一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
70回大会
選択された号の論文の293件中101~150を表示しています
ポスター発表
  • -JIS1992-1994及びHQL2004-2006データとの比較-
    丸田 直美, 小柴 朋子, 倉 みゆき, 渡部 旬子
    セッションID: P-106
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
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    目的 全国規模で実施された人体計測データ(2014-2016)から、成人女子の年齢層別サイズや体型の特徴を明らかにし、10年前、20年前の全国データと比較して、その変容を詳らかにし、アパレル製品のサイズ設計への指針を得ることを目的とする。

    方法 被験者は18.3‐90.7才の成人女性1633名で、マルチン計測器および巻尺による手計測でおこなった。測定項目は54項目である。計測は2014-2016年に科研費基盤研究(A)25242010「アパレルの質と国際競争力向上の基盤となる日本人の人体計測データの構築と多角的分析」(代表 大塚美智子)により、全国で実施された。

    結果 成人女子の身長はJIS1992-1994と比較して2.9cm高くなったが、青年層には変化はなく、18~59歳はほとんど差がなかった。すなわち、20年前よりも中年層の身長が高くなったことが全体の平均値を上げる結果となった。身長と同様に他の高度・長さ項目でも、18~59歳は変化が少なく、60歳代以上での変化が顕著であった。周径項目では、バスト囲から腹囲までが30歳代から年齢と共に増加した。特にウエストから腹部の増加が顕著であった。年齢層別のターニングポイントはなく、加齢に伴う筋肉量の低下や皮下脂肪の増加との関連性が考えられた。これらの増加は横径よりも厚径の増加との関連が大きいことが示された。腰囲(臀囲)は60歳代から減少傾向がみられた。
  • 小野寺 美和, 谷 明日香, 竹本 由美子
    セッションID: P-107
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
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    [目的] (有)ヒロタ工織提供の数種類の異なる蓄光糸から布帛と編物(平編み)を作製し,この蓄光布がどの程度の耐久性を持ちりん光するのかを,糸密度や耐久性試験,表面状態の観察から検討した結果,編物にする事でりん光輝度を上げることができると分かった.特に蓄光起毛糸(以下起毛糸)は,JIS Z 9107の基準にある区分の「JA」に相当することから,本研究ではこの起毛糸を用いて,着用者が安全で快適な衣環境をコントロールすることができる衣服設計を試みた.
    [方法] 着装時,どの部分に蓄光布を取り入れたいか記述式のアンケート調査を行った.着装状態をシュミレーションするために,(株)テクノア社製ⅰ-D FitとBody Order Tool,Crip Repeatを利用して,男性と女性の2体のサンプル画像を作成し,18歳~22歳までの女子大学生の被験者95名に提示し丸や線など自由に直接書き込ませた.
    [結果]サンプル画像を18箇所に分類した結果,記述解答が多い男性のサンプル画像では「肩」や「前腕」,そして「胸」の順であった.一方女性のサンプル画像では,「前腕」や「肩」,「踵」の順であった.従って本研究範囲内において,男女のサンプル画像とも,上半身に対する記述が多く見受けられた.なお本研究は,平成29-31年度(基盤研究(C)研究分担),並びに平成29年度東北生活文化大学・東北生活文化大学短期大学部研究助成により遂行された.
  • 熊谷 伸子, 佐藤 真理子
    セッションID: P-108
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
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    目的 日本文化の国際的な展開を目指す試みがなされている。ファッションはその重要な柱であり、日本的な“和”を表現する装いに対して海外からの関心は高い。“キモノ袖”など被服構成に対するジャポニスムの影響は少なくない。本研究は、和装に対する印象を明らかにすることを目的としている。
    方法 2017年3月に(株)サーベイリサーチセンターの登録モニターを対象にネット調査を実施した。合計681名(日本220名、中国236名、インドネシア225名)から回答を得た。「浴衣」「振袖」「袴」「十二単」の4種の和装に対し、20語のイメージ用語を示し4段階で回答を求め、4点から1点までの評価点を割り振り統計解析した。
    結果 因子分析(バリマックス回転)を適用した結果、和装のイメージに対する評価概念として、Active、TraditionalおよびConventionalの3因子が累積寄与率56.2%で抽出された。さらに、この3因子と和装への被験者自身の着装意欲の関連を検討した。和装への着装意欲の高い被験者では、着装意欲の低い場合よりも、和装自体に対するActiveおよびTraditionalの評価意識が強いことが明らかになった(有意水準1%)。一方、Conventionalの評価意識が低い被験者では、着装意欲の弱いことが認められた(有意水準1%)。和装に対する印象評価には、着装意欲と密接な関係があることが確認された。
  • 砂崎 素子
    セッションID: P-109
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
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    目的 毛氈の中でも紅色の緋毛氈は長崎市諏訪社の祭礼‘長崎くんち’で用いられているが、その習わしは古く、起源は寛永11年以降と推察される。長崎唐人貿易により流入した毛氈は珍重されていた毛製品のひとつであり、その輸入量は莫大であった。近世後期に毛氈を長崎の地場産業として育成する目的で中国人技術者を招聘し技術の導入を図った。これまで、輸入毛氈の実態、長崎における毛氈文化の有様、毛氈技術導入の契機及び、内容を明らかにしてきた。本研究では長崎の職住地域との関わりをふまえ、長崎で先行した毛氈技術導入の諸相を具体的に示す。

    方法『毛氈製造手續并道具繪圖』(長崎歴史文化博物館蔵)をもとに検証する。

    結果 近世期、長崎市中の中島川沿いに職人町が形成されていた。文化元年に中国人技術者を招聘して導入された毛氈技術は、職人町の近隣にあった八幡町の水神社で実演が図られた。水神社は中島川の上流部に位置し、境内の脇には風頭山から流れ下る水路があり、毛氈の生地製造及び、染色に必要な水が豊富であった。また、41種類50個の道具の調達では道具職人、染色では染め職人と、それぞれの職人と関わりやすく、製造の拠点として好立地であった。毛氈を職人町(社会)の新たな職業として、そこに根づかせようとしていたことが窺われる。これらの点から毛氈技術を受容するための一要件がわかった。今後は長崎の毛氈の文化と歴史をふまえ、地域に関わる総合学習の立案計画を進めたい。
  • 内田 直子
    セッションID: P-110
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
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    目的 Tシャツの文字表記により,他者に対して不安感や不快感などを与えたりすることがある。本研究では,同一意味による文字表記や地のデザイン,また着用者や場所の違いにより,どの程度印象が異なるのかについて検討した。
    方法 文字は「よろしく」の造語の漢字 (夜露死苦,良絽詩句),ひらがな,ローマ字と,比較として「ありがとう」の造語の漢字 (阿離我妬)の5種を基本に, Tシャツの地の色・柄として白、桃、黒、花柄、豹柄の5種,着用者に男性,女性,子どもの3種,場所を2種設定し,Tシャツの単体印象を3段階で,着用者や場所含めた印象を5段階で評価してもらった。評価は2016年12月,女子大学生136名対象に実施した。
    結果 色・柄と文字表記の組み合わせ別評価平均点で「好感度」の最高点は「花柄+YOROSHIKU」,最低点は「白色+夜露死苦」,「不安感」では最高点「豹柄+良絽詩句」,最低点「白色+よろしく」,「危険性」では最高点「黒色+夜露死苦」,最低点「黒色+YOROSHIKU」となった。また、男性が「夜露死苦」を着用すると女性と子どもよりも「恐怖感」の印象があったが,「YOROSHIKU」では三者とも同程度で「恐怖感」がほとんどない結果となった。場所を付加すると,男性は「不快感」がさらに増加した。以上より,同じことばでも漢字表記や男性着用だと好ましさが低く,さらにどこで着用するのかによっても印象が異なることが明らかとなった。
  • 真殿 由加里, 中村 圭美, 浜田 久二雄
    セッションID: P-111
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
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    目的 大阪樟蔭女子大学と神戸ファッション美術館の学館連携事業の取り組みとして、これまで、美術館が収蔵する歴史衣装のレプリカを数多く制作してきた。本研究では、平成28(2016)年度に試着用のローブ・ア・ラ・フランセーズを制作したことに伴い、当時のトータルファッションとしての装いの実現を目的とし、ローブと共に装うための試着用ヘアーカツラのデザインを検討した。

    方法 主として神戸ファッション美術館が制作したロココ時代の髪型のマネキン用ヘアーカツラを調査・分析すると共に、ポーラ文化研究所『ヘアモードの時代』を参考に、材料や制作方法等を検討し、一般の方や来館者を対象とした試着可能なヘアーカツラを制作した。また、比較的幅広い層が試着できるよう、サイズ設定を考慮し、安全性に配慮した材料を選定した。

    結果 ロココ時代の試着用ヘアーカツラの制作を通して、西洋服飾史における美容文化への理解が深まり、当時の職人技術が不可欠であること、またローブとのトータルバランスを図ることの重要性が再認識できた。そして、ローブとあわせ、トータルファッションとしての装いに直接触れる機会を提供することにより、トータルファッションであるからこその「美」と、当時の衣生活の一端を追体験してもらえたのではないかと思われる。
  • 坂井 妙子
    セッションID: P-112
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
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    本研究は、19世紀後半から20世紀初頭にイギリスで発達したエステティック・ドレスの特徴を捉え、モダンなブリティッシュ・ファションであることを示す。この時代に、エステティック・ドレスがイギリスで一世を風靡したことは良く知られているが、歴史的な衣服を参照した、どちらかといえば懐古的で突飛な衣服と考えられてきた。または、エステティック・ファッションの提唱者たちが合理服協会と関係していたことから、革新的な衣服とも考えられてきた。

