一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
66回大会(2014年)
選択された号の論文の274件中101~150を表示しています
ポスターセッション 5月25日
  • -品種における違いを検討-
    高橋 真美, 香西 みどり, 露久保 美夏
    セッションID: 3P-19
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 これまでに、デンプン分解酵素の米粒内局在,炊飯過程における炊飯液への溶出の有無について確認されている。そこで,炊飯過程の米粒と炊飯液における米内在性酵素の活性と化学成分の生成メカニズムについてより詳細に検討することを目的とし、コシヒカリ、日本晴,羽二重糯を試料として品種間における違いを明らかにした。 
    方法 米に加水、浸漬後、昇温中に40℃、および60℃に達した時点で米粒と炊飯液に分離し,それぞれから粗酵素液を調製して、可溶性デンプン、米デンプン、マルトースを基質として加水分解酵素活性を測定した。同温度で昇温中に分離し、それぞれを各温度で保持した時の還元糖量、遊離糖量、遊離アミノ酸量の変化を経時的に調べた。また、味付け飯のモデル実験として、塩化ナトリウム、クエン酸、醤油を添加して炊いた飯の成分分析を行った。
    結果 40℃、および60℃で分離した米粒粗酵素液、炊飯液粗酵素液ともに、いずれの品種においても活性が認められたが、品種によって基質に対する働きの強さが異なっていた。温度保持については、米粒では糖量、遊離アミノ酸量に経時的な増加が見られたが、炊飯液中では見られず、酵素の溶出量が少ないことが示唆された。また、調味料を添加した飯の糖量や遊離アミノ酸量は、白飯と有意な差は見られず、塩や醤油の添加が米飯の化学成分の生成に与える影響は少ないことが示唆された。
  • 後藤 昌弘, 岩田 惠美子, 大久保 郁子, 森 一幸, 中尾 敬
    セッションID: 3P-20
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    [目的]ジャガイモは,栄養学的に優れた食品であり,様々な調理や加工に用いられている。本研究ではジャガイモの品種による調理方法と食味の構成要因を解析することから様々な調理法に適した品種を探求することを目的とし,西南暖地の主要産地である長崎県産の品種・系統について種々の物理化学的調査及び官能検査を実施した結果について報告する。
    [方法] 平成25年度秋作のニシユタカ,デジマ,アイユタカ,さんじゅう丸,西海31号の育成品種,品種登録前の育成系統西海37号,西海40号の7品種系統をそれぞれ,蒸す,ゆで,レンジ,焼き,揚げ加熱で調理した。加熱試料について「ニシユタカ」を標準試料として色,香り,口当たり,甘み,苦み,おいしさ,総合評価の項目について官能検査(評点法)を行った。また,加熱前後の試料の遊離還元糖,アミノ酸,フェノール物質含量と加熱試料のテクスチャーの測定を行い,これらの関係を調べた。
    [結果] 「デジマ」は揚げ加熱で還元糖含量が多かった。「アイユタカ」(黄肉)は蒸し加熱で他の品種に比べ色の評価,総合評価が高かった。「さんじゅう丸」は加熱法による差はみられなかった。「西海31号」(赤肉)は全ての加熱法で色の評価が低かった。「西海37号」は揚げ加熱で還元糖含量が多く,レンジ加熱で色の評価が高かった。「西海40号」はレンジ加熱を除くと標準試料に比べ,口当たりの評価が高かった。
  • 岩田 惠美子, 後藤 昌弘, 大久保 郁子, 西中 未央, 森 元幸
    セッションID: 3P-21
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 多くの品種が作出されているにもかかわらずジャガイモは未だに男爵薯,メークインが主要品種である。これは,消費者の品種に関する認知の低さと調理性などのアピールの不足に起因すると考えられる。品種にあった調理方法を明らかにすることは品種普及の一助となると考えられる。本研究ではジャガイモの調理方法と食味の関係およびその構成要因を解析することから様々な調理法に適した品種を探求することを目的とし,手始めに北海道産数品種を用いて種々の調理を行い,官能検査を行うとともに化学成分を調べた結果について報告する。
    方法 10月に収穫し,低温庫で翌年3月まで貯蔵した男爵薯,メークイン,トヨシロ,はるか,ピルカの5品種について,蒸す,ゆで,レンジ,焼き,揚げ加熱で調理した。これらの加熱試料について男爵薯を標準試料として色,香り,口当たり,甘み,苦み,おいしさ,総合評価について官能検査(評点法)を行った。また,加熱前後の試料の遊離還元糖,遊離アミノ酸,フェノール物質の含量を求め,これらの関係を調べた。
    結果 遊離還元糖含量はトヨシロが5品種中最も低く,メークイン,はるかで高かった。また,還元糖の増加はいずれの品種も「焼き加熱」と「揚げ加熱」で大きい傾向にあった。官能検査ではメークインとはるかは加熱法による差はみられなかった。トヨシロは,「揚げ加熱」の評価が高く,ピルカは色(黄肉)の評価が高かった。
  • 橋本 多美子
    セッションID: 3P-22
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 これまで芋焼酎粕を有効利用することを目的にパンへの利用を検討してきた。芋焼酎粕は食物繊維を豊富に含むことから、現代において不足しがちな食物繊維の補給源としての利用が期待される。本研究では芋焼酎粕の添加が製パンに与える影響について検討した。 方法 芋焼酎粕粉末を強力粉に対して2,5,7,10%置換配合し、芋焼酎粕パンを調製した。対照として芋焼酎粕無添加パンを用いた。これらのパンについて比容積、色調を測定し、電子顕微鏡による組織観察を行った。さらに、破断測定・テクスチャー測定・クリープ測定を行い、芋焼酎粕パンの物性について検討した。 結果 色の測定では、芋焼酎粕パンは無添加パンに比べてL*値は低く、a*値およびb*値が高かった。比容積は芋焼酎粕の添加量が増えるにつれ有意に小さく、5%以上の添加で膨化の抑制がみられた。電子顕微鏡観察では芋焼酎粕の添加量に応じてグルテンの形成能は低い傾向を示した。一方、芋焼酎粕パンは、無添加パンに比べて硬さ応力は有意に大きく、凝集性は低かった。さらに、芋焼酎粕パンの弾性率は高く、粘性率は低い傾向を示した。以上の結果より、芋焼酎粕は5%まではパンへの添加が可能であった。また、芋焼酎粕パンは、硬さはあるが、噛み切りやすい食感であることが示された。
  • 長坂 慶子, 笹田 怜子, 川﨑 雅志, 千葉 啓子, 猿渡 英之, 中塚 晴夫, 渡辺 孝男
    セッションID: 3P-23
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 黒千石は黒大豆の小粒品種で,1941年以前に北海道で収集され,岩手県では1998年頃に実需関係者の主導によって導入され,県外大手納豆業者との契約栽培によって生産されている.規格外豆は豆腐などの加工品の原料として利用しているが,おからなどの残渣が大量に出るためその処理方法が課題となっている.本研究では,規格外豆をそのまま消費する方法として粉末化したもの(きな粉)をパン材料の一部代替品として利用することについて検討した.
    方法 パンは強力粉100%に対して砂糖6.0%,脱脂粉乳5%,ショートニング3.8%,塩1.8%,ドライイースト1%,水75%加えて調製したものを標準とし,強力粉の10~30%を黒大豆きな粉で置換した.ホームベーカリーで調製し,一次発酵後の生地の膨化率、パンの高さ,比容積,クラムの色調,水分含量,物性を測定した.官能評価により嗜好性についても調べた.
    結果 黒大豆きな粉添加量10%では生地の膨化率,パンの高さ,圧縮応力の値には標準パンと大きな違いは無く,ほとんど影響はみられなかった.添加量20%以上では生地の膨化率,パンの高さ,比容積は有意に低くなり,また圧縮応力の値は顕著に高くなった.水分含量には添加量の影響は見られなかった.色調は茶褐色が強くなる傾向がみられた.添加量30%のパンは硬く膨らまないことから,黒大豆きな粉は添加量20%までが色調,味、硬さにおいてパンとして許容される範囲であることがわかった.
  • 小出 あつみ, 間宮 貴代子, 山内 知子, 阪野 朋子, 松本 貴志子
    セッションID: 3P-24
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 愛知県岡崎市名産の八丁味噌は赤褐色で発酵臭があり,濃厚なうま味と渋みを持つ個性的な味噌である.本研究は八丁味噌を使用した新たな菓子とパンの商品開発を試み,その特性と嗜好性について検討した. 方法 味噌は無添加豆味噌を使用した.菓子とパンは洋菓子類,和菓子類およびパン類に分類して,栄養価と原価を求めた.官能評価はパネリスト16人を対象に8項目ついて「八丁味噌の特性を生かせているか」を5点尺度の評点法で評価した.嗜好評価として好きな順番に1位~3位までを選んだ.データはTukey法による多重比較検定を行い,統計的有意水準を5%で示した.結果 官能評価の結果から,加熱しない味噌は酸味が強く,塩辛く感じることが示され,味噌を入れた生地では味噌の味と香りが減少した.調製時に砂糖との味のバランスに配慮する必要性を認めた.評点法(総合)と嗜好評価の上位5位の中に共通して芋プリン味噌カラメルかけ・味噌ダックワーズ・味噌シフォンケーキ・味噌鬼まんじゅうが入ったので,これらの菓子は味噌の特性を活かした好まれる菓子だと考えられた.以上の結果から,総体的に八丁味噌の使用は洋菓子類で評価が高く,薄力小麦粉,乳製品,砂糖,卵を使用することで味噌の塩辛さをまろやかにして八丁味噌の特性を活かした好まれる菓子となることが示され,今後の商品開発に向けて有用な資料を得た.
