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高瀬 勝己, 田村 圭, 山本 謙吾
2018 年 42 巻 2 号 p.
412-416
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
フリー
肩鎖関節脱臼Rockwood分類typeⅤに対し,2012年8月以前は鏡視下烏口鎖骨靱帯再建術(A法)のみ,以後はA法に直視下三角筋縫着および肩鎖靱帯縫合術を加えてきた(Hybrid型A法).今回術後1年以上経過した症例を検討した.対象は受傷後3週間以内の新鮮例とした.A法を施行したのは26例,男性23例・女性3例,手術時平均年齢36.5歳.このうち,A法のみ施行したのは14例(単独群:男性13例,女性1例)に対し,Hybrid型A法を施行したのは12例(併用群:男性10例,女性2例).検討対象全体の治療成績はUCLA スコア(30点満点)で平均28.9点,X線評価で整復位20例,亜脱臼位4例,脱臼位2例で肩鎖関節の変形性関節症性変化を認めたのは1例であった.単独群および併用群間で比較すると,整復位9例・11例,亜脱臼位3例・1例,脱臼位2例・0例と整復状況の向上が認められた.肩鎖関節の垂直方向における安定性では,直視下手術併用は有用であり今後の検討課題と考えられた.
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山﨑 博範, 藤田 耕司
2018 年 42 巻 2 号 p.
417-419
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
フリー
当院における肩鎖関節脱臼に対する鏡視下烏口鎖骨靭帯再建術の短期成績を報告する.2015年4月以降Rockwood分類Type 3以上の肩鎖関節脱臼に対してDog Bone Buttonとsuture button tapeを用いた鏡視下烏口鎖骨靭帯再建術を施行し,1年以上経過観察可能であった15例について調査した.全例男性,平均年齢は43.3歳であった.Type 3が5例,Type 5が10例で,術後平均経過観察期間は14.7か月であった.最終経過観察時のJOA score,JSS-ACJ scoreと術後X線評価を行った.最終経過観察時のJOA scoreはType 3で平均95.0点,Type 5で平均92.0点,JSS-ACJ scoreはType 3で平均95.6点,Type 5で平均94.6点と良好な成績であった.術後X線評価については,Type 3ではexcellent 2例,good 3例,Type 5ではgood 6例,fair 4例であった.肩鎖関節脱臼に対する鏡視下烏口鎖骨靭帯再建術の短期成績は比較的良好であったが,Type 5では術後に転位を認める症例もあり,今後更なる経過観察が必要である.
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永井 宏和, 中島 亮, 松村 健一, 森 基, 米田 真悟, 槇 純一, 今井 晋二
2018 年 42 巻 2 号 p.
420-424
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
フリー
【目的】我々はRockwood typeⅤ新鮮肩鎖関節脱臼に対し関節鏡視下烏口鎖骨靭帯再建術に加え,関節鏡視下Neviaser変法の併用を行った.今回はその治療成績を報告する.
【方法】対象は2016年6~8月に手術を施行し,術後1年以上経過観察を行った3例で,手術時平均年齢は60.3歳であった.手術は関節鏡視下にDog Bone Buttonを用いて烏口鎖骨靭帯の再建を行い,鎖骨遠位端を切除後,烏口肩峰靭帯を骨片付きで烏口突起側より切離し,鎖骨遠位端にアンカーを用いて固定した.
【結果】術後平均可動域は屈曲163度,外旋60度,指椎間距離T9.7であった.JSS-ACJは94.7点,術後整復位はexcellent2,good0,fair1,poor0であった.
【結論】術後可動域,臨床成績は良好であった.移行した烏口鎖骨靭帯は水平方向の安定性を増し,今後術式の選択肢として期待できる.
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永井 英, 鈴木 一秀
2018 年 42 巻 2 号 p.
425-428
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
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鏡視下Bankart-Bristow法(以下ASBB法)術後骨形態の変化を3DCTにて計測し,移行した烏口突起と関節窩の骨吸収および骨形成について調査することを目的とした.ASBB法術後3ヵ月と1年時にCT撮影が可能であった37肩中,計測可能であった28肩を対象とした.計測法は,術後3ヵ月と術後1年時それぞれの3DCTにて,移行した烏口突起と関節窩面の合計面積を計測し比較検討した.計測は3回行いその平均値を使用した.検定にはt検定を使用し,P<0.01を有意差ありとした.術後3ヵ月から1年にかけて関節窩全体として面積の減少は一例もなく,術後1年時点で有意に関節窩面積の増加が認められた(P=0.008).ASBB法術後,関節窩は骨形成が促進され面積は増加した.ASBB法術後の烏口突起,関節窩は骨形成が促進し,経過とともに正常の関節窩にリモデリングされるように形態変化する可能性が考えられた.
