一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
58回大会(2006年)
選択された号の論文の317件中1~50を表示しています
ポスター発表
  • 宇都宮 由佳, 益本 仁雄, スィワナーソン パタニ
    セッションID: 1P-1
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    背景・目的 タイ伝統菓子「カノムタイ」は,現地の人々によって作られ,仏日や祭りの際に僧侶や寺へ寄進されている.また市場や商店でも日常的に販売され摂取されている.しかし,経済化,情報化が進行し,諸外国ならびに首都・中央部の文化の強い影響の下,食も含めた地方固有の伝統文化を維持・継承していくことは,当該地域に限らず発展途上国に共通した取組むべき課題となっている.本研究では,タイ王国の古都チェンマイにおいて,都市,農村,山村の児童生徒及び住民や家政学研究者等に対して,家庭でカノムタイを作る状況,伝統行事との関係などに関し,質問紙及び面接聞取り調査を実施し,タイ北部の人々にとっての伝統菓子の意義や役割について計量的に明らかにしていく.
    結果・考察 カノムタイは,タイ北部で仏教,農業関連の伝統行事や結婚式,新築祝いの際に76%の家庭で作られていた.材料はモチ米,ウルチ米粉が主体で,タイ中央部に比べ,砂糖やココナッツミクルクは少量で,結婚式など特別な菓子はなく,味・形状,名称ともに簡素である.カノムタイには,1.腹持ちがよい,2.家族・親戚で一緒に作り,互いの絆を強める,3.寺や僧侶に寄進することで功徳を積むことができる,4.アイデンティティーを醸成する身近な対象物である,などの特徴が認められた.また近年,学校教育や地域社会における伝統復活,維持・継承の動きもあり,特に都市ではカノムタイ選好と「家で作ること」「仏日に寺へ行くこと」とに関連あり,伝統文化回帰の傾向がみられた.それらがカノムタイに対する根強い支持につながっていると推察された.
  • 日記記載内容の変化
    小竹 佐知子
    セッションID: 1P-2
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    【目的】『アンネの日記』に書かれている食物関連事項を分類し、隠れ家内での食糧事情の変遷の様子を検討した。【方法】『アンネの日記 完全版』文春文庫、アンネ・フランク著、深町眞理子訳、文藝春秋社(1994)を調査対象資料として全食物関連事項を分類し、761日間の隠れ家生活のどの段階でどのような食糧事情になっていったかを調べた。【結果】食物関連事項は158項目認められ、その内容は肯定的な内容の2グループと否定的な内容の4グループの計6グループに分けることができた(1食糧の所有、2食卓の団欒、3不公平感、4食糧の不足、5食糧の腐敗、6物価高)。‘食糧の所有’は隠れ家生活全体を通して常に書かれていることが認められた。これに対し、同じ肯定的な内容である‘食卓の団欒’は隠れ家での共同生活がはじまってからの初めの6ヶ月間にしか記載が認められず、その後は全く日記に書き留められることはなかった。食糧の分配に関する‘不公平感’は、隠れ家生活の期間中、およそ3ヶ月には一度の割合で書き留められており、これは隠れ家生活が始まったばかりの平穏期でも同様であった。‘食糧の不足’、‘食糧の腐敗’、‘物価高’は、1943年3月から書き留められるようになった。中でも‘食糧の不足’は、隠れ家生活後期の最後の4ヶ月に多く書き留められていた。
  • 大久保 恵子, 小竹 佐知子
    セッションID: 1P-3
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    【目的】 広島藩儒であった頼(らい)家に伝わる319の忌祭献立のうち、山陽を祭る15献立を資料としてとりあげ、その内容を検討した。【方法】 資料を出来るだけ忠実に翻刻し、献立の構成、使用食材、食材の入手方法などについて調査した。【結果】 資料は忌祭を行なった年の干支、山陽の命日である九月二十三日という日付に続いて、献立内容の詳細(猪口、御汁、御平、御飯、御香物、御酒、御肴、御湯、御菓子、御茶)およびそれらに使われた食材料を記載する形を基本としていた。食材の入手経緯、調理法などが書き添えられている場合もあった。15献立のうち、書かれた年が明記されていたのは6献立のみであった。献立形式は大きく3種類に分けることができた。_丸1_本膳に吸い物膳がつく最も格式の高い献立形式(3献立)、_丸2_本膳に吸い物膳が付かないもの(4献立)、_丸3_本膳に吸い物は付くが本汁が省略されたもの(7献立)であり、残りの1つはきちんとした献立体裁にはなっていなかった。使用食材は平均すると、猪口1.9品(主要食材_-_柚味噌、慈姑、蒟蒻)、汁1.5品(葉付き大根、海老、小鳥)、平1.5品(松茸、はんぺん、鴨、鱸、玉子)、向0.3品(鯛、小鳥)、肴2.0品(鯛、はまち、小鳥、玉子)、菓子1.9品(唐菓、羊羹、栗、柿)であった。天保5(1834)年の献立では、使用されていた食材全20品のうち9品が知人からの貰物により賄われていた。
  • -家計調査データによる判別分析-
    高橋 洋子, 小谷 スミ子
    セッションID: 1p-4
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    目的: 「東日本は鮭、西日本は鰤」あるいは「東日本は豚、西日本は牛」などと一般に言われている。そのような状況を数量的に検証するため、統計手法を用いた分析を試みた。
    方法: 総務省家計調査における‘さけ’‘塩さけ’‘ぶり’‘豚肉’‘牛肉’の1世帯当たり年間購入量注)について、都道府県庁所在市別に(a)'71-'73(b)'81-'83(c)'91-'93(d)'01-'03の4時点における3年平均値を算出した。「鮭(‘さけ’+‘塩さけ’)と鰤(‘ぶり’)」および「豚肉と牛肉」の購入量について、各々4時点で、“東日本”と“西日本”の判別分析(線形判別)を行った。なお、新潟・長野・山梨・静岡以東を“東日本”とした。
    結果: (1)判別分析の結果:「鮭と鰤」「豚肉と牛肉」ともに4時点とも判別的中率は90%以上であった。誤判別された市は次の通り。「鮭と鰤」(a)なし(b)横浜・千葉・静岡(c)東京・横浜・千葉・静岡(d)東京・横浜・千葉・さいたま。「豚肉と牛肉」(a)山形・鹿児島(b)那覇(c)山形・那覇(d)山形・那覇。(2)誤判別された市に着目した地域性の考察:「鮭と鰤」東京・横浜・千葉・さいたまは、大都市圏で他地域からの転入者も多いことから、地域性が弱く、東日本にしては鮭の購入量が少なかったと推察される。静岡については、東西の境界に位置するため、“東日本”と“西日本”の中間的な数値を示したと考えられる。「豚肉と牛肉」米沢牛の産地である山形は、東日本にしては牛肉の購入量が多かった。薩摩黒豚の産地である鹿児島と、冊封使饗応のため14世紀から養豚を行っていた沖縄は、西日本にしては豚肉の購入量が多かった。注)(a)時点の「購入量」=各市における年間購入額/全国単価。(a)時点は沖縄を含まない。
  • 金武 由利子, 阿部 祐加子, 永嶋 久美子, 大坂 佳保里
    セッションID: 1p-5
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    目的 近年、生活様式、家族形態の変化と共に食事形態は多様となった(共食・孤食など)。本研究は生活習慣病の増加の一因として、自覚的健康感が食事形態に関与していることを想定し、青年期女子の健康や食事形態に対する認識を分析することで、食教育や日常生活での実践に活用する手がかりとすることを目的とした。方法 関東地区の社会科学系および生活科学系の女子学生を対象に、2002年9月から12月に無記名自己記入式の質問紙調査を行い、この全項目について単純集計とクロス集計を実施した。結果 調査対象者(578名)の健康に対する自己評価は、「健康である」13.7%、「どちらかと言えば健康である」55.5%(両者の合算:69.2%)と健康に対する認識は高かったが、その反面、「どちらかと言えば問題がある」25.3%、「問題がある」とした者は5.5%だった。さらに、一週間の食事形態を調査した結果、朝食では「健康である」と認識している者の約7割は共食の回数が0回であり、健康に対する認識が高い者ほど共食の回数が多い傾向にあった。昼食においては、健康に対する認識が高い者は孤食が少ない特徴が得られた。また、昼食の孤食の回数は対象者が女子学生であり、授業期間内での調査であったことから昼食スタイルは多様であった。夕食では健康に対する認識が高まるほど共食の回数が多い傾向にあった。健康に対する認識が高い者の約9割は欠食がなく、健康に対する認識が高いほど、欠食の回数が少ない傾向であった。
  • 冨永 美穂子, 宮崎 美穂
    セッションID: 1P-6
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    目的 飽食の時代と言われて久しいが,生活習慣病の増加,個食・孤食の食卓等,食生活を取り巻く環境は危機的状況にあり,食育に対する関心が非常に高まっている.日々の食生活の営みはその後の食文化,更には家族をも含めた人間関係を形成していき次世代の鋳型となる.若い世代の食生活は彼ら自身の将来の健康維持のみならず次世代にも影響する.そこで今後の食生活のあり方を探究するための一方法として,近い次世代を担う大学生の食生活の実態および食生活に対する意識・価値観について男女差等を含めて検討を試みることとした.
    方法 食生活を中心とした生活習慣に関する前報1)の調査項目に食生活に対する意識・価値観に関する項目および10年後の食卓風景に関する項目等を加え,2005年11および12月に質問紙調査を行った.大学生280名(男性:95名,女性:185名,平均年齢:20.1歳,有効回答数)のデータを分析に用いた.調査の集計および解析には統計用ソフトSTATISTICAを使用し,クロス集計,分散分析等を行った.
    結果 食生活習慣の中で食品の摂取頻度は週3から4回以上食べる食品項目が少なく,その傾向は自宅外生,男子学生において更に顕著であった.食生活に対する意識・価値観については男女差が認められる項目が多く,そのほとんどの項目で女子学生の方が平均値が高かった.男女ともに食事を楽しむ,食べること,料理に対する興味,関心は高いが,栄養バランスや食品表示の確認等,食べるもの,食べ方に対する意識はあまり高くないことが推察された.学生の約8割が10年後は男女ともに配偶者と,あるいは子どもを含めた自分自身の家族を持ち,自宅で食卓を囲んでいるだろう(いたい)と回答した.
