一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
66回大会(2014年)
選択された号の論文の274件中1~50を表示しています
ポスターセッション 5月24日
  • 渡瀬 典子
    セッションID: 2P-1
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    【目的】「団塊の世代」が高齢期に差し掛かり、2013年には高齢化率が25%を超過、今世紀半ば過ぎには40%程度になると予測されている。高齢期のウェルビーイングを維持・増進することは個人のみならず政策面でも課題とされ、1989年には厚生省(当時)が新規重点施策として「高齢者の生きがいと健康づくり推進事業」を開始した。これは、国民の高齢者観についての意識改革を図るとともに、高齢者の生きがいづくりと健康づくりを推進する国民運動とされた。生きがいづくり事業では、高齢者の社会参加の啓発、高齢指導者(シニアリーダー)の養成が盛り込まれた。本報告では同事業を担う長寿社会開発センターの広報誌に焦点を当て、同事業で展開されたシニアリーダー像の特徴を明らかにする。【方法】広報誌「シニアウエイブ/ひょうひょう」[No.1~51:1989年11月~1998年4月],「ひょうひょう」[No.52~117:1998年7月~2009年4月],「PORTA」[No.1~14:2010年7月~2013年10月]の記事に登場する高齢者のインタビュー、事業紹介について内容分析を行った。【結果】90年代の内容は「地域社会」で「継続」して「スポーツ」「趣味」「伝統技術」を生かし活動する「個人」が取り上げられていた。2000年代以降は、地域の諸団体の活動を中心に事業紹介が展開され、活動を通して人々と繋がるネットワーク形成に重点が置かれている。
  • 赤羽根 和恵
    セッションID: 2P-2
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 本報告は、大学におけるパーソナルファイナンス教育とキャリア教育科目にて相互の関わりについて明らかにすることを目的としている。当該科目はいずれも昨今の長引く経済不況、雇用情勢の悪化から高等教育にも導入されている。その意義を真摯に捉え、学生にとって必要なライフプランの作成とキャリアの構築に向けた講義の展開を実施していく。
    方法 調査対象は、短期大学部および大学の科目履修者である。アンケートは4点回答式で、質問内容は、「講義の理解」、「お金に関する意識」、「キャリア形成について」の3点であり、平成23年度から25年度の3年間の結果をまとめている。また期中いずれも第11回に実施している。
    結果 学生は自己のキャリア形成上、お金の管理の重要性を感じている。しかしライフイベントにかかる費用は人それぞれで異なり、総額も大きいため難しいと捉えている。また昨今の社会情勢、雇用状況の不安から将来の夢を描きにくいと感じる学生も少なくない。そこでロールモデルをいくつか提示し、将来像を具体的に思い描き堅実なライフプランとキャリア形成を考えることが理解への近道である。講義では、家計簿を記帳し3か月分の収支を基にレポート作成を行うが、暮らしとライフイベントに必要な収入と支出を理解しファイナンシャルデザインを行うことが可能になれば、自己啓発に繋がりそれがキャリア開発を行う上でも重要である。
  • 神山 久美
    セッションID: 2P-3
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 2012年12月に施行された「消費者教育の推進に関する法律」(略称:消費者教育推進法)施行後の動向を整理し、地方消費者行政の取り組みについて考察した。
    方法 「消費者教育推進法」施行後の国や地方消費者行政の動向について、webページなどから公表された資料を元に調査した。特に地方消費者行政の消費者教育推進計画を考察した。
    結果 「消費者教育推進法」が施行され、本法により「消費者教育の推進に関する基本的な方針」が閣議決定された。都道府県や市区町村では、消費者教育推進計画の策定や消費者教育推進地域協議会の設置が努力義務として課された。現在、東京都や神戸市が消費者教育推進計画を策定し、他でも計画案のパブリックコメント手続きが始まった。地方消費者行政では、消費生活センターが消費者教育の拠点となり、教育委員会その他の様々な関連機関と連携・協働して消費者教育を推進していくことが重要である。これまで、地方消費者行政が積極的に取り組んできた消費者トラブル未然防止にとどまらない取り組みが必要であり、特に消費者教育推進法で掲げられた消費者市民社会の形成に関わる取り組みが課題である。総合的・体系的に消費者教育を推進するには、「消費者教育の体系イメージマップ」に各施策を位置づけながら実施する必要があると考えられた。
  • 日景 弥生, 李 秀眞, 松本 大, 李 永俊, 小磯 重隆
    セッションID: 2P-4
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 日本は、近い将来「超高齢化・人口減・労働力減社会」となる。このような社会では、現役世代の女性を中心に労働力率を高め、女性が活躍できる社会をつくることが望まれる。そこで、本研究では.青森県内の企業にヒアリングを行い、女性の活躍を促進および阻害する要因などについて分析した。
    方法 青森県内の各種企業15社を対象に、2013年6月から9月にヒアリングを行った。調査内容は、女性登用にあたっての考え方、女性を積極的に登用するための体制や制度およびそのメリットやデメリット、仕事と生活の両立を支援するための体制や制度、従業員の意識変化、今後の課題などである。
    結果および考察 分析結果は以下の通りである。第1に、女性の活躍による企業のメリットとして、女性がもつスキル(技能・特性など)が業務向上や円滑な業務運営に貢献していること、顧客に女性が多い場合は女性社員が提案するサービスが顧客満足につながっていることなどが明らかとなった。第2に、女性が活躍するための課題として、「辞めない女性」を増やし「活躍する女性」の数を増やすこと、管理職などの女性を増やすことなどが明らかとなった。最後に、そのためには、女性が活躍できる職場環境整備、なかでも登用のための体制や制度の整備が必要であることが課題として浮かび上がった。
  • 川崎  仁実, ガンガ 伸子
    セッションID: 2P-5
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 子どもを育てる上で、教育費負担が家計に重くのしかかってくる。また、子どもにお金がかかりすぎることが出産行動を抑制する一因にもなると言われている。本研究の目的は、家計の教育費(教育関係費も含め)負担の実態を発達段階に応じて詳細に把握することと、企業分析の手法を適用し、教育費負担が家計管理の健全性にどのような影響を及ぼすか検討することである。
    方法 総務省統計局「家計調査」(2000~2012年)や文部科学省「子どもの学習費調査」(1994~2012年)等の統計資料の解析から子ども(きょうだい)の数によって、子ども1人当たりにかける教育費にどのような違いがみられるか、また、子どもの発達段階に対応して、家計における教育支出の負担の内容がどのように変化するのかを明らかにする。さらに、企業分析で用いられる損益分岐点分析を家計に適用し、教育費が家計の経営状況に与える影響について評価することにした。
    結果 「家計調査」より、勤労者世帯全体から、教育費を伴う子どものいる世帯のみ抽出し、子育て家庭における教育支出の負担の大きさを推計した。「子どもの学習費調査」から、教育関連支出金額が幼稚園から高等学校までの各段階、学年や公私立によって大きく異なり、支出内容にもその特徴が見られた。損益分岐点分析からは、教育費を固定的支出とすると非常に家計を圧迫している状況が明らかになった。
  • 赤星  礼子, 川口 惠子, 米村 敦子, 小川 直樹, 後藤 直子, 川﨑 孝明, 花崎 正子, 財津 庸子
    セッションID: 2P-6
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 本報告は,九州における高齢期の生活研究を継続するなかで,炭鉱閉山の「離島」に着目して「離島における高齢者生活の持続可能性」をテーマとして調査研究した結果である.(本研究発表大会において2008年より毎年報告し,今回を最終報とする.)基幹産業の撤退により急激に人口の高齢化、過疎化を経験する島において,生活環境の激変の中で高齢期を迎えた人々の生活実態から「よりよい生活」実現に向けて学ぶべきものを明らかにしたい. 方法 調査対象地は,長崎市の炭鉱閉山の島A島である.2007年より年に2~3回の実地調査を行い,質的調査を試みている.また,比較のために廃炭の島B・C島や他の離島の現地調査もしている.結果 A島については,炭鉱閉山により新規の雇用の場がなくなり,所謂「限界集落」となっている.また市への併合は,行政サービスが遠のくかにみえた.しかし,最近,潜在していた人々(高齢者)の共助の動きが,行政センターの「黄色い旗運動」「見守りネットワーク」「ふれあいサロン」などの事業により活性化している.交通,医療,福祉施設等のインフラの水準は低くはなく(公助),また高齢者の経済的水準も比較的高いことが,離島における高齢期生活の持続を可能にしていると考えられる.A島調査研究に着手するにあたって,『炭鉱閉山の島から学んだこと-長崎県高島における学際的地域研究の試み-』(高島町地域保健研究会,1991報告書)があった.本報告では,新たな展開をみせた炭鉱閉山の島から「学んだこと」を詳細に報告する.