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津田 悦史, 尼子 雅敏
2018 年 42 巻 2 号 p.
429-432
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
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鏡視下Bankart修復術を行った外傷性肩関節不安定症120肩(男117例,女3例)に対しBiodex System 3
TM(BIODEX, New York, USA)を用いて術前後の肩関節位置覚を調査した.健常者40肩(全例男性)を対象群とした.位置覚の測定は,肩90°外転,内外旋中間位を基準に外旋75°を目標に設定し,RAI(reproductive angle inaccuracy:目標との誤差角)を3回測定した.平均RAIは対象群4.9°に対し,外傷性肩関節不安定症では術前6.1°,術後3カ月6.4°と有意に上昇していた(p<0.05).その後,術後6カ月5.3°,術後1年5.0°,最終観察時(平均31.5カ月)で5.1°と対照群とほぼ同程度で推移した.外傷性肩関節不安定症では健常者と比べ位置覚が有意に劣っており,鏡視下Bankart修復術によるAIGHL複合体の再建は位置覚の改善に寄与する.
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竹内 聡志, 後藤 英之, 吉田 雅人, 杉本 勝正, 土屋 篤志, 武長 徹也, 鷹羽 慶之, 大塚 隆信
2018 年 42 巻 2 号 p.
433-437
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
フリー
本研究の目的は,関節鏡視下Bankart修復術における前下方ポータル(AIP)の有用性を検討することである.対象は系統解剖ご遺体12体12肩.烏口突起先端から烏口肩峰靭帯に沿って10mm肩峰側を前上方ポータル(ASP),共同筋腱に沿って20mm遠位側をAIPとし,ASP及びAIPから肩甲骨関節窩の右肩時計表記で5:30の位置に骨孔を作成した.その後,肩甲骨関節窩面に対するドリルの刺入角度(冠状面・水平面)及び骨孔長を計測した.平均冠状面刺入角度はASP群35.1±5.9°,AIP群57.3±10.7°,平均水平面刺入角度はASP群67.8±7.1°,AIP群46.3±5.9°,平均骨孔長はASP群13.0±2.5mm,AIP群16.4±2.0mmであり,3項目全てにおいて各群間に有意差を認めた(p<0.05).ASPから肩甲骨関節窩前下方へ骨孔作成を行う際には,骨孔長が短いことによる対側皮質の穿孔に注意を要する.今回AIPを用いることで有意に長い骨孔を作成することが可能であったため,肩甲骨関節窩前下方へ骨孔作成を行う際に有用なポータルであると考えられた.
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廣瀨 毅人, 中川 滋人
2018 年 42 巻 2 号 p.
438-443
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
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(目的)外傷性前方不安定肩に対する鏡視下Bankart修復術後の関節窩横径変化をCTで評価すること.
(方法)鏡視下Bankart修復術を施行した169例176肩を対象とし,術前骨欠損がないND群:60肩,術前骨欠損があるが骨性Bankart病変がないNbBL群:37肩,骨性Bankart病変があるbBL群:79肩に分類した.3DCTで関節窩面を正面視し,関節窩長軸に垂直な関節窩最大横径を測定して術前後で比較した.
(結果)術後初回CTでの横径減少率はND群9.2 ± 7.1%,NbBL群7.1 ± 6.5%,bBL群6.1 ± 9.3%でいずれも減少傾向を認めた.ND群のうち,術後初回CTを術後6か月以内に撮影していた37肩では減少率10.9 ± 7.2%で,術後6か月以降に撮影していた23肩の6.4 ± 6.0%と有意差を認めた(p=0.01).3群ともアンカー孔拡大と横径減少との間に相関は認めなかった.術後再発と横径減少に正の相関を認めたのはbBL群のみであった.
(結論)外傷性前方不安定肩に対する鏡視下Bankart修復術後に,関節窩横径が減少する傾向を認めた.
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五藤 和樹, 西本 竜史
2018 年 42 巻 2 号 p.
444-447
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
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高齢者の広範囲断裂を伴いかつ整復困難であった肩関節脱臼に対して,一期的にリバース型人工肩関節置換術(以下RSA)を施行した2例を報告する.いずれも恒久的に脱臼しており,整復阻害因子は,1例は骨頭後方に転位した骨片付関節包靭帯,もう1例は関節窩前方で癒着した関節包靭帯を含めた軟部組織であった.術後早期より除痛,安定性,機能回復が得られ,このような症例への一期的なRSAは有用な方法と考える.