    本研究では、クリストファー・ブルワードがThe London Look (2004年)で提案したモダンなブリティッシュ・ファションの考えを採用する。エステティック・ドレスを彼の考えを使って評価し直すことで、混乱しているように見えるエステティック・ドレスの諸特徴がモダン・ブリティッシュ・ファションの4つの要素、すなわち、「伝統、革新、オルタナティブ、スタイルの融合」に当てはまることを突き止める。それぞれの要素は、ラファエル前派の絵画作品、ファション誌の記述、リバティー商会のカタログと現存するエステティック・ドレスの考察から導く。
  • 小林 未佳, 柚本 玲
    セッションID: P-113
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
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    目的 日常生活において服を選ぶ場合、「痩せて見える」ことを意識して服を選ぶ人が多い。本研究ではワンピースの配色を変えたときに、印象がどのように変わるのかを調査する。今回は、配色の方向と印象の関係について調べる。方法 白いワンピースをモデルが着用している写真を試料とし、画像上でワンピースの配色条件を変え、「痩せて見える」「太って見える」「おしゃれに見える」印象について調べた。配色はたて、よこ、ななめ方向に直線でワンピースを5分割し、黒く塗る部分を変えた。結果 「痩せて見える」配色条件は、3方向の中ではたて方向に分割した配色で、中央に黒または白がくる左右対称の配色であった。よこ、ななめ方向では、ワンピース上部にポイント的に黒または白がある配色が「痩せて見える」印象であった。「太って見える」配色条件は、3方向の中ではよこ方向に分割した配色で、ワンピースの裾部分に黒がある、全体的に白の面積が大きい配色であった。また、全方向に共通して、腹部あたりに黒または白の面積が大きくなる配色は「太って見える」ことが分かった。「おしゃれに見える」配色条件は、3方向の中ではたて方向に分割した配色で、左右非対象の配色であった。ななめ方向では、全体を半分に分ける大胆な配色が「おしゃれに見える」ことが明らかとなった。
  • 音当てクイズ作成の活動プログラムの開発と考察
    川原 和姫, 鈴木 佐代, 豊増 美喜, 豊田 晴一
    セッションID: P-115
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
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    目的 平成29年の学習指導要領改訂で,中学校家庭科の「音と生活との関わり」を小学校で扱うことになり、またICT機器を活用して情報の収集・整理や,実践結果の発表などを行うよう工夫することも記載された。そこで本研究では,小学校の家庭科授業や放課後の体験活動などで実践できる、タブレット端末を用いた「生活と音」の活動プログラムを開発する。本報では、児童が身の回りの様々な音に気付き,興味・関心を持つことを目的とした、音当てクイズ作成の活動プログラムを開発・実践した結果を報告する。
    方法 2017年12月に福岡県大野城市の放課後総合学習「ランドセルクラブ」の3~5年生15名を対象に小学校内で実践し、活動中の観察調査及び活動後のアンケート調査より有効性を検証した。
    結果 1)活動の流れは、身の回りの音を探す→タブレットで録音・録画する→音当てクイズ大会で出題しあう、である。児童3~4人に補助者1人が付き添い班活動した。2)児童は戸の開閉音やトイレの洗浄音など多くの音を集め、身の回りの様々な音に気付くことができたと考えられる。3)アンケート調査では、8割以上の児童が「音を集めるのが楽しかった」「もっと色々な音を聞いたり集めたりしたい」と回答し、9割以上の児童が「タブレットを使うのは面白かった」「また使ってみたい」と回答した。4) タブレットに気を取られて説明を聞かない児童や、タブレットを独占しようとする児童への対応が課題である。
  • 金 貞均, 大和 映理子
    セッションID: P-116
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
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    目的 本来夏を旨として自然に順応してつくられた日本の住まい・住生活は,今日に至ってはエネルギーに依存した閉鎖的なものになっている.地球環境時代を迎え持続可能な生活が求められ,教育的取り組みが重視される中,本研究では小学校家庭科住居領域において,持続可能性に配慮した住教育実践課題を考究し,実践教材の構想を目的とした.
    方法 ①持続可能な開発のための教育(ESD)について文献考察し,家庭科教育との共通項を確認した.②持続可能性をキーワードに,学習指導要領や教科書における住居領域の内容分析および住教育実践例(43例)の分析を通して住教育実践課題を明らかにした.③教材開発に向けて関連調査と実験を行い,実践教材を構想した.
    結果 ①先行研究の考察から,家庭科ではESDに関する学習内容が多く含まれており,ESDの各構成概念が具体的に生活と結び付けられていることが分かった.②平成29年改訂の新学習指導要領では持続可能な社会の構築における家庭科教育の役割が明示され,小学校の住居領域では自然の力を利用した住まい方が重視されている.しかし,授業実践例では伝統的住まいや気候風土を関連付けた例が少なく,実感が持てる実践的教材の必要性が確認された.そして,③自然に順応した住まい・住まい方の調査,緑のカーテン効果の実験と家模型キット実験による比較・考察を通して,三つの実践教材を構想した.
  • 大藪 千穂, 野田 しずか
    セッションID: P-117
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
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    目的 近年、「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」など、男女共同参画社会に関心が集まっている。県庁所在地で典型的な中核市であるA市(人口約40万人)では、2007年に「男女共同参画社会に関する市民意識調査」を実施しているが、この10年間で市民の意識がどのように変化したかを分析し、今後の男女共同参画社会を実現するために必要なことを明らかにする。

    方法 「男女共同参画に関する意識調査」をA市民3000人に実施し、単純集計後、年齢、性別、就労形態、既婚者・独身者、子どもの有無、共働きの有無、家族構成別にクロス集計を行った。

    結果 「男は仕事、女は家庭」という性別役割分担意識に対して、少しずつ否定的な考えを持つ人が増えてきた。働きたいと考えている女性が多くなっている現在、家庭内で家事や育児などを分担することが重要であるが、性別に関わらず、生活の主体者として自分自身や家族がどのような生活をしていきたかを個々人が考える必要がある。
    働きながら、家事や育児、介護の両立を可能にするためには、職場が女性の仕事と家事に対する気持ちや時間の制約などを理解した上で、働き手と雇用者の双方が納得できる勤務形態をそれぞれの職場が設置するべきである。さらに、男性の休業利用に対する理解を深めるために、男性が子育てに参加しやすい雰囲気を整える必要があることが明らかとなった。
  • 川﨑 孝明, 赤星 礼子, 川口 惠子, 米村 敦子, 花崎 正子, 後藤 直子
    セッションID: P-118
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
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    研究目的:本共同研究は、九州家政学総合研究会(家政学原論と生活経営学の部会共同)が「九州における高齢者生活研究」として取り組んだ第3回(最終回)の研究である。本発表は、2006~2017年の間に実施した「離島における高齢者生活研究」の集大成として、当初の研究目的である「九州における高齢者生活の実態を把握し、これからの高齢者生活のモデル創出」を詳細に記述するものである。研究方法:研究期間において、文献・資料収集から、主には長崎市の閉炭の島で、面積と人口において比較的小規模な島である高島、伊王島、池島の3島の現地調査を継続して実施した。比較研究のために、黒島、大島、松島、福江島・久賀島、対馬、石垣島も視察した。(共同研究の開始時は10名の会員が参加した。)研究結果:本会においては2008~2013年の6回のポスター発表をし、すでに一応の結論を得たように考えたが、調査対象地の生活状況はその後大きく変化していることから継続調査を実施してきた。高島では、調査開始時から2017年度末までに人口は半減、伊王島は架橋により離島ではなくなり、池島では鉱業所の後継会社が完全撤収により人口は僅か145名、また高齢化率はこの数年で60%を超えた。島の高齢者の生活を「島の概要」「消費生活」「住生活」「高齢者福祉」「提言」という章立でまとめた。「提言」は、「自助・共助・公助」をキーワードとして変化に対応したモデルの考察を試みた。
  • 松田 典子
    セッションID: P-119
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
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    日常生活における家事について、実際の家事を行う程度(家事実践)と自分ができると思う能力感覚の間にどの程度の乖離があるだろうか。またこれまで受けてきた家庭科の学びとどのような関係にあるのだろうか。そこで家事実践と家庭科イメージに関する意識調査を行った。【調査方法】アンケート調査 【調査時期・対象】2018年1月、大学生72名(有効回答84.7%)【結果】家庭科イメージでは、「小・中・高等学校で家庭科を学んできてよかったと思いますか」という問いに対して「学んでよかった」「どちらかというと学んでよかった」が約9割だった。また家庭科履修により「家庭科は男女が協力して営むものと考えるように」が「そう思う」(42.6%)「どちらかといえばそう思う」(41.0%)と家庭科による影響が大きいことが伺える。家事実践については、「食事の配膳(準備)」(「よくする」「たまにする」85.3%)や「料理」(同83.6%)が実践する割合が高く、「兄弟など小さい子供の面倒をみる」が低い(同39.3%)。また「衣服のボタンつけ」は、「ほとんどしない」(27.9%)「しない」(36.1%)が高くなっているが、どの程度できると思うかという質問に対しても、「あまりできない」(13.1%)「できない」(14.8%)と高くなっており、実践面だけでなく、能力面でもできる意識が低い。家事実践と能力との関係は、分野によってばらつきがあることがわかる。
  • ガンガ 伸子
    セッションID: P-120
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
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    【目的】わが国では、高齢者世帯の増加を背景に、消費市場では高齢者消費の割合が増加傾向にあり存在感を増している。その一方で、貧困化する高齢者が増加の一途をたどり、生活保護世帯の半数以上を高齢者世帯が占めるに至っている。現役引退後の高齢者世帯は、消費が所得を上回り、貯蓄の取り崩しによって赤字を補填するという生活になる。しかしながら、晩婚化の進行等により、十分な老後の資産形成ができないまま高齢期を迎える世帯が拡大し、金融資産の保有状況により消費生活の内容に大きな違いが生じるという高齢者世帯の二極化が進んでいる。そこで、高齢者世帯のバランスシートを作成し、他の年齢階級との比較から、その特徴を明らかにしていく。
    【方法】総務省統計局「全国消費実態調査」から世帯主の年齢階級ごとにバランスシートを作成し、高齢者世帯(世帯主が60-69歳、70歳以上)の特徴を明らかにする。その他、就業状況や住宅の所有等の違いによる比較も行う。さらには、時間の経過とともに、どのように高齢者世帯のバランスシートが変化してきたかについても明らかにする。
    【結果】世帯主の年齢階級間でバランスシートを比較すると、世帯主が60歳代の世帯の純資産が最も大きく、その後貯蓄の取り崩しにより70歳以上では減少している。負債は世帯主40歳代以降年齢とともに減少していくものの、60歳代や70歳以上になっても住宅・土地のための負債が残っているという現状であった。
  • 井上 智章, 築地原 里樹, ガルシア リカルデス グスタボ アルフォンソ, 丁 明, 高松 淳, 小笠原 司
    セッションID: P-121
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
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    目的 移動ロボットを用いた生活の見える化、生活時間の獲得を目指す。生活中の行動の中で、会話やテレビ視聴、スマホ、新聞、雑誌を見るなど、見ている対象を推定することでわかる行動の判別を、ロボットやコンピュータ技術を利用してどれくらい認識できるかを検討する。

