のものを対照とし、識別法変法で、3段階評価を行った。
    【結果】
    嗜好性はバニラ、シナモン、バジルで高く、八角、アニス、フェネルで低かった。嗜好性の低いスパイスに共通する成分はアネトールである。5%蔗糖溶液に対しての甘味の増強効果はバニラが最も高く、シナモン、アニス、八角、バジルでも高い傾向であり、フェネルでは認められなかった。甘味を感じる時間を測定した結果、スパイス添加により蔗糖溶液の1.5倍から3倍になり持続性が高められることがわかった。各種調理ではすべての調理で甘味増強効果が認められ、砂糖の使用量をバニラでは40%、その他では20%減少できた。
  • 戸田 美穂, 杉江 明子, 小野澤 葉子, 松永 尚真, 本間 健
    セッションID: 1P-22
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年の脂質摂取量の増加は著しく、平成14年厚生労働省国民栄養調査結果では脂質エネルギー比は25.1%であった。アメリカ糖尿病協会ではFat Free Cookingとして調理用オイルスプレーを糖尿病の患者に対して推奨している。油の使用量を減らすことができるため、オイルスプレーを使用した揚げの調理方法は脂質摂取量削減の手段として有効と考えられる。そこで本研究では、素揚げとフライ調理においてオイルスプレーが従来の揚げ調理方法の代替方法となることを検討した。
    【方法】素揚げはじゃがいも、フライは豚ヒレ肉を素材とした。それぞれ従来の揚げ調理方法で調理したもの、オイルスプレーを使用して電子レンジで調理したもの、油を使用せずに電子レンジで調理したもの、計6種類の試料について脂質含量、水分含量、破断特性を測定し、また官能検査も行った。官能検査は外観、食感、香り、味、総合的なおいしさについて2点比較法を採用した。パネルは官能検査に関する実習を終えた日本女子大学食物学科の学生10名とした。
    【結果】従来の揚げ調理方法で調理したものはオイルスプレーを使用して調理したものより、脂質含量が多く、水分含量が少なかった。素揚げでは外観、食感、味、総合評価においてオイルスプレーを使用したものが、油を使用しないものより好まれ、味においては従来の揚げ調理方法で調理したものよりもオイルスプレーを使用したものの方が好まれた。フライでは有意な差は見られなかった。以上より、素揚げとフライ調理においてオイルスプレーが代替調理方法となることが示唆された。
  • 金 娟廷, 川野 亜紀, 品川 弘子, 冨吉 靖子, 高橋 智子, 大越 ひろ
    セッションID: 1P-23
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的食肉は良質な蛋白質の供給源でありながら線維が多く、硬くて咀嚼しにくいため高齢者にとって食べにくい食材である。そこで咀嚼や嚥下機能が低下した高齢者でもおいしく食べられる食肉製品開発の基礎的研究を行った。現在注目されている「高齢者ソフト食」の基本調理法を参考に、ポテトフレークを用いて食肉加工品の検討を行った。
    方法脂肪を除いた豚ロース肉をミンサー(17000rpm.bamix)で、ミンチしたものをコントロール肉(C)とした。コントロール肉(C)、コントロール肉の20%をマッシュポテト(ポテトフレークと水を4:1で調製)に置換した肉(MP)、コントロール肉の20%をマッシュポテト(17%)とでん粉(3%)に置換した肉(MPS)の3種を試料肉とした。これら3種の試料肉についてテクスチャー特性、水分含有率及び重量減少率を測定し、さらに若年者・高齢者をパネルとした食べ易さの官能評価を行った。
    結果ミンチ状のコントロール肉(C)に比べ、その20%をマッシュポテトやでん粉に置換(MPまたはMPS)することにより、テクスチャー特性の硬さはいずれも低下した。また、食べ易さの評価では、若年者・高齢者のいずれのパネルも、これらの試料肉(MPまたはMPS)は有意にやわらかく、残留感が少なく、飲み込み易いと評価した。さらに、マッシュポテトのみ置換した肉MPに比べ、でん粉を加える(MPS)ことで、テクスチャー特性の凝集性が増加し、重量減少率が低下した。また、官能評価ではいずれのパネルも、でん粉を加えたMPSは、有意に残留感が少なく、飲み込み易いと評価した。
  • 久木野 睦子, 久木野 憲司
    セッションID: 1P-24
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】イカ外套膜筋肉の透明度はイカ肉の新鮮さを示す特徴である。また、魚介類の鮮度指標として広く使用されているK値はATPの死後消失を測定したものである。本研究ではイカの殺し方および輸送方法と温度がイカ筋肉組織の死後変化に及ぼす影響を明らかにするために、筋肉中ATP関連物質の消長と外套膜筋肉の透明度低下とを調べた。【方法】長崎県近海で捕れた体重約1kgの活きの良いアオリイカを用いた。殺し方と輸送方法の異なる4つの試料イカの外套膜を取り出して5℃の冷蔵庫にて保存し、経時的に外套膜の透明度とATP関連物質の量を調べた。ATP関連物質はHPLC法にて測定した。透明度の測定は、黒十字を描いたシャーカステン上に外套膜を置き、外套膜を透かして見えた黒十字をデジタル撮影(617万画素)して黒濃度を画像解析ソフトにて分析した。【結果】筋肉中ATP量の測定結果では、即殺後に輸送したもの及び活魚にて輸送したものは冷蔵保存後6時間の時点でもATP量のレベルは50_%_程度を維持していたのに対し、漁獲後すぐに冷海水に入れたものは即座に、冷蔵輸送したものは保存後6時間以内にほとんどのATPは消失していた。また、イカ肉の透明度は残存しているATP量とよく符合した変化を示しており、死後に進行するイカ筋肉の透明度低下のメカニズムにATP量の変化が関係している可能性を想像させた。
  • 峯木 眞知子, 棚橋 伸子
    セッションID: 1P-25
