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大内 賢太郎, 木島 泰明, 齊藤 英知, 嘉川 貴之, 杉村 祐介, 島田 洋一
2017 年 41 巻 2 号 p.
560-563
発行日: 2017年
公開日: 2017/09/20
ジャーナル
認証あり
肩関節内旋可動域減少(以下,GIRD)は野球選手に生じることが知られているが,その身体的特徴やリスク因子,および野球以外のスポーツに関する報告は少ない.今回我々はGIRDを生じるリスク因子について調査した.メディカルチェックを受けた中学生アスリートの内,オーバーヘッドスロースポーツ(OTS:テニス,ハンドボール,バドミントン,ソフトボール)群73名および非OTS群57名を対象とした.肩内旋可動域の左右差が15°以上ある者をGIRD陽性とし,陽性群と陰性群で背景因子(年齢,競技歴,身長の伸び),所属スポーツ群,全身弛緩性および下半身柔軟性について比較した.GIRD陽性者はOTS群で26%,非OTS群で5%であり,有意にOTS群で多かった(p=0.002).GIRD陽性群と陰性群で身体的特徴や背景因子に明らかな違いは認めず,オーバーヘッドスロースポーツ所属のみがGIRDに対するリスク因子であった.
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原田 幹生, 村 成幸, 丸山 真博, 大石 隆太, 宇野 智洋, 佐竹 寛史, 結城 一声, 鶴田 大作, 高木 理彰, 高原 政利
2017 年 41 巻 2 号 p.
564-568
発行日: 2017年
公開日: 2017/09/20
ジャーナル
認証あり
Lateral Scapular Slide Test(以下LSST)は,肩甲骨の位置を評価し,肩甲骨下角とその高さの脊柱との距離で示される.本研究の目的は,成長期の野球選手において,LSSTと関連する因子について検討することである.野球選手382名を対象とした(小学:185名,中学:133名,高校:64名).小中高の順序で,肩痛あり(26,29,44%),投球パフォーマンススコア(最悪0-100%最高)(80,79,70%)であった.LSSTは,小中高の順序で,投球側(7.8,8.5,9.5 cm),非投球側(7.8,8.4,9.3 cm),左右差(投球側と非投球側の差)(0.0,0.1,0.2 cm)であり,左右差が1 cm以上ある選手は(10,16,25%)であった.僧帽筋下部の筋力低下は,小中高の順序で,(23,58,45%)であった.LSST(左右差)は,中学生では関連する因子はなかったが,小学生では,投手,肩痛あり,および低い投球パフォーマンスと関連し,高校生では,投手と関連していた.LSST(左右差)は,小中高いずれにおいても,僧帽筋下部筋力と関連はなかった.
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櫻井 真, 柴田 陽三, 伊崎 輝昌, 藤沢 基之, 篠田 毅, 熊野 貴史, 黒田 大輔, 三宅 智
2017 年 41 巻 2 号 p.
569-573
発行日: 2017年
公開日: 2017/09/20
ジャーナル
認証あり
糖尿病が肩関節拘縮に対する鏡視下肩関節包解離術の術後成績に影響するかの検証を行った.対象は肩関節拘縮に対して鏡視下全周性肩関節包解離術を施行し術後1年以上経過した107肩,平均年齢57.7歳,平均経過観察期間24.8ヵ月.DM-群は81肩,DM +群は26肩.両群で術前,術後3ヵ月,術後6ヵ月,最終観察時の可動域・JOA score を検討した.DM-群の外旋は術後3ヵ月まで,外転・内旋は最終観察時まで有意に高値を示した.DM +群の外転・外旋・内旋のいずれも術前に比し術後3ヵ月で有意に高値を示したが,以後の各評価時期の間では有意差を認めなかった.内旋は術直後以降のすべての観察時で有意差を認めなかった.DM +群はDM-群より外転・外旋・内旋のいずれも術後3ヵ月以降の可動域の回復が劣り,それが最終成績のわずかな低下につながっていた.
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石谷 栄一
2017 年 41 巻 2 号 p.