  • 小倉 祥子, 小倉 有子
    セッションID: 2P-7
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 個人の能力を十分に発揮し、仕事と家庭生活を両立させながら働くワーク・ライフ・バランス社会の実現を目指している。生涯、能力を発揮させるためにも心身の健康が必須である。現在疾患のない健康な女性であっても、栄養状態の不良や精神的ストレスから、就労や今後の人生に影響が出る可能性が危惧される。本研究会では独身女性を対象に、現在の就業と栄養摂取状況、健康状態にどのような相関がみられるのかを分析し、何らかの提言を行うことを目的とする。
    方法 2013年5月に3種類の調査(就業・食事・健康)を配布し、郵送により回収を行った。就業調査では、属性、仕事内容、仕事の職業観(理想と現実)、生活習慣などについて回答を得た。食事調査では、被験者に3日間の平日の食事調査(記録用紙への記載および食事写真の撮影)を依頼し,摂取栄養量を算出した。健康調査では、日本版GHQ30を利用した。
    結果 食事速度(速い・普通)の自己認識が異なる2群間において、以下のような結果が得られた。①仕事の職業観では、2群間で理想の仕事の職業観(人間関係)に有意差がみられた。②栄養摂取状況は,食事速度が速い群は普通群と比べ,摂取エネルギー充足率とビタミン,ミネラルの充足率が有意に不足していた。③健康状態(精神的・身体的)では、食事速度が速い群は普通群と比べ,GHQ30の合計と,要素スケールの「不安と気分変調」の得点が高く(軽度の症状)有意差がみられた。
  • 佐藤 祐子, 和田 佳苗, 松井 友美, 谷口(山田) 亜樹子
    セッションID: 2P-8
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    【目的】海藻類は食品として加工されている一方で、産業廃棄物として多く廃棄されている現状がある。鎌倉市では近年、これまで廃棄されていた海藻「アカモク」を特産品として売り始めた。今回は若年層のアカモクを含めた海藻の知識および利用状況を把握する目的で女子大生を対象にアンケート調査を実施した。
    方法】調査時期は2013年7月、20歳前後の女子大生128名を対象者に海藻に関するアンケート調査を行った。調査項目は、海藻に対する嗜好性、調理方法、摂取頻度、イメージ、新規食品のアイディアおよびアカモクに関してである。
    結果】本調査において、約9割の学生が海藻を「好む」と答えていた。海藻から具体的に思い浮かべるものとして、「わかめ」、「昆布」、「もずく」の順に多いことがわかった。また、海藻から連想されるイメージとして、2割の学生が「髪の毛に良い」、「ヘルシーである」と答えていた。海藻の調理方法は多いもので「味噌汁」、「サラダ」であった。海藻の摂取頻度は週に2、3回食べる学生が最も多く約4割であった。海藻を利用した新規食品として「海藻パスタ」、「海藻パン」、「海藻ジュレ」、「海藻チップス」などがあげらた。また、アカモクを知る学生、食べたことのある学生はそれぞれ1割程度と非常に少なかった。今回の調査結果よりアカモクの認知度を上げるために、幅広い年代においてアカモクがどのような海藻か知ってもらう必要性があると示唆された。
  • 植田 郁美, 村上 陽子
    セッションID: 2P-9
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 食べ物のおいしさは,食材の味,香り,色,形,テクスチャーなど化学的・物理的要因により構成されており,五感で感知される。触覚は口中や舌で知覚されるもので,生じる感覚を食感と呼ぶ。食感には食べ物の硬さ・粘性・歯切れなどのテクスチャーや温度が関与しているおり,食感を言葉で表現したものがオノマトペである。オノマトペは種類も多く,表現も多彩であり,食品に対する感覚特性を客観化する際の有用な情報である。しかし,オノマトペは,幼く子どもっぽい表現というイメージから,教育現場であまり重視されていないのが現状である。そこで本研究では,小学生と大学生の食に関するオノマトペの印象を調査し,世代間の相違を検討する。これにより,食におけるオノマトペの重要性を明らかにし,五感で感じたことを「言葉で表現する」スキルの手がかりとする。さらに,現在充実が求められている「言語活動の充実」のための教材開発の一助とする。
    方法 小学校5・6年生を対象に, 55語のオノマトペについて,「食べたときの感覚を表現している」と回答したオノマトペに対する印象(おいしそう・まずそう・どちらでもない)をアンケート調査した。また,大学生を対象として行った結果と比較し,相違を検討した。
    結果 食に関するオノマトペに対する印象が,小学生と大学生とで異なることが明らかとなった。その要因として,大学生の方が食感のもたらすイメージに敏感であることが示唆された。
  • 岡本 洋子, 吉田 惠子
    セッションID: 2P-10
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 食品呈味について、酸味の強い果汁に甘味を加えると、酸味が抑制されるといわれている。本研究では、酸味が甘味を添加することによって抑制される効果を検証することを目的とした。方法 健康な女子学生27名を評価者として、果実類ジュース8種(いちご、温州みかん、グレープフルーツ生、グレープフルーツ濃縮還元ジュース、パインアップル生、ぶどう濃縮還元ジュース、りんご生、レモン果汁)と甘味添加果実類ジュースを試料として官能評価を行った。両極7点評点法を用いて呈味強度等を調べ、対応のあるサンプルのT検定を行った(SPSS)。試料のpH(新電元工業pHメーター)と糖度(ATAGO糖度計)を測定した。結果 果実類ジュースと甘味添加果実類ジュースに対する官能評価では、8種のうち、いずれも、甘味無添加ジュースに比べ、甘味添加ジュースは、酸味強度の低下、甘味強度の上昇、おいしさ評価の上昇がみられた。グレープフルーツ生では、酸味強度が有意に低下した(p<0.05)。いちごおよびぶどう濃縮還元ジュースでは、おいしさ評価が有意に上昇した(p<0.01)。8種の果実類ジュースおよび甘味添加果実類ジュースでは、pH2.6~4.9、糖度7.1~ 14.0%であった。糖度では、甘味添加試料が高かったが、pHでは、両者の間に変化は認められなかった。果実類ジュースと甘味添加果実類ジュースでは、酸味成分は変化しないと考えられるが、酸味強度に差異がみられ、甘味添加による酸味抑制効果を官能評価の手法よって確認できた。
  • 城田 直子, 長尾 慶子, 峯木 眞知子
    セッションID: 2P-11
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 入院患者にとって,嗅覚,味覚,触覚の感度が変化し,食事量が減り,栄養状態が悪くなりやすいことが知られている.予備調査より,化学的療法を受けている患者だけでなく,入院患者全体に,嗅覚,味覚の変化は病気後高い割合で起こっており,これらの食事の対応が必要であることがわかった.特に,魚や肉および飯の臭いが気になる患者の多いことから,これらのにおいを抑制するレシピは食事量を増加させるレシピと考えた.方法 においを抑制すると考えられる調味料,香草,香辛料,うま味成分を用いて,焼き魚,煮魚および飯,粥などを調製し,におい識別装置でにおい成分を測定し,官能評価を行った.におい識別装置とポータブル型ニオイセンサーを比較し,調理現場で簡便に使用できる方法の適否も検討した.結果 パネルは官能評価に詳しい教員2~5名で行い,酒類(清酒・赤酒・本みりん),白ワイン,酢,緑茶,かんきつ類,しょうが,ねぎ,ローリエ,トマト,昆布水などを用いた焼き魚および煮魚では,その魚臭は抑制されていた.これらのにおい識別装置によるトリメチルアミンの値は,無添加試料より低く,いずれも抑制効果がみられた.ニオイセンサーのピークレベルは,匂い識別装置と同様の値を示し,調理現場での目安として使用できると考えられた.抑制効果およびマスキング効果の大きかったマヨネーズ,ごま,バターを使用したまぶす料理等も効果があった.
  • 福永 淑子, 宇都宮  由佳, 谷澤 容子, 松本 美鈴, 石井 克枝
    セッションID: 2P-12
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 タンパク質を多く含む食品の調理に注目し,日本,台湾,タイ,フランス,イタリアにおける食生活の国際比較を行うことにより,それぞれの食の伝統がどのように日常食に反映されているか解明することを試みようとしている.本発表では,タンパク質を多く含む食品の日常食における利用状況の国際比較を目的とした.
    方法 調査は,2011年5月~12月に関東地域の136名,2011年11月~12月に台北居住の163名,2011年5月~2013年3月にタイ王国ラジャパートチェンマイ大学生100名,2002年11月~2003年2月にフランスストラスブール居住の107名,2011年11月~2012年4月に北イタリア居住の35名を対象に,自記式法により実施した.内容は,属性,連続した平日2日間の食事の記録とした.アンケート解析には,統計用ソフトSPSSを用い,単純集計,クロス集計,χ二乗検定などを行った.
    結果 タンパク質を多く含む食品を用いた料理の出現数は,1人1日当たり日本5.3件,台湾3.8件,タイ3.8件,フランス3.8件,イタリア3.0件であった.食事別の出現率は,日本は朝食,タイは間食,フランスは昼食と夕食の割合が高かった.タンパク質を多く含む食品群の出現率は,日本は魚介類と大豆製品,台湾は卵類,タイは肉類,フランスとイタリアは乳製品の割合が高かった.(本研究は,2011年度~2013年度公益財団法人アサヒグループ学術振興財団からの助成を受けている.)
  • 宇都宮 由佳, 福永 淑子, 松本 美鈴, 谷澤 容子, 石井 克枝
    セッションID: 2P-13
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 前報に引き続き,本発表では,日常食における肉類の利用状況の国際比較を目的とした.
    方法 調査は,前報と同様である.肉類の利用状況のアンケート解析には,統計用ソフトSPSSを用い,単純集計,クロス集計およびχ二乗検定などを行った.
    結果 日常食におけるタンパク質性食品のうち肉類の出現率は,日本36.4%,台湾50.9%,タイ65.7%,フランス(以下,仏)32.7%,イタリア(以下,伊)34.3%であった.特に台湾とタイは,他の国に比べ肉類の出現率が高いことが明らかとなった.肉類の内訳は,日本が豚肉22.4%,鶏肉17.1%,台湾は豚肉46.7%,鶏肉19.4%,タイは豚肉73.8%,鶏肉20.0%,仏は加工品36.7%,鶏肉18.0%,牛肉14.0%,伊は加工品35.6%,牛肉23.0%であった.アジアは豚肉が最も高く,次いで鶏肉が出現していた.欧州は加工品の出現率が高い.調理別の出現率は,日本が炒める23.7%,煮る23.3%,台湾は煮る31.1%,炒める17.4%,焼く17.1%,タイは炒める31.1%,汁物25.4%,煮る16.9%,仏は焼く54.3%,煮る13.9%,伊は焼く45.6%,煮る14.1%,生食12.7%であった.アジアは炒める比率が共通して高い.欧州は焼く(オーブン・グリル)が最も高く,加工品を生ハムとして摂取していた.(2011~13年度公益財団法人アサヒグループ学術振興財団助成)
  • 松本 美鈴, 宇都宮 由佳, 谷澤 容子, 福永 淑子, 石井 克枝
    セッションID: 2P-14
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 前報に引き続き,本発表では,魚介類および大豆製品の日常食における利用状況の国際比較を目的とした.