  • 亀岡 麻依子, 柘植 光代, 岩崎 裕子, 大須賀 彰子, 大越 ひろ
    セッションID: 3P-25
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 近年,食べ物のまとまりをよくするために短時間の撹拌操作のみでゲル化するゲル化剤の開発が行われている。また撹拌のみでゲル化した試料は泡沫を含むゲルとなる。そこで本研究では,撹拌操作のみでゲル化するゲル化剤を用い,含泡ゲルの力学的特性に及ぼす撹拌条件の影響について検討を行った。
    方法 無調整豆乳に市販ゲル化剤を2(w/w)%添加し,異なる器具を用いて30秒撹拌し,20℃の恒温器内で60分静置し,含泡ゲル試料を調製した。器具は,回転数が異なる撹拌を得るため,手動hd(回転数5回/秒),バーミックスba(回転数12,000回/秒)およびフードミルfm(回転数18,000回/秒)の3種とし,含泡ゲルのテクスチャー特性と比重を測定し,併せて顕微鏡観察を行った。
    結果 含泡ゲルのテクスチャーの硬さはfm試料が他の試料に比べて有意に高値を示し,hd試料が有意に低値を示した。付着性はfm試料が他の試料に比べて高値を示した。器具の回転数が上がるにつれ硬さと付着性は大となり,テクスチャー特性との間に関係性が認められた。比重はhd試料が他の試料に比べ有意に高値を示し,ba試料が低値を示した。顕微鏡観察により泡の状態をみたところ,hd試料は小さな気泡が不均一に分散していた。また,ba試料は大きさが異なる気泡がみられ,fm試料は小さな気泡が不均一に分散していた。このため,ゲル中に分散している気泡の状態が撹拌条件により異なり,テクスチャー特性と比重に影響している可能性が示された。
  • 棚橋 亜矢子, デュアー 貴子
    セッションID: 3P-26
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 コーヒーが初めて日本に入ってきた安政2年から159年後の今、コーヒーは世界中で市民権を得た飲物となってきている。しかし、コーヒー飲用には年齢によって差が見られ、コーヒーを苦手とする若者も多い。そこで、本調査においては、女子学生のコーヒー嗜好を官能評価によって調査すると共に、コーヒーの飲用実態についても調査することを目的とした。方法 女子学生400名を対象にコーヒー飲用に関するアンケート調査を行った。また女子学生20名を対象にクローズドパネル法にて官能評価を実施した。インスタントコーヒーと、これと同様の味わいに調整した豆からドリップ抽出したコーヒーの比較は3点識別嗜好試験、豆を浅煎、中煎、深煎してドリップ抽出したコーヒーの嗜好性は順位法によって判定した。データ処理にはSPSSを用い、コーヒー嗜好の比較及び3点識別嗜好試験はχ検定、順位法はノンパラメトリック検定を行った。結果 女子学生の多くは日常、緑茶を好んで飲用し、コーヒーの嗜好性は低い現状であった。コーヒーが嫌いと回答する割合も24.1%であった。よく飲用するコーヒーは、インスタントコーヒー、外出時食後、缶コーヒーの順であり、54.3%がミルクと砂糖を入れたコーヒーを好む傾向であった。また、女子学生の90.5%がコーヒー摂取によって何らかの効能があると考えており、眠気解消やリラックスしたい時に意識的にコーヒーを飲用していた。嗜好としては深煎ドリップコーヒーを好む傾向がみられた。
  • 真部 真里子, 大門 樹, 望月 悠里, 西村 公雄
    セッションID: 3P-27
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 食塩の過剰摂取は、生活習慣病予防の見地から食生活の重要な改善点である。しかし、好みより低い塩分濃度の食事は嗜好性を著しく低下させる。そのため、おいしい減塩食の調理法の確立が必要である。近年、味とにおいの相互作用に関する研究により、食経験によって塩味と結びつけて記憶されたにおいは塩味を誘発することが示唆された。味噌は、日常的に使用される伝統的調味料の一つで、塩味とうま味に加え、特有のにおいをもつ。そこで、味噌のにおいが日本人の塩味の認識に影響するのではないかと考え、自作の装置を用いて味噌の後鼻腔経由のにおいによる減塩効果について検討した。
    方法 T字管の左端を試料Aの入ったインピンジャーに、下端を試料Bの入ったカップに連結し、右端から吸い込むと、試料Aのにおいと試料Bを同時に口腔内に導入できる装置を作成した。20歳代女性を被験者とし、この装置を用いて、2点比較法による官能評価を実施した。試料Aを米味噌(短期・長期熟成)、麦味噌、豆味噌、試料Bを0.62-1.00%NaCl溶液として被験者に提供し、におい刺激の無い0.80%NaCl溶液と飲み比べてもらい、より塩味が強いもの、より塩味が好ましいものを回答してもらった。
    結果 プロビット法で解析した結果、明確な塩味増強効果を示す味噌のにおいは無かったが、豆味噌のにおいには塩味増強傾向が認められた。好ましさについては、2項検定の結果、試料Bが0.70%NaCl溶液の場合、米味噌(短期・長期熟成)と麦味噌のにおいにおいしさ向上効果が認められた。 
     本研究は、2013年度同志社女子大学研究助成金により行った。
  • 小寺 真実, 安藤 愛, 久保 加織
    セッションID: 3P-28
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 本研究では、和風料理の一つであるうどんをとりあげ、その摂食による食塩の摂取量について実測値を用いて評価した。また、食塩摂取量を評価するための測定方法ついても検討した。
    方法 かけうどんを滋賀大学学生42名に、つけうどんを16名に実食してもらった。かけうどんは自由に食べる方法(かけ自由)と汁を飲まないように食べる方法(かけ制限)、つけうどんは自由に食べる方法(つけ自由)で、それぞれ3回実食した。うどん実食後のかけ汁、つけ汁の食塩量を、Clイオンを測定する沈殿滴定(モール法)、Naイオン電極法を用いた食塩濃度計、電気伝導率(EC)を用いた食塩濃度計により定量した。また、対象者に塩分の嗜好性に関する聞き取り調査を実施し、38名から回答を得た。
    結果 塩分測定方法を検討した結果、モール法、食塩濃度計(Naイオン)、食塩濃度計(EC)での測定値の間にいずれも高い相関が認められた。高血圧の要因として問題視されているのはナトリウムであることや、添加物にはナトリウムを含むものが多いこと等を考えると、食塩濃度計(Naイオン)が最も良い塩分濃度測定方法であると考え、本研究では、食塩濃度計(Naイオン)で得られた値を用いた。食塩摂取量は、かけ制限でかけ自由とつけ自由に比べ低くなった(p<0.001)が、塩分を気にするかどうかと食塩摂取量の間に関係がみられなかった。塩分摂取の制限は、食べ方を気にするだけで実現できる可能性が示唆されたが、塩分を気にしているだけでは、食塩摂取量を低くするような食べ方につながらず、減塩効果は得られにくいことも明らかになった。自分の食塩摂取量の現状を知り、具体的に食べ方を意識することが重要である。
  • 早川 文代, 風見 由香利, 神保 聡子, 浦田 貴之
    セッションID: 3P-29
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 こめ油は米糠を原料とする油脂で,稲の有効利用という利点に加え,酸化安定性の高さや,さらっとした風味から,市場ではプレミアムオイルとして高価格で取引されている.しかし,その官能特性は定量的には示されていない.そこで本研究では,官能評価の一手法であるTime-Intensity法によって,未加熱のこめ油の風味強度の特徴を明らかにすることを目的とした.
    方法 製造直後のこめ油,とうもろこし油,なたね油,パームオレイン油を試料とし,訓練された8人のパネリストに油の風味強度を評価させた.試料3.3gを口に入れて10秒間口に含んだ後吐き出し,180秒後まで,油の風味強度を可動域10cmのTIスイッチで継続して評価させた.波形から,最大強度(Imax),最大強度の時間(Tmax),TI曲線下面積(AUC),全応答時間(Ttot),30,60,90,120,150秒における強度(I30,I60,I90,I120,I150)を算出した.
    結果 強度に関するパラメータは,いずれの時間においても,とうもろこし油が高かった.また,Imaxはパームオレイン油が最も低かった.こめ油は,Imaxは中程度であるが,Imax後の強度の低下が早い傾向にあり,後味の残りにくい油であることが示唆された.また,各TIパラメータを変量として主成分分析を行ったところ,第1主成分は「風味の強さ」,第2主成分は「風味の早さ」と解釈できるマップが得られ,こめ油の風味強度の摂食中の時間的な特徴を示すことができた.
  • 神保 聡子, 浦田 貴之, 風見 由香利, 早川 文代
    セッションID: 3P-30
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 こめ油は米糠を原料とする油脂で,加熱による酸化重合物の生成が少なく,また,油酔いしにくいことが知られている.加熱後の風味のよさからも市場では高価格で取引されているが,その官能特性は定量的には明らかにされていない.本研究では,前報告に続き,官能評価の一手法であるTime-Intensity法によって,加熱したこめ油の風味強度の特徴を調べた.
    方法 180℃まで加熱したこめ油,とうもろこし油,なたね油,パームオレイン油を試料とし,訓練された8人のパネリストに油の風味強度を評価させた.試料0.3gを口に入れ,180秒後まで,油の風味強度を可動域10cmのTIスイッチで継続して評価させた.波形から,最大強度(Imax),最大強度の時間(Tmax),TI曲線下面積(AUC),全応答時間(Ttot),30,60,90,120,150秒における強度(I30,I60,I90,I120,I150)を算出した.
