肩関節
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40 巻, 2 号
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解剖
  • 吉岡 千佳, 末永 直樹, 大泉 尚美, 山根 慎太郎
    2016 年 40 巻 2 号 p. 473-475
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
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     腱板断裂性関節症(CTA)に対する治療としてリバース型人工肩関節置換術(RSA)が急速に普及しているが,RSAではグレノスフィア設置位置が大切で,肩甲骨関節窩形態を把握することは重要である.本研究では3D-CTを用いてCTA症例45肩の関節窩形態を調査し,変形性肩関節症(OA)症例15肩と比較検討した.関節窩3CD-CT画像と単純X線で上腕骨頭上方化の有無,MRI画像で腱板断裂部位を検討した.45肩中関節窩の形態変化を認めたのは42肩で,骨棘形成部位は上方型が6肩,下方型が16肩,全周型が20肩だった.上腕骨頭上方化は下方型で75%に認めた.上方型では肩甲下筋腱断裂を全例認めたが,下方型は全例認めず,全周型はほぼ半々であった.OA肩では全周型が71%と最も多かった.CTA症例の関節窩の骨棘形成部位は,上腕骨頭上方化や肩甲下筋腱断裂の有無が関連していると考えられた.
生化学
  • 美舩 美舩, 乾 淳幸, 坂田 亮介, 原田 義文, 高瀬 史明, 植田 安洋, 片岡 武史, 国分 毅
    2016 年 40 巻 2 号 p. 476-480
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
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     加齢に伴う腱板組織へのadvanced glycation end products(AGEs)沈着量の変化と力学的強度の変化を,SDラットを用いて検討した.3,6,12,24か月齢のSDラットの棘上筋腱を用いて組織学的検討を行い,力学的評価として棘下筋-上腕骨複合体の最大破断強度を引っ張り試験にて評価した.HE染色では12,24か月齢のラット腱板において細胞浸潤,コラーゲン線維配列の乱れを認めた.免疫染色では加齢に伴ってAGEs沈着の増加を認め,またAGE受容体の発現増加も認めた.TUNEL染色でも同様に加齢に伴うアポトーシスの増加を認め,力学的試験では12,24か月齢において破断強度の低下を認めた.我々はこれまでにin vitro実験において,AGEsが腱板由来細胞のReactive Oxygen Species発現を増加させ,アポトーシスを増加させることを明らかにしてきた.本研究より,肩腱板においてもAGEsの沈着が細胞障害性を持つ一方で,力学的な脆弱性と相関しており,AGEsの増加が加齢に伴う腱板断裂の一因になっていることが考えられた.
  • 橋本 瑛子, 落合 信靖, 佐々木 康人
    2016 年 40 巻 2 号 p. 481-486
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
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     腱板断裂動物モデルの基礎研究は急性モデルの報告が多く,ヒト肩関節に構造が類似するラットを用い,昨年我々は初めてラット腱板断裂慢性モデルを報告した.本研究の目的はラット腱板断裂慢性モデルの組織学的評価を行うことである.10週齢SDラット20匹を用い,棘上筋と棘下筋を切離し腱板断裂を作製し断裂型のレジンを上腕骨に固定した慢性モデル群,断裂のみの断裂群,Sham群の3群で,術後4週・12週でマッソン・トリクローム染色にて腱変性を定量評価し,HE染色にて腱板筋の脂肪変性および筋萎縮を組織学的に評価した.術後4週で軽度の腱変性を認め,12週で変性が進行しBonarスケールで有意に高値を示した.また,術後12週で棘下筋内腱周囲及び棘上筋外の脂肪細胞の増加と筋細胞の萎縮を認めた.ラット腱板断裂慢性モデルは術後12週で組織学的に腱変性・脂肪変性・筋萎縮の進行を認め,慢性モデルとして妥当な変化を示し,二期的な研究への使用が期待される.
機能
  • 遠藤 和博, 佐原 亮, 小出 将志, 五十嵐 絵美, 浜田 純一郎
    2016 年 40 巻 2 号 p. 487-490
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
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     肩疾患では関節可動域制限を有することが多く,上腕の回旋制限とも捉えられる.本研究の目的は,肩屈曲90度での上腕回旋角度を計測し,肩関節疾患別の可動域制限と上腕回旋制限の関係を調査することである.健常群10名20肩,症候性腱板断裂群(RCT群)9名10肩,凍結肩群(FS群)14名15肩を対象とした.肩屈曲90度の前腕回外,中間,回内位の3肢位で水平面を0度として各上腕回旋角度を計測した.前腕中間位での上腕回旋角度においてRCT群は健常群より14.4度有意に外旋していた.中間位と回外位間の上腕外旋角度は,健常群39.5±7.3度と比較しRCT群,FS群ともに有意に低下し,中間位と回内位間の内旋角度は健常群18.0±8.7度であり,FS群と有意差を認めた.RCT群は上腕が外旋方向にシフトし内旋可動域制限を生じ,FS群では上腕の内・外旋角度ともに制限が強いためすべての可動域制限が起こる.
診察 • 診断
  • 大西 和友, 菅谷 啓之, 高橋 憲正, 渡海 守人, 上田 祐輔, 星加 昭太, 濱田 博成, 飯島 裕生, 松葉 友幸, 森石 丈二
    2016 年 40 巻 2 号 p. 491-494
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
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     鏡視下腱板修復(以下,ARCR)術後のShoulder36 V1.3(以下,Sh36)とJOAスコアおよび患者背景との関連性を調査したので報告する.対象は,2011年から2012年までにARCRを施行し術後2年時にSh36およびJOAスコアが調査可能であった154例154肩(平均年齢64歳)とした.Sh36の全項目とも年齢や,断裂サイズ,Goutallier's stageとの有意な相関はなかった.Sh36とJOAスコアの共通項目の相関係数は,疼痛やADL機能は中程度の相関を認めたが,可動域や筋力は低値であった. JOAスコアはrepair integrityが不良なほど合計および筋力が有意に低かったが,Sh36はADL機能以外の項目では有意な相関はなかった.術後評価には患者満足度やQOLを評価するSh36に加え,JOAスコアなどの客観的実測値を用いた評価を併用することが重要と考える.