574-577
発行日: 2017年
公開日: 2017/09/20
ジャーナル
認証あり
【目的】リバース型人工肩関節置換術(RSA)の術後挙上に術前三角筋の横断面積と脂肪浸潤が与える影響を調査,検討した.
【対象および方法】当院で施行したRSA症例で術後1年の経過観察をした6例(男性4例,女性2例,平均年齢78.7歳)に対して,術前MRI T2強調像による三角筋の横断面積並びに脂肪浸潤を評価した.MRI計測は横断像にて上腕骨頭が最大になるスライスを選択し,Goutallier分類に準じて三角筋脂肪浸潤指数を算出した.また三角筋横断面積を骨頭面積で除した値を三角筋面積指数とした.
【結果】三角筋面積指数1以下或いは脂肪浸潤指数1以上の症例は術後屈曲100度以下であった.三角筋面積指数と術後屈曲角度は正の相関(係数0.8676)を示し,三角筋脂肪浸潤指数と術後屈曲角度は負の相関(係数-0.9432)を示した.
【結論】今回の結果から,術前の三角筋のサイズと脂肪浸潤がRSA後挙上に大きく関わることが示唆された.
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丸山 剛, 橋口 宏, 岩下 哲, 大久保 敦, 米田 稔, 高井 信朗
2017 年 41 巻 2 号 p.
578-580
発行日: 2017年
公開日: 2017/09/20
ジャーナル
認証あり
腱板断裂性関節症に対してリバース型人工肩関節(RSA)を施行した患者の肩甲下筋腱の修復状態について超音波を用いて評価した.症例は10例10肩,男性は5肩,女性は5肩,手術時年齢は平均77.3歳であった.術前に肩甲下筋腱断裂を認めなかった6例は肩甲下筋腱を小結節付着部より切離し,置換した後に小結節を越えて大結節前上方または結節間溝部まで引き出し縫着した.肩甲下筋腱が断裂していた4例は小結節付着部に縫着した.術後経過観察期間は平均18.1ヵ月である.平均JOAscoreは術前51.8点が術後81.4点と全例で良好な改善が得られ,術後平均内旋は第2.5腰椎レベルであった.超音波による肩甲下筋腱の評価は,9例で良好な修復と滑動性が認められ,術前に肩甲下筋腱が断裂していた1例で菲薄化が認められた.RSAにおいて,肩甲下筋腱の修復を行うことが脱臼予防の一因となったと考えられた.
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平川 義弘, 間中 智哉, 伊藤 陽一, 池淵 充彦, 中島 重義, 市川 耕一, 松田 淑伸, 清水 勇人, 中村 博亮
2017 年 41 巻 2 号 p.
581-585
発行日: 2017年
公開日: 2017/09/20
ジャーナル
認証あり
肩関節運動は,肩甲胸郭リズムと肩甲上腕リズムの密接な関連性により構成されており,両リズムに肩甲骨運動は重要な役割を担っている.正常肩における肩甲骨の動態解析に関する報告は散見されるが,リバース型人工肩関節置換術(以下,RSA)術後の肩甲骨の動態解析に関する情報は渉猟し得ない.今回我々は,THAナビゲーションに用いられている2D-3Dマッチング法を応用し新たに開発された肩関節動態解析ソフト(以下,GANESHA)を利用して,経時的なRSA術後の動態解析を行ったので報告する.対象は当科においてRSAを施行し,術後12カ月以上の経過観察が可能であった5例5肩(女性2例,男性3例)手術時平均年齢75.2歳(70~79歳)であった.術後3カ月,術後6カ月,術後12カ月に肩甲骨面上で,自動挙上0°,30°,60°,90°にて透視下にX線撮影を行った.術前のCT画像より得られた肩甲骨の三次元画像を利用しGANESHAを利用してセミオートマティックに肩甲骨の上方回旋角,外旋角,後方傾斜角の変化量の測定を行った.術後3カ月時,術後6カ月時,術後12カ月の自動挙上30°,60°,90°における肩甲骨3次元動態解析において,上方回旋角,外旋角,後方傾斜角に有意な差はみられなかった.RSA術後の経時的な肩関節挙上運動時の肩甲骨の動態解析により,術後肩甲骨の位置は術後3カ月以降に有意な変化はみられないと考えられた.