    結果
     強度に関するパラメータは,いずれの時間においても,なたね油が高く,未加熱油とは異なる傾向であった.こめ油は,Imaxは中程度で,60秒以降の強度が低く,後味の残りにくい油であることが示唆されたが,その傾向は未加熱油ほど顕著ではなかった.また,各TIパラメータを変量として主成分分析を行ったところ,未加熱油と同様に,第1主成分は「風味の強さ」,第2主成分は「風味の早さ」と解釈するマップが得られ,加熱こめ油の風味の摂食中の時間的な特徴を示すことができた.
  • 新潟における豆腐屋の数と分布の50年史
    高橋 洋子
    セッションID: 3P-31
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 各種資料を通じて衣食住の変遷を可視化する試みの一環として,本報では,地域で製造・販売(店頭・行商)されていた豆腐が,次第に製販分離・広域流通化していった経緯について,身近な地域を例に検証した.
    方法 厚生労働省統計「衛生行政報告」をもとに,豆腐製造業の営業施設数(全国・県・政令指定市)の変遷を調べた.職業別電話帳をもとに,調査対象とした地域内における豆腐屋の数および所在地の変遷を調べた.豆腐屋の所在地を住宅地図にプロットし,豆腐屋の減少を10年程度の間隔で図示するとともに,各時点における豆腐屋の分布・立地等について考察した.
    結果 新潟市中心部(新潟島地区:面積約10km,人口約6万人)を対象とした調査結果を示す.(1)職業別電話帳に掲載されていた豆腐屋の数は,1955年から10年毎に,8・22・21・17・11・5であった.1955年の店舗数については,当時の電話普及率を勘案する必要があるが,それ以降については,厚労省統計のデータに概ね合致する傾向と考えられた.(2)豆腐屋が住宅地にも広く分布していた様子を,過去の住宅地図で確認でき,豆腐が地域密着型の食品であったことが示唆された.他県で製造された豆腐を主体に販売しているスーパーなども多い昨今,豆腐の広域流通化の実態・背景・影響を周知したい.また,今後,豆腐の消費に特徴がみられる他県・他地域を対象に,同様の分析を行い,豆腐の生産・流通・消費にみられる地域性について検討する.
  • 島田 玲子, 田島 亜希子, 四分一 厚志
    セッションID: 3P-32
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    <目的>私たちは食べ物を食べるよりも前に,色や形などからその食品の情報を得る。特に色はおいしさに与える影響が大きいと言われているが,実際に味覚に影響を及ぼすのであろうか。本研究では,4色に着色した団子,および3色に着色したコップを用いて,食品や食器の色が味に及ぼす影響について検討した。
    <方法>食品の色の及ぼす影響の検討には,食用色素で赤・黄・緑・チョコ色に着色した団子を用いた。それぞれの団子に砂糖23%(甘味団子),または食塩0.89%(塩味団子)の味付けをし,白色の団子との比較による官能評価を行った。食器の色の及ぼす影響の検討には,プラスチックカップを赤・黄・緑色に塗り,評価に用いた。試料は5%ショ糖水溶液(甘味液),0.13%クエン酸水溶液(酸味液),市販清涼飲料水57%水溶液(混合味液)とし,赤に対する比較評価,試飲の順序効果の検討を行った。
    <結果>食品の色の及ぼす影響では,色によって白に比べて甘味が強い,または塩味が強いという回答が多いものもあったが,同じという回答も同様にあり,色による甘味・塩味の感じ方への影響は認められなかった。食器の色の及ぼす影響でも,色と味の感じ方に明確な関連は見られなかった。しかし,同色のコップ2個で飲んだ時よりも色の異なる組み合わせで飲んだ時の方が,最初に飲んだ方をおいしいと回答する割合が低くなり,コップの色の影響が考えられた。
  • 橋本 三奈未, 大木 愛, 斉藤 美沙, 木川 眞美
    セッションID: 3P-33
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 人間の五感は、「視覚」に依存する割合が大きい。視覚は食物の好ましさの判断を最初に行うことが多く、味や口触りに対し優先的な先入観を与え、美味・不味の評価を左右すると言われる。そこで本研究では飲料を用いた官能評価を行い、カップの色が飲料の味に及ぼす影響について調査した。方法 2種類の飲料、紅茶(ジャワティ)・オレンジジュース(果汁100%)を用いて、甘味・渋味・苦味・酸味・爽快感等の10項目について、暖色系(赤・オレンジ・黄色)と寒色系(黄緑・青・紫)のグループに分け官能評価を行い、点数化し評価した。また、飲料の好ましさの順位をつけてもらった。官能評価後に自記式質問用紙にて、嗜好・色の好み等について質問した。結果 多くの項目でオレンジジュースの評価が高いが、渋味と苦味はジャワティが上回った。またカップの色によって味の感じ方が異なるかについては、ジャワティは寒色系カップの方が甘味・旨味・飲み易さの項目で評価が高かった。一方オレンジジュースは甘味と濃さが暖色系カップの評価が高く、渋味と苦味は寒色系カップの方が評価が高かった。この4項目で有意差がみられ(P<0.05)、飲料の種類(味)によってカップの色の影響に違いがあると示唆された。それぞれ2種類の飲料のカップで好ましさの順位を点数化したところ暖色系は2種類とも飲料の色とは反対の色が一位になり、寒色系はどちらも緑が一位になった。
  • 川嶋 比野, 数野 千恵子
    セッションID: 3P-34
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 我々はこれまで白地に青色の絵柄の皿を用いて、絵柄の種類や配置が和食に与える影響を調査し、報告してきた。従来検討した「青色」は、染付皿に多く見られる一般的な色としていたが、実際の「青色」の範囲は広く、染付皿の種類によっても様々な色が存在する。そこで、おいしそうに見える「青色」を見つけるため、青色の色相,明度,彩度を変化させ、食欲に与える影響について調査を行った。方法 昨年度までの研究で報告した(日本家政学会第63~65回大会)、食欲をより増進させる青色の割合、絵柄の種類、大きさ、配置にしたがって皿のデザインを決め、総柄の主菜用の丸平皿及び、部分柄の副菜用の丸平皿と魚用の四角平皿を作成した。絵柄の青色は、染付皿として頻度の高い色を基準色とし、色相を緑方向に変化させたものを青緑色、彩度と明度を下げたものを低彩度色として皿の画像を作成した。料理は給食で喫食頻度の高い料理を各皿に2~3種類用意して撮影し、皿の画像と合成してアンケート用画像とした。女子大生142名を対象に、どの程度食欲を増したか評点法及び順位法によりアンケート調査を行った。結果 最も評価が高かったのは全ての料理で基準色であり、次いで低彩度色、青緑色であった。基準色と他の色の間には全ての料理において有意差がみられた。盛り付け面積が大きい五目寿司と肉野菜炒めでは、比較的低彩度の皿の評価も高かったが、フルーツであるウサギリンゴと料理自体の彩度が低いカレイの煮付けでは、低彩度色の評価は悪かった。以上のことから、本研究で用いた3種の「青色」の中では、基準色として用いた色が最も食欲を増進させる「青色」であることが示唆された。
  • 佐藤 了子, 長嶋 智子, 佐藤 恵
    セッションID: 3P-35
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
  • 三宅 紀子, 青木 智絵
    セッションID: 3P-36
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 現代社会では、生活様式、家族形態の変化などにより、食生活が大きく変化し、地域・家庭の食文化が衰退しつつあると言われている。伝統的な行事や行事食については実行されなくなるものが増加している中で、正月料理は、喫食率や認知度は高い。現代の家庭での正月料理に関する実施状況と意識について調べ、現在の正月行事の存在意義と継承について考察した。
    方法 平成2013年10月に東京家政学院大学の学生90名を対象として正月料理について調査用紙によるアンケート調査を行い、その結果を集計、分析を行った。
    結果 正月料理を、「毎年食べる」と答えた学生が83.3%、「毎年ではないが食べる」と答えた学生が12.2%であり、高い喫食率であった。元日の朝に食べると答えた学生がもっとも多く、三が日食べ続けた学生はわずかであった。お節料理については、代表的な伊達巻、数の子、昆布巻きなどの食品以外に、「刺身」や「ローストビーフ」の喫食率が高かった。正月料理の調理者は、母親が63名と最も多く、次いで祖母が33名となり、正月料理の調理は母から娘へ受け継がれていくことが推察された。正月料理の準備の仕方と将来の調理意欲には有意な関連が認められ、将来的に市販品を利用しながら正月料理を作っていきたいという学生が多いことが示された。正月料理は形を変えながら家庭で受け継がれていくことが推測された。
  • 性別・年代別調査
    佐藤 恵, 田中 ゆかり, 藤本 真奈美, 鴫原 正世
    セッションID: 3P-37
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 北海道は全国各地から移住してきた人々がそれぞれの出身地の行事食、伝統食を継承しながらそこにこの地の産物を加え、風土に適した工夫が重ねられ、郷土食として伝えられてきた。本研究は、郷土料理の一つである甘納豆入り赤飯について、これまでの本学学生への調査から一般的に好まれ食されていると示唆された結果1)を受け、調査対象者を学生の親戚・知人まで広げ性別・年代別の差異について調査し、北海道の赤飯文化の実態を明らかにすることを目的とした。 1)第64・65回大会要旨集
    方法 2009年~2011年の入学生に対し、12月~1月に『赤飯の聞き取り調査』を実施した。調査対象者は、本学食物栄養科学生の親戚、知人など1354名である。回答を性別・年代別に集計した。
    結果 本学学生の調査では、女子学生であるため甘納豆入り赤飯が好まれていたが、男性は女性に比べ甘いものを好まないのではないか、同性でも年齢が高い層は入植者の出身地の食生活の影響を受けるのではないかとの仮説を立て調査した結果、好む赤飯は「甘納豆入り赤飯」男性48%・女性50%、「小豆の赤飯」男性27%・女性23%、「両方」男性25%・女性27%となり、男女差はほとんどみられなかった。年代別に見ると、学生世代に比べ、年齢が高い層では「甘納豆」と「小豆」の好みの差は小さい傾向が見られたが母数に差があるため、今後、性別・年代ごとの母数を揃え、差異について傾向を見ていきたい。
  • 『日本の食生活全集』を中心に
    櫻井 美代子
    セッションID: 3P-38
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 関東地方の東京都・神奈川県・千葉県・埼玉・茨城・栃木・群馬における、粉食の中の小麦粉食に注目し、関東の地域性について、料理の呼称、日常性・非日常性等の違いがあるかを目的とする。
    方法 中心的資料として、大正の末期から昭和初期を対象に全国的に記載のある聞き書き『日本の食生活全集』(農村漁村文化協会)より関東7都・県(7冊)を使用し、目的の小麦粉食の料理の呼称・内容について、日常性や非日常性に注目し、調査検討を行った。
    結果 これまでに、粉食の中の小麦粉食の“うどん”について注目し全国の地方別に食べ方等について、また関東における小麦粉食についても報告を行った。今回は粉食の中の米粉に視点おき関東地方において調査・検討を行った。 米を粉にしての利用の仕方には、ほぼうるち米の粉として、うるち米から粉に下上等なしん粉(上新粉)とくず米を粉にしたものとに分けられ、もち米も粉にもするが、ほとんどがうるち米からのものであった。どちらの県においても、しん粉はだんご類(月見・彼岸・繭玉など)や草もち(三月節句)やかしわ餅(端午の節句)・粉もち(正月他)などにも用いられていた。またくず米の粉を用いたものはだんごやもち類であってもほとんどが日常の食事や間食であった。 
  • 菅野 友美, 新出 祐希穂
    セッションID: 3P-39
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的近年,米の消費が減少し,用途拡大のため米粉食品が注目されている.しかし認知度に比べ,普及が伴っていないのが現状である.そこで,米粉に対する意識を探り,米粉の実態を明らかにすることを目的とし,大学生を対象として米粉に対する認知度や米粉パンのイメージについて調査するとともに,米粉パンと小麦粉パンの官能検査を行った.