  • 竹内 聡志, 土屋 篤志, 杉本 勝正, 大藪 直子, 後藤 英之, 武長 徹也, 鷹羽 慶之, 大塚 隆信
    2016 年 40 巻 2 号 p. 495-498
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
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     原テストにおけるCombined abduction test(CAT)とHorizontal flexion test (HFT)と肩関節可動域の関係について調査を行った.2012年から2014年にメディカルチェックを行った大学生・社会人野球選手96名(平均年齢20.9歳,平均野球歴10.9年)を対象とした.全ての選手に原テスト11項目,肩可動域測定を施行した.その結果から,CAT・HFT共に陽性群(CH群),CAT陽性群(C群),HFT陽性群(H群),CAT・HFT共に陰性群(N群)に分類し,肩関節下垂位(1st),90°外転位(2nd)および90°屈曲位(3rd)における内外旋角度との関連を調査した.CH群49名,C群8名,H群8名,N群31名であった.CH群,C群,H群において非投球側と比較して投球側の2nd 内外旋総可動域(total arc)が有意に減少していたが,N群では有意差がなかった.投球側の2nd total arcは肩後方タイトネスの存在により,非投球側と比較して減少することが報告されている.この結果から,CAT・HFTは肩後方タイトネスの評価に有用である可能性が示された.
検査
  • 大西 興洋, 森原 徹, 古川 龍平, 南 昌孝, 加太 佑吉, 祐成 毅, 木田 圭重, 堀井 基行, 藤原 浩芳, 久保 俊一
    2016 年 40 巻 2 号 p. 499-502
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
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     副神経温存頸部郭清(MRND)術後の肩関節外転機能予後評価としての肩甲骨脊椎間距離(Scapula-Spine Distance:SSD)の有用性を検討した.MRNDを施行し術後リハビリテーションを行った患者30例,38肩を対象とした.術前,術後リハビリテーション開始時,1,3,6ヵ月後に下垂位と90度外転位でのSSDを,術前,術後1,3,6,12ヵ月後に肩関節自動外転可動域を測定した.上肢下垂位SSD-肩関節外転位 SSDと次回測定時の肩関節可動域には高い相関関係を認めた.上肢下垂位SSD-肩関節外転位SSD≥0となった肩の80%以上は,次回測定時に肩関節外転可動域が改善していた.下垂位のみの評価だけでなく肩外転位と組み合わせてSSDを測定することで,外転による筋収縮時の肩甲骨位置を評価することができた.
  • 梶田 幸宏, 岩堀 裕介, 村松 由崇, 斉藤 豊, 出家 正隆
    2016 年 40 巻 2 号 p. 503-505
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     エコーを用いて腱板断裂患者と健常人の頚椎神経根の形態を比較検討した.対象は腱板断裂に対して手術を施行した22例の両側44肩(平均年齢60.7歳),肩に愁訴のない健常人219人の両側438肩(平均年齢47.4歳)とした.エコーを用いて第5・第6・第7頚椎神経根(以下C5・C6・C7)の長径と短径を頚椎横突起レベルで測定し,各神経根の断面積を算出した.神経根の断面積を腱板断裂患者の患側(A群),健側(B群), 健常群(C群)の3群間で比較検討した.A群・B群・C群の神経根の平均断面積±SDはC5では9.0±2.8mm2・8.9±2.9mm2・6.5±1.9mm2,C6では10.7±5.3mm2・10.3±2.8mm2・11.2±2.9mm2,C7では10.4±7.3mm2・8.8±3.3mm2・9.3±3.1mm2であった.C5の断面積はA群とB群はC群に比べて有意に大きく,C6とC7の断面積に有意差は認めなかった.腱板断裂患者の痛みにC5の肥大が関与する可能性が示唆された.
  • 土屋 篤志, 竹内 聡志, 後藤 英之, 武長 徹也, 杉本 勝正
    2016 年 40 巻 2 号 p. 506-508
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
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     我々は投球による肩関節前上方部の損傷を超音波断層装置(以下エコー)を用いて検査している.しかし何時の位置の関節窩・関節唇を描出しているかは不明である.本研究の目的はエコーによる肩関節前上方部の検査が何時の位置の関節窩・関節唇を描出しているのかを検討することである.対象は系統解剖用屍体8例15肩.小型コンベックス型プローブで烏口突起外側から上腕骨頭,前上方関節窩の長軸像を描出し,平行法でエコーガイド下にカテラン針を関節窩縁に刺入した.肩関節を展開後,関節窩に正対して写真撮影し,カテラン針が関節窩縁において関節唇を貫いた位置を計測した.右肩時計表示でカテラン針は0時12分~2時20分,平均0時47分の位置で関節唇を貫いていた.15例中12例においては0時から1時の間の関節唇にカテラン針が刺入されていた.肩関節前上方からのエコーでは多くの症例で0時から1時の位置の関節窩・関節唇を描出していると考えられた.
  • 宮島 玄陽, 見目 智紀, 名倉 直重, 中脇 充章, 田澤 良, 佐々木 秀一, 高相 晶士
    2016 年 40 巻 2 号 p. 509-512
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
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     脱臼不安感は肩関節不安定症の主要所見の一つであるが,その出現要件は未だ不明である.今回我々は肩関節前方不安定症患者22名23肩について損傷関節唇の肩関節他動回旋時の動態をCine-MRIを用いて撮像し,撮像中の脱臼不安感を聴取した.Cine-MRI上で関節窩に関節唇が圧着した肩関節下垂位での回旋角度(以下圧着角)と関節唇が離開した回旋角度(以下離開角)を計測し,関節窩への関節唇の圧着や離開,及びその回旋角度と脱臼不安感に関連が有るか後ろ向きに検討した.関節唇が関節窩に圧着している状態で脱臼不安感を認めるものが7肩,逆に離開した状態で脱臼不安感を認めないものを8肩確認した.脱臼不安感の有無で分けた2群間で平均圧着角,平均離開角に有意差を認めなかった.関節窩に対する関節唇の状態が脱臼不安感の出現を決定するとは言えなかった.
  • 小林 雅彦, 水野 泰之, 森 大祐, 馬谷 直樹
    2016 年 40 巻 2 号 p. 513-517
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
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     肩甲下筋腱(SSc)断裂の診断は困難なことが多い.我々はSSc断裂の診断精度を上げるため,MRI 上SScと肩甲骨(Sc)間に生じるT2 highの間隙である“Gap sign(GS)”に注目した.本研究の目的は,前向き研究によりGSのSSc断裂に対する診断精度について検討することである.
     2014年にARCRを施行した42肩(平均年齢63.2±10.2(SD)歳)を対象とした.単純MRI のoblique-saggital像において,scapular-Y viewから外側10mmにおいて,SScとSCの間に生じるT2強調像での高輝度領域をGSと定義した.術前にGS陽性か陰性か判定し,手術時にSSc断裂の有無を診断し,GSの精度を検定した.
     GS陽性24肩・GS陰性18肩で,SSc断裂ありが23肩,なしが19肩.感度91.7%・特異度94.4%・PPV 95.6%・NPV 89.5%であった.
     GSはSSc断裂を予測する優れた方法といえる.
