一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
67回大会(2015年)
選択された号の論文の265件中1~50を表示しています
ポスター発表 5月23日 食物
  • 﨡原 絹子, 本宮 宏樹, 谷口(山田) 亜樹子, 吉田 真史
    セッションID: 2P-1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 フィジー共和国ラケンバ島では、キャッサバManihot esculentaを原料とした発酵食品(以下、フィジーパン)が食されている。本研究では、沖縄産のキャッサバを使用してフィジーパンを製造し、発酵に関わる微生物を明らかにし、キャッサバの発酵食品の開発を目指す。
    方法
    伝統的製法によりフィジーパンを再現した。本研究では、原料に、沖縄県西表島産のキャッサバを使用し、28℃の条件下で7日間、水中で発酵させた。24時間ごとに、キャッサバの漬け汁(発酵液)の温度、pH、糖度などを測定した。また、発酵液を採取し、微生物を培養し、コロニーの数や形態の観察を行った。そして、発酵に関わる酵母菌と乳酸菌などを同定するため遺伝子解析を行った。さらに、発酵液は、独特なにおいがしたことから、ガスクロマトグラフ質量分析により成分分析を行った。
    結果 発酵液は、発酵が進むとともにpHの低下、炭酸ガスの発生、糖度の増加などが観察された。また、発酵に伴い微生物叢の変化が観察され、発酵終了時には、複数の酵母菌や乳酸菌の存在が確認できた。発酵液中には、臭い物質の酪酸エチル、イソ吉草酸エチル、酪酸ブチル、カプロン酸などが確認された。沖縄産のキャッサバを使用して再現したフィジーパンはラケンバ島で食したもと異なる特有の酸味と臭みがあった。
  • 谷口 山田 亜樹子, 佐藤 祐子, 﨡原 絹子, 吉田 真史, 高野 克己
    セッションID: 2P-2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 パンの種類にはサワーパンなど独特な酸味を有するパンがある。パン生地に有機酸を添加すると、生地は伸展性に富みその生地物性の形成は、グルテンの溶解性の増加によるものと知られており、その機序は解明されていない。本研究では、パン生地中に乳酸を添加して、生地の特性について検討した。
    方法 試料は市販の日清製粉の強力粉を用いた。乳酸は食品添加物(90%乳酸)を用いた。アミラーゼ活性はSomogyi-Nelson法を用いて測定し、プロテアーゼ活性はKunitz法を用いて測定した。水溶性たんぱく質の分子量分布はSDS-PAGEを用いて測定した。抗菌試験は、ローズベンガル培地によるパンカビを用い、ペイパーディスク法にて観察した。
    結果 アミラーゼ活性およびプロテアーゼ活性は乳酸添加生地のほうが無添加生地に比べて高かった。抗菌試験では、乳酸に浸したディスクの周りに阻止円ができカビの繁殖がみられなかったが、クエン酸は阻止円ができなかった。官能検査を行った結果、味・硬さは乳酸を添加したパンのほうが評価が高く、総合的にも内相・外相ともに乳酸を添加したパンの嗜好性が高いと考えられた。
  • 佐川 敦子, 中西 由季子, 森髙 初惠
    セッションID: 2P-3
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的  Scheffé1)の単純格子計画法を用いて、原材料が異なる3種の増粘剤混合ゾルの原料配合比と力学特性、咽頭部における食塊の移動特性および官能評価の各特性値間の相互作用を検討した。
    方法  配合比は、Schefféの単純格子計画法に従い、X1を馬鈴薯澱粉、X2をグアーガム、X3をキサンタンガムの水準とする10格子点を設定した。食塊の力学特性、超音波パズルドップラー法による咽頭部の食塊の流速値、GR(Glucose Releasing Rate)法による消化特性および官能評価によって得られた各特性値と配合比の関係について2次の推定式を算出し、推定式の適合性を検定後、推定曲線を求めた。
    結果  咀嚼前の混合ゾルの力学特性において、グアーガムとキサンタンガムの配合比が1/2になるに従い、硬さと付着性は高くなり、凝集性は低下する傾向がみられた。5回咀嚼後、30回咀嚼後の力学特性では、澱粉の水準が高くなるにしたがって、硬さと付着性は低くなる傾向がみられた。嚥下時の咽頭部の食塊の流速は、キサンタンガムの水準が高くなるにしたがって流速は低くなる傾向がみられたが、消化性においては、キサンタンガムの水準が高いほど低くなる傾向がみられた。
    1) Henry Scheffé, Experiments with mixtures.J.Roy.Stat Soc.,B20,344–360 (1958).
  • 岸本 満, 松本 由香, 三浦 佳代
    セッションID: 2P-4
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 ブルガリアでは素焼き壺でつくる伝統的なヨーグルトがある。発酵中に素焼きの壺が牛乳から水分を吸収し、牛乳が濃縮され壺の表面からその水分が蒸発する際に気化熱を奪うため低温発酵となり、なめらかでコクがあるヨーグルトができる。愛知県常滑市で製造されている「素焼き壺 ヨーグルトメーカー」を用いた手づくりヨーグルトの最適調製条件を提案する。
    方法 種菌として3種の市販ヨーグルトを用いてヨーグルトを調製、pH、乳酸菌数を測定し比較した。さらに15、25、35℃で24,48,72時間発酵させたときのpH、粘土、乳酸菌数を測定した。また、牛乳450mlに対し種ヨーグルトを5、10、25、50g添加したときの比較も行った。さらに素焼き壺で作ったときの水分減少量を計測した。乳酸菌数の測定はBCP加プレートカウントアガーを用いた。
    結果 3種の種菌(市販ヨーグルト)のうち、乳酸菌数6.5×108cfu/ml、pH4.24でいずれも最適値となったA社ヨーグルトを種菌に用いることとした。発酵温度15℃では72時間でも凝固しなかったが20℃で48~72時間、25℃で24~48時間、35℃で20時間で発酵完了した。種菌量が5gの場合48時間後に、10、25、50gの場合では、24時間後に乳酸菌数は最大となったが、5及び10gのとき pH4.6を下回ったのは48時間後だった。また、48時間後の素焼き壺は6.5~8.8%重量が減少し水分の減少によって「素焼き壺で作るヨーグルトは濃厚に感じる」ことが確認された。
  • 奥西 智哉
    セッションID: 2P-5
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    【目的】玄米は健康機能性が期待される食品である。疫学的にはII型糖尿病リスクを低下させると推定されている。しかしながら、白米との比較では食味が非常に劣る、あるいは圧力釜を使うなどの特別な炊飯をするなど、加工・消費で課題が多い。「金のいぶき」は宮城県古川農業試験場で新しく育成された低アミロース巨大胚芽米であリ、食味がよいことが示唆されている。持続可能な健康志向ニーズが高まり、機能性と同時に食味が良いことが求められていることから、新しい米品種についての栄養・食味に関する諸特性を明らかにした。
    【方法】基本的な栄養成分およびオリザノール含量は穀物検定協会に分析委託した。「金のいぶき」等の炊飯時加水は米重量比として0.1倍きざみで段階的に行った。炊飯米あるいは生米試料の50%エタノール抽出物からFキットにより各種糖含有量を測定した。炊飯米をテンシプレッサーで貫入試験を行い、硬さ、こし、粘りおよび付着性を得た。
    【結果】「金のいぶき」は胚芽が大きいことから特にビタミンE含量が高かった。加水を異にした各種炊飯米の食味評価結果では、コシヒカリ玄米に比べて良好であった。スクロースはコシヒカリ玄米に比べて約2倍含まれており、これは白米の約10倍程度である。アミノ酸含量についてはGABAおよび前後の代謝物が多く含まれていた。
  • 堀 光代
    セッションID: 2P-6
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的野菜を生食用として用いる場合には洗浄工程や汚染状態の確認が重要となる。市販カットねぎは、家庭や飲食店等で使用され、特に麺類の薬味などに年間を通じて需要がある。今回はパック包装された市販カットねぎを試料とし、購入直後から消費期限後の細菌数の変化および気温や室温に差がみられる時期の細菌数の変化について調査した。
    方法実験試料は、平成24年6月、8月、10月、12月の各月に同一スーパーにて市販カットねぎ(同一会社品)を購入後、速やかに冷蔵保存した。実験は消費期限前(購入直後)、および消費期限経過後(1日、3日、6日、8日)に行った。試料を滅菌ストマッカー袋に秤量し、滅菌希釈液を加え、ストマッカー処理を行った。試料原液は、滅菌生理食塩水を用いて10倍段階試料溶液を調製した。標準寒天培地およびX-GAL寒天培地(日水製薬)を用いて混釈平板法にて35℃で48時間±2時間培養した。培養後、出現したコロニー数を測定した。
    結果消費期限を過ぎると一般生菌数、大腸菌群ともに菌数の増加がみられた。特に消費期限を3日経過した後、菌数の増加が顕著にみられた。その後、経過日数に比例して菌数は増加していた。気温の異なる時期による菌数の変化では、気温が高い6月、8月では菌数が多く、気温の低い12月の菌数は少ない結果を示し、調査月の気温による菌数の変動が示唆された。
  • 岡崎 貴世
    セッションID: 2P-7