    [文献]1)冨永ら;家政誌,Vol.52, 499-510 (2001)
  • 峯木 真知子, 棚橋 伸子, 戸塚 清子
    セッションID: 1P-7
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    「目的」ジャガイモは、料理の用途が広く、消費者に好まれる食品である。最近では多種のジャガイモが市販されている。ジャガイモに対する若者の嗜好、およびその種類に注意して使用しているのかどうかを検討した。「方法」イモは男爵、さやか、トヨシロの3種類(北海道、2005年産)を用い、30分間蒸したものを試料にした。試料の色、破断強度、水分含有率を測定した。青葉学園短大食物栄養学科2年生64名に対して、ジャガイモの嗜好、使用状況、好むイモの料理とその摂取頻度について、アンケート調査を行った。同試料を用いて、同上のパネラーによる分析型・嗜好型官能検査を行った。「結果」若者のジャガイモに対する嗜好では、大好き20.3%、好き51.6%、嫌い3.1%で、品種については、注意すると答えたものは、わずかに2名で、時々気にする20.3%、調理方法によって注意するが23.4%で、気にしていないものが半数を示した。選び品種は男爵56.3%、メークイン29.7%であったが、他の品種は知らないものも多かった。好まれる料理は肉じゃが、ポテトフライ、豚汁で学生の約80%が選んでいた。7段階評点による分析型官能検査では、トヨシロがやや硬く、甘さが薄く、味でも低い傾向にあった。嗜好型官能検査では、さやかが甘みで評点が高く、味でも好まれる傾向にあった。破断荷重はトヨシロが高く、男爵がやわらかい傾向であった。水分含有率では、男爵・さやかは78%程度で、トヨシロがやや高い傾向を示した。
  • 山澤 和子, 米須 裕子
    セッションID: 1P-8
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 若者はコーヒーを飲用したいと感じる代表的理由に覚醒や仕事の効率向上(つまり疲労回復)をあげ、飲用時にはその味を重視すると報告1)されている。特に飲料などの嗜好品に対する味の好みは、摂取する対象者の性別、また同一人においても摂取時の心身の健康状態などで変わることが考えられる。そこで、味嗜好性と生活習慣との関連をコーヒーの甘味嗜好度合いから分析し、大学生の生活状況がコーヒーの味嗜好に与える影響について検討した。
    方法 対象者は、G県下の大学および短期大学に在学する学生59名(男子23名、女子36名)とした。甘味(スクロース)および苦味(カフェイン)に対する閾値を上昇法で測定した。また、水およびコーヒー溶液の甘味嗜好度(飲料100mlにスクロースを0_から_40gを溶解した7試料を用いた)を順位法で測定した。対象者が嗜好する飲料の甘味は、前記の飲料官能検査結果において“最も好ましい(順位;1)”と評価した試料とした。
    結果 (1)対象者をコーヒーの甘味嗜好度で3群(スクロース0g;低群、同<10g;中群 および同<40g;高群)に区分した。これら3群間で甘味および苦味の認知閾値に差はなく、群間で味覚に対する感度は同等と考えられた。(2)高群には、性別では男子、起床時刻では8時以降の者が他群に比し有意に多かった。(3)甘味嗜好が強くなるほど缶コーヒー飲用者率が有意に高くなった。(4)コーヒーの嗜好度および摂取頻度とコーヒーの甘味嗜好度との関連性はなかった。
    [文献]1) J. L. Hsu, W.-C. Hung;Food Quality and Preference, 16, 361-367 (2005)
  • 杉山 寿美, 石永 正隆
    セッションID: 1P-9
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 サプリメントがどのような意識で利用されているのかを明らかにするために,成人女性のサプリメントの利用状況を調査し, 食生活,食意識,健康に関する行動について考察,これまでに行った女子大学生,女子高校生の利用状況と比較した。
    方法 広島市中心部に勤務する成人女性を対象として2005年7月にアンケート調査を実施した。調査用紙配布数500枚,回答者数264名(平均年齢31.7±8.7歳,既婚率36.6%,回収率52.8%)であった。なお,比較の対象とした女子大学生,女子高校生の回答者数は301名,295名(回収率77.7%,98.0%)であった。調査項目は,(1)サプリメントの利用状況,(2)食生活状況,(3)食意識,(4)健康に関する行動とした。
    結果 サプリメントの利用経験者は78.0%(現在利用38.3%,過去に利用39.7%),未経験者は22.0%であり,利用経験者はファッションに興味があり,きれいになりたいと考えている者,ダイエット経験者,エステイックサロン利用者が多かった。また, 食事では栄養や健康を考え,食器などの雰囲気を重視する者が多かった。利用経験者のうち,現在利用している者の利用理由は「元気でいたい」「栄養バランスを整えたい」が多く,利用頻度が高かった。一方,過去に利用していた者はサプリメントの効果を実感できず,高価格であると感じ,サプリメント利用者を流行に敏感な人であると捉えていた。女子高校生,女子大学生のサプリメント利用のきっかけは「体調不良」や「きれいになりたい」という意識であったが,サプリメントに否定的な意識をもっている場合には,継続的な利用にならないと考えられた。
  • 菊地 和美
    セッションID: 1P-10
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年、高校生を含む若い人たちの間で朝食の欠食や偏食といった食生活の乱れが問題となっている。21世紀の国民健康づくり運動「健康日本21」においても、栄養・食生活分野における知識・態度・行動レベルの改善目標として「中高生における朝食の欠食をなくす」といった項目が挙げられている。札幌市健康づくり基本計画「健康さっぽろ21」においても、青年期における健康づくりの課題として、栄養バランスのよい食習慣を確立することを目標とし、高校生における基礎調理について問われている。そこで、高校生に対する基礎調理実習の検討を行うために、高校生の食生活の実態を把握することを目的として、調査を行った。【方法】T高校2年生の男子179名、女子160名を対象として、2004年3月ならびに2005年3月に質問紙法にてアンケート調査、食事調査を実施した。解析は、単純集計後、群別に比較して、χ検定とt‐検定を行い、有意差の有無を検討した。【結果】食習慣をみると、摂取頻度8割以上の「よく摂れている」グループは、男女ともに肉・魚・大豆製品・卵であった。一方、摂取頻度4割以下の「摂れていない」グループは、男女平均して海藻、果物であった。朝食、昼食、夕食については、夕食は男女ともにほとんど食べていた。朝食と昼食は、男女ともに主食に比べて主菜と副菜が摂れていない人が多かった。今後は朝食と昼食の欠食に対する配慮が必要であると思われた。食事内容をみるとPFC比率は、P:16.9±2.1%、F:29.6±4.3%、C:53.6±4.3%であり、適正範囲内であった。そこで、芋類や緑黄色野菜を用いた副菜料理の調理実習プログラムを実施し、検討したので報告したい。
  • 村上 陽子, 柏本 夏紀
    セッションID: 1P-11
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年、ダイエット行動の低年齢化が問題となっている。ダイエット傾向は中学生・高校生のみならず小学生にまで及んでいるといわれる。児童・生徒におけるダイエット行動は、栄養や健康に関する知識や社会経験の乏しさから、後の食生活・食行動および健康面に大きな影響を与えると考えられる。そこで、小学校におけるダイエット行動に対する予防教育のあり方を検討する一環として、小学生の食意識および食生活の実態を把握するために、静岡市内の小学生においてアンケート調査を実施した。【方法】調査時期は2005年11月、調査対象は静岡市内の2つの小学校の5、6年生児童を対象に質問紙調査を実施した。調査方法は、選択式・自由記述式の質問紙を作成し、無記名で回答してもらった。アンケートは担任教諭が配付し、回答後ただちに回収した。回収率および有効回答率は100_%_であった。調査項目は、性、身体状況、運動習慣、食事の仕方、ダイエット経験の有無、関心度、摂食障害の知識の有無である。【結果】肥満度の正常域に属するのは男子で53_%_、女子で61_%_であり、男子はやせ傾向児の割合が高かった(平成16年度学校保健統計調査との比較より)。また女子では6割、男子では4割の子どもにやせ願望が存在し、特に女子で顕著であった。ダイエット志向については男子より女子の方が高かったが、摂食障害についての知識は男子の方が高い傾向がみられた。
  • 日常食と献立作成能力の自己評価との関連について
    照井 眞紀子, 橋本 賢, 村上 洋子
    セッションID: 1P-12
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    【目的・方法】 第2報では、同時期に行った20項目の献立作成能力の要因についての学生の自己評価と日常的に出現する料理の関連から、献立作成能力の向上のために必要な要因で、どのような内容を強化した教育をしたらよいかを探り、専門性教育の一助にすることを目的に_(株)_エスミExcelアンケート太閤Ver.3.0を使用し集計解析をした。【結果・考察】5段階尺度で回答させた20項目の献立作成能力の要因について、自己評価が最も高かったのは栄養計算の仕方で4.7±0.5、次いで純使用量から使用量の算出で4.4±0.7であった。また、20項目の要因を栄養・食品・料理・計算に分類し比較検討すると計算関連が平均16.8、次いで食品関連16.5、栄養関連13.7、料理13.2の順に低くなり、計算関連については、「わかる」としているが、栄養や料理関連が「わからない」と評価している。総合評価で最も高く自己評価した者は81点、最も低い者は34点、平均60.2点であった。また、日常的に出現するさばの味噌煮、ブリ大根、炒り鶏などの調理の可否と総合評価との間に相関がみられ、総合評価が高い者は上手に自信をもって作れる、食べられる程度に作れる。また、上手に自信をもって作れる料理、食べられる程度に作れる料理が多い者と総合評価との間にt検定で有意な関連性(p<0.01)がみられた。献立は、食品と料理のもつ特性を勘案しなければならないが、諸要因を盛り込んだ献立を作ることは容易ではない。しかし、日常食の食体験や調理の体験の度合いが献立作成能力と関連性があることを学生に認識させ、自己評価で得られた強化すべき項目を重点的に、献立作成に必要な知識や技術の向上への動機付けに日常の食事と関連づけた教育の必要性が示唆された。
  • 長屋 郁子, 小川 宣子
    セッションID: 1P-13
