一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
57回大会(2005年)
選択された号の論文の296件中51~100を表示しています
  • -課題検討を中心に-
    北野 幸子
    セッションID: 1P-51
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 少子化の進行、家庭の機能低下、蔓延する子育て不安、増加あるいは顕在化し続ける児童虐待の問題が指摘され続けている。子育て世代を対象とした子育て支援のみではなく、将来の家庭構成者である児童を対象とした家庭科「保育」教育の充実が今後望まれる。しかし、一方で家庭支援のニーズが高まっているにもかかわらず、他方で家庭科の時間数および専門教員の縮減がみられる。ここで、現在の子育て不安の状況と家庭科「保育」教育の内容を照らし合わせ、その意義と課題を再検討することは重要な課題であると考える。方法 まず、(1)各種基礎調査の分析により子育て不安の内容と傾向を明らかにした。次に、(2)現行の高等学校家庭科教科書の「保育」領域の内容を分析した。さらには、(3)両者の比較検討により、その意義と課題を明らかにした。結果 (1)の結果、特に乳幼児期の子育てに関する知識と技術の欠落、子どもの人間関係や社会性の教育への不安、社会資源の活用とネットワークの構築の必要等が、明らかになった。(2)の結果、家庭科「保育」教育では、実習・演習が少なく、その内容も発達に関する知識重視であることが、分かった。(3)の結果、保育技術に関する教育内容、子どもの人間関係形成力や子どもをめぐる環境についての知識、社会的資源の活用方法の教育が必要であることが、明らかになった。以上より、ガイドラインとしての知識と多様な情報を、自らが選択し決断する力の育成が、課題として挙げられた。子育てには唯一の結論はなく、またマニュアルもない。知識や技術を考えて活かす、実習・演習教育の充実が望まれる。
  • -地域及び季節に関する事例調査-
    佐藤 了子, 逸見 洋子, 田口 秀子, 小林 綏枝
    セッションID: 1P-52
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 高齢者の生活の質を考える上で、健康を保持する運動状況の把握は重要である。日常生活行動における運動がどのように行われているのかを、関東地区及び秋田県に居住する高齢者を主対象に、四季別に調査を行ったので報告する。

    方法 調査対象者は、関東地区6名、秋田県4名の計10名、及び対象群として秋田在住で就業中の50_から_60代の6名。調査期間は、2001年6月以降現在も継続中。調査内容は、運動量・歩数、活動時間量と時間帯の分布、運動の強弱でなどある。

    結果 (1)季節別の歩数を関東と秋田で比較すると、前者は季節による変化が少ない。秋田では冬季間の歩数が減少する。(2)歩行については、ジョギングが少なく、速歩及びゆっくり歩きがほとんどである。(3)歩行の形態は、過去の生活歴によって異なっているようであり、専業主婦であった者にはゆっくり歩行が多い。(4)自家用車使用者もゆっくり歩行をしており、歩数も少ない。(5)意識的に毎日努力している対象者には、速歩及びジョギングが多く、1日の運動量は、性・年齢ごとに必要とされる値を上回っている。(6)対象群は、運動量・運動の強度において週日と休日の差が明確であり、高齢者と比べ運動の強度が高い。以上から就業期を終えた高齢者には日常的な生活において持続可能な運動行為のプログラムとそれへの取り組みが重要であることが分かった。
  • -介護老人保健施設におけるグループ療法の試み-
    泉 加代子, 北井 布子, 里見 麻子, 井上 友里
    セッションID: 1P-53
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的】我が国の高齢化率は2004年10月に19.5%となった。2014年には25%になると予測され、今後ますます増えると推定される要介護の高齢者を減少させることが重要な課題である。衣服が介護状態の維持・改善に役立つと考えて、前報1)では要介護の高齢女性を対象として個別面接法によるファッション・セラピーを行った結果、対象者全員に何らかの心身の健康状態の維持・改善効果が認められた。本報ではグループで着装アドバイスやコーディネートの工夫を行い、精神状態や日常生活の維持・改善の効果を検討する。
    方法】対象者は京都府下の介護老人保健施設入所女性5名で、人選は協力施設に依頼した。実施期間は2004年6月_から_11月の6ヶ月間、回数は約3週間に1回の間隔で計8回実施した。実施内容は、対象者と担当者全員が同じ場所で集まって、まず、その日の健康状態と着用している衣服について尋ね、対象者の嗜好を把握するために服装写真を呈示した。次に、対象者が持っている衣服を着装してもらい、あるいは人台に着せて対象者全員でコーディネートの工夫や意見の交換を行った。初回時と最終回時に施設職員に老人精神機能評価尺度(NMスケール)と生活能力評価への記入を依頼した。
    結果】1名は入院のため4回で中止した。回を重ねるごとに対象者自身からコーディネートの提案を持ちかけるなど服装への関心が高まった。また、当初は担当者との会話がほとんどであったが、次第に他の対象者との会話が増え、表情が穏やかになり笑顔が見られるようになった。NMスケール・生活能力評価は4名中1名に維持、3名に改善の効果が認められた。文献1)泉加代子他;日本家政学会第56回大会研究発表要旨集、p.157(2004)
  • 奥山 純子, 中山 徹
    セッションID: 1P-54
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】多くの高齢者は、最期まで住み慣れた地域で暮らすことを望んでいる。したがって、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活を継続することができるよう、高齢者が必要なサービスを高齢者の生活圏域内で整備することが望ましい。そのためには、サービスの質・量を確保するだけでなく、地域を意識した基盤整備が必要であると考える。本研究では地方自治体において、高齢者の福祉施設整備およびサービス供給に関する圏域に対する考え方を明らかにすることを目的とする。【方法】全国の市及び特別区720自治体(2004年10月1日現在)を対象に郵送によるアンケート調査を行った。504自治体から回収、回収率は70.0%であった。【結果】介護保険の対象となる高齢者施設において、市・区内を細分化したエリアの設定を行っている自治体は28自治体であった。そのうち、1エリアの目標数や目標達成時期などきめ細かい計画があるのは14自治体であり、ほとんどの自治体が地域でのエリア設定を行っていないのが現状である。在宅介護支援センターにおいてエリアの設定を行っている自治体は、基幹型支援センターのみの設定が9自治体、地域型支援センターのみの設定が332自治体、基幹型・地域型支援センターともに設定が72自治体であった。地域型支援センターに関しては、在宅介護支援センター運営事業等実施要綱において、中学校区を標準として地域の実情に応じた担当区域を定めるよう示されているため、比較的エリアを意識して配置をしている自治体が多い。また、地域ケア会議を実施しているのは420自治体であったが、地域ケア会議のためにエリアを設けているのは116自治体にとどまっている。
  • 山中 なつみ, 伊藤 敬恵, 小川 宣子
    セッションID: 2P-1
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    (目的) 卵黄はコレステロール含量が高く動脈硬化の原因になると考えられているが、実際には卵白とともに全卵として摂取する場合が多い。そこで本研究では、卵白の摂取がコレステロール代謝に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし、鶏種の異なる卵白についてその影響を比較した。
    (方法) 白色レグホーン,奥美濃古地鶏,岐阜地鶏の産卵2日以内の卵より卵白を分離し、凍結乾燥した乾燥卵白を試料とした。AIN-93G飼料組成を基本としコレステロール1%,コール酸Na0.25%を添加した高コレステロール飼料に乾燥卵白を各々20%添加したものを試験飼料、カゼイン20%添加飼料を対照飼料とした。Wistar系雄ラット(1群4匹)に10日間自由摂取させ、飼育開始時と終了時に尾静脈より採血し、総コレステロール濃度(T-Ch),HDL-コレステロール濃度(HDL-Ch)を測定した。T-ChからHDL-Chを差し引いてLDL-コレステロール濃度(LDL-Ch)を求めた。さらに飼育5から10日目に採取した糞と飼育終了時に摘出した肝臓について糞中ならびに肝臓中コレステロール量(糞Ch,肝臓Ch)を測定した。
    (結果) 飼育終了時のT-Chは対照群135mg/dl,白色レグホーン群84mg/dl,奥美濃古地鶏群96mg/dl,岐阜地鶏群99mg/dlであった。いずれの群も飼育開始時に比べて上昇したが、対照群に比べて卵白を摂取したラットの方が有意(p<0.01)に低く、卵白の摂取によってT-Chの上昇が抑制された。しかし鶏種間に有意差は認められなかった。飼育終了時のHDL-Chは各群間に有意差は認められず、LDL-Chは対照群に比べて卵白を摂取したラットの方が有意(p<0.05)に低かった。各群の糞Chに有意差は認められず、卵白の摂取ならびに鶏種の違いはコレステロールの糞中排泄量に影響しないことが示された。肝臓Chは、対照群に比べて卵白を摂取したラットの方が有意(p<0.05)に低く、卵白摂取によるT-Chの上昇抑制には肝臓Chの低下が関与していることが考えられた。
  • 丹野 聖子, 谷 由美子
    セッションID: 2P-2
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 食生活は生活習慣病を左右する大きい要因である。三食規則正しく摂ることは、ホルモンの分泌、栄養素の消化吸収・代謝に関与する酵素活性の日内リズムから、理論に基づいた食形態と考えられる。しかし平成14年国民栄養調査において、20歳代の朝食欠食率が21_から_27%と最も高く、欠食率の高い人に健康不良者が多いことが明らかとなっている。そこで本研究では、欠食習慣が血清および肝臓脂質ならびに脂質代謝酵素活性に及ぼす影響を検討した。
    方法 5週齢のSD系雄ラット24匹を用いて、自由摂取群、飼料を規則正しく投与した対照群、1日おきに絶食させた欠食群、週2日以上絶食させた不規則群の4群とした。対照群、欠食群、不規則群は制限食群として、飼料摂取量をそろえてペアフィーディングした。飼料は全て日本クレア製CE-2を用いて4週間飼育した。飼育終了後一晩絶食させて解剖し、採血して肝臓、腎周囲および副睾丸周囲脂肪を摘出した。そして血清および肝臓脂質、肝臓のアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)、脂肪酸合成酵素(FAS)、肝リパーゼ(HTGL)の活性および脂肪組織のリポプロテインリパーゼ(LPL)、ホルモン感受性リパーゼ(HSL)活性を測定した。