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    「目的」ダチョウ卵は、全国的に飼育されてきており、その鳥類最大の肉と卵は、新たな食料資源になる。著者は、ダチョウの卵を用いてスポンジケーキ、フィナンシェなど起泡性を利用した製品について鶏卵を用いた調理品の品質と比較してきた。本研究では、ダチョウの卵の熱凝固性について、検討した。「方法」ダチョウの卵は、茨城産のダチョウ(Struthio camelus domesticus)が産卵した無精卵、対照とした鶏卵(白色レグホーン種)は群馬産産卵3日以内の市販卵を用いた。熱凝固性を利用した調理品は、卵焼き及び厚焼き卵(無添加、卵液の塩1%、砂糖5%、10%)、プリン(卵15g、牛乳は卵液の1倍、2倍、砂糖は全体の15%)を作成した。それぞれの調理品について、テクスチャー(破断特性)、組織観察(光学顕微鏡)、色の測定、水分含有量および官能検査を行った。「結果」ダチョウの卵を用いた卵焼きは、鶏卵の製品に比較して加熱時間が長く、色が白く、できあがりの体積は大きかった。ダチョウ卵で作成した厚焼き卵は鶏卵の調理品と官能検査(分析型評点嗜好調査)で比較したところ、厚焼き卵の「見た目」の項目を除いて、「かたさ」「弾力」「味」が好まれた。ダチョウの卵を用いたプリンでは、鶏卵のプリンより破断応力が大きく、もろさ応力は小さかった。官能検査では、鶏卵のプリンと「総合的な好み」には差がなかったが、「やわらかさ」「なめらかさ」が有意に好まれた。従って、ダチョウ卵のプリンのレシピは、鶏卵と異なるものを使用する必要があった。DSC分析から、ダチョウ卵の卵黄及び卵白の凝固温度は鶏卵より幾分高いことがわかった。
  • 村上 知子, 舘岡 良枝
    セッションID: 1P-26
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 長期保存した小豆は、加熱により硬軟の煮えむらが生じやすいことが知られている。本研究では大豆の加工品であるきな粉同様、小豆を製粉し、小豆粉としての利用を図るために小豆粉の調製法について検討し、あわせて小豆の新古が小豆粉の性状や食味に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。方法 小豆は平成11年北海道十勝産エリモショウズ(5±2℃、家庭用冷蔵庫で5年保存)及び平成16年同産同品種を用いた。小豆粉の調製は、小豆を乾物のまま炒って製粉したもの(A法)と、予備加熱処理後に炒って製粉したもの(B法)の2方法で試みた。小豆粉の品質特性は、水分率、色度、顕微鏡観察、官能検査により比較した。結果 小豆粉の調製条件は、A法の場合、小豆の新古ともに炒り時間が10分、ミキサーによる粉砕時間が2分、B法の場合、保存豆は45分、新豆は30分予備加熱後、15分間炒り、2分間粉砕したものが最適であった。小豆粉の水分率はA法がB法より少なく、色度はA法の方が赤味度が低く、黄味度が高かった。同じ調製条件の保存豆と新豆では、色度及び色差とも顕著な差はみられなかった。小豆粉粒子は光学顕微鏡下で、A法は小豆粉細胞が強靱な細胞膜に囲まれた状態を呈し、B法は細胞膜の損傷や細胞外へ溶出した澱粉が観察できた。新豆は保存豆に比べて、澱粉粒子がわずかに大きかった。B法を用いて、小豆の新古の違いが小豆粉の品質に及ぼす影響について官能検査を行った結果、保存豆は色が濃い(p<0.001)、新豆はきめが細かい(p<0.001)・舌ざわりがよい(p<0.05)と識別されたが、風味や総合的な評価は有意差がなく、保存豆も有効に利用できることが認められた。
  • 寺本 あい, 治部 祐里, 渕上 倫子
    セッションID: 1P-27
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 凍結乾燥は食品を凍結させ、これを真空状態におき、氷の昇華を利用して乾燥する方法である。凍結乾燥食品は、試料が大きいと戻りが不均一で食感が悪くなることがあるが、高圧力を利用した圧力移動凍結法を取り入れることで、改善できると考えた。そこで、既に冷凍保存において圧力移動凍結の効果が明らかな豆腐を用いて凍結乾燥への高圧力の利用を試みた。
    方法 充填豆腐(30×30×15 mm角)3個を真空包装し、食品高圧処理装置(Dr.Chef、神戸製鋼所製)を用いて-5℃, 50MPa 、100MPa、150MPa;-10℃, 100MPa;-15℃, 150MPaで60分間圧力移動凍結した。対照として、大気圧下の-20、-30、-80℃冷凍庫で冷凍した。これらを凍結乾燥機(ヤマト科学株式会社製)で乾燥し、75℃温水で復元後、外観撮影、重量測定、クリープメータ(山電製)による破断強度解析を行った。また、氷結晶とゲルの微細構造のクライオ走査型電子顕微鏡(日立製作所製)で観察し、官能評価も行った。
    結果 大気圧下で空冷した豆腐は樹枝状に氷結晶が成長し部位により氷結晶サイズにばらつきがあったが、圧力移動凍結した試料では全体にほぼ均一なサイズの丸みを帯びた氷結晶が生成した。各試料の氷結晶サイズは、0.1MPa, -20℃>0.1MPa, -30℃>150MPa, -5℃>50MPa, -5℃>100MPa, -5℃≧100MPa, -10℃≧150MPa, -15℃>0.1MPa, -80℃であった。復元後の破断応力、破断歪率が未処理に近く、官能検査でも好まれたのは、150MPa,-5℃および100MPa,-5℃で圧力移動凍結した豆腐であった。
  • 中村 洋
    セッションID: 1P-28
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    わが国の小麦は、品質で外国産小麦に劣るとされており、その品質改善が急務である。特に、高い製粉特性は小麦品種改良および品質改善の上で最も重要な品質改善項目であるので、育種における製粉性の選抜指標として、粉の平均粒度・粒度パターンと製粉性との関連について検討した。 小麦粉の硬軟質性は、粒度パターンにより、粒度パターン_I_(軟質パターン)、_II_(軟質よりの中間質パターン)、_III_(硬質よりの中間質パターン)_IV_(硬質パターン)に区分できることをここに提唱した。粉の平均粒度および粒度パターンは、製粉性と密接に関連しており、平均粒度64μm以上および粒度パターン_IV_の品種では、高い製粉特性を示した。粉の平均粒度および粒度パターンが小麦品種・系統における高製粉性の選抜指標と成りうることをここにはじめて明らかにできた。
  • 岩佐 美代子, 森 俊夫
    セッションID: 1P-29
