ナウマンゾウ「浜町標本」の骨格化石に確実に付着していた堆積物が見いだされ,その珪藻分析および花粉分析が行われた.その結果,浜町標本は満潮時にのみ海水に覆われる低位塩性湿地のような環境に埋積していたことが推定された.また,周辺の植生はブナが優勢で,サワグルミ属/クルミ属,ニレ属/ケヤキ属,ハンノキ属などを含む落葉広葉樹林の存在が推定された.
浜町標本の産出地点の地上部における位置を改めて検討した結果,従来報告されていた地点よりも南側の「東京都中央区日本橋浜町2丁目36-2」付近であることが判明した.中央区地盤情報システムにて検索したこの地点の地質柱状図(整理番号C00057)と日本橋ナウマンゾウ研究グループ(1978,1980)の記述ともよく一致する.浜町標本は整理番号C00057の柱状図における21~23m付近の「有機質土混じり砂質シルト」から産出したと考えられる.この岩相は珪藻化石や花粉化石から推定された浜町標本の堆積場所と調和的である.
抄録全体を表示