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福元 大地, 寺谷 威
2018 年 42 巻 2 号 p.
462-465
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
フリー
鏡視下腱板修復術(ARCR)後における温冷交代浴が複合性局所疼痛症候群(CRPS)の発症予防および術後の肩関節可動域(ROM)に影響するか調査した.対象はARCRを施行した115肩で他動ROM訓練のみ実施したA群(15肩),他動ROM訓練と自主訓練を実施したB群(84肩),B群の内容に加え温冷交代浴を実施したC群(16肩)に分類した.3群間でCRPSの発症率,発症項目数,発症時期,術後7週での他動ROMを比較検討した.CRPSの診断は厚生労働省研究班の判定指標を使用した.CRPSの発症率はA群6肩(40%),B群14肩(16.6%),C群3肩(18.8%)であった.発症時期はA,B群に比しC群は有意に遅かった.ARCR後の温冷交代浴早期開始によりCRPS早期発症が予防できた.しかし,外転装具除去期の発症は予防できなかったため,同時期のCRPS発症予防を検討する必要があると考えられた.
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四本 忠彦
2018 年 42 巻 2 号 p.
466-469
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
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本研究の目的は,高齢肩腱板断裂患者に対して行った関節鏡視下腱板修復術(ARCR)の成績を,前期・後期高齢者で比較検討し,成績と安全性について調査することである.対象は前期32例33肩,後期26例26肩である.既往症,術中・術後合併症,再断裂を調査し,術前・最終評価時のJOAスコアで評価し比較検討した.前期64%,後期88%に加療中の疾患を認め,そのうち前期12%,後期23%が術前からの内科的コントロールを要した.前期3%,後期12%にアンカートラブルを,後期4%に骨頭壊死を認めたが,他に合併症を認めなかった.再断裂率は前期15%,後期19%で有意差は認めなかった.術前・最終評価時のJOAスコアは,前期平均63.7 ± 7.9点から平均92.6 ± 7.6点に,後期平均60.9 ± 7.0点から平均87.1 ± 10.1点にそれぞれ有意に改善した.高齢者に対するARCRは,前期・後期ともに比較的安全で良好な成績であった.
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佐藤 英樹
2018 年 42 巻 2 号 p.
470-473
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
フリー
腱板大断裂に対する鏡視下Knotless suture-bridge(以下KLSB)法とKnotless double-row suture-bridge(KLDSB)法を比較検討した.対象はKLSB群が17肩(男性10名,女性7名,平均年齢64.0歳),KLDSB群が12肩(男性7名,女性5名,平均年齢67.6歳)であった.検討項目は術前MRIでの脂肪浸潤,手術時間,術後1年のMRIでのcuff integrity,再断裂時期と形態,術前および術後1年のJOAスコアとした.脂肪浸潤は棘上筋のみでKLDSB群が高度で,手術時間はKLDSB群が長かった.再断裂はKLSB群が7肩(41%),KLDSB群が0肩(0%)で有意差を認めた.再断裂の時期は1肩が術後1ヵ月以内,6肩が術後1ヵ月以降6ヵ月以内で,再断裂形態はtype 1が術後1ヵ月以内で再断裂した1肩のみで,他の6肩はtype 2であった.JOAスコアはKLSB群が57.3点から86.6点,KLDSB群が59.5点から92.2点と両群とも有意に改善し,術前,術後1年のJOAスコアに群間差はなかった.腱板大断裂に対するKLDSB法はKLSB法に比較して再断裂率を低下させる有用な術式であった.
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石田 康行, 長澤 誠, 谷口 昇, 帖佐 悦男
2018 年 42 巻 2 号 p.
474-477
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
フリー
高齢者の腱板断裂に伴う偽性麻痺肩に対して,RSAを推奨する報告がある.今回70歳以上,自動挙上90度未満の腱板断裂例に対する鏡視下手術の成績を調査した.術後12ヶ月以上観察できた32肩を対象とした.年齢は平均73.9歳,観察期間は平均25.1ヶ月であった.手術法は一次修復術27肩,部分修復術3肩,パッチ法2肩であった.一次修復例の腱板修復状態を術後1年時MRIで調査し,菅谷分類別の術前後のJOAスコア,自動挙上角度(aAE)を調査した.部分修復術,パッチ法のJOAスコア,aAEも調査した.腱板修復状態はtype1,15肩,type3,1肩,type4,4肩,type5,7肩であった.JOAスコア,aAEは概ね改善していたがtype5とパッチ法が他より劣っていた.部分修復術は良好であった.RSAは最終手術である認識が必要である.低侵襲な鏡視下手術は有効で,今後さらに見直されるべきものと考える.