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 編物の視覚的テクスチャは編目構造やパターンなどの巨視的状態とループの屈曲や糸の撚りなどの微視的状態が混在したり、これらの階層構造を形成している。この中には我々の感覚や感情を刺激する視覚的特徴がたくさん含まれている。テクスチャを識別できる特徴として、きめの細かさ、均一性、縞状性、複雑性などがあるが、これらは人の視知覚と密接に関係するので、本研究では編目密度が平編の視覚的に及ぼす影響をテクスチャ解析と官能評価から明確にすることを目的とした。方法 試料には色彩効果を除くために白地の中細毛糸を使用し、編目密度の異なる5種類の平編を作成した。カラースキャナから取り込まれたRGB画像をグレイレベル画像に変換し、画像解析を試みた。画像情報量として、角二次モーメント(ASM)、コントラスト(CON)、相関(COR)、エントロピー(ENT)、フラクタル次元(D)およびグレイレベル平均(MIU)を算出した。各試料の「複雑性」、「凹凸性」、「均一性」、「粗さ」、「縞状性」、「きめの細かさ」などの視覚的特徴について5段階評価で官能検査を行った。結果 編目テクスチャのASM値は編目密度が適正な編目密度で最小値を示した。適正な編目密度より密度が高くなるとループの連結の緊密さが増し、糸ループの均一性が高くなるためASM値が増大すると考えられた。逆に、適正な編目密度より密度が低下すると、ASM値は増大するのは、編目の均一性が増すためと解釈された。CON、COR、ENTおよびDは編目密度の低下と共に増大し、MIUは減少した。これらの画像情報量と官能評価から求めた視覚的特徴との関係から編目密度の影響が議論された。
  • 石黒 純一
    セッションID: 1P-30
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 Microsoft Excel(以下エクセル)の作業画面であるワークシートでのセル位置は列と行の交差番地で表示される。ワークシートを布面に,サイズを小四角に指定したセルを織物の組織点とみなし、セル位置についてエクセル関数を、セル書式についてセルの着色機能を使ってそれぞれ処理することにより、織物組織をデザインすることについて検討した。方法 Microsoft Excel2002を用い,CPU:PentiumIII,866MHz,RAM256MBで処理した。出力には600dpiプリンタを用いた。結果 組織図を学習者に理解させるため,組織点を0,1並びで表示させる方法を採用し,エクセル関数を用いて組織図化した。そのグラフィックス表示は,キャラクタ並び(■☐)を用いるよりも,エクセルの条件付書式設定コマンドによるセル塗色が優れていた。意匠図を使って織物組織をデザインするには,一旦経糸と緯糸の配色並びをそれぞれ指定し,ついで完全組織を展開した織物図にて経糸上側点には経糸指定色,緯糸上側点には緯糸指定色を条件付書式設定で指定した。その結果,使用できる色数は三色と制限された。セルサイズを充分に小さくすることにより織物面が表現できたが,立体視感覚において不十分であった。本方法は,エクセルの入門教育に適当と判断された。
  • 宮崎 美穂, 中井 明美, 北浦 多榮子
    セッションID: 1P-31
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】衣服に汚れが付着すると、美観を損なうと共に着ている人自身が不快になる。汚れは、含まれる成分によって変質を起こすことがあり、長期間放置すると除去困難となることが多い。汚れを除去するためには、汚れの性質や含まれる成分を知り、それぞれの汚れに適した対処方法を行う必要がある。本研究では、通常、家庭で行われる洗濯による洗浄実験を行い、その効果について、汚れ・繊維の違いから検討する。また、時間の経過に伴う脱離性の違いも考察する。【方法】汚染材料は、コーヒー・しょうゆ・牛乳・ファンデーションの4種類とし、試料布は、衣服地によく使用される綿・羊毛・アクリル・ポリエステルの4種類を用いた。各々の汚染材料を試料布に付着させ、当日・翌日・一週間後・一ヶ月後にラウンダオメーターにより、洗浄実験を行った。色差計を用いて、洗浄前・洗浄後の明度を測定し、洗浄効率を求め、繊維と汚れの関係、経時変化に伴う洗浄効率・脱離性の違いを比較検討した。【結果】上記の方法で洗浄実験を行った結果、ファンデーション以外の3種類の汚れは、通常の洗濯によって、ほとんどが除去可能であった。コーヒー汚れの結果について述べると、4種類全ての繊維において、洗浄効率は高く、経時変化もほとんどみられなかった。コーヒー汚れは水溶性であるため、付着しても落ちやすく、時間が経過しても比較的容易に除去できると考えられる。詳細は、当日発表する。
  • -商品の香りに対する生活者の意識-
    川口 直, 江川 直行, 宮坂 広夫, 濱 逸夫
    セッションID: 1P-32
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 一昔前まで柔軟仕上げ剤の主効果と言えば衣類への柔軟性、静電気防止、香り付けであった。現在ではしわ除去、抗菌、防臭などの付加機能を持つ数多くの商品が販売されている。一方で「香り」の効果が再び見直されており、そのことは種類、質、持続性の異なる商品の販売比率が増加していることからも伺える。そこで今回は、柔軟仕上げ剤の「香り」に関して、生活者がどのような意識を持っており、さらにどのように変化しているのかを調査した。
    【方法】 普段、自分で洗濯をし、柔軟仕上げ剤を用いている20_から_50代の女性を対象に、質問紙を用いた訪問面接調査、及びインターネット調査を行った。「香り」を表現する言葉から想起されるワードと、柔軟仕上げ剤の性能に関するワードとの相関を調査した。同時に実際に香りを嗅いだときに想起される、性能に関するワードを調査した。
    【結果】 柔軟仕上げ剤の使用理由のうち「香りがよいから」と答える生活者は、「衣類がふんわり仕上がるから」に次いで多く、その割合は10年間で10%以上も増加していた。その傾向は若年層で顕著であり、洗濯物を干すときはもちろんのこと、着用中までも香りを長続きさせたいことが判明した。香りの種類を表現する言葉として「フローラル」と「シトラス」の人気が高く、「フローラル」は「華やかな」、「シトラス」は「爽やかな」を想起させることがわかった。その結果は、実際にこれらの香りを嗅いだときに想起される、性能に関するワードと一致した。
  • 尾畑 納子, 桑原 宣彰
    セッションID: 1P-33
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的環境への負荷を軽減するため,洗剤成分,洗浄方法など様々な工夫がなされ、市場では多様な洗剤や洗濯機が出回っている.特に洗剤では界面活性剤の減量化が進む一方で,生活者のライフスタイルや清潔志向あるいは住環境の変化によって、洗濯に対する意識も変わり,家庭における洗濯頻度が増加しているため,必ずしも環境負荷軽減に至っていない.そこで,本研究では,界面活性剤に頼らない洗浄方法として,洗浄水として電解水と少量の洗剤を組み合わせた系での洗浄性について調べた結果,洗浄性を維持しつつ,環境への負荷量を減少させることができた.そこで,今回はさらに種々の汚れや繊維製品に対する効果を検討した.