    方法調査は大学生85名(男39名 女46名)を対象とし,2012年10月に米粉に関するアンケートを実施した.パンはホームベーカリー(National製 SD-BT102)を用い,小麦粉パン(コントロール)と小麦粉の一部を米粉で10-30%置換した米粉パンを作成し,比容積を測定した.また7段階評点法による官能検査を行った.
    結果大学生の米粉食品の認知度は高く,摂食経験も多かった.米粉のイメージは小麦粉パンから独立したイメージを確立しており,もちもち感や白いなど米飯に対するイメージを連想している傾向がみられた.米粉パンの官能検査では,パンの美味しさは味よりも,もちもちとした食感であることがわかった.比容積は配合割合が高くなるほど低下し,弾力性が増したことから,比容積低下による弾力性がもちもち感につながるのではないかと推察した.また,米粉パンは小麦粉パンより黄色い官能結果となり,意識調査での米粉パンは白いというイメージは実態の伴わない先入観の可能性が示唆された.
  • 平島 円, 堀 光代, 磯部 由香, 長野 宏子
    セッションID: 3P-40
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 現在の大学生や短期大学生は,料理をする機会が少なく,調理への意識や調理技術が低いことは当然となりつつある.そこで本研究では,大学で行われる調理実習の履修により,調理に対する意識の変化について検討した.
    方法 2008~2012年の4月に大学および短期大学に入学した新入生467人を対象とし,調理の意識と知識に関するアンケート調査を行った.また,半期間の調理実習を履修後にも同様のアンケート調査を行い,その変化について分析した.
    結果 調理実習履修後の料理頻度を履修前と比べて「変わらない」と回答した学生が61.9%だった.また,「増えた」と回答した学生は35.6%だった.入学時と比較すると「ほとんどしない」学生が減り,「週1~2回料理をする」学生が増えたが,全体では料理頻度に大きな変化はなかった.学生がよく作る料理にはカレーライスやオムライスが多く挙げられ,入学時と調理実習履修後で差はなかった.調理実習で行った料理形式では西洋料理に人気があったが,実習で行った料理のうち,家で作られたものは日本料理が多かった.しかし,実習後に家で作られた料理は,よく作る料理には挙げられておらず,日常的に作る料理としては定着しなかった.調理実習の履修による大きな変化は得意料理が増えたことだった.入学時に得意料理を持つ学生は28.6%だったが,履修後には46.5%に増えた(p < 0.01).調理実習を履修すると学生は料理することに自信がつくと考えらえる.
  • 生活をより豊かにするためのリーフ緑茶の活用を目指して
    松山 洸一, 白杉(片岡) 直子
    セッションID: 3P-41
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 茶葉から淹れる緑茶(リーフ緑茶)の飲用は長らく日常生活の一部であったが,市販緑茶飲料の普及などにより,その消費量は減少している.しかし,リーフ緑茶は市販緑茶飲料に比べ,情緒的な効用を期待される側面が強いため,我々の生活を豊かにするための活用が考えられる.本研究では現在のリーフ緑茶消費の実態および飲用理由を明らかにすることを目的とした.
    方法 2012年9~10月,2013年7~10月に関東地方とその隣県の住民を対象に質問紙調査を実施し,10代半ばから90代までの389名の有効回答を得た.調査内容はリーフ緑茶を飲む頻度や嗜好性,飲む時間帯,飲用理由とした.飲用理由に関する項目については因子分析を実施した.全ての質問で男女差・年代差の検討を行った.
    結果 どの年代の回答者もリーフ緑茶に対する嗜好性を有していたが,飲む頻度は年代が下がるにつれ低くなり,特に若者では食事時の飲用割合が顕著に低かった.飲用理由に関しては,「精神の調整」,「緑茶への親しみ」,「食との相性」,「身近な飲み物」,「体温の調節」の5因子が抽出された.高年齢層では情緒や文化的な価値を重視しているのに対して,若者では「緑茶への親しみ」の度合いが低く,「体温の調節」といった機能性をリーフ緑茶に求めていることが特徴的であった.以上より,リーフ緑茶の飲用理由は飲用実態と共に変化していることが示唆され,活用に繋がる基礎的情報を得ることができた.
  • 短期大学生と小学生保護者へのアンケート調査
    中澤 弥子
    セッションID: 3P-42
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】本研究の目的は、戦後、導入された学校給食の牛乳について、文化的・社会的な影響等を検証し、今後の学校給食における牛乳利用について検討することである。
    【方法】学校給食と牛乳導入の歴史については、乳業関係会社の社史、学校給食に関する史誌や統計資料、調査資料等を広く収集して調べた。学校給食と牛乳摂取に関する意識、実態については、学校給食と牛乳摂取に関するアンケート調査を、学校給食の経験者である長野市内のN短期大学学生と3小学校の保護者を対象に実施した。
    【結果】危機的な食料不足と学童の深刻な栄養失調を背景に、旧日本軍の保管食料やララからの救援食料をもとに再開した学校給食では、脱脂粉乳のミルクが導入された。「学校給食法」にも、脱脂粉乳のミルクは、学校給食の基本的メニューとして奨励され、小児の栄養改善のため最も費用効果的な方法の1つと考えられ継続されてきた。昭和32年度より、国策として国産牛乳が学校給食で使用されるようになった。アンケート調査の回収率は、小学校85.4%、短期大学100%であった。米飯給食のとき、牛乳を「全く抵抗なく飲んでいる」という設問に小学生78.9%、短期大学生64.5%、「少し抵抗はあるが飲んでいる」に小学生15.8%、短期大学学生25.6%の回答が得られた。その他、牛乳飲用の時期等、今後の学校給食での牛乳利用に関する資料が得られた。
  • 神谷 麗奈, 中村 由紀子, 平島 円, 磯部 由香
    セッションID: 3P-43
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 子どもにとって貴重な調理経験の場である家庭科の調理実習は子どもの興味・関心が高い授業であり、調理技能を身につけるためには良い学習形態である。しかし、グループによる調理や、系統性を考慮していない実習内容も多く、調理技能が確実に習得されているとは言い難い。そこで本研究では基本的な調理技能の習得を目的とした授業案を作成し、授業実践を行った。
    方法 調理技能の習得に重点をおいた食物分野の年間授業計画を作成した。今回は小学5年生を対象に平成25年4月から7月まで授業実践を行い、実践前後の質問紙調査により授業内容の有効性を分析した。調査の内容は調理操作の経験の有無とその自信度18問と食生活に関する質問9問である。
    結果 授業実践後の調理操作の自信度では18項目中「包丁で皮をむく」「包丁で野菜を切る」などの11項目が有意に上昇した(p < 0.05またはp < 0.001)。上昇した項目のうち「だしをとる」以外はすべて授業で行った操作だった。また自信度が大きく上昇した項目は家庭での実践頻度も多くなっていた。食生活に関する質問では「好き嫌いをせずに食べようとする」の1項目に有意差がみられた(p < 0.05)。食生活については調理操作ほど大きな変化はみられなかったが、調理操作の自信度が上昇したことから今回の授業内容は有効であったといえる。また、家庭での経験が調理操作の自信度の上昇につながることが示された。
  • 湯川 夏子, 堀 マリア
    セッションID: 3P-44
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 わが国で米の消費量は年々減少傾向にある。また、五感を使って味わう力を育成する味覚教育が注目されている。そこで本研究では、児童にお米を味わって食べようとする意欲増進を図ることを目的として、米を題材とした味覚教育を行った。
    方法 平成25年11月に小学校4学年2クラスを対象に各2時間の授業を行った。1校時目は、ゼリーを用いた味覚教育を行い、五感を使い味わう大切さを児童に理解させた。ゼリーは赤・黄・緑の着色料で着色し、それぞれイチゴ、レモン、メロンの香料で味付けした。2校時目は、3種のご飯(米)の食べ比べを行い、外観・におい等五感を意識しておいしさを比較した。授業の事前事後には、アンケートを自記式質問紙によって「おいしいお米とはどのようなものか(自由記述)」を記述してもらい、その回答の表現数を比較し、授業の有効性を検証した。
    結果 自由記述の一人あたりの表現の数を授業の事前事後で比較すると、両クラスともに有意な増加がみられた。五感に関する表現が多くなり、特に「もちもち、温かい、やわらかい」など触覚に関する表現の増加が顕著であった。授業の感想では、「五感を使ってよく味わうといつも以上に味が出てきておいしかった」など五感を意識して食べることで味わい方が変わるなどの記述がみられた。今後1回限りの授業ではなく、6年間を見通した系統的な味覚教育のカリキュラムにより指導を行う必要がある。
  • 家庭科を中心として
    岸田 恵津, 前田 美智子, 増澤 康男
    セッションID: 3P-45
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 生活習慣の確立を目指し,中学校1年時の家庭科を中心として学級活動や保健体育との連携を図った食育実践を行い,生徒の生活習慣に対する知識・理解や意欲,生活習慣自体がどのように変容するかを調べることを目的とした。 方法 1.実践の内容 兵庫県内公立中学校1学年3学級(96人)で実践した。中学校1年1学期の家庭科に「規則正しい食生活」を4回組み入れ,生徒自身による食習慣改善の目標設定が容易になるよう授業を工夫した。また,学級活動では生活ノートに朝食と就寝時間を記録する活動を取り入れた。夏休みの保健指導では,生活リズムを取り上げ,家庭科の補完的役割ももたせた。2.評価 学習過程で記入したワークシートの内容から生徒の学習を,また実践前後の生活調査の比較から生活習慣の変容を評価した。 結果 各授業後に実施したワークシートには,基本的な生活習慣についての自己課題や授業目標の内容理解を示す記述が多く見られ,知識・理解と改善への意識が向上することがわかった。実践前後の生活調査を比較すると,「早寝早起きをしようと思う」に有意差が,「食事で気をつけて実行していること」に有意傾向があり,いずれも良好な者の割合が増え,基本的生活習慣に対する意識の向上がみられた。また,授業以外の運動頻度や平日の勉強時間にも有意差があり,中学生の生活リズムに移行していることがうかがえた。しかし,朝食の内容には変化がなく,行動面での課題は残った。