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桑野 洋輔, 中原 信一, 衛藤 正雄
2018 年 42 巻 2 号 p.
478-481
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
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側側縫合を併用した鏡視下腱板修復術の治療成績を検討した.
側側縫合併用群と非併用群に分け,重層固定法にて一次修復を行った99肩/145肩(併用群/非併用群)を対象とした.平均年齢66.0歳/64.5歳,平均観察期間14.3ヵ月/15.3ヵ月,断裂サイズは不全断裂11肩/42肩,小断裂2肩/2肩,中断裂47肩/61肩,大断裂31肩/28肩,広範囲断裂8肩/12肩であった.JOAスコア,自動屈曲・外転,再断裂について検討した.
各群とも術前後で有意に改善し,術後成績は両群間に有意差は認めなかった.再断裂率は全体19.2%/11.0%,不全・小断裂0%,中断裂12.8%/8.2%,大断裂22.6%/21.4%,広範囲断裂75.0%/41.6%であり,両群間に有意差は認めなかった.
併用群でも非併用群と同等の治療成績を得られた.再断裂率は有意差はないものの,併用群がやや高い傾向にあった.
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杉森 一仁
2018 年 42 巻 2 号 p.
482-486
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
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腱板断裂に対する鏡視下骨孔(AT)法の骨孔の形態を比較し,臨床成績に及ぼす影響について検討した.骨孔形態を術後3か月におけるMRIにて直線型,カーブ型,L字型に分け,それぞれの年齢,性別,断裂サイズ,術後1年におけるJOAスコア,MRIにおけるcuff integrityを検討した.骨孔の外側に保護用のアンカーを入れた骨孔はすべてL字型の形態を保った.アンカーを入れていない骨孔はすべて直線型かカーブ型であった.術後6ヶ月におけるJOAスコアの疼痛,機能においてL字型がそれぞれ22.9±4.9,17.3±2.3であり,直線型のそれぞれ20±5.9,15.5±2.8に比べ有意差はないが高値である傾向を認めた(それぞれp=0.191,0.195).術後1年においてはいずれの項目も差を認めなかった.骨孔形態は臨床成績には大きな影響を及ぼさないが,保護アンカーを入れるほうが骨孔形態を保持できることが明らかとなった.
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松葉 友幸, 高橋 憲正, 菅谷 啓之, 松木 圭介, 渡海 守人, 大西 和友, 上田 祐輔, 星加 昭太, 濱田 博成
2018 年 42 巻 2 号 p.
487-490
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
フリー
リバース型人工肩関節置換術(RSA)は構造上死腔が多く,周術期の出血量過多が危惧される.我々はRSAの周術期にトラネキサム酸(TXA)を投与し,出血量の比較をしたため報告する.
同一術者がRSAを施行し,TXAを投与しなかった31例をN群,執刀開始直前にTXA1000mgを静注した33例をT1群,執刀開始直前と閉創直後にTXA1000mgを2回静注した15例をT2群とし,3群間で比較した.
患者背景,手術時間,術中出血量は3群間で有意差がなかった.術後出血量はN群よりT1群とT2群の方が有意に少なく,T1群とT2群の間は有意差がなかった.術後に輸血を要した症例はN群19%,T1群6%,T2群7%で3群間に有意差はなかった.
術前にTXAを投与すると術後出血量を減らすことができた.TXAの術前投与に術後投与を追加することで更なる出血量の減少は得られなかった.
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土屋 篤志, 後藤 英之, 吉田 雅人, 武長 徹也, 竹内 聡志, 鷹羽 慶之, 杉本 勝正
2018 年 42 巻 2 号 p.