    方法汚染布として,市販湿式人工汚染布、EMPA汚染布(111,120),wfk汚染布(10D)を用いた.各種pHを調整した電解水(AMANOα900)を洗浄水とし,SDS,ポリオキシエチレンアルキルエーテルを適宜組み合わせ,洗浄試験(ターゴトメータ(120r.p.m))を行った.洗浄性の評価は反射率から算出した.環境への負荷量は洗浄液のCODを測定した.
    結果アルカリ電解水のpHを変化させた系で種々の汚染布を洗浄した結果,pHが10.5以上で,界面活性剤が存在しない系でも除去性を示した.特に,複合汚染布に比べ,単純な汚れに対してより顕著であった.これらの結果から,洗濯時にアルカリ電解水を使用することにより界面活性剤をさらに減量化して,環境負荷を軽減させる可能性が示唆される.
  • 大浦 律子, 中村 順子
    セッションID: 1P-34
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    洗剤の減量化のための洗浄システムの改良                      大浦律子 中村順子(大阪人間科学大)目的 洗剤が生活の清潔化に寄与する一方で、環境に負荷を与えるという課題に対して、洗浄システムの見直しを行っている。これまでに漂白剤を中心に助剤の改良を行ってきたが、本研究では「つけ置き」を洗濯行程の中に組み込んだ洗浄方法による洗剤の減量化を試みた。また、洗浄用水に機能を持たせることにより洗剤の減量化に効果が期待できるので、これらの要素の組み合わせにより、洗浄排水の質の向上に寄与することを目指している。方法 日常的に行われる家庭洗濯の洗浄排水について検討するため、できる限り実用的な方法で実験を行った。汚染布は、湿式汚染布のほか、衣服に付着しやすい汚れの中から、ワイン、コーヒー、墨などによる汚染布を作製して用いた。市販ティーシャツの身頃と袖に汚染布を縫いつけたものを、市販ドラム式洗濯機を用いて各種条件で洗濯した。市販洗剤6種を用い、標準使用量を基準として1/2量に減量し、付け置き行程を導入した場合と比較した。また多要素を複合した洗浄にはターゴトメーターを併用した。結果 各種市販洗剤の標準使用量による通常コースの洗濯による洗浄効率は、汚れの種類や洗剤の種類により異なる。洗剤量を1/2に減らすと洗剤、汚れの種類により差はあるものの、洗浄効率はほぼ半減する。しかし、つけ置き行程を行った場合は洗剤を1/2に減じても標準使用量を用いた場合と同程度の洗浄効率、あるいはそれ以上の効果が得られた。つけ置きには時間がかかるという課題が残るが、洗浄補助剤や洗浄用水の効果を複合することにより、さらに高い効果が得られた。
  • 佐藤 祥子, 城戸 恵美子, 沢田 久美子, 今井 智子, 坂本 仁美, 渡辺 真敏佳
    セッションID: 1P-35
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 洗濯は、人間が生活を営んでゆく上で、欠かせない家事労働のひとつである。本研究では、洗濯から乾燥、たたむまでの一連の家事労働を洗濯行動とする。洗濯行動は、年齢や職業、家族数などライフスタイルに影響を受け、ライフスタイルが多様化している現在では、洗濯行動も多様化していることが予想される。本研究では、洗濯行動をライフスタイルとの関わりから分析し、ライフスタイルごとに洗濯行動の特徴を明らかにすることを目的とする。【方法】 神奈川県と富山県を主な調査地として、洗濯行動に関するアンケート調査と1週間分の洗濯日誌調査(配布総数145,回収率78.6%,有効回答数114)を実施した。調査時期は2003年11月から2004年2月である。調査対象者の年齢は20代前後から80代まで偏りのないよう設定した。【結果】 洗濯を始める時間は、朝の6時から8時が43%と最も多く、次いで8時から10時が20%で朝方に洗濯する人が多かった。年齢が高くなるほどに朝に洗濯を開始する傾向が見られ、専業主婦は朝に、就業者は夜に洗濯をする傾向が見られた。一週間に洗濯をする回数で見た洗濯頻度については、毎日洗濯する人が全体の70%で、家族数が多いほど多くなる傾向が見られ、職業別では専業主婦が多く、就業者は少なくなった。一週間、ほぼ同じ時刻に洗濯している人が約7割で、洗濯を毎日の生活の中で習慣化している人が多かった。洗濯行動は、年齢や職業、家族構成などに大きく関わり、洗濯時間や洗濯頻度、洗濯に対する意識などにより特徴づけられることが明らかとなった。
  • 岡村 好美, 瀬戸 房子, 藤田 英子, 深水 文代
    セッションID: 1P-36
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年教育の現場で行われる染色では、天然色素を用いることが多い傾向が見受けられる。天然染料は合成染料に比べると高価であり、通常の条件では抽出液の保存期間も限られている。本研究は天然染料残液の再利用として、水の浄化方法を利用して色材を作成し、染色色材としての有効性を明らかにすることを目的とした。【方法】色素は植物色素(黄檗、すおう、茜、紫根、ヤマモモ、紅花、丁字)を用い、熱水により色素を抽出し、ミョウバンを加えた後に消石灰により色素を沈殿させ、濾過して沈殿物を取り出した。沈殿色材を10倍量の水に分散させて、セルロースの平織り布と共にビニールの袋に入れ、10分間揉むように染色した後、水が透明になるまで揉み洗いして風乾した。染色布の日光・摩擦・洗濯の各堅牢性から沈殿色材の染色色材としての有効性を調べ、使用できる環境を検討した。また、処理剤を変えることに因る色素への影響も調べた。【結果】植物抽出液から作成した色材は、1)黄檗、すおう、紅花、丁字、茜、紫根を材料とした色材は、冷蔵庫内で半年以上の保存が可能であること、2)色材は植物染料の堅牢性を持続すること、3)添加剤との反応おいても天然色素の性質を持続すること、4)色材は、地染め・部分染めの両方で使用が可能であること、が明らかとなった。