  • 冨永 美穂子, 久保 愛子, 鈴木 明子, 梶山 曜子, 井川 佳子
    セッションID: 3P-46
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 食育推進活動3年目の中学生の生活習慣等を含む食生活状況とレジリエンス(健康な精神活動を維持するのに不可欠な心理特性)の高低との関係を性差,学年差を含めて分析したところ,レジリエンス高群の方が低群よりも健全な食生活を営んでおり,不定愁訴を訴える割合も低い傾向にあった(家政誌,60,461-471,2009).同様な傾向が別の中学校でも認められるか検討するとともに学校間比較を行った.
    方法 長崎県内および広島県内の公立SおよびT中学校において全校生徒を対象に実施された生活リズム,食生活,不定愁訴,レジリエンスに関する内容から構成されるアンケート調査の結果を使用した.欠損値を除くS中学校331名(男子167名,女子164名),T中学校634名(男子332名,女子302名)のデータを分析に用いた.レジリエンスについては因子分析を行い,抽出因子と食生活状況との関連性をクロス集計,分散分析等で性,学年,学校間において比較した.
    結果 S中学校生徒のレジリエンス測定項目を因子分析したところ,3因子が抽出され,自己肯定性,関係志向性,自己志向性因子と命名した.レジリエンス各因子高群の方が低群よりも健全な食生活を営んでいる傾向はT中学校における結果と一致した.S中学校においては調査時2年生の生徒に特徴が現れ,何らかの徴候を調査データから抽出できる可能性が示唆された.また,食育に力を入れ始めて3年が経過したT中学校の方がS中学校よりも食事への意識や関心が高く,継続的な食育支援効果も示唆された.
  • 大森 桂, 姉崎 千佳
    セッションID: 3P-47
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 生涯にわたる骨の健康のためには,成長期により高い骨量を得ることが重要である.本研究は,骨量の増大に効果的な健康教育の方法について検討するための基礎資料を得ることを目的とし,中学生を対象に,骨量の実測並びに食習慣,食に関する知識および食事内容等について調査し,骨量との相互関連性を分析した. 方法 調査対象は山形市内の公立中学校に通う2年生男女計210名であり,調査時期は2013年7~9月である.骨量は,超音波骨評価装置により踵骨の超音波音速および透過指標を計測し,音響的骨評価値(OSI)を算出した.また,小魚類や給食以外の牛乳等の摂取頻度,調査当日の朝食の内容,行事食や郷土料理に関する知識等について質問紙法により調査した. 結果 対象者のOSI(×106)の平均値は2.6±0.3であり,有意な性差は認められなかった.朝食内容について分類・集計した結果,男子は主食+主菜の組合せが最も多く,女子では主食+主菜+副菜または果物の組合せが最多であった.家族との食べ物に関する会話の多い群は少ない群に比べて郷土料理等の知識の得点が高く,さらに,男女いずれにおいても知識の高い群は,OSIも高い様子が見られた.このことから,成長期における骨量の増大には,家庭での食に関する会話を促し,子どもの食に関する知識を高めることが重要であることが示唆された.
  • 磯部 由香, 加藤 静香, 和田 みなみ
    セッションID: 3P-48
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 データロガーとはセンサーにより計測・収集した科学情報を計測し、そのデータを保有するための情報収集機器である。測定結果をグラフとして視覚化することにより容易に結果を理解できることから、科学的事象に関心を深め、科学的思考を高める上で効果的な機器である。主に理科実験の分野で活用されているが、本研究では家庭科食物分野での活用について検討した。
    方法 小・中学校で使用される家庭科の教科書から、データロガーの活用に適した単元を調査・検討した。その中から、かきたま汁とハンバーグを取り上げ、調理方法の指導の際にデータロガーを使用した調理実験を行う授業案を作成した。また、大学生を対象とした模擬授業を行い、その効果について分析した。
    結果 家庭科食物分野では、温度変化に着目した内容がこの機器の活用に適していると思われる。かきたま汁では、片栗粉によるとろみづけの理由の一つとして保温効果があることを理解させるために、片栗粉を加えた汁と加えない汁の温度低下を測定した。ハンバーグでは、ふたをして加熱することにより中心部まで確実に火を通すことができることを理解させるために、ふたをして焼く場合とふたをしないで焼く場合の温度変化を測定した。受講者の感想には「目に見えることで理解しやすい」「口頭で説明されるだけよりも納得できる」という意見が多く見られ、理解を深めることに有効であるとわかった。
  • 学びの変容を意欲面から明らかにする
    畦 五月
    セッションID: 3P-49
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的:調理実習に問題解決的な取り組みを導入することにより、学生の学びにどのような影響を及ぼすのか意欲面から明らかにすることを目的とした。方法:広島県内B大学に在籍の2年生で「子どもの食と栄養」の実習を受講する者を調査対象とした。さらに、毎回の実習後に自らが作成した献立による仕上がりに対して、自己採点と教員採点を行いこの評価も意欲面での検定に加えた。アンケートを授業1回目と授業終了時に配布し、その場で記入し回収する方法をとった。結果:大学の調理実習教科に問題解決的な取り組みを導入することにより、学生の学修に対する意気込みの拡大と学修意欲の向上につながった。さらに学生の学修に対する自己肯定感を高めることができ、高次元のメタ認知能力の育成が期待できた。実習前には受動的な態度であったが、実習後は自己肯定感を認めた回答が多く、調理実習での問題解決的な学習の導入で懸念された調理技術の習得は本実習では希薄にならない結果となった。
  • 岡本 美紀, 山平 美咲, 武藤 慶子
    セッションID: 3P-50
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 大学生を対象に小学校高学年時(児童期)から大学生まで間の食に関する知識の習得についての調査を行い、それらの知識の習得状況が現在の食生活に与える影響について検討した。
    方法 2012年9-10月に長崎県内の2大学の看護及び栄養学系統学科に所属する学生389名を対象に、児童期の生活状況、現在の食生活状況と食に関する知識(食文化、栽培体験、調理技能、食品選択、望ましい食生活についての27項目)の習得状況についてのアンケートを留め置き法にて行った。回収した318名(回収率86.2%)のうち、316名を有効回答(99.4%)として単純集計、クロス集計、χ検定をした。
    結果  (1)食に関する知識では、項目の認識者の割合は18項目で9割以上であったが、「地域の食文化」、「食品の品質の見分ける」、「1食分の献立の立て方」は約7割であった。(2)習得時期や場所について、食文化は「小・中学校」、調理技能は「家庭」を答えた割合が高かった。(3)現在の食生活状況の回答から2群に分けた群別の食に関する知識の認識状況は、望ましい食生活と考えられる高群が低群より全項目の認識が高かった。
  • 小川 暢祐, 本島 佑香, 村上 美音
    セッションID: 3P-51
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    [目的] 大学期の青年は、少なくとも食の面ではほぼ自立段階に達するが、生活リズムの乱れや偏食等、好ましくない生活習慣が固定化してしまうのを、大学教育等の介入を通じ是正させることは可能だろうか。本発表はそのような問題意識に立ち、前提となる、現代の大学生の嗜好・喫食パターンを、いわゆる学食の販売データから推定し、栄養摂取状況改善に寄与できる新規メニューを企画することを目的とした。
    [方法] 大学学生食堂の販売月次データに基づき、各メニューに対する選好傾向を把握してソーティングしたうえで、使用食材や価格、あるいは期間限定フェアといった要因ごとに選好理由を推定した。その際、たとえば「鶏の照焼」と「ローストチキン」といった、いわば同工異曲的なメニューの併存にも注意を払い、選択式/記述式アンケートにより選好理由を絞り込み、要因の特性をある程度明確化した。次いで、得られた要因から、栄養機能のより高い食材・調理法を用いるメニューへの展開可能性を検討した。
    [結果] 友人同士で談笑しながら昼食を摂る、というかつての喫食パターンにもまして、携帯電話の画面操作をしながら喫食する等の事例が増加していることに伴い、ある特徴をもつ品目の被選好傾向が高いこと等が明らかとなった。それをふまえ、学生食堂の既存メニューにはない、栄養機能の高い、かつ選好されることが期待される新商品のコンセプトを策定した。
  • 食生活に関する知識と食事習慣及び食品群別摂取状況との関連
    河野 菜月, 柳澤 あさこ, 三宅 元子, 河田 哲典
    セッションID: 3P-52
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 生涯にわたり健全な食生活を営む基礎となるためには,小・中・高等学校家庭科における食生活教育は指導内容の一貫性と系統性が重要である.そこで,家庭科における食生活教育の教育内容を検討する基礎成績を蓄積する目的で,大学生における家庭科で学習した食生活に関する知識と食事習慣及び食品群別摂取状況との関連を調べた.