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    【目的】ウェットティシュは、携帯性にすぐれ水を使えない場所で簡単に使用できるため、外出時や食事の前後の手指の消毒、台所や食卓等において汚れのふき取りや除菌に広く使用されている。多くの使用者は、ティシュの除菌効果を期待して食中毒や感染症予防対策として利用している。そこで、ティシュによる除菌効果がどの程度なのか、水を用いた手洗いによる効果と比較した。
    【方法】実験には17種類のウェットティシュを用いた。除菌効果は、ティシュの使用前後で被験者の手のひらの細菌検査を行い、その増減で判定した。細菌数の測定にはフードスタンプ(標準寒天、日水製薬株式会社)を用いた。比較として、両手を1回洗浄後タオルで拭きとる方法(手洗いA)と、両手を2回洗浄後タオルでふき取り70%エタノールを擦り込む方法(手洗いB)を用いた。
    【結果・考察】ティシュ使用後の除菌率は、多くのものが50%以下だった。また同じメーカーで比較するとアルコールタイプの方がノンアルコールよりも除菌効果が高い傾向があった。しかし残菌率は個人差が大きく、拭き取り方や使用前の手指の汚染状況に影響されると考えられた。手洗いと比較するとティシュの残菌率が低く、特に手洗いBは洗浄後の細菌数が著しく増加(208%)しており洗浄効果は認められなかった。そこで手洗い熟練者と初心者で比較すると、熟練者の残菌率は低くなり、手洗いの熟練度が洗浄効果に影響することがわかった。
  • 野﨑 久美, 柳田 紗矢佳, 田中 響子, 佐藤 由衣, 清家 正博
    セッションID: 2P-8
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    【目的】 近年、ストレスを抱えている人口が増加しており心身の健康問題に直結している。この問題は様々な年齢層で確認されており、大学生もその一角に当てはまると考えられる。ストレスを受けると酸化ストレス状態となり、癌や生活習慣病を引き起こしやすくなる。抗酸化作用を持つ栄養素としてポリフェノールが挙げられ、お茶類に多く含まれる栄養素であることから学生でも手に取りやすく市場も安定している。本研究では、女子短大生が抱えるストレスについて調べると共に、ウーロン茶を摂取することによる酸化還元活動比率の変化について検討することを目的とした。
    【方法】 対象者は、女子短大生57名とし無作為に分類し、酸化還元確認計を用いて試料の摂取前後に測定を実施した。使用した酸化還元確認計は、唾液の酸化体と還元体の活量比率に基づき測定をしているものであった。試料については、水及びウーロン茶をそれぞれ100ml又は200ml摂取させた。摂取後の測定は、試料を飲み終えてから1時間とし、その間は机上で出来る作業を行わせた。
    【結果】 摂取前の結果では、ストレスを感じている群において唾液の酸化度は有意に高値を示したが、ウーロン茶の摂取習慣や痩せの有無は酸化度に影響を与えなかった。また、摂取1時間後の結果では、ウーロン茶の摂取により酸化度は改善傾向を示し、特に200ml摂取では対照群に比べて有意に減少した。
  • 江角 友美, 大塚 なつみ, 西本 登志, 髙村 仁知
    セッションID: 2P-9
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    【目的】ひもとうがらしは大和の伝統野菜に指定された奈良県特産の甘とうがらしであり、直径5mm程度の細長い形状を有する。現在、機能性および嗜好性の高いひもとうがらしを目指し、品種改良の試みが続けられている。本研究では、その不味成分・不快臭成分の含有量とその品種間差、季節変動、栽培条件および調理変化を解析し、嗜好性の高い甘とうがらし類の栽培条件および調理条件を解明することを試みた。 
    【方法】奈良県農業研究開発センターでハウス栽培および露地栽培されたひもとうがらし2系統およびピーマン2品種について7~10月の間に収穫した果実を試料とした。試料を加熱してヘッドスペースガスを固相微量抽出法で抽出し、ガスクロマトグラフ-質量分析計でにおい成分の解析を行うとともに、不味成分であるポリフェノールの定量を行った。
    【結果】におい成分のうち、青臭いにおい、ピーマン臭について、品種系統間において有意な差が見られ、加熱調理操作により全品種系統において有意な減少が見られた。また、総ポリフェノール量については、どの収穫月においても、ひもとうがらし2系統において有意に高かったが、加熱調理操作によりピーマン2品種と同程度となった。
  • 奈良 一寛, 山﨑 薫, 石神 優紀子, 小俣 沙織, 高橋 佳奈子
    セッションID: 2P-10
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 日本におけるイソフラボンの摂取源は、ダイズまたはその加工品以外にないとされているが、マメ科植物であるアピオス(Apios americana Medik)について検討したところ、イソフラボン類の新たな摂取源になることが明らかとなった。したがって、アピオスは新素材としての利用価値が高い食品であると考えられる。しかしながら、有効な利用方法について十分に検討されていないことから認知度も低く、少量栽培にとどまっているのが現状である。そこで、アピオスの基礎的知見を得ることで、効果的な摂取方法について検討することとした。ここでは、アピオスを用いてパンの製造を試み、さらにイソフラボン組成について調査した。
    方法 アピオス(青森県産)を茹でた後、フードプロセッサーにて細かくした。細かくしたアピオスを強力粉に対して50%添加し、アピオスパンを製造した。添加したアピオスおよびアピオスパンを80%メタノールにて抽出し、抽出液のイソフラボン類をHPLCにて分析した。
    結果 アピオスの添加量にともなって、アピオスパンのしっとり感と甘味は増した。アピオスの主要なイソフラボンはGenistein-7-O-gentiobiosideであるが、焼成後は、それが減少し、アグリコンであるGenisteinが検出された。したがって、アピオスパンは、イソフラボンの効率的な吸収に寄与できる利用法であると考えられた。
  • 城田 直子, 島村 綾, 峯木 眞知子
    セッションID: 2P-11
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
    会議録・要旨集 フリー
    目的 慢性腎不全患者の食事管理では,低たんぱく米が利用されている.長期に食べるには,飯のにおいや味が重要である.市販の炊飯用低たんぱく米は,加熱方法や保存条件,喫食までの時間などを推奨している.本研究では,この低たんぱく米の保存条件をにおいの面より検討した.
    方法 冷凍保存を推奨している炊飯用低たんぱく米4種を用いた.開封直後または冷凍保存後,推奨されていない冷蔵で2週間保存した米を炊飯した.それを電気炊飯器で炊飯し,炊き上がり直後および室温放置30分した飯のにおいについて,ポータブル型ニオイセンサ(新コスモス電機株式会社)でにおいの強さを,におい識別装置(株式会社島津製作所FF-2A)でにおい成分を測定した.
    結果 一般の炊飯米のにおいでは,炊き上がり後のにおいが弱く,室温放置30分後のにおいが強くなった.これに対し,低たんぱく炊飯米では,室温放置でにおいは弱くなった.それらを冷蔵保存した炊飯米のにおいのピークレベル値は,1試料を除きさらに低い値を示した.保存条件によって,低たんぱく米のにおいは変化した.
    考察 低たんぱく米では,有機酸以外にトリメチルアミンや酢酸ブチルが検出された1).冷蔵保存により,これらが変化した可能性がある.有機酸の臭気寄与が減少したのなら,飯臭が消えたことになり,別なにおいが増加した可能性がある.
    1)城田ら:日本臨床栄養学会・協会総会第12回連合大会発表,10月(2014年).
  • 菅原 悦子
    セッションID: 2P-12
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 近年、アワビ加工時の破棄物である肝を用いた魚醤が開発されたが、原料の肝の独特なにおいが製品の品質に大きく影響している。昨年度はその香気特性の解明と加熱よる変化を報告した。本研究ではアワビ肝醤油の香気改善の方法として、1.大豆醤油醸造用の酵母による発酵法、2.大豆醤油の混合法により、試料を調製し、香気成分の変化を解明して、香気改善に資する方法の考察をした。
    方法 試醸したアワビ肝醤油を蒸留水で50%に希釈し、ブドウ糖5%を添加した溶液で、酵母を5日間培養した。培養後、80℃30分間加熱殺菌した試料も調製した。また、アワビ肝醤油に大豆醤油を10%添加した混合調味料と、これを80℃30分間加熱した調味料も調製した。これら試料から、SPME法によりヘッドスペース成分を抽出し、GC-O分析で香気の質と感知できる成分数を評価した。
    結果 アワビ肝醤油の酵母培養液では、GC-O分析で感知できた香気成分数は培養前より増加し、「はちみつ」様などの成分が新たに感知された。加熱殺菌後の培養液では感知できる香気成分がさらに増加し、「焼いた食パン様」の香気も検出され、官能検査による評価も高かった。大豆醤油の混合調味料では、加熱前には大きな変化はなかったが、加熱後感知できる香気成分が増加し、新たに「甘い」「香ばしい」と評価される成分の生成が確認された。以上より、アワビ肝醤油の酵母による発酵は香気改善に効果があると考えられた。
  • 松本 美鈴
    セッションID: 2P-13
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 精製度が低い穀類は、不足しがちな食物繊維やミネラルを補い、豊富なポリフェノールにより生活習慣病の予防が期待される。雑穀は、米の代替品として飯で食すことが多いが、本研究では、雑穀を用いた挽き肉様料理の嗜好性について検討することにした。先ず、雑穀の基礎的調理性を把握し、次いで、挽き肉の代用としてモロコシを用いた料理の嗜好性を検討した。