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    目的:従来の日本全体に共通する広域的な食教育ではなく、地域を基盤とした食教育を行うことで、幼児が身近な食に関心をもち、地域特有の伝統的な食文化が継承していけるのではないかと考える。そこで本研究では、地域における伝統的な食生活を把握するため、地域産物や旬の食材を活用した伝統食の伝承が岐阜県の中でも比較的残っている飛騨地域の日常食の特性を明らかにすることを目的とした。方法:調査は飛騨地域の12月から2月の冬季の食生活に注目し、食材の調達が困難な時季の人々の工夫や食生活の特性を知るため、日本の伝統的な日常食であるごはん及び大豆料理の調理方法と、食材の保存・加工方法を調べた。調査対象は、飛騨地域の中でも最北部にあり鉱山で発展してきた神岡町の65歳から80歳の男女18名と、飛騨地域の北西部に位置し冬季の平均気温が神岡町の0.8℃に比べて-0.2℃と低い農山地である白川村の40歳から73歳の男女14名に聞き取り調査を行った。結果:白川村では日常食のごはんに近隣の山の産物を加えることが多く、「栗飯」や「山菜おこわ」を食べる家庭がいずれも29%あり、これらは神岡町では食べられていなかった。飛騨地域の大豆料理には、朴葉にのせて焼く「朴葉味噌」や、すがたつまで茹で水分が少ないため保存性が優れている「こも豆腐」といった地域特有の調理方法があった。冬季の食材の保存方法としては「漬物」がすべての家庭で作られていた。神岡町では「寒干し」をする家庭が11%あり、これは白川村ではみられなかった。
  • 越川 絵里子, 村井 陽子, 奥田 豊子
    セッションID: 1P-14
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    〔目的〕 子どもたちの食生活・食行動の実態を把握し,朝食を楽しんだ子どもと学習意欲,心や身体の健康度との関連性を明らかにし,食育のあり方を検討した。〔方法〕 平成17年10月_から_11月にかけて大阪府下の小学校5校で、小学5,6年生883名(男子461名,女子418名,無記入4名)に対し質問紙調査を行った。質問紙はそれぞれの小学校の栄養士および教諭が配布し回収した。質問紙調査の内容は_丸1_調理経験(14項目),_丸2_学習(23項目),_丸3_体の調子(15項目),_丸4_食事(22項目)についてであった。〔結果〕 今朝の朝食・昨日の夕食・いつもの給食に対して,「楽しかった」群の割合はそれぞれ43%,69%,78%であった。本研究では朝食について検討した。体の調子においては,ほとんどの項目において「朝食が楽しかった」群の方が訴えた症状が有意に少なかった。学習意欲においては、「集中できる」などのプラスの学習意欲に関して「楽しかった」群の方が、「授業中眠たくなる」などのマイナスの学習意欲に関して「楽しくなかった」群の方が全ての項目で有意に多く答えていた。以上の結果から,朝食を楽しんで食べていた児童は健康状態が良好で、学習意欲が高いことが推測される。保護者,児童ともに従来より10分早く起き,朝食を楽しむために「食事内容の充実」と「楽しい食卓作り」をすることの重要性が示唆された。
  • 内田 初代, 猪飼 弘子, 宮澤 節子, 芳本 信子
    セッションID: 1P-15
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    [目的]調理をする際に食材の味を引き出すためには、調味料の正確な計量が必須である。家庭における計量スプーンの所持率は95.5%と高率であり、家庭では調味料計量器として計量スプーンが普及している。しかし計量スプーンは、メーカーにより計量スプーンの形状が異なっている。そのため、計量スプーンを使用する際に参考とする「計量スプーンによる重量表」の数値が、出版物によって相違する。そこで本研究では、各メーカーが市販している計量スプーンを使用して各種調味料を実測し比較検討を行うと同時に、計量スプーンを使用する上で計量スプーンに対する認識も重要になっていると考え、アンケート調査を行った。[方法]アンケート調査は,計量スプーンを使用する機会の多い栄養士養成過程の学生wo対象に行った.また,市販されている計量スプーンは,各メーカーごとに大さじ(15ml),小さじ(5ml)4種類を用い,家庭ni広く常備されている調味料を各々10回実測し,平均値をその計量スプーンで計量できる値とした。[結果及び考察]1.アンケート調査結果からは、計量スプーンの計量値を信頼し、異なるメーカーの計量スプーンであっても同一の計量を行えると大半の学生が認識していることがわかった。また、日常的に計量スプーンを使用する場合に、標準的な方法で計量していないことがわかった。2.計量スプーン計量実験からは、メーカーによって計量値の正確性に関連があるということが示唆された。ただし、同一メーカーの計量スプーンを使用し、標準的な方法で計量すれば、計量誤差を小さくできることがわかった。 
  • 中山 伊紗子, 山本 悦子, 阪上 愛子, 石村 哲代, 大島 英子, 大喜多 祥子, 片寄 真木子, 中野 輝子, 中山 玲子, 樋上 純 ...
    セッションID: 1P-16
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    目的 女性の就業率が増し、結婚、出産後も仕事を続ける女性が多くなり、住宅環境の変化もあり、家庭における食生活の変化が見られる。調理の中で“焼く”を取り上げ、どのような因子が魚・肉料理に直接または間接的にどう影響しているかについて検討した。
    方法 関西で家庭の調理担当者を対象に自己記入方式によるアンケート調査を行なった。調査内容は 調査対象者の属性、調理時間、調理の好き嫌い、調理器具、魚・肉の調理方法別頻度、意識調査などである。調査時期は2004年5月_から_6月。有効回答数1457の結果を分析した。
    結果 調査対象者の年齢は40代が最も多く42%、30代・50代・60代は17_から_18%、20代は5%であった。有職者の割合は約50%に達している。有職者は朝食(p<0.001)夕食(p<0.01)とも調理時間が短い傾向が見られた。住居の形態は70%が戸建、30%が集合住宅、台所形態はK,DK,LDKが28,33,39%であった。調理が好きな人は52%,嫌いな人は16%であった。料理好きな人は嫌いな人に比して夕食の調理時間が長い傾向が見られた(p<0.001)。「肉と魚料理のどちらをよくつくるか」では50歳以上では魚が多く、50歳以下では肉が多かった(p<0.001)。また「肉」を選んだ人の選択理由は子どもの好み、「魚」「どちらともいえない」を選んだ人は栄養や健康を考えるが多かった(p<0.001)。 新鮮な材料を入手可能な人は無職に多く(p<0.05)、 魚料理を作ることが多い(p<0.001)ことがわかった。
  • 阪上 愛子, 山本 悦子, 中山 伊紗子, 石村 哲代 , 大島 英子, 大喜多 祥子, 片寄 真木子, 中野 輝子, 中山 玲子, 樋上 ...
    セッションID: 1P-17
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    目的 その1と同じ。方法 調査方法、調査期間、調査対象者はその1と同じ。結果 職業の有無別に魚の調理方法を見ると、焼き物(p<0.001)、煮物(p<0.01)でいずれも無職が多かった。夕食で多い魚の調理方法は、「焼き物」「煮物」「生もの」であった。魚の「焼く」料理のなかで出現回数の多い順は「塩焼き」「つけ焼き」「塩干物」であり、使用器具は「塩焼き」「塩干物」はガスコンロ付属のグリル、「つけ焼き」はフライパンであった。夕食で多い肉の調理方法は、「炒め物」「焼き物」「煮物」であった。肉の「焼く」料理のなかで出現回数の多い順は「ステーキ」「つけ焼き」「焼肉」であった。使用器具は「ステーキ」「つけ焼き」はフライパン、「焼肉」はホットプレートであった。魚を焼く時に困ることは、「器具の後かたづけが面倒」が44%、「困ることはない」が25%、「煙や臭いで近所に迷惑をかける」が17%、「上手に焼けない」が7%であった。「困ることはない」を年代別にみると、20歳代は4%、30歳代は13%、40歳代は39%、50歳代は20%、60歳代は24%と年代による差がみられた(p<0.001)。肉を焼く時に困ることは、「困ることはない」が40%、「台所・室内が汚れる」が24%、「器具の後かたづけが面倒」が15%、「煙や臭いで近所に迷惑をかける」が10%であった。
  • 治部 祐里, 寺本 あい, 安川 景子, 佐々木 敦子, 渕上 倫子
    セッションID: 1P-18
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    <目的> 本研究では、玄米・七分つき米・精白米を、100℃・107℃・130℃対応の電気炊飯器で炊飯し、飯の物性測定を行い、玄米をおいしく炊く条件を検討した。また、電気炊飯器・圧力鍋・土鍋で炊飯した飯の官能評価や玄米と精白米の混合飯の好ましい配合割合について検討した。
    <方法> 本研究では、玄米・七分つき米・精白米を、100℃・107℃・130℃対応の電気炊飯器で炊飯し、飯の物性測定を行い、玄米をおいしく炊く条件を検討した。また、電気炊飯器・圧力鍋・土鍋で炊飯した飯の官能評価や玄米と精白米の混合飯の好ましい配合割合について検討した。
    <結果> 130℃・107℃対応炊飯器は昇温期(炊飯開始から温度急上昇期に達するまで)に細かく温度調節され、緩慢な温度上昇であったのに対し、100℃対応炊飯器は釜の温度の上下動が大きかった。普通炊きと玄米炊きを比べると、玄米炊きの方が普通炊きに比べ昇温期の緩慢上昇が短く、短時間で沸騰期に達し、沸騰期が長かった。炊飯中の温度は圧力鍋は120℃であった。玄米飯の官能評価は七分つき米・精白米の飯に比べ悪く評価され、七分つき米・精白米の飯は大差なかった。玄米を圧力鍋・電気炊飯器・土鍋の3器具で炊いた飯を比較すると、炊飯直後、2時間室温放置後とも圧力鍋で炊いた飯が最もおいしいと評価された。好ましい配合割合については玄米と精白米を同量の配合割合で炊いた飯が最もおいしいと評価された。
  • 寺本 あい, 治部 祐里, 安川 景子, 佐々木 敦子, 渕上 倫子
    セッションID: 1P-19
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    <目的> 玄米は果皮、種皮、糊粉層が残っているため、吸水率が悪く、飯は硬くボソボソ感があり、食味がよくないため、圧力鍋を使い沸点を上昇させて炊飯する場合が多い。本研究では、玄米、七分つき米、精白米を浸漬温度、時間を変えて炊飯し、炊飯後の飯の物性測定、組織観察等を行い、表層の微細構造と飯の物性との関係について基礎的な研究を行った。
    <方法> 岡山県で作付面積の最も多い『ひのひかり』の玄米を用いた。玄米を家庭用ハンディー精米機(BT-AE05象印製)で七分つき米、精白米に搗精し、各米150gを20℃、30℃、60℃で浸漬後、米重量の1.5倍加水し、ミニ電気炊飯器で炊飯した。吸水率、水分含量(浸漬前後、炊飯後)、長さと幅(浸漬前後、炊飯後)、色(浸漬前、炊飯後)を測定した。炊飯後の飯を用いてクリープメータ(山電製)でテクスチャー解析を行った。さらに、浸漬前後の米と炊飯後の飯を用いて、組織構造をクライオ走査電子顕微鏡(日立S-4500)で観察した。