    結果 自由摂取群に比べて制限食群において、体重増加率、腎周囲脂肪比率、副睾丸周囲脂肪比率、血清トリグリセリド(TG)、肝臓TGは低下または低下傾向を示し、血清総コレステロール(T-chol)、肝臓総脂質、HTGL活性は上昇または上昇傾向を示した。制限食群においては、対照群に比べて不規則群は、血清T-chol、TG、肝臓Cholが増加または増加傾向を示し、摂食パターンの影響が認められた。
  • 高橋 雅人, 遠藤 隆浩, 飯塚 千栄子, 市川 美緒
    セッションID: 2P-3
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的
    健康に関する情報はメディアを通じて毎日のようにながれており、世間の健康に対する意識は年々強くなってきている目的 健康に関する情報はメディアを通じて毎日のようにながれており、世間の健康に対する意識は年々強くなってきている。また市場では、ビタミン、ミネラル、ハーブなどさまざまな機能性食品が販売されている。しかし、期待される効果に関する情報が少なく、宣伝などのイメージや口コミ情報に頼っているのが現状である。
    本報では、その効果を調査するため、水分排泄に関わりをもつといわれるγ_-_トコフェロールを主体にした機能性食品についてモニタリング調査を実施することにした。その結果を集計・評価したところ、有効性の高い評価が得られたので報告する。
    方法
    モニターに用いた機能性食品は、成人女性の不定愁訴の一つである浮腫(むくみ)の低減を念頭に成分を配合したソフトカプセル(γVSC)とした。すなわちγ_-_トコフェロールを1カプセルあたり55mg配合し、その補助成分として植物ステロール、大豆イソフラボン、ブラックコホシュ及びチェストツリーを配合した。γVSCを1日2_から_4カプセル、8週間摂取させた場合、むくみ部位である足首等の状態を観察し評価を行った。
    結果
    調査の結果、γVSCを1日2カプセル摂取した群では、約30%でむくみの改善が観察され、1日4カプセル摂取した群では、約80%で改善が認められた。以上の結果が得られたことにより、γVSCはむくみの軽減に期待すべき効果を与えることがわかった。併せて、肩こり、頻尿などにも低減効果のあることが示唆された。
  • 矢田貝 智恵子, 今井 雅俊, 須見 洋行
    セッションID: 2P-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 納豆に血栓溶解酵素(ナットウキナーゼ)の含まれることは報告した(Sumi et al., Experientia, 42:1110, 1987; Acta Haematol., 84:139, 1990)。各種穀類を用い納豆菌(Bacillus subtilis natto)を接種した11種類の固体培養において緑豆(Vigna rasiota WIL(Z))に最も強いナットウキナーゼ活性を検出した。また、強いビタミンKおよびpro-UK activator活性が認められた。今回、これらの生理作用を比較した。方法 ビタミンK量は乾燥物をソックスレー抽出装置にかけ、HPLC法(Sumi et al., Food Sci. Technol. Res., 5:48, 1999)で測定、ナットウキナーゼ活性は人工血栓溶解法で測定した。結果 緑豆納豆のビタミンK量はもともとのK1量、乾燥重量100g当たり44.1μgに加えて、K2は3.97mgが作り出されていた。50℃乾燥後、ナットウキナーゼと共にビタミンA(27μg/100g)、βカロチン(160μg/100g)、γトコフェロール(8.3mg/100g)などが検出された。 ナットウキナーゼ活性は、納豆に米麹、食塩存在下で6ヵ月間の保存に安定で、優れた納豆味噌が得られた。最終製品のナットウキナーゼ活性は12万IU(ウロキナーゼ換算)/100g以上、一方、米麹抜きで同じ期間仕込んだもので血栓溶解ははるかに少なかった。また、納豆味噌はビタミンK2を100g当たり526μg以上と極めて高含量であることが確認された。これは約10gの味噌で1日の必要量を満たす量に相当する。
  • 中田 理恵子
    セッションID: 2P-5
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】葉酸が欠乏すると、ホモシステインからメチオニンへの代謝が阻害されて、血漿ホモシステイン濃度の上昇を引き起こすことが知られている。過剰なホモシステインは、血管内皮に損傷を与えて、動脈硬化などの疾患の一因になることが最近注目されているが、その機構については、十分には明らかにされていない。そこで、葉酸欠乏ラットを用いて、葉酸の欠乏が血管機能にどのような影響を与えるのかを検討した。【方法】離乳直後の3週齢オスラットを2群に分け、各群に葉酸欠乏食(葉酸フリー)または対照食(葉酸 8mg/kg diet)を自由摂取させて、4_から_8週目に血液と血管を採取した。血漿中の葉酸とホモシステイン濃度,血管中のTBARS量とグルタチオン量を定量した。また、血管弛緩・拡張反応や動脈硬化の発症・進展に関与する血漿中の一酸化窒素(NO)量を定量した。さらに、血管内皮型NO合成酵素(eNOS)のタンパク質量をウエスタンブロティング法により定量した。【結果】血漿ホモシステイン濃度は、血漿葉酸濃度の減少に伴い、欠乏開始4週目から急激に増加した。血管のTBARS量は、欠乏6週目から増加する傾向にあった。一方、血管のグルタチオン量は、6週目から有意に低値を示した。さらに、血漿のNO量は欠乏群で6週目から対照群に対し有意に減少し、eNOSタンパク質量も減少していた。以上より、葉酸の欠乏によって血漿中で上昇したホモシステインが、血管に酸化ストレスを与えることによって血管内皮の機能障害を誘導し、抗動脈硬化因子の1つと考えられているNO産生の抑制を引き起こすことが明らかとなった。
  • 岡田 悦政, 岡田 瑞恵
    セッションID: 2P-6
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】生体内でホルモン様作用を示すノニルフェノール(NP)による影響のうち、肝細胞へのBinding抑制を目的として、食用植物由来(EPE)成分による効果を探ってきた。すでに本大会で報告したestrogenのNPによるbinding 抑制についてのスクリーニング結果から効果の高かったEPEに着目し、本研究においては、肝細胞形態への影響について検討した。【方法】試料は、MeOHに24 hr浸漬後ろ過し、Sep-pak C-18フィルターを通し、dry-up後DMSO溶解した。EPEとNPの関係を見るため、NPがMeOH試料を加えることでどのように変化するか、estrogenのbinding抑制assayにより、効果の認められた試料についての違いを検証する。ラット肝細胞培地中に、estrogen binding抑制能の認められた試料3種を投与後NPを加え、2時間培養し、細胞の蛍光観察を行い、比較検討した。【結果及び考察】肝細胞は、NP単独投与コントロール群において細胞死滅および形態変化がみられた。また、NPの存在も確認された。一方、EPE投与群すべてにおいて死滅細胞はみとめられなかった、細胞形態に対する影響は異なっていた。Japanese Butterbur (JBB)は、死滅細胞はみられなかったが、細胞形態においては、NP単独の場合と似通った細胞像を描くのに対し、Cabbage (CB)およびPerilla (PL)おいては細胞像がNPを投与していない正常状態とほほ一致する形態を示した。NPの残存状態は、CBにおいて全く観察されず、JBB、PLともに量の減少が認められた。これはEPEによりNPの構造的修飾等による影響が考えられた。
  • 岡田 瑞恵, 岡田 悦政
    セッションID: 2P-7
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】生体内でホルモン様作用を引き起こすビスフェノールA(BPA)の影響のうち、生体(細胞)への結合抑制を目的として、食用植物由来成分による効果を探ってきた。すでに本大会で報告したBPAとestrogenのestrogen receptorへの結合における食用植物由来成分による抑制効果について、効果の高かったJapanese butterbur(JBB)に着目し検討を行ったので報告する。
    【方法】試料抽出は、MeOH,Cold-water,Hot-water(100℃10min後)に24h浸漬後ろ過し、Sep-pack処理しdry-up後DMSO溶解した。(1)食用植物抽出成分とBPAの関係を見るため、BPAの吸収曲線が、MeOH試料を加えることでどのように変化するのか、結合抑制の結果により効果の高かった試料と低かった試料についての吸収曲線の違いを比較検証した。さらに、(2)ラット肝細胞においてBPAが及ぼす影響に対して、試料がどのような効果を発揮するのかを2時間incubationの後蛍光観察を行った。
    【結果及び考察】BPAの吸収曲線は、estrogen receptorへの結合抑制における効果が低かった試料の場合、BPA単独の場合と似通った曲線を描くのに対し、効果が高かったJBBにおいてはBPAの吸収曲線の明らかな変化が確認された。これは、何らかの構造的修飾の影響が示唆される。また、蛍光観察の結果はBPA単独と比較して、estrogen receptorへの結合抑制の低かった試料の両者が似通った像が得られた一方で、JBBのMeOH 30μlの場合は変化が見られた。
  • 水上 戴子, 木瀬 佳苗, 東郷 晶子
    セッションID: 2P-8
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    [目的]近年、若い女性の間ではダイエット志向が高まっている。これらの女性が妊娠した場合、母体とその子の両方に影響が及ぶと考えられる。そこで本研究では、ラットの思春期を7週齢、性成熟を12週齢ととらえ、思春期(7_から_11週齢)のみ、または思春期と妊娠期(12_から_14週齢)を通して食餌制限を行った場合に、分娩後と授乳期終了後の母ラットにどのような影響を及ぼすかを検討した。[方法]7週齢のWistar系雌ラットを3群に分け、ミルクカゼインと分離大豆タンパク質をそれぞれ10%ずつ含むタンパク質20%食を自由摂取させた群をCC群とした。思春期のみ食餌制限した群をRC群、思春期と妊娠期を通して食餌制限した群をRR群とした。食餌制限の方法はpair-feedingにより行った。つまり、対照群の飼料摂取量より30%少ない量を30%制限食とした。授乳期間は21日間とし、3群ともに自由摂取させた。[結果]いずれの群においても、妊娠、妊娠維持、分娩が可能であった。思春期のみ30%食餌制限をし、妊娠期は自由摂取させたRC群は、妊娠期の体重増加量が大きく、分娩後の母体への蓄積量がCC群より有意に大きくなった。胎子・胎盤等重量、その他の測定項目にCC群と比較して顕著な差が見られなかった。思春期と妊娠期を通して30%食餌制限をしたRR群は、分娩後の母体への蓄積率や内臓周囲脂肪率、胎子・胎盤等重量がCC群、RC群より有意に小さかった。授乳期に自由摂取させた結果、RR群はCC群、RC群より飼料摂取量が有意に多くなり、RR群のみ授乳期間中に体重増加を示した。しかし、なお内臓周囲脂肪量はCC群と比較して有意に低値を示した。