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山﨑 博範, 藤田 耕司
2017 年 41 巻 2 号 p.
586-588
発行日: 2017年
公開日: 2017/09/20
ジャーナル
認証あり
当院におけるリバース型人工肩関節全置換術の短期成績を報告する.対象は当院にて手術を施行し12か月以上経過観察可能であった11肩である.手術時平均年齢は76歳(71~79歳)で男性7例,女性4例であった.対象疾患は腱板断裂性関節症9肩,腱板広範囲断裂2肩である.検討項目は術前後のJOAscore,自動前方挙上,外転,外旋,結帯,術中術後合併症の有無とした.JOA scoreは術前平均46.5点が術後平均81.3点,自動前方挙上が術前37.7°から術後140.9°,外転が36.7°から131.0°へ,外旋が17.5°から34.5°と有意に改善した.内旋結帯動作は術前L4レベルが術後L3レベルとやや改善したが,有意差は認めなかった.術後合併症は肩峰骨折を1例認めたが,特に固定は行わず筋力負荷訓練を中止とし,経過観察のみで骨癒合を認めた.当院におけるリバース型人工肩関節置換術の短期成績は概ね良好と考えられた.自動前方挙上,外転は著明に改善したが,外旋は術後平均がやや改善し,結帯は変化がみられなかった.今後も長期的な経過観察が重要と考えられる.
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鈴木 昌, 上原 大志, 大澤 一誉, 筒井 廣明, 尾崎 尚代, 西中 直也
2017 年 41 巻 2 号 p.
589-593
発行日: 2017年
公開日: 2017/09/20
ジャーナル
認証あり
リバース型人工肩関節全置換術(reverse total shoulder arthroplasty:以下RTSA)後のscapular notching発生要因について,Scapula-45撮影像の所見から検討した.当院でRTSAを施行し,術後1年以上の経過観察(平均17.9ヵ月)が可能であった17例17肩(年齢76.6歳,男性4名,女性13名,70-88歳)を対象とした.Scapular notching発生群と非発生群において,Scapula-45撮影像より算出した下垂位から45°外転位までの肩甲骨上方回旋角度を比較した.また術前後のJOAスコア・可動域・筋力も検討した.Scapular notchingは2例(11.8%)に生じ,臨床成績も不良であった.肩甲骨上方回旋角度は,非発生群で術後有意に低下したが,発生群は術後2ヵ月の値が大きかった.発生群では肩甲骨挙上に伴う過度の上方回旋が改善せず,上腕骨がより内転位となる恐れがあり,不良な肩甲上腕リズムもscapular notchingの発生要因になり得ると考えられた.
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笠間 啓樹, 内山 善康, 新福 栄治, 濱田 一壽, 渡辺 雅彦
2017 年 41 巻 2 号 p.
594-597
発行日: 2017年
公開日: 2017/09/20
ジャーナル
認証あり
腱板断裂性関節症(CTA)のうち濱田X線分類grade 4B(H4B)は肩峰下面臼蓋化と肩甲上腕関節症を伴う変形で,関節安定性は高く可動域制限が少ない場合が多い.今回我々が経験したH4B 2例は右肩関節痛を主訴とし,可動域は比較的保たれた腱板縫合不能症例であった.これらはリバース型人工肩関節の絶対的適応ではないため,CTA型人工骨頭置換術を施行した結果,除痛と可動域が得られ,短期ではあるが良好な成績であった.
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伊藤 岳史, 岩堀 裕介, 筒井 求, 梶田 幸宏, 花村 浩克
2017 年 41 巻 2 号 p.