    <結果> 飯の水分量は精白米>七分つき米>玄米の順であった。飯の長径は浸漬前に比べ精白米=七分つき米>玄米の順で膨潤した。飯のテクスチャー解析では、玄米は七分つき米、精白米に比べ、硬く粘りの少ない飯であった。浸漬後の組織構造の観察では、米の搗精度が高くなるに従い、玄米に存在する果皮、種皮、糊粉層が減少し、胚乳細胞中のアミロプラストが明瞭になり、デンプン粒の膨潤が進んでいた。玄米では炊飯後も胚乳細胞の境界が観られ、デンプンの糊化が十分でないことが示唆された。炊飯後の飯では、精白米>七分つき米>玄米ほど小孔が多く、搗精度が上がるほど飯中に遊離した水が多く存在していることがわかった。
  • 佐藤 生一, 中島 千枝, 山澤 正勝
    セッションID: 1P-20
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    【目的】現在市販されているういろうに使用されている原料粉は、米粉、小麦粉、小麦デンプン、あるいはそれらの組み合わせ、など非常に多様である。さきに、各種原料粉の特徴とういろうの物性に及ぼす影響について報告した。本研究では、ういろうの物性に及ぼす各種原料粉配合比の影響について検討したので報告する。【方法】1.原料:各種原料粉(米粉、小麦粉、小麦デンプン)および砂糖(グラニュー糖)を使用し、原料粉は各種配合比で実験に供した。2.ういろうの調製:原料配合は原料粉23%、砂糖26%、水51%とし、原料粉の特性に応じて湯がき後あるいはそのままポリ塩化ビニリデンケーシング(直径30_mm_)に充填し、沸騰水中で60分間湯煮した。湯煮後直ちに水中で30分間冷却し、24時間冷蔵庫で保管した。3.原料粉の吸水力の測定:デンプンの吸水量の測定法に準じ、原料粉1g当たりの吸水量を測定した。4.原料粉の加熱による粘度変化の測定:RVAを使用し、各種原料粉の水あるいは砂糖糖液の加熱・冷却中の粘度変化を測定した。5.ういろうの物性測定:レオメーターを使用し、破断強度、破断凹みの大きさおよび付着力等を測定した。【結果】各原料粉の配合比1:1で調製したういろうの物性は、(1)米粉と小麦デンプンとの配合では、米粉単独の場合に比べ破断強度および凹みが大きくなった。付着伸びは小さくなったが付着力は変化しなかった。(2)米粉と小麦粉との配合では、米粉単独の場合に比べて破断強度および凹みは多少大きくなったが、付着力および付着伸びに変化はなかった。(3)小麦粉と小麦デンプンとの配合では、小麦粉単独の場合に比べ破断強度および付着力は大きくなり、破断凹みは小さくなった。また付着伸びの変化はなかった。
  • 久保 加織, 玉記 加奈子, 堀越 昌子
    セッションID: 1P-21
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    【目的】ふなずしは塩漬けの後、飯とともに長期間熟成させ、製造されるが、食されるのは魚体であり、漬け床である飯はほとんど利用されない。しかし、この飯には魚から溶け出した成分の存在が考えられる。本研究では、飯の食品材料としての価値を検証し、洋菓子への添加について検討した。
    【方法】ふなずし飯は大津市内のふなずし専門店から漬け込み期間の異なる2種類を供与されて用いた。ふなずし飯およびそれから調製した菓子の成分として、水分、灰分、およびカルシウム、鉄を常法通りに、塩分をモール法により測定した。脂質をBright and Dyer法により抽出し、メチル化後にガスクロマトグラフィーに導入することにより脂肪酸組成を調べた。菓子の嗜好性については官能検査により判定した。官能検査は、外観、香り、食感、味、総合評価の5項目について5段階評価法で行った。
    【結果】 ふなずし飯には、魚由来と考えられるカルシウム、鉄、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イコサペンタエン酸(IPA)が豊富に含まれていた。飯を水中で撹拌、ろ過することによって塩分は4.5%から0.7%にまで減少し、これを脱塩飯として用いた。なお、pHは脱塩前後でほとんど変化せず3.8であった。飯を添加した菓子として、クッキー、チーズクッキー、バターケーキ、チーズケーキを調製して官能検査を行った結果、最も評価が高かったのはクッキーであリ、飯の含有率では20%が最も好まれた。飯の漬け期間の長さは官能評価にほとんど影響しなかった。脱塩飯を添加したクッキーは、カルシウム含量を98mg%と通常のクッキーの約5倍量含み、DHAやIPAも微量ではあるが含んでいた。
  • 植田 和美
    セッションID: 1p-22
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    目的 一般の製パン法がこね上げ・発酵の時間や温度など多くの要因の調整が必要であるのに対し、ホームベーカリー使用では自動的に簡単にパン作りが可能である。また、同一条件での製パンが可能であることから、製パン性の研究において、ホームベーカリーが用いられている。本研究は、ホームベーカリー使用食パンの品質の再現性を検討するとともに、市販食パン(山食パン、角食パン)との比較をすることでホームベーカリー使用食パンの特性を明らかにすることを目的とした。方法 ホームベーカリー(ナショナル SD_-_BT6)を使用して同一条件で調製した山食パンは、重量・容積・水分含量・色の測定、組織の観察をするとともにクリープメーター(_(株)_山電RE2-3305)により破断強度試験を行い、品質の再現性を検討した。また、市販食パンについても同様の測定を行い、ホームベーカリー使用食パンとの品質の比較を行った。結果 山食パンの理想的な比容積は4.5_から_5.0とされるが、ホームベーカリー使用による山食パンでは、やや低い値となり、容積にばらつきがあったため、比容積に差が見られた。また、市販食パンとの比較では、水分含量が高いことが特徴的であった。その他の内層の状態、色、破断強度にも特徴が見られたが、市販食パン個々により差が大きかった。
  • 真部 真里子, 浅場 結希, 今村 真希
    セッションID: 1P-23
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    目的 塩味強度は食品のおいしさを決定する重要因子であるため、嗜好を満足させる減塩調理は難しいが、その方法の1つに、だしのうま味を強く効かせる方法がある。これは、うま味物質のMSGの効果であると考えられている。しかし、昨年、我々は、だしの減塩効果には、MSGだけでなくだしのうま味以外の風味もその減塩効果に影響していることを報告した。そこで、本研究では、鰹だしのにおいに注目し、においの減塩効果について検討した。
    方法 被験者(20歳代前半の本学在学生および職員)25名に、だしのにおいを嗅ぎながら飲んだ0.62-1.00%の5段階のNaCl溶液とにおいの付加なく飲んだ0.80% NaCl溶液の2個の試料間で塩味を強く感じる試料を選択してもらった。においの付加には、枯節一番だし、荒節一番だし、4週間前に開封した荒節一番だし、20時間水だし荒節だしを用いた。また、だしのにおいをGC-O分析し、各だしのにおいの特徴を検討した。
    結果 官能評価より得られたデータをプロビット法にて解析した結果、枯節一番だしのみ減塩効果が認められた。4種の鰹だしのにおいをGC-O分析した結果、RT22分付近の酸味を伴うだしのにおい、38分付近の土付きジャガイモのにおい、41分付近のデンプン臭を含む甘い抹茶のにおいが枯節一番だしにのみ認められた。よって、枯節一番だしに認められた減塩効果は、これらのにおいを呈する香気成分に起因すると推察された。
  • 川村 昭子
    セッションID: 1P-24
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
    会議録・要旨集 フリー
     [ 目的 ]  第55・56回大会において「短大生における野菜・魚介類の意識」について調査の一部を報告した。今回は、魚介類に対する意識・嗜好、利用状況と調理について検討した。
    [ 方法 ] 2002・2003・2005年、短大生369名を対象として自己記入法により実施し、即時回収した。調査内容は、魚介類への意識と嗜好、好きな魚、嫌いな魚、よく利用される魚介類の嗜好と調理法などについて質問し、自由回答あるいは選択回答の形式をとった。これらの結果を集計し、検討した。
    [ 結果 ]  自宅通学生は58.3%、下宿学生は41.7%で、北陸三県(石川・富山・福井)出身者がほとんどである。意識としてはほとんどの学生が大事であるとし、嗜好的には「好き」と「普通」で93.8%を占めたが、摂取状況では食べているが50.1%、あまり食べていないが49.9%であった。下宿学生は自宅通学生より大事であると意識は高いが、実際には一人ではなかなか困難で食していない傾向であった。イメージとしては、調理法が多種あり、美味しい、健康によい、生臭い、調理しにくい、骨があり食べにくいなどとし、調理法の嗜好に相違がみられた。好きな魚として、アジ、イカ、エビ、サケ、サバ、サンマ、ブリ、マグロなどが多く記され、日常よく利用されていた。嫌いな魚は嫌いだから思い出さないのかあまり記されていなかった。よく利用される魚介類20種を選び、調理法について調査すると、「焼く」「煮る」が全魚介類に、エビ、サケ、サヨリ、タイ、タラなどは「生」「焼く」「油焼き」「煮る」「揚げる」「蒸す」「汁もの」の全調理法に用いられていた。
  • 冨岡 典子, 太田 暁子, 志垣 瞳, 福本 タミ子, 藤田 賞子, 水谷 令子
    セッションID: 1P-25
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    [目的]前報*で、奈良県においてエイやエソ、さばの魚料理が行事食として供されることを報告した。本報ではこれら魚食文化がいかにして発達したのかを検証する事を目的に、生産から流通、消費のルートについて検討した。[方法]調査時期:2003年8_から_12月および2005年8月_から_から2006年1月。調査地域:奈良県(北葛城郡・山辺郡・五条市)、三重県(鳥羽・伊賀・北勢)、大阪府(河内)、和歌山県(熊野)。調査方法:2003年度日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学ー魚介類ー」調査を基に、さらに質問紙調査を実施した。[結果]奈良県では盆、正月、祭りなどに食べる魚の事を「とっきょりの魚」と呼ぶ。その代表がエイやエソ、サバである。奈良盆地から大和高原の正月のお節にはエイの煮こごりが供されである。これを食べる事で正月が来たと幸福な気分になるという。かつて北葛城郡の秋祭りには「エソ祭り」と称され、魚の市場が立ち、大量に消費された。現在も秋祭りには塩焼きが供される。サバは奈良盆地周辺地域の祭りには神饌として供えられる魚であるが、奈良県北部では、さばずしに、南部の吉野山間部では柿の葉ずしにして夏や秋祭りには大量に拵えられる。これらエイやエソ・サバの魚食文化が海の無い内陸部の奈良県に発達したのは、古くからいくつかの「鯖街道」があったことによる。紀伊半島で漁獲されたサバは紀ノ川を辿って五条から竹内街道、奈良へ。さらに、新宮から志摩半島の熊野灘一帯のサバは、和歌山街道を経て奈良に運ぶ交易路があった。このように「鯖街道」を経て、エイやエソ・サバの魚食文化が奈良県に伝わり、行事食に発達したと考える。*(社)日本家政学会第57回大会研究発表要旨集