  • 松下 純子, 森政 淳子, 長尾 久美子, 木本 佳織, 米田 裕美
    セッションID: 2P-9
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 近年、免疫能の指標として唾液中IgAが多く取り上げられている。唾液分泌は口腔内の状態や多様化している食生活、さらに生活を取り巻く様々な要因が大きく影響していると考えられる。そこで、女性に注目し年齢差における唾液量、唾液中IgA値の相違、食生活との関連を検索することとした。
    方法 対象は高齢女性(徳島県南部の特養およびグループホームに在住)72歳から92歳まで30名と女子大生(本学女子学生1年生)18歳から20歳の82名とした。唾液は採取キットを用い、高齢女性は3分間、女子大生は1分間の唾液を採取し唾液量を測定、ELISA法でIgA値を測定した。採取時にアンケート用紙を配布、食生活の背景となる日常生活を含む嗜好について、さらに高齢女性には義歯の有無、女子大生には体調に関しての設問を設定し回答を求めた。唾液量および唾液中IgA量と各回答についてt検定を用い検討した。
    結果 1分間あたりの唾液量は女子大生の方が有意に多い結果であった。高齢女性では自分の歯が多いほど唾液分泌量が多い傾向であり18本以上歯のある者の方が総入れ歯の者より有意に多かった。肥満度による差はいずれも認められなかった。IgA値は唾液量とは逆に高齢女性の方が有意に高値であった。女子大生ではBMIによる肥満度で唾液中IgA値に差が認められ、「普通」よりも「やせ」の方が有意に低値を示した。欠食については大差を認めなかった。年齢の若い女子大生はIgA値の低い唾液が多く分泌されており、高齢女性はIgA値は高いが分泌量が少ないことがうかがわれた。
  • 末田 香里
    セッションID: 2P-10
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 月経周期内で体重の変化、むくみ等を訴える女性が多い。本実験では、最新の精密機器で測定し、月経周期内での体組成、安静時代謝量を検討した。方法 被験者は本学2_から_4年生27名(21.1±1.7歳:Mean±SD)、正常月経周期(29.6±4.0日)をもつものとした。被験者は基礎体温を3ヶ月継続して測定し、月経周期の月経期、卵胞期、排卵期および黄体期を確認し、一定時刻(空腹時)に測定した。体組成は、Body Composition Analyzer In Body3.2(BIOSPACE)で、安静時代謝量・呼吸商(RQ)は、呼吸代謝測定装置VO2000(Medical Graphics Corporation)で測定した。統計処理は統計ソフトSPSS(12.0J for Window)用い、月経周期内変動は対応のある一元配置分散分析(ANOVA)後、Scheffeによる多重比較で検討した。結果 体組成:1)体重は、月経期・卵胞期・排卵期および黄体期の4期で差はなかった。体脂肪率、筋肉量も月経周期4期で差はなかった。2)総水分量は、月経周期の4期で差はなかった。外液量は、月経期に比して卵胞期に低い月経周期内変動が認められ、また浮腫率(外液量/総水分量)も月経期に比して卵胞期に低い月経周期内変動が認められた。安静時代謝量:1)呼吸商(RQ)ならびに安静時代謝量は月経4期で差はなかった。2)RQ値が0.7_から_1.0のもの(n=18)に限ってみると、安静時代謝量は、4期で差はなかったが、RQは月経期に比較して黄体期で有意に低い月経周期内変動がみられた。黄体期においては、エネルギーとして脂質が代謝されやすいと推察された。
  • 村上 洋子, 照井 眞紀子
    セッションID: 2P-11
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    [目的]従来の給食管理に加え経営管理能力を持つ管理栄養士が求められ、栄養ケアのための栄養・食事管理能力が必要となる。食事の品質管理や評価には、食品重量に関した知識・技術が重要であり能力を養う必要がある。学生の食品重量に関する基礎的知識と技術の実態把握から、給食経営管理における指導の方法を探ることを目的とした。[方法]管理栄養士養成課程の2年生90名を対象に、給食経営管理実習で使用頻度の高い7食品の目測及び手ばかりで重量を計測させ調査した。[結果及び考察]正解率の高い食品は卵で、目測で60.7%、手ばかりで66.3%であったが、豆腐は目測で正解者0名、手ばかりで4名であった。計測手法の比較では、卵とじゃがいもは目測より手ばかり重量の正解率が高いが、他の食品では逆に手ばかり重量の正解率が低い。個人別にみると目測で正解数が0の者が2名、手ばかりでは7名で手ばかり計測で不正解者が増えている。2つの計測手法による正解数で3グループに分け、各グループ間の食品の正解率を比較した。目測では正解数の少ないAグループで卵、胡瓜が30%前後の正解率、トマト、鮭、豚ロースで0_から_20%、B・Cグループが50_から_100%の正解率である。手ばかりではAグループで卵31.6%の正解率であったが、他の食品はB・Cグループの40%の正解率に比べ5_から_10%の低率であった。豆腐は各グループでも0_から_3%の低率で大きな差はない。卵や胡瓜は比較的目測が容易だが豆腐は難しい食品であると推察する。使用頻度の高い食品でも目測や手ばかり計測の能力や技術が低いことから日常の料理作り等への関わりが少なく、食品の重量感覚に乏しいことが考察された。今後はこうした能力を身につけていくことの指導が必要と考えられる。
  • 小田 良子, 加藤 恵子, 三浦 英雄, 藤田 公和
    セッションID: 2P-12
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 現在,サプリメント市場は拡大し手軽に利用出来る環境にある.また多くの情報が錯綜しマスコミに踊らされている感も否めない.特に青年期女性はダイエットの食事制限やサプリメントを用いる傾向が見られる.そこでサプリメントの利用状況と日常の栄養摂取状況,またサプリメントの有効利用がなされているかを明かにし栄養教育の一環にすることを目的とした.方法 女子短大生を対象にサプリメント利用状況の調査を2003年5月に実施した.分析対象者は685名であった.利用・非利用者のうち各15名に食物・栄養摂取状況調査を国民栄養調査の方法で実施した.さらに詳細を検討するため2004年7月に利用・非利用者各10名に同様の栄養調査に加え利用状況を調査用紙と聞き取り調査で行った.調査の集計は統計ソフトSPSS7.5.1 for windows,食物・栄養摂取状況調査は「建帛社エクセル栄養君Ver 3」を使用した.結果 サプリメント利用者は全体の約26%であった.利用目的としては健康のためが約59%と多かったが,美容やダイエットと回答した者も約64%いた.利用成分はビタミン類が多く,特にビタミンCが約40%であった.鉄分約22%,食物繊維およびアミノ酸・プロテインが約14%,カルシウム約10%であった.その他にも多種多様なものを利用していた.日常の栄養摂取状況は極めて悪い状態であった.サプリメントで栄養補給がなされているようにみられるが有効な利用はされていなかった.サプリメントの氾濫している今日において栄養の基本的な知識を持ち有効な利用を理解させることは急務である.
  • 奥村 万寿美, 照井 眞紀子
    セッションID: 2P-13
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】地域住民の栄養状態の改善やQOLの向上につながる予防に管理栄養士が貢献していくことは今後不可欠のものであると考える。地域住民とのコミュニケーション手段としてITを利用した栄養ケアを行うために、カメラ付き携帯電話を使った食事の画像転送による栄養診断システムを開発した。このシステムの問題点を明らかにし、管理栄養士養成において強化すべき教育資料を得ることを目的にプレテストを行い検討したので報告する。【方法】カメラ付き携帯電話を学生2名に貸与し、2004年10月の連続した4日間の食事内容を転送してもらった。熟練した管理栄養士が画像による食事の食材と分量を読み取り解析をし、開発したシステムにより評価した。【結果・考察】画像解析による食事評価・栄養診断についていくつかの課題を見いだせた。判断がしにくいものとして、_丸1_一般的な共通認識のメニューであると食材料が判断しやすいが、好みにより意外性のある食材を使用している場合。_丸2_解像度が高度なカメラでも色彩が類似している食材が形状を変えた場合。_丸3_流動体あるいは半流動体で個体が埋没している場合。_丸4_煮すぎ、焼きすぎなど料理の品質が劣化し、形状や色彩が変化している場合である。また、_丸5_味については対象者の好みの濃さ等の判断がしにくく標準的な味として評価するために正確さに欠ける。_丸6_解析する者の経験や能力に差が発生し教育養成としての学習指導の必要性を感じた。これらの観点を踏まえて教育方法の検討を重ね、地域に貢献できる管理栄養士養成の一助にしたい。
  • 森 みどり
    セッションID: 2P-14
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 これまでの研究で柑橘類果皮含有成分であるヘスペリチンが、前脂肪細胞における脂肪細胞への分化抑制効果と、SDラットにおいる血糖値改善効果を示唆する結果が得られたことから、肥満により8週齢から糖尿病を発現する_II_型糖尿病マウスモデルであるKK-Ay/TaJclマウスノ雌を用いて、ヘスペリチンの肥満と_II_型糖尿病への効果及び、運動を付加した場合における効果を明らかにする為に行った。方法 3週齢 雌KK-Ay/TaJclマウスをA:コントロール群、B:ヘスペリチン投与群、C:運動付加群、D:運動付加+ヘスペリチン投与群に分けて飼育し、毎日、摂取量・節水量・体重の測定と尿の採取を行った。また、1週間ごとに血液を採取し,血糖値とトリグリセライドの測定を行った。 また、9週齢になった時点で、エーテル麻酔下、心臓より採血し、脂肪組織及び肝臓の重量の測定を行い、それぞれを比較した.結果 ヘスペリチン投与における体重の増加量に対するに大きな効果は見られなかったが、血中グルコース量では、ヘスペリチン投与により効果が見られた。また、運動付加とヘスペリチン投与を行うことによって血中トリグリセリド量への効果が見られた。
  • 塚本 幾代, 加藤 智穂
    セッションID: 2P-15