598-601
発行日: 2017年
公開日: 2017/09/20
ジャーナル
認証あり
16歳女性,ハンドボール選手.ハンドボール中に右肩水平外転肢位を強制され,右肩関節が亜脱臼した.その後,右肩脱臼不安感が持続するため当科受診した.外傷性肩関節前方不安定症と診断し,Bankart損傷とSLAP損傷および関節上腕靭帯上腕骨側剥離(HAGL)損傷の鏡視下修復術を行った.術後に腋窩神経固有支配領域の知覚低下と三角筋麻痺を確認し,針筋電図検査にて三角筋に脱神経電位を認めたため,術後3か月時に腋窩神経剥離術を行った.HAGL修復に用いた縫合糸が腋窩神経を貫通し結紮していた.糸を除去した上で神経剥離術を行った.神経症状は良好に改善し,再手術後6か月でハンドボールに完全復帰した.HAGL損傷の鏡視下修復術の際には腋窩神経損傷の危険性を念頭に置いて慎重に行う必要がある.
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西本 竜史, 五藤 和樹, 小泉 宏太
2017 年 41 巻 2 号 p.
602-604
発行日: 2017年
公開日: 2017/09/20
ジャーナル
認証あり
他院での鏡視下Bankart-Bristow変法により筋皮神経がスクリューに挟み込まれていた症例を経験した.21歳の男性で主訴は上腕脱力感であった.前腕外側に知覚鈍麻があり,肘屈曲筋力は低下していたが屈曲は可能であった.共同腱への筋皮神経入口部が近位にある個体もあり,鏡視下Bankart-Bristow変法は有用な術式ではあるが,筋皮神経損傷には注意が必要である.
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徳永 伸太郎, 山本 敦史, 一ノ瀬 剛, 佐々木 毅志, 濱野 哲敬, 設楽 仁, 下山 大輔, 小林 勉, 大沢 敏久, 高岸 憲二
2017 年 41 巻 2 号 p.
605-608
発行日: 2017年
公開日: 2017/09/20
ジャーナル
認証あり
三角筋の機能不全を生じうる肩峰の病変を伴った例へのリバース型人工肩関節置換術(RSA)の適応基準は明確ではない.今回我々は上記病態に対しRSAを行った2例を経験した.肩峰の分節化を伴った症例とos acromialeを伴った例であり,両症例とも肩峰に手術操作は加えず,それぞれ術後1年半時と1年時の経過で肩の自動挙上が可能となり臨床スコアも改善した.過去の報告と同様に肩峰病変はRSAの術後成績に影響しなかった.
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高木 陽平, 大井 雄紀, 土山 耕南, 藤岡 宏幸, 吉矢 晋一
2017 年 41 巻 2 号 p.
609-612
発行日: 2017年
公開日: 2017/09/20
ジャーナル
認証あり
外傷性肩関節脱臼などにより生じた腱板広範囲断裂では,手術後も肩関節不安定症を呈することがあり治療に難渋する.今回,腱板広範囲断裂を伴う高齢者反復性肩関節脱臼に対しリバース型人工肩関節置換術を施行した2例を経験したので報告する.術後は再脱臼,不安定感を生じることなく経過良好であった.腱板広範囲断裂を伴う反復性肩関節脱臼の治療では,リバース型人工肩関節が選択肢の1つになると考えられる.
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石田 康行, 長澤 誠, 谷口 昇, 大田 智美, 中村 志保子, 帖佐 悦男
2017 年 41 巻 2 号 p.
613-615
発行日: 2017年
公開日: 2017/09/20
ジャーナル
認証あり
アテトーゼ型脳性麻痺の32歳女性で単回の右肩亜脱臼後に肩痛が持続した.運動療法で改善しなかったため,鏡視下デブリードマンを行った.術後4か月で右肩痛が再発した.不随意運動のため,肩関節不安定性が運動療法で制御できないものと考え,鏡視下バンカート修復術を行った.術後右肩痛は改善した.不随意運動を伴う肩痛は,微小な肩関節不安定性が原因である可能性があることを念頭に置く必要がある.
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泉 政寛, 池邉 智史, 竹内 裕介, 玉井 幹人
2017 年 41 巻 2 号 p.