  • 湯浅 純子, 大図 雅美, 芳住 邦雄
    セッションID: 1P-37
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】紫外線吸収剤は、耐光堅ろう度を向上させる有力な方法であるが、その効果に対する照射波長依存性の情報は充分でない。本研究では、分散染料を用いたポリエステル布帛を対象としてその光変退色特性における紫外線吸収剤の効果を解明する。光退色における照射波長の影響を作用スペクトルとして取りまとめることを目的としている。【実験方法】 分散染料からC.I.Disperse Red 167:1を選定しポリエステル布帛を染色した。その布帛を市販紫外線吸収剤(Cibatex LF)で処理したものと未処理のもの2種を試験布として用いた。試験布への光照射は日本分光製モノクロメータを用いて波長別に行い、各波長の照射エネルギー量を測定した。試験波長は213nmから528nmの範囲で行いおおよそ16nm毎に実施した。染色布の変退色評価は、ミノルタ製分光測色計(CM-3700d)によって一定時間毎にL*a*b*値を測定し色差ΔEを求めた。【実験結果および考察】各波長における照射エネルギーが一定の条件での変退色特性をとりまとめた。1000kJ/m2/nmでの結果に着目すると、試験布の変退色は波長310nmにおいてピーク値ΔE5.4に達し波長の増加につれ変退色レベルは低下したが、さらに可視光領域においても波長450から500nmにおいてブロードのピーク値としてΔE2.7が認められた。紫外線吸収剤の効果は、300から400nmの紫外線領域で60から70%の退色防御性能が確認できた。さらに可視光領域においても20から30%の退色防御作用が認められた。すなわち、紫外線吸収剤は可視光を吸収しないにもかかわらず、耐光性を向上させることが本研究では見い出された。
  • 佐々木 栄一, 中川 江利奈
    セッションID: 1P-38
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    はじめに 著者らはポリカーボネート(PC)の液安分解を試みて尿素とビスフェノールAに容易に分解されることを報告した.反応は不均一で進行するが低温でも容易に反応し,生成物も副反応生成物を伴わない.本研究では,反応の温度依存性,時間依存性について検討し動力学的解析を行った.
    実験方法 分解反応は市販のポリカーボネート・ペレットを耐圧ガラス性反応管中で液体アンモニアと共に所定温度で所定時間反応を行った.反応混合物を脱水エーテル溶媒として抽出し,個体生成物をろ過分離した.エーテル層から溶媒を留去してビスフェノールAを得た.エーテル抽出の際に残った物質と固体生成物は水を溶媒にして抽出し,凍結乾燥で水を留去して尿素を得た.
    結果 反応温度18℃,0℃,-18℃で分解反応を行い時間_-_転化率曲線を求めた.分解反応ははじめ不均一系で進行するが,PCが溶解し均一系になるまで20分程度の時間を要するが,反応温度18℃では分解反応は速やかに進行し,反応は約1時間で終了した.0℃,-18℃反応はそれぞれ3時間半,4時間で終了した.動力学的解析の結果次のことが分かった.(1)固体―液体の不均一反応であるが分解反応の速度が大きい.(2)液安がPCに浸透して反応する拡散律速ではなくPCの固体表面で反応する不均一反応である.(3)活性化エネルギーの値からイオン反応機構で進むことが分かった.(4)分解反応に大きなエネルギーを必要としない.(5)反応の時間依存性や頻度因子(A)からジッパー分解反応の可能性が大きい.
  • -仙台浴衣と仙台手拭いについて-
    川又 勝子, 佐々木 栄一
    セッションID: 1P-39
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    はじめに 昭和初期から仙台地方で多量に生産され,広い範囲に販売された型染め製品に「浴衣」と「手拭い」がある.しかし,当時のものは殆ど失われており,調査対象とした一軒の染色工場に現物として残っているものは,手拭いの染め見本321枚,浴衣地の端布77枚と僅かであった.前回はこれらの電子保存データから手拭いと浴衣各1点ずつを抽出し,自動カッターを用いた型紙複製と染色品を試作した結果について報告した.本研究ではこの調査対象の染色工場(仙台市名取屋染工場)から浴衣・手拭い用型紙141枚を借用し、その型紙文様の電子保存と文様の分類等を行ったので報告する.
    方 法 計測は型紙全体の大きさと文様の大きさを測定した.計測の結果,型紙の大きさが約120 cm×約45 cmと大型なものが殆どであった.そのため,今後の型紙複製に考慮し,型紙を4箇所に分けて写真撮影(デジタルカメラ使用)した.さらにフォトレタッチソフトを用いて画像を繋ぎ合わせて電子保存を行い,パソコン上での型紙の修復が可能かどうかについても検討した.また分類は,文様別と作成目的別とに分けて行った.