491-494
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
フリー
関節鏡下腱板修復術(ARCR)後の肩関節拘縮に対する斜角筋間ブロック下徒手授動術(MUA)を経験したので報告する.対象は2012年8月から2016年2月にARCRを行った92肩中,術後肩関節拘縮にMUAを行った6肩である.術後6-12か月で挙上120度,外旋30度以下の可動域制限を認めた症例に施行した.断裂サイズは小・中が各2肩,大・広範囲が各1肩であった.MUA前のcuff integrity(Sugaya分類)は広範囲断裂1例がtype5,他5例はtype1だった.MUA前後の可動域の推移,JOAスコアを調査した.すべての症例においてcuff integrityはMUA前と最終観察時で不変だった.可動域の推移はMUA前,後1,3,6か月,最終観察時の順に挙上107,144,146,158,158度,外旋10,37,41,52,46度,内旋L3,L2,Th12,Th11,Th10だった.JOA scoreはMUA前,最終観察時の順に66.0点,89.8点だった.調査した6肩ではMUA後cuff integrityは増悪せず,可動域は改善した.MUAはARCR後の肩関節拘縮に有用である可能性が示唆された.
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国分 毅, 美舩 泰, 乾 淳幸
2018 年 42 巻 2 号 p.
495-498
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
フリー
腱板断裂修復部を大腿筋膜で補強する大腿筋膜補強(graft augmentation, GA)法とスーチャーブリッジ(SB)法との術後成績を比較検討した.大・広範囲断裂に対して鏡視下腱板修復術を行った40例(大断裂17例,広範囲断裂23例)を対象とした.術式の内訳はGA法が22例でSB法が18例であった.JOAスコア,UCLAスコア,Constantスコア, 再断裂率,術後筋力の変化を評価した.臨床スコアはGA法もSB法も術後有意に回復していた.再断裂率はGA法で14%,SB法で44%であり有意差を認めた.術後筋力は,GA法では有意に改善した.大・広範囲腱板断裂に対するGA法とSB法の臨床成績はともに良好であったが,再断裂率はGA法の方が有意に優り,筋力もGA法では有意に改善していた.腱板断裂サイズが大きくても,GA法にて腱板を修復し再断裂を防ぐことで術後筋力の回復が見込めることが示唆された.
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竹内 康剛, 菅谷 啓之, 高橋 憲正, 松木 圭介, 渡海 守人, 大西 和友, 上田 祐輔, 星加 昭太, 濱田 博成, 大西 隆, 土 ...
2018 年 42 巻 2 号 p.
499-502
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
フリー
当院では内側列における応力集中を避けるために外側アンカー挿入後に内側列縫合を加えており,これをAMK(Abbreviating Medial-row Knot-tying)法とし,スーチャーブリッジ法での鏡視下腱板修復術(以下,ARCR)の全例に用いている.2012年4月から2015年5月までに上記の方法でARCRを施行した腱板完全断裂症例のうち,一次修復可能で術後1年時にMRI検査を行い,術後2年以上経過観察可能であった321例326肩(男性188例,女性133例,手術時平均年齢64歳,平均経過観察期間28ヶ月)を対象とした.術前と最終診察時のJOA,UCLAスコアならびに断裂サイズにおける修復状況,再断裂形態と術後成績の関連性について検討した.JOA,UCLAスコアは術後有意に改善し,再断裂率は17.2%であった.再断裂例においてtype1(F1群)は69.6%,type2(F2群)は30.4%であった.術後JOA,UCLAスコアはF1群に比べてF2群で有意に低く,type 2 failureはインピンジメントや肩関節機能低下を生じる可能性があり,良好な成績を得るために我々の方法は有用と考えている.
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石垣 範雄, 畑 幸彦, 松葉 友幸
2018 年 42 巻 2 号 p.
503-506
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
フリー
腱板修復術後に腱板筋の脂肪浸潤を増悪させる因子について調査した.術後2年以上経過した256例を,術前と術後2年のMRIで棘上筋と棘下筋の脂肪浸潤が増悪した40肩(悪化群)とそれ以外の216肩(改善・不変群)に分けた.年齢,性別,罹病期間,外傷歴の有無,断裂サイズ,腱板縫着部位前進の有無,術前と術後2年の関節可動域,徒手筋力,JOAスコア,術後2年のMRIによるCuff integrity評価を2群間で比較した.悪化群は高年齢で(p<0.05),断裂サイズが大きく,縫着部位を前進した症例が多く,術後2年の徒手筋力とJOAスコアが有意に低くかった(p<0.01). 高齢で断裂サイズの大きい症例は腱板の変性が高度なために腱板縫着部位を前進すべき症例が多く,そのために腱板の滑走距離が短くなって術後2年の徒手筋力と肩関節機能が悪化したと考えた.したがって術後に腱板筋の脂肪浸潤を増悪させる因子は年齢と断裂サイズであると思われた.
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田村 諭史, 菊川 憲志
2018 年 42 巻 2 号 p.