    方法 画像の解像度の関係から、正確な視線方向をロボットのカメラから推定することは難しいので、顔向きと視線の向きが一致すると仮定した。深層学習ベースの物体認識YOLOを用いた人・物体認識や、OpenFaceを用いた顔向き推定に基づき、見ている対象を推定する。推定精度が向上するように、ロボットの移動戦略を実装する

    結果 正面を向いた人が見た物体の推定精度が最も高く、8割以上推定に成功した。ただし、向きが正面から大きく離れると精度が悪化することが確認された。そこで、できるだけ顔の正面になるようにロボットを移動させることによって、様々な場合で8割以上の推定を維持することに成功した。
  • 「手づくり」はどのように扱われてきたか
    渡瀬 典子
    セッションID: P-122
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
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    <目的>「新聞」は,近年発行部数が減少傾向ではあるが(日本新聞協会 2017),現在も情報を得るためのツールの一つといえる。新聞記事の「生活面(家庭欄)」は,その時代の生活の一端を表すものであり,同欄に掲載された記事を対象に,戦後のライフスタイルの変化を分析した研究(生川 1968,1972),「悩み相談」等から当時の家族関係を分析した研究(野田 2006,2008)等がある。生川によれば,衣生活に関する記事は,1940年代後半から50年代半ば頃にミシンの普及を背景にソーイング関連の内容が充実したという。そこで,本研究は,最初に新聞の「生活面(家庭欄)」記事で扱われる分野の分布が20世紀半ばから現代に至るまで,どのように変化したかを明らかにする。次に,衣生活分野における「手づくり」に関する記事の変容に焦点を当て,内容分析を行う。<方法> 分析対象の新聞記事は,先行研究と同じ全国紙(朝日,毎日)の朝刊に設定した。先行研究の対象時期以降の発行分を30年ごと(1957年・1987年・2017年)プロットし,対象年の1月から12月の記事を対象とした。<結果>「生活面(家庭欄)」に掲載される記事の枠組みに大きな変化は見られないが,主婦層だけではなく,幅広い年代の男女にアピールする記事内容になった。例えば,衣生活分野における「手づくり」の記事は,環境配慮等の視点からアプローチされている。
  • 甲府市を事例として
    神山 久美
    セッションID: P-123
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
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    目的 2016年施行の改正消費者安全法の規定により地方自治体に設置された消費者安全確保地域協議会の動向を整理し、課題を見いだすことを目的とした。

    方法 消費者庁webサイトなどから公表されている地方自治体の消費者安全確保地域協議会に関する資料を分析した。事例研究として、山梨県甲府市の同協議会の現状を調査し課題を見出した。

    結果 高齢者等の消費生活相談件数が多いことから、人口5万人以上の全市町で消費者安全確保地域協議会の設置を目指し、地域における見守りネットワークの構築が進められている。消費者安全確保地域協議会は、2018年1月の時点において、1自治体以上の設置のある都道府県は23、設置なしは24であった。山梨県では現在、甲府市のみに設置されている。山梨県消費者基本計画では、2020年度までの市町村の同協議会の設置率目標を100%としており、甲府市の取組みは県内での先行事例になると考えられる。甲府市では消費生活センター等の消費者関係、地域包括支援センター等の福祉関係、警察・司法関係、自治会や老人会などの地域団体、学識経験者などが協議会の構成員となっている。課題として、個人情報の扱いや既存の地域ネットワークとの連携、構成員の見直し、見守りサポーター養成講座の実施方法や養成後のサポーターの活動のあり方などが挙がった。
  • 富士栄 登美子
    セッションID: P-124
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
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    目的 選択的夫婦別姓が国会で取り上げられてから20年以上が経過し、2015年には「選択的夫婦別姓は合憲」であるとの高等裁判所の判断が下された。2018年1月に男性事業者が「選択的夫婦別姓」訴訟を東京地裁に起こし、その波紋は大きく広がっている。別姓が認められない現状から「旧姓を結合した選択的夫婦同姓」を提案することを目的としている。
    方法 邦人女性と仏人男性の婚姻届けに立ち会うところから始まる。これまでの「夫婦別姓問題」を検証し、これからどうすればジェンダー平等な社会になれるのかを考えてみる。
    結果 日本の外務省は、2019年を目途にパスポートに旧姓併記の実施の検討を始めている。しかし、「父の姓に統一、妻は結合姓も認める、子供は父の姓」であるトルコのようになると推測される。この場合、妻は結合姓であっても夫は結合姓ではない。
     新しい家族は戸籍が新しくなるように姓も新しくなる必要がある。本当の意味のジェンダー平等の姓とは、双方の姓を結合した結合姓で且つ夫婦同姓ではないだろうか。発表者自身、結合姓を意識したとき、生まれてきた孫の存在に大きな変化を感じた。双方のどちらの孫でもあるという感覚である。これからの婚姻届けに記載する夫婦の氏は、レ点をつけるのではなく自分たちが選択して決めた新姓を書くことができるようになればと考えている。旧姓の残る夫婦同姓は、家族の崩壊どころか親族の絆が深まっている。
  • 岐阜県山県市の調査から
    三輪 聖子
    セッションID: P-125
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 日本の現代社会は少子化が進行し、人口減少期に入った。国は少子化対策に様々な方策を講じているが、劇的な改善は見られない。子育て支援だけでなく、若者の婚姻数を上昇させる手立ても必要である。しかし、日本全体は未婚化・晩婚化へ向かっており、結婚は人生における選択肢の1つとして考えられている。そこで子世代と親世代の結婚に対する意識と実態を明らかにし、結婚に結び付く方策を考える手立てを探ることを目的とする。
    方法 岐阜県山県市の住民基本台帳から無作為抽出により子世代(20~50歳未満)500人、親世代(60~80歳未満)500人を選出し、無記名式質問紙法により2016年8月に調査を実施した。調査方法は郵送法にて行った。
    結果 本調査対象地域は岐阜市の北部に隣接し、男性の未婚率は、全国平均よりも高い。調査結果から結婚願望は男女ともに8割近くあることがわかった。しかし結婚相手と出会う機会は、男女ともに8割近くがなく、相手を探すための婚活も8割以上の人がほとんど何もしていなかった。結婚に対して親や親せきは「何も言わない」が半数以上を占めていた。子どもの結婚を願う親は、99.4%とほぼ全員に近い。しかし未婚子をもつ親の2割は積極的に働きかけていたが、8割は子どもに任せていた。親は子どもの結婚を心配しつつも子どもに何も言えない状況にある。結婚希望は、親子ともに高いため周囲のサポートが必要であることがわかった。
  • 松岡 英子
    セッションID: P-126
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    <目的>要介護高齢者を在宅で介護している介護者の心理的ストレスと介護の肯定的認知との関係を明らかにして,肯定的な評価が心理的ストレスに与える影響を探ることを目的とする.
    <方法>質問紙調査とインタビュー調査を実施した.質問紙調査はN市でデイサービスを利用している高齢者の家族介護者250名であり,調査項目は,基本属性,健康状態,介護状況,心理的ストレス,介護への肯定的認知(評価),対処行動などである. インタビュー対象者は8名の家族介護者であり,2時間程度の半構造化インタビューを実施した.対象者には研究の目的,プライバシー保護,自由意志による調査協力等について説明し,同意を得た.
    <結果>介護ストレス反応(9項目の加算尺度,α=.80)を従属変数として,「基本属性」「健康状態」「介護への肯定的認知」などの影響を探ったところ,5変数に有意な影響がみられた.さらにこれら5変数を独立変数として一括投入する分散分析の結果,「介護者の健康」「要介護度」「家族のトラブル解決力」「介護への肯定的認知」が有意な影響を与えていた.インタビュー調査からは,介護への肯定的な評価が心理的ストレスに与える影響を具体的に把握した.配票調査の分析では,介護への肯定的認知が心理的ストレス軽減に有意な影響を与えていることが確認されたが,その様態は一様ではなく,心理的ストレスと肯定的認知のバランスが重要であることが明らかになった.
  • 刈谷市の調査にもとづいて
    李 璟媛
    セッションID: P-127
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
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    目的 本研究の目的は,刈谷市に居住する就学前の子どもをもつ夫婦における家事・育児分担の意識と実態やその要因を探ることである.