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    [目的]糖尿病が骨代謝にどのように影響するか、さらに糖尿病が骨代謝に及ぼす影響が、亜鉛(Zn)によって防御されるかどうかを検討した。[方法]ラットにストレプトゾトシン(STZ:45mg/kg B.W.)を投与することによって糖尿病を誘導し、投与後1週間および2週間後、尿、血液、脛骨を採取した。血清のグルコース濃度(Glc)、尿中のGlc とdeoxypyridinoline(Dpd), 近位脛骨中のアルカリホスファターゼ(ALP)活性、酒石酸耐性酸ホスファターゼ(TRAP)活性、Ca 量、Hydroxyproline(Hyp)量を測定した。また、近位脛骨中の破骨細胞分化因子(ODF)の発現を、ウェスタンブロットによって調べた。Znの効果を調べるために、STZ投与後1週間後からZnを含んだ飲料水を1週間投与し、同様の測定を行った。[結果及び考察]血清Glcは、STZ投与によって対照群の約3倍(〜500mg/dl)に上昇し、尿中Glcも顕著に増加した。STZ投与後1週間で、ALP活性とTRAP活性は対照群と比較して有意に減少し、STZ投与後2週間で、ALP活性、TRAP活性、Ca量、Hyp量がさらに有意に減少した。尿中Dpdも対照群に比べて有意に増加した。骨中ODF は、STZ投与後1週間から増加した。Znを投与すると、STZ投与2週間のZn非投与群で認められた骨中のALP活性、Ca量、Hyp量の有意な減少及び、尿中Dpdの有意な増加が見られなくなった。これらの結果から、STZ誘導糖尿病による骨量減少に対して亜鉛が保護効果を有することが示唆された。
  • 上江洲 榮子, 中辻 玲子
    セッションID: 2P-16
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    [目的]  朝食摂取やその内容等の条件をほぼ一定にした5名の被験者が、沖縄の伝統料理イカ墨汁を摂取した場合、MC_-_FAN法による全血流動性が改善されたことはすでに報告した(第8回日本へモロレオロジー研究会)。 しかし、例数を増やすにつれて、先の結果に当てはまらない例が見受けられたので、その原因について検討した。[方法]  朝食と昼食を摂取し、検査当日は野菜ジュースや抗酸化系のサプリメントをひかえた4名の被験者のうち2名は昼食としてイカ墨汁、米飯と共にラフテー(豚の皮付き3枚肉の煮付け、ゼラチンに富み脂肪分は減少している、60g)を摂取した。他の2名は昼食として沖縄そば(3枚肉そば)を摂取し夕食としてイカ墨汁と米飯を摂取した。 食事前、食後1時間目および食後2時間目に採血(5%ヘパリン)し、それぞれ20分以内にMC_-_FANにて、全血流動性を測定した。[結果および考察]  4名の平均値として、食事摂取前に比べて摂取後の流動性の改善は認められず有意差もなかった(対応のあるt検定)。 同一の食材でも、組み合わせによってその効果は変化することが示された。
  • 日比野 久美子, 吉川 祐子
    セッションID: 2P-17
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 生体の遺伝情報の担い手であるゲノムDNAは、その各々の全長は10μm_から_数cmと極めて長い分子であり、生体ポリアミンやヒストンタンパク質などの作用によって高次に凝縮しクロマチンを形成する。遺伝子の機能を考えると、DNA分子の高次構造変化の要因を解明することは重要な研究課題となる。これまでに、高感度の蛍光顕微鏡を用いて100キロ塩基対以上の巨大DNA分子の溶液中における高次構造を直接観測することにより、DNAの折り畳み転移が不連続転移であり、in vitroにおいて相分離構造をとることが明らかとなった。本研究では、細胞内に普遍的に存在するポリアミンやNaイオン・Kイオンが細胞内でのDNAの折り畳み転移にどのように関与しているかを、蛍光顕微鏡を用いた単一分子観察法により調べた。方法 T4ファージDNA(57μm、166 kbp)を用い、DNAの蛍光色素としてはYOYOを用いた。スペルミジン(3価のポリアミン)の添加により凝縮したDNAに、種々の濃度の塩を共存させ、高感度高倍率の蛍光顕微鏡装置で構造転移をリアルタイムで観測した。結果 蛍光顕微鏡法により、長鎖DNAのポリアミンによる折り畳み転移を直接観測することができた。また、NaイオンやKイオンの共存によりDNA分子は不連続な凝縮/脱凝縮転移を生じること、その効果はナトリウムとカリウムによって異なることを明らかにした。細胞内のイオン環境がDNAの存在様式に大きく関与していることが示唆される。
  • 堀 友花, 佐藤 伸, 畑井 朝子
    セッションID: 2P-18
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 小豆(Vigna angularis)の種皮にはポリフェノール(PP)が多く含まれており、その量は小豆の種皮色により大きく異なることがわかっている。PPの一種である緑茶カテキン類や紅茶テアフラビン類は、食中毒原因細菌や耐熱性芽胞に対する抗菌作用が報告されている。しかし小豆PPはこれまで餡の加工や品質評価に関連した知見が多く、抗菌作用についての報告はほとんどない。そこで本研究では、PPを多く含む小豆抽出物が細菌の発育に及ぼす影響を検討した。
    方法 小豆は平成12・13年北海道産の赤、白、黒および緑小豆を使用し、4倍量の蒸留水で25℃・24時間抽出後、遠心分離し、濾過して使用した。PP量はFolin-ciocalteu法で測定した。抗菌効果は8種の細菌について寒天平板希釈法により検討した。また赤小豆抽出物を含む液体培地にStaphylococcus aureusを接種し、24時間後の生菌数を計測した。さらに、S.aureusおよびEscherichia coliの培養菌体の懸濁液に赤小豆抽出物を添加し、濁度を測定した。
    結果 PP量が白小豆と比較して有意に高かった赤、黒および緑小豆抽出物は、S.aureusVibrio parahaemolyticusおよびAeromonas hydrophilaの発育を顕著に抑制したが、白小豆抽出物に発育抑制効果は見られなかった。PP量と24時間後のS.aureusの生菌数には負の相関が見られた。したがって、小豆PPは抗菌作用を有することが示唆された。また赤小豆抽出物はS.aureusの菌体を急速に凝集させたことから、抗菌作用にはPPによる菌体の凝集が関連しているものと推察された。
  • 西川 和孝, 後藤 昌弘, 前田 英雄, 田中 章江
    セッションID: 2P-19
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 食用及び薬用として期待される四倍体ショウガ(2n=44)は,二倍体(2n=22)に比べ大型化することが知られている.また,ショウガの辛味成分は,gingerol 類,shogaol 類等であり,抗酸化,抗腫瘍,抗アレルギー等の数多くの効果が報告されているが,四倍体ショウガの生物活性に関する報告はほとんどない.そこで本研究では,二倍体及び四倍体ショウガの水性エタノール抽出エキス及び辛味成分の抗菌活性の比較・検討を行い,四倍体ショウガの食品としての有用特性を明らかにすることを目的とした.
    方法 ショウガはすべて高知県産の‘黄金の里’を用いた.Adaniya, Okadaらの方法により,四倍体の作出及び確認を行った.四倍体ショウガ根茎中の辛味成分は,精製・単離後,各種スペクトルデータによって同定した.さらに,各種ショウガの抽出エキス及び辛味成分について,6種類のグラム陰性菌及び3種類のグラム陽性菌に対する抗菌テストを行った.
    結果 二倍体及び四倍体ショウガの抽出エキスは,グラム陽性菌に対して同程度の抗菌活性が認められた.一方,四倍体ショウガから単離した[6]-gingerol,[6]-dehydroparadol及び関連化合物のzingerone中,[6]-gingerolが比較的抗菌性を有していた.[6]-Gingerolは,両ショウガの水性エタノール抽出エキス中に多く含まれており,抽出エキスの抗菌性は[6]-gingerolに起因するものと考えられた.以上の結果から,四倍体ショウガの抗菌活性は二倍体ショウガと同程度であり,その食品としての有効性は変わらないと考えられた.
  • 荒木 裕子
    セッションID: 2P-20
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】演者は前報で、市販ハーブティー(シングルハーブ)の抗酸化性を調査し多くの市販ハーブティーに抗酸化力があることを報告した。本研究では、数種のハーブを組み合わせ調製された市販ブレンドハーブティーの抗酸化効果について検討した。【方法】試料は都内ハーブ専門店購入したブレンドハーブティー20種を用いた。抗酸化力の測定として、リノール酸を基質とした水系の反応液に試料のエタノール抽出液、水抽出液をそれぞれ添加後40℃にて放置して生成された過酸化脂質量を4日ごとにロダン鉄法で測定した。この際コントロールとして抗酸化物無添加のものと既知抗酸化剤として0.1%BHAを添加したものを同時に測定した。また、試料の抗酸化能の指標のひとつとしてDPPHラジカル補足能の分析も行った。試料の総ポリフェノール含量はフォリン_-_デニス法により測定した。【結果】ブレンドに用いられているハーブはハイビスカス、ローズヒップ、ブラックベリー(葉)が多く、柑橘類の表皮、果汁の添加も一部見られた。ロダン鉄法による過酸化脂質抑制能は試料無添加のコントロールは4日目以降POV 値の急激な上昇を示したが、試料添加したものでは全試料に酸化抑制効果があった。特に水抽出区では16日経過しても吸光度が0.1以下であり各試料ともBHAに匹敵する強い抗酸化効果を示した。DPPHラジカル消去能でもロダン鉄法の結果と同様で今回調査した全てのブレンドハーブティーに高いラジカル補足能が認められた。
  • 森山 三千江, 大羽 和子
    セッションID: 2P-21
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】野菜類には様々な機能が期待されるが、抗酸化物質であるビタミンC(VC)やポリフェノール類が多く含有される。一方、野菜の部位により組織や色素が異なる様に、機能性成分の含有量も異なると考えられる。そこで、種々の野菜を材料としVC量、ポリフェノール量およびラジカル捕捉活性を部位別に測定し、分析し考察した。【実験方法】芋類・根菜類・葉菜類・鱗茎菜類・スプラウト類の合計15種類の新鮮野菜は地元農協の直売店にて購入し、当日分析した。VC量はDNP法を用い、総VC量およびアスコルビン酸(AsA)量、デヒドロアスコルビン酸量(DHA)量を求めた。ポリフェノール量はFolin-Denis法で定量し、クロロゲン酸当量に換算した。ラジカル捕捉活性は1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル(DPPH)法を用いAsA当量に換算した。【結果】芋類のサツマイモの外部、葉菜類では葉、鱗茎菜類では葉身部、スプラウト類では胚芽において総VC量、ポリフェノール量ともに多く、根菜類においてはVC量は上部で、ポリフェノール量は下部で多かった。DPPHラジカル捕捉活性は芋類では里芋の上部・サツマイモの外部、根菜類ではかぶの上部、葉菜類では葉身、鱗茎菜類では葉身部、スプラウト類では芽において高かった。DPPHラジカル捕捉活性に対するAsAの寄与率は根菜類全般および葉菜類の青梗菜、鱗茎菜類の根深ネギではどの部位でも高く、芋類ではサツマイモの柔組織、葉菜類では小松菜・白菜の葉茎部で高かった。
  • 木下 朋美, 佐藤 香澄, 加藤 みゆき, 大森 正司
    セッションID: 2P-22