    方法 調査は,前報と同様である.魚介類および大豆製品の利用状況のアンケート解析には,統計用ソフトSPSSを用い,単純集計,クロス集計およびχ二乗検定などを行った.
    結果 魚介類の料理出現数は1人1日当たり,日本1.2件,台湾0.6件,タイ0.7件,フランス0.4件,イタリア0.3件であり,日本で最も多く出現した.魚介類の内訳は,日本は干物・魚加工品29.5%と魚卵5.4%,タイは練り製品29.2%とえび30.3%,フランスとイタリアは魚が63.1%,71.4%と高かった.魚介類の調理別の出現率は,日本は加熱なし17.3%,台湾はゆで物10.7%と蒸し物10.7%,タイは汁物32.3%,フランスとイタリアは焼き物が53.8%,52.4%と高かった.大豆製品の料理出現数は1人1日当たり,日本1.3件,台湾0.5件,タイ0.2件,フランス0.0件,イタリア0件であり,欧州での出現は極めて少なかった.大豆製品の内訳は,日本は味噌42.5%と納豆40.3%,台湾とタイは豆腐が58.4%,67.9%,豆乳が16.9%,28.3%と高かった.大豆製品の調理別の出現率は,日本は汁物53.9%と加熱なし14.6%,台湾は煮物37.9%,タイは飲料30.2%と炒め物が26.4%と高かった.(本研究は,2011~2013年度公益財団法人アサヒグループ学術振興財団からの助成を受けている.)
  • 谷澤 容子, 松本 美鈴, 宇都宮 由佳, 福永 淑子, 石井 克枝
    セッションID: 2P-15
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 前報に引き続き,本発表では,卵類および乳製品の日常食における利用状況の国際比較を目的とした.
    方法 調査は,前報と同様である.卵類および乳製品の利用状況のアンケート解析には,統計用ソフトSPSSを用い,単純集計,クロス集計およびχ二乗検定などを行った.
    結果 卵類の一人1日あたりの料理出現数は,日本0.9,台湾1.0,タイ1.0,フランス0.3,イタリア0.3であり,アジア3か国で多く出現した.台湾,タイでは卵加工品も出現していた.調理別の出現率は,日本,台湾,イタリアは,焼き物が39.1%,30.8%,40.0%,30.0%と多く,タイは炒め物44.1%の割合が最も多かった.日本と台湾では,加熱なしの卵料理が4%,11.5%と出現していた. 乳製品の料理出現数は,日本1.1,台湾0.7,タイ0.5,フランス2.3,イタリア1.8であり,欧州での出現が多かった.調理別の内訳は,日本,タイ,台湾は牛乳47.9%,73.9%,57.9%,フランスはチーズが42.9%,イタリアはチーズと牛乳が51.6%,43.0%と高かった.調理別の出現率は,日本は加熱なし30.0%,飲物28.6%,タイ,台湾は飲物83.1%,39.4%,フランスは加熱なし59.3%,イタリアは加熱なしと飲物が36.2%,28.3%であった.(本研究は,2011~2013年度公益財団法人アサヒグループ学術振興財団からの助成を受けている.)
  • 宮田 美里, 西念 幸江, 峯木 真知子
    セッションID: 2P-16
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 赤酒は,熊本県産の郷土酒で,うるち米を原料とした淡黄赤色の酒である.赤酒の糖度およびアルコール度は,本みりんと同様であり,調味料としても使用される.本研究では,赤酒を焼き魚に利用して,その調理特性を明らかにする.特にてり・つやのモデル実験を行い,その効果を調べる. 方法 真サバおよびカジキ(骨取り冷凍切り身)を自然解凍した(45.0g±1.0g/枚).焼き魚は,魚の重量の20%の東肥赤酒料理酒(瑞鷹株式会社)およびタカラ本みりん(宝酒造株式会社)に浸漬した.照り焼きは,魚の重量の各10%の醤油と赤酒(本みりん)に浸漬した.浸漬条件は,冷蔵庫内で20分,45分,90分,180分放置とした.その後,180℃のオーブンで8分間加熱した.測定項目は,浸漬前後液の重量・pH・糖度,焼き魚試料の色・破断試験・光沢・官能評価とした.光沢は,卵黄に赤酒および本みりんを添加し,ガラス板に塗布したもの,焼き魚の皮を試料としてハンディ型光沢計(日本電色工業株式会社)を用い,反射角度60℃の条件下で測定した.結果 赤酒を用いた焼きサバ試料の皮の光沢度は8.6±3.1%で,本みりん試料4.9±2.4%より高かった(p<0.05).赤酒添加の卵黄試料の光沢度68.1%で,本みりん試料54.9%より,有意に高かった(p<0.01).硬さは,両試料に有意差はみられなかった.
  • 村上 陽子, 植松 美佳, 谷本 亜沙美
    セッションID: 2P-17
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 和菓子は我が国の伝統的な和菓子である。しかし,食の洋風化により,和菓子の喫食頻度は減少しており,食文化継承の面で懸念すべき状況にある。一方,食育基本法や学習指導要領など種々の施策においては,文化・伝統の継承は喫緊の課題として取り組みが求められている。これまで本研究室では,大学生および幼稚園児における和菓子の嗜好性や学習状況について研究を行い,食経験が和菓子の嗜好性に影響することを明らかにしている。文化・伝統の継承のためには,幼少時,特に小・中学校における教育の充実が求められる。そこで本研究では,中学生における和菓子の嗜好性および認知度を調査し,発達段階と和菓子の嗜好性の関係を検討した。これにより,和菓子を用いた食育教材開発の一助とする。
    方法 和菓子の嗜好性および認知度について,静岡市内A中学校(530名)においてアンケート調査を行った。調査時期は平成25年1月,調査項目は各種和菓子の嗜好性および認知度であり,すべて無記名・選択式とした。アンケートデータの処理は,単純集計とクロス集計を用いた。
    結果 おはぎやだんごなどは名前の認知度および喫食頻度ともに高かったが,練りきりや求肥などはともに低かった。また,いずれも,材料は製造方法については認識していない者の割合が高かった。
  • 村上 陽子
    セッションID: 2P-18
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 食品の嗜好価値は,味,形,色,香り,テクスチャーなどの化学的・物理的特性によって決定される。一方,現代社会においては,食の色彩は軽視される傾向にある。食における色の効果を大事にしてきた我が国には,和菓子という伝統的な菓子がある。しかし,食生活の洋風化により,和菓子の喫食頻度は減少傾向にあり,食文化の継承という面において懸念すべき状況である。練りきりに代表される茶席の和菓子は,色の配色など色彩に関して繊細な心遣いがなされており,食べる人の食欲に大きな影響を及ぼしていると考えられる。そこで本研究では,幼稚園児および大学生における練りきりの食嗜好性について検討した。
    方法 調査対象は,静岡大学教育学部附属幼稚園の年中児・年長児(男子43人,女子45人),および静岡大学教育学部学生(男子56人,女子82人)とした。調査対象者には事前に市販の練りきり(白)を食べてもらい,練りきりの食体験を持った上で調査を行った。練りきりの色相は,「赤・橙・黄・緑・紫・茶・白・黒」の8色相とし,濃淡2種類のトーンを用意した。
    結果
    幼児では,色の嗜好性に偏りが見られ,男女で相違が見られた。特に女子では赤(薄),男子では紫や無彩色に対する嗜好性が高く,男女とも黄や茶に対する嗜好性が低かった。大学生では幼児のような極端な偏りはみられなかった。いずれの校種・性別においても茶に対する嗜好性は非常に低かった。
  • 植松 美佳, 村上 陽子
    セッションID: 2P-19
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 和菓子は日本の食文化の1つである。しかし,食生活の洋風化により,和菓子の喫食頻度は減少傾向にある。そこで本研究では,和菓子の中の「こなし」に着目した。こなしとは茶席に用いられる上生菓子であり,色彩や造形の美しさと食感に特徴をもつ。こなしの物理特性は食感と密接に関連しており,物理特性に影響を及ぼす要因として材料と製法がある。こなしはこの2点において,他の和菓子とは特徴を異にする。一方で,こなしの材料の種類や配合割合,および製法については,地域や作り手などにより異なり,配合や製法に統一した基準はみられないのが現状である。こうした材料や製法の相違は,こなしの物性のみならず食味にも影響を与えると考えられるが,これらに関する研究は全く行われていない。そこで本研究では,つなぎの種類や配合割合がこなしの物理特性および食味に及ぼす影響について検討した。
    方法 物理特性については,つなぎの種類(薄力粉と強力粉)と配合割合(0~20%)について検討した。食嗜好性調査は,静岡大学大学生を対象として行った。
    結果 物理特性においては,薄力粉も強力粉も配合割合の増加に伴い硬さや付着性は増加したが,凝集性は変化がみられなかった。また,薄力粉と強力粉の間に相違はほとんどみられなかった。こなしの食嗜好性については,薄力粉においても強力粉においても,8~10%添加した場合に高い評価が得られた。
  • 辻 美智子, 小笠原 美穂, 早川 あつ美, 藤井 恵子
    セッションID: 2P-20
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 食物アレルギーの主要原因食物とされる鶏卵、牛乳、小麦を使用しないケーキの開発をめざし、卵白の泡沫の代わりに豆乳の起泡性に着目した。本研究では、豆乳と米粉を複合化させたスポンジケーキの調理特性について検討した。
    方法 豆乳泡沫ケーキは豆乳、米粉、グラニュー糖を原料とし、豆乳を撹拌し米粉と混合して調製した。なお、米粉は澱粉損傷度の異なる3種類を用いた。コントロールは豆乳の代わりに卵白を起泡させた卵白泡沫ケーキを調製した。米粉の粉体特性はタンパク質含有量、粒度分布、澱粉損傷度、吸水性、生地の特性は動的粘弾性、豆乳の泡沫特性は顕微鏡観察、そしてケーキの特性は比容積、破断特性を測定し、官能評価により嗜好性を調べた。