    方法 〈雑穀の基礎的調理性〉数種雑穀の吸水率、飯の水分量、色調および物性測定などを行った。〈モロコシを用いた挽き肉様料理の嗜好性〉モロコシを用いてハンバーグ、餃子、コロッケなどを調製し、その嗜好性を評価するために官能評価を行った。さらに、料理の嗜好性を改良する目的で、モロコシの10、30、50%を合挽き肉で代替したハンバーグの品質も検討した。

    結果 モロコシは、吸水が遅く、暗赤色の硬い飯であった。加水量1.6倍で炊いたモロコシの物性が挽き肉に最も似ていたので、これを用いて各種料理を調製した。モロコシを用いた挽き肉様料理の嗜好意欲尺度による官能評価の結果、コロッケの評点は7.7と最も高く、ハンバーグの評点は5.7と最も低かった。料理に占めるモロコシの割合が低く、香辛料が使用されている料理ほど好まれる傾向であった。評点が低かったハンバーグを改良するために、モロコシの一部を挽き肉で代替したところ、10%代替でハンバーグの味が改良され、50%代替でテクスチャーの改良が認められた。
  • 島村 綾, 大 雅世, 峯木 眞知子
    セッションID: 2P-14
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
    会議録・要旨集 フリー
    〈目的〉一般には廃棄物である卵殻の利用と、カルシウム補給を目的として、卵殻粉を添加したバターケーキを調製し、その品質を報告した1)。ケーキ50gあたりを摂取すると Ca量 は42.9~63.5mgが摂取できる。これは1日あたり推奨量(18~29歳女子)の1/10以上に相当する。小麦粉重量の1%の卵殻粉を添加したケーキでは、調製後保存1日では、卵殻粉無添加より硬さが低く、凝集性は高かった。保存により両者ともにかたくなるが、違いはなくなった。官能評価では無添加よりやや低く評価され、粉っぽさを感じた。そこで、食感改良および老化防止として効果のあるおからより抽出した水溶性大豆多糖類を添加して調製し、そのケーキの比体積およびテクスチャーを検討した。

    〈方法〉薄力粉・鶏卵・砂糖・バターは各100g、BP2.8gの材料配合を用い、オールインミックス法で材料を混合し、バッター170gを型に入れ、180℃、28分で焼成した。卵殻粉〈カルホープ、キユーピー株式会社〉は、粉の0・0.5%・1.0%、大豆多糖類は、ソヤファイブ(以下ソヤ、不二製油株式会社)、2.8gを添加した。

    〈結果〉ソヤを添加したケーキは、体積がやや多い傾向にあった。卵殻粉を入れたケーキでも同様の効果がみられ、体積は多くなる傾向にあった。ソヤ添加ケーキのかたさは無添加よりやや低く卵殻粉入りでも低下した。

    1)島村、峯木:日本家政学会第56回大会発表要旨集p50
  • 辻 美智子, 舟木 愛美, 藤井 恵子
    セッションID: 2P-15
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
    会議録・要旨集 フリー
    目的 雑穀はミネラルや食物繊維が豊富であり、食物アレルギー対応食材として活用が期待される。ハトムギは茶や漢方薬として用いられているが、ハトムギ粉を用いた加工食品の開発に関する報告は少ない。そこで本研究では、ハトムギ粉を主原料としたグルテンフリーパンを調製し、製パン性および嗜好性について検討した。
    方法 パンの主原料はハトムギ玄麦粉とし、副原料にグラニュー糖、イースト、水を用いてパンを調製した。粉体特性としてアミロース、タンパク質、脂質含量、澱粉損傷度、吸水性、糊化特性、製パン性として色度、比容積、破断特性を測定し、官能評価により嗜好性を評価した。
    結果 ハトムギ粉の粉体特性は、最大吸水量に達するまでに約200分かかり、米粉と比べ吸水量は少なくなった。また糊化特性のピーク粘度、最終粘度は、いずれも米粉に比べ低いことが明らかとなった。ハトムギ粉パンは、加水量が増加するほど比容積は大きくなったがきめは粗くなり、最適加水量は80%となった。また品質を向上させるためにオリーブ油を添加したところ、パンの比容積は小さくなる傾向を示し、オリーブ油2%添加時に初期弾性率が顕著に高くなった。官能評価において、市販品のライ麦パンを基準としてハトムギ粉パンを評価したところ、香ばしさ、外相のカリカリ感の評価が高く、総合的に好ましいと評価された。ハトムギ粉を主原料としてパンを調製することができ、嗜好的に好まれることが示された。
  • 松下 慶子, 舘 和彦, 森 俊夫
    セッションID: 2P-16
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    【目的】生活習慣病予防や健康志向の高まりから,機能性を付加したパンの開発や改良が盛んに行われている.そこで本研究は,画像解析による小麦ふすまパンの色彩テクスチャの客観的評価法を検討することを目的とした.
     【方法】試料は,標準パン,小麦ふすま10%パン,20%パンおよび30%パンの4種類を用いた.画像の取り込みにはWindowsXPおよびEPSONカラースキャナーGT-7600Uを用い,画像サイズは400×900pixels,解像度300dpiの条件で取り込んだ.同時生起行列からテクスチャ特徴量を算出した.また物性測定にはレオメーター(㈱山電TPU-1)を用いて,パンの硬さを測定した.
     【結果と考察】パン断面の硬さとCORの間には強い負の相関がみられ,小麦ふすまの添加によって,パン断面の凹凸構造が不明確になる,すなわちパンの気泡構造が阻害され,硬いパンとなっていることが考えられた.また,小麦ふすま20%パンはASMが最低値,CONおよびENTは最高値を示したことから,小麦ふすま30%パンでは気泡構造が形成できなかったことが考えられ,今回の実験で作成した小麦ふすまパンの膨化限界値が推測された. 
  • 水分挙動から
    小林 由実, 上田 善博, 加藤 邦人, 小川 宣子
    セッションID: 2P-17
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 天ぷらの「おいしさ」は素材の旨味が保持され、さくさくした衣に覆われたものと評価できる。この「おいしさ」の評価を調理過程の指標から推定できる可能性を澱粉性食品のさつまいもから検討した1)。その結果、調理過程での水分蒸発量が天ぷらの出来上がりに影響を及ぼすことを明らかにした。そこで、本研究は調理過程における素材と衣の性状から調理過程中の水分挙動について検討を行った。
    方法 天ぷらはさつまいも(直径46mm、厚さ8mm)に衣4.6g(薄力粉30g:卵水50g)をつけ、180℃の油(日清キャノーラ油)1300gで表裏それぞれ2分揚げて作成した。調理過程の水分蒸発は、油表面の泡の発生状況を高速度カメラで撮影し、油のゆらぎによる画像処理のcontrast値と秤の上で天ぷらを揚げた時の重量減少量の両者から経時的に調べた。あわせて、さつまいもと衣の調理過程中の性状変化を水分量、グルコアミラーゼ法による糊化度、走査電子顕微鏡像から調べた。
    結果 油面の泡の発生量はさつまいも投入1秒後と17秒後に多くみられ、これは水分蒸発量ともほぼ一致していた。さつまいも投入1秒後は主として衣から水分が蒸発し、17秒後は衣からさつまいもへの水分移動が見られ、合わせてさつまいもの細胞破壊が見られたことから、この時間は糊化が始まる時ではないかと推定した。
    [文献]1)小林他:日本家政学会第66回大会研究発表要旨集、p70(2014)
  • 三橋 富子, 田島 真理子
    セッションID: 2P-18
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 塩麹が牛肉に与える効果の科学的検証を試みた。方法 試料は牛もも肉とし、塩麹および酵素を失活させた加熱塩麹と蒸留水の三つの浸漬液で比較検討した。浸漬・加熱肉を用いて保水性・物性の測定および官能検査を行った。浸漬後の生肉は外側と内部肉に分け遊離アミノ酸と核酸の定量および電気泳動を行った。結果 加熱前後の肉の重量変化率から算出した保水性は塩麹と加熱塩麹は蒸留水に比べて有意に重量減少が少なく保水性の大きいことが分かった。破断強度と針入度において塩麹は最も軟らかく、次いで加熱塩麹で蒸留水が最も硬く、塩麹は蒸留水に比べて有意に軟らかいことが示された。遊離アミノ酸は塩麹の外部肉の増加が大きく、測定した多くのアミノ酸で加熱塩麹や蒸留水より有意に多かった。核酸については5´-AMPおよび5´-AMPの代謝産物である5´-IMPの増加は認められず、核酸系うま味物質は増加していないことが分かった。電気泳動において、塩麹だけは外側肉は内側肉に比べて分離ゲルに入れない高分子化合物、ミオシン重鎖およびアクチンバンドの減少が認められ、たんぱく質の加水分解が示唆された。官能検査の結果はうま味についてのみ有意差が認められたが、全般的に塩麹の方が加熱塩麹より評価が高かった。以上により、塩麹が肉を軟らかくし、うま味を増大することが認められた。
  • 宮田 美里, 島村 綾, 西念 幸江, 峯木 眞知子
    セッションID: 2P-19
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 熊本県特産の郷土酒の赤酒は、本みりんと糖度、アルコール度がほぼ同等で、調味料として使用されている。これまでに、赤酒の成分溶出抑制や味の浸透性向上、てり・つやの付与は、本みりんと同等またはそれ以上であることを報告した。そこで、本研究では、赤酒のにおい抑制効果に着目し、飯臭に及ぼす影響を検討した。
    方法 平成25年度産コシヒカリ無洗米(株式会社神明)を用い、浸漬後に米重量の1.7%の料理用赤酒(瑞鷹株式会社)または本みりん(タカラ酒造株式会社)を添加した。対照として、添加なし米を炊飯した。炊飯後、室温に30分放置し、そのにおいを、におい識別装置(株式会社島津製作所 FF-2A)で測定し、「臭気寄与」、「類似度」、「臭気指数相当値」を比較した。飯のテクスチャーは、クリープメータ(山電株式会社RE2-33005B)で測定し、官能評価を行った。
    結果 飯の「臭気指数相当値」では、添加なし飯12.5、赤酒飯17.9、本みりん飯17.7で、赤酒飯および本みりん飯が添加なし飯より高かった。添加なし飯では、「臭気寄与」で、有機酸系が検出された。赤酒と本みりんを添加した飯では、アミン系、アルデヒド系、エステル系、芳香族系、炭化水素系が検出された。赤酒を加えた飯の官能評価では、飯臭が抑えられ、後味が弱くなる様子が見てとれた。赤酒のマスキング効果によるものと考える。
  • 峯木 眞知子, 島村 綾, 宮田 美里
    セッションID: 2P-20
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 熊本県特産の郷土酒の赤酒は、本みりんと糖度、アルコール度がほぼ同等で、調味料として使用されている。これまでに、赤酒の成分溶出抑制や味の浸透性向上、てり・つやの付与は、本みりんと同等またはそれ以上であることを報告している。本研究では、魚の調理(焼きサバ)における赤酒の調理効果を検討した。
    方法 冷凍サバ切り身(ノルウェー産)を用い、解凍後45.0g±1.0gに整形した。重量の20%の料理用赤酒(瑞鷹株式会社)または本みりん(タカラ酒造株式会社)を添加し、20、45、90、180分間浸漬して冷蔵保存した。オーブン(SN-860LA-S、東京ガス)で180℃、10分間焼成し、室温で放冷した試料について、重量保持率および破断強度を測定した。同様に調製した試料の表皮を剥離し、光沢計(ハンディ型光沢計PG-Ⅱ、日本電色工業㈱)で光沢度を測定した。また、サバ重量の10%の赤酒もしくは本みりんと10%の醤油(キッコーマン㈱)で浸漬し、焼成した試料を用い、内部への塩分および糖分の浸透を測定した。
    結果 赤酒および本みりんを用いた試料では、加熱後重量保持率および破断強度に有意差はなかった。浸漬時間による影響では、180分でやや破断強度が低くなった。赤酒試料の光沢度は8.6%で、本みりん試料の4.9%より、有意に高い値を示した(p<0.01)。醤油を添加した照り焼きでは、赤酒、本みりんともに90分で糖分が高かった。
  • 川嶋 比野, 数野 千恵子
    セッションID: 2P-21
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的
    演者らは前報(本学会第66回大会)で、画像編集ソフトを用いて白地に3種類の青色の絵柄を描いた皿の画像を作成し、和食が美味しそうに見える「青色」を検討した。その結果、基準色とした青色(マンセル近似値4.9PB3.1/9.1)が最も食欲を増進させることがわかり報告した。今回、焼成した皿を用いて青色の色相及び彩度を変化させ、料理に与える影響を調査したのでその結果を報告する。
    方法  
    皿は前報で得た食欲をより増進させる絵柄と配置のデザインとし、4種類の強化磁器を焼成した。絵柄の青色は、前報で高い評価を得た色を基準色とし、色相を緑方向に変化させたものを青緑色、彩度を下げたものを低彩度色とした。対照として白色の皿を用意した。料理は給食で喫食頻度の高い料理を各種類の皿に4品~8品用意した。対象者に実際に盛り付けた料理を見てもらい、それぞれどの程度食欲を増したか評点法および順位法によりアンケート調査を行った。
    結果
    青色の絵柄は対照とした白色の皿より、いずれも食欲を増進させる効果があった。青色の中ではほとんどの料理で基準色が最も好まれた。フルーツは、単色で淡い色であるため、爽やかなイメージの青緑色とも相性が良い傾向がみられ、魚料理や田楽、ハンバーグなどの暗い色の料理は、落ち着きや重厚感をイメージする低彩度色とも相性が良い傾向がみられた。しかし、基準色より有意差を持って評価平均値が高い色はなかった。
  • 石神 優紀子, 山﨑 薫, 奈良 一寛, 東海 英里子
    セッションID: 2P-22
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 食用花の中には,野菜よりもビタミンやミネラルを有している品種がある.そこで,誰もが身近に手にすることができ,高い需要を持つアイスクリームへの食用花活用に注目している.本報告では食用花色素を活用し,アイスクリームへの色付けを主目的とした.
    方法 食用として本学で栽培しているマリーゴールド(イエロー・オレンジ),ペチュニア(ブラック;パープル・ピンク),ジニア(オレンジ),ベゴニア(レッド・ピンク),インパチェンス(ピンク),ニチニチソウ(ピンク),ハイビスカス(レッド),ペンタス(レッド・ピンク),キク(イエロー)の13品目の食用花の生花弁・凍結乾燥花弁を試料としてアイスクリームを作成した.食用花色素をいかすため,卵不使用の方法でアイスクリームの作成は行い,色差を測定した.
    結果 凍結乾燥花弁よりも生花弁を用いたアイスクリームの方が可視下にて色付けが確認できた.また,無添加のアイスクリームをスタンダードに定め,生花弁・凍結乾燥花弁の各々を用い,色付けしたアイスクリームの色差を比較した結果,生花弁を用いたアイスクリームの方が,凍結乾燥花弁を用いたアイスクリームよりも色差が大きいという結果となった.生花弁のオレンジ・パープル・レッド系の色素がよく色付き,味はレッド系の花弁使用時が好評であった.特にベゴニアでは花弁の持つ特有の甘酸っぱさと色味を生かしたアイスクリームが作成できた.
  • 山﨑 薫, 奈良 一寛, 石神 優紀子, 杉村 愛
    セッションID: 2P-23
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 市販グミには様々な色があり,華やかだが,花の色素を活用しているものは大変少ない.よって,食用花の活用を検討している中,食用花に含まれる色素をグミに活用した場合,どの程度,色付けにいかせるのか検討した.
    方法 食用花として本学で栽培しているマリーゴールド(オレンジ・イエロー),カーネーション(レッド),八重桜(ピンク),キンギョソウ(レッド・ホワイト・イエロー),ペチュニア(レッド・ホワイト),ベゴニア(レッド),ジニア(オレンジ),ガザニア(イエロー),バラ(レッド)の9品種,花弁色違い含め13品目を試料とした.花弁色素と甘酸っぱさを生かせる条件を検討し,シロップを作成後,グミ作りに用いた.食用花試料本体,作成シロップ及びグミ,各々の色差とpH測定を行った.
    結果 電子レンジ使用により,花弁色が抜けることが抑えられ,鮮やかな色合いを出すことができた.作成グミの色差測定結果の特徴として,ゼラチンが黄色を有していたため,その影響を受けたものもあった.pH測定の結果,レモン果汁添加前のシロップは中性でレモン果汁添加後,酸性になったが最終的に作成したグミはゼラチン等の素材の影響を受け,中性となった.官能評価の結果,一番好しかったものは八重桜のシロップを用いたグミであった.グミにおける色素の安定性も認められ,果汁を用いたグミと同様,活用できると判断した.食用花シロップは他の料理にも活用できると考えている.
  • 高澤 まき子, 矢島 由佳
    セッションID: 2P-24
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
    会議録・要旨集 フリー
    目的   今日の食生活様式は多様化し、調理上の形態も大きく変化している。食物のおいしさは味のよしあしに左右され、味覚の形成は日常の食経験による影響が大きく、若い世代層における味覚は低下しているといわれている。そこで、最も味覚に敏感とされる学生の味覚について状況を把握するとともに食生活状況との関わりについて検討した。