    結 果 収集した型紙は古いもののため歪んだり折れ曲がったりしたものが多く,また損壊しているものも見られた.そのため,パソコン上での修復を行う必要のある型紙も見られたが,今回は若干の修復・加工のみを試みた.また用途については,現在調査中の50枚の型紙のうち,飲食店や宿泊施設等の商業用浴衣・手拭いの型紙が33枚と多く見られた.一方で通常の浴衣として着られたと思われる撫子,梅,椿,藤,金魚などの中型文様の型紙も15枚見られた.
  • -常盤紺型について-
    佐々木 栄一, 澤畑 千恵子
    セッションID: 1P-40
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    [はじめに] 著者らはこれまで常盤紺型の型紙文様等を画像情報として保存し,その情報から型紙を再生する方法について報告してきた.特に,市販画像処理ソフトを用いた自動カッターによる型紙彫りの可能性について検討してきた.模様の種類,大きさ,型紙の種類と自動カッターの適正な操作条件を求めて型紙の製作を行った.作成した型紙を用いて染色した結果についても報告する.
    [方法] 1.電子保存した型紙情報から型紙彫りが可能な画像の作成 2.自動カッターのカッティング速度,カッター圧等を調整して画像を出力・運転操作 3.型紙の作成 4.作成した型紙を用いた染色 5.型紙,染め布の比較・検討を行った.
    [結果] 常盤紺型の特徴である絣模様を再現性良くカッティングするために,型紙を直接カッティングする方法を改め,型紙に適正な台紙に貼り付け型紙がカッターの刃と共に動くことを防いだ.また,カッティング速度やカッター圧を文様や型紙の種類に応じて調整することにより,常盤紺型の特徴ある絣文様を彫ることが可能になった.特にギザギザした絣模様の先端が丸みを帯びることなく鋭く尖った角形に鮮明にカットすることが可能になった.さらに,常盤紺型のもう一つの特徴である型染めによる絞り文様も容易に彫ることが可能であり,直径1.5mmの小さな丸も綺麗に切ることができた.文様により彫ることの難易度のあることも明らかになった.この型紙を用いて染色した常盤紺型文様も満足のいく結果が得られた.
  • 佐々木 栄一, 伊藤 那奈
    セッションID: 1P-41
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    はじめに 著者らはこれまで明治から大正にかけて仙台地方の特産品であったが今は殆ど消失した常盤紺型の文様等について報告してきた.この常盤紺型の型紙は仙台市博物館や民間等に所蔵されているが,約百年の月日が経過していることや今までの保存状態が良好でなかったことなどにより型紙の一部が欠損しているなど劣化が進んでいる.この保存型紙の材料学的保存方法を検討することはかなりの困難さを伴うので,型紙文様の保存方法として型紙文様をコンピューターに取り込み電子型紙文様として電子保存してきた.
    本研究では電子保存した型紙を製本するために必要な基礎的な色彩処理や欠損型紙の修復方法を検討した.さらに自動カッターを用いた型紙製作に必要な線画の作成方法や型紙の種類と自動カッターの運転条件等について検討し,常盤紺型型紙の復刻を試み相当に細かい文様でも型紙が製作できることがわかった.
    方法 (1)Adobe Illustratorを用いて文様ごとに整理した.(2)Adobe Photoshopを用いて欠損している型紙の文様修復を行った.(3)Adobe StreamlineとAdobe Illustratorを用いて自動カッターに適した線画の作成を行い,Roland CAMM-1pro CM300 を用いて型紙を製作した.結果 (1)A-4判で文様が明確に観察できる型紙組数は2枚組が適当な大きさであった.(2)一部でも完全な部分が残っている文様があれば,容易に修復可能であるが,欠損が大きく修復が困難なものもあった.(3)Adobe Streamlineを用いたことによって線画作成がより容易に行えることが分かった.
  • 照井 眞紀子, 村上 洋子
    セッションID: 1P-42
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】管理栄養士は給食を経営するための知識が問われ、経営手法や経営感覚を持つことが期待される。給食経営管理の学習で用語の知悉や理解の程度の高揚が、内容の理解と知識を増幅させ実践力がつくと考える。また、それらはメディアからの情報収集との関連も考えられる。学生の給食経営管理の専門性の能力を養うために教育をどのように展開したらよいか、用語の知悉と理解、情報収集源との関連で検討した。【方法】調査は、管理栄養士養成施設の2年生90名を対象に2004年10月に行った。教科書から80の用語を抽出し「読み」と「知悉」・「理解」の程度、情報の収集と発信、新聞・テレビ・雑誌の視聴の程度等をアンケート調査した。【結果及び考察】回収率は、95.6%であった。「読み」の全問正解者率は4.7%で全員正解用語率は47.1%、聞いたことがない用語では「歩留まり」、「貸借対照表」が82.6%、「損益計算書」77.9%、80%以上の用語を聞いたことがあると答えた者は19名、70%以上の用語の意味がわかると回答した者は8名であった。用語の知悉と意味の理解には強い相関がみられた。情報収集源として98.8%の者がテレビをあげ、ニュースを殆ど毎日みる者は45.3%であるが、経済・経営関係の番組をみることが殆どなしの者が73.3%あった。用語を聞いたことがあると回答した者は新聞を読む傾向があり、意味がわからないと回答した者は、新聞も読まない、経済・経営関係の番組を見ないという負の相関が強かった。メディア等の情報収集が給食経営管理の理解を深める一助となることが示唆され、情報の意味の読み出しと解釈力を喚起した教育展開が必要と推察する。
  • 宇都宮 由佳, 益本 仁雄, スィワナーソン パタニ
    セッションID: 1P-43
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    <目的・調査方法> 北タイの児童生徒のライフスタイルと食行動に関する継続研究の一環として,2002年6月に都市部チェンマイ,農村サムーン,山村ボーケーオの3地域で児童・生徒を対象に児童生徒の他の地域に対する認識やイメージについて質問紙調査,面接聞き取り調査,観察調査をした.統計分析にはクロス分析をした.<結果・考察> 都市チェンマイの児童生徒は,他の2地域に対して関心が薄く,農作物の産地,就学・出稼ぎ者の出身地としての認識しかない.農村サムーンの児童生徒は,都市部への憧れが強く,遊びや就学のために行きたいと考えている.しかし,実際に住むことには消極的で自分たちの地域のほうがよいと答えている.山村ボーケーオの児童生徒は,衣服や耐久消費財など消費に関しては,農村サムーンの町によく行くが,農作物を出荷するなどして収入を得るためには都市チェンマイにいっている. 新しい情報に対して,チェンマイでは関心高いが,ボーケーオは関心がほとんどない.情報源については,都市チェンマイや農村サムーンはテレビだが,山村ボーケーオではおもに口コミであることがわかった.