  • 伊藤 岳史, 岩堀 裕介, 筒井 求, 梶田 幸宏, 村松 由崇, 花村 浩克
    2016 年 40 巻 2 号 p. 518-521
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
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     MR関節造影(MRA)は関節包断裂や上腕骨頭側関節包剥離損傷(HAGL損傷)の診断に有用とされている.下関節上腕靭帯(IGHL)の形状に注目し,関節包断裂およびHAGL損傷におけるMRAの有用性を検討した.MRAおよび関節鏡を施行した外傷性肩関節前方不安定症82例84肩を対象とした.MRA斜位冠状断像および外転外旋位横断像を評価し,MRA所見と関節鏡所見を比較し,関節包断裂とHAGL損傷の診断率を後向きに検討した.関節包断裂に対して感度85.7%,特異度61.1%,正確度63.5%であり,HAGL損傷に対して感度90.9%,特異度87.3%,正確度87.8%だった.MRAは関節包病変の診断に有用と思われたが,関節包断裂に対しては正確性に欠けていた.HAGL損傷では感度は良好だったが偽陽性例が存在した.
脱臼
  • 鈴木 一秀, 永井 英
    2016 年 40 巻 2 号 p. 522-525
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
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     ラグビー選手の初回肩関節前方脱臼に対して行った鏡視下Bankart&Bristow法(ASBB法)の術後短期成績を検討する事を目的とした.術後1年以上経過観察可能であったラグビー選手17例(男性 15例,女性2 例)を対象とした.年齢は平均20.2才であり,スポーツレベルはトップリーグ4例,大学の体育会5例,高校8例であった.スポーツ復帰の可否,復帰までの期間,再脱臼率,最終観察時の日本肩関節学会肩関節不安定症評価表(以下JSSSIS)とRowe scoreを検討した.17例全例がレベルダウンなくスポーツ復帰可能であり,復帰までの期間は平均4.3ヵ月で,術後再(亜)脱臼例はなかった.JSSSISは平均99.8点,Rowe scoreは平均99.4で,すべてexcellentであった.ASBB法は早期復帰可能で再脱臼例もなくラグビー選手の初回脱臼例に対して有用な方法と考えられた.
  • 吉武 新悟, 中溝 寛之
    2016 年 40 巻 2 号 p. 526-529
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
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     投球動作を行うスポーツ選手の投球側に発症した外傷性肩関節前方不安定症に対して施行した鏡視下Bankart修復術の術後成績について調査した.当科で施行した30例30肩を対象とし,術前後の日本肩関節学会肩関節不安定症評価法(SIS),術後可動域,競技復帰(試合出場)時期,再脱臼の有無と復帰状況について検討した.SISは術前67.9点から術後92.7点へと有意に改善した.術後可動域は患側で健側に比べ屈曲,外転,90°外転外旋,90°外転内旋において4~12°の制限を認めた.腱板疎部縫合の有無による差は認めなかった.競技復帰の時期は平均術後6.9ヵ月であった.ハンドボール選手の2肩で再脱臼を認め,バレーボール選手の1肩で拘縮遺残により競技復帰ができなかった.完全復帰は21肩であった.投球側に施行した鏡視下Bankart修復術の成績はおおむね良好であったが,RIC追加の有用性は低いと考えられた.
  • 田中 誠人, 林田 賢治
    2016 年 40 巻 2 号 p. 530-534
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     反復性肩関節前方不安定症に対して,Remplissage法を施行後の棘下筋の連続性およびHill-Sachs損傷(HS)の充填について検討した.Remplissage法を施行した12例12肩(男性11肩,女性1肩,手術時平均年齢27.9歳)を対象とした.手術手技として,従来のMattress法(M法)を4肩,低侵襲を目的としたDouble pulley法(DP法)を8肩に施行した.術後6ヶ月に関節造影CTを用い,HS部の充填,造影剤の漏出の大きさ(水平断および斜矢状断での漏洩部の径)と位置を検討した.HS部の充填は全例で確認できた.11肩で造影剤の漏洩を認めた.M法では,漏出径が全て5mm以上で,平均5.1mm×6.9mmであった.DP法では平均2.8mm×2.3mmであった.Remplissage法により,HS部は棘下筋腱で充填され,脱臼制動効果があると思われたが,腱板損傷をほぼ全例に認めた.
  • 永井 英, 鈴木 一秀
    2016 年 40 巻 2 号 p. 535-538
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     鏡視下Bankart法(以下ASB)と鏡視下Bankart-Bristow変法(以下ASBB)の術後可動域改善の推移を調査し,Bankart法にBristow変法を追加することが,可動域にどのような影響を及ぼすかを検討した.外傷性肩関節前方不安定症に対して鏡視下手術を行い,術後6ヵ月まで経時的に可動域を測定可能であった58例61肩を対象とした.屈曲,外転,下垂位外旋は術後1,2,3,4,6ヵ月時点,外転90度位外旋,屈曲90度位外旋は3,4,6ヵ月時点で可動域を調査し,比較検討を行った.屈曲,外転は3ヵ月時点でASBB群がASB群に比べ有意に可動域の改善が認められた.その他の時点とその他の可動域ではすべて両群間に有意差は認めなかった.鏡視下でBankart法にBristow変法を追加することは,術後可動域制限の原因にならないことが明らかとなった.
  • 須川 敬, 松浦 健司, 中井 秀和
    2016 年 40 巻 2 号 p. 539-542
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     鏡視下Bankart修復術(以下ABR)後のアンカー骨孔の拡大に関する報告が散見されるが,関節窩関節面形態との関連にはあまり触れられていない.CTを用いてABR術後関節窩関節面形態の経時的変化を検討した.3DCTを術前,術翌日,スポーツ再開時(平均術後5.9ヶ月),最終診察時(平均24.1ヶ月)の4回撮影した16例を対象とした.3DCT関節窩正面像で縦軸に対して垂線を引き最長の部位で関節窩横径を計測し,最終診察時に関節窩横径が術前に対して5%以上減少した症例を減少とした.7例(43.8%)で関節窩横径の減少を認めた.減少症例のうち5例は競技レベルのスポーツ選手であり,術後競技復帰までの早期に関節窩横径が減少していた.最終診察時の臨床成績は関節窩横径の減少の有無にかかわらず改善した.臨床成績に差はみとめなかったものの競技レベルのスポーツ選手において競技再開までの管理が重要であると考えられた.
  • 柴山 一洋
    2016 年 40 巻 2 号 p. 543-546
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     現在までにBristow変法術後骨癒合不良因子に関してのCTを用いた報告はない.今回当院のBristow変法における術後骨癒合不良因子の原因を解析したので報告する.
     対象は2011年12月から2014年12月までにBristow変法を行った36肩で全例男性で,平均年齢21.8歳であった.術式は直視下Bristow変法で同一の後療法で行った.評価項目はスクリューの長さ,スクリューとglenoidの角度,骨切り部のギャップ,骨片の高さ,骨片の設置位置(設置角度,設置位置)とし,ロジスティック回帰分析を行い,骨癒合不良群因子を解析した.