    結果 豆乳泡沫ケーキは、卵白泡沫ケーキよりも比容積が低くなり、膨化が小さくなった。また、米粉の澱粉損傷度が小さいほど比容積は大きくなる傾向を示した。生地中の気泡分散状態の顕微鏡観察では、豆乳泡沫の平均気泡径が大きくなるほど、ケーキはやわらかくなった。さらに、豆乳泡沫ケーキでは澱粉損傷度が中程度の米粉を使用すると、初期弾性率、かたさが有意に減少し、官能評価においても、やわらかく、しっとりとしていると評価された。豆乳と米粉を複合化させることによって、食物アレルギーの主要原因食物を使用せず、良質なタンパク質を含んだ嗜好性の高い含泡食品を調製できることが示された。
  • デュアー 貴子, デュアー アンドリュー
    セッションID: 2P-21
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 北米におけるコーヒーケーキとは、コーヒーと共に提供されるケーキの総称であり、通常の北米のケーキに比べ甘味が抑えられた軽めのケーキの総称のようなものである。本研究においては、コーヒーケーキが北米で発達した文化的背景を探ると共に、北米のコーヒーケーキの特徴についても現地調査を行うことを目的とした。方法 平成25年8月にカナダのオンタリオ州において北欧系移民、ドイツ系移民、スコットランド系移民に伝承されているコーヒーケーキやその文化的背景などの現地調査を行うと共に、文献による調査を行った。結果 調査の結果、コーヒーケーキという北米特有の文化は、17世紀頃より北欧系とドイツ系の移民と一緒にコーヒーと共に北米に広まった文化であった。そのため、ニューヨーク周辺からペンシルバニア州やニューイングランド地方、アメリカ中西部、そしてアッパーカナダ(オンタリオ州)へと広がっていったようである。当時コーヒーは非常に高価であったため、コーヒーを材料に含むコーヒーケーキが登場したのは、ボストン茶会事件以降であった。コーヒーを飲む時の習慣やコーヒーケーキの種類には地域性が特になく、むしろ移民の祖国の文化によって統一される傾向が見られた。さらに、コーヒーケーキは、コーヒーブレイクやコーヒークラッチといった社交文化を北米で育んでいった。
  • 島村 綾, 峯木 眞知子
    セッションID: 2P-22
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    [目的] 鶏卵は、機能性の高い身近な食材である。卵殻は一般家庭においては食用として使用されることはないが、主な構成成分である炭酸カルシウムは多孔質な構造であり、人の胃酸にも溶けやすく、体内への消化吸収において優れた物質である。このため、カルシウム剤として利用がなされている。企業では、食感向上の目的で、ケーキやクッキー、揚げ衣のフライ、かまぼこなどの水産練り製品や畜産加工品など多方面に利用されている。著者らは揚げ衣に卵殻粉を使用し、食感改良の効果を既に報告した。本研究では、卵殻粉を添加したパウンドケーキを調製し、その調理効果を検討した。
    [方法] パウンドケーキは、薄力粉(日清製粉、スーパーバイオレット)、グラニュー糖(三井製糖株式会社)、バター(よつ葉無塩バター)、鶏卵を各100g使用し、BP(共立食品株式会社)は粉の2.8%を用いた。卵殻粉は、カルホープ(キユーピー株式会社)を用い、粉の0.5%、1.0%添加した。オールインミックス法で作成し、オーブンで180℃、28分加熱した。焼き上がった試料は、1日室温保管し、その体積、重量、色、テクスチャー、官能評価を測定した。
    [結果] 卵殻粉を入れたケーキの体積は、無添加試料よりやや低い値を示した。卵殻粉を添加したケーキの硬さは有意に低く、凝集性は有意に高かった。また、無添加試料と添加試料間の色度には、やや差が見られた。
  • 藤田 沙南, 村上 陽子
    セッションID: 2P-23
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 米は、我が国において唯一自給可能な穀物である。しかし、食の多様化や米から小麦粉食品への移行拡大等により、米の生産量・消費量はともに減少している。農林水産省では米の利用拡大を目指し、小麦粉の代替として、パンや麺類などへの米粉の利用を推進している。米粉パンについては様々な研究が行われているが、製パン性の低さが課題として挙げられる。そこで本研究では、添加する米の形状として米飯に着目し、米の種類が製パン性に及ぼす影響について検討した。 方法 米飯パン用の米は、中アミロース米5品種(キヌヒカリ,コシヒカリ,ヒノヒカリ,ハツシモ,ササニシキ)、低アミロース米2品種(ミルキークイーン,おぼろづき)とし、いずれも精白米を用いた。食パンは中種法にて調整した。小麦粉を米飯で置換したものを米飯パンとし、小麦粉パンの乾物重量として、10~50%を置換した。加水量は、炊飯米の吸水量と合わせて180gとした。製パン性(比容積、物理特性、色彩構成)に関して得られたデータは、分散分析法(Tukey法)により有意差を検討した。 結果 米飯を10~50%まで添加した場合の比容積は、米飯パンにおいていずれの品種も、米の添加量の増加に伴い比容積が低下することが示唆された。また、低アミロース米は同置換の場合、中アミロース米よりも高い比容積であった。
  • 森永 賀亮, 森田 洋
    セッションID: 2P-24
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 製パンにおける生地改良剤として界面活性剤が使用されており、SSL(ステアロイル硫酸ナトリウム)などが用いられている。これらはパン生地の伸展性を増加させることでパンの体積の増大・内相の品質の向上をもたらすことが知られている。そこで、本研究では界面活性剤の一つである脂肪酸塩に着目し、パン生地に脂肪酸塩を添加することによる小麦粉パンの製パン特性について検討した。

    方法
    使用した脂肪酸塩はミリスチン酸カリウム(C14K)を選定し、最終濃度が350 mM、pH10.5になるように調整した。パン生地は市販強力小麦粉(日清製粉(株))・砂糖・食塩・ドライイースト・(日清製粉(株))・水・C14Kを加え、手で500回捏ねた。C14Kの添加量は小麦粉重量に対して5 %、10 %、15 %、20 %にした。調整後、日本イースト工業のパン用酵母試験法に基づき、生地膨張力試験をおこなった。パン生地を150 gに合わせてシリンダーに詰め、温度30 ℃・湿度85 %の定温器に入れた。膨張した生地の高さを20分ごとに読み取り、120分間発酵させた。

    結果
    120分後における生地の高さは、コントロールの生地が460 mlであったのに対し、C14Kを10 %添加生地と15 %添加生地の膨張力はそれぞれ560 mlと570 mlであり顕著な増大が認められた。
  • 谷口(山田) 亜樹子, 﨡原 絹子, 佐藤 祐子, 和田 佳苗, 松井 友美, 吉田 真史
    セッションID: 2P-25
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 本研究ではキャッサバデンプンを使用した新規パンの開発を目的とし、南太平洋のフィジーで日常的に食べられているキャッサバパンの製法を参考としてパンの製造を行った。小麦粉、イースト、塩、砂糖などパンの材料の他、ココナッツミルクとキャッサバデンプンを使用し、パンの作成を試みた。キャッサバデンプン添加量の異なるパンの性質、嗜好性について比較した。方法 試料のパンは2種類を製造し、パン①はキャッサバの他、小麦粉、塩、砂糖、ドライイースト、全卵、スキムミルク、ココナッツミルクを用い、パン②は小麦粉、塩、砂糖、ドライイースト、ココナッツミルクを用いて各々蒸しパンとした。物性はテクスチャーアナライザーにて行い、弾力性を測定した。官能検査は色、味、硬さ、総合評価の4項目を、3点識別法で実施した。結果 パンの物性、特に弾力性を測定した結果、パン①の3%キャッサバデンプン添加パンは硬さ約421g、キャッサバデンプン無添加パン(ブランク)では約407gとなり、14g硬さが増した。パン②のキャッサバデンプン無添加パン(ブランク)は約631g、30%キャッサバデンプン添加パンは約1040g、50%キャッサバデンプン添加パンは約1366gとなり、キャッサバデンプン添加量が多くなるのに従い、硬さの増加が確認された。官能検査の結果、パン①では有意な差が見られなかったが、パン②は色、味、硬さ、総合評価のいずれも30%キャッサバデンプン添加パンで高い評価が得られた。
  • 小竹 佐知子, 佐々木 友理恵, 沢代 朱里, 小林 史幸
    セッションID: 2P-26
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 食品のおいしさに影響する香気放散挙動を把握することを目的とし,酢酸イソアミル(バナナ香)放散に及ぼすショ糖濃度の影響について,ヘッドスペース法と官能評価法により検討した.方法 酢酸イソアミル10ppmを添加したショ糖水溶液(0~60%)10mLを20mLバイアルに投入して平衡にし,ヘッドスペースオートサンプラー(TurboMatrix HS-16,パーキンエルマー)を連結したGC-FID(GC-14A,島津製作所)により,カラムDB-WAX(0.25mm×30m,膜厚0.25μm,アジレントテクノロジー)を用いて分析した.ヘッドスペースはバイアル保温40℃にて,100℃ニードルにより0.1分間で0.2mL採集した.また,0%ショ糖試料を0とした時の,各試料知覚強度を0.5目盛の-2~+2の9段階スケールで30名のパネルにより官能評価した.結果は有意水準5%にてチューキー法により統計処理した.結果 放散量は0%-20%間では有意な差は認められなかったが,0%-40%間,0%-60%間,20%-60%間では,ショ糖濃度の高い方が有意に増加した.ショ糖が高濃度になると,水分子がショ糖分子と相互作用し,酢酸イソアミルのガス相への分配が高まったためと考えられた.一方,知覚強度は0%に比べて20%ショ糖濃度の方が有意に高くなったが,より高濃度になると減少した.ショ糖の甘味によるマスキング効果によるものと考えられた.