    方法 2013年3月から11月の間に刈谷市保健センターと子育て支援センターの協力を得て,就学前の子どもをもつ父母に調査票を手渡しし,後日郵送してもらった.調査票は,父親,母親,祖父母用をセットにした555部を配布,145ケース分回収した(回収率26.1%).本報告では父親と母親票が共に郵送された夫婦111ペアを分析した.

    結果 子どもの人数は1人が多い(64.0%).妻は無職が66.4%,夫は無回答1人を除いて全員有職である.家事・育児は,概ね妻によって行われており,妻の3割前後,夫の4割前後は,家事・育児遂行の現状を不公平と感じている.妻の5割は夫により育児を希望し,夫の7割以上は現状維持を希望している.本調査では,夫と妻における家事・育児分担の意識と実態のギャップだけでなく,性別役割を否定し,夫の家事・育児平等分担を支持しながらも,妻の生活費平等分担はそれほど支持しないなど,意識においてもギャップがみられた.このような意識のギャップが家事・育児分担の現状を維持する要因になっていることが明らかになった.

    ※本研究の調査は,科学研究費補助金「日本における家の歴史的展開と現状に関する実証的研究」(研究代表者:平井晶子)の助成を受けて行った研究結果の一部である.
  • Family Life Education: Working with Family across the Life Span (2nd Ed.)を分析する―
    倉元 綾子, 黒川 衣代, 山下 いづみ, 正保 正惠
    セッションID: P-128
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 米国等では家政学・家族研究を基礎とした生活課題の予防・支援が行われてきている。2018年,日本でも(一社)日本家政学会が「家庭生活アドバイザー」資格が創設する運びとなっている。米国の家族生活教育の主要文献 Family Life Education: Working with Family across the Life Span (2nd Ed.),L. H. Powell & D. Cassidy, 2007, Waveland Press, USA, Chapter11: Parent Educationを分析し,親教育について明らかにする。
    方法 FLE (2nd Ed.),邦訳『家族生活教育:人の一生と家族』倉元綾子・黒川衣代監訳,2013,南方新社等の文献を研究した。
    結果 (1)第11章「親教育」は,親教育の歴史,定義と仮定,形式・対象・設定,親教育に影響を与えている一般的な理論,子育てプログラムとモデル,親の発達段階,専門的職業としての親教育,親教育者の役割,能力,要約,討論と復習のための問題から成る。
    (2)親教育プログラムは多様な形式・対象・設定で実施され,通常の発達と家族問題の予防,葛藤回避の支援技術,自信や満足を高めることを目標としている。
    (3)親教育に影響を与えている一般的な理論には,精神分析論,行動主義理論,認知発達理論,社会学習理論などがある。
    (4)親教育者の発達には5領域が示されている。
  • Family Life Education: Working with Family across the Life Span (2nd Ed.)を分析する―
    山下 いづみ, 倉元 綾子, 黒川 衣代, 正保 正惠
    セッションID: P-129
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 米国等では,家政学・家族研究を基礎とした生活課題の予防・支援が行われてきている。2018年,日本でも(一社)日本家政学会が「家庭生活アドバイザー」資格が創設する運びとなっている。米国の家族生活教育の主要文献 Family Life Education: Working with Family across the Life Span (2nd Ed.),L. H. Powell & D. Cassidy, 2007, Waveland Press, USA, Chapter12: Adapting programs for diverse settingsを分析し,プログラムの適合化について明らかにする。
    方法 FLE (2nd Ed.),邦訳『家族生活教育:人の一生と家族』倉元綾子・黒川衣代監訳,2013,南方新社等の文献を研究した。
    結果 (1)第12章「さまざまな設定とプログラムの適合化」は,FLEの役割,宗教的な集まり,企業,学校とコミュニティ,未来に目を向ける,の各節と,討論問題・復習問題から成る。
    (2)宗教的設定では,年齢,価値観・信仰,牧師等からの承認,成人の役割モデルの利用が重要である。
    (3)企業では,家族が重視されるようになっている。
    (4)学校では,人間関係発達に関する科目やプログラムが重視されている。家族サービス・アメリカが開発した「家族と学校が一緒に」プログラムは多くの州や国で実施され成功している。
  • 実践事例の分類とヒアリング調査から
    叶内 茜, 倉持 清美
    セッションID: P-130
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    <研究背景と目的>家庭科のふれ合い体験について保育園や幼稚園、中学校教諭へのヒアリングを行う中で、実践事例の提示を求める意見がみられた。ふれ合い体験の実施に至るまでの準備や手続きについては、鎌野・伊藤(2008)の先行研究や、ふれ合い体験のガイドブック(岡野ら,2009)の中でも整理されている。しかし、体験場所や幼児の年齢、幼児と中学生の人数比など、ふれ合い体験を行うにあたっての前提条件により、どのようなふれ合い体験が可能であり、それによって生徒はどのような経験ができるのかについての具体的な活動方法が集約されたものはほとんどない。本研究では、先行研究や各自治体・園・学校の刊行物やHP等で紹介されているふれ合い体験の実践事例を整理し、ふれ合い体験の類型を試みるとともに、保育者・家庭科教諭へのヒアリング調査を通して、実践事例集に求められる内容を明らかにする。
    <結果と考察>類型は石川・吉川(2012)の「ふれあい体験型授業のスタイル」を参考に、活動場所等によってさらに細かく分類することができた。ヒアリング調査からは、ふれ合い体験を意識した家庭科の授業づくりの参考となる内容であることが求められていた。今後はふれ合い体験場面の観察や担当者へのヒアリング調査から実施時の配慮事項等についてまとめていく。
  • 甲賀 崇史
    セッションID: P-131
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 幼児期は、生活に必要な基本的な習慣が形成される時期である。本研究では、保育所の1歳児クラスの着替え場面を縦断的に観察し、保育者の援助とそれに応じた子どもの着衣行動の発達的変化を検討した。

    方法 外山・青木・石島・甲賀(2017)による保育園ゼロ歳児・1歳児クラス観察プロジェクトの観察データを分析対象とした。これは都内A保育園を2017年4月から、概ね1週間から2週間に1度の間隔で訪問し、着替えの時間を撮影したものである。1歳児クラスには子どもが13名(男児8名・女児5名)在籍しており、4月当初の月齢は平均21ヶ月(R=17-24)、保育者は常勤3名、非常勤1ないし2名だった。

    結果と考察 月齢の増加に伴い、動作を主導する主体が保育者から子どもに変化していた。子どもが主導性を獲得する順序は①右腕・左腕を袖穴に合わせる動作②頭を襟ぐりに通す・裾をおろす動作③頭を襟ぐりに合わせる動作④ボタンをつける動作であることが示唆された。また、保育者が子どもの頭に襟ぐりを合わせる直前に子どもが頭を構えるなど、月齢の増加に伴い保育者の援助に主体的に関与する動作が観察された。1歳児クラスの着衣行動は、はじめは保育者に着せられていた子どもが、自分で着ようと主導性を獲得していく過程であることが考察された。
  • 宮津 寿美香, 野中 亮子
    セッションID: P-132
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 
     