     ロジスティック回帰分析の結果は,スクリューの長さ,ギャップに有意差があった.
     Bristow術後のスポーツ復帰の重要な要素に骨癒合が挙げられる.今回の研究でスクリューの長さ,骨片間のギャップが骨癒合因子に重要であることがわかった.
骨折
  • 佐藤 哲也, 中川 照彦, 能瀬 宏行, 宮本 崇, 鈴木 志郎, 土屋 正光
    2016 年 40 巻 2 号 p. 547-550
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     我々はHumes髄内釘を使用した骨接合手術を行ってきた.この髄内釘による手術成績と一部の症例に行った小切開髄内釘固定の方法を報告する.対象は45例.年齢は平均67.5歳.追跡期間は平均18.8か月.Neer分類では2-part 41例,3-part 4例であった.40例で良好な骨癒合を得たが,偽関節1例,遷延治癒4例が認められた.他の合併症では骨頭内反変形5例,大結節の変形癒合1例.術後肩可動域は拳上平均125.0°,術後JOAスコアは平均83.5点であった.本ネイルは他機種にみられない特徴を有する.ネイル遠位部は鋭利であり,骨粗鬆症化した骨頭には直接刺入することが可能であるため,小皮切操作のみで内固定もできる.また,ネイル内の特殊なねじ切り構造により,スクリュー後退の危険性が減少するとされている.一方で,髄内釘固定法では複雑な骨折型や骨折近位部が短い例に,適応の限界がある.
  • 畠山 雄二
    2016 年 40 巻 2 号 p. 551-556
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     上腕骨大結節骨折に対する術後成績を検討した.対象は2007年8月から2014年5月までに手術した男6例,女10例,計16例である.平均年齢は70歳,待機期間は27日,観察期間は33か月である.固定材料は13例がスーチャーアンカー,2例がプレート,残り1例は高強度糸であった.術後平均自動可動域は屈曲139度,外旋40度,内旋T10 ,JOAスコアーは平均82.1点で,14例で骨癒合が得られたが,内2例は変形治癒,2例は癒合不全であった.変形治癒や癒合不全例は転位が大きく腱板の変性や退縮が強かった可能性があるため,十分な剥離操作や外転外旋位での術後固定の他に,内側への骨接合や筋腱前進法などの広範囲断裂に対するような手術手技が必要と思われる.転位が大きく待機期間が長い症例では,内側への骨接合や筋腱前進法などが必要と思われた.
  • 安井 憲司
    2016 年 40 巻 2 号 p. 557-559
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     鎖骨骨幹部骨折に対してLCP Superior Anterior Clavicle Plate®(Depuy Synthes社製)を用いて手術を行った症例の治療経過を報告する.本プレートを用いて手術を行い,6ヵ月以上の経過観察を行った29例29肩を対象とした.男性21例,女性8例,手術時平均年齢は55.3歳であった.骨折型はRobinson分類でType 2B1が8例,Type 2B2が21例であった.これらの症例で使用プレート,外固定期間,骨癒合の有無,合併症について調査した.使用プレートはクラビクルプレートが5例,ラテラルエクステンションが24例であった.平均外固定期間は12.3日であり,全例骨癒合が得られた.合併症は創周囲のしびれが3例,遷延癒合が1例,抜釘後の再骨折が1例であった.鎖骨骨幹部骨折に対する本プレートの治療経過は概ね良好であり,有用な内固定材料の一つと考えられた.
  • 高瀬 勝己, 山本 謙吾
    2016 年 40 巻 2 号 p. 560-564
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     円錐靱帯断裂を伴った鎖骨外側端骨折は,骨折部の転位が大きく不安定になりやすい.円錐靱帯断裂の関与が本骨折の予後に大きく関与すると考え,直接的な骨接合術ではなく鏡視下円錐靱帯再建術による間接的な骨折整復術を施行してきた.今回,手術治療成績と独自に開発したTarget deviceを紹介した.対象は術後1年以上経過した12例,男性11例・女性1例,手術時平均年齢は41.9歳,平均待機期間は3.5日,術後平均観察期間は18ヵ月であった.体位はBeach chair positionで行った.円錐靱帯再建用骨孔作成には初期7例は透視下,後期5例には独自に開発したTarget deviceを用いた.術中合併損傷はなく骨癒合は3ヵ月以内に獲得できた.鎖骨外側端骨折は,鏡視下円錐靱帯再建という間接的骨折整復術にて良好な結果が得られた.また,Target deviceを用いることで手術時間が短縮された.
筋腱疾患
  • 原田 亮, 笹沼 秀幸, 金谷 裕司, 飯島 裕生, 竹下 克志
    2016 年 40 巻 2 号 p. 565-567
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     鏡視下腱板修復術に伴う出血量に影響する因子について検討した.対象は,2013年10月から2015年4月までに鏡視下腱板修復術を施行した65例である.出血量の目安として,術前ヘモグロビン値と術後一週間以内のヘモグロビンの最低値との差を求めた.ヘモグロビン低下量と5つの変数(年齢,BMI,手術時間,断裂サイズ,使用したアンカーの本数)の関係をSpearmanの順位相関係数を用いて評価した.ヘモグロビン低下量は1.8±1.0 g/dlであった.ヘモグロビン低下量と手術時間(p<0.01,r=0.37),アンカーの本数(p<0.01,r=0.30)との間には有意な相関関係を認めた.さらに重回帰分析の結果,ヘモグロビン低下量に対して手術時間が影響している可能性が示唆された.手技を向上し手術時間を短縮することは出血量を減少し低侵襲な手術につながる.
  • 結城 一声, 村 成幸, 原田 幹生, 高木 理彰
    2016 年 40 巻 2 号 p. 568-571
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     鏡視下腱板修復術後の修復腱板の厚みについては,その臨床的意義は明らかではない.本研究は,修復腱板の厚みと筋力回復の関係を明らかにすることを目的とした.2011年4月から2014年3月までに,腱板大・広範囲断裂に対し鏡視下一次修復術を行った54例58肩のうち,術後1年以上経過観察可能であった49例中,対側に腱板断裂を認めなかった28例を対象とした.術後1年のMRIで修復した腱板の連続性がある26例中,腱板の厚みが5mm 以上の15例を厚みあり群,厚みが5mm未満の11例を厚みなし群とし,術前後の健側比の肩筋力を比較した.平均外転・外旋筋力は,術前と比較して両群とも術後有意に回復したが,両群間を比較すると,外旋筋力では厚みなし群が有意に劣っていた.JOAスコアは両群とも術後有意に改善し,両群間に差はなかった.外旋筋力で両群間に差があることから,修復腱板の厚みは術後筋力回復に影響を与える因子の1つと考えられた.