    方法 岡山県内2大学の学生560名を対象に,記述式用紙によるアンケート調査を2012年,2013年11月に行った.
    結果 朝食は「全く食べない」,「週1~2日食べる」が合わせて22.0%であり,朝食の欠食率が高い傾向が見られた.食品群の理解度は3群,6群,4群の順で有意に高いことが認められた.知識と初めて得た機会との関連については,家庭科で得た「一汁三菜」等の食事に関する知識が有意に高いことが認められた.食事習慣と知識の理解度との関連は,朝食,昼食の摂取頻度と栄養素レベルの知識との間にわずかな正の相関が見られた.また「牛乳・乳製品」,「豆類」の食品群摂取頻度と栄養素レベルの知識との間にわずかな正の相関が認められた.特に「緑黄色野菜」の摂取頻度と栄養素レベルの知識である「おもにエネルギーになる栄養素」,「おもに体の組織を作る栄養素」,「おもに体の調子を整える栄養素」,「日本人の食事摂取基準」との間には正の相関(r=.202~.231,p<0.001)が認められた.
  • 食生活に関する意識と食事習慣及び食品群別摂取状況との関連
    柳澤 あさこ, 河野 菜月, 三宅 元子, 河田 哲典
    セッションID: 3P-53
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 生涯にわたり健全な食生活を営む基礎となるためには,小・中・高等学校家庭科における食生活教育は教育内容の一貫性と系統性が重要である.そこで,家庭科における食生活教育の内容を検討する基礎成績を蓄積する目的で,大学生の食生活に関する意識と食事習慣及び食品群別摂取状況との関連を調べた.
    方法 岡山県内2大学の学生560名を対象に,記述式用紙によるアンケート調査を2012年,2013年11月に行った.
    結果 大学生の食生活に関する意識を主因子法・プロマックス回転で因子分析したところ,「安全・衛生志向」,食べ物の摂取量を重視する「定量的摂取志向」,「手作り志向」,摂取する食べ物のバランスを重視する「定性的摂取志向」及び「外食・中食利用志向」の5因子が抽出された.食事習慣との関連では「安全・衛生志向」,「定性的摂取志向」の高い学生は,朝食の摂取率が高く,食品群別摂取状況ではそれぞれ緑黄色野菜,その他の野菜,果実類,魚介類,卵類,牛乳・乳製品,豆類,藻類の摂取頻度も高いことが認められた.一方,「外食・中食利用志向」の高い学生では朝食の摂取率が低く,逆に夜食が高いこと,食品群別摂取状況では緑黄色野菜,その他の野菜,牛乳・乳製品が低く,菓子類,嗜好飲料類の摂取頻度が高いことが明らかとなった(すべての有意水準,p=0.05).
  • 食生活に関する知識と意識並びに食事習慣及び食品群別摂取状況との関連
    三宅 元子, 柳澤 あさこ, 河野 菜月, 河田 哲典
    セッションID: 3P-54
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 生涯にわたり健全な食生活を営むうえの基礎となるためには,小・中・高等学校の家庭科における食生活教育は指導内容の一貫性と系統性が重要である.そこで,家庭科における食生活教育の内容を検討する基礎成績を蓄積する目的で,大学生の食生活に関する知識と意識並びに食事習慣及び食品群別摂取状況との関連を調べた.
    方法 岡山県内2大学の学生560名を対象に,記述式用紙によるアンケート調査を2012年,2013年11月に行った.
    結果 食生活に関する知識と意識の関係は,調査したすべての知識項目(食品と栄養に関する情報・知識10項目,食品に関する知識6項目,食事に関する知識9項目)と「安全・衛生志向」,「定性的概念志向」,「手作り志向」の意識との間に,いずれも正の相関が見られた.一方,食生活に関する知識と「外食・中食志向」の意識との間には,19項目に負の相関が見られたことから,食生活に関する知識の乏しさが外食・中食を利用しようとする意識に繋がること,また外食・中食を利用する際には栄養や食品の知識の活用が乏しい実状が推察された(すべての有意水準,p=0.05).さらに,食生活に関する知識が乏しい学生は,食事習慣では朝食・昼食の摂取率が低く,食品群別摂取状況においては8品目(緑黄色野菜,その他の野菜類,果実類,魚介類,卵類,牛乳・乳製品,豆類,穀類)の摂取頻度が低く,バランスの悪い食生活を送っていることもわかった.
  • 柿山 章江, 久木野 睦子
    セッションID: 3P-55
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 大学生になると一人暮らしを始める機会も多いことから、これまで調理経験がなかった学生も自分で調理をする必要が生じてくる。本研究では、一人暮らしの学生の自炊の実態を知るためにアンケート調査を行って自炊の状況を把握するとともに、自炊の実践に影響を及ぼす要因について考察した。方法 本学食生活健康学科1~4年生のうち一人暮らしをしている全学生69名にアンケート調査を行った。質問項目は自炊年数および調理頻度や作る料理の品数、調理時間などの自炊状況と、コンロの数などキッチンの状況である。結果 一人暮らしをしている学生の内訳は1年生7名、2年生14名、3年生26名、4年生22名で、自炊年数は1年目14名、2年目17名、3年目22名、4年目16名であった。コンロを使った調理頻度を自炊年数で比較すると自炊年数が長いほど調理する頻度が高かった。また、自炊年数が長いほど一食に作る料理の数が多く、事前に手順を考えて調理する学生が多かった。しかし調理時間は自炊年数の影響は見られなかったことから、作る料理が異なっていることが考えられた。自炊年数が長い学生と短い学生のキッチンのコンロの数を比較すると、自炊年数が長い学生は二口コンロの割合が高いことがわかった。自炊年数が短い学生も二口コンロの場合は調理頻度が高いことが分かり、コンロの数が自炊におよぼす影響が大きいことがわかった。その他の加熱器具では全ての学生が電子レンジをほぼ毎日使用していた。
  • 山本 奈美
    セッションID: 3P-56
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 食の安全・安心が社会問題として大きく取り上げられるようになり,一般の関心が高まるにつれて論点が多様化・複雑化している.そこで食の安全・安心に関する問題が具体的にどう認識されているのかを把握するため,高校生・大学生・教員を対象に予備的なキーワード収集調査を行い,それぞれにおける問題認識を検討した.
    方法 高校生35名,大学生42名,小・中・高等学校教員18名の計95名に対して「食の安全」に関して自身が不安に思っていることとして想起するキーワードを3つまで挙げさせ,収集・分類した.調査は2011年11月から2013年11月にかけて実施した.
    結果 想起して挙げられたキーワードは219個で,それらは24のカテゴリーに分類することができた.全体で最も多く挙げられたキーワードは「食中毒」であった.次いで多い順に「食品添加物」「農薬」「放射能」「輸入食品」が挙げられた.対象者別では,高校生, 大学生で「食中毒」がもっとも多く出現していたのに対し,教員では「食品添加物」がもっとも多かった.一方,教員での出現が多かった「産地偽装」や「不正表示」は,高校生,大学生では比較的少なかった.食の安全は,ある食品を摂取したときの健康への影響として捉えられることが多いが,高校生や大学生からは「栄養バランス」「食費」といった特定の食品問題に限らないキーワードについても挙げられていた.教員からはそれらのキーワードは挙げられていなかった.若い世代では食の安全についての論点を,「食べること(食べられないこと)に伴って生じる健康への影響」と広く捉えなおす視点があることが示唆された.