    近年、少子化が進む中で、数少ない子どもに多くのお金をかける傾向がみられる。中でも子ども服は両親や祖父母が子や孫への愛情表現として格好の手段となり、七五三の祝着はその代表的なものの一つであろう。本研究の目的は長崎市における七五三の祝着の選択・調達方法に注目することを第一の目的とし、そこから見える、現在の家族のかかわについて考察を試みる。
    方法
    対象:長崎市内の幼児向けの体育教室に通う子どもの母親20名
    期間:20XX+1年6月某日
    調査方法:祝着の調達方法についてのアンケートとソーシャルネットワーク図
    <ソーシャルネットワーク図とは>
    マイケル・ルイス(2007)によって提唱された理論であり、白紙のB5用紙に子どもと関わりをもっている人を子どもを中心として円と距離で、母親に図示してもらった。
    結果:対象者全員に図示してもらったソーシャルネットワーク図をみると、祝着を決定するうえで最も重視した人が、必ずしも普段から、対象児との心理的距離が近いとは言えないなど、様々な特徴がみられた。また、従来はシックスポケットの概念により、主な調達者である祖父母が時間とお金をかけて祝着を調達していたのに対し、現在は写真館でのレンタルが一般的となり、両親が手軽に祝着を調達できる環境が整っている。それに伴い、子どもの七五三祝いも従来の伝統を重んじた格式ばった形式から、自由な形式に変化・多様化していることがわかった。
  • -数の概念の理解について-
    山田 修平, 細井 香, 渡部 美佳
    セッションID: P-133
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    現在、ひらがなや数の認識をもって小学校に入学することが当たり前の時代となっている。多くの子どもたちが、幼児期に自然と100くらいまでの数を数えられるようになっているが、その認識には格差も広がっているとの指摘がある。
    数の認識は、家庭、保育所、生活や遊びの中での数を意識する環境と相関があると指摘されており、例えば、日常的な生活の中で、拾ってきた木の実を数える、お友達と平等に分ける、家庭では、買い物に行ってお釣りをもらうなど、子どもたちが日々の経験の中で、「知りたい」「やりたい」といった気持ちとともに自然に身につくものである。この生活経験が、忙しない現代家庭においては育みにくくなっているのではないかと懸念する小学校教員も多く存在する。
    平成30年4月に施行される「保育所保育指針」では、小学校教育への円滑な接続を考え「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を示しており、その一つの姿として、遊びの中で、数量や図形、標識、文字に興味を持ち、豊かな感性と表現につなげていくことの重要性を示している。保育活動で、どのように働きかけていけばよいかが課題であろう。
    本研究では、数の概念に焦点をあて、子どもが興味をもち、楽しみながら、そして遊びながら、体験的に数の概念に触れる機会を、玩具を通して育むことを一つの提案とし、グッドトイと推奨されているEEGを用いた保育活動の導入効果の検証を行うことを目的としている。
  • ベビーマッサージインストラクター養成講座から
    細井 香, 廣島 大三
    セッションID: P-134
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    2017年4月より、子ども・子育て支援新制度が施行された。この制度では、「量」と「質」の両面から子育てを社会全体で支えることを目的に、教育・保育の場を増やし、質を向上させること、すべての子育て家庭を対象に地域のニーズに応じた様々な子育て支援の充実に向けた施策として、今、まさに動き出している。
     それに伴い、子育て支援拠点としての保育所、児童館、子育て支援センターならびに妊娠出産期からの継続的な子育て支援の必要性においては産科、小児科、保健センターにおける看護師、助産師等の役割は益々増大される。
     子育て支援に関する研修は、官民問わず数多く実施されている。しかしより取り組むべき課題とは何か、真の子育て支援の必要性について、再議論することは重要であろう。
     そこで本研究では、これまで乳児期の「子育て」におけるアタッチメントの大切さを伝え、子育てと家族形成に役立てるための機会や情報を提供し、また保育・看護職を始めとした子育て支援者を養成し続けてきた受講総数6,129人の民間団体(日本アタッチメント育児協会)が主催するベビーマッサージインストラクター養成講座の受講生の意識から、現場での問題意識を紐解くことで、今、取り組むべき子育て支援の課題について提案することとする。
  • 中島 美那子, 菊池 真優, 小貫 礼奈, 町島 有紀
    セッションID: P-135
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 幼児期の子どもにとって、身近な人間関係はその子どものジェンダー観に大きな影響を与えている。子どもにとって身近な人間関係とはおもに家族であるが、近年では低年齢から幼稚園や保育所に入る子どもが増加していることから、幼稚園や保育所の人的環境が子どもたちに与える影響力も大きい。そこで本研究では、保育者の男女観と男児・女児へのかかわりについて調査することとした。
    【方法】 6つの保育・教育施設に勤務する保育者を対象に質問紙調査を行なった。2017年9月から11月にかけて配布・回収をした。回収数は配布数150のうちの102であり、回収率は68.0%であった。調査対象者の平均年齢は37.1歳。
    【結果】 「女性は子どもが産まれても、仕事を続けたほうがよい」という質問に対して、52.9%の者が「そう思わない」「どちらかというとそう思わない」と回答した。また「幼児期の子どもたちに、男らしさ・女らしさを教えていくことは大事だと思う」には、「そう思う」「どちらかというとそう思う」が62.8%であった。自由記述からは「子どもの個性に応じたかかわりをしている」との記述が目立つことから、意識と実際のかかわりに齟齬が生じている可能性が見いだされた。さらには、これまでのジェンダーに関する教育を受けた経験の有無による二者間の比較では、回答結果に有意な差が見いだされ、教育の重要性が認められた。
  • 須川 妙子
    セッションID: P-136
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近代以降の日本では、学校教育において料理が科学的に体系立てて教授された一方で、教育体系にのらずに嗜みとして料理を習うことも当時の個人日記、新聞等の記載に散見される。その始まりの時期と地域、他の文化要素との関係等を見出し、今後の女子教養教育の構築の一助とすることを目的とする。
    【方法】中野卓編『明治四十三年京都ある商家の若妻の日記』(新曜社昭和56年刊)を分析の軸に、明治末期の新聞から料理教室の情報を収集し、当時の教育識者の発言等も加味しながら検討した。分析した新聞は明治40~45年の『日出新聞』、『神戸新聞』、『又新日報』、『東洋日の出新聞』である。
    【結果】嗜みとして料理を習う場となる個人教授の料理教室は、明治40年頃の外国人居留地近辺における西洋料理教室に端を発していた。講師は居留地在住の外国人および外国生活経験のある日本人であり、講師宅で教える場合と、講師が生徒宅へ出向く場合とがみられた。教授内容は体系化されたものではなく、また教授された内容を生活や職業に活かした様子はうかがえない。家族からもその実用性は期待されておらず、むしろ熱心になることは歓迎されていなかった。また、料理を習いながら、他の西洋的文化要素に興味を示す様子がうかがえた。実用を目的としない自由な学び方が視野を広げ、女子の教養志向を満足させる一つの形であったとみる。        ※科研16K13562
  • -シティズンシップ概念の検討を通して-
    土岐 圭佑
    セッションID: P-137
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 本研究は,子ども・若者の生活基盤の不安定化と学校教育の限界という課題の解決を目指すシティズンシップ教育に関わる家庭科研究の特徴を明らかにし,家庭科においてその課題を解決するために必要な視点を示すことを目的とした.
    方法 シティズンシップに関わる家庭科研究の4つのキーワード(シティズンシップ,消費者市民,市民性,生活主体)についての研究論文34編を分析資料とし,課題設定と各キーワードの捉え方に関する記述内容を分析した.
    結果 課題については,教育内容や方法の提示を設定する研究が多く,そして,各キーワードの捉え方に関しては,空間軸(地域社会,国家,地球規模)を重視し,個人の社会参画能力を高めるという研究が多いことがわかった.しかし,従来の研究は,個人の社会参画能力を高める過程で,協同性の視点が不十分であることが明らかとなった.そのため,授業空間を個人と社会とをつなぐ中間領域と位置付け,多様な人々との対話や協働を重視するという特徴がある「家庭科における協同性の展開論理」を示した.家庭科におけるシティズンシップ教育は,子どもの協同性の育成を通して,家庭生活や地域生活の問題を考え,その解決に向けて行動できる家庭や地域の担い手としての主体を形成するという捉え方が重要であるという結論を得た.
  • 堀内 八重子
    セッションID: P-138
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 高校生の食事記録の感想を分析すると,嗜好や主観的な栄養バランスに言及するものが多く,栄養学的にバランスのよい食事ができているのかは不明である。今後,高校生の栄養素等摂取バランスの現状を踏まえて栄養教育を行っていくために,高等学校家庭科の食事計画で用いられる4つの食品群を活用した分析を行いたいと考えた。本研究では,生徒の食事記録から,摂取した食品を4つの食品群に分類し,栄養学的に診断(以下,栄養診断)を行うことで,栄養素等摂取バランスを検討した。
    方法 高等学校に在籍する1年生のうち,2クラス57名を対象とし,2017年10月20日に「家庭総合」における授業実践を行った。生徒には事前に,5日間の食事記録を宿題として課した。授業内容は,4つの食品群の学習,4つの食品群への分類,栄養診断,振り返りであった。分析可能な回答数は48名(回答率84.2%)であった。
    結果 卵の摂取量が適量と診断された生徒が多く,調理しやすい料理が多く食べられていた。穀類,菓子・ジュースの摂取量が適量と診断された生徒が多かった。摂取量が不足している生徒の多い項目は,牛乳・乳製品,果物だった。適量摂取できている生徒とできていない生徒の差が大きい項目は,肉・魚・大豆製品,野菜,芋類であり,各家庭の食習慣の差が大きいと示唆された。栄養診断により,8割以上の生徒が適量摂取できていない食品及び栄養素を認識することができた。
  • 上田 悦子, 藤田 宏美, 大塚 譲
    セッションID: P-139
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】大学入学をきっかけに親元を離れて一人暮らしを始める学生は、自立した消費者として合理的に判断し行動しながら生活することが求められるが、知人が少ない生活に不安に感じることも多い。そこで大学生活へのスムーズな移行を促すことができるよう、大学入門科目として消費者教育の講義を実施し、大学生に必要な消費者教育の基礎資料を得ることを目的としアンケート調査を行った。
    【方法】大学入学科目講義の一つとして公的機関の消費生活相談員を講師とした消費者教育を実施し、講義終了時に自記式アンケート調査を実施した。調査項目は、大学入学までに学習した消費者教育の内容と科目、消費者トラブルの経験と解決法、講義の理解度と興味の内容、消費者教育の必要性等である。解析にはExcel、SPSSを用いて、単純集計、クロス集計等を行った。 
    【結果】親元を離れ一人暮らしの学生が約9割を占めていた。高校までの家庭科授業を中心とした消費者教育の内容で覚えていたのは、クーリングオフ、悪質商法、消費者基本法等であった。入学後既に訪問販売などを経験する学生もあり、契約に関する消費者トラブルの危機感を持つ学生が多かった。大学入学直後の学生の実情に即した消費者教育への関心、理解度は共に高かった。間もなく成人を迎える大学生を対象とした、法律と契約の関連を含めた消費者教育の必要性が認められた。
  • 藤田 宏美, 大坪 千尋, 大塚 譲, 上田 悦子
    セッションID: P-140
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    [目的] 高校家庭科食生活分野の学習では、個人の生活をもとに様々な食の安全の観点から課題を見つけ、安全でより良い食習慣を身につけることが求められている。「家庭基礎」において食生活の安全に関する授業を実施し、その授業前後にアンケート調査を行って、高校生の食の安全に関する意識を分析した。
    [方法] 食生活分野の初回授業時と、「食生活の安全」授業の後に、自記式アンケート調査を実施し生徒の意識を比較した。調査項目は、「食の安全」のイメージ・興味関心、食品購入基準、食品選択の観点、「遺伝子組換え食品」への興味関心等である。解析にはExcel、統計用ソフトSPSSを用いた。
    [結果] 食品購入時に意識するのは、味と価格・量であり、安全性を意識すると答えた生徒は半数以下で、授業の前後に差は認められなかった。授業後に「食の安全」に関して興味関心の増加傾向が認められた項目は、保存・表示・食品アレルギー・遺伝子組換え作物、食糧自給率、地産地消であった。さらに学びたい項目は、食品添加物・食品アレルギー・表示・保存・遺伝子組換え作物であり、遺伝子組換え作物では特に食品として摂取した場合の健康への影響を知りたいと考えていた。
    生徒が自身の食生活の実態を理解して安全な食生活を送るためには、科学的で正確な情報収集の必要性と、食の安全を意識した消費行動につながるような教材開発と授業計画の必要性が示唆された。
  • 梶山 曜子, 鈴木 明子
    セッションID: P-141
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】家庭科が担う資質・能力を育成するためには,日常生活に必要な基礎的・基本的な知識・技能の習得は不可欠である。これまでに筆者らは,母親の子育て観によって子どもの生活技能習得に違いがあることを明らかにした。しかし,子どもの生活技能習得には母親の子育て観だけではなく,父親の生活態度や夫婦の関係性も影響を及ぼすことが示唆された。そこで本研究では,父母の子育て観と子どもの生活技能習得との関連について父親自身への質問紙調査及び面接調査から明らかにすることを目的とする。
    【方法】対象は広島県H市在住の小学生の子どもをもつ父親とその配偶者5組。実施期間は2017年10月~2018年1月で,個人面接法にて父親に半構造化面接を行った。父親には面接後質問紙調査を実施し,母親へは父親から用紙を渡してもらい郵送回収する方法で調査した。子育て観は先行研究(梶山ら2016)での「生活重視項目」と「学業優先項目」の平均値から2軸4象限に分類した。
    【結果】父親の子育て観は「消極型」4人,「学業優先型」1人であり,「生活重視型」や「両方位型」の父親はいなかった。「消極型」の父親の配偶者である母親の子育て観は「学業優先型」「消極型」「両方位型」で父母の子育て観は必ずしも一致していなかった。子育て観の異なる父母の場合は,子どもの生活技能習得度の認識に有意差がみられ,特に父親が「消極型」で母親が「学業優先型」の夫婦において顕著であった。
  • 丸山 智美, 清水 彩子, 河原 ゆう子, 伊藤 久敏
    セッションID: P-142
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】火は人の生活において重要な役割を担い、人は火の扱いを家庭で経験し体得してきた。現代の日本では家庭生活において多種のエネルギーが使用されており、家庭で火との接触機会が少ない児童の存在が推測できる。学校教育で火を使用するカリキュラムがある。小学校教育における児童の火の扱いや火との接点を把握することは、授業運営や事故防止に有効であろう。本研究は小学校教員がもつ児童の火との接点についての意識を調査し、児童の火の扱いの課題を明らかにする。
    【方法】347小学校を対象に教員から見た児童の火の接点に対する意識など21項目を調査した。意識の相関はスピアマンの順位相関で解析した。本研究は金城学院大学倫理審査委員会の承認(H16012号)を得て実施した。
    【結果】回収数は93校(回収率26.8%)。「児童が生活で火と接する機会が不足している」60.3%、「子どもが将来生活していくうえで火を扱えることは大事なスキルである」は84.9%、「火の扱い方は家庭で教える必要がある」89.3%で、「火を使う」と「児童の主体性や責任感を育む」「情緒をはぐくむ」に強い相関を認めた。自由記述では炎を見たことがない子がいる等の生活において火と接する機会の不足が複数あった。
    【考察】児童の火の扱いに対して、小学校教員は、火の扱いは有益な教育であるが家庭生活で火と接する機会が不足しており家庭での教育が必要であると考えていることが示された。
  • 遠藤 敏喜, 千原 正子, 波多野 修一, 齊藤 将也, 大塚 葵, 田中 悠貴, 野村 太郎
    セッションID: P-144
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 食育基本法制定以後,学校における食育が学校教育のあらゆる場面で展開することが望まれている.自由学園は,創立以来,食と農に関する実践をもって食育を行っており,このことは前回大会で報告したところである.実際,東日本大震災の教訓も後押しし,食を支える農業や自然,学校教育を超えた地域との関わりを学ぶことの重要性は疑う余地もない.本報告では,主に農芸の観点から,自由学園の実践を紹介する.