  • 石垣 範雄, 畑 幸彦
    2016 年 40 巻 2 号 p. 572-575
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
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     高齢者の一次修復困難な広範囲腱板断裂に対する治療方針を明らかにする目的で,Partial repair法とReverse shoulder arthroplastyの術後短期成績を比較検討した.70歳以上の一次修復困難な広範囲腱板断裂例に対してPR法を施行した15肩(PR群)とRSAを施行した12肩(RSA群)について,術前,術後3ヵ月と6ヵ月のROM,MMT,JOA scoreを比較検討した.術前は,PR群のROM,MMT,JOA scoreが有意に良好であった.術後6ヵ月では,ROMはPR群がすべての方向で有意に良好で,屈曲と外転筋力はRSA群が有意に良好で,JOA scoreは2群間で有意差を認めなかった.Reverse shoulder arthroplastyの適応にならない一次修復困難な広範囲腱板断裂例に対しては,自力挙上可能であればPartial repair法を検討してもよいと思われた.
  • 水城 安尋, 内村 大輝, 玉井 幹人
    2016 年 40 巻 2 号 p. 576-579
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     我々は大きな腱板断裂に対して大腿筋膜パッチ修復を行ってきた.これまで成績向上と低侵襲に向け術式も改良を加えてきたためその臨床成績を評価した.大腿筋膜パッチ修復を行い,術後1年以上の経過観察が可能であった34例34肩で,平均年齢63.9歳,平均経過観察期間は22カ月.観血的に行った観血法(以下O群)10例,鏡視下法(以下A群)9例,内側を鏡視下に行い外側を直視下に縫合した小皮切併用法(以下H群)15例であった.術前後のJOAスコア,手術時間,再断裂率を調査した.JOAスコアは全体で術前平均57.1点から術後平均89.4点に改善した.各群間で有意差はなかった.手術時間はO群192分,A群214分,H群157分であった.再断裂は17.6%(6肩/34肩)で O群1例,A群4例でH群1例であった.H群は臨床成績も良好で,手術時間が短く有用な方法であった.
  • 新谷 尚子, 吉村 英哉, 初鹿 大祐, 井坪 広樹
    2016 年 40 巻 2 号 p. 580-583
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     近年,肩関節拘縮を合併した腱板断裂の鏡視下腱板修復術において,徒手受動術や鏡視下関節包解離を併用し良好な成績が報告されている.今回,当院で腱板一次修復を行った症例のうち,術前に肩関節拘縮を合併していた35例を対象としその成績を検討した.手術では,拘縮が比較的軽度な25例に徒手受動を行い,拘縮が高度な10例に対して関節包解離を行った.術後1年の時点で挙上120°以下かつJOAスコア80点未満の成績不良例が5例認められた.成績良好群と比較したところ,罹病期間,外傷歴の有無,糖尿病の有無に有意差は認められなかった.成績不良群では,術前の可動域が有意に低く,全例で安静時痛がみられた.鏡視所見では,腱板周囲の発赤や癒着が強く,断端が脆弱であるという点が成績不良群で共通していた.検討の結果,高度の拘縮や安静時痛は腱板断端周囲の炎症の強さを反映しており,このような症例で成績不良となる傾向があると考えられる.
  • 鈴木 志郎, 中川 照彦, 佐藤 哲也, 宮本 崇
    2016 年 40 巻 2 号 p. 584-587
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
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     われわれは,スーチャーブリッジ法による鏡視下腱板断裂修復術を開始した初期に,術後再断裂を少なからず経験し,術後自動運動の開始時期が影響していると考え,自動運動開始時期を遅らせた.本研究の目的は,鏡視下腱板断裂の術後成績に,自動運動の開始時期が与える影響を後ろ向きに検討することである.2010年11月から2012年10月までに手術を施行した101肩を対象とした.前半の48肩は,自動運動を術後平均3.7週で開始し,E群とした.後半の53肩は,自動運動を術後平均7.0週で開始し,D 群とした.術後MRIでの再断裂の有無,JOAスコアを検討した.術後1年時の再断裂率は,E群29.2%,D群11.3%と,有意にD群で低かった.JOAスコアは,術前E群62.8点,D群60.4点から,術後1年時,E群86.6点,D群90.8点と,各群とも有意に改善したが,両群間に有意差はなかった.自動運動を遅らせることで,再断裂率を有意に低下させることができた.至適な自動運動開始時期に関しては,さらなる検討が必要である.
  • 石毛 徳之, 黒田 重史, 村田 亮, 荻野 修平, 石井 壮郎, 三笠 元彦
    2016 年 40 巻 2 号 p. 588-591
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
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     MRIにて断裂径が3cm以上の腱板大広範囲断裂に対しArthroscopic Transosseous Suture(ATOS)を施行した78肩(男性36肩,女性42肩,右55肩,左23肩,平均経過観察期間19.8ヶ月)を調査した.X線・安定性評価を除く日本整形外科学会肩関節疾患治療成績判定基準(JOA score)は術前平均48.3点から術後平均68.9点に有意に改善した.Sugaya分類TypeⅣⅤを再断裂とすると,再断裂率は16.7%だった.一方Oizumi分類により術前後の骨頭上方化を評価すると,術前腱板断裂径が大きいものは術前骨頭上方化が著しく,術後腱板修復状態の悪いものは術後骨頭上方化が著しい傾向であった.また術前後骨頭上方化推移は改善12肩,不変53肩,悪化13肩であり,腱板修復状態との関連性はなかった.結果として,ATOSにより腱板大広範囲断裂の臨床成績は向上したが骨頭上方化は必ずしも改善できなかった.
  • 夏 恒治, 望月 由
    2016 年 40 巻 2 号 p. 592-595
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     棘上筋筋内腱の走行と機能的予後の関係を調査した.MRI撮影した腱板断裂症例230肩で年齢,性別,左右,断裂サイズ,立位単純X線で肩峰骨頭間距離の短縮があるか,MRI斜位冠状断で腱板断端が骨頭頂部を越えて退縮しているか,水平断と斜位矢状断で上腕二頭筋長頭腱の走行異常がないか,斜位矢状断で棘上筋筋内腱の走行が前後どちらに向かうかを調査した.3カ月以内に肩関節90度以上挙上可能かどうかを目的変数として多変量解析を行った.その結果,肩峰骨頭間距離の短縮と断端の退縮と棘上筋筋内腱の走行で予後予測が可能で,自動挙上可能であることを陽性所見とした場合の陽性的中率58.9%,陰性的中率78.8%であった.それぞれの項目の組み合わせにより自動挙上の可否には差があり,適切に組み合わせることによって予測率を上げることができると考えられた.本研究は早期腱板断裂症例の短期予後予測として有用であるといえた.
