本研究は、障がい者の生活支援の中でも特に立ち遅れている精神障がい者への今後の居住支援システムついて提案を行なおうとするもので、そのために、先進地であるイギリスを対象に調査を行ない、居住システムの状況を明らかにしようとするものである。
調査方法としては、2014年9月に現地を訪れ、関係機関を訪問し関係者にヒアリングを行った。
ヒアリング対象者は病院建築専門家、ソーシャルワーカー、看護師、病院経営者、心理研究者、非営利住宅協会の関係者、精神障がい者を抱える当事者と家族である。
調査の結果、以下のことがわかった。
1)
地域―訪問支援型医療・保健・介護・福祉の包括ケアが充実していること。
2)
病院は脱施設化がはかられており、当事者への敬意を空間で表されていた。また、入院期間は原則28日間と短かった。
3)
当事者の意見を大事にして多様な住宅を選択できる仕組みがつくられていた。
なお、本研究実施には発表者以外に室崎生子、真野典子、吉村恵、室崎千重、前田康子も参加しまとめたものを、本発表者が報告するものである。
また、本研究は平成26年度科学研究費(挑戦的萌芽研究課題番号26560037)を受けたものである。
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