507-509
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
フリー
腱板断裂肩では拘縮合併は不全断裂に多いと報告されているが,その臨床的特徴を捉えた報告は少ない.本研究の目的は,拘縮を合併した腱板不全断裂肩の術前の臨床的特徴についてShoulder36を用いて検討することである.対象は肩関節鏡視下に腱板不全断裂と診断し治療した19肩である.全身麻酔下に肩関節他動可動域を計測,健側と比較して屈曲・外旋とも20°以上の低下を認めた症例を拘縮群,低下を認めない症例を非拘縮群とした.術前に患側肩をShoulder36およびJOAスコアで評価した.拘縮群は10肩,非拘縮群9肩であった.Shoulder 36による評価では,疼痛,可動域,筋力,健康感において拘縮群と非拘縮群に有意差を認めた.JOAスコアは機能,可動域の項目で有意差を認めた.手術適応とする腱板不全断裂症例においては,拘縮合併例ではより臨床症状が強いことが示された.
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大前 博路
2018 年 42 巻 2 号 p.
510-512
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
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前方進入にてリバース型人工肩関節全置換術(以下RSA)を行う場合,肩甲下筋腱を修復できないことがある.本研究の目的は肩甲下筋腱修復の有無が術後に与える影響について評価することである.RSAを行った33肩を対象とした.整復後に下垂位外旋20度で切離した肩甲下筋腱の断端が縫合できない場合は修復せず,縫合できる場合は端々縫合で修復した.修復した28肩と修復できなかった5肩の2群に分け,術前と術後1年時の自動可動域(屈曲,外旋,内旋)と脱臼などの合併症の有無を調査した.2群間で有意差があったのは術前屈曲のみで,その他の項目に有意差は認めなかった.両群とも術後の脱臼,感染,骨折は認めなかった.切離した肩甲下筋腱を修復できなくても術後脱臼はなく,自動可動域に修復した症例との差を認めなかった.
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森原 徹, 木田 圭重, 古川 龍平, 祐成 毅, 加太 佑吉, 南 昌孝, 藤原 浩芳, 黒川 正夫, 久保 俊一
2018 年 42 巻 2 号 p.
513-516
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
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【目的】これまで腱板大・広範囲断裂症例に対して,断裂腱が30N以下で大結節付着部に縫合できない症例に対してDebeyre-Patte変法を行ってきた.本研究では術後4年以上経過した修復棘上筋の質的および量的変化を検討したので報告する.
【対象と方法】対象はDebeyre-Patte変法を行った9例9肩で,手術時平均年齢は64.6歳であった.術直後および術後48ヵ月以上経過後にT2強調斜位矢状断MR画像scapula Y viewにおける修復棘上筋の脂肪浸潤,筋量について評価した.棘上筋の断面積から筋量が術後より増加したか否かについて検討した.
【結果】棘上筋のGoutallier分類では術直後がIIであり,術後48ヵ月以上経過後もIIであった.筋量が術後増加した症例が6例,変化なしが3例であった.
【結論】本研究では術後中期において筋量の増加した症例を認め,症例によって増大する可能性を確認できた.
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福島 秀晃, 森原 徹, 三浦 雄一郎, 甲斐 義浩, 幸田 仁志, 古川 龍平, 木田 圭重
2018 年 42 巻 2 号 p.
517-521
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
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腱板広範囲断裂症例(Massive Rotator Cuff Tears: MRCT)の上肢自動挙上可能例と不能例における三角筋の筋活動を筋電図学的に検討した.
対象は上肢自動挙上可能なMRCT17名20肩(挙上可能群),上肢自動挙上90°未満のMRCT12名13肩(挙上不能群),健常群16名16肩とした.被験筋は三角筋前部・中部・後部線維とした.測定は肩関節屈曲0°,30°における各筋活動を5秒間測定し,0-30°間のR-muscle値を算出した.
三角筋中部線維のR-muscle値が健常群と比較してMRCT群(挙上可能群および不能群)で有意に高値を示した(p<0.01).また,挙上可能群と不能群の間に有意差は認められなかった.一方,三角筋前部および後部線維のR-muscle値は,3群間に有意差は認められなかった.
MRCTの三角筋各線維の筋活動は,上肢自動挙上の可否に影響しない可能性がある.
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柴山 一洋, 菅谷 啓之, 高橋 憲正, 松木 圭介, 渡海 守人, 大西 和友, 星加 昭太, 濱田 博成, 竹内 康剛
2018 年 42 巻 2 号 p.