    方法 文献・資料調査,在校生への(主に半構造化)インタビュー調査.とくに近年の教育活動と地域活動への参画の検証.

    結果 1955年以降,大学部の学生による農芸グループが発足し,農園芸の勉強をしつつ,学校内の圃場や花壇を管理・運営し,初等部から高等部までの農園芸学習をサポートしている.自由学園には発達段階に応じた農芸プログラムがあり,学生は一貫教育の中で実践とともに知識を得ている.そもそも1934年に都市部から現キャンパスに移転したことは農の学びのためでもあり,その後校外や海外に農場や植林地を展開した.地域と指導的役割をもって密接な関係をもったが,都心化の影響もあり,それは学内の農芸教育にシフトしていった.近年,上述の社会的背景の変化に伴い,教育内容や地域との関係の在り方が,プログラム面においても意識面においても変容しつつある.
  • ―中学生の「心の声」に焦点を当てて―
    伊藤 優, 小笠原 千明, 藤井 志保
    セッションID: P-145
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 中学校家庭科の保育学習では、多くの学校で幼児とのふれ合い体験が行われ、その効果や課題が報告されている。一方で、ふれ合い体験を行った中学生がどのような気持ちでふれ合い体験に臨んでいるのかまでは明らかにされていない。そこで、本研究では、中学校家庭科での幼児とのふれ合い体験学習時の中学生の「心の声」に焦点を当て、ふれ合い体験内でのどのような幼児との活動が中学生に対児感情の変化を及ぼしているのかを検討する。
    方法 家庭科において継続的・積極的に幼児とのふれあい体験を位置づけて実施しているH県M中学校2年生78名を対象に質問紙調査を実施した。気になった幼児の行動、その行動に対する自分の対応、その時の自分の気持ち(以下「心の声」)について自由記述によって問うた。調査時期、5月(2回)、6月、11月に計4回であった。
    結果 継続的に幼児に対してポジティブな印象を有した生徒は、気になる幼児の行動や幼児とのふれ合いで困難な状況に遭遇しても、幼児のプラス面を探して臨機応変に対応することができていた。一方で、幼児に対してネガティブな印象を有した生徒も、幼児の行動に疑問を生じ、それについて考え、自分の子ども時代を思い出す過程を経て、マイナス的感情だけの表現は減少していた。また、「心の声」記述が幼児へのプラス表現や、幼児に興味・関心を抱くような表現への変容は、幼児のプラス面を少しでも見出した時にみられた。
  • 佐藤 宏子
    セッションID: P-146
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 大学生がこれまでに学校教育や家庭で受けた公的年金制度に関する教育内容、年金制度に対する理解度と信頼度について検討し、年金制度に関する正確な知識を獲得するための授業展開について考察する。
    方法 公的年金制度に関する基礎的な知識をクイズ形式で尋ねる「年金クイズ」(村上雅俊他;2012)を「生活経営学」履修学生に実施し、反復測定分散分析法を用いて3時点の公的年金制度に関する理解度と信頼度の変化を分析する。
    結果 (1)対象者に「生活経営学」の授業前、年金事務所による「年金セミナー」の終了後、教員による「年金セミナー」の復習と「年金クイズ」の解説後に「年金クイズ」を実施した。この結果、授業前の理解得点は低い(平均点4.00)が、「年金セミナー」後に大幅上昇した。(2)「年金セミナー」による学習効果は設問によって差があり、年金制度に対する「難しい」「分からない」という苦手意識、誤解や思い込み、不信感を払拭することは難しい。(3)年金知識獲得に向けた授業には①学生が体系的な年金教育を受けていないことを前提とした授業計画の立案、②「年金セミナー」開催の効果と限界を認識すること、③教員による「復習と解説」が重要性であることが指摘できる。また、大学生が年金制度に関する正確な知識を獲得することは、生涯を見通した生活の自立、ライフステージ・生活リスクと社会保障との関係を考える時宜を得た意義深い学習内容といえる。
  • 西尾 幸一郎, 中川 舞香
    セッションID: P-147
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 本研究では、小学校の給食時における学童机や椅子の配置の違いが、グループ単位での食事場面に与える影響について調査・分析を行った。