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 碾茶は新茶よりも秋まで熟成させた方が美味しいと言われており、古来より茶壷に保存し口切にてその味を楽しむことが行われてきた。演者らは碾茶の熟成の間にアミノ酸やポリフェノールの変化は少なく、香気成分の変化が見られたことを報告した。1) 香気は嗅覚を刺激するのみならず味覚にも大きく影響する、食品における重要な要素である。そこで本研究では碾茶熟成中の香気成分の経時的変化について詳細に分析を行った。
    方法 碾茶(新茶)を茶壷に保存し、4ヶ月毎に4回(1年間)香気成分の分析を行った。香気成分の捕集はSPME法を用いた。2) 7 ml のバイアルに水 2 ml 、乳鉢で粉砕した碾茶 400 mg 、NaCl 5 mol 相当、内部標準には100 ppm の 2-heptanol 水溶液を 2 μl を加えた。70℃の湯浴にて保温しながらSPMEファイバー( DVB/carboxen/PDMS )をへッドスペース中に露出させ 30 分間香気成分を捕集後、GC-MSで分析した。
    結果 新茶では dimethyl sulfide が他の香気成分より際立って大きなピークとして現れたが、時間の経過と共に減少した。一方 benzaldehyde, linalool, α-ionone, β-ionone 等は2・3回目(半年前後)において増加し、4回目には減少する傾向が見られた。熟成と共に香気成分の全体のバランスが大きく変化し、その結果美味しさに寄与するものと考えられた。
    1)日本家政学会第53回大会「茶壷に保存した碾茶の風味の変化」
    2)Proceedings of 2001 International Conference on O-CHA (tea) Culture and Science, Shizuoka, Japan, session session IV, pp100-103
  • 中川 泰代, 大澤 真由美, 山口 直彦
    セッションID: 2P-23
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 山口は平成4年及び5年に市販スナック菓子の酸化度を測定した。それから10年、どのように変化しているかに興味を持ち実験することにした。方法 _丸1_試料は愛知県下の小売店で購入した。_丸2_過酸化物価(POV)は酢酸-イソオクタン法で測定した。_丸3_脂質の脂肪酸組成はメチルエステル化後、ガスクロマトグラフ(株)日立製作所製Model G3000で測定した。_丸4_包材の同定はフィルムを酢酸エチル溶液に浸漬し、単一フィルムにはがし洗滌乾燥後、赤外線吸収スペクトルによって測定した。_丸5_明所常温保存試験は北側実験室において窓より1mの位置に、未開封の試料を賞味期限まで放置し、暗所常温保存は、同じ実験室の実験台内の暗所にヒートシールして保存した。結果 _丸1_平成16年1月から2月製造のスナック菓子(n=19)の購入時POVの平均値は:7.4±5.1であった。_丸2_包材は3点を除き、部分印刷されたOPP/CPPであった。_丸3_これらのスナック菓子を明所常温保存した結果、POVは215.0±137.5、暗所常温保存は37.4±34.5となり、なたね油使用では、100以上になったものもある。_丸3_平成16年4月から6月製造品の購入時POVは59.6±94.7であり、1点は273であった。_丸4_平成4年時(n=24)と16年時(n=26)との比較の結果、前者のPOVは13.3±9.8であったのに対し後者のそれは21.5±52.2となった。_丸5_ポテトチップスの購入時のPOVは8.8±4.0であったが、賞味期限まで保存試験した結果、明所常温下では23.5±20.6であったのに対し暗所常温保存のそれは11.2±7.1であった。_丸6_平成5年時の購入時ポテトチップス(n=20)POVは5.1±2.2であったのに対して平成16年時(n=10) のPOVは8.8±4.0となった。
  • 礒田 寛子, 中西 洋子
    セッションID: 2P-24
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    ホウレン草ジュースの遊離シュウ酸含量について○礒田 寛子  中西 洋子(京都教育大)【目的】ホウレン草は、カロテン、ビタミンC、カリウム、鉄が豊富に含まれており日常の食生活に有用な野菜であるが、同時にアクの主成分である遊離シュウ酸も多く含まれている。この遊離シュウ酸が動物体へ摂取されると、その影響は多少にもよるが、体内のカルシウムの代謝に悪影響を与えると報告されている。それゆえ、ホウレン草はゆでて水につけアクを除去する操作を行なってから調理に用いられている。しかし、ゆでることにより損失する栄養素もあり、ゆでる操作なしで遊離シュウ酸含量を減らす方法が求められる。そこで本研究では、シュウ酸とカルシウムの結合力の強さに着目し、カルシウムを豊富に含む牛乳添加により、ホウレン草ジュース中の遊離シュウ酸含量がどのように影響を受けるかを検討した。【方法】ホウレン草ジュースは市販のホウレン草により調製した。必要に応じ、牛乳およびバナナを添加した。遊離シュウ酸含量はシュウ酸脱炭素酵素とギ酸脱水素酵素を用いた酵素法により測定した。【結果】酵素法によるシュウ酸の回収率は約93.8%であった。本法により、市販ホウレン草の遊離シュウ酸含量を測定すると、585±154mg%であり、個体差が見られた。ホウレン草10gに対して牛乳20mlを加えて調製したジュースでは約70%の遊離シュウ酸の減少が認められた。また牛乳の添加量を増やすことにより遊離シュウ酸量をさらに減少させることができホウレン草ジュースへの牛乳添加効果が確かめられた。
  • 坂本 岬, 安藤 真美, 増田 俊哉, 人見 英里
    セッションID: 2P-25
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】ドラゴンフルーツ(Hylocereus cacti)は別名ピタヤ(pitaya)とも呼ばれ、中米原産のサボテン科果実である。近年、日本国内でも栽培され、流通するようになってきた。本研究では、沖縄産ドラゴンフルーツの食品特性を明らかにすることを目的として研究を行った。
    【方法】ドラゴンフルーツは沖縄県玉城村の農場より紅品種と白品種を購入した。食品特性を探るために生果実の重量、水分含量、糖度、糖、有機酸、ミネラル、pH、色素量、色素安定性、テクスチャーを測定した。また、果汁または果実のエタノール抽出液を用いて種々の方法でラジカル消去能および抗酸化活性を評価した。さらに加工特性を見るため砂糖およびクエン酸を加えてジャムを作成し、テクスチャー分析を行った。
    【結果】重量は紅品種480±110g、白品種570±120gであり、水分量は紅品種、白品種とも約85%であった。紅品種と白品種の糖度に差は認められず、糖分析の結果、グルコース、スクロース、フルクトースの順に多く含まれていた。紅品種、白品種共にクエン酸およびL-リンゴ酸が含まれていた。ミネラル測定ではカリウムが豊富であった。抗酸化性試験の結果、色素を含む紅品種においても抗酸化性は弱かった。色素の安定性では果汁中の色素は熱、強酸、強アルカリでは不安定であった。ジャムに加工した場合に、他の果実には見られない特徴的な粘性が確認された。以上のことから、ドラゴンフルーツは生食のみでなく、果実の特性を生かした加工品の開発が望まれる。 
  • 佐藤 之紀
    セッションID: 2P-26
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】テクスチュロメータを用いた高齢者用食品の物性試験法の指針が示されている。その方法で食品のタイプ分けが行われているが、そこで得られた食品の力学物性値の物理学的意味を詳細に検討する必要がある。そこで、ペクチン水溶液やペクチンゲルをモデルとして検討した。【方法】高齢者用食品の物性試験法の指針にしたがって、直径20mmのプランジャーを用い、クリアランス5mm、測定温度は20℃で行った。各濃度(0-1%)に調製した市販ペクチン水溶液を直径40mmのセル(高さ15mm)に充填し、10mm/sの一定速度の直線運動によって圧縮した。これらの測定には、レオメータ(RS 3305、山電)を用い、素データをカレイダグラフ(Synergy software)により解析した。【結果】蒸留水のみをセルに充填して蒸留水の力学物性の測定を試みたところ、圧縮距離が長くなるにしたがって応力も高くなり、それらの関係は相関係数0.998で直線に近似できた。さらに、市販の粉末ペクチンを種々の濃度になるように水に溶かした後、それらの水溶液を測定容器に充填して応力ー変形曲線を調べたところ、これらの関係も直線で示された(相関係数0.998以上)。しかし、高齢者用食品の物性試験法の指針にしたがったペクチン水溶液の”かたさ”の物性値は、蒸留水の値とほとんど同レベルであった。一方、糖や酸を添加したペクチンゲルの応力ー変形曲線は、直線の軌道から大きく逸脱していた。このことにより、ニュートン流体中の分子間相互作用は”かたさ”の物性値の変化では追跡できないが、応力ー変形曲線の解析によりニュートン流体と非ニュートン流体を迅速に区分することが可能と思われた。
  • 神山 幸代, 石原 久代
    セッションID: 2P-27
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】我々は感覚機能として五感(味覚・視覚・嗅覚・触覚・聴覚)を有し、その中でも視覚からの情報は80%以上といわれている。色彩は本来視覚情報であるが、共感覚現象により食品の味覚情報に影響を与えると考えられる。食品の色彩は人間の食欲に影響を与え、色彩嗜好と味覚にも関連があると考えられる。そこで本研究では味覚評価に関与する色彩要因の検討を行うこととした。【方法】食品の味覚として、甘いsweet、ピリ辛いhot、塩辛いsalty、渋いrough、苦いbitter、酸っぱいacidの6項目を取り上げた。これらの味覚と色との関係を検討するためにPCCSにおけるv・lt・d・dk・pトーンの偶数番号及びdkg2・6・10・14・18・22に無彩色の白から黒の5段階を加えた71色のカラーチャートを用いて味覚から連想される色彩を選出させた。さらに味覚と食品との関係を知るために、各味覚から連想する食品についても同様に調査した。被験者は女子大学生80名、実験は2004年10月に実施した。【結果】食品と色彩との関係について、ピリ辛いは高彩度の赤、酸っぱいは高彩度の黄に集中しており被験者間の差は小さい。また、甘い・ピリ辛い・塩辛い・おいしそう・好き・酸っぱいには高彩度色が多く選択され、まずそう・嫌い・苦い・渋いには低彩度色が多く、彩度の影響が大きいといえる。甘いとピリ辛いは、両者とも赤色相があげられているが低彩度、高明度色は甘く、高彩度、低明度はピリ辛いと評価されている。嫌い・まずそう・渋い・苦いはCIELAB空間内で同じような分布がみられた。各味覚の中で食品の色彩が味覚の連想色と特に結びついているのはピリ辛いと酸っぱいであった。
  • 田中 智子, 森内 安子, 逵 牧子, 森下 敏子
    セッションID: 2P-28