    方法  
    管理栄養士養成課程の1年生および3年生の107名を対象とし、2014年12月中旬に無味を加えた五味の識別検査および閾値検査を行った。併せて食生活状況について自己記入方式でアンケート調査を行った。

    結果 五味の識別検査で正答率の高かったものは、甘味と酸味であり、反対に誤答率の高かったものはうま味、塩味であった。誤答したもののなかではうま味を塩味に、塩味をうま味と回答しているものが多かった。また、無味をうま味、苦味と誤答しているものが多かった。刺激閾値では塩味、苦味の感度が高く、甘味で低かった。認知閾値では苦味の感度が高く、甘味、うま味で低かった。日常の食生活で塩味のもの、酸味のものをよく摂取する人は認知閾値が高く、甘味のものをよく摂取する人は低くなる傾向がみられた。
  • 棚橋 亜矢子, デュアー 貴子, 松本 富美子
    セッションID: 2P-25
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
    会議録・要旨集 フリー
    目的 「味覚地図」とは、舌の部位によって五基本味(甘味、塩味、酸味、苦味、旨味)に対する感受性が異なっていることを模式した図であり、広く一般的に知られている。しかし、近年では舌の部位による極端な感受性の違いはないとも言われており、否定した報告もみられる。そこで本研究では、味覚分布の有無について検討するため、大学生を対象に舌の部位別に味覚調査を行い、否定されている味覚地図との比較を目的とした。 方法 20~21歳の大学生57名を対象にテーストディスク法に従い、味覚検査を行った。検査液は5種類(サッカロース、塩化ナトリウム、酒石酸、硫酸キニーネ、グルタミン酸ナトリウム)各5濃度で実施し、感じた味と認知閾および舌の部位を求めた。データの統計処理にはSPSSを用い、五基本味の認知閾と男女差との関連についてクロス集計およびχ2検定を行った。 結果 舌先端部は61.4%が酸味、中央部では73.7%が塩味、側縁部では61.4%が酸味と苦味、頬内面部は38.6%が酸味を最も感じ、舌根部は何味も感じないという結果であった。味覚地図と比較すると中央部の塩味と側縁部の酸味は同じだが、他の部位は異なっていた。舌の部位によって感じる味やその強さが異なることが明らかになったが、基本味に関しては味覚地図のような極端な味覚の差はないということが判明した。即ち、食品から得られる味は舌全体を通して統合的に感じていることが示唆された。
  • 長嶋 智子, 佐藤 了子, 佐藤 恵
    セッションID: 2P-26
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
    会議録・要旨集 フリー
    目的 食嗜好は成長過程において日常の食生活の中で形成・発達するものと考えられており、食環境の影響も大きい。本学では近隣に相次いで出店したコンビニエンスストア(以下コンビニ)で飲料や食べ物を購入する学生が多く、前報でコンビニの利用頻度が週2~3回の学生はポテトサラダの味付けが「少し甘い」と回答している者が多かった。そこで、本研究ではコンビニでの学生の購買行動と食嗜好について、官能評価からその影響について検討した。
    方法 女子短大生148名を対象に、異なる甘さに調整した卵焼きとポテトサラダで嗜好調査を行った。各試料について味の好ましさを5段階で回答してもらった。さらに、日常的に食べているものと比較してどうかについて5段階で回答してもらった。なお、対象者には同時に日常のコンビニの使用状況などに関して質問紙調査を実施した。
    結果 卵焼きでは砂糖を入れない試料A、卵の5%の砂糖を加えた試料B、卵の10%の砂糖を加えた試料Cとし、「嫌い」を-2点、「やや嫌い」を-1点、「どちらでもない」を0点、「やや好き」を1点、「好き」を2点として平均点を求めた。点数が高かったのがBの卵焼きであった。Cの卵焼きは日常的に食べているものと比較してやや濃いと回答している者が多かった。ポテトサラダでは砂糖を入れない試料A、じゃがいもの5%の砂糖を加えた試料B、じゃがいもの10%の砂糖を加えた試料Cとし、平均点を求め、Aのポテトサラダの点数が高かった。Bのポテトサラダを24%の対象者が日常的に食べているものと比較して似ていると回答しているが、嗜好としてはAを好むという結果であった。
  • 西田 真紀子
    セッションID: 2P-27
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
    会議録・要旨集 フリー
    目的 食は人が生きていくうえで欠かせないものであり、心身の健康状況にも影響する。日本の生活の中での食を考えたとき、家族のもとで準備されたものを摂取する依存型から自分で食事を選択する独立型へ変換する時期が、18歳頃だといえる。独立開始時期に当たる大学生の食の自立に関する認識と食の実態との関係を明らかにし、必要な食教育を考える。