    方法 調査対象は、A小学校4年生で給食時における学童机や椅子の配置が異なる2クラスに在籍する児童(各5名、計10名)であり、食事場面の映像をビデオで撮影した。撮影期間は2日間であり、1日目を順応期間とし、2日目を分析対象とした。なお、学童机や椅子の配置は、1つのクラスは学童机を迎え合せにし、椅子が囲むように配置する対面型の配置、もう1つのクラスは学童机と椅子が黒板に向いて列になるように配置する非対面型の配置であった。分析に当たっては、映像データをもとにJefferson(1974)の表記表に従って、トランスクリプトを作成した。次にトランスクリプトをもとに、再度映像を確認しながら、児童の発話や行為の意図を読み取ってラベルを付与した。そして、類似したラベルをまとめて分類を行った。

    結果 対面型の配置では非対面型と比べて、児童の言語・非言語コミュニケーションの回数が顕著に多く、会話の内容も多様であった。また、笑顔の回数も多く、積極的にコミュニケーションをとり、食事を楽しんでいる様子が読み取れた。一方で、給食を食べながら後ろを振り向くといったマナー面での問題行為が頻繁にみられ、食事時間も長くなっていることが分かった。
  • ―肉の調理「ハンバーグ」に着目して―
    伊藤 大貴, 川邊 淳子
    セッションID: P-148
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    <目的>論理的思考とは,難しいものを単純にし,構造化し相手を納得させたり,どのような思考過程を経てその結論に至ったのかを,誰でも理解できるよう明確に説明でき,現状の原因と結果を踏まえ,理想の状態に持っていくための問題解決・改善策を考えるための思考方法である。そこで本研究では,中学校家庭科における代表的な肉の調理題材であるハンバーグを取り上げ,論理的思考を育む調理実習指導について検討を行った。<方法>対象は上川管内T中学校2年生2クラス54名であり,授業実践は2017年9~10月に行った。<結果>8時間構成の【授業1~5】を立案した。【授業1】ハンバーグの調理動画の視聴と調理工程の記入,【授業2】【授業1】で自身が記載した調理工程による調理実習,【授業3】調理に関しての生徒同士の意見交換と発表,【授業4】調理に必要な情報を得るための検証実験,【授業5】後輩に送るハンバーグ調理動画撮影を行った。【授業1】では基本的なハンバーグの作り方動画を見ても,調理上の大切なポイントに気づかず,具体性のない漠然とした記述が多く見られた。さらに【授業4】では不足している条件や知る必要のある情報があることに気付き,生徒自らが様々な視点から検証実験を行った。最後に【授業5】では自分だけ理解すればよいのではなく,他者に伝えるという視点を加え,より具体的かつ詳細な情報として,調理工程ならびに調理動画を作成することができた。
  • 速水 多佳子, 瀬渡 章子
    セッションID: P-149
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 家庭科住居領域は,指導の困難さなどから扱いが低調であることが指摘されている。限られた時間内で効果的な授業を行うには,教員に指導内容の十分な理解と指導力が求められる。本研究は,小中高の教科書の記載内容を整理し分析することから,各学校段階で扱う学習内容を明確にすると共に系統立てて捉えることを目的とした。
    方法 分析した教科書は,平成29年度使用の小学校2社2冊,中学校3社3冊,高校6社20冊の計25冊である。まず,教科書全体に占める住居領域の掲載箇所の割合を算出し,次に記載内容を整理して教科書ごとに一覧表を作成した。その内容は,見出し,重要語句,平面図,図,表,グラフ,写真,資料,住居領域の項目ごとの頁数である。そして,小中高の各学校段階の比較を行うと共に,高校は3科目(家庭基礎,家庭総合,生活デザイン)を比較した。
    結果 学習指導要領を基に住居領域全体を見直し,学習内容の一覧表を作成したところ,7つの項目に分類できた。教科書分析では,全領域に占める住居領域の割合は,小学校17.2%,中学校9.5%,高校家庭基礎9.6%,家庭総合10.4%であった。住居領域は,教科書の後半部分に位置している場合が多く,図表等の扱いは,小中高の全てで資料が最も多く,次に小学校は写真,中高は図であった。図表等の掲載点数は教科書により差が見られ,一部の教科書は中学校で平面図の扱いも見られた。また,記載の順序に一定の傾向が見られた。
  • 神澤 佳子, 片平 理子, 金坂 尚人, 千歳 万里
    セッションID: P-150
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的「消費者教育推進法」では、学校、家庭、地域等の様々な場の特性に応じた適切な方法で教育を実施するとしている。本研究では「日常に溶け込む消費者教育」の実践のために、地域の「遊びと生活の場」である放課後児童クラブ(以下、学童)に着目し、「歌と手遊び」による食育を融合させた消費者教育を行い、教育効果と実践上の課題を明らかにすることを目的とした。
    方法 神戸市内の 民設民営のC学童 (登録児童48名、1~3年生43名)で、日常的な食場面であるおやつをテーマに 、「商品選択・おやつの役割・栄養等 」について、低学年児童対象の手遊びおやつソングを創作した。①おやつソングを歌う会を開催し、②「おやつはかせ」を目指して歌う毎にシールを貼る掲示物を設置し、児童は自由意思により①②の活動に参加した。活動前後に1~3年生に、活動内容と商品選択・おやつの栄養に関するアンケート調査を実施した。
    結果 活動には①42%(18人)、②56%(24人)の児童が参加し、15名から事前・事後アンケートを回収した。参加者の7割が「楽しかった」、8割が「難しくなかった」と回答したが、「またやりたい」と答えたのは5割であった。活動後には、適切なおやつ量、栄養素の働きに関する知識の理解度が有意に上昇した。継続的な消費者教育実践の場として学童を生かせる可能性が示されたが、児童が繰り返し参加したいと思う内容やアンケート実施方法を工夫する課題が明らかになった。
  • 鄭 暁静, 高崎 禎子, 三野 たまき, 山岸 明浩, 福田 典子, 小林 里美, 坂本 京子, 長谷川(月岡) 美紀
    セッションID: P-151
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 新学習指導要領では生徒における情報活用能力の育成が明示された。生徒を指導する教師は、これまで以上にICTを活用した指導力が求められる。そこで本研究では、将来教師を志望する学生を対象に、家庭科におけるICTを活用した教材づくりや授業展開の指導に取り組み、学生のICTを活用した指導力の向上を図ることを目的とした。
    方法 学生は、本学の「家庭科教材論」の授業で、ICTを活用した教材づくりや指導方法の考案を行い、「教育実習」で授業実践を行った。また、学生による事前事後の自己評価を用い、ICTを取り入れた授業実践に対する意識の変化を確認した。
    結果 学生のICTを取り入れた授業実践が、ICTを活用した指導力の向上に有効であることが明らかになった。「授業者によるICT活用」では、衣生活や食生活領域の実習において、事前に手順がわかるように作成したICT教材を生徒が手に取って確認できるようにし、個々に応じた指導ができた。また、家族・家庭生活や消費生活・環境領域において、生徒の成果物を ICT機器で拡大表示し、生徒同士の学びを促すことができた。「生徒によるICT活用」では、住生活領域において、立体的な住空間を理解するため、生徒自身がICT機器を操作できるよう指導し、興味関心を持って学習することができた。学生の自己評価では、ICT活用に自信が持てるようになったり、ICT教材の効果的な活用方法を考えるようになったことが分かった。
  • NHKラジオ「女性教室」(1950~1965年)を例に
    高橋 洋子
    セッションID: P-152
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 過去70年ほどの間に刊行された各種刊行物を資料として,衣食住を中心とした家庭生活の変容を可視化する試みに取り組んでいる.本報では,この期間の家庭生活について啓蒙的な役割を担ったものの一つとして,1950年から15年間放送されたNHKのラジオ講座「女性教室」に着目し,その放送内容とテキストを調査した.
    方法 (1)朝日新聞の番組欄・読売新聞の広告欄・週刊NHKラジオ新聞・NHK年鑑などを資料として,「女性教室」15年間の月次テーマおよび放送内容を調査した.(2)「女性教室」の月刊テキスト(古書)を約40冊入手し,内容を調査した.
    結果 (1)月次テーマは,洋裁・和裁・編物・手芸・洗濯・料理・食品加工・育児・保健・美容・作法・園芸・住宅設備機器・寝具などであった.初期には,経済学講座や国文学講座も放送された.(2)講座の内容について,次のような特徴がみられた.(イ)理論を丁寧に解説した後に,実技指導が行われた.(ロ)機械や電気などの科学知識・科学技術の導入に注力していた.(ハ)日本文化と外来文化,伝承技法と新技法,それぞれ両面を併せて紹介する講座がみられた.(ニ)「手作り」に重点が置かれ,布団・人台・ランジェリー・瓶詰食品などの作り方も紹介されていた.半面,市販品の選び方も解説されていた.(ホ)洗い張り・染め直し・編物再生・布団再生など,物資の再利用法が紹介されていた.
  • -広島大学人間生活系コースにおけるカリキュラムの検討・改善をめぐって(2)-
    鈴木 明子, 村上 かおり, 梶山 曜子, 今川 真治, 松原 主典, 高田 宏
    セッションID: P-153
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】これまで本コースカリキュラムの核となる科目「人間生活教育概論」の検討を行ってきた。平成28年度の授業では商品企画と調理を主たる学習活動として生活課題を捉えさせることを意図した。その結果,家政学の理解に基づき生活改善を意識してはいたものの,その成果が授業づくりにおける教材観に影響を及ぼしたかどうかは不明であった。そこで,平成29年度の授業では,前年度の商品企画におけるコンセプトとして提示された「健康」「協働」「豊かさ」「生活・地域文化」「家政学の意義」について家庭科教育学及び内容学担当教員7名をパネラーとしてディスカッションを行った。それにより生活者としての自己の課題を意識させ家政学の理解を深めることを意図した。本研究では,それらの成果を検証し,その後の指導法の授業の学びへの影響を明らかにすることを目的とした。