  • 靴下汚れについて
    佐々木 麻紀子
    セッションID: 3P-57
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 家庭洗濯は衣類に付着した汚れを除去し、元の状態に回復させながら繰り返し使用していくことを目的に行われる。そこで家庭洗濯の効果的な方法を検討することを目的として、衣類の中でも汚れ落ちが気になる靴下汚れを試料として着用実験を行い、つけ置き洗いの効果について検討した。
    方法 20代から30代の女性10名に日常生活及び運動中に靴下(綿100%白色)を着用し活動をしてもらい試料とした。洗濯は、市販の液体洗剤及び粉末洗剤に30分間浸け置き後、渦巻き式洗濯機及びドラム式洗濯機の標準コースで洗濯を行った。着用・洗濯を繰り返し6回行い、新品の靴下との一対比較でつま先、かかと、すねの3カ所について目視により9段階評価した。
    結果 運動中に着用した靴下の汚れは毎回のつけ置き洗いの有無で洗浄性に差があり、つけ置き効果が高い。しかし、日常生活で着用した場合の汚れ落ちはつけ置き洗い有は無の場合より効果はあるものの、運動中と比べその効果は小さいことがわかった。日常生活及び運動中ともにつけ置き洗いをしたものは、洗浄効果が高く、つけ置き洗いの効果が認められるものの汚れの種類によりその効果に差があること、また1回の洗濯では汚れ落ちの差は少ないが、汚れは累積しており、6回の繰り返し洗濯において洗濯方法の違いによる汚れ落ちに差がみられた。この実験では、洗濯機の種類による汚れ落ちの差は認められなかった。
  • 卵殻を用いた洗濯排水中の石けんの除去
    尾多賀 有紗, 篠原 陽子
    セッションID: 3P-58
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
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    目的 洗濯用石けんは,洗濯用水に含まれるCa2+やMg2+などの多価金属イオンと結合し,硬度が高い場合,金属石けんを生成して洗浄力が低下することが知られている.その原理を利用し,Ca2+が主成分の卵殻を使って洗濯排水中の石けんの排出量を減らすことを目的とし,装置開発ならびに処理条件を決定した.
    方法 装置はピペット洗浄器6L用を用い,底部に卵殻層を設け,繰り返し水が溜まっては排水される仕組みを利用した.処理条件は,(1)純石けん分60~98%の市販洗濯用石けん数種,(2)卵殻量120~600g,(3)洗剤濃度は使用量の目安の0.5倍,(4)水量30L/回,(5)卵殻の使用回数1~4回を決定した.モニター試験を行い,本システムの効果を確かめた.
    結果 卵殻は600g使用した場合が最も除去率が高かった.洗剤濃度は,初期濃度1.0%で洗濯を行った場合,洗浄後の排水中の洗剤濃度が0.5%であることが分かったため,処理濃度を0.5%とした.卵殻は3回まで再使用可能であることが分かった.この条件で,モニター試験を行った.夏季(26.9℃)では,卵殻1回目使用で除去率62%,2回目使用で76%,3回目使用で66%,4回目使用で51%となり,卵殻による除去効果が認められた.一方,冬季(18.0℃)では,卵殻1回目の使用で洗剤除去率が45%,2回目使用で47%となり,低い水温では除去率が低下することが分かった.
  • 土屋 みさと, 山口 庸子, 中村 弥生, 永山 升三
    セッションID: 3P-59
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 人と環境にやさしいおむつ環境を提案するにあたり,保育所におけるおむつの使用状況と保育者の意識を調査し,保育者が適切と考えるおむつスタイルを明らかにする.また貸しおむつに関わる実態を調べることで,貸しおむつ利用の可能性を探る. 方法 2011年11月~2012年1月,保育所におけるおむつの使用実態及び保育者のおむつ(貸しおむつを含む)に対する意識調査を留置き法にて実施した.環境意識の高い地域や子育て支援を行っている関東及び関西の13地域を選定し,認可,認可外を含む1853カ所の保育所を対象に,実際に保育に携わる保育者に回答を依頼した.有効回答件数620件(有効回収率33.6%)であった. 結果 紙おむつのみ55.5%,布おむつのみ9.2%,併用34.8%を含めると約半数の保育所で布おむつを使用しており,京都市や世田谷区では布おむつの使用率が高かった.貸しおむつを利用する保育所は全体の16%,貸おむつの平均認知度81%に対して,紙おむつの使用率が高い江戸川区では,貸しおむつの認知度60%と低い状況にあった.一方,布おむつにも利点があると考える保育者は多く,保護者の希望に応じておむつを選べるよう併用することが良いと考える保育者が半数を占めた.貨しおむつを非利用者が利用するには,十分な情報や正しい情報を得る機会が少ないことが推察できた.有効な貸しおむつの利用には,メリットとデメリットの正しい理解が必要と考える.日本ダイヤバー振興会,科学研究費基盤(B)(24300249,山口庸子)の助成による.
  • 湿式人工汚染布と水晶振動子法による洗浄結果
    下村 久美子
    セッションID: 3P-60
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 近年、マイクロナノバブル水はさまざまな分野で注目されており、近年衣服洗浄への応用もみられる。 しかし、その洗浄効果は明確ではない。本研究では、マイクロナノバブル水の洗浄効果について、水晶振動子法による脂肪汚れモデルの洗浄過程の追跡および、湿式人工汚染布の洗浄効果から検討した。方法 水晶振動子法では、トリパルミチン(TP)またはトリミリスチン(TM)を、プロパノールに溶解し、水晶振動子電極表面に直径4mmに塗布し、自然乾燥後、40℃で3時間熱処理して用いた。この水晶振動子を装置にセット後、10mLの水中(水道水またはマイクロナノバブル水)に浸漬し、振動数変化を追跡する。また、湿式人工汚染布を使用し、ターゴトメーターを用い、水道水とマイクロナノバブル水にて洗浄実験をおこなった。両実験ともに、界面活性剤共存系でも検討した。結果 水晶振動子法の場合、金電極表面からの脂肪汚れ除去過程となる。 この方法では水道水とマイクロナノバブル水の効果を検討した結果、マイクロナノバブル水の方が高い洗浄効果が認められた。しかし、湿式人工汚染布の洗浄効果を検討した結果、水道水とマイクロナノバブル水、さらにLASを添加した場合の両方において、マイクロナノバブル水の効果は認められなかった。マイクロナノバブル水の効果は温度の効果よりも低いものであった。これらの結果について報告する。 
  • ─染色条件による比較―
    安川 あけみ, 葛西 美樹
    セッションID: 3P-61
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 天然アントシアニン系色素を含有する植物として1年中入手可能な赤キャベツを用いて絹布を染色し,種々の染色条件による布の染色性の違いを比較検討し,媒染ならびに保存条件による染色堅牢度について調べた。方法 赤キャベツと同重量の水を混合,粉砕,ろ過して色素液を得て,pH1~13の溶液を調製した。5×5 cm²の絹布(日本規格協会,JIS染色堅牢度試験用添付白布,14目付,平面重54.6 g/m²,厚さ0.10 mm)を浸漬(浴比1:75,室温,10 min~48 h)して染色した。Na,Mg,Al,Ca,Al,Cuの各水溶液により後媒染も行った。染色後の布は明るさ,湿度,容器の大きさが異なる条件で保管し堅牢度を比較した。染色前後の布は分光式色彩計で色差を測定し,剛軟度,防しわ度,吸水性などの性質を調べた。結果 赤キャベツ色素は常温の水で簡単に抽出でき,絹布を染めることができた。染色布の色調は色素液のpHに敏感に左右され,酸性下でピンク系,中性下で紫系に染まったが,アルカリ条件ではほとんど染着しなかった。pH3の溶液での染色で,色素濃度が高くなるにしたがい,また浸漬時間が長くなるにしたがい布の色が濃くなった。6種類の金属を媒染剤として用いたところ,ピンク系,紫系,青系など様々な色に染色でき,染色堅牢度が向上した。染色布を暗所で低湿度の小さい密閉容器中で保存することにより,染色直後の色が長時間維持できることがわかった。
  • 小林 泰子, 石田 華南子, 曽我 彩香, 小島 麻希甫, 牟田 緑
    セッションID: 3P-62
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 近年、多くの消臭製品が上市され、緑茶、ハーブ等の天然素材を利用した製品も目立つ。本研究では、綿布を各種条件で緑茶染色し、臭い物質のアンモニア、酢酸、エタンチオールに対する消臭性と、実用性を考慮した洗濯、光に対する染色堅ろう性について検討した。
    方法 試料はシルケット加工綿メリヤス、緑茶粉末(宇治抹茶入り煎茶)、前処理剤はKLC-1カチオン剤、媒染剤はみょうばん、硫酸鉄(Ⅱ)、硫酸銅(Ⅱ)を用いた。染色は緑茶濃度5%o.w.f.、媒染は濃度0.5%で行った。調製布の染色性はK/S値で、消臭性は検知管法を用い、臭い物質の残存率で、洗濯、耐光堅ろう度はJIS法に従い、色差値で評価した。
    結果 K/S値は、緑茶染色布では小さかったが、カチオン化+緑茶染色布では増加し、媒染、緑茶染色を重ねるとさらに増加し、染色性は向上した。アンモニアに対する消臭性は、未処理布にも認められ、消臭開始1時間後に残存率は20%となった。緑茶染色布では1時間後に0%、カチオン化+緑茶染色+銅媒染+緑茶染色布では10分後に0%になった。カチオン化、媒染により緑茶成分の布への吸着量が増し、高い消臭性が得られることがわかった。洗濯、耐光堅ろう性では、多くの調製布で変色が認められ、赤みが増した。緑茶中のタンニンやクロロフィルの影響によるものと考えられる。今後、成分と変色の関係を明確にし、堅ろう性の向上について検討する。
  • シャルワールとバジに着目して
    佐藤 真理子, 趙 羅衡, 田村 照子
    セッションID: 3P-63
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的  民族衣装には,気候・風土に適応可能な素材の選択,姿勢・動作を含む生活様式を反映したデザインの工夫等,長い年月にわたり積み重ねられてきた知恵が詰まっている.本研究では,アジアにおける民族服の下衣に着目し,素材とデザインが温熱的快適性,運動機能性へ及ぼす影響について検討を行った.