    方法 2014年6月中旬から9月下旬にかけ、福岡県内の大学生1010名を対象にアンケート調査を行った。調査項目は属性、自立に関する自己評価、3食の食事形態、調理頻度などであり、すべて無記名・選択式とした。データの集計及び解析には統計用ソフトSPSS ver.19を用いた。

    結果 食の自立ができていると自己評価した学生(自立者)は約30%であった。男女で比較すると男子学生のほうが自立の自己評価が高かった。食事形態に関しては、昼食は、食の自立の有無により差が見られなかったが、朝食および夕食は内食、欠食・菓子類で代替の割合に差が見られた。自己の調理頻度に関しては、自立者は全くしないと回答したものが19.6%であったのに対し自立していない者は37.7%であった。食事に対し重要視するものに関しては両者とも「おいしさ」を重視するものが多かったが、「値段」、「栄養バランス」についての項目の回答に差が見られた。
  • 江澤 有佳, 松島 悦子
    セッションID: 2P-28
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
    会議録・要旨集 フリー
    目的 朝食の摂取は、単に栄養補給だけでなく、規則正しい生活リズムの形成に不可欠である。また、食事を摂ることは血糖値の上昇や脳の活性化を促し、朝食の摂取は学習や運動をする上でも重要である。しかし、平成24年度国民健康・栄養調査によると、普段朝食を摂っていない欠食者の割合は男性で12.8%、女性で9.0%であり、年代別では男女とも20歳代で最も高い。本研究では、女子大学生の朝食摂取の実態と意識について明らかにすることを目的とした。
    方法 2014年5月、W大学の女子学生311人を対象として、朝食の摂取頻度と内容、欠食する理由などについて質問紙調査を行った。
    結果 朝食を食べないことがあるという欠食者の割合は37.0%で、平成24年国民健康・栄養調査の結果より高かった。属性別には、朝食の欠食率は学年が高いほど高く、家族と同居する者よりも一人暮らしの者で高かった。欠食の理由として、「時間がない」(64.3%)という回答率が最も高かった。朝食でよく食べられている主食はご飯(69.2%)とパン(59.7%)、主食以外では「ヨーグルト」(43%)、「果物」(26.6)、「牛乳」(23.3%)などだった。約6割の者が、自分の朝食について「野菜不足」と感じており、約8割が今後は「栄養バランスを考えて朝食を食べたい」と考えていた。 以上の結果より、調査対象者の学生たちは、短時間で食べることができて、野菜を十分に摂り入れた栄養バランスのよい朝食メニューを求めていると考える。
  • 土海 一美, 西村 栄恵
    セッションID: 2P-29
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】脂質の総エネルギー摂取量に対する割合(脂肪エネルギー比率)が高くなると、肥満、糖尿病、メタボリックシンドロームのリスクが増加することが知られている。平成25年国民健康・栄養調査では、15~19歳女性の脂肪エネルギー比率は31.1%であり、日本人の食事摂取基準(2010年版)の目標量の上限を越えていた。そこで、若年女性の脂肪摂取とエネルギー・栄養素摂取量、食品群別摂取量との関連を明らかにすることを目的とし食事調査を実施した。【方法】管理栄養士課程の女子大学生83名を対象とし、簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)を用いた食事調査を実施した。【結果及び考察】エネルギー摂取量1476±451kcal、タンパク質52.3±21.1g、脂質44.5±19.2gであった。PFCエネルギー比率は、タンパク質14.1±2.7%、脂質26.7±6.1%、炭水化物59.2±8.0%であった。脂肪エネルギー比率はエネルギー、タンパク質等の多くの栄養素と有意な正の相関が、炭水化物エネルギー比率とは有意な負の相関が認められた。また、脂肪エネルギー比率は、肉類、油脂類、菓子類と有意な正の相関が、穀類と有意な負の相関が示された。さらに、脂肪摂取と関連している油脂類や菓子類には、冠動脈性心疾患のリスクを高めることが知られているトランス脂肪酸が多く含まれており、今後検討する必要があることが示唆された。
  • 長坂 慶子, 松本 絵美, 魚住 惠
    セッションID: 2P-30
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
    会議録・要旨集 フリー
    目的 岩手県では地域の活性化や県民サービスの向上を目的とし、企業の様々な地域貢献活動との連携を積極的に推進している.その一環として本学短大生がコンビニエンスストア(以下コンビニと略)で弁当の共同商品開を行うプロジェクトに参加した.学生に開発前と開発後にアンケートを実施しコンビニ弁当に対する意識の変化を調査した.
    方法 プロジェクトに参加した学生22名を対象にアンケートは自記式質問用紙で開発前(4月)と開発後(7月)に実施した。集計は単純集計およびクロス集計を行った.
    結果 学生がコンビニで食事としてよく購入するものは、おにぎり、調理パン、菓子パン類で、弁当類の利用は少なかった.開発前に学生が売りたいと思う弁当のイメージは、栄養バランスが良い、彩りがよい、カロリー・塩分が控えめ、県産食材や野菜の多用など健康や地産地消を志向する弁当であった.学生は弁当の販売数・売上高の結果から、一般の人に購入してもらうには、価格を下げる82.4%、季節感をもっと出す64.7%、彩りを良くする52.9%などの必要があると回答した(複数回答).学生が作りたい弁当とコンビニで売れる弁当には味付けの濃さ、価格の設定、食材の産地などで差があると感じていた.弁当開発に参加して、コンビニ弁当へのイメージが良くなったは41.2%、変わらないは58.8%であった.
  • 若い年代にみる赤飯の摂取状況
    宇和川 小百合, 色川 木綿子
    セッションID: 2P-31
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
    会議録・要旨集 フリー
    目的:家族の形態、生活の価値観の変化などにより、年中行事や通過儀礼のあり方も変化している。また、食の外部化により、家庭内で家族揃って食事をすることが少なくなり、グルメ志向や健康志向の高まりによって、食事内容も変化している。家庭の中で伝承されにくくなっている状況のなか、若い世代の意識や現状を明らかにすることを目的とした。
    方法: 平成21~23年度実施の日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学ー行事食・儀礼食ー」の関東(1都6県)の調査データおよび女子学生(質問紙法)および卒業生(郵送法)にて調査を行った。
    調査対象者の属性:対象者は女性で、関東調査3,570名を20歳未満34.2%、20歳代29.5%、40歳代16.4%、50歳代14.6%、60歳以上5.3%、本学調査489名を20歳未満44.6%、20歳代55.4%に分けて比較した。家族構成は、関東調査2世代35.4%、同世代30.2%、3世代20.1%、4世代0.5%、本学調査2世代62.0%、同世代14.4%、3世代8.9%である。質問紙の内容は、行事食・儀礼食の認知度や経験などで、本学調査には、赤飯についても調査を行った。
    結果:「重陽、盂蘭盆」の認知度は低いが、その他は高い認知度であった。両調査の同年代を比較すると本学調査の方が、認知度は高く、経験した人も高い割合だった。赤飯は、通過儀礼の祝いの時に食されることが多いが、40歳代以上で、4割から7割であり、祝いに限らず「食べたい時に」に食していた。本学調査では、葬儀に1割の人が食していた。  
  • 西念 幸江, 五百藏 良, 三舟 隆之
    セッションID: 2P-32
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
    会議録・要旨集 フリー