  • 小木曽 加奈, 金子 昌二, 中澤 弥子
    セッションID: 2P-27
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 長野県では県内で古くから栽培されている野菜を一定の基準に基づいて“信州の伝統野菜”として認定する制度を2007年から始めている。このうち信州の伝統野菜として登録されている須坂市の「村山早生ごぼう」は、白くアクが少なく、太いのが特徴である。昭和22年、村山町の小山氏が改良を重ねて作成したごぼうは1950年代に出荷量は最大であったが、近年生産者が非常に少なくなっている。本研究では「村山早生ごぼう」の香気成分の特徴を解析することで、加工や調理特性を検討し、その保存と継承の一助とすることとした。 
    方法 「村山早生ごぼう」と比較するため市販のごぼうを対照とした。またごぼうは長期保存されることが多いため、新鮮なものと10日間保存したものも比較した。それぞれのサンプル8gをバイアル瓶に封入し、瓶ごと60゜Cで20分加熱後、そのヘッドスペースガス1mlをGC-MSに供した。
    結果 市販のごぼうには108種類、「村山早生ごぼう」には69種類、「村山早生ごぼう」の10日間保存のものには52種類の成分が検出された。「村山早生ごぼう」には市販のごぼうと比較してジメチルスルフィド、2-Ethylfurane、イソブチルアルコールなどが多く検出された。
  • 菅原 悦子
    セッションID: 2P-28
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 近年、醸造技術の進歩によってアワビ加工時の廃棄物である肝を用いた魚醤が開発されたが、原料の肝がもつ特徴香気が品質に大きく影響している。そこで、本研究ではアワビ肝醤油の香気成分組成の解析を第一の目的とした。さらに、その加熱殺菌等の加熱条件による香気成分組成の変化を解明し、風味向上の方法の探索を第二の目的とした。 方法 試醸したアワビ肝醤油と3種類のしょっつるなど市販魚醤から、SPME法(Solid Phase Micro Extraction)によりヘッドスペース成分を抽出し、AEDA( aroma extract dilution analysis)法により各香気成分のにおい特徴と香気寄与度を評価した。さらに、加熱前後のアワビ肝醤油も同様に分析した。また、香気成分はGC-MSにより同定した。結果 GC-O分析により、アワビ肝醤油から感知できたにおいの数は60種で、3種の市販魚醤より約2倍で多かった。AEDA分析により、アワビ肝醤油から汗様の3-methylbutanoic acid、煮たジャガイモ様のmethionalと香ばしくカラメル様の2-furanmethanolなど8種のFD-factor(FDf)の高い香気成分を検出した。しょっつるからは3-methylbutanoic acidとmethionalに加え、青葉様の1-hexanolや汗様の3-methyl-1-butanolなど6種のFDfの高い成分を同定した。アワビ醤油はにおいが強いと考えられる。また。加熱によって、アワビ肝醤油の甘い花様の2-phenylethanolなどの寄与度が低下した。加熱条件はアワビ醤油のにおいに大きく影響しており、今後、アワビ醤油の風味を向上させる加熱条件を検討する計画である。
  • 﨡原 絹子, 村上 志緒, 谷口(山田) 亜樹子, 佐藤 祐子, 松井 友美, 和田 佳苗, 吉田 真史
    セッションID: 2P-29
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 フィジー共和国ラケンバ島では、島民の主食はキャッサバ、ダロ、ヤムなどのイモ類で、伝統的な調理法により、食生活が守れられている。一般に、キャッサバは腐りやすく、保存することが出来ないため、デンプンを取り出し乾燥させ保存する。ラケンバ島では、キャッサバから保存食Bilaが作られ食されている。本研究は、Bilaの製法を明らかにすることを目的とする。
    方法 2013年10月に7日間、ラケンバ島に滞在し、Bilaの製法について聞き取り調査を行い、製法過程を写真および動画で記録した。また、キャッサバの発酵過程のpH、電導度、硬度、糖度の測定、および発酵液中の微生物の培養観察を行った。
    結果 Bilaの製法は、1)キャッサバイモの皮を剥き2~3片に切り分けた後、水中に入れ、キャッサバの葉で覆い4~7日間、発酵させる。2)イモを取り出し、乾燥させてから、棒でたたいて潰す。3)生のキャッサバイモの皮を剥き、おろし金でおろし、汁をしぼり除いたものと(2)を混ぜる。4)ココナッツの胚乳を削ったものを加えて混ぜる。5)ココナッツミルク、砂糖を加えて混ぜる。6)生地を適当な形に整えた後、ココナッツの葉で包み、ちまき様の形にする。7)沸騰したお湯に入れて30分茹でる。イモの発酵過程で、pHは低下し、発酵液には乳酸菌と酵母菌などが観察された。また、製法過程(2)の発酵させたイモを乾燥させると保存できることがわかった。
  • 三貝 咲紀, 森田 洋
    セッションID: 2P-30
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 焼酎製造に使用される白麹菌Aspergillus kawachiiは、α-アミラーゼと耐酸性α-アミラーゼ、クエン酸を生産するという特徴を持つ。一般的に焼酎製造に用いられる固体培養法では、酵素生産性が高い反面、麹の温度や湿度などの制御が難しく職人技に頼っているのが現状である。一方、液体培養は、固体培養法の問題点を補うことができるが、酵素生産性が低いという欠点がある。そこで本研究では、液体培養での耐酸性α-アミラーゼ活性の増強を試みた。
    方法 菌株にAspergillus kawachii NBRC 4308 を使用した。この菌株の胞子懸濁液を基本液体培地である糊化米粉を炭素源とした改変SLS液体培地に接種し、30 ℃、200 rpmで3 日間振とう培養を行った。
    結果 酒類製造では、麹やもろみの腐敗防止の為に乳酸を生産する乳酸菌を添加する。そこで焼酎のもろみ中のpHが低いことから、液体培地にAspergillus kawachiiとヨーグルトから分離した乳酸菌を接種し、共培養を行った。その結果、耐酸性α-アミラーゼ活性は、乳酸菌とAspergillus kawachiiの添加比にかかわらず、増強しないことが明らかとなった。そこで、直接ヨーグルトを基本培地に接種したところ、酵素活性の増強を確認した。これは、乳酸菌ではなくヨーグルトの原料が耐酸性α-アミラーゼ活性の増強につながったと示唆される。以上のことからヨーグルトの成分である牛乳を液体培地に添加したところ、α-アミラーゼは固体培養の約70 倍、耐酸性α-アミラーゼでは約160 倍の高い活性を得ることができた。
  • 石神 優紀子, 山﨑 薫
    セッションID: 2P-31
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 食用花の有する機能性に着目し、本研究では食用花抽出物が抗菌作用を有しているか、品種や同じ品種間でも花色により抗菌作用に違いが認められるか検討を行った. 方法 ペーパーディスク法にて、供試菌株にStaphylococcus aureus NCTC10788(以下、S. aureus)、Echerichia coli NCTC12923を用いた.供試菌株は滅菌生理食塩水でMcFarland No.0.5相当(1.5×108cfu/mL、透過度74.3%)に調整し、使用した.試料20種は採取後、洗浄し、花弁のみにした後、乳鉢で磨砕し、ろ紙No.2を用いてろ過し、搾汁液を得た.搾汁液は無菌化にてフィルター(孔径5μm)滅菌処理した.滅菌済みペーパーディスク(直径8mm)に、各弁搾汁液を添加・吸収させ、調製菌液を塗抹した培地中央部に置き、一晩(約18時間)35℃下で培養後、ハロー形成(阻止円)を確認した.結果 阻止円が認められた試料中、ベゴニア(Begonia semperflorenscultorum)花弁色の赤ではS. aureus NCTC10788において67%の確率で、ピンクでは両供試菌株において23%の確率で10mm以下の阻止円を確認した.白において阻止円は認められず、赤とピンクにおいて阻止円が確認された事から、ベゴニア含有アントシアニンが抗菌性に関与しているのではないかと考えている.
  • 山﨑 薫, 石神 優紀子
    セッションID: 2P-32
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 食用花が有する機能性探索として、本研究ではヒト前骨髄性白血病細胞(HL-60)に対する食用花抽出物のアポトーシス誘導作用について品種や同じ品種間でも花色により差が認められるか検討を行った.方法 試料としてニチニチソウ等の計48種より、抽出濃度が100mg/mlとなるように1%ギ酸溶液を用い、4℃で24時間、静置、遮光の条件下のもと抽出を行った.抽出溶液のアポトーシス作用を確認するヒト前骨髄性白血病細胞HL-60はRPMI1640培地に10%牛胎児血清(FCS)を添加し、5%CO2、37℃条件下で培養した.HL-60細胞(2.5×105cells/ml)に対し、食用花抽出物の最終濃度が0.1%、0.5%、1%となるように添加されている状態に調整し、1、3、6、24時間培養した.培養後は食用花抽出物添加直後も加え、各時間帯で実体顕微鏡により細胞の状態を観察し、生存細胞数はMTT細胞数測定キットで測定をし、マイクロプレートリーダーを用い、570nmで測定した.結果 48種中20種においてアポトーシス誘導作用が認められた.アポトーシス誘導作用に関しては花色の濃い(黄色;カロテノイド系や紫;アントシアニン系など)ものが強い誘導性を示す傾向にあったが、ニチニチソウに関しては花色の薄い方がアポトーシス誘導作用を示し、全草に含まれるインドール系アルカロイドのビンブラスチン、ビンクリスチンとの関連性が示唆された.