  • 南 昌孝, 森原 徹, 古川 龍平, 大西 興洋, 加太 佑吉, 祐成 毅, 木田 圭重, 藤原 浩芳, 黒川 正夫, 久保 俊一
    2016 年 40 巻 2 号 p. 596-599
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     われわれは,大・広範囲腱板断裂に対してDebeyre-Patte変法を行っている.本研究ではDebeyre-Patte変法術後の修復棘上筋の質的および量的変化を検討した.術後1年以上経過し,再断裂を認めなかった11例11肩を対象とした.術直後および術後1年以上経過後にMRIを撮像し,修復棘上筋の脂肪浸潤,筋量について評価した.また,術前後で筋力を測定した.脂肪浸潤はGoutallier分類で,筋量はOccupation ratioで評価した. Goutallier分類は11例中4例で改善し,有意な改善を認めた(p<0.05).Occupation ratioは0.59から0.60とやや増加したが有意差はなかった(p=0.86).筋力は屈曲,外転,内外旋すべてで有意に改善した.肩関節の筋力は,修復腱板筋のみでなく,骨頭の求心性の改善や、三角筋など腱板以外の筋量にも関連する可能性があると考えた.
  • 古川 龍平, 森原 徹, 木田 圭重, 祐成 毅, 藤原 浩芳, 黒川 正夫, 久保 俊一
    2016 年 40 巻 2 号 p. 600-603
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
    目的:Debeyre-Patte変法の再断裂症例の患者因子,術前画像評価について検討した.
    方法:対象はDebeyre-Patte変法を施行した34例で,男性22例,女性12例,手術時年齢は64.8歳であった.術前画像検査で肩峰骨頭間距離,上腕骨頭の上方化,上腕骨頭のFemoralization,腱板の引き込み,筋委縮,脂肪浸潤について評価した.関節鏡所見で腱板断裂の評価,上腕二頭筋長頭腱病変の合併について評価した.
    結果:再断裂は8例(23.5%)であった.術後JOA scoreは再断裂群で有意に低かった.術前画像評価について肩峰骨頭間距離,上腕骨頭の上方化,global fatty degeneration index(以下GFDI),肩甲下筋腱の脂肪浸潤において修復群と再断裂群の間で有意差を認めた.
    考察:本研究では肩峰骨頭間距離,上腕骨頭の上方化,GFDI,肩甲下筋腱の脂肪浸潤が予後不良因子と考えられた.
    結論:Debeyre-patte変法は,肩甲下筋腱が比較的保たれている後上方の広範囲腱板断裂に対して良い適応と考えた.
  • 中溝 寛之
    2016 年 40 巻 2 号 p. 604-606
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     腱板層間剥離(delamination)に対して重層固定法(DD法)とsuture bridging法(SB法)を施行し,臨床成績を比較検討した.対象は2008年1月から2014年3月までに手術を施行し術後12ヵ月以上経過観察できた177肩である.内訳は,DD群は110肩(男58肩,女52肩),手術時平均年齢64.9歳,平均観察期間27.3ヵ月であり,SB群は67肩(男42肩,女25肩),手術時平均年齢64.6歳,平均観察期間19.0ヵ月である.検討項目は肩関節自動可動域,JOAスコア,術後12ヵ月時MRIによる腱板修復状態と肩峰下面骨浸食の有無である. JOAスコアはDD群で術前64.5点から術後91.8点に改善し,SB群で術前61.8点から術後89.6点に改善した.術後12ヵ月時MRIでの再断裂はDD群15肩(13.6%),SB群7肩(10.4%)であり差は認めなかったが,肩峰下面の骨浸食はDD群で24肩(21.8%),SB群で2肩(3.1%)と差を認めた.腱板delaminationに対するDD法とSB法の臨床成績はほぼ同等であるが,肩峰下面の骨浸食においてはSB法が明らかに有利であった.
  • 尼子 雅敏, 有野 浩司, 大野 晋太郎, 平原 康文, 高島 健一, 根本 孝一
    2016 年 40 巻 2 号 p. 607-610
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     夜間痛を有する腱板損傷の臨床像の特徴と術後経過を明らかにする目的で以下の検討を行った.腱板断裂の診断で手術を行った50例51肩を対象とし,夜間痛が続くために手術を行った28肩(A群)と,夜間痛以外の理由で手術を行った23肩(B群)の2群に分けて比較検討した.臨床像の評価は,年齢,性別,利き手側,術中の断裂サイズ,拘縮の有無について検討した.術後経過はJOA スコア,DASH,等運動性内外旋筋力(60°/sec)の健患比を術後3,6,9,12,18,24か月に比較した.平均断裂サイズはA群が有意に小さかった(p<0.0001)が,年齢,性別,利き手側,拘縮の有無は有意差がなかった.術後のJOAスコア(疼痛点数)は,A群が有意に低い点数であった(p<0.0001).DASHはA群が高値で推移し,治療に対する満足度は低かった.術後に疼痛が遷延することより,これまで以上に疼痛対策が必要であると思われた.
  • 石谷 栄一
    2016 年 40 巻 2 号 p. 611-614
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     胸椎の矢状面アライメント並びにその可動性と外傷性・非外傷性腱板断裂の関連性を調査検討した.対象は入院患者128例で胸椎後弯角はスパイナルマウスを用いて,自然坐位,坐位屈曲,坐位伸展で計測した.また胸椎運動前後の運動効果も算出した.腱板断裂の有無は超音波検査を用いた.外傷群23例,非外傷群45例,正常群60例に分け各項目を3群間で多重比較検定をした.胸椎後弯角度は非外傷群が正常群に対して坐位と伸展で有意に大きく,可動域と運動効果が有意に小さかった.非外傷群は胸椎後弯が増大し,胸椎伸展可動域が低下し,胸椎運動の即時効果が得られなかった.胸椎後弯の増大と伸展可動域並びに運動効果の低下が非外傷群の断裂要因であることが示唆された.一方,外傷群と胸椎アライメント要因の有意な関係は認められなかった.
  • 佐野 友彦, 福田 亜紀, 森田 哲正, 辻井 雅也, 須藤 啓広
    2016 年 40 巻 2 号 p. 615-619
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     一次修復不可能な広範囲腱板断裂に対して上方関節包再建術を施行した症例の治療成績について報告する.対象は1年以上の経過観察が可能であった13例13肩(男性9人,女性4人,59歳~79歳,平均年齢69.2歳)とした.最終観察時の日本整形外科学会肩関節治療判定基準(JOAスコア),屈曲,外転,下垂位外旋の自動関節可動域と徒手筋力テスト(MMT),肩峰骨頭間距離(AHI)は術前に比較して有意に改善した.移植筋膜の再断裂は1例(7.7%)に認めた.6例に大結節部のerosionを認めたが,その有無でJOAスコアに有意差はなかった.再断裂を来した症例の術後成績は不良であった.上方関節包再建術は,移植筋膜が再断裂を来さなければ良好な予後が期待でき,一次修復不可能な広範囲腱板断裂に対する有用な治療方法の一つと考えられた.