    目的 近年平城京跡出土木簡などによって古代の食品が判明しつつあるが、その調理法はほとんど不明である。そこで本研究では、古代の食品の加工および調理法を復元することを目的とした。
    方法 木簡に見える食材の一つに海藻があり、「正倉院文書」から写経所で一日一人当たりに支給されている量が判明するので、それを復元するために調理した。また木簡に見える堅魚煎汁は調味料として使用されたと考えられるが、産地の伊豆国は遠隔地である。保存上の問題を調べるため、堅魚の煎汁(市販品)を常温(25℃)で20日保存し、一般細菌数を測定した。
    結果 写経所で支給された海藻類は、平城京跡出土木簡例の単位から乾燥品と考え、「正倉院文書」の例では、海藻(わかめ)、滑海藻(あらめ)とも浸漬前の重量は一両(41.9g)であるが、浸漬後の量はかなり増え、滑海藻は257g(約6.1倍)となった。一方堅魚の煎汁からは、細菌は全く見られなかった。
    考察 堅魚煎汁から細菌が検出されなかったことによって、遠隔地から貢納されても十分保存性がある可能性が高まった。一方海藻類も、産地から平城京までの輸送や保存を考慮すると乾燥品と考えられるが、戻した乾燥品の量が一人分としてはとても多いことから考えて、どのように調理したかをさらに検討する必要が生じた。今後はさらに食品の加工、保存法と共に、支給された食品の調理法と栄養価から、古代の官人の健康状態を検討したい。
  • 大橋 きょう子, 秋山 久美子
    セッションID: 2P-33
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
    会議録・要旨集 フリー
    目的 昭和時代初期に、我が国の食用油脂及び油脂を用いた料理は新聞記事やラジオ放送などを通して普及した。マスメディアによる油脂類の情報とその啓蒙は当時の食生活に影響を及ぼしたが、当時の人々の生活状況には格差があり、一般家庭の日常食の実態は明らかになっていない。そこで、大正末~昭和初期の日常食に着目し、食用油脂及び油脂を用いた料理の実態と各地域の特徴を明らかにした。
    方法 「日本の食生活全集全50巻」を資料とした。全掲載料理について料理に使用された油脂を地域別に抽出・精査した。使用油脂の種類、調理法、主材料に分類・整理し特徴を検討した。
    結果・考察 (1)全料理数52,000件中、油脂を使用した料理は1.5%弱(741件)で、日常の家庭料理全体から見た食用油脂の使用頻度は極わずかであった。(2)料理に使用された油脂類の約62%が植物性油で、中でも菜種油の使用頻度が最も高く、地域によりエゴマ油、ゴマ油などを用いていた。動物性脂は全体の38%で、豚脂の使用頻度が高かった。(3)豚脂は沖縄、鹿児島、兵庫県、えごま油は山形、宮城県などの東北地方で使用されていた。北海道ではバターの使用が多く、食用油脂の種類及び調理法には地域性が認められた。(4)全国的に和風料理が中心で、少量の油で食材を炒め煮した料理が多かった。しかし、都市部の地域ではバターや豚油を用いた洋風料理も出現し、油脂を用いた料理が多様化する兆しが伺えた。 
  • 礒部 喜代子, 柳澤 幸江
    セッションID: 2P-34
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
    会議録・要旨集 フリー
    目的 2011年に2人以上世帯のパンの購入金額が米を超え、国民健康・栄養調査においても、1970年ごろからパンの摂取量が増加し、現在は1950年代半ばの2倍となっている。そこで、日本の食生活が大きく変化し始めた1960年代から現在までの約50年間におけるパン食献立の変化を、料理雑誌から分析し検証した。
    方法 「栄養と料理:女子栄養大学出版部」に掲載されたパンとご飯を主食とした1食単位の献立を、50年前、25年前、現在の3時点において抽出した。さらに献立ごとに調理方法及び使用食材を分析しその出現頻度を求めた。食材については主成分分析を用い、パン食の料理食材特性を検討した。
    結果と考察 抽出したパン食は、50年前は42献立、25年前は33、現在は37、ご飯食はそれぞれ、62、60、49であった。調理方法は、パン食はサラダを主とした和え物が多かった。ご飯食は煮物と汁物が多く漬物は減少傾向にあった。各献立で用いられた食材種は全89品、内パン食での出現は49品、ご飯食は68品で、パン食の方が使用される食材の種類が少なかった。出現食材による主成分分析の結果、この50年間の時代変化は小さく、食材はパン的食材(牛乳、バター、生食果物等)とご飯的食材(大豆加工品、海草、大根等)に分けることができた。パンの摂取量は増加しているものの、パン食で使用される食材は時代変化が小さく、現在でもご飯食とは明らかに異なることが示された。
  • 変化とその背景
    岩本 佳恵, 松本 絵美, 長坂 慶子, 魚住 惠
    セッションID: 2P-35
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
    会議録・要旨集 フリー
    目的 時代による食生活の具体的変化を、その背景とともに明らかにすることにより、個々人の食生活の変化と社会的構造の変化による食生活の変化との相互関係を明らかにすることを目的として地元出身の証言者を対象に調査をおこなった。
    方法 岩手県北部沿岸に位置するN村の70代~80代の女性生活者グループのメンバー13名を対象に、平成26年6月から平成27年1月にかけて計4回にわたり、およそ50年前と現代の食生活とその背景について聞き書きをおこない、両年代による比較をおこなった。
    結果 50年前の食生活は自家製の野菜が中心であった。たん白源は鶏の卵、近くの浜で入手できる魚介類、大豆から手作りする豆腐などであった。これらのたん白源となる食材のうち、自家で生産していないものは野菜と物々交換で入手していた。主食は野菜、海藻を混ぜた粥や雑穀飯であった。食生活の基本は自給自足であり、食べることと働くことが直結しており、店で購入するものはほとんどなかった。現在の食生活では店で購入するものが増えたが、野菜、芋、豆などは依然、畑や庭で複数の作物を育て、日常生活で使用している。自給自足の習慣は残っているが、家族員の減少や行政等による健康情報は調査対象者の調理方法に影響を与え、料理が変化していることが窺えた。しかし、若い世代が好む新しいメニューを自分のものとして取り込む傾向はみられなかった
ポスター発表 5月23日 被服
  • 深沢 太香子, 三野 たまき
    セッションID: 2P-36
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 下部胸囲における圧迫が,温熱的中性域での安静時と身体加温時の発汗反応と温熱的主観評価に及ぼす影響を検討することとした.
    方法 健康な女子大学生5名を対象とした.圧迫条件は,下部胸囲寸法の-1%と-5%,無圧迫の3条件とした.圧迫には無伸縮性インサイドベルトを用いた.被験者はトップスとショートスパッツを着用し,28 °C,約50%RH,気流0.2m/sに制御された風洞内に滞在した.開始10分後に圧迫を付与し,30分後には圧迫を付与したまま,両下肢を膝下まで42°Cの水槽に30分間浸漬させた.実験中は直腸温,皮膚温,皮膚露点温度,発汗量,蒸散量を測定し,温熱的主観を申告させた.
    結果 圧迫付与条件において,上体,特に背の皮膚温は無圧迫時よりも低値を示す傾向があり,低下量も大きかった.一方,大腿の皮膚温は高値を示し,低下量は小さくなる傾向を示した.安静時と身体加温時の局所蒸散量と増加量に,圧迫条件による差は認められなかったことから,圧迫条件による皮膚温とその低下量の違いは,蒸散の影響ではないと考えられる.安静時と身体加温時の局所発汗の増加量は,圧迫条件による違いが認められた.特に,圧迫付与条件の背と前腕の局所発汗の増加量は,無圧迫時よりも有意に低値を示すのに対し,大腿の局所発汗の増加量は圧迫付与の条件において有意に高値を示し,圧迫による発汗神経活動の抑制とその代償が観察された.
  • 角田 由美子, 三木 麻未, 石川 亜沙美
    セッションID: 2P-37
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 レザージャケットは秋冬以外にはあまり着用されていないが、近年の様々なレザーの加工により、秋冬以外でも着用可能であると考える。そこで前報1)では衣服着用時を想定した衣服内気候シミュレーション装置により、各種環境下での素材の評価を行なった。本報ではレザージャケットの着用実験を行い、素材の評価の結果と比較検討して温熱快適性の評価を行った。

    方法 ジャケット用素材は、前報1)と同様に厚さ0.6±0.1mmの衣料用シープレザーと対照として綿織物、毛織物、合成皮革を用いた。着用実験は、単衣の長袖ジャケットを同一条件で製作し、成人女子10名の被験者が着用した。これらの衣服内温度、湿度、熱流量、生理状態、官能評価を測定した。着用実験は、初夏、晩夏を想定した20℃,65%RH、25℃,65%RHの環境下で行った。

    結果 1)レザーは、繊維素材と比べて衣服内温度が低く、発汗後に上昇した衣服内湿度は速やかに放湿され、官能評価も良好であった。中でもパンチングレザーは他の素材よりも優れていた。2)20℃,65%RH、25℃,65%RHの環境下における衣服内気候シミュレーションの湿度と着用実験の衣服内湿度は、高い相関が認められた。さらに衣服内気候シミュレーションの湿度は、官能評価の不快感、湿潤感に高い相関が認められた。 1)角田ら:日本家政学会第66回大会研究発表要旨集p82(2014)

  • 下村 久美子, 谷井 淑子, 猪又 美栄子, Phan Hai Linh
    セッションID: 2P-38
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 日常的に着用されてきたベトナムの伝統的衣服は時代とともに変化し、失われつつある。伝統的衣服の種類や着用実態の把握と形の変化を解明することを目的として、ベトナムの北部、中部、南部の農村にて調査を行なってきた。本研究では、商業地区ホイアンで調査を行い、伝統的衣服の形や縫製の変化について考察した。

    方法 ホイアン遺跡管理センターの協力を得て、平成26年9月に伝統的衣服の仕立屋をしていた高齢者(5名)と衣生活に詳しい高齢者(7名)を訪問し、伝統的衣服の色、素材、形や着用経験に関する聞き取りと写真およびビデオ撮影を行なった。