  • 伊藤 美樹, 金 娟廷, 品川 弘子, 冨吉 靖子, 高橋 智子, 大越 ひろ
    セッションID: 1P-26
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 我が国では近年高齢者人口の増加に伴い、摂食機能が低下した高齢者も増加している。また、摂食機能の低下はPEM(タンハ゜ク質、エネルキ゛ー低栄養状態)になりやすいので、肉製品は有効な食材といえる。昨年度は豚ひき肉にポテトフレーク及びデンプン(置換)を添加した食肉加工品について検討したが、今年度はさらに、高圧処理を行い、豚肉加工品の食べ易さに及ぼすその影響について検討した。
    方法 豚挽き肉を対象肉(C)とし、Cの一部をマッシュポテトで置換した「マッシュポテト置換肉」(M)、マッシュポテト及びデンプンで置換した「マッシュポテト+デンプン置換肉」(MS)をそれぞれ加熱処理した。さらに、MSに対して高圧処理(200,400Mpa)を行い、試料とした。若年者及び高齢者を対象とし、食べ易さについて官能評価を行った。また、咀嚼試験を行い、摂食時の嚥下までの咀嚼回数及び嚥下時の食塊を採取し、食塊のテクスチャー特性、唾液分泌率について検討した。
    結果 若年者と高齢者をパネリストとして、高圧処理の影響(MSの試料)について官能評価を行った結果、高齢者では軟らかい200MPaの試料肉が最も好まれた。咀嚼試験では、若年者及び高齢者のいずれの対象者も、試料の硬さが増加するにつれ咀嚼回数が増え、それに伴い唾液分泌率も増加する傾向がみられた。高齢者では、軟らかいMSに200MPaの高圧処理をした試料が、硬い高圧未処理(0.1MPa)及び400MPaのものよりも咀嚼回数が少なく、しかも、食塊の硬さも他の2試料よりも低値を示した。また、唾液分泌率は咀嚼回数と関係があり、200MPaのものが咀嚼回数の多い400MPaに比べ、低値を示した。
  • 西岡 道子, 後藤 昌弘, 西川 和孝
    セッションID: 1P-27
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    [目的]新調理システムでは,スチームコンベクションオーブン(以下SCと略)を用いて煮物料理を行うが,従来の加熱調理法と同一の条件で行うと異なった結果となることが多い。これは,加熱調理中や調理後の塩分の挙動について十分検討がなされていないことに起因する。そこで,その基礎資料を得るためSCによる煮物調理時の塩分の浸透について従来の加熱法との比較により塩分の挙動について検討した。[方法]サトイモ(冷凍品)を用い,同一濃度の調味液中でガスコンロとスチームコンベクションオーブン(FMI製CF43M)を用いて煮物を調製した。両者とも一部をブラストチラー(福島冷機製,)で芯温3℃になるまで急速冷却し,3℃の冷蔵庫(三洋製MIR41)で冷蔵保管した。加熱前,調理直後及び冷却時,保存後再加熱時について水抽出し,塩分濃度を沈殿滴定法で求めた。同様にダイコン,ジャガイモを用いても調査を実施した。また,ジャガイモを食塩水を用いてSC加熱後,ブラストチラーで同様に冷却処理し,加熱後,冷却中,保存中の塩分濃度を外部と内部に分けて測定した。[結果]ガスコンロ加熱,SC加熱ともクックチル処理した方が加熱直後よりも塩分濃度が高かった。また,SC加熱は,ガスコンロ加熱と比べ,サトイモ,煮汁とも塩分濃度が低かった。ダイコン,ジャガイモについてもガスコンロ加熱とSC加熱を比較するとガスコンロ加熱の塩分濃度が高かった。食塩水を用いてジャガイモをSC加熱すると冷却時まではジャガイモ内部よりも外部の塩分濃度が高かった。しかし,保存中にジャガイモ内部の塩分濃度は高くなり,保存24時間でほぼ等しくなった。
  • 中村 和吉, 萬羽 郁子, 五十嵐 由利子
    セッションID: 1P-28
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】揚げ物調理など食用油脂を多量に使用した際に発生する香気や臭気と呼ばれる気相成分は、油脂(トリグリセリド)を構成する長鎖脂肪酸が酸化分解した低分子量アルデヒド類を主にしているのは知られている。しかし、これらの成分生成について系統的な調査報告は少ない。本研究では食用油脂のキャノーラ油、ラードを用い、加熱調理を模した熱分解過程での気相成分生成について、熱天秤/示差熱分析(TG/DTA)とガスクロマトグラフ/質量分析(GC/MS)を組み合わせた分析手法により知見を得たので報告する。
    【方法】気相成分の分離・同定はリガク社製TG/DTA-GC/MS(QP-5050A)を用いた。本装置はTG/DTAとGC/MSを連結しており、試料の昇温過程で生じる熱分解や燃焼等による質量変化・熱エネルギー変化、その際に生成する気相成分の組成分析および分子構造が求められる。油脂試料は市販品を用い、測定時の試料雰囲気は擬似大気(He/O2(80/20=v/v))とした。
    【結果】TGより、キャノーラ油では3種(290, 420(主), 520℃)の温度範囲で気体生成に伴う減量を生じ、750℃において全量が分解して気体へと変化した。ラードでは脂質分子内での飽和脂肪酸割合が多いため変化温度が(310, 420(主), 520℃)と一部高くなるものの、同様の変化を示した。これらの生成気体をMS分析したところ、水とCO2が大部分を占めており、油脂と酸素が燃焼していることがわかった。これはDTA測定で同温度にて高発熱量の反応を示す結果を得たことからも明らかである。また、180_から_350℃の領域では、水、CO2と比較すれば少量ではあるが長鎖脂肪酸、アルケン類、油脂構成脂肪酸に対応した低分子量飽和(or 不飽和)アルデヒド類が生成していることがGC/MS分析からわかった。
  • 橋場   浩子, 根本   勢子, 小見山   二郎
    セッションID: 1P-29
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    [目的]これまでに,大根、豚肉、チーズ中の食塩の拡散挙動が二元収着拡散理論で説明できることを報告してきた.この研究では、異なる温度で外部の溶液からNaClを予備加熱した卵白中に一次元拡散させて得られた濃度プロファイル(濃度vs.距離の図)(CP)を測定し,食塩の拡散過程が同理論により解析できることを明らかにし,各浸漬温度での結果を比較する.
    [方法]上のCPを得るために簡便で再現性の良い薄ゴム被覆円柱法(FRITRUC)を用いた.乾燥卵白に純水を加え水分85%に調整し80℃,20分間蒸し加熱したものから直径36 mm,長さ50 mmの円柱を切り取り,側面を天然ゴム円筒でカバーして,5℃,30℃,60℃,80℃で,3.0%食塩水中に浸漬して,NaClを一断面から一次元拡散させた.この円柱の中心部からさらに直径22mm,長さ50mmの円柱を採取し,断面に平行に2.0 mm幅でスライスした各小片に約20倍重量の純水を加えてホモジナイザーで処理し,NaCl濃度を硝酸銀による滴定で決定した.
    [結果]横軸に換算距離η=x/2t-1/2 ,縦軸に濃度をとった拡散プロファイルに俣野の式を適用して得た各浸漬温度でのフィックの拡散係数は,食塩濃度0.12 mol kg-1付近に極大を示した.このような濃度依存を,NaClの分配型(p)とラングミュアー型(L)が平衡の下で拡散する同理論を用いて解析することができた.結果を浸漬温度で比較するとDT(p),DT(L)いずれも浸漬温度と共に増加する傾向にあった.
  • 立川 利彦, 掬川 正純, 濱 逸夫
    セッションID: 1P-30
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    【目的】泥汚れは家庭における洗浄において、除去し難い汚れとして認識されている。そこで、改めて泥汚れの洗濯実態を調べるとともに効率的な除去の方法を探る。【方法】_丸1_各家庭における泥汚れに対する処理方法、また洗浄効果への不満点の調査を実施した。_丸2_泥汚れを付着させた布を作成し、Terg_-_O_-_Tometerを用いて洗浄実験を行った。この洗浄液の金属イオンの溶出量を測定し、汚染布の洗浄前後の色差計による反射率との関係を分析した。_丸3_金属イオンの効率的な除去基剤を探索し、衣料用洗剤へ活用した。【結果】泥汚れとはアロフェンなどの無機鉱物とフミン酸などの有機物が複雑な混合物を形成し、その混合物は金属イオンを架橋点として衣類上に存在すると考察される。そこで、各種キレート剤有機酸水溶液に泥汚れ汚染布を浸漬した場合の金属イオン溶出量と、この汚染布を浸漬後洗浄した場合の洗浄率の関係を調べた。その結果、アルミニウムイオンの溶出量が洗浄率との間に高い相関を有することが分かった。次にキレート剤(1-ヒドロキシエタン‐1,1‐ジホスホン酸)水溶液でのアルミニウムイオンの溶出について調べたところ、特定の界面活性剤と親水性の官能基を有する芳香族化合物を添加すると、その溶出が促進されることを見出した。この効果は、界面活性剤と芳香族化合物が泥汚れに浸透することでキレートの作用部位の増加がおこり高効率化したためと推察され、これら各基剤を衣料用洗剤に添加すると、泥汚れに対する洗浄性能が向上することが確認された。
  • 人工汚染布作成方法の検討
    金井 千絵, 下村 久美子
    セッションID: 1P-31
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    目的 衣服に付着する脂肪汚れは多いが,不溶性のため家庭洗濯では充分に除去できないのが現状である.脂肪分解酵素「リパーゼ」は市販洗剤に不可欠な配合成分であり,これまで水晶振動子法を用い,固体脂肪汚れの除去に対する脂肪分解酵素の効果と界面活性剤共存下での酵素の作用について調べた結果,界面活性剤の存在下で酵素を添加すると界面活性剤のみ,酵素のみよりも脂肪が除去されることがわかった.
     本報では,より実際の洗浄系に近い方法として汚染布を用いた洗浄実験を行い,洗浄前後の表面反射率より洗浄率を算出し,脂肪汚れの洗浄性を評価することを目的として,実験に使用する自製の人工汚染布作成方法について検討する.
    方法 脂肪汚れラードを四塩化炭素100g中に分散し,この溶液を標準綿白布に滴下し,自然乾燥後,40℃で3時間熱処理をしたものを人工汚染布とした.脂肪は無色であるため,着色物質に油溶染料・カーボンブラックを用い,汚染布作成時に脂肪を着色して滴下,または洗浄後に汚染布を染色することにより表面反射率が測定できるようにした.
    結果 1)カーボンブラックを用いた場合,カーボンブラック量により表面反射率はかなり異なる.2)油溶染料の分散は難しく,汚染布作成後に染色するとムラが生じ,使用した分散剤の影響を受ける.3)油溶染料・カーボンブラックいずれを用いた場合においても,ラードの量が増すと表面反射率は低くなる.4)作成した汚染布を洗浄した場合,水晶振動子による観察結果と同様に,界面活性剤と酵素の共存下において最も高い洗浄率が得られる.