  • 堀江 亮佑, 中溝 寛之
    2016 年 40 巻 2 号 p. 620-622
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     鏡視下腱板修復術後のCRPS様症状は重要な合併症の一つとして認識されている.それらに対して術前後の因子について調査した.2010年1月から2014年3月までに鏡視下腱板修復術を施行された患者318肩を対象とした.CRPS様症状の基準は手指の関節拘縮,発汗の低下または亢進,腫脹,知覚異常のうち2項目以上を満たしたものとした.対象をCRPS様症状発症群と未発症群に分類し,その発症に関与する因子について検討した.術後CRPS様症状を呈したものは31肩(9.7%)であった.術前可動域は発症群と未発症群でそれぞれ屈曲131°と148°,外転106°と121°,内旋L2とL1であり発症群で制限されていた.JOAスコアは発症群で58.6点から87.9点,未発症群で64.4点から90.7点に改善したがいずれも発症群のほうが低かった.本研究では術前に可動域制限の強いものは要注意であると考えられた.
  • 太田 悟, 駒井 理
    2016 年 40 巻 2 号 p. 623-626
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     肩腱板関節面不全断裂に対し行った,経腱板的suture bridge法(B法)40例について,suture bridge法を付加していない(A法)15例と比較検討した.最終調査時におけるJOAスコアはA法平均95.0点(88点-100点),B法平均94.5点(87点-100点)と両群とも良好で,2群間で有意差は認めなかった.MRIによる腱板修復状態は,両群とも再断裂は認めなかった.術後2日及び1週のNRS(0-10)は,B法がA法に比較し低く,有意差(p<0.01)を認めた.suture bridge法を付加した群が,術後早期の疼痛の軽減が見られた.
  • 寺谷 威
    2016 年 40 巻 2 号 p. 627-630
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     当院にて,腱板損傷に対し鏡視下腱板修復術(ARCR)を施行した症例のうち,術後1年以上経過観察可能であった155肩を,肩甲下筋腱断裂合併群(SSC群)と肩甲下筋腱断裂を合併しない群(non SSC群)に分類し,患者背景,理学所見,画像所見,術中所見,術後成績を調査した.これらを2群間で比較,および各群の術前後で比較検討した.SSC群で重労働者が多く,明らかな外傷の既往がある症例が多かった.術後再断裂はSSC群で有意に高かったが,断裂サイズの影響が考えられた.術中所見ではSSC群で上腕二頭筋長頭腱損傷を有意に多く認めた.SSC群のJOAスコアと前方挙上の改善には術後6か月以上を要した.
神経疾患
  • 林 洸太, 原 由紀則, 星川 慎弥, 田尻 康人
    2016 年 40 巻 2 号 p. 631-634
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     肩関節脱臼により障害される神経として腋窩神経以外の神経麻痺を合併することも稀ではない.今回,低エネルギーでの肩関節脱臼に伴う神経麻痺22例を対象として,麻痺発生頻度と各損傷神経の回復過程を検討した.損傷神経の発生頻度は肩甲上41%,腋窩73%,筋皮41%,橈骨59%,正中73%,尺骨64%であった.麻痺回復期間は,各神経の代表的支配筋間で有意差はなかったが,近位筋(三角筋;腋窩,上腕二頭筋;筋皮,橈側手根伸筋;橈骨)と遠位筋(小指外転筋;尺骨,示指深指屈筋;正中)と定義して比較すると,近位筋が3.6±1.8ヶ月,遠位筋が10.3±8.9ヶ月で,後者の回復が前者より有意に遅れていた.回復期間に影響を及ぼす可能性のある因子の比較において,軸索変性の有無を比較すると,遠位筋麻痺では軸索変性があると有意に回復が遅かった.遠位筋麻痺症例では軸索変性の有無の鑑別により回復時期の判断が可能であり電気生理学的検査を行うことが望ましい.
変性疾患
  • 西頭 知宏, 笹沼 秀幸, 飯島 裕生, 金谷 裕司, 福島 崇, 齊藤 寿大, 竹下 克志
    2016 年 40 巻 2 号 p. 635-638
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     研究の目的は重度凍結肩に対する第5.6頸椎神経根ブロック下肩関節授動術の術後6カ月の臨床成績を評価することである.
     対象は15人15肩,平均年齢57.9歳.疼痛(NRS),可動域,ASES scoreの変化を術前,術後1・24週に評価した.
     麻酔に伴い1例にHorner症候群を認めた.疼痛・可動域の推移は術前,術後1・24週の順に,運動時痛5.7,2.7,1.2,安静時痛1.5,0.7,0.1,夜間痛3.0,1.1,0.3,前方屈曲83,136,148.3,下垂外旋-1.3,30.3,43.0,内旋は仙骨,L2,Th11,ASES 35.4,68.6,87.5であり,運動時痛・可動域・ASESは術後1週で有意に改善し24週まで持続した.
     重度凍結肩に対する第5.6頸椎神経根ブロック下肩関節授動術の短期成績は良好であった.
  • 岩堀 裕介, 花村 浩克, 梶田 幸宏, 村松 由崇, 筒井 求, 伊藤 岳史, 伊藤 隆安, 斎藤 豊, 出家 正隆
    2016 年 40 巻 2 号 p. 639-643
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     麻酔下徒手関節授動術・鏡視下関節授動術併用法を行った難治性凍結肩45例49肩の臨床的特徴と治療成績を後ろ向きに調査したので報告する.手術時年齢は平均53.8歳,罹病期間は平均8.6ヶ月,当科での保存療法期間は平均4.2ヶ月,男性19例・女性26例,術後経過観察期間は平均16.2ヶ月であった.可動域制限の方向にバリエーションがあり,それぞれの拘縮部位に違いがあった.手術は肩甲上腕関節の全周性関節包解離術と肩峰下腔解離術を実施した.後方ポータル挿入困難が5肩あり前方ポータルを先行し,後下方ポータル追加例は17例あった.合併症は術後リハビリテーション中に四辺形間隙症候群を2例に生じたが保存療法で治癒した.肩関節可動域は屈曲が術前95°から術後162°,下垂位外旋が9°から55°,内旋がL5からT10へ有意に改善した.平均JOA scoreは術前48.8点から術後93.2点に有意に改善した.鏡視下肩関節授動術は短期間に確実に可動域の回復と除痛が得られる有用な方法であった.