  • 大曲 希実, 安田 みどり, 日野 まど香, 大渡 瞳
    セッションID: 2P-33
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 一年草の水草であるヒシは、アジア地域に広く自生している。ヒシの実は、食用として食されるだけでなく、昔から婦人病などの民間薬や漢方薬としても用いられてきた。我々はヒシの実の外皮の有効利用を目的として、外皮に含まれるポリフェノール成分に注目し、その化学的特性や生理機能性について調べた。
    方法 乾燥、粉砕した佐賀県神埼市産のワビシ(Trapa japonica)の外皮を60%アセトンにて抽出し、カラムクロマトグラフィーにて分取し、ポリフェノール画分をさらにHPLCにより分取・精製を行った。得られたポリフェノールをLC/MSおよびNMRにて測定し、ポリフェノールを同定した。これらのポリフェノールについて、温度、pHに対する安定性を調べた。さらに、生理機能性として、抗酸化作用、糖質分解酵素の阻害作用について調べた。
    結果 ヒシ外皮のポリフェノールを分取・精製し、主要な3つのポリフェノールを得た。これらは、加水分解型のポリフェノールで、eugeniin、1,2,3,6-tetra-O-galloyl-β-D-glucopyranose、trapainと同定した。温度に対しては、trapainが熱に弱いことが明らかになったが、その他については熱に強いことが明らかになった。また、pHについては、pH8以上では、酸化されるため、不安定になることがわかった。さらに、3つのポリフェノールは、高い抗酸化性を有し、糖質分解酵素の阻害作用を示した。
  • 河原 咲子, 萱島 知子, 松原 主典
    セッションID: 2P-34
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 これまで我々は、シソ科ハーブのローズマリーの機能性成分であるカルノシン酸とカルノソールが血管新生を抑制することを明らかにした。血管新生はガンの進行に関与していることが知られている。今回は、卵巣腫瘍細胞に対するローズマリー成分の効果として、細胞増殖とガン進行の因子であるストレスホルモン刺激に対する影響を明らかにすることを目的とした。
    方法 卵巣腫瘍細胞(SKOV3)を用い、ローズマリー成分であるカルノシン酸、カルノソール、ロスマリン酸、ミルセンを培地に添加し、一定時間培養後、Cell Counting Kit-8を用い吸光度を測定し細胞数を測定した。またカルノシン酸添加後、ストレスホルモンであるノルエピネフリン添加により刺激を与え、一定時間培養後、上清中の血管内皮細胞増殖因子VEGF量をELISA法にて定量し求めた。
    結果 SKOV3の増殖については、コントロールと比較しカルノシン酸添加により、25 µMで50%程度、50 µMで10%程度にまで抑制された。同様に、カルノソール添加によりSKOV3の増殖は有意に抑制された。ストレスホルモン刺激に対する影響については、ノルエピネフリン添加でSKOV3の増殖は増大し、これはカルノシン酸添加により抑制された。また、ノルエピネフリンによるVEGFの増大も、カルノシン酸添加により抑制された。
  • 竹山 恵美子, 坂口 沙和, 津田 早友果, 中野 由希, 新海 シズ, 福島 正子
    セッションID: 2P-35
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】柿の葉にはポリフェノール類が多く含まれ,その抗菌性や抗酸化性等が注目されている。古くから柿葉は柿の葉寿司や柿茶などに用いられてきたが,機能性に関する研究は未だ十分ではない。これまでの研究から柿の葉にはα-アミラーゼ阻害活性が認められており,このことは,柿の葉に血糖値を抑制する働きがある可能性を示唆している。また,一部のヒト試験でもその傾向は認められている。そこで今回は柿の葉茶の血糖値抑制効果をさらに詳しく調べるために,食事性肥満マウスを用いて実験を行った。
    【方法】B6J DIOマウス♂(8週齢)を1週間の予備飼育後,体重・血糖値を基に2群に分け,柿茶投与群には柿茶抽出濃縮物の0.5%溶液を,対照群には水道水を,飼料は固形の高脂肪飼料D12492 60kcal%Fat をいずれも自由摂取させた。なお,体重,飼料摂取量,飲水量は経日測定し,血糖値は1週間ごとに尾静脈より採血してメディセーフミニ(TERUMO社)にて測定した。柿茶投与6週間後に,18時間絶食後,ゾンデを用いてグルコース負荷試験を行い,屠殺・採血後,解剖した。膵臓,肝臓,腎臓については組織標本を作製し,観察した。また,HbA1c をDCAバンテージ(SIEMENS社)により,血漿インスリンをMercodia社 マウスインスリンELISAキットを用いて測定した。なお本実験は昭和女子大学動物実験委員会の承認を得て,規定を遵守して実施した。
    【結果】非空腹時血糖値及び,グルコース負荷試験時の血糖値,HbA1c,血漿インスリン濃度は,柿茶群と対照群に大きな差は認められなかったが,柿茶濃縮物投与群は対照群に比べてグルコース負荷試験における血糖値曲線下面積が低値となる傾向が認められた。血糖値抑制効果の可能性が示唆された。
  • 福島 正子, 宮城 朋果, 細谷 光咲, 竹山 恵美子
    セッションID: 2P-36
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    【目的】 アルコールの過剰摂取で起こる二日酔いには,アルコール代謝過程で生成されるアセトアルデヒドが関係している。一方,柿果実や柿の葉抽出物は,「酔いざましによい」,「血圧を下げる」などといわれてきた。これは,タンニンなどの化合物の働きによるものと考えられている。タンニンは,柿や柿茶に含まれる渋み成分で,たんぱく質,アルカロイド,重金属などと水難溶性の複合体を形成する性質をもつ水溶性植物ポリフェノールである。そこで、柿葉抽出濃縮物(柿茶葉抽出エキスを約10倍に濃縮,乾燥して粉末化したもの)を熱水に溶解し,アセトアルデヒド濃度抑制効果について検討した。
    【方法】ICRマウス(10週齢,♂)を1週間予備飼育した後,体重をもとに,柿茶投与群,コントロール群の2群に分けた。16時間絶食後,2時間絶水し実験を行った。柿茶投与群には柿葉抽出濃縮物を熱湯で溶解したものを,コントロール群にはイオン交換水を0.25ml/30g体重量ゾンデを用いて経口投与した。1時間後,どちらのマウスにも同様に30%濃度のエタノール溶液を2ml/kg体重量ゾンデを用いて投与した。投与後,マウスは15分,30分,45分,1時間の間隔で屠殺し,血液を採取した。この血液をメタノールで除タンパク処理し,高速液体クロマトグラフィーを用いてアセトアルデヒド量の測定を行った。マウスは解剖を行い,肝臓の重量を測定した。なお、本実験は昭和女子大学動物実験委員会の承認を得,規定を遵守して実施した。
    【結果】両群において、体重に差はなかった。血中アセトアルデヒド量は,コントロール群に比べ柿茶投与群で低下する傾向が認められた。このことから,アルコール摂取前に柿茶を摂取することで,アセトアルデヒドの生成を抑制することができるものと考えられる。 
  • 和田 佳苗, 佐藤 祐子, 松井 友美, 谷口(山田) 亜樹子
    セッションID: 2P-37
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 塩辛は魚介類の肉や内臓などに調味料を加え熟成させることで、自己消化作用により独特の旨味をもつ食品である。本研究では塩辛の中でも馴染みのあるイカの塩辛について、製造工程で加える副材料が内臓の消化酵素であるアミラーゼ、プロテアーゼ活性に及ぼす影響を検討した。方法 生食用スルメイカから取り出した肝臓に2倍量の生理食塩水を加えて3分間ホモジナイズした後、遠心分離(10000rpm,20分間)して得られた上澄みを試料液とした。この試料液についてpH、タンパク質量(Protein Assay Papid Kit,和光純薬)、α-アミラーゼおよびβ-アミラーゼ(α-,β-Amylase Assay Kit,Megazyme) 、プロテアーゼ活性(ヘモグロビン基質)を測定し、比活性を求めた。さらに試料液に塩辛製造に用いられる調味料(食塩・みりん・醤油・酒)を添加し同様に測定を行った。結果 スルメイカの肝臓から抽出した試料液中のpHは6.5、タンパク質量は約130mg/mLであった。またα-アミラーゼおよびβ-アミラーゼの比活性はそれぞれ約4.7×103units/mg、5.6×103units/mg、プロテアーゼの比活性は約3.6×10units/mgであった。プロテアーゼの比活性は調味料無添加を100としたとき、食塩、みりん、醤油添加で各々87、酒添加で92であった。α-アミラーゼおよびβ-アミラーゼについても同様に測定を行い比較検討した。
  • 高山 侑樹, デュアー 貴子
    セッションID: 2P-38
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 岐阜県では各務原市を中心ににんじんが栽培されており,市の特産品の一つにもなっている.しかしながら,各務原市産にんじんに関する成分や特性についての報告は少なく,未解明な部分が多い.そこで,各務原市産にんじんの基礎データを得ることを目的とした.今回,にんじんに含まれる成分の一つであるアスコルビナーゼに着目し,各務原市産にんじんと他の産地とのアスコルビナーゼ活性の測定を行い,品質特性の一つとして検討したので報告する.
    方法 試料は各務原市産にんじんを用い,比較対象として,北海道産,青森県産を実験に供し,インドフェノール法にてアスコルビナーゼ活性を測定した.なお,アスコルビナーゼ活性については,アスコルビン酸残存率として求め,一元配置分散分析(ANOVA)および多重比較(Dunnett)にて検定を行った.