  • 甲斐 純子, 福澤 素子, 長山 芳子, 堀 雅子, 沖田 卓雄, 秋永 優子, 高橋 久美子, 北野 幸子
    セッションID: 1P-44
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 今回の学習指導要領の改訂において、小、中、高校は教育内容の3割を減じることになった。また、これにともなう各教科の時数減および時間割の弾力化により、今、家庭科の授業は大きく揺さぶられている。とくに、小学校では、従来の2時間続きの授業が開設が困難になり、継続性や思考を要する学習、また、実習、実験が実施しにくくなっていること、多くの教師が、少ない時数で授業効果を上げるために苦慮していることがわかった。そこで、本研究では、教員養成大学家政教育講座全教員による、小学校教師支援用資料としての家庭科カラ_-_ハンドブック作成を試みた。方法 福岡県下の小学校教師に対し、家庭科授業内容に関する調査(2005年2月)を実施し、家庭科教科書を中心に、教師が家庭科を教える上で、専門家の支援を要する用語や実習、実験内容を抽出した。さらに、家政学の各専門分野から、児童に教授すべき知識や実験、実習と、これに加えて、時代の変化に対応した知識、技術の項目を検討した。また、多忙な現場教師が短時間で理解できるよう、できるだけカラ_-_の図や写真を用いるよう工夫した。結果 小学校家庭科には改善を要する内容や実習用具が含まれていることが分かった。教科内容の見直しとともに、短時間での実習、実験教材の開発が課題となった。
  • -北海道H市内小学校教員の実態調査を通して-
    佐々木 貴子, 小野 ゆかり
    セッションID: 1P-45
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目 的 子どもたちの食生活の乱れが深刻化する中、「栄養教諭」制度が発足することとなったものの、多くの学校では学級担任が食に関する指導を給食や教科、学級活動などを通して行っているのが実情である。学級担任の食に対する考え方(食事観)が、日々の給食・教科指導等への影響に注目すると,教員の食に関する指導力は大きな課題である。そこで,担任の食事観と給食指導の実態を調査し,それらの関連性を把握した上で,教員に求められる子どもたちへの食に関する指導力について検討した。方 法 北海道H市及び隣接する2町の国公立小学校計15校の普通学級担任(男性66人、女性92人)計158人を対象に、無記名自記式質問紙による留め置き法で実施した。期間は2003年11月_から_12月。有効回答率は96.3%。集計は「SPSS 11.0J for Windows」を使用し、クロス集計の有意差検定はχ2検定を用いた。質問項目は,教員の食事観と給食指導に関する内容である。結 果 自分自身の健康に気をつけ,食事に対して関心の高い担任は,低い者に比べて,給食時にきちんとした食事マナーを指導し,落ち着いた雰囲気で食べられるような環境づくりや子どもたちと一緒にグループ内で食事をしている傾向がみられた。また,郷土食・行事食に関心の高い担任の7割が食材の旬などの話をするのに対して,低い者は4割程度に止まっていた。本調査から,担任の食事観は給食指導に大きな影響を与えることがわかった。今後,教員には郷土の食材や食文化等の関心のみならず,それに関する豊かな知識が求められている。
  • 小野寺 泰子, 佐々木 栄一
    セッションID: 1P-46
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    はじめに: 著者らは,被服材料の諸性質のうち水に対する性質は特に重要であると考え,その実験教材開発について検討してきた.先に,新しい被服材料も含めた「吸水性と撥水性」について第6学年の家庭科の授業で取り上げた.
    本研究では「吸水性」と「速乾性」を兼ね備えた被服材料と汎用繊維繊維と比較検討できる実験教材を検討した.
    方 法: 被服材料としたは多くの児童が着用している綿とポリエステルを中心に行った.吸水実験では,試験片を水に所定時間浸漬した後に,スタンドに渡した棒に洗濯バサミで試験片を垂直に固定して3分間静置した.その後試験片の重量を測定して「最大吸水率」を求めた.乾燥実験では,試験片を水に1時間浸漬した後,所定時間脱水機で脱水してスタンドに垂直に固定して,試験片が乾燥時の重量に達するまで10分おきに重量を測定した.
    結 果: 編地では綿を含む割合が高いほど吸水率が高くなることが分かった.乾燥速度は,最大吸水率の高い綿100%メリヤスが最も小さく,乾燥に時間を要し,ポリエステルを含む材料は順次に速度が大きくなっている.ポリエステルの吸水性を大幅に改良したクールマックスやウェルキーでは乾燥速度も大きく吸水・速乾性材料としての性質を示すが,クールマックスの方がやや速く乾燥していることが分かった.これは繊維の吸水機構の違いによると思われる.