522-525
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
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本研究の目的は一次修復を行った大・広範囲断裂の術後のcuff integrity を各腱ごとに評価し,脂肪浸潤の程度別に再断裂率を評価することと断裂腱数別の臨床成績を評価すること.
2010年10月から2014年7月までに鏡視下腱板修復術を行った大・広範囲断裂のうち2年以上経過観察可能であった78例78肩である(男37肩女41肩平均年齢66歳).各腱ごとの再断裂率を評価し脂肪浸潤との関連を調査した.断裂腱数別に臨床成績を比較した.
再断裂腱数0は48肩,1は19肩,2は11肩,3はなくすべてを含めた再断裂率は38%であった.再断裂率は棘上筋腱27腱34%棘下筋腱13腱20%肩甲下筋腱1腱2%であった.術後成績では再断裂2腱は再断裂なし,1腱と有意差があった.Goutallier stageとの関係では,棘上筋はstage上昇とともに再断裂率も有意に上昇し棘下筋はその傾向があったが,肩甲下筋は関連はなかった.
大・広範囲断裂の治療成績は再断裂腱数が2腱以上になると有意に臨床成績が悪かった.
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当真 孝, 山口 浩, 森山 朝裕, 金谷 文則
2018 年 42 巻 2 号 p.
526-528
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
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我々は広範囲腱板断裂に対し,初期固定力が高く,縫合糸による腱内応力の集中が少ないと報告されているSurface-holding法を用いて手術を行ってきた.今回,一次修復が可能であった術後成績を報告する.対象は広範囲腱板断裂に対して直視下Surface-holding法を用い一次修復術を施行した56例56肩中,1年以上経過観察可能であった50例50肩を対象とした.性別は男性38肩,女性12肩.平均年齢65歳,経過観察期間26カ月.調査項目はJOA スコア,自動屈曲,外旋,内旋(JOA スコアを用いて点数化),Sugaya分類を使用した術後腱板修復状態(type4,5を再断裂)とした.JOAスコアは術前平均57点が術後89点,屈曲は術前平均91°が術後143°,外旋では術前平均39°が52°,内旋は術前平均3.7点が4.9点へ有意差をもって改善を認めた.Sugaya分類typeⅣが3肩,typeⅤが0肩で,再断裂は3肩(6%)であった.Surface-holding法は,再断裂率の低い有用な術式と考えられた.
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上原 大志, 福嶺 紀明, 堀切 健士, 西中 直也
2018 年 42 巻 2 号 p.
529-533
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
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外傷後に持続する肩痛を認め,関節鏡でpulley lesionと診断した5例を対象とし,臨床像と鏡視下手術について調査した.全例男性で,手術時年齢は44.8歳,受傷から手術までの期間は4.4ヵ月であった.受傷機転は直達外力が2例,介達外力が3例であった.身体所見は,全例で水平内転や屈曲内旋で肩前方部痛を認め,関節内局麻テストが陽性であった.MRIではT2脂肪抑制で肩甲下筋腱の高輝度変化を4例に,LHBの亜脱臼を3例に認めた.鏡視所見はHabermeyer分類group 1が1例,group 3が2例,group 4が2例であった.全例LHBの内側偏位を認め,anterosuperior impingement(ASI)を呈していた.手術はアンカーを用いてpulleyの修復を行い,全例で疼痛は軽減し経過は概ね良好であった.外傷後に水平内転や屈曲内旋で肩前方部痛を認め,関節内局麻テストが陽性の症例は,pulley lesionによるASIを疑う必要がある.
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阿部 一雅, 橋口 宏, 岩下 哲, 米田 稔, 高井 信朗
2018 年 42 巻 2 号 p.
555-558
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
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解剖学的人工肩関節置換術(以下,ATSA)は,解剖学的な関節再建手術であるが,疼痛・可動域において機能的改善不良例が存在する.今回,我々はATSAにおけるインプラント設置位置と術後成績の相関を調べた.対象はATSA施行後5年以上経過観察が可能だった23例である(男性8例女性15例).手術時平均年齢は69歳.原因疾患は一次性12例,二次性6例,RA5例だった.術後成績はJOAスコアを用いて評価した.また,レントゲンによってインプラント設置位置における各項目を計測しJOA scoreとの相関の有無を評価した.JOA scoreは術前平均52.3点から術後85.9点に改善した.関節窩コンポーネント後方傾斜角度,humeral offset値において術後成績との相関を認めた.Projection値と術後成績の相関はなかった.以上より,インプラントの設置不良は腱板機能の不均衡に繋がる可能性があり,良好な術後成績獲得のためにはインプラントを正確に設置することが重要となる.