    結果 各試料のアスコルビン酸残存率を求めたところ,各務原市産:49.8% ,北海道産: 56.0% ,青森県産:45.7% であった.北海道産と青森県産との間に有意差が見られたが,各務原市産にんじんは北海道産,青森産との間に有意差は見られなかった.今回,各務原市産にんじんと他の産地との間に差は見られなかったが,アスコルビナーゼには,ビタミンC分解を促進する働きがあることが知られていることから,調理操作に対する影響について把握する上で,品質特性の評価の一つになることが推察された.
  • 笹田 陽子, 菊池 眞帆, 豊岡 由衣, 藤澤 泉, 本堂 詩織
    セッションID: 2P-39
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 岩手県盛岡市内保育所に在籍する食物アレルギー疾患児の実態を把握し,成長期である乳幼児の低栄養を予防する代替食の検討や誤食による事故防止など保育所における食物アレルギーへの対応を検討するため本調査を実施した.
    方法 調査時期は,平成25年2月,盛岡市内の全保育所58園に食物アレルギーに関する質問紙を郵送し,留置法で実施した.(回収39園,回収率67.2%)
    結果 食物アレルギー児の出現は,0歳児523名中56名10.7%,1歳児637名中58名9.1%,2歳児672名中43名6.4%,3歳児713名中26名3.6%,4歳児715名中24名3.4%,5歳児735名中29名3.9%で0歳児の出現が高かった.アレルギーの出現症状は,皮膚症状が70.8%と高く,次いで皮膚と粘膜症状,消化器症状の順であった.アレルギーの原因食物は,卵が71.2%と高く,次いで乳,小麦であった.また,卵アレルギー児には,卵に加え乳や小麦など他の食物にもアレルギー症状を呈する児が47.0%出現した.保育所給食での卵アレルギーへの対応は,代わりのものを使用した代替食と除去食を使い分けて提供している園が97.4%で,お弁当を持参する園はなかった.また,代替食は,卵を主材料とした料理から豆腐料理や煮魚,焼き魚に代えて提供するという回答が多かった.また,アレルギー対応について十分に行っていると認識している園は,61.5%であった. 
  • 大久保 郁子, 岩田 惠美子, 後藤 昌弘
    セッションID: 2P-40
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 食事療法の継続は、糖尿病治療における基本であり、糖尿病もしくはその予備群と診断された方々は食事療法の継続に大変な努力をしている。本研究では、患者様のアンケート調査を実施し、精神的な健康パターンを知ることが、より効果的な食事療法の実践に繋がるのではないかと考え、調査、分析を実施したのでその結果を報告する。
    方法 K病院で外来栄養指導を受けている糖尿病患者様を対象に、精神的健康パターン診断検査(橋本ら,2000)の内容に基づきアンケート調査を行なった。ネガティブな感情の側面としてのストレス、ポジティブな感情の側面としてQOL概念を用い、40項目で構成され、4段階での回答となっている。その集計結果と検査値などの患者データを用いて、心理的ストレス、社会的ストレス、身体的ストレスのストレス度、生活の満足、生活の意欲によるいきがい度の影響と疾病との関係について調べた。同アンケート調査を行った女子大生のデータも一部比較した。
    結果 糖尿病患者と学生の比較では、糖尿病患者の方が、ストレス度は低く、いきがい度が高い傾向にあった。ストレス度において女性の方が高い傾向にあった。BMIでは、正常範囲から大きく離れている人に疲労や睡眠障害を持つ人が多い傾向にあり、HbA1cの高い人に、疲れや睡眠障害を持つ人が多かった。
  • 岡田 悦政, 岡田 瑞恵
    セッションID: 2P-41
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    【目的】アルツハイマー型認知症(AD)は、病因とされるアミロイドβ(Aβ)を抑制する研究が様々試みられているが、根本原因となるAβ生成機構は未だ解明されず、幾つかの仮説が推察されている状況下にある。また、この生成されたAβによる細胞死抑制も重要な研究テーマとなっている。我々は、このAβによる細胞死抑制効果を幾つかの食用植物種子抽出物より見出した。そこで本研究では、これら種子抽出物によるAβ誘導細胞死抑制機構について、検討を行ったのでその結果を報告する。
    【方法】1.植物種子はホモジネイトし、熱水抽出、ろ過後、0.20μmのフィルターを通し、サンプルとして用いた。2.線維芽細胞は、2000個/wellをまき、培地で5% CO2, 37℃の条件下で培養後、各濃度のSamplesを加えて24hr間培養、その後Aβ(10μM)を加え、さらに24hr間培養した。3.その後、細胞内酸化ストレス、細胞生存率及び培地中のインスリン量の測定を行った。
    【結果及び考察】酸化ストレス実験において、Lettuce、Corn、Bitter melon、Komatsuna種子の150,75,7.5μL濃度のいずれかにおいて全て酸化ストレスを抑制した。一方Aβによる細胞死は、これらのサンプルにおいて至適濃度の違いがあるが、全て抑制し、特に、Lettuce種子はAβがない状態まで回復した。さらに、培養上清中のインスリン濃度測定実験においてAβによるインスリン量への影響は、Bitter melon以外のサンプルにおいて明らかな改善効果が見られた。今後、その有効成分について検討を行う。
  • 岡田 瑞恵, 岡田 悦政
    セッションID: 2P-42
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 ラジカル消去効果を持つ食用スプラウト成分が、Aβへ修飾することによってAβによる細胞死を抑制することを目的として、昨年は分子量の点から検討し報告した。今回、細胞死抑制機構を探るため、細胞内ROS、生細胞数の測定、また、インスリンがAβと一部同一構造をもつため、Aβがインスリンレセプターにbindingする可能性を探るべく、Aβ存在下において食用スプラウトがインスリン量に影響を及ぼすのか検討した。
    方法 Buckwheat sprouts (BWS), Red cabbage sprouts(RCS), Broccoli sprouts(BS), Brussels sprouts (BRS), Japanese butterbur (JBB)は、それぞれ水抽出(CW)、熱水抽出(HW)メタノール抽出(MH)し濾過した。MH抽出物は、濾過後濃縮しDMSO溶解した。15µM-Aβ42とスプラウト抽出物を混合して試料とし、TIG-103を調整培養後、5%CO2, 37℃の条件下で試料を加え24h培養した。細胞内ROS量はDCF-DAによる蛍光測定、生細胞測定はCCK-8によって、インスリン量はELISA法により行った。
    結果 細胞内ROS量を最も抑制したのは、BWS-CWが 77.66%であり、続いてRCS-HW、BS-HWで、それぞれ43.77、43.41%であった。生細胞数は、Aβにより66±2%の生細胞数をコントロールレベル以上に戻した7種のうち、BWS-CWが最も高く、続いてJBB-CW、BWS-MHであった。また、インスリンの量は、BS以外CW、HW、MHの順に低くなる傾向があり、最も高い濃度は、コントロールのBWS-CWの2.4倍、続いてBRS-CW、BS-HWであり、それぞれ2.16、2.02倍であった。
  • 及川 大地, 宮崎 駿平, 武藤 文恵, 吉田 彩乃, 岸本 梨江
    セッションID: 2P-43
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 本研究では,ラードおよび高リノール酸紅花油を用い,成長過程において摂取する高リノール酸油脂がマウス皮膚および血液の性状にどのように影響するのか,脂質代謝を中心に検証した.
    方法 ICR雄マウス(5週齢)30匹を個別ケージに導入後,市販飼料にて5日間馴化した.馴化後,平均体重が一定になるよう6群(n=5)に分け,ラード15%を添加したAIN93G改変飼料(Control群),高リノール酸紅花油15%を添加したAIN93G改変飼料(リノール酸群)をそれぞれ給餌した.摂取期間は1週間(1w),2週間(2w)と各群5匹ずつに分けて与えた.残りの10匹は馴化直後に解剖し,0週(0w)とした.各週の飼育終了後,頸椎脱臼および頸動脈からの放血により屠殺し,皮膚,精巣上体脂肪,腎臓周囲脂肪,肝臓および血液を採取した.脂肪組織および肝臓は臓器重量を測定し,ヘパリン処理によって採取した血漿および皮膚の脂質分析は,生化学的手法による測定kitを用いて行った.
    結果 体重増加量,摂餌量および各臓器重量は二元配置分散分析の交互作用(週x群)に有意差はなかった.皮膚のトリアシルグリセロール(TG)および総コレステロール(T-Chol)量も交互作用(週x群)に有意差はなかった.一方,リノール酸 1wの血漿TG濃度は,Control 2w群およびリノール酸 0wより低くなる傾向があった.