  • 綿布およびナイロン布の場合
    福田 典子
    セッションID: 1P-32
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    【目的】天然染料では深く渋みのある色調が楽しめることや,植物染料の場合その染色布間に色調の調和性が高いことなどの特徴がある。これまでに,植物染料染色布の染色直後の色調等に関する報告は多く,絹布の保存中の経時変化についても報告された例は幾つかあるが,綿布やナイロン布の色調変化や消費性能変化については十分とはいえない。そこで,本研究では植物性廃材を利用したタマネギ外皮抽出液による染色物の保存安定性について,色調および強伸度の両面より基礎的資料を得ることを目的とした。【方法】タマネギ外皮抽出液はミキサーで試料を粉砕し,純水中で煮沸抽出後,自然ろ過して作成した。染色は抽出液に硫酸ナトリウムを添加し,一定の条件で行なった。媒染剤は硫酸アルミニウムカリウム,硫酸銅の2種とし,染色後別浴で行なった。保存は20±2℃,65%RHおよび30±2℃,90%RHとし,5ヶ月間保存した。色調はL*値,a*値,b*値を色差計ND-300A(日本電色)により測定した。強伸度は23±1℃,50%RHで,JISのストリップ法に準じた方法で,クリープメータRE33005(山電)により測定を行なった。【結果】20℃保存ナイロン染色布のL*値は,媒染剤の有無および種類によらず,1・3・5ヵ月と保存期間が長くなるにつれて大となる傾向が認められた。いずれの保存期間の染色布においても,L*値は無媒染>Al媒染>Cu媒染の順に小となった。Cu媒染染色布のb*値は,保存期間が長いほど,標準状態よりも湿潤状態の方が大となる傾向が認められた。綿布およびナイロン布いずれも,染色により伸度は小となった。いずれの条件に保存した綿染色布においても,保存により,伸度は小となる傾向が見られた。
  • 小林 優子, 鈴木 恒夫
    セッションID: 1P-33
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    目的 タマネギ外皮中のケルセチン色素は,金属と錯体を形成することが知られている.またCuは植物染色の媒染剤として使用されており,その染色布はCu2+に由来する抗菌性をもつことが報告されている1).そこで,通常はゴミとして廃棄されているタマネギ外皮の有効利用を目的に,ケルセチン色素とCu2+の水溶液中での相互作用について検討した.方法 ケルセチンをメチルアルコールに溶かし,必要に応じて蒸留水で希釈し実験に使用した.Cu2+として酢酸銅を用いた.Cu2+の濃度を一定とし,ケルセチンの濃度を1倍,2倍,3倍,4倍,5倍と変化させ,水溶液の経時変化を分光光度計で測定した.また,水溶液のpHも変化させ,同様に観察した.結果 Cu2+とケルセチンを混合した水溶液のNaOHによる滴定ではpH6.1_から_pH6.3,及びpH8.6_から_pH8.7に緩衝域がみられた.pHの調整を行わない状態(およそpH4.8)において,Cu2+を添加することで,3時間経過しても吸光度の低下が押さえられた.Cu2+とケルセチンの濃度比が1:2でpH6の条件では,時間経過とともに吸光度は低下していく.しかし濃度比が1:4においては3時間後では低下するものの72時間後には,再度,吸光度が上昇した.これらの変化はCu2+にケルセチンが4座配位するまで不安定な状態が続いたと推測される.また媒染時間が20_から_30分の染色条件では,1回の媒染ではケルセチン色素とCu2+の結合が不安定な状態であることが示唆された.[文献] 1) 三村,中島;長野県情報技術試験場研究報告(2003) 
  • 小原 奈津子, 金井 まゆみ
    セッションID: 1P-34
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    目的 廃羊毛を化学的処理により機能化し再資源化することを最終目的として,過ギ酸酸化およびサクシニル化が,羊毛のアンモニアに対する収着特性の向上に及ぼす効果を検討した。
    方法[試料]羊毛繊維(トップ)を定法に準じてジエチルエーテルでソックスレー抽出した。[処理]過ギ酸酸化:0℃の過ギ酸中で20分撹拌した。サクシニル化:過ギ酸酸化羊毛をpH 8.0のリン酸緩衝溶液中で無水コハク酸(6.85g/g・wool)を少量ずつ加え24時間室温で撹拌した。この間,濃NaOH水溶液を適宜加えて反応系のpHを保った。十分な水洗後,酸化/サクシニル化羊毛中の金属イオンを電解透析で除去した。[測定]28%アンモニア水/メタノール混合溶液(2:1)を密封した三角フラスコ中に50μl注入し蒸発させ,試料羊毛を共存させた。フラスコ中のアンモニア濃度の経時変化を,メタノールを基準にしてガスクロマトグラフィーで測定した。
    結果アンモニアを収着する速度は酸化羊毛,酸化/サクシニル化羊毛,未処理羊毛の順に速く,酸化羊毛はフラスコ中のアンモニアを20分以内で完全に収着した。一方,同じ試料を4回繰り返して収着速度の測定を行った結果,2回目以降の収着性は酸化/サクシニル化羊毛の方が酸化羊毛より優れていることが明らかとなった。
  • 淺海 真弓, 森 俊夫, 杉浦 愛子, 日下部 信幸
    セッションID: 1P-35
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    目的 衣服の形態にはいろいろな形態要素が複合されており、それらのバリエーションにより全体的な外観やイメージが異なってくる。また、形態要素の工夫によって多様性や複雑性のあるイメージを与えることもできる。視覚対象の衣服形態が複雑になると、そこに存在する情報の重要性や価値観は一様ではなくなったり、人の関心によっても異なる。本研究では、形態要素の異なる種々の衣服画像にコンピュータ画像解析を適用することにより画像情報量を求め、衣服形態に及ぼす形態要素の効果について検討した。
    方法 人体モデルに着衣させた衣服形態のシミュレーションに、衣服コーディネイトソフト「i-D Fit」を使用した。本ソフト内のシャツ9種類、スカート9種類、パンツ7種類を組み合わせて計144の画像を作成した。作成した画像をグレイレベル画像に変換し、それぞれの画像について一次統計量(MIU)、角二次モーメント(AMS)、コントラスト(CON)、相関(COR)、エントロピー(ENT)およびフラクタル次元(D)を算出した。
    結果 各画像情報量について、スカートの形態と上衣の形態を主要因とする繰り返しのない二次元配置法による分散分析を行った結果、衣服形態の視覚的特徴はスカートの形態にも上衣の形態にも影響を受けることがわかった。CON、ENT、Dにおいては、上衣でも下衣でも衣服表面の形態の凹凸や装飾的付加の度合いを評価しており、装飾的な多様性や複雑性を持つほど局所的変化や情報量、不規則性は増加していることがわかった。下衣がスカートでは、いずれの視覚的特徴においても差異が見られるのに対して、パンツでは上衣の多くの視覚的特徴において差異が表れなくなるものもあることがわかった。
  • 福井 典代, 吉兼 悠子, 篠原 陽子
    セッションID: 1P-36
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】衣服のサイズは,年齢,性別,体型によって大きく異なり,仕上げ寸法も服種やメーカーにより変化する。着用者の嗜好によっても選ぶサイズが異なるため,衣服購入時には表示サイズと仕上げ寸法に対する認識が重要となる。そこで本研究では,同一サイズの仕上げ寸法であるが衿ぐりの形態が異なる衣服を用いて,人台に着用させた状態で,立体的に観察した場合と平面上で観察した場合での仕上げ寸法の見え方の違いを検討し,サイズ表示について正しい認識をもつための教材作成の基礎資料を得ることを目的とした。
    【方法】衿ぐりの形態の異なる5種の上衣を用いて同一の人台に着用させ,立体的に観察した場合と平面上で観察した場合の2つの観察方法を用い,それぞれ正面,側面からバスト部の仕上げ寸法の見え方の大小について測定を行った。異なる女子大生15名ずつがそれぞれの観察方法で評価し,シェッフェの一対比較の中屋変法により分析を行った。
    【結果】立体的に観察した場合,側面からの観察ではバスト部の仕上げ寸法の見え方に違いはみられなかったが,正面からの観察においてF=3.83となり1%の有意差で違いが認められた。平面上で観察した場合,正面・側面からの観察の結果,F=2.91,2.97となり,それぞれ5%の有意差でバスト部の仕上げ寸法の見え方に違いが認められた。すなわち,立体的であっても平面上であっても衿ぐりの形態の違いが仕上げ寸法の見え方に視覚的な影響を及ぼすことが実証された。店頭での購入では試着することによって身体に合う衣服を購入できるが,通信販売のようにカタログを用いた購入では正確なサイズの選択が求められるため,サイズ表示に関する教材開発の必要性が認められた。
  • 川畑 昌子, 伊地知   美知子, 小山 京子, 佐藤 由紀子, 知野 恵子, 豊田 美佐子
    セッションID: 1P-37
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    【 目 的 】和服の袖は優美さを表現し、外観の美的要因としても重要である。和服を日常着としていた時代、長着の袖たけ寸法は重ねて着用する襦袢・羽織の袖たけとの関連が深かった。しかし浴衣は単独で着用するため、袖たけは自由に設定できる。15回の授業で浴衣を製作するために、被服実習の経験の少ない学生に対し、1報で身たけ、2報で柄合わせを報告した。本報では、先人達の教えを参考とし、作業効率を考慮した袖たけの設定について検討する。【 方 法 】1879年から現在まで、和服の袖たけ寸法が掲載されている文献について調査し、最新の既製品浴衣の袖たけと比較した。【 結 果 ・ 考 察 】2005年夏に調査した既製品の浴衣寸法は、身たけ152~170cmに対して、袖たけは均一の約49cmであった。日常に和服を着用していた時代、袖たけは60cm前後のものもみられた。現在、既製品浴衣は身たけの長短に関係なく、袖たけは約49cmの定寸法となっている。この寸法は鯨尺1尺3寸が基になっていると考えられる。製作実習の際、身長に関わらず出来上がり袖丈を49cmに設定すると、扱いやすい50cmものさし1本でしるしつけができ、和裁の特徴である「きせ」の理解、作業効率もよいと思われる。
  • 角田  由美子, 山口 亜沙美, 吉村 圭司, 寺嶋 眞理子, 中島 健
    セッションID: 1P-38
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 近年、ミュールなどのサンダルの着用による足音が大きいため、多くの人を不快にさせている。しかし、これらの騒音についてサンダルのデザインやトップピースの素材を含めて検討した報告は見当たらない。したがって、ヒールの高さやデザイン、ストラップの有無、トップピースの素材の異なる靴を用いて着用実験を行い、その原因と対策を検討した。