    方法  被験者は23±1歳の若年女性5名,実験衣はシャルワール(インド),バジ(韓国),ストレートパンツ(現代服)の3種である.運動機能性評価としては,同一素材で製作した実験衣を着用し,9種の動作時(立位,椅座,正座,胡坐,立膝,横座り,体育座り,日本のお辞儀,韓国のお辞儀)における衣服圧測定と官能評価,温熱的快適性評価としては,各市販品(ポリエステル100%・重量約200gで統一.インド,韓国,東京で購入)による物性試験と衣服気候計測(27℃・50%RH環境下で立位安静→足踏み運動→座位安静)を行った.
    結果  シャルワールは,通気性と透湿性に優れ,接触冷温感が高く,暑熱気候への適応性が示された.バジは,接触冷温感が低く,衣服内温度は高く,防寒機能に優れていると考えられる.現代服は,正座,胡坐,立膝,日本と韓国のお辞儀において,高い衣服圧を示し,床に座っての姿勢や動作の多い“伝統的所作”に適さない様子が明らかとなった.
  • 施設と地域での予備調査
    内田 幸子, 雨宮 邦子, 斎藤 秀子
    セッションID: 3P-64
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 高齢者施設に入所している高齢者と地域の中で生活している高齢者を対象として,被服による皮膚障害および衣生活に関する聞き取り調査を実施し,皮膚障害をはじめとする衣生活の実態を把握することを目的とする.
    方法 A県の有料住宅型老人ホーム入所高齢者7名(70~80歳代)と施設職員,B県の温泉施設を利用している地域在住高齢者9名(60~70歳代)に聞き取り調査を実施した.調査内容は被服による皮膚障害,衣生活,被服の購入状況等である.
    結果 聞き取り調査の結果,被服による皮膚障害は,施設入所高齢者においては少なく,地域在住高齢者は比較的多い傾向が示された.その理由としては1)施設側が皮膚障害への対策を行っているため,2)施設入所高齢者が綿製品を着用しているのに対し,地域在住高齢者は化学繊維の衣服を着用している方が多いことによると考えられる.地域在住高齢者の中で皮膚障害の経験があると回答した方の皮膚障害の発生部位は「腕の内側」「首」「背中」「足」や「肩・袖にあたる部分」であった.治癒に要した日数は1~2日程度との回答した方が多く,比較的軽度の皮膚障害であることが分かった.処置についてはほぼ全員は「放置した」という回答であった.季節は「夏」「冬」,原因衣服は「セーター」や「ズボン」という回答が得られた.「化学繊維」が主な原因素材として挙げられた.今後は調査対象者を増やし,データの蓄積を図りたいと考える.
  • -素材の快適性評価-
    角田 由美子, 三木  麻未, 石川 亜沙美
    セッションID: 3P-65
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 近年、若年者を中心に季節感のないボーダーレスなファッションが多く見られる。しかし、レザージャケットは秋冬以外ではあまり着用されていない。レザーはパンチング加工やクール加工などの様々な加工により、秋冬以外でも着用可能であると考える。そこで衣服着用時を想定した衣服内気候シミュレーション装置により、各種環境下での素材の評価を行なった。方法 試料はジャケット用素材として厚さ0.6±0.1㎜の衣料用シープレザーと対象として綿織物、毛織物、合成皮革を用いた。レザーは、直径1.2mmの穴を4mm間隔でエコレザーにあけたパンチングレザーと通常のエコレザーを用いた。衣服内気候シミュレーション装置は、ASTM型保温性試験機を改良し、試料と熱板の間の温湿度と熱流量を測定した。なお模擬発汗は試料表面から水分を注入した。これらの実験は10℃,65%RH、20℃,65%RH、25℃,65%RH、30℃,65%RHの環境下において測定した。結果 1)レザーはいずれの環境下においても他の素材に比べて、模擬発汗後に速やかな湿度の低下が認められた。2)パンチングレザーは、エコレザーに比べて送風時の温度の低下と模擬発汗後の温度と湿度の低下が認められた。3)合成皮革はいずれの環境下においても模擬発汗後の温度と湿度の低下は認められなかった。中でも30℃,65%RHの環境下では、湿度が95%RH以上となり熱流量は上昇しなかった。10℃,65%RHの環境下では、他の素材よりも模擬発汗後の温度、湿度は高く、熱流量は低かった。
  • 福田 典子
    セッションID: 3P-66
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 長野県において入手し易い植物としてあんず(apricot)に注目した。近年、媒染剤に依存しない染色方法を模索する必要性も指摘されている。本研究では、あんず小枝抽出液による毛織物染色の基礎的資料を得ることを目的として、温度、時間、助剤の添加効果などについて検討した。さらに、染色布の色調および堅ろう度も測定した。 
    方法 色素材として、2010年に千曲市で採取された乾燥あんず小枝を用いた。試料として、構造の異なる3種の100%毛白布を、助剤として、酢酸および炭酸カリウムを用いた。染色は所定の条件で行った。抽出液の吸収スペクトルは紫外可視分光光度計により, 処理前後の染色布の表面反射率および色調は色差計により測定した。表面反射率よりF値(K/S)に変換し、染着性を比較した。色調はL*a*b*を用いて評価した。堅ろう度試験はJISに準拠した方法を用いた。
    結果 水抽出液のpHは5.4程度であり、保存中の色素構造は比較的安定であった。染色布の色調・色彩は2.5YR、7.5/5程度であった。染色布のK/S値は、温度(25,50、75℃)および時間(120hまで)の増大ととともに大となった。酢酸添加によりb*値は増大しa*値は減少した。一方炭酸カリウム添加によりb*値は減少し、a*値は増大する傾向であった。あんず染色布の堅ろう性は洗濯、摩擦(乾燥)、耐光(カーボン露光)試験において、3級以上であることが明らかとなった。
  • 木村 美智子
    セッションID: 3P-67
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 マイクロバブルは、金属表面の洗浄や食品の殺菌・洗浄、皮膚の洗浄など多分野においてその有効性が報告されているが、衣類洗浄におけるマイクロバブルの洗浄性は十分に解明されていない。そこで本研究では、油汚れとタンパク質汚れを取り上げ、布洗浄におけるマイクロバブルの効果を明らかにすることを目的とする。
    方法 ①モデル汚れ:油汚れとしてオレイン酸、タンパク質汚れとしてゼラチンを取り上げた。②試料布(5cm×5cm):綿,ポリエステル,綿35%/ポリエステル65%の3種類。③汚染布の作製:オレイン酸は10mLをエタノール20mLに溶解し0.1mLを布に付着。ゼラチンは1gを20mLに溶解し0.1mLを付着させ110℃で乾燥。④洗浄実験:マイクロバブル発生装置(株ニクニ,KTM20NDO4S-000)を使用、4L蒸留水中に汚染布1枚を投入、洗浄時間10分,20分,30分、洗浄温度55℃とした。マイクロバブルは、エアーマイクロバブルとオゾンマイクロバブルの2種類を用いた。⑤洗浄効果の測定:白布、汚染布、洗浄布は、いずれもFT-IR(バイオラット社,FTS6000)を用いて吸収スペクトルを測定し、ピーク特性値を求め洗浄効果を分析。
    結果 (1)オレイン酸の洗浄性:エアーマイクロバブル洗浄では、綿汚染布では効果が認められたが概して洗浄効果が小さい。オゾンマイクロバブル洗浄では布の種類によらず、洗浄時間に比例して洗浄効果がみられた。(2)ゼラチンの洗浄性:マイクロバブルの洗浄効果が認められ、特にオゾンマイクロバブルで高い効果を示し、ポリエステル汚染布の洗浄性が顕著であった。
  • -アンケート調査とマッピング分析-
    芳賀 優輝子, 武藤 祐子, 富田 知子
    セッションID: 3P-68
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/10
    会議録・要旨集 フリー
    目的 流行は、いつの時代においても絶えず変化を遂げており、ファッション業界に欠かせない存在である。しかしながら、近年の情報社会では益々加速する流行のサイクルやその実際を把握することが困難になってきているといえる。このことから本研究では、大阪と東京にある大学に在籍している現役女子大学生へのアンケート調査により、地域性にも着目した流行に関する意識やファッショントレンドの現状の分析をすることを目的とした。方法 アンケート調査は大阪樟蔭女子大生75名、山野美容芸術短大生130名へ実施した。また、大阪樟蔭女子大生73名が実際に身に着けているファッションスタイルの写真を撮影し、マッピング手法により分類を行った。これらの結果から考察を行った。結果 本アンケート調査では地域性に関する有意差は見られなかった。これは、現代のIT社会の中で情報を得ることやネットショッピングなどの普及が要因であると考えられる。また、マッピング分析においても現役学生のファッションテイストは一定の傾向はなく、現代のファッションテイストの多様化を示す結果となった。これらの結果から、今後、加速化と多様化する「流行」の定量的な分析を行うための方法論や研究の必要性が示唆された。
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