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平川 義弘, 間中 智哉, 伊藤 陽一, 市川 耕一, 松田 淑伸, 清水 勇人, 中村 博亮
2018 年 42 巻 2 号 p.
559-562
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
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目的はリバース型人工肩関節置換術(以下,RSA)の術前術後経過をShoulder36(以下,Sh36)とJOA scoreを用いて評価し,その関連性を検討する事である.対象はRSAを施行した33例34肩(男9例,女24例)である.手術時平均年齢は77歳(70歳~90歳)であった.術前,術後6カ月,術後12カ月にSh36及びJOA scoreを評価した.各スコアの経時的な改善を評価し,各時期のJOA scoreとSh36ドメインの一致する各項目の相関関係を統計学的に評価した.JOA score,Sh36の全項目は術前から術後6カ月,1年で有意に改善した.JOA scoreの各項目とSh36の各ドメインの相関関係は評価時期により異なる事が示唆された.
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間中 智哉, 伊藤 陽一, 市川 耕一, 平川 義弘, 松田 淑伸, 清水 勇人, 中村 博亮
2018 年 42 巻 2 号 p.
563-566
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
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様々な特徴のあるリバース型人工肩関節置換術(以下,RSA)が導入されており,インプラントデザインは機種ごとに異なるため,術後獲得されるオフセットも様々である.本研究の目的は,5機種のRSAの側方オフセット及び下方オフセットを比較検討する事である.対象は45肩.使用機種はAequalis reverse(以下,AR),SMR reverse(以下,SMR),DELTA XTEND(以下,DX),Aequalis Ascend Flex(以下,AAF),Comprehensive reverse(以下,CR)であった.術後肩関節正面のX線を用いて側方と下方のオフセットを計測した.平均側方オフセットはAAF,CRがそれぞれAR,SMR,DXと有意差を認めた.平均下方オフセットは各機種間に有意差を認めなかった.AAFとCRで側方オフセットが有意に大きく,三角筋のモメントアームや関節への圧迫力の増大が期待された.
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秋本 浩二, 落合 信靖, 野島 大輔
2018 年 42 巻 2 号 p.
567-571
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
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Reverse shoulder arthroplasty(RSA)において,肩甲骨関節窩に高度な変形を伴う場合baseplateの設置に難渋することが多い.今回,高度な肩甲骨関節窩変形を伴う5例6肩に対してpatient specific instrument(PSI)guideを併用したBony Increased Offset(BIO)-RSAを施行し,PSI guideの正確性について検討した.患者の平均年齢は84.8歳,術後平均経過観察期間は9.5ヶ月であった.変形はWalch分類で高度に内方化したtype A2・Favard分類grade E3が5肩,Walch分類type B1・Favard分類grade E4が1肩であった.全例Zimmer Biomet社のTrabecular Metal Reverse shoulder System
TMを使用した.version,inclinationの術前計画と術後の差はそれぞれ平均1.5 ± 1.7°,-1.0 ± 1.6°,superior screwの長さと角度の差は-2.0 ± 4.5mm,-3.0 ± 5.7°,inferior screwの長さと角度の差は2.0 ± 2.4mm,-5.8 ± 4.8°であった.術中術後に合併症は認めなかった.高度な肩甲骨関節窩変形を有する患者にBIO-RSAを施行する際に,PSI guideは肩甲骨コンポーネントを術前計画の通り正確な位置に設置することに有用であった.
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桐村 憲吾
2018 年 42 巻 2 号 p.
572-576
発行日: 2018年
公開日: 2018/09/03
ジャーナル
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上腕二頭筋長頭腱(LHBT)の新しい腱固定法として,Endo button
®(Smith & Nephew)を大胸筋近位上腕骨骨髄内にて翻転し腱固定するAll-arthroscopic supra-pectoral unicortical fixation techniqueの結果を報告する.LHBT固定を施行し1年以上経過観察可能であった12例を対象とし,術後1年MRIにて固定腱の損傷の有無と肘屈曲力を患側,健側にて比較検討した.全例で腱固定部損傷を認めず,肘屈曲力は患側平均15.08±3.6 kg(P= 0.224),健側平均16.02±3.4kgと有意差は認めていない.LHBT腱固定に対しEndo button を用いたAll-arthroscopic supra-pectoral unicortical fixation techniqueは有用な方法である.
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