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目 的 豆乳にはイソフラボンなどが含まれ、骨粗鬆症や更年期障害、乳ガン等に有効な生理的機能が注目されている。豆乳の利用法を検討するために、ヨーグルトの調製時に原料乳に豆乳の配合割合を変え、その食味を比較検討した。方 法 市販プレーンヨーグルトの乳酸菌を用い、発酵温度40℃でヨーグルトを調製した。原料は牛乳と調製豆乳を用いその配合割合を変えたものを用いた。ヨーグルトは発酵後5℃の冷蔵庫で20時間静置したものを試料とし、酸度等を測定し官能検査を行った。結 果 調製豆乳100%で調製したヨーグルトは、牛乳ヨーグルトに比べ酸度の上昇がみられず、有意に好まれなかった。豆乳と牛乳の配合割合を変化させたところ、酸度は6時間発酵では豆乳30%配合時で0.88%、50%では0.83%と最適酸度を示したが、60%では0.74%を示し、豆乳の配合割合が高くなるほど酸度の上昇が遅いことが認められた。順位法による官能検査の結果、有意水準5%で30%豆乳を配合したヨーグルトが総合的に良いという結果が得られた。また、60%まで豆乳配合を増加させると色調、酸味などで有意に好まれないことが認められた。
  • 佐藤 悦子, 向田 恵
    セッションID: 2P-29
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    〈目的〉ブラウスやシャツなど前あきボタンの衣服は,脱ぎ着が出来ることやはおる手軽さがあるが,ボタンをかけはずす操作に手間取り,着脱し難いと感じることがある。本研究は,前あき上衣のボタンかけはずしについて,打ち合わせの違いが利き手・非利き手でボタンのかけはずし操作にどのような差異があるかを明らかにするために着脱動作実験を行い,片手での操作プロセスのモデル化,所要時間の測定等から検討した。〈方法〉被験者は、右利きの女子学生10名を選出した。実験衣は,同一形態の前あき半袖ブラウス(ボタンの最下位置をWLから下20cm,ボタン6個を等間隔に配置)を用いた。動作実験は,被験者が実験衣を着衣し,ボタンのかけはずし操作を両手,利き手,非利き手で行った。分析は,ビデオ画像からかけはずしの所要時間を求めた。かけはずしの操作プロセスをモデル化して動作特性をとらえた。〈結果〉1)片手操作は、利き手・非利き手いずれにおいても親指,人差し指,中指を使っていた。ボタンかけは,ボタンが付いている下前側の手の場合は「持つ」「押し通す」の2つ,ボタンホールのある上前側の手で行う場合には「つまみ出す」操作が加わり3つのプロセスをたどる。はずしは,いずれの手で行っても2つのプロセスをたどっていた。2)片手の所要時間を比較した結果,打ち合わせが右上前では左手,左上前では右手で操作した方が有意に短かった。つまりボタンが付いている側の手の方が短時間で操作できると言える。3)被験者は,右上前では左手,左上前では右手の方が操作しやすいと感じており,かけはずしの所要時間の程度と一致していた。
  • -身体計測値とお端折りの位置・量との関係-
    川上 梅, 松本 幸子
    セッションID: 2P-30
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 成人女子用ゆかたの身丈には身長が採用される。着用時には丈方向に余分がでるため、これをお端折りとして折りたたんで処理する。丈・幅の融通をきかせて着用できることは長着の利点であるが、これは初心者が容易に着用できないという欠点にもなる。本研究では、お端折りを揚げとして処理すること目的として、身体計測並びに着用実験を行い、数個の身体計測値からゆかた上のお端折りの位置と量を推定することを試みた。方法 _丸1_女子大生30名を被験者として、身長、頸側高、頸椎高、腸骨稜高、前胴高、後胴高、外果高、前着丈、後着丈の計測を行った。着丈は、メジャーをウエストベルトで固定し、頸側点を通る体表長として前後に分けて外果点位までを計測した値である。_丸2_女子大生12名を被験者として、身丈を各自の身長で製作したゆかた着用させた。肩山線が頸側点の4cm後方に位置するように、また、帯の下5cmにお端折りの折り山がくるように着用した時のお端折りの位置と量を左右の衿下、左右のおくみ付け、左右の脇縫い、背縫いの7箇所で測定した。これら位置と量を、身体計測値及びそれら間の計算値から推定する重回帰式を求めた。結果 _丸1_ゆかたの裾線からのお端折りの高さは、前胴高と正の相関、BMIと負の相関が認められ、これら2項目から7箇所での高さを推定する重回帰式を算出した。_丸2_背縫い及び上前の脇縫い、おくみ付け、衿下位置でのお端折りの量は、前着丈_-_[身長_-_外果高_-_(身長_-_頸側高)]と正の相関、下前の脇縫い、おくみ付け、衿下位置でのお端折りの量は、(身長_-_頸側高)と正の相関を示したことから、これらを説明変数として量を推定する重回帰式を算出した。
  • 川畑 昌子, 伊地知 美知子, 小山 京子, 佐藤 由紀子, 知野 恵子, 豊田 美佐子
    セッションID: 2P-31
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【 目 的 】近年、若者達にとって「浴衣」は夏祭りや花火大会等におけるファッションアイテムであり、 本来の着用目的は変化し、 街着として定着してきている。それゆえ柄の配置は美しく着こなすための条件として重要な役割を果たしていると考えられる。 前報で身長と身たけとの関わりについて経時的な変化を調査し、 明治時代の身長は約150cm ’04年20歳平均身長は160.0±5.8cm、100年間で約10cm身長が伸長していることがわかった。最近の浴衣地は身長の伸びに合わせ、 用尺も長くなっているが、注染の一柄寸法は変わっていない。 また模様も大きく派手なものが好まれるようになってきたこともあり、限られた授業時間での柄合わせは大変困難を伴っている。本報は、浴衣の柄合わせについて、先人達が示した裁断の際の決めごとも考慮し、問題の多い大柄模様を取り上げ、製作初心者の学生が主体的に取り組めるよう、配置と裁断順序について検討した。【 方 法 】注染浴衣地を写真にとり、紙面上にて実寸の1/10に縮尺し、どの位置に模様がでると理想の配置となるのか、また理想の柄合わせにするための能率的な裁断順序について検討した。 なお、 設定条件は一柄1m、用尺12m、裁ち切り寸法は、身たけ162cm、袖たけ53cm、衽下がり20cmとした。【 結 果・考 察 】理想的な柄配置は、上前の身ごろと衽のひざ位置、後ろ身ごろの腰囲位置とひざ裏、上前身ごろの胸と共衿によい模様がくることであった。理想とする配置をすべて満たすことはできないが、裁断順序としては、はじめに両端から身ごろをとることが効率のよい結果となった。
  • 角田 由美子, 山口 亜沙美, 吉村 圭司, 寺嶋 眞理子, 中島 健
    セッションID: 2P-32
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 非クロム豚革を靴用甲革や裏材料として実用化させるには、その特性を明らかにする必要がある。豚皮を、アルミニウム系鞣剤・合成タンニンにより靴用甲革(スエード)と裏革を調製した。これらを用いて婦人靴を製作し、夏季(31℃、60%RH)の環境下において着用試験を行い、その快適性について検討した結果をとりまとめて報告する。
    方法 実験靴は、非クロム靴用甲革に非クロム裏革を用いた靴(非クロム靴)、および対照としてクロム靴用甲革にクロム裏革を用いた靴(クロム靴)を製作した。さらに快適性に及ぼす裏材の影響を明らかにするために、甲部を非クロム靴用甲革として、裏材を非クロム裏革、クロム裏革、合成皮革(ウレタン系)を用いて3種類の靴を製作した。被験者は20歳前後の成人女子6名である。靴着用時の生理状態として皮膚温、舌下温、心拍数および靴下と靴に含まれる汗の量を測定した。また、快適性の評価は三ツ井ら1)の靴内気候と着用感の評価方法を応用し、さらに熱流計による熱流量の測定、サーモグラムを撮影した。
    結果 (1)非クロム靴に付着した汗の量はクロム靴よりもやや少なかった。非クロム靴の靴内湿度はクロム靴よりもやや低く、着用感の評価も良好であった。非クロム靴着用時のサーモグラムは、クロム靴よりも温度が高かった。(2)裏材に非クロム革を用いた靴は、クロム革、合成皮革を用いた靴に比べ靴内湿度は低く、着用感の評価は良好であった。
    以上の結果から、夏季における快適性においては、非クロム革はクロム革に比較して、靴用甲革および裏材料としてやや優れていると考えられる。
    1)三ツ井紀子,吉田和江,石井康博,白井邦郎,長南康正,岡村浩:繊消誌,40,333-341(1999)
  • -小学生の保護者を対象としたアンケート調査より-
    渡辺 澄子, 片瀬 眞由美, 平林 由果
    セッションID: 2P-33
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 わが国では、足の症状で悩む人が非常に多くなってきた。それらの症状は急に現れるのではなく、幼少期からの靴の選び方や履き方に原因があるのではないかと考えられる。我々は既にわが国の幼児を対象に実態調査を行い多くの問題点を明らかにした。ここではさらに、靴文化の長い歴史をもつドイツにおける子供靴の実態を、ドイツの小学校の保護者へのアンケート調査をもとに分析し、いくつかの知見を得たので報告する。方法 調査対象者はドイツ3地域(ベルリン、フランクフルト、フライブルク各1校)計小学校3校の保護者338名である。調査時期は2004年5月_から_6月、配票留置法による自記式調査を行った。調査内容は、普段履く靴のタイプ、靴購入時の重視点、購入店、足のサイズ測定、価格、子供靴に対する不満、子供および保護者の足の健康状態、足の症状に対する対処法、子供が最初に履いた靴に対する記憶や保存等である。結果 普段履く靴のタイプは紐靴がほとんどである。留め具のない靴はほとんど履かれていない。靴購入時の重視点はフィット性と子供の足の健康であり、シューフィッターなどのいる靴専門店で足のサイズを測って購入している。普段の靴一足の平均購入価格は6570円(円換算)であり、わが国の平均価格よりかなり高い。靴購入時の不満では価格の高さを不満と答えているものが多いが、しかしながら中古靴に対して経済的だから履かせるというものはほとんどいない。子供の足の健康には非常に関心があると答えており、足のトラブル症状に対しては、専門家のいる靴店で靴を選ぶ、病院で受診していると答えていた。子供が最初に履いた靴を6割近くのものが大事に残しているのも靴文化の違いであろう。
  • 片瀬 眞由美, 平林 由果, 渡辺 澄子
    セッションID: 2P-34
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】筆者らは幼児期における靴の重要性を広く啓蒙することを目的とし、幼児靴をとりまく現状を調査し検討を行っている。これまで行った保護者に対する調査1)では、靴の選択基準等に問題点を指摘した。本報では、保育現場で多くの子どもたちを常に観察している保育士を対象として、最近の子どもの足と靴の着用の状況をもとに、より具体的な状況調査を行った。その結果、保育現場における新たな問題点を把握することができた。
    【方法】調査時期は2004年7月、調査方法は愛知県下の公立保育園25園に勤務する保育士256名を対象に園単位での配布後、郵送による回収を行った。有効回収数は138名である。調査内容は、保育士自身の幼児靴に対する意識および園における靴の履き方の指導、園児の足のトラブル状況、幼児に適していると思う靴種とその理由等である。