  • 堀 光代
    セッションID: 2P-44
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 食中毒の予防は、食品に接触する調理器具の取り扱いによる二次汚染を防ぐことが重要となる。まな板は、包丁とともに、調理の際にさまざまな食材に接するため、洗浄、除菌、殺菌に対する注意が不可欠である。本研究では、家庭で日常的に使用しているまな板についてのアンケート調査と、調理後のまな板について微生物汚染調査を行った。
    方法 2011年と2012年に女子短大生147名を対象に各家庭で使用しているまな板の材質、使用年数、使用方法、洗浄方法等のアンケート調査を実施した。アンケート調査日の調理後、各家庭においてスタンプ培地3種類(一般生菌、大腸菌群、ブドウ球菌)を用い、微生物検査を実施した。検査培地は、翌日から条件に準じた培養後、微生物汚染の判定を行った。両者の結果から、まな板の使用状況と微生物汚染状況についての検討を行った。
    結果 アンケート調査結果から、調査対象者の使用するまな板の材質は、プラスチック製が81%、木製が19%であった。一般生菌は、木製のまな板の方がプラスチック製のものより汚染度が高い結果であった。まな板の使用年数を5年以内と5年以上に分類して集計した結果、使用5年以上のまな板に比べて使用5年未満のまな板では、一般生菌、大腸菌群ともに微生物汚染が高い結果であった。最後に使用した食品別のまな板の汚染状況は、肉類を使用したまな板で一般生菌、ブドウ球菌の微生物汚染は、高い結果であった。
  • 岡崎 貴世
    セッションID: 2P-45
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 マスクには感染症対策、アレルギー対策、ホコリや粉塵などから喉や気管支を保護する効果がある。また、給食施設においては調理従事者の衛生管理対策として使用される。しかし長時間の着用によって内部が蒸れてきて不快感を生じたり臭いを発してくることもある。さらにマスクが微生物の汚染源となり、マスクを介して細菌が食品に伝播されることも考えられる。そこで、マスクの使用状況の調査と使用済みマスクの微生物汚染度を測定した。
    方法 大学生148人を対象にマスクの使用状況に関するアンケートを実施した。マスクの汚染状況は微生物検査とATP検査で評価した。微生物検査は、生理食塩水中で使用済みマスクを一定時間揉み洗いして検査液を調製し、一般細菌(標準寒天培地)、ブドウ球菌(卵黄加マンニット食塩培地)、真菌(PDA培地)の測定を行なった。また検査液のATP検査を行なった。
    結果 学生のマスクの使用頻度は高く、中には一度使用したマスクを翌日に再使用する人がいた。また着用時にマスクを手で触れる人が多いことがわかった。使用済みマスクの細菌汚染状況には個人差があり、汚染度の高いマスクで105cfuを超える一般細菌が検出された。またその大部分はブドウ球菌だった。マスクの一般細菌数とATP発光量に関連は認められず、マスクには今回の測定で検出されない口腔細菌等が多数付着しているため、ATP発光量に影響したと考えられた。
  • 川又 勝子, 佐々木 栄一
    セッションID: 2P-46
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 仙台地方における大正期から昭和50年代にかけての注染染物は、商店や会社などの得意先への贈答品などの商業用の浴衣や手拭が多数生産されていたことがこれまでの調査より明らかになっている。本報告では型紙保存箱約10個のうちの第4番より新たに50枚の注染用型紙と注染関連資料(商品目録帖)の調査結果を報告する。
    方法 注染用型紙については、型紙の状態・文様等の調査、CCDセンサー・イメージスキャナによる型紙文様の電子化を行い、これまでのデータと比較した。さらに、このデータを活用して作成した型紙を用いて直接染料による染色を試みた。また、当時の浴衣・手拭意匠の参考にされていた商品目録帖『みやぎの』(名取屋染工場刊)についても調査と電子保存を試みた。
    結果 破損・欠損箇所のある型紙は50枚中19枚で、破損・欠損率は38%となり第3型入れ箱までの傾向と比較するとやや少なく、軽度の破損がほとんどであった。柄行については、名入れの浴衣型紙が多数(88%)を占め、名入れ手拭と趣味の浴衣は僅かであった。また、幾何文が多数(80%)みられた。スキャニング画像は汎用画像処理ソフトで破損・欠損箇所の修復とゆがみ除去を行った。さらに、電子データを活用した型紙を用いて染見本を作成(直接染料の引き染め)したところ、当時の中形染の文様を再現でき、大学での染色教育に生かすこともできた。なお本研究は、MEXT科研費21700720、JSPS科研費24700780の助成を受けて行った。
  • 駒津 順子, 亀原 めぐみ, 小松 恵美子, 森田 みゆき
    セッションID: 2P-47
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 最近の洗濯事情をふまえた新規洗剤の利用方法について,環境に配慮した小・中・高等学校の家庭科にける被服領域の教材の開発は急務である.そこで目視による判別しやすさを重視し各種市販人工汚染布を用いた家庭洗濯における洗浄性を調査した.
    方法 札幌市近郊の大学生161名に対し,調査期間を2013年7-8月とし,5種の市販人工汚染布(湿式人工汚染布,EMPA101,104,106,107)を用い家庭用洗濯機の標準工程で洗濯した洗濯実態の質問紙調査を行った.汚染後は分光色差計(日本電色工業株式会社製NF333)を用いて560nmの表面反射率を測定し,Kubelka-Munk式により洗浄率D(%)を算出した.洗剤の種類はχ2検定,汚染布と洗剤の種類の差については繰り返しのない二元配置法で分析した.
    結果 浴比は83.6%が1:10~25,使用洗濯機は94.8%が全自動を用いていた.洗剤の種類はp<.001で有意差が認められ,内容は液体のアルカリ性と中性のそれぞれが同程度に4割を占めた.人工汚染布と洗剤の種類による洗浄効率の変化は,汚染布p<.01,洗剤p<.05で有意差があることが認められた.汚染布別の洗浄率は,湿式汚染布の平均値が60%と圧倒的に高くそれ以外は10~20%代で大きな差はみられなかった.EMPAの4種では104がわずかに他より高く,洗剤の差でも同様の傾向がみられ,両者の相関がみられた.洗剤別ではアルカリ性粉末が全ての汚染布で高いが,差はほとんどみられなかった.
  • 小松 恵美子, 駒津 順子, 森田 みゆき
    セッションID: 2P-48
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 玉ねぎ外皮を用いた家庭科染色教材開発で、媒染剤を混合した場合の媒染効果について検討を行っている。前報では混合媒染布の色変化について媒染剤pHと測色値を比較検討し、L*a*b*とK/S等との相関について明らかにした。本研究では媒染剤のモル比に着目し、混合媒染液に含まれる媒染剤のモル比と媒染効果(色)発現の関係について調べた。
    方法 玉ねぎ外皮100%o.w.f.、浴比1:50の染色液にJIS添付白布(綿)を入れ、沸騰後20分間染色した。得られた染色布を浴比1:50、室温で20分間、後媒染した。媒染剤には、りん酸水素二カリウム、硫酸アンモニウム鉄(III)、硫酸カリウムアルミニウムを用いた。媒染布は、色差計による測色値と目視によって評価した。
    結果 りん酸水素二カリウム(以下K)と硫酸アンモニウム鉄(III)(以下Fe)の混合媒染では、Kが1.1×10-3M以下、Feが2.1×10-3M以上になると、媒染布は鉄媒染特有の色を発現した。従ってKに対するFeのモル比が2倍を超えると鉄媒染効果が現れることがわかった。一方、Kと硫酸アルミニウムカリウム(以下Al)の混合媒染では、Kが3.0×10-3M以下、Alが1.4×10-3M以上で、媒染布がアルミ媒染特有の色となった。このことからKに対するAlのモル比が0.48倍を超えると、アルミ媒染の効果が出ることが分かった。
  • 森 俊夫, 斎藤 益美, 内田 裕子
    セッションID: 2P-49
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 綿織物,毛織物および絹織物の各色柄模様を見たとき,それぞれの色柄の色彩や模様形態が大きく異なるのにも関わらず,人は目視で素材別に織物をある程度分類することができる.本研究ではこれらの織物の色柄のカラーイメージを調べると共に,素材の判別ができる方法を確立するための,基礎的知見を得ることを目的とする.
    方法 34種類の綿色柄布,56種類の羊毛色柄布および40種類の絹色柄布についカラースキャナを用いて画像を取り込んだ.sRGBカラー画像は色彩画像解析により,L*(明度)画像,C*(彩度)画像,h(色相角)画像に変換し,それぞれのヒストグラムから明度平均(AVE-L*),彩度平均(AVE-C*)および色相角平均(AVE-h)を求めた.また目視による色柄の素材判別や,「重い―軽い」,「深い―浅い」といった計8項目からなる色柄のカラーイメージについて,5段階で官能評価を行った.
    結果 色柄による素材判別において,綿布・絹布はすべての試料について,羊毛織物は1つの試料を除いて,目視によって素材の識別が可能であることが分かった.官能評価による色柄のカラーイメージ評価の結果と色彩情報量との関係から,重軽感,深浅感,明暗感,鮮明感は明度平均(AVE-L*)との関係において相関係数0.7以上の有意な結果が得られた.このことから,色柄の重軽感,深浅感,明暗感,鮮明感が明度平均の一次関数として表すことができた.
  • 雨宮 敏子, 仲西 正, 小林 泰子
    セッションID: 2P-50
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 異なる銅塩を用いて媒染染色した綿布と羊毛布について,エタンチオールに対する消臭性を,炎光光度検出器を用いたガスクロマトグラフ(FPD-GC)法から得られた結果より考察する.また,得られた試料布に対する紫外可視反射スペクトル測定から,布や染料への銅の担持状態について検討する.
    方法 綿ブロードとウールモスリンをC.I. Direct Red 28を用い,3%owf,浴比1:30で染色した.助剤として無水硫酸ナトリウムを用いた.染色後,2%owfの硫酸銅(II),酢酸銅(II),塩化銅(II),硝酸銅(II)水溶液中で媒染処理を行った.媒染条件は浴比1:30,常温24 時間または85℃30 分とした.調製した試料布について紫外可視反射スペクトル測定を行った.試料布を入れたテドラーバッグに既知濃度のエタンチオールを含む空気を導入後,FPD-GC法でエタンチオールとジエチルジスルフィドの濃度を経時的に測定,エタンチオール初期量からの差引により算出した布への吸着量と合わせ,消臭過程を追跡した.
    結果 染色および媒染濃度,浴比,温度条件が同じ場合,調製した試料布の含銅量は綿布と羊毛布ともに,硝酸銅<塩化銅<硫酸銅<酢酸銅の順で多かった.酢酸銅で媒染した場合,高温処理により銅が他とは異なる様式で担持されていることが反射スペクトル測定から示唆された.いずれの媒染染色布にも消臭効果が認められたが,必ずしも含銅量に依存しなかった.媒染浴のpH,化学的安定性などが影響しているものと考えられる.
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