  • 上野 顕子, 平林 由果, 片瀬 眞由美, 林 ひろみ
    セッションID: 1P-47
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 これまでの調査で、多くの大学生がスニーカーの正しいサイズ合わせや適切なひも締めによる足への固定ができていないこと、女子高校生に対する調査では、通学靴としてローファーを履いている者の多くが足のトラブルをもっていることが明らかになった。本研究では、高校生を対象とし靴と足に関する授業を展開し、高校生が自らの足の健康を管理できる知識と技術を身に付けられるようにすることを目的とした。
    方法 愛知県下の私立高校生男女200名に、2004年9月、家庭科の「家庭基礎」の授業において靴と足に関する授業を2時間行った。その際、通学靴の種類や選び方、足のサイズに関する知識やトラブル等についてアンケートによるプレテストとポストテスト(有効回答数はそれぞれ170、182)を実施した。
    結果及び考察 通学靴としては女子の95%がローファーを、男子の85%がスニーカーを毎日履いていた。男女共に靴選びの第1の基準は「色・デザイン」であったが、その重視度は、女子より男子の方が高かった。授業前後の比較では、授業後の方が男女共に「色・デザイン」の割合が低くなり、「足のサイズに合っている」の割合が男女共に上昇した。現在履いている靴は、授業前、約8割が「少し大きめ(0.5cm)」か「大きめ(1cm)」の靴を履いていると回答したが、授業後には「少し大きめ」か「大きめ」がともに減り、「自分の足のサイズと同じ」が増加した。靴のかかとを踏む行為はローファーを履いている女子に多かったが、授業後は、「踏んでいる」の割合がやや減少した。以上より、研究参加者の高校生にとって、靴と足に関する授業は、自分の足の健康を考えるきっかけになったと考えられる。
  • 松本 佐紀子, 湯川 聰子, 立松 麻衣子
    セッションID: 1P-48
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】キャッシュレス社会化が進み,手元に現金がなくても商品を購入できる一方,契約やカードに対する理解不足から,種々のトラブルが発生することが増えている.本研究はカード,契約,金利計算などの消費者信用に関わる基礎的な知識を提供する家庭科の授業を提案し,生徒たちを自立した消費者に育てる一助とすることをめざしている.消費者としての生活力を高める授業を提案することで家庭科の存在価値を主張したいと考えた.【方法】2003年11月_から_2004年3月に大学生・高校生を対象に「消費者信用」に関する実態と意識を調査し,この結果に基づいて指導計画を作成した.次に2004年5月に大学生を対象とした予備授業を行い,その結果を修正して,同年6月高等学校「家庭基礎」において3クラス6時間の授業を実践した.授業の前後に事前事後調査を実施し,結果を検証した上で,A,B,Cの3案から成る「消費者信用」学習指導案を完成した.【結果】意識調査の結果,消費者金融会社の名前はCMなどで非常になじみ深いものになっている一方,その金利について正しい認識を持っているものは高校生で13%,大学生でも28%であり, 問題のあることがわかった. そこで授業はA授業「カードと消費生活」とB授業「消費者金融」の2パターンを実施し,大学生による予備授業を経て,高校で実践した.事前事後調査の結果,両授業の内容理解度はA授業では40%から90%へ, B授業では20%から90%へと有意に向上していた. 興味関心を高めることもでき, 授業レベルについては適切であるという評価が得られた. しかし, この2授業だけでは金利の計算力が不十分であることも判明し,C授業「利息と計算」の授業を追加した授業提案とした.
  • -金箔を題材としたテーマ研究の事例-
    河内 久美子, 可部野 和子, 粟津原 理恵
    セッションID: 1P-49
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 前報で予描された高等学校に導入される「総合的な学習の時間」による学習経験の変化を受け、短期大学におけるテーマ研究の実験を行ない、より効果的な学習成果をあげる方法を模索した。調査・研究テーマの設定にあたっては、短期大学と地域の連携を重視し、地場産業や地域の生活文化から題材を取り上げ、学生の知見を深め、理解を促す試みを行った。
    【方法】 本学生活文化学科スペースデザイン専攻学生から抽出した被験者に金沢での生産シェアが極めて高い「金箔」をキーワードとして提示し、二人一組で行動させた。条件を与えず自由に調査するグループと、条件と助言を加えたグループに分け、行動表と調査レポートを毎週提出させ、情報収集、調査内容、表現手法などの諸点からそれぞれ4週間の行動を観察し結果を検討した。
    【結果】 地場産業に自ら目を向ける機会が少なかった学生の認識を高め、興味を喚起した今回の実験は、地域に根ざした短期大学に相応しい教育方法を示唆する。調査プロセスを追うと、自由度の高いグループではインターネット検索に止まる傾向が顕著で、自発的なインテリア分野との関連づけはみられなかった。発表形式も稚拙であったため、後者のグループでは指導法を見直し、多様なツールを利用した調査と提案(試作)、パワーポイントソフトを用いた発表を課し、教員が適宜助言を与えた。提案の段階では、透過光と反射光に着目し、照明器具制作が試みられた。このような地域文化への発信型提案に加えフィールドワーク特に実地体験などを付加することは、時間配分や個別指導の難しさをともなうが、インテリア関連の授業に地産素材に関するテーマ研究を導入するには有効かつ必要な条件であると考える。
  • -ランフォード・キッチンと栄養教育の芽生え-
    住田 和子, 香川 晴美
    セッションID: 1P-50
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】E.H.S.リチャーズ(1842―1911)は、ヒューマンエコロジーを、正しい生活を導き健康で幸福な家庭を築くための知識体系と捉えた。健全な家庭生活を実現するための社会改良運動を展開していく過程で、彼女はシカゴ万国博覧会(1893)においてランフォード・キッチンというパブリック・キッチンを計画した。本研究ではランフォード・キッチンに焦点を当て、当時のホームエコノミクス運動との関わりでランフォード・キッチンという試みの意義を究明する。【方法】ランフォード・キッチンを訪れた人々に公開されたリーフレットをまとめた書物(The Rumford Kitchen Leaflets)を中心とした一連の文献研究である。また、キッチンに関する彼女の報告書など、関係史料の精査をも並行させて展開する。【考察】リチャーズは、その著作(The Cost of Living)のなかで、広い意味で心身の健康に関わるすべてを含んでいるのが衛生科学的知識、と述べているが、ランフォード・キッチンは、科学的見地から食べ物を調理することをわかりやすく人々に提示することを目指したといえる。シカゴ博覧会での試みは、生活改良支援運動としてのホームエコノミクス運動を背景とした科学教育の啓蒙であったと考えられる。また、彼女は、当時ハル・ハウスというセツルメントハウスの調理場についても、助言をしている。
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