    【結果】園児の足の健康について、保育士の2割が非常に気になると答え、やや気になるを合わせると9割近くが気になると答えていた。園児の足の症状では靴ずれ、偏平足、足の痛み、巻き爪、タコ・ウオノメなどを指摘しているが、それらが靴に原因があると考えているのは靴ずれのみで、他の症状はあまり靴に原因があるとは考えていない。幼児に適した靴のタイプを、留め具のない靴としたものが34%もあり、紐靴としたものは19%しかいなかった。幼児の靴と足の関係あるいは靴の履き方について、これまでに教わったことがあるというものが83%であったが、これもマスコミ等の情報でというあいまいな知識であり、足の健康と靴の関係を正しくとらえたものとは思われなかった。
    1)片瀬ら;日本衣服学会第56回年次大会研究発表要旨集,p.34-35 (2004)
  • 前田 亜紀子, 林 千穂, 山崎 和彦, 栃原 裕
    セッションID: 2P-35
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    目的)近年は中高年者の登山が盛んであり、これに伴い事故や遭難者が増加している。その原因としては、体力の低下だけでなく、登山用装備品や衣服類の不備が挙げられる。これらは適切に選択されなければならない。なぜなら、登山では重量や嵩が限られ、また非常事態に備える必要があるからである。そこで私たちは、その実態を把握することを目的とし、登山の初心者からベテランに至るまでを対象として調査を行った。
    方法)2004年9月以降、週末毎に、長野市周辺の登山口において登山客らにアンケート用紙を渡して協力を依頼した。これと並行して、幾つかの登山サークルに連絡を取って協力を願った。調査用紙の回収は郵送によった。主な質問事項は、1)登山経験、2)登山ルートと気象条件、3)衣類の着用および準備状況、4)携行した装備品などであった。
    結果)現時点までに145通を回収している。この内、78%が中高年者(40歳以上)である。彼らの登山経験は3_から_55年にわたり、最頻値は15年付近にある。経験の長短により2群に分けて比較したところ、両群ともに多くの者が、自らの登山用装備品及び衣服類については確立していると判断していた。
  • 林 千穂, 前田 亜紀子
    セッションID: 2P-36
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    ≪目的≫Liら(1994)は、若者を対象とした着衣実験で、向寒期に下肢部を露出したスカートで過ごした方がズボンで過ごすより寒さに対する馴化が大きかったという報告をしている。そこで、本研究では、若者に比べ長い着衣習慣を持つ中高年者を対象に、下肢部の着衣の違いが体温調節反応に及ぼす影響について実験を行い、考察した。
    ≪方法≫50代から70代の女性6名を対象に、7月初旬から10月下旬までの3ヶ月間、スカートを着衣した場合と、ズボンとソックスを着衣した場合について、着衣後の8月、9月、10月の3回、人工気候室において寒冷暴露実験を行った。人工気候室では、被験者は両グループとも下腿部と足部を露出し、他は同じ服装で30分間の椅座安静の後、徐々に温度を低下させた室内でさらに60分間の安静を保った。その間、下腿と足背の皮膚温測定と全身温冷感、局所温冷感についての主観申告を行った。
    ≪結果≫寒冷暴露時にけるスカートグループの下腿皮膚温は、9月、10月においても8月のレベルを維持したのに対し、ズボングループは向寒期に向けて徐々に低下した。スカートグループの下腿皮膚温は秋季になっても、夏季と変わらない高いレベルであったにも関わらず、温冷感は良好であり、ズボン着用とは異なる体温調節反応が示唆された。
  • 平林 優子, 大村 知子, 渡邊 敬子
    セッションID: 2P-37
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】障害者・高齢者の80%以上が健常者用の既製服を着用し、着脱の困難さ、着装時の着崩れなど不満を感じ、おしゃれすることを我慢しているという報告がある。これらの原因究明を科学的に行った報告はほとんどみられない。そこで本研究では着脱動作に着目し、衣服設計と着脱動作の関係を科学的に明らかにすることを目的とした。上衣着脱の動作を分析し、着脱を困難にする原因の要素を探り、それを軽減するために考慮するべき条件について提言をし、考察を試みた。
    【方法】実験1被験者:若者は健常な女子大学生20名、高齢者は70歳以上で着脱動作が一人でできる女性20名。着脱手順:任意。実験衣:前あきシャツ、かぶり型シャツ。方法:着脱動作をビデオ撮影し、資料とした。これより着脱手順をパターンで分類した。感覚評価:着脱動作後に難易性と動作時の身体への負荷について、口頭で聞き取り調査を実施した。実験2被験者:若者と高齢者各3名ずつ。着脱手順:指定した手順。方法:腕の動きを中心にビデオ撮影した。感覚評価:実験_丸1_と同様。さらに手順の違いによる着脱のし易さの違いについても聞き取り調査した。分析:録画資料から左右の手首点、肘点、肩峰点の6点をデジタイズして動作の軌跡を検討した。
    【結果】前あきシャツ、かぶり型シャツの着脱手順はパターンごとに特性が認められ、それぞれ着脱に必要とする身体能力が異なっていることが明らかとなった。また、若者と高齢者では着脱の動作の軌跡に顕著な差異がみられた。
  • 福田 典子
    セッションID: 2P-38
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    <目的>長野県では、児童生徒の健全な心身の育成を目指し、山歩き(登山)を多くの小中学校で取り入れ、着帽指導がなされる。着帽目的には防護・防寒・防暑・装飾・識別などが知られ、厳寒時や直射日光下での有効性が報告されている。夏季においては、太陽輻射熱の遮蔽と頭部からの体熱放散の両者に配慮する必要がある。防暑効果に関する報告は室内での着帽実験が多いが、実際のフィールド実験も必要である。そこで本研究では、夏季山歩きにおいて、歩行者の快適感に及ぼす着帽の影響を明らかにすることを目的とした。<方法>実験は平成12年度から15年度の4年間に行い、いずれも8月下旬、歩行場所は志賀山(標高差約400m,全歩行長約12km,全歩行時間約8H)において、毎年成人女子2名1組(無帽群と有帽群)になり4組行った。帽子は綿100%のクロッシエ型とした。歩行開始より2時間ごとに主観的申告(湿潤感・快適感)、発汗量(首部・胸部・腹部)、表面皮膚温(左腋下部)を測定した。主観的申告は7段階で、発汗量は濾紙法(濾紙の大きさ2cm×6cm)に準じた方法で、表面皮膚温は一般体温計にて測定を行った。<結果>湿潤感は無帽群に比べ有帽群が大となる傾向が認められた。快適感は無帽群に比べ有帽群が小となる傾向が認められた。平均発汗量は無帽群に比べて有帽群が大となる傾向が認められた。平均発汗量は部位により異なり、胸部が最も大となり、腹部・首部と小となる傾向が認められた。皮膚表面温は無帽群に比べて有帽群が小となる傾向が認められた。以上の結果より、日射の比較的少ない山歩きにおいては、防暑よりも防護を目的とした着帽指導をすべきと考える。
  • 吉兼 悠子, 篠原 陽子, 福井 典代
    セッションID: 2P-39
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 被服の購入の際には自分の体にあったものを選ぶためにサイズを確認する。しかし、消費者は自分のサイズを曖昧に認識しており、誤認している場合も多い。また同一のサイズ表示の被服であれば、同一の仕上げ寸法であると認識している消費者も多く、サイズ表示に関する教育が不十分である。そこで本研究では家庭科教育の中でサイズ表示の正しい認識をもつための教材作成の基礎資料を得ることを目的として、同じバストサイズで形態の異なる被服を製作して、その仕上げ寸法の見え方の違いを検討した。方法 大学生を対象として、上衣のバストサイズのゆとりを正面と側面から比較させる一対比較による実験を行った。2体の同一人台にダーツの位置が異なる5種の上衣と衿ぐり形態の異なる5種の上衣をそれぞれの服種ごとに着用させ評定を行った。評定結果はシェッフェの一対比較法の中屋変法によって分析した。結果 ダーツの位置が異なる上衣の比較に関しては、正面、側面共にバストサイズのゆとりに違いがみられなかった。衿ぐり形態の異なる上衣でも、側面からの比較においてバストサイズのゆとりに違いがみられなかったが、正面からの比較においては危険率5%で違いがみられた。その中で原型のネックラインとVネック、原型のネックラインとボートネックとの間にはバストサイズのゆとりに違いが認められた。今回の実験では、衿ぐり形態の異なる上衣が正面から見た場合のバストサイズのゆとりに違いがみられ、被服のサイズやゆとりを見た目のみで判断することの難しさが明らかとなった。そのためサイズ表示に関する教育にもっと重点をおき、体型と合致する既製服を購入するための知識と能力を養うための教材作成が必要であることがわかった。
  • 大村 知子, 布施谷 節子, 平林 優子
    セッションID: 2P-40
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】被服の調達には既製服の利用が主流となった今日、子どもたちが針や糸を使用する機会は減少している。一方、小・中学校家庭科の授業時数の削減に伴い、効率の良い被服製作実習を行うことが新学習指導要領実施の課題とされ、その対応には、児童・生徒の技術の実態にそくした指導方法の検討が必要である。
    そこで、本研究では最も基礎である並縫いの指導方法に関する基礎資料を得ることを目的に運針時の手指の動きの解析を試みる。
    【方法】被験者は教育学部に在籍する学生4名である。実験方法は、各被験者が並縫いを計5回実施し、手指を中心に上半身をビデオカメラ2台で撮影して、左右それぞれの第一指の先端点、第二指の先端点と第二関節、第三指第二関節、手首点の動きを追跡した。運針は、1回目が被験者の任意の方法、2回目はプリント教材による方法の説明後、3回目と5回目は5分間の練習後、4回目は師範と個人指導を行った後に並縫いを行った。動作解析は、表一目、裏一目を作る動作を1ラウンドとした時の、縫い始めからおよそ30秒経過後の1ラウンド半を抽出し、二次元動作分析システム(ヒューテック株式会社)を用いた。
    【結果】講義による指導では、正確な針および布の持ち方も理解できておらず、並縫い動作の軌跡に差異は認められなかった。これに対し、師範や個人指導により理解すると、運針時の軌跡が一定となり、縫い目のばらつきも少ないなど技術の向上様相が動作解析によって捉えられた。
  • 猪又 美栄子, 石垣 理子, 大塚 祐子
    セッションID: 2P-41
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的: 身体を保護し,自己を表現する衣服.衣服のユニバーサルデザインを考えるためには,幅広い年齢層の衣服に対する意識を知ることは重要である.女子の衣服,化粧や髪型などのファッションに関わる意識の年齢による変化をアンケート調査により,検討した.