    結果 (1)古いタイプの伝統的衣服について、裁断方法や縫製手順を詳細に記録することができた。これまでの調査結果と合わせて、布幅は時代の経過と共に広くなり、それに伴い裁断方法等が変わったことを確認できた。(2)伝統的な腰丈の上衣のアオ・ババは、現在も農村では高齢女性が日常的に着用している。以前は、外出用と労働用では素材やスリットの有無などの縫製方法が異なっていた。(3)女性用のアオ・ババの衿ぐりの形と袖の形式は、1950年代半ば頃から変化が見られた。(4)女性用のアオ・ザイはかつては裁ち出し袖であったが、1960年代にラグランスリーブに変化し、それに伴って胸ダーツとウエストダーツが加わり、身幅が狭くなり、現在の形式になった。  本研究は平成26年度科学研究費補助金基盤研究(C)(課題番号26350080)の交付を受けて実施した。
  • -下衣・履物を中心に-
    千葉 桂子
    セッションID: 2P-39
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 残存する会津の仕事着の上衣に着目し,施された刺し子の文様特性について前に報告した。本研究では,それに引き続き下衣と履物に着目し,上衣と同様に文様特性について検討を行った。また,それらの材料や使用方法等についても検討し,これまであまり触れられて来なかった会津の刺し子と衣生活の一端を把握することを目的とした。
    方法 (財)会津民俗館に収蔵されている福島県指定重要有形民俗文化財「会津の仕事着コレクション」(昭和49年指定,全476点)を資料とした。本資料には江戸時代から昭和40年代頃に使用されたものが含まれている。その中で,収集台帳上の分類B(下衣,176点),C(履物他,64点)を対象に写真撮影や民俗資料収集台帳の記載内容の分析を行った。
    結果 下衣で多かったのがモモヒキであり,次いでサッパカマ,サシコサッパカマであった。多くのサッパカマの材料は麻であるのに対し,サシコサッパカマはすべて手織木綿であった。上衣では装飾的な文様もみられたが,下衣ではたて刺しがほとんどであり,布の補強が目的と考えられる。また,履物および関連品では,シブガラミ,サシコタビ,カカトカゲ,アシマキがあり,たて刺し,ぐのめ刺しが多くみられたが,タビには上衣にもみられた山道刺しや花型刺しが複数認められた。すべて冬の野良・山作業用であり,足部全面に刺し子をすることで補強と保温性の向上を図ったと考えられるが,装飾としても印象的であった。
  • 小山 京子, 川畑 昌子
    セッションID: 2P-40
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目 的 ゆかた製作は、科目名が被服工作から被服構成学となった現在も、実習を伴う教科である。実習する学生の課題は、未熟な技術による諸問題であろう。手縫い製作は、手指の巧緻性に有用であり、先人たちの知恵の伝承でもある。 前回より着眼点を変え、先人達の足跡を辿り、今後の参考としたいと考え、和服裁縫に係わる文献調査を実施している。今回は、和服製作に係る文献について、創刊から20巻までの時代の推移を調査し、こんにちに役立つ知恵・方法論を探究する。加えて、戦後仕立てられた単衣長着、現在の和服着用の様相も把握し、今後の教育に活かしたいと考える。 方 法 日本家政学会誌の創刊より1969年までの報文件数・被服分野件数・和服裁縫に係わる件数・年代別変遷を中心に解析する。
    結 果 20巻7号までの全報文数は1226件で、被服は549件、その内和裁に係わる報文数は39件であった。学会誌の創刊は終戦より6年目であり、教員が教育・研究を行うのに大変な時期で、女子が大学で学ぶ創生期と思われる。 和裁関連の報文は、創刊から2年間で5件、縫合・指貫・時代を反映した改良衣服であった。その後5年間には報文が見当たらない。1961年には、裁断で反物をどのように据えるかについて160冊以上の教科書・参考書を取りあげたものもあり、多くの和裁関連書物がでまわっていたことが窺える。近年のゆかた着用の現状を観察すると、新鮮な感覚が見られ、教育とどのように結びつけるかは、今後の課題となろう。
  • 雨宮 敏子
    セッションID: 2P-41
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 服飾を学ぶ学生を対象に,私服の所持数および死蔵数,収納場所などについてアンケートを行い,現在の管理状態に意識を向けさせることを目的とした.授業時間内で行うことと回答者の負担を軽減するため回答項目を絞り,簡易な調査を試みた.
    方法 大学生および短期大学生男女に対し,2014年7月と2015年1月に行った.全ての項目に選択肢を示して該当するものに丸を付ける形式とし,いずれも不明またはその他を選択肢に含めた.項目は7アイテム群ごとに各々の所持枚数,収納場所,死蔵枚数とした.2年以上着用していない衣服を死蔵数とし,死蔵となった理由と死蔵のまま所有している理由も尋ねた.回答後,気付いたことなどを自由記述させた.
    結果 有効回答数は175名であった.所持枚数や死蔵数は単価や着用頻度に関係する傾向が見られた.死蔵理由では「飽きた」,死蔵品を所有する理由としては「捨てるにはもったいない」とする回答が多かった.衣服管理に関する調査については,日本衣料管理協会による詳細な「衣料の使用実態調査」が既にあるが,対象を本人の衣服のみとし,全体も簡略化することで高い完答率が得られること,現物が目の前にない中で私服を1点ずつ思い出して保管状況を確認する作業は,自分の衣服管理の現状について実感を持って把握するきっかけとなり,今後の衣服の購入や保管に対する見直しや環境配慮への意識を高める上で効果を得られることがわかった.
  • 鷲津 かの子, 日下部 信幸
    セッションID: 2P-42
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 黄花コスモスは丈夫で繁殖性が高いのに加え、全国的に入手しやすく、無媒染でも繊維への染着性が比較的良いことが特徴である。また、重曹やくえん酸を使用して色を変えたり、液染め、摺り染め、摺り込み染めなど利用範囲が広いため、創造性のあるテキスタイル制作に生かすことができると考える。そこで、黄花コスモスの効果的な染色方法について、染色条件や後処理の影響を調べるとともに、テキスタイル制作を試みた。

    方法 染色材料は黄花コスモスの花弁とし、煮出しして抽出した液により、常温から100℃まで4段階の温度で液染めを行った。布は綿、毛、絹、レーヨン、ナイロンの5種類とし、無媒染とみょうばん媒染の試料を作成した。その後、30時間露光または1か月空気中放置した場合の変退色の程度について、54名の女子大学生による目視判定を行った。さらに、花弁を直接摺り染めした試料を作成し、熱処理の有無による耐光性、耐熱性、耐洗濯性の違いを調べた。

    結果 液染めを行った試料の変退色について目視判定を実施した結果、ナイロンを常温で染色した試料の変退色が最も少ないと判断された。また、利用しやすいと考えられる綿の試料について露光前後のL*値を比較すると、高温で染色するほど差が小さくなった。さらに、摺り染めについては熱処理を行うことにより、堅牢度が向上することが分かった。これらの成果をもとに、さまざまな染色技法を用いてテキスタイル制作に生かすことができた。
  • 木内 正人, 牧 幹子, 安藤 孝平
    セッションID: 2P-43
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 洗剤を用いて洗濯を行った後、排水および脱水を行うときに、ミセルとして衣類から脱離した油脂汚れが、ミセルの崩壊により再付着することは良く知られている。ワイシャツの場合、襟と袖口に集中的に再付着するので洗濯後の仕上がりに影響する。我々は洗濯時の再付着を防止する器具を開発することを目的にポリプロピレンやポリエステルなどの親油性繊維を用いて研究を行った。

    方法 原油タンカーの座礁事故などのときに油吸着材として利用されるポリプロピレンやポリエステルなどの親油性繊維に注目した。洗濯時に洗濯槽に親油性繊維を入れておけば、再付着は系内で最も親油性が高い繊維に集中すると考えられる。ポリプロピレンもしくはポリエステルの繊維を球状に丸め、カバーを掛けたうえで、人工皮脂、白色布と共に洗濯・乾燥を行った。

    結果 白色布の白色度を測定した。その結果、親油性繊維を用いた場合は、用いない場合と比べて白色布の白色度が優れていることがわかった。また、親油性繊維を十分に乾燥して重量を計測したところ、重量が増加しており人工皮脂を吸着したためと考えられる。繰り返し洗濯実験を行ったところ、重量は単調増加した。これにより、親油性繊維を丸めたものが、再付着防止器具として利用できることが判明した。
  • 駒津  順子, 森田 みゆき
    セッションID: 2P-44
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 超濃縮やタブレット型など多様な衣料用洗剤が使用される家庭洗濯について,本研究では,洗濯習慣の異なる欧州で販売される製品や日本の各種液体洗剤を用いて,日本の洗剤の標準的な使用温度を下回る低温における洗浄性を比較した.
    方法 液体洗剤は,タブレット型2種,超濃縮3種,従来型2種で,タブレット型および従来型のそれぞれ1種にフランスで市販される製品を含めた合計7種を用いた.家庭用全自動かくはん式洗濯機で2回すすぎし,湿式人工汚染布を用いて,浴比調整にカーテン布帛を用いた.浴比は洗濯機で計測した水量と,被洗物重量に対する製品の表示に従い決定した.洗剤の溶解は原則的に洗濯機による計量後注水と同時に投入し,それ以外は製品の表示に従った.色差計による表面反射率の測定からKubelka-Munk式により洗浄効率を算出した. 
    結果 洗濯中の室温は平均18℃(14℃から26℃)で、最高外気温2.0℃という寒冷環境下における,洗濯液温度は11±2℃で洗濯中の液温の上昇はほとんど見られなかった.洗浄効率はフランスの従来型が51.0%で最高となった.日本のタブレット型は38.4%となり,いずれのタブレット型も洗浄効率は低かった.フランス製の洗剤にはいずれもリン酸塩は5%程度配合されており、今回の実験条件の水質ではリン酸塩の有無が洗浄効率に影響を及ぼさないことがわかった. 近年の欧州の家庭洗濯の傾向として,従来の高温洗浄から低温洗浄への移行が見られるが,本実験においてフランス製も日本製と同様に低水温に耐えうるものであることがわかった.