  • 福島 崇, 笹沼 秀幸, 飯島 祐生, 金谷 裕司, 西頭 知宏, 竹下 克志
    2016 年 40 巻 2 号 p. 644-647
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     我々は重度凍結肩に対する頚椎神経根ブロック下授動術後に上腕骨頭に骨挫傷が生じることを報告した.上腕骨頭骨挫傷の合併が短期的な治療成績に影響を与えているかを検討した.骨挫傷群(9肩)と非骨挫傷群(6肩)に分けて術後6ヵ月時点でのMRI画像の変化,臨床成績としてROM(前方挙上,下垂位外旋,結帯),動作時NRSスコア,ASESスコアを比較した.術後6ヵ月での骨挫傷群のROM前方挙上146.1度,下垂位外旋45.0度,結帯T1,動作時NRSスコア1.2,ASESスコア88.0であった.非骨挫傷では前方挙上151.7度,下垂位外旋40.0度,結帯T12,動作時NRSスコア1.2,ASESスコア86.7であった.骨挫傷群(9肩)と非骨挫傷群(6肩)の臨床成績に有意差は無かった.骨挫傷9肩のうち8肩で骨挫傷は消失し,術後6ヵ月の時点で骨挫傷はほとんど改善し,臨床成績に影響していなかった.
炎症疾患
腫瘍
  • 津田 悦史, 尼子 雅敏, 伊藤 雄也
    2016 年 40 巻 2 号 p. 652-656
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     肩甲骨棘窩切痕に好発するparalabral cystは肩甲上神経を圧迫して外旋筋力低下を起こすことがある.paralabral cyst 10例10肩に対し鏡視下嚢胞吸引+関節唇修復術を行い,術後成績と内外旋筋力の変化について検討した.JOA score及びDASH scoreを術前後で比較し,内外旋筋力はBiodex System 3TMを用いて角速度60°/s,180°/sにおける最大トルクの健患比(PTR)で検討した.JOA score及びDASH scoreは術後有意に改善した(p<0.05).筋力は60°/sで術前の外旋筋力に10%程度の低下を認め,術後3カ月で両群とも一旦低下し,内旋は術後9カ月でPTR1.0以上まで回復したが,外旋は術後1年でPTR0.8~0.9程度の回復に留まった.本疾患に対する鏡視下手術の術後成績は良好であったが,外旋筋力の回復は内旋に比べて遅れていた.
  • 森 武男, 森岡 健, 小川 清久, 池上 博泰
    2016 年 40 巻 2 号 p. 657-660
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     ささいな外傷を契機に肩甲骨関節窩骨折を生じた骨内ガングリオンの1例を報告する.症例は37才男性,川へ飛び込んで左肩関節の外転を強制されて左肩関節痛が発現した.画像所見から肩甲骨関節窩の多房性嚢胞性変化と前下方1/3に及ぶ骨折を認めた.直視下に嚢胞部を掻爬後,自家骨移植し,骨片をスクリュー固定した.術中・病理所見から嚢胞性変化を骨内ガングリオンと診断した.術後2年でガングリオンの再発はなく経過良好である.
  • 上野 栄和, 廣瀬 聰明, 井本 憲志, 関根 将利, 藤部 正人, 岡村 健司
    2016 年 40 巻 2 号 p. 661-664
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     棘上筋断裂を引き起こした鎖骨遠位端部骨軟骨腫の1例を経験したので報告する.
     症例は73歳,女性.主訴は右肩痛と可動域制限であった.X線で鎖骨遠位端下面に骨性隆起を認め,MRIでは骨性隆起により棘上筋の信号が途絶していた.関節鏡下に鎖骨遠位端の骨性隆起を切除,棘上筋の欠損部は側々縫合で修復した.病理診断は骨軟骨腫であった.
     腫瘤によるインピンジメントが疼痛の原因と考えられ,症状を有する症例では切除が望ましい.
その他
  • 原田 幹生, 村 成幸, 丸山 真博, 宇野 智洋, 佐竹 寛史, 結城 一声, 高木 理彰, 高原 政利
    2016 年 40 巻 2 号 p. 665-670
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     本研究の目的は,成長期野球選手における肩肘痛や投球パフォーマンスと肩柔軟性の関係について検討することである.小中学野球選手344名を対象とした.肩肘痛(なし0~40点最悪)と投球パフォーマンス(投球スコア:最悪0~100%最高)を調べた.肩痛は平均6.8点,肘痛は平均8.1点,投球スコアは平均78.2%であった.肩柔軟性で左右差ありは,複合外転テスト(CAT):46%,水平屈曲テスト(HFT):48%であった.内旋2nd(左右差)は平均 -7度,内旋3rd(左右差)は平均 -2度であった.CATとHFTは肩痛と有意な関連があり,内旋2ndは肘痛と関連傾向があり,CATと内旋2ndは投球スコアと有意な関連があった.最も肩痛を検出したのはCATとHFTであり,最も肘痛を検出したのは内旋2ndであり,最も投球パフォーマンスと関連したのはCATと内旋2ndであった.
  • 鈴木 昌, 西中 直也, 上原 大志, 筒井 廣明
    2016 年 40 巻 2 号 p. 671-674
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル 認証あり
     無症状の中学野球選手を対象に,投球動作に特異的な肢位を含む様々な肢位で,肩関節の等尺性筋力を測定した.投球側-非投球側間の筋力比較と,同側での肢位ごとの筋力比較を行い,その結果を検討した.下垂位の内旋筋力,90°外転外旋位の内旋・外旋筋力が投球側で有意に大きかった.ゼロポジションでの外旋筋力は投球側-非投球側間で有意差を認めなかった.投球側の内旋筋力は下垂位と比し90°外転外旋位で有意に大きかった.外旋筋力は,両側とも下垂位と比し90°外転外旋位とゼロポジションが有意に小さかったが,90°外転外旋位-ゼロポジション間は有意差を認めなかった.90°外転外旋位やゼロポジションで外旋筋力が発揮されにくいことから,この年代では肩甲胸郭関節筋群由来の外旋筋力低下が考えられ,投球障害発生との関連性が示唆された.
  • 大井 雄紀, 高木 陽平, 土山 耕南, 乾 浩明, 信原 克哉, 吉矢 晋一
    2016 年 40 巻 2 号 p. 675-677
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
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     Stride Foot Contact(SFC)における骨盤回旋,体幹と股関節の姿勢に注目し,年代別に運動学的検討をすることを目的とした.対象は野球投手287名:小学生(小)42名,中学生(中)94名,高校生(高)105名,コントロール群(コ)46名(19歳以上かつ球速120km/h以上)とした.対象者の投球動作をモーションキャプチャ・システムによりデジタル化した.大腿,腰部,体幹部に座標系を設定し,それぞれの座標系の回転をオイラー角で表した.全ての年代において,SFCの骨盤左回旋角度と相関関係がみられた変数は,それぞれ体幹左側屈角度(r = 0.5以上),右股関節内転角度(r = 0.49以上),右股関節伸展角度(r = 0.78以上),左股関節内転角度(r = 0.46以上),左股関節屈曲角度(r = 0.43以上)であった.骨盤が早期回旋しないよう体幹側屈,股関節屈曲伸展,内転に注目しながら投球指導を行う必要があると言える.
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