    方法: 首都圏在住の女子を対象に質問紙法によるアンケート調査を行ない,18歳から93歳までの228名の回答を得た.衣服,化粧や髪型に対する関心,選択,購入,身体意識などに関する45項目については,5段階で評定させ,因子分析した.また,衣服と化粧の購入条件などの19項目については大学生,30_から_50歳代,65歳以上の3つの年齢グループごとにクロス集計した.
    結果: (1)衣服を購入する時に重視する項目:大学生では1番目に選択されたのはデザインが43%,好み39%で,2番目に選択されたのは値段37%,デザイン26%であった.高齢者では1番目が着心地41%,好み24%で,2番目が素材29%,着心地25%で,着心地が重視されている.流行などの情報を得る方法は大学生では雑誌(55%),高齢者ではテレビ(45%)が多かった.  (2)いつも化粧している人は,大学生は38%,高齢者は25%である.あまり化粧をしない,またはまったくしない人は大学生では7%,高齢者では26%であった.高齢者では,礼儀・身だしなみとして化粧をしていた. (3)衣服・化粧に対する意識の構造を明らかにするために因子分析を試みた.その結果,おしゃれへの関心とおしゃれによる気分の変化に関する因子,自分の体型にかかわる因子,服装の好みに関する因子,化粧に関する因子などが抽出された.
  • 小林 酉子
    セッションID: 2P-42
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    <目的> 英国ルネサンス期の演劇で、俳優はどのような姿で舞台に登場していたのか、その復元、視覚化を目的とする。発掘後、当時のままに再建されたロンドンのグローブ座からも明らかなように、劇場は、劇が演じられる舞台の上のみに屋根がかかり、一般観客席は屋根がない青天井であった。それは、俳優着用の高価な衣裳を雨から守るためであったとも言われているが、実際の衣裳の素材、デザインはどのようなものであったかを検証する。<方法> 1600年前後、ロンドンでは二大劇団が覇を競っていたが、その一方の海軍大臣一座の劇場主、フィリップ・ヘンズロウと、女婿にして名優でもあったエドワード・アレンは、劇団所有の衣装類をリストにして書き残した。『ヘンズロウの日記』として知られる劇場運営に関する財務簿の中に、これらのリストも含まれている。衣裳リストは主役級用と道化役用に大別され、その一点一点について、色やデザイン、生地の材質が細かに記されている。このリストを基に、主役級用衣裳を色別、素材別、デザイン別に分類した。<結果> 上記の分析によると、主役級用に用いられた生地はベルベットが最も多く、全体の約40_%_を占め、それに次ぐ素材がサテン、金糸入り、銀糸入り、絹(特定されず)で、各々約10_%_を占める。その他、刺繍、ビューグル(黒の筒型ビーズ)、スパングルの装飾が施された上衣、ズボンの例も見られ、高価、高級な素材が用いられていたことが分かる。色は赤、黒が各々30_%_で最も多く、他に青、紫の使用例が目立つ。ここで、道化役には使用されない色が紫であること、道化役に多い黄色、オレンジ色は主役級には用いられていないことも判明した。
  • 小町谷 寿子
    セッションID: 2P-43
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 本研究では、19世紀後半のアメリカを対象として、この時期に展開された既製服と主なアイテム別衣服の価格変化を調査分析する。また、これらを経済活動の変化と結びつけることによって、現代に至る衣生活の変化を既製服の普及という点から検討することを目的とする。方法 方法として、当時の新聞広告に基づく分析調査法を採用した。新聞広告に基づく分析調査によれば、一般の文献等による調査と比べて、実際の生活により近い視点での調査が可能である。本研究では、当時の新聞The New York Timesの広告に掲載された衣服アイテム毎の価格変動を調査し、年代ごとの推移をまとめた。また、その結果を、衣服産業全体の生産高推移と比較検討した。これにより、男性服、女性服それぞれの価格変化における特徴を抽出した。結果 新聞広告を中心とした調査検討によって、男性服については、1870年代の価格高騰の後、1890年代にかけて新聞広告の品目が急増するとともに、衣服の価格幅の急激な狭まりと価格の低下があったこと、また、女性服については、1870年代以降に価格の上昇があり、男性服とは異なる傾向を示すことがわかった。男性服については、規模の大きな既製服工場の増加などによる衣服生産高の変化と価格変化との間に強い相関がある一方、女性服については、流行等の影響がむしろ強く現れる傾向のあることがわかった。全体として、実質的な数量面での販売増加が引き金となり、大衆に向けた量的な衣服の充足が起こっていたことを明らかにした。
  • 山村 愛, 斎藤 祥子
    セッションID: 2P-44
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 日本の10世紀以降の文化は、国風化という点において大きく変化した。かな文字が発達し、それによって優れたかな文学の作品が著された。当時の服飾の描写は、それらの文学作品等に表現されている。その中でも『源氏物語』は,様々な場面での服飾の種類,色,着装状態などの記述が多く,その特徴を見ることができる。『源氏物語』は平安貴族の服装を知る上でも,重要な資料である。『源氏物語』に関する被服分野の先行研究としては、特定の人物の服装や色について、着装表現と身分の関係等、多くの研究がなされている。また、国文学の分野では、登場人物についても研究が進められ,作品中の人物表現を取り上げた研究は多い。そこで本稿では,先行研究をふまえつつ、服色と人物表現の二方面に焦点を絞り,そこに登場人物間の人間関係によって共通点や特徴の一致等の、関連性があるのかについて考察する。方法 『源氏物語』に登場する服色記述を抜き出し、それを個人別、さらに色彩系統別に分類する。そして人物表現の中の事物の性質・状態などを表す形容詞・形容動詞を抜き出し、個人別に分類する。この二つの関連を,親子や夫婦にあたる人物達の服色と形容詞・形容動詞にどのような特徴が現れているのかを明らかにしていく。結果 服色からみると、夫婦、親子にあっても、全てが似通った服色系統をしているというわけではなく、より関係が密な人物間に服色系統の共通性がみられた。夫婦関係からみると、立場上の夫婦関係よりも、精神的なつながりの濃い間柄に、親子関係からみると、血のつながりよりも、精神的なつながりの濃い間柄に、より近しい服色系統がみられるという結果になった。人物表現も服色と同様の結果となった。
  • -手織りの体験を通したデザイン提案-
    松尾 量子
    セッションID: 2P-45
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    山口県周東地域において江戸時代から生産されていた木綿縞織物は、柳井が集積地であったことから柳井縞と呼ばれ、明治時代には広く流通していたが、大正時代には衰退し、以後近年まで、「柳井縞」という名称のみが伝えられていた。平成6年に地域の伝統文化としての手織りの柳井縞を復興させようという目的で、柳井市民の間に「柳井縞の会」が結成され、柳井縞の製織や柳井縞を使用した商品の開発が行われてきた。山口県立大学生活美学研究室では、地域の伝統文化としての柳井縞をどのように現代の生活空間に即して活用するかという研究を行っており、今回は実際に手織りの体験を行うことを通して、柳井縞を活用したデザイン提案への取り組みを行った。 柳井縞に関する縞見本帳などの現存資料からは、柳井縞に固有の縞のデザインを確認することはできない。そこで縞のデザインの決定から整経、織りという手織りの作業課程を実際に経験した上で、バッグを中心とした生活小物を制作することによって、柳井縞の活用法をさぐるという方法を選択した。手織りに関わる技術指導及び反物制作に関しては、柳井市の中川佳子氏の全面的な協力を得た。 選択した縞のデザインが非常にシンプルなものであったことから、反物を織り上げる段階で緯糸を代えることによって、テキスタイルとしてのヴァリエーション展開を行った。このために実際の作品制作においては、用布量の制限という問題が生じたが、織物のもつ基本的なデザイン特性を体感することによって、手織りの素材を用いたデザインにおける方向性を見いだすことができた。
  • 水原  美咲, 福澤 素子
    セッションID: 2P-46
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/08
    会議録・要旨集 フリー
    目的 日々着用した衣服をデジタルカメラで撮影しPC処理することにより、着用服の色やコーディネートを知ることができる「ファッションダイアリー」、さらに着用色や配色の分析が可能な「分析シート」を作成し、それらを解析することにより、色彩調和との適合性や配色コーディネートの自己評価が可能となった。この方法をホームページ上に公開(http://www.fukuoka-edu.ac.jp/^fukuzawa/labintro.html)し、衣服の送信を依頼し、依頼者のダイアリーや分析シート作成を行い、評価し、衣服への関心をもたせようとするものである。なお、アドバイザーには、文部科学省認定色彩能力検定1_から_2級資格者をあて、学習教材のみならず、生涯教育の一助となることを目標としている。方法 web上で「ファッションカラーコーディネート研究会」を開設し、携帯カメラやメール機能、さらにwebカメラを利用してオンラインで、日々のコーディネートアドバイス可能なコーナーを設け、送信された個々のデータをフオルダに保存し、ファッションダイアリーやカラー分析シートを作成し評価を行う。そしてファションダイアリーの記録から、上衣・下衣服をPC上で分け、クローゼットコーディネート表を作成し、さらに所持服のデータ送信を依頼し、依頼者の服の組み合わせ一覧を作成する。着用したことがある服、ない服の要因をアドバイスする。結果 今後はさらに、HPの改良を行いながら、ファッションカラーコーディネートおよび、クローゼットコーディネートのソフト化をすすめる。
feedback
Top