  • ―仙台浴衣と仙台手拭について―
    川又 勝子, 佐々木 栄一
    セッションID: 2P-45
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 大正期から昭和50年代にかけて、仙台地方で多数生産された染物に浴衣と手拭があった。筆者らは、仙台地方の染色製品等について明らかにするために、当時使用された注染用型紙862枚について調査と文様の電子化を行った。引き続き、調査対象の染色工場所蔵の型紙保存箱約10個のうち第5番(全89枚)の注染用型紙について調査した結果を報告する。
    方法 注染用型紙の保存状態・文様等の調査、CCDセンサー・イメージスキャナによる型紙文様の電子化を行い、これまでの結果と比較した。さらに、電子データを活用するために、破損・欠損文様を電子的に補修しデータベースを作成した。
    結果 破損・欠損箇所のある型紙は89枚中46枚(51.7%)と半数を占めた。型紙保存箱第4番までの傾向と比較しても破損・欠損型紙が多い結果となり、次のスキャニングの工程に進めない破損型紙も4枚あった。柄行については、名入れ型紙が71.9%であった。そのうち、名入れ手拭(32.6%)と名入れ浴衣(32.6%)で全体の半数以上を占めた。また、名入れの見られない趣味の浴衣は27.0%であった。文様を分類したところ、名入れ型紙が多かったため幾何文(43.8%)と文字(33.7%)が多く見られた。趣味の浴衣では、植物文様が24枚中16枚を占めた。さらに、汎用画像処理ソフトを用いて破損・欠損箇所の補修を行った型紙画像は『仙台型染資料集Ⅶ』(紙媒体と電子書籍)にまとめた。なお本研究は、JSPS科研費24700780の助成を受けて行った。
  • 田澤 紫野, 小松 恵美子, 森田 みゆき
    セッションID: 2P-46
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 土顔料で直接布を染色する方法について検討している。そこで,pH操作を行った低濃度の土顔料分散水溶液中で染色した布への,土顔料粒子の表面付着状態についてSEM観察を中心に調べた。

    方法 土顔料は,天然土由来であるOchre de France製のRouge ercolano(以下Rouge)とOmbre brulee de chypre C(以下Ombre)を使用した。布はJIS染色堅ろう度試験用のナイロン,PET,キュプラ,絹を用いた。300mlの三角フラスコに緩衝液(pH1-13)100mlと土顔料0.1gを入れ,3分間超音波を当て粒子を分散させた後,実験布0.5gを入れ,130r.p.m.の振盪機で室温で処理した。染色布は約24時間室温で乾燥し,100mlの蒸留水で2回すすぎを行い,再び完全に乾かした。

    結果 各緩衝液で染色した布を目視とK/S値で評価した結果,Ombre,RougeともにpH4が最適であると判断し,SEMで付着状態を比較観察した。Rougeは,ナイロンでは繊維表面と間隙に土顔料粒子が凝集していたが,PETは繊維間隙に凝集はあるが,表面には薄い微粒子付着程度であった。キュプラでは,間隙へのはまり込みが少なく,表面への凝集が点在していた。一方,キュプラのOmbre染色布では,表面にも間隙にも粒子が付着しており,凝集は見られなかった。土顔料種により,同一繊維でも付着状態に違いがあることがわかった。
  • 福井 典代, 野津 旭
    セッションID: 2P-47
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 市販されている洗濯用洗剤には様々な種類があり,粉末洗剤より液体洗剤の割合が増加している。本研究では,大学生が洗剤を選ぶ際の基準や重視度を明らかにするために実態調査を行った。
    方法 1.市販洗剤を購入する際に気をつけていることについて,平成26年7月に94名の大学生を対象として自由記述により調査した。その結果をKJ法によりまとめ,次に実施する調査の評価項目とした。2.粉末洗剤と液体洗剤の重視度について22名の大学生を対象に一対比較法を用いて測定した(平成27年1月)。この一対比較による判定に整合性のある評定者のデータをもとに,洗剤を選択する際の評価項目の重視度,各評価項目に対する洗剤の種類の重視度について階層構造分析法をもとに算出した。
    結果 1.自由記述の内容について分析した結果,257の単語を抽出した。それらの単語をKJ法により分類した結果,大学生は,「香り」を最も重視しており,「価格」,「成分」,「洗浄力」の順に洗剤を選択していた。2.洗濯用洗剤の選好における評価項目を,1で得られた4つの項目に「環境への配慮」を追加して合計5項目として,粉末洗剤と液体洗剤のどちらがどの程度充足しているかを一対比較により算出した。判定に整合性のある評定者は22名であった。結果として,「価格」,「洗浄力」,「香り」の順にウエイトが高く,粉末洗剤より液体洗剤を好むことがわかった。
  • 高岡 朋子, 大枝 近子, 佐藤 悦子
    セッションID: 2P-48
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的:おしゃれ意識は,人それぞれに違いがある。筆者らはその意識の根底には,社会人(20代)の頃の流行が関係しているのではないかという予測のもとに,おしゃれ意識と20代に着用していた服装および自意識との関連を検討した。

    方法:年齢20代から70代までの女性188名(札幌近郊73.東京近郊51.上越近郊64)に対し質問紙調査方法により実施,調査期間は2014年5月~7月下旬である。調査内容はおしゃれに対する意識として27項目,自意識尺度21項目,20代時の服装(複数回答),フェイスシート等である。

    結果: 1)おしゃれ意識27項目に対し,因子分析(主因子法,バリマックス回転)を行った結果7因子が抽出され,因子の質問項目から「Ⅰ期ブランド志向」「独自性」「コーディネイト重視」「流行」「無難」「低価格志向」「Ⅱ期ブランド志向」因子とした。2)年代別特徴では20代はコーディネイト重視と低価格志向,30代はコーディネイト志向,40代はⅡ期ブランド志向,60代はⅠ期ブランド志向,70代は独自性が高く表出し,年代により意識の違いが認められた。3)自意識尺度とおしゃれ意識との関連では,公的自意識が高い人はブランド志向,コーディネイト重視,流行志向など現代の同調的な被服行動をし,私的自意識の高い人は独自性とⅡ期ブランド志向が高く表出し,私的・公的自意識の違いとおしゃれ意識の違いは合致していた。
  • 徳山 朋恵
    セッションID: 2P-49
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的 ゴスロリ(ゴシック、ロリータ、ゴシック&ロリータの総称として使用)は、着用者から「守り」「理想像」などと形容されるなど、着用者が何らかの意味を付与させていると想定される服飾である。しかし着用者自身はゴスロリを広がりのある単語やイメージで語る事が多く、そこに着用者がどのような意味を込めて着用しているのかが了解し辛い。本研究では着用者のイメージと意味合いを理解するための第一歩として雑誌等の媒体においてゴスロリがどのようなイメージで着用者に提示されているかを探る。
    方法 ゴスロリを取り扱う雑誌『KERA!』『Gothic&Lolita Bible』を対象とし、ゴスロリに関して言及していると判断できる文章から修飾語を抜き出し、ゴスロリ自体を形容している言葉かどうかを精査。対象となった語句を黒沢ら(2014)の、ファッションアイテム紹介分に含まれる構成要素分類を参考に分類した。
    結果 全修飾語の内ロリータに関する語句が50%、ゴシックに関する語句が45%、ゴシック&ロリータに関する語句が5%となった。各カテゴリー内で約65%前後が服飾の持つ印象に関する語句であり、ロリータでは「大人っぽい」「かわいい」「上品な」「クラシカルな」といった語句が多用され、ゴシックでは「高級な」「退廃的」「ホラー」といった語句が使われていた。ゴシックにおいては服飾のシルエットに関する語句も、18%と多く見られる結果となった。
  • 富田 弘美
    セッションID: 2P-50
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/15
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    目的  高校生が体育時に着用する体操着は長い間改良がみられず、大まかなサイズ展開で好みのディテールやシルエットを選ぶことができない。そこで、袖・上着・パンツ・衿・裾などのディテールやシルエットに特徴をもつ体操着の写真を提示し、各体操着から抱くイメージのアンケート調査を行う。また、その結果を基にして新しいデザインを提案する。 。

    方法  対象者は東京都、神奈川県の公立、私立の女子高校生各100 名である。調査内容は体操着の写真4種類(A:上着は全開、ボトムがストレート、リブ無し、B:上着は全開、ボトムリブ付、C:上着は全開、ボトムの裾がフレア、リブ無し、D:上着は途中開き、ボトムリブ付き)について、イメージ項目として15項目の形容語対(好き-嫌い、個性的な-平凡な、かっこいい-ダサい、着脱しやすい-着脱しにくいなど)を1~5段階尺度で回答する。さらに、体操着をデザインして実物を製作する。

    結果   イメージのプロフィールでは、ボトムの裾がフレアのCは個性的な、ラフな、女性的な、着脱しやすい、スタイリッシュな、かっこいいなどの項目がプラスのイメージをもち、次いで裾がストレートのAがプラスイメージであった。一方、リブ付きのBとDは、嫌い、ダサい、弱そうな、デザインが悪いなどの項目からマイナスイメージをもっていた。因子分析の結果では、4個の因子が累積寄与率66.2%で抽出され、第1因子は「悪い印象」、次いで「良い印象」、「センス」、「好み」と因子名をつけた。新しい体操着としては、「女子力UPジャージ」「学校帰りに着て帰れる体操着」など5つのデザインを提案した。
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