    方法 試験靴はヒール高5_cm_と7_cm_のミュールにトングサンダルである。トップピースは硬度の異なるハードタイプ(ポリウレタン)とソフトタイプ(ポリウレタン)、ゴムの3種類である。さらにトップピースが外れた場合を想定し、ヒールの補強鉄芯が出ている状態でも行なった。各種の試験靴を20_から_22歳の成人女性10名が着用し、屋内のPタイルの階段昇降と平地歩行を行なった。騒音計を用いて1/3.オクターブ分析によりピーク騒音レベルを測定した。また歩行の状態をフットスキャン(足圧分布測定システム)、ゲイトスキャン(歩行パターン測定システム)により測定した。さらに下肢筋群に表面電極を装着して筋電図の測定、歩きやすさに関する官能評価およびビデオ撮影を行なった。
    結果 1)階段の下りのピーク騒音レベルは、上りや平地に比べて高かった。2)靴のデザインではトングサンダルの騒音レベルが最も高かった。またヒール高が高い靴の騒音レベルがやや高い傾向であった。さらにストラップがついていない靴が、ついている靴よりも騒音レベルが高かった。3)トップピースを比較すると硬度が高いハードタイプの騒音レベルが高い傾向にあった。トップピースが外れてヒールの補強鉄芯が出ている状態の騒音レベルが最も高かった。4)足音に注意して歩行することにより10dB以上の騒音レベルの低下が認められた。
  • 牟田 緑, 佐藤 玲子, 加藤 紘子
    セッションID: 1P-39
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 高齢者が健康で自立した生活を維持することは個人や家族、行政にとって大きな目標である。地域の市民団体が主催する高齢者のファッションショーを支援しながら、筆者らはショーのウェアリングに対し印象的なテーマ性を表現するため「染め物実習」の生涯学習を提供し素材製作を行なった。生涯学習の講義や実習を通して得た知識や体験、作品が、高齢者のファッションショーにどのように活用され、モデルとなった高齢者やそれを見た観客に与えた影響について調査・検討した。
    方法 地域の65歳以上の男女が参加するファッションショーは、参加するモデルやスタッフは初心者の方々がほとんどであるため、筆者らは今回のファッションのテーマとした「色」をいかにショーの中で表現するか、各シーンの企画・構成のアドバイスや色彩解説など担当し、支援してきた。さらに、モデルの着装する衣装に合わせ、藍、玉葱の皮、茜の天然素材でシルクの布を染め、染め上がった布をショー作品に加えるという構想で「染め物実習」の生涯学習講座を提供した。
    結果 参加者に生涯学習とファッションショーの体験に関して調査した結果、参加者は多くの満足を得ていることが分かった。またショーを見た観客にも、高齢者に対する認識に新たな変化を与えていることが分かった。
  • 難波 めぐみ
    セッションID: 1P-40
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 奈良時代から平安時代、和歌や物語など多くの文学を通し様々な色彩表現等を見ることが出来る。今までは、自然の景物を通しての「見立て」の技法や直接的に現れる色についての言及がなされてきたように考えられる。しかし、古典文学、取り分け『勅撰和歌集』といった和歌の性質上、表面的な露出だけで色表現をしていたとは考え辛い。ここでは、文学を中心に作者の心象表現だけではなく、当時の植物、染料を中心に色表現についての考察を行う。従来先学者がいわれている色の捉え方が、当時の人々が考えていた色とは違った一面もあったのではないか。そこで、文学を忠実に捉え、当時の人々の色を明らかにすることを目的とする。〈BR〉方法 文献研究を中心とする。参考文献、資料は、『万葉集』、『古今和歌集』、『後撰和歌集』、『拾遺和歌集』、『後拾遺和歌集』、『金葉和歌集』、『詞花和歌集』、『千載和歌集』、『新古今和歌集』(新編国歌大観、新日本古典文学大系に拠る)〈BR〉結果 『万葉集』中、梅を詠んだ歌は120首と多く読まれていた。それは、梅が中国原産ということもあり、当時の人々にとって舶来の憧れがあったのであろうが、その印象的な白が圧倒的に多く次に、紅梅を詠むんでいる物であった。平安初期、花と言えば梅であり、香りから花の色を歌に読むといった心象表現が多くされていた。しかし、『古今和歌集』の時になると、桜を歌った詠が34首と多くなる。また、時代が下るに従って、白、赤という単純な色だけでなく、「うすきこきのべのみどりのわかくさにあとまでみゆるゆきのむらぎえ」『新古今集』「もみぢばのいろをやどしてはてはまたさそひていづるやまがはのみづ」のように様々な植物、また自然の中からの表層に現れない色彩表現が見られ『万葉集』から『新古今和歌集』の時代までに、当時の人々の植物、染料、自然に対する変化が見られた事によることが考察できる。本研究を通し、当時の植物、自然から見る色や隠された色を明らかにした。
  • 庄山 茂子, 金 貞淑, 栃原 裕, 中川 早苗
    セッションID: 1P-41
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 近年、化粧は表現メディアとしてだけでなく心理面に及ぼす影響からも注目されている。本研究は、日本の女子学生と美容や化粧に関心の高いとされる韓国の女子学生の化粧行動及び化粧が自己概念に及ぼす影響について調査をもとに比較検討し、日韓の差異を明らかすることを目的とした。
    方法 (1)調査概要 1)調査場所:日本長崎県、韓国大邱市 2)調査対象者:日本女子学生18_から_23歳192名、韓国女子学生18_から_27歳200名、3)調査方法:配票留置法による質問紙調査 4)調査時期:日本2004年6月_から_7月、韓国2003年7月_から_8月 (2)調査内容:化粧行動の実態、化粧前と化粧後の顔の満足度、化粧前と化粧後の自己概念の変化 (3)分析方法:単純集計、平均値の有意差検定(t検定)、主因子法による因子分析
    結果 日本の女子学生は約9割、韓国の女子学生は約8割が日頃化粧を行っていた。化粧を始めた年齢は、日本の女子学生がわずかに早かった。化粧にかける時間は、韓国の女子学生がやや長かった。両グループとも化粧をする目的は、心理的効果を得るためで、化粧により顔の満足度は上がっていた。その傾向は韓国の女子学生の方がやや強かった。化粧により自己概念が変化し、自己を高く評価した。化粧に対して、日本の女子学生は個性を重視しているのに対し、韓国の女子学生は現代的であることを重視していた。
  • 赤外線分光法を用いた微量油滴の定量化
    萬羽 郁子, 五十嵐 由利子, 中村 和吉
    セッションID: 1P-42
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 油脂を用いた調理時に発生する飛散油滴は調理器周囲、壁床等に付着してキッチン内の汚れのもととなる。調理時における油滴飛散量や飛散様相の特徴を知ることは清掃性の向上にも繋がると考えられる。従来の飛散油滴に関する調査は鍋近傍へ飛散する油滴を対象とし、油滴スポットを数える方法や重量測定が一般的であった。今回はそれに加え赤外線分光法(IR法)を用いることで微量油滴の定量性を高め、より広範囲での油滴飛散様相の把握、さらに調理機器の与える影響についても把握することを目的とした。
    【方法】 調理機器には一般家庭用の電磁調理器(IH)及びガスコンロ、食材に冷凍ポテトフライを用いて揚げ物調理を行い、2種類の方法で飛散油滴を定量した。 1)ボール紙をコンロ上に敷き、飛散油滴による染み部分(スポット)の個数・面積の計測。 2)油滴の捕集材としてテフロン板(1×3cm)を鍋中心から縦・横2方向に150cm以内、87点に等間隔で設置し、付着した油滴を溶剤に溶かしてFT-IR法(溶液法、NaCl結晶板)により定量した。
    【結果】 二つの実験結果に共通して、鍋近傍への飛散油滴量はIH使用時に多いことが分かった。また、IR法では最小40μg/cm2の定量が可能となり、これにより鍋から100cm以上離れた箇所へも油滴は飛散し、離れた箇所への飛散量はガス使用時に多いことが分かった。IHよりもガス使用時にはより小さな飛散油滴が生成するためだと考えられる。
  • 杉田 満, 宮川 聖子, 井上 紀子
    セッションID: 1P-43
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年、食器洗い乾燥機(以下:食洗機)をはじめとする新しいキッチン家電製品の普及が加速している。この背景には、家事に対する生活者の意識の変化があり、新家電を取り入れた結果、さらに家事行動が変化していくことが予想される。そこで、食洗機使用者の家事に対する意識と行動実態を詳細に調べ、問題点の抽出を行うことを目的として今回の調査を実施した。【方法】(1)20_から_50代の食洗機を所有している既婚女性300名を対象としてインターネット調査を実施し、食洗機の使用実態、生活や家事に対する意識について回答を得た。同年代の食洗機を所有していない既婚女性300名に対しても、同時期に同じ項目による意識調査を実施した。(2)食洗機を所有している女性284名を対象として、郵送による自記入式調査を実施し、食洗機を用いた「食器洗い」の満足度や行動の詳細について回答を得た。【結果】(1)食洗機の所有/非所有にかかわらず、『食洗機は贅沢である』『食洗機利用は家事の手抜き』といった意識はもはや小さく、食洗機所有者は非所有者と比べて、家事の効率化や家族での分担の意識がより高かった。(2)食洗機を用いた「食器洗い」の満足度は「満足」「やや満足」を合わせて80%を超えているが、詳細を調べると「汚れ落ち」「仕上がり」などの面において不満点も見られた。
  • 堤 徹, 石田 浩彦, 久保野 由美, 平山 良一, 矢部 恵美, 長谷川 義博
    セッションID: 1P-44
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 浴室の匂い意識・実態について調査すると,その匂いを気にしている人は44%で,排水口からの匂いが原因であると考えている人が77%にも上る(web調査;2004年10月実施,N=396).そこで,浴室の匂い対策のために匂いの原因成分と発生場所を,事前に浴室の匂いのする家庭を訪問し(N=14),そのうち匂いの強い家庭(N=5)について調べた.方法 浴室の匂いを以下の手法で採取し,それぞれの原因成分を分析した.1)排水:排水口内の汚水中に入れたTwister(Gerstel社製)に匂い成分を吸着させ,GC分析を行った.2)床・浴槽:採取面(3×3cm)に蒸留水2mLを塗り,水中の匂い成分をTwisterに1時間吸着させ,GC分析を行った.3)空間:浴室内の空気をTenax吸着管に30分_から_10時間捕集し,加熱脱着システム(TDS)-官能GCおよびGC/MS分析を行った.結果 1)排水からは,腐敗由来と思われる匂い成分として,カビ臭(1-オクテン-3-オール,2-メチルイソボルネオール,ジオスミン),硫黄系成分(スルフィド類)を検出した.2)一方,床・浴槽からは,皮脂酸化などに由来の匂い成分(ノナナール,デカナール,ラウリン酸など)を検出し,硫黄系成分(スルフィド類)も検出した.3)捕集した浴室の空気のTDS-官能GCでは,腐敗由来と思われる匂い成分(カビ臭),皮脂の酸化などに由来の匂い成分(アルデヒド臭,脂肪酸臭)の両方を確認した.よって,浴室の匂いは排水口からのカビ臭ばかりではなく,皮脂酸化に由来の匂い成分の寄与も高く,匂い対策には排水口だけではなく,床・浴槽も重要であることが示唆された.
