目的 近年,育メンが注目されているように,育児をする男性が増えている.一方では,児童虐待などの病理的現象も増加しており,育児ストレスは無視することができない問題といえよう.本研究は,幼児をもつ母親・父親の「親性」に着目し,母親・父親の「親性」と「育児ストレス」の関連について明らかにすることを目的とする.
方法 長野市内の幼稚園・保育所に在園(所)する幼児をもつ母親・父親を対象に質問紙調査を行い,母親回答・父親回答を1組として536組に配布し,有効回答280組を資料とした.質問項目は先行研究(及川2005,森永2010,堤2000,長津1991)を参考に母親・父親の親性,育児ストレス,父親の母親(妻)へのサポ-ト度,父親のジェンダ-意識等についてである.調査時期は2010年10月~11月である.
結果と考察 (1)母親の親性得点と父親の親性得点には相関が認められた(r=.311,p<.01).(2)母親の親性得点と母親および父親の育児ストレス得点は,ともに負の相関があり(r=-.554,p<.01, r=-.174,p<.01),父親の親性得点も同様にそれぞれに対して負の相関が認められた(r=-.159,p<.01, r=-.432,p<.01).さらに,親性得点をもとに3群化(高・中・低)したところ,母親の育児ストレスは,父親の親性高群が最も低く(p<.05),父親の育児ストレスは,母親の親性高群が最も低かった(p<.01).(3)父親のサホ゜-ト得点は母親および父親の親性得点とそれぞれ相関が認められ(r=.323,p<.01,r=.308,p<.01),父親のシ゛ェンタ゛-意識得点は,父親の親性得点と負の相関が認められた(r=-.183,p<.01).(4)したがって,育児ストレスは本人の親性のみならず配偶者の親性が高い場合に低いことが明らかとなり,母親・父親の親性が高いほど父親(夫)の母親(妻)へのサポ-ト度は高く,父親の親性が高いほど父親のジェンダ-・バイヤスは低いことが明らかとなった.
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