616-619
発行日: 2017年
公開日: 2017/09/20
ジャーナル
認証あり
第1肋骨疲労骨折を2例経験したので報告する.2症例ともに高校野球の投手であった.投球後より右肩甲部の痛みを認め,単純X線にて第1肋骨疲労骨折の診断となった.1~2ヶ月間の投球禁止で疼痛は改善した.本骨折は,単純X線にて骨折部が不明瞭で,臨床症状においても特徴的な症状にも乏しく,初診時に診断に至らないことが多い.スポーツ選手における肩関節周囲の痛みでは第1肋骨疲労骨折を念頭に置き診断する必要がある.
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名倉 一成, 原田 義文, 乾 淳幸, 美舩 泰, 国分 毅
2017 年 41 巻 2 号 p.
620-622
発行日: 2017年
公開日: 2017/09/20
ジャーナル
認証あり
上腕骨骨幹部骨折に合併した橈骨神経麻痺の症例に超音波検査を行い,手術を行った.38才男性,鉄棒から転落して受傷し,右上腕骨骨幹部骨折と合併する橈骨神経麻痺を認めた.(徒手筋力テスト:手関節背屈;2, 総指伸筋;1)超音波検査にて橈骨神経は骨折部で連続性があり,血腫による圧排を認めた.全身麻酔下に観血的骨接合術を行い,橈骨神経を展開した.超音波検査所見と同様に圧迫を認め,剥離術を行った.術後リハビリを行い,術後3ヶ月から麻痺の回復傾向を認め,術後5ヶ月には徒手筋力テスト:手関節背屈;5, 総指伸筋;4であり,骨癒合も得られた.自検例では麻痺レベルの臨床評価のみでなく,超音波検査による橈骨神経の評価から,血腫による圧排が麻痺の原因と考え,早期血腫除去+神経剥離を骨接合術と同時に施行した方が良いと判断し,良好な神経回復を得ることができた.上腕骨骨幹部骨折に合併した橈骨神経麻痺に超音波検査は神経麻痺の病態評価に有用であると考えた.
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安 宰成, 吉村 英哉, 柳澤 克昭, 新谷 尚子, 望月 智之
2017 年 41 巻 2 号 p.
623-625
発行日: 2017年
公開日: 2017/09/20
ジャーナル
認証あり
外傷性肩関節不安定症の治療において大きな骨欠損があり,高度の不安定性がある症例はしばしば治療に難渋する.我々は重度のパーキンソン病に上記を合併した2症例を経験したので報告する.パーキンソン病の過剰な筋緊張による不均衡な筋バランスや安静保持の困難によりいずれも術後に外傷なく骨頭は前方に転位し,陳旧性脱臼に至った.重度パーキンソン病患者に行う外傷性肩関節不安定症の術式は検討の必要があると考えられる.
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安里 英樹
2017 年 41 巻 2 号 p.
626-628
発行日: 2017年
公開日: 2017/09/20
ジャーナル
認証あり
72歳,男性.8ヵ月前から右肩痛・挙上困難で,自動屈曲/外転/外旋/内旋は90°/60°/35°/L4,棘上筋test陽性でJOAスコア40点,MRIで骨頭内に多数の嚢胞と腱板広範囲断裂を認めた.術後1年6ヵ月140°/120°/50°/L2,棘上筋test 陰性,JOA スコア 84,疼痛なく仕事に復帰した.
棘下筋回転移行術は,棘上筋腱断端部を支点とした棘下筋の回転移行により肩甲上神経に過度の緊張を加えることなく一次修復不可能な腱板広範囲断裂に対し有効であった.
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鈴木 朱美, 鶴田 大作, 村 成幸, 結城 一声, 高木 理彰
2017 年 41 巻 2 号 p.
629-632
発行日: 2017年
公開日: 2017/09/20
ジャーナル
認証あり
【目的】水平骨折を伴う肩甲骨関節窩骨折の3例に対し鏡視下骨接合術を行ったので報告する.