  • −蒸気温熱シートを使用した場合−
    佐々 尚美, 梁瀬 度子
    セッションID: 1P-45
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】111名の女子大学生に冷えを感じる時および対処法を質問した所、6割弱が冬の夜間、約5割がクーラー使用室在室時とし、対処法は約6割が手足を暖める、約4割がカイロの使用であった。夏の冷え改善も検討する必要が考えられる。そこで、カイロを用いた夏の冷え改善効果および使用感を、蒸気を発しやや低温に保ちワイド面にて暖める蒸気温熱シート(以下シートと称す)を用いて検討した。【方法】主に冷え性を対象に「日常生活にて3日間‘冷え’を感じた時に腰または腹部にシートを使用し評価する実態調査」及び「シート使用による冷え改善効果の検討実験」を実施した。実態調査では使用日毎に「使用状況、使用前後の温冷感、快適感、シートの満足感、冷えの改善」等を、3日使用後に「症状の改善、シートの使用感、今後使用したい方法」等を評価した。実験はシートを腰に貼る場合と貼らないの2条件とし、夏服着用にて気温25℃、相対湿度50%に設定した人工気候室内に90分間暴露し、皮膚温や主観申告を測定した。被験者は健康な女子大学生29名(内19名実験参加)とした。調査および実験は2005年7〜9月に実施した。【結果】実態調査では平均して1日約4時間使用し、シート使用により「涼しい」から「やや暖かい」へ、「不快」から「やや快適」となり、冷え症状が改善したとする割合が高かった。3日使用後では、約8割が「冷えが改善した」「使用して良かった」とし、6割以上が「夏、冬、冷房使用時、冷えを感じた時、生理痛時」に今後使用したく、夏の冷え改善では「腰・腹部」に貼って使用したいとした。また、冷え性でない人もシートの効果を評価していた。実験ではシート使用により冷えが改善し、シートの使用に満足していた。
  • 天野 圭子, 中山 徹
    セッションID: 1P-46
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 近年全国的に相次ぐ赤字バス路線の撤退により、高齢者、障害者等交通弱者の移動確保が強く要望されている。こうした背景の下、自治体主導のコミュニティバス運行が増加しているが利用率は低く、採算面も厳しいのが現状である。そこで本研究では、コミュニティバス運行の全国的傾向を把握し、運行取り組みと効果について将来の可能性を見出すことを目的とする。
    方法 現在、コミュニティバスを運行している全国市区町村の担当課宛てに、アンケート調査票を郵送し2005年3月28日_から_4月11日に回答を得た。配布数864票、うち回答数497票(回収率57.5%)である。
    結果 1)運行事業面を見ると、運行主体については自治体がほとんどであり、コミュニティバスの将来の可能性は、自治体の運行の取り組みとその効果の判断にかかっていると言える。運行形態については、利便性は運行回数等からみても全体的に低い。そのため利用者数は低迷し、なおかつ運賃の低金額設定の傾向が強いため収支率も低く採算性は非常に厳しい。2)地域規模毎の特性としてコミュニティバスは人口規模が大きい都市よりも人口30万人未満の市区町村で多い。また、大規模都市では公共施設の循環を目的とする事例が多いが、人口規模の小さい村のような過疎地域では赤字による撤退路線の代替策として、公共交通の不足を自治体によるバス運行が補完している。3)運行改善への取り組み実施は多くの自治体で行われている。一方で事業評価への取り組みは低く、さらに運行目的に合った事業評価の実施割合は非常に少ない。本研究結果から、コミュニティバス運行の取り組みとその効果は、運行形態の見直しや適切な事業評価により未だ改善の余地があると考えられる。
  • 清水 陽子, 中山 徹
    セッションID: 1P-47
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 工場閉鎖・撤退跡地への住宅進出によって住工の混在が発生している。今までは住工の混在は工場からの振動や騒音等が住民の生活環境を脅かすものとされ、混在の解消が各自治体の課題とされてきた。しかし近年の工場は生産機械の向上や生産物の変化等により、都市型工場と呼ばれるものも増えてきている。このような工場であれば住宅との共存も可能だと考えられる。そこで住工混在地において住工共存に向けての現状の把握と課題を探ることを目的とする。方法 兵庫県尼崎市を対象とし、_丸1_用途地域変更により準工業地域に指定されている、_丸2_尼崎市のガイドラインにより「住工共存維持ゾーン」に指定されている、_丸3_工場跡地に住宅が建てられている、この3つの条件を満たす地域を選定した。該当地域から尼崎市水堂町、尼崎市尾浜町、尼崎市長洲東通り、尼崎市御園町の4カ所を調査対象地とした。対象地域地の工場跡地に建てられた集合住宅・戸建て住宅の住民に対しアンケートによる調査を行った。アンケートの実施は2006年1月。配布数は763、回収数は102、回収率は13.4%であった。結果 調査対象は工場跡地に建てられた住宅に住む住民であり、何らかの理由により転居してきている。周辺の工場に対して感じていることは、隣接する工場の生産状況により異なる(振動が気になる地域や臭いが気になる地域は異なっている)が、入居当初「とても気になっていた」ものが現在になると「あまり気にならない」というように変化している。工場との共存についても「何らかの対策が取られれば共存できる」という回答が多く見られ、共存を受け入れる住民の姿勢が見られた。共存に向けてはその状況に応じた対策と住民・事業者によるルールづくりが必要である。
  • 人見  英里, 清瀬 友紀子, 安藤 真美, 田中 マキ子
    セッションID: 1P-48
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 現代は飽食の時代と言われる中、高齢者においては、栄養不良状態が大きな問題になっている。その理由の一つとして、高齢者においては食事の支度が大きな負担となっていることが考えられる。主食として、調理がほとんど必要なく、ある程度の期間買い置きができ、軽くて持ち運びが容易であるという点でパンの有用性が考えられるが、一般にパンは高齢者には好まれないと考えられがちである。そこで、高齢者を対象として、パンの利用および嗜好に関する実態について明らかにすることを目的として研究を行った。
    方法 2005年7月下旬から8月中旬にかけて、Y県Y市に在住し地域の老人クラブに所属する高齢者を対象に、自記式質問票を用いて調査を行った。質問票は、パンの摂食頻度やパンに対する嗜好、ドライマウスの有無、パンに対する希望などを自記式で回答するもので、老人クラブの代表者を通して170部配布し、郵送法にて回収した。
    結果 有効回答者数は、60代から90代まで118名で、平均年齢74歳、男性53%、女性47%であった。パンの摂取頻度では対象者の7割以上が週に1回以上パンを摂取しており、その中でも週3回以上パンを摂取している者が約半数を占めた。パンを摂取するのは、朝食が最も多く次いで夕食、昼食の順であり、おやつとして摂取する者は約2%で非常に少なかった。このように高齢者においてもパンを常用的に主食として摂取していることが明らかとなった。
  • 「ふれあい・いきいきサロン」の現場から
    山岸 裕美子, 山村 豊
    セッションID: 1P-49
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    【意義・目的】全国社会福祉協議会が高齢者の介護・認知症予防及び健康増進を図ることを目的に「ふれあい・いきいきサロン」の実施を奨励している。その数は全国で約2万ヶ所を越える広がりをみせているが(平成13年8月全社協調べ),実施形態や内容は様々であり,高齢者の心身の活性化のためにどのような活動を取り入れることが効果的であるかは,未だ模索中である。そこで「装い」を中心に据えながら文化活動の働きかけを行い,介護・認知症予防にどんな効果を生み出すかについて検討した。【方法】群馬県内の「ふれあい・いきいきサロン」において,活動中に製作を含めた文化活動を実施しながら利用者の装い行動を観察した。また,インタビュー法により随時調査を行い,「有意味かなひろいテスト」も実施して変化の様子及び状態の傾向を調べた。併せて,サロンの運営を任されているボランティアの民生委員4名に「活動日誌」の記録を依頼し,利用者の行動の細部についても検討した。【結果】制作活動に対して意欲的に取り組んだ高齢者は,装いについても関心を持ち始め,作品・装いの両方を工夫することで精神が活性化した。また,装いに無頓着だった利用者が作品の製作を通してセンスを磨き,おしゃれにも意欲的に取り組んで効果を上げる現象も確認できた。その反面,文化活動を享受することができなかった利用者は,着衣の組み合わせが乱れ始め「有意味かなひろいテスト」の結果も悪く,認知能力の低下が懸念される結果となった。
  • 特別養護老人ホーム入所男性に対する試み
    泉 加代子, 長谷川 里紗, 三木 舞子
    セッションID: 1P-50
    発行日: 2006年
    公開日: 2008/02/28
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    目的 我が国の高齢化率は2005年9月に20%を超えた。今後ますます増えると推定される要介護の高齢者を減少させることや要介護度の維持・改善の対策が重要な課題である。被服が介護状態の維持・改善に役立つと考えて、泉らはこれまでに要介護の高齢女性を対象としてファッション・セラピーを実施し、対象者全員に何らかの精神状態や日常生活の維持・改善の効果が認められたことを報告している1)2)。そこで、本研究では要介護の高齢男性を対象としてファッション・セラピーを行い、その効果を検討する。
    方法 対象者は京都府下の特別養護老人ホーム入所男性4名(1名は入院のため中止)で、人選は施設職員に依頼した。実施期間は2005年6月_から_12月の7ヶ月間、回数は約3週間に1回の間隔で計8回である。実施内容は、まず対象者にその日の健康状態と着用している被服について尋ね、服装への関心を高めるために服装写真を呈示した。次に被服を用いてコーディネートの提案を行った。実施中の様子をビデオ撮影し、観察法の参考資料にした。また、ポラロイド撮影した写真をその場で対象者に見せた。初回時と最終回時には施設職員に老人精神機能評価尺度(NMスケール)と生活能力評価への回答を依頼した。
    結果 a氏は病気で常に眠気におそわれるため面談も毎回は困難で、NMスケールの評価が低下した。b氏は自己の認識ができないほどの重度の認知症であるが、NMスケールの評価が上がった。普段着用しないワイシャツを着ると変化が見られた。d氏は当初服装に関心がなかったが、回を重ねるごとに服装への関心が高まり、NMスケール、生活能力評価ともに改善の効果が認められた。[文献] 1)泉加代子他;日本家政学会第56回大会研究発表要旨集、p.157(2004) 2) 泉加代子他;日本家政学会第57回大会研究発表要旨集、p.74(2005)
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