    【方法】履修者24名の授業成果を5回のディスカッション前後の各テーマの認識の変容を問う調査結果などの分析から捉えた。また,その後「家庭科授業論Ⅰ」における授業づくりに変容の成果が役立っているかどうか調査により分析した。

    【結果】ディスカッションにより,生活の営みを捉えるテーマへの認識が深まっている様子がみられた。また,指導法の授業で複数の内容を関連付けた題材の構想や,現代的な生活課題への関心につながる題材名の工夫などがみられた。生活への認識の深まりがその成果につながったと自己評価していた。
  • 蛍光増白剤と各種染料を用いて
    都甲 由紀子, 財津 庸子, 佐藤 結衣, 佐藤 綾
    セッションID: P-154
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的 本研究では,中学校家庭科における衣服の手入れの内容において,蛍光増白剤と各種染料を用いることで,洗濯する意義について考えさせ,衣服の素材に応じて手入れをする必要性を理解させる教材開発及び授業実践をし,その教育効果を検証することを目的とする。

    方法 1.授業実践で生徒に見せる染色布の染色条件を決める実験をして絹布を染色した。2.洗剤溶液の蛍光発光を観察する条件を検討するために実験した。 3.2016年11月24日第3校時に中学1年生40名を対象として授業実践をした。染色した布を提示し,それぞれの染料のクイズをして,蛍光増白剤入りの洗剤で洗濯した布と未洗濯布を示し,蛍光を確認した。蛍光増白剤の科学を解説し,洗剤の蛍光を観察する実験をした。蛍光増白剤は白く見せるため色を付けていることを理解した上で,そもそも洗濯は何のためにするのか,洗濯の意義について考えた。衣服の色や素材に応じた手入れをすることの重要性についてまとめた。

    結果 1.授業前後のアンケートで,衣服の素材に応じて使う洗剤を選びたいかという設問に対して,授業前に洗剤を使い分けたいと思っている生徒は半数以下であったが,授業後には97%になった。2.授業後の自由記述の感想には蛍光増白剤の働き,洗濯方法の理解,衣服の手入れや染色への興味関心などが反映された。3.これからの衣生活についての記述も多く見られ,主体的に学ぼうとする姿勢や自ら洗濯する意欲が示された。
  • サービス・ラーニングの準備段階としての課題の活用
    増田 啓子, 田﨑 裕美
    セッションID: P-155
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    1.研究目的

    サービス・ラーニングは,教室で学ばれた学問的な知識・技能を地域社会の社会的活動に生かし、市民的責任や社会的役割を学ぶことを目的とした教育方法である。大学教育再生の戦略的推進等では大学と地域と連携が求められ、学んだ知識を社会に繋げる教育手法として本手法は有効であると考える。本研究では講義のレポート課題を手段として、サービス・ラーニングの準備段階とする可能性を探ることを目的とした。

    2.研究方法

    本学の教職科目として位置付けられている「家庭支援論」のレポート課題として、家庭支援の場における利用者ニーズについての調査を出題し、支援活動の実施についても奨励した。提出された学生のレポートに基づき分析を行った。

    3.結果

    科目履修生97名のうち、期限までに提出した94名のレポートを分析した。調査の場として選択したのは図書館26%、子育て支援センター22%、幼稚園保育所14%、学童クラブ(障害児含)12%、その他26%であった。現地で支援活動を実施したのは46%、聞き取り調査のみは52%であった。ほとんどの学生が、家庭支援の場や活動内容について理解を深め、支援活動に興味を持った。

    4.考察
    すべての学生が現地調査を実施することができ、支援活動を行ったものも半数近くいたことから、講義課題が社会との連携の機会を創出する可能性が十分あり、サービス・ラーニングの5段階の一つの準備段階として活用することができると考えられた。
  • 宮川 有希, 上村 協子
    セッションID: P-156
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    【目 的】フィンテック(金融とテクノロジーの接続)による情報化社会の進展で、消費者と生産者(事業者)の関係が変化し、金融リテラシーの有無とその内容が日常生活に及ぼす影響が大きくなっている。本研究はキャッシュフロー表と家計簿アプリを使った生涯を見通した「生活設計教育」の可能性を検討する。
    【方 法】S女子大消費経済学履修者60名に、初回授業で金融リテラシーに関する質問(3問)と意識調査(7問)の全10問、15回目授業後に初回の10問と追加3問(金融経済情報の頻度、個人収支の把握方法、希望するライフコース)全13問のアンケート調査を実施。授業内でキャッシュフロー表を2回作成。
    【結 果】①個人収支の把握方法は、家計簿記帳36.4%、家計簿アプリ等を利用しスマホで把握34.5%と家計簿を利用している学生が全体の7割を占めている。②希望するライフコースは、結婚し子どもを持ちいったん退職し子育て後に再び仕事を持つ50%。③生活設計の正解率は、初回50.0%、授業後88.3%と授業後の正解率が上昇。キャッシュフロー表によると、出産後安易に仕事を辞めることによる機会損失は大きいが考えられていない。家計簿アプリは、収支の把握をするだけではなく、収入が近い利用者の家計簿と比較することもできる。生涯を見通したキャッシュフロー表を作成するために、家計簿アプリを利用し家計管理だけではなく生活設計力をつけることの必要性が示唆された。
  • ーICTを活用した家庭科の授業づくりを通してー
    村田 順子, 山本 奈美, 今村 律子
    セッションID: P-157
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/28
    会議録・要旨集 フリー
    目的:教員養成課程においては、学生の授業実践力の向上が課題である。授業実践力は「教える教科内容の理解と授業を行う力(授業を構想・準備し、授業の中で実現する力)」とされ、理解した教科内容を授業として再構築していくことが求められる。本報では、授業の「構想・準備」段階に焦点をあて、学生が主体的にICTを用いて授業・教材づくりを行い、実践力の育成を試みた事例を報告する。
    方法:中学校家庭科の住生活領域「災害に備える」を題材に、冬季に発生した災害を想定し、身近にある物で暖かく過ごす工夫について考える授業を構想するよう指示した。生徒が科学的根拠をもとに、効果的な方法や工夫を考えられる手立てとなるような教材づくりを目指した。用いた機材は、iPad、赤外線サーモグラフィカメラ、電子黒板である。学生の指導は教科教育・教科専門が連携して行った。授業の構想、教材づくりの過程を観察し、学生の気付きに着目し分析を行った。
    結果:授業の構想・準備の中で、学生には様々な気付きがあり、構想と準備を行きつ戻りつしながら授業に対する意識をスパイラル的に深めて行った。学生の気付きを教科内容と授業構想の双方の視点から意味づけられるよう支援することが必要であると考えられた。授業づくりにおけるICTの活用は学生の試行錯誤を促し、効果的な使い方を考えることが授業の構想・準備段階での授業実践力を高めることにもつながっていた。
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