【対象と方法】対象は3例3肩,男性1例,女性2例,受傷時平均年齢は33.3歳で,骨折型はIdeberg 分類typeII,III,Ⅳがそれぞれ1肩ずつであった.手術方法は,後方ポータルから肩甲上腕関節鏡視を行い,骨折部をエレバトリウムなどで整復した後,Neviaser ポータルから螺子を挿入し固定した.
【結果】全例術後3か月で骨癒合が得られた.術後の平均自動可動域は屈曲160度,下垂位外旋75度,内旋第9胸椎であった.
【考察】肩甲骨関節窩骨折に対する手術方法として,近年では鏡視下骨接合の良好な成績が報告されている.本法の利点としては,低侵襲で,関節面の正確な整復位が確認でき,関節内の随伴病変に対する処置が可能なことである.
【結論】肩甲骨関節窩骨折に対する鏡視下骨接合術は,骨癒合,早期の可動域回復に有用である.
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大西 興洋, 古川 龍平, 森原 徹, 南 昌孝, 藤原 浩芳, 久保 俊一
2017 年 41 巻 2 号 p.
633-636
発行日: 2017年
公開日: 2017/09/20
ジャーナル
認証あり
症例は24歳女性,2010年からのステロイド投与歴がある.2013年に左肩関節部痛を自覚した.2015年9月当科初診時に肩関節可動域は屈曲90°,外転90°,外旋60°,内旋L1と制限を認めた.単純X線像とCT像で上腕骨頭の圧壊を認め,上腕骨頭壊死症Cruess分類 stage IVと診断した.X線透視画像検査で上肢挙上時に骨頭圧壊部位上縁のstep-offと関節窩縁のインピンジメントを認めた.肩関節鏡視下にstep-offの切除を行い,インピンジメントの解消を確認した.術後,疼痛と可動域制限は改善し,術後1年で疼痛の再燃はなく,可動域は屈曲170°,外転170°,外旋60°,内旋T8である.進行期の上腕骨頭壊死症患者には,一般的にインプラント手術が選択される.しかし若年例では関節温存可能な術式が望ましい.鏡視下でのstep-offの切除は上腕骨頭壊死症に対する治療の選択肢となり得る.
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黒澤 尭, 国分 毅, 美舩 泰, 乾 淳幸, 高瀬 史明, 植田 安洋, 片岡 武史
2017 年 41 巻 2 号 p.
637-639
発行日: 2017年
公開日: 2017/09/20
ジャーナル
認証あり
Cuff tear arthropathyに合併した肩鎖関節部嚢腫に対して手術加療を行った1例を経験したので報告する.症例は70歳女性で1年前より徐々に増大する右肩の腫瘤を主訴に当科紹介受診した.右肩鎖関節部に40×80mm大で弾性軟の腫瘤を触知した.単純X線像では肩甲上腕関節,肩鎖関節の関節症性変化が高度だった.関節造影では肩鎖関節と腫瘤内の交通を認め,MRIでは肩鎖関節直上に境界明瞭な多房性腫瘤と広範囲腱板断裂を認めた.再発を繰り返すため鏡視下滑膜切除を行った後,腫瘤摘出と鎖骨遠位端切除を施行した.病理診断は炎症性嚢腫であり,術後1年半時点で再発は認めていない.
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副島 悠, 松浦 恒明, 進 訓央, 谷口 秀将, 堀田 忠裕
2017 年 41 巻 2 号 p.
640-644
発行日: 2017年
公開日: 2017/09/20
ジャーナル
認証あり
67歳男性.17歳時の初回脱臼から計4回,複数回の脱臼があった.再脱臼時に画像上腱板広範囲断裂を認めず,後下方の限局的な小円筋腹単独断裂,CTにてHill-Sachs(以下HS)損傷を認めた.直視下後方アプローチにてHS損傷直上に腱板筋腹完全断裂,腱性部残存を確認しremplissage法にて修復行い,術後2年で再脱臼や不安定性なく経過した.非常に稀な小円筋腹単独断裂が大きなHS損傷と相乗して不安定性を助長していたと考えられる.
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