肩関節
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43 巻, 3 号
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治療法
  • 石垣 範雄, 畑 幸彦, 松葉 友幸
    2019 年 43 巻 3 号 p. 874-877
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル 認証あり
     リバース型人工肩関節全置換術(以下RSA)において術後早期から挙上や結帯動作が制限された症例の特徴を調査した. RSAを施行した60肩を,術後6ヵ月時の挙上良好群50肩と挙上不良群10肩,結帯可能群51肩と結帯不能群9肩のそれぞれ2群に分類し,病歴,術前と術後6ヵ月時の理学所見,および術後画像所見を2群間で比較検討した.挙上不良群は年齢が高く,術後6ヵ月時の屈曲,外転,水平屈曲,内旋方向の可動域が制限され,グレノイドコンポーネントの上方傾斜を認めた.結帯不能群は術後6ヵ月時の外旋,水平伸展,内旋方向の可動域が制限され,グレノイドコンポーネントの上方傾斜と回転中心の内方化を認めた.グレノイドコンポーネントの上方傾斜設置により肩甲骨の下方回旋により可動域制限が起こり,さらに回転中心の内方化により可動域制限を補うための筋力が発揮できず,挙上および結帯動作の制限に影響したと思われた.
  • 埜口 博司
    2019 年 43 巻 3 号 p. 878-881
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル 認証あり
     筆者がリバース型人工肩関節全置換術(RSA)を施行し6か月以上 経過観察できた45肩で,術前後の自動可動域,筋力,JOA scoreを調査した.経過観察期間は平均26.4か月だった.術前後で可動域が屈曲76.1°→140.4°,外転74.8°→149.2°,筋力は棘上筋テストでMMT3→5に,JOA scoreは43.8→88.0点と有意に改善した.外旋可動域と棘下筋テスト筋力は改善しなかった.棘上筋テスト筋力低下陽性所見は,棘上筋断裂に特異的と考えられるが,棘上筋未修復のRSAの全症例で陰性化した.RSA肩では,腱板による骨頭求心性の代わりに,構造上拘束性が強く,拳上運動初期においても三角筋筋力を上腕骨に直接伝えられ棘上筋テストで筋力が得られたと思われる.肩関節挙上困難な一次修復不能腱板断裂に成績が安定した手術法はなかったが,RSAは良好な成績で,光明となる手術法と思われた.
  • 宮武 克年, 福田 昇司, 西良 浩一, 鶴尾 吉宏
    2019 年 43 巻 3 号 p. 882-886
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル 認証あり
     リバース型人工肩関節(RSA)による解剖学的位置の変化について使用する機種による相違を検討した.未固定遺体8体(男性4体,女性4体)の両肩を用いてRSAを施行した.機種はZimmer Biomet社製Trabecular Metal Reverse shoulder System(TM)及びComprehensive Reverse shoulder System(COMP)を使用した.X線学的評価として,術前後の上肢延長量,三角筋中部線維のモーメントアーム,上腕骨外側オフセットを計測した.さらに肩甲骨,上腕骨を一塊として剖出し,impingement free ROMを計測した.以上の項目を2郡間で比較検討した.結果は,TMとCOMP間で上肢延長量,モーメントアームに差はなかった.一方,外側オフセットはCOMPが有意に大きかった.Impingement free ROMはTMが有意に大きかったがCOMPのグレノスフィア3.5mm下方オフセットにすると,内転が改善し差はなくなった.結語として,TMとCOMPの機種によるX線学的相違は,上腕骨外側オフセットを除いて差はなかった.Impingement free ROMでは,TMの内転が大きい傾向にあった.
  • 園木 謙太郎, 橋口 宏, 岩下 哲, 大久保 敦, 米田 稔, 高井 信朗
    2019 年 43 巻 3 号 p. 887-890
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル 認証あり
     リバース型人工肩関節置換術(RSA)における,ベースプレート下方傾斜獲得のための関節窩楔状骨移植術を行った症例の術後成績および合併症を調査し,追加手技としての有用性について検討を行った.対象はRSAを施行し,術後1年以上経過観察が可能であった腱板断裂症性肩関節症23例である.術後成績はJOA scoreと関節可動域で,移植骨片は単純X線撮影および断層撮影にて評価した.JOA scoreは術前平均43.0点から術後平均83.0点と改善し,前方挙上可動域・外転可動域の有意な改善を得た.移植骨は全例で骨癒合が得られた.骨折,脱臼,scapular notchingや感染などの術中および術後合併症を認めなかった.RSAにおいて,関節窩楔状骨移植術によるベースプレートおよび関節窩球の下方傾斜は,インプラントの安定性を向上させ,さらに合併症予防の観点からも有用な追加術式であると考える.
  • 南川 智彦, 柴田 陽三, 蓑川 創
    2019 年 43 巻 3 号 p. 891-895
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル 認証あり
     本研究の目的はリバース型人工肩関節置換術の上腕骨ステムのデザインの違いが術後成績に与える影響について調査することである.対象は広範囲腱板断裂および腱板断裂性関節症に対しRSAを施行し,術後1年以上経過観察可能であった22例24肩である.手術時平均年齢は77.3±5.8歳,平均観察期間は31.7±14.9ヵ月であった.Aequalis Reversed(A群)17肩とComprehensive Reverse Shoulder System(C群)7肩を比較検討した.屈曲,外転可動域は,術前と比し両群ともに有意に改善し,A群に比C群で有意に高値であった.外旋,内旋可動域はいずれも有意差を認めなかった.JOAスコアは術前と比較し,両群とも術後有意に改善したが,両群間に有意差を認めなかった.術後6ヵ月でのscapular notchはA群で5/17肩(29.4%),C群0/5肩(0%).Lateral humeral offset はC群で有意に高値であった.Acromiohumeral distanceは有意差を認めなかった.ステム頚体角が小さいとlateral humeral offset は大きくなるが,術後成績には明らかな差を認めなかった.scapular notchingの発生は減少する可能性が示唆された.
  • 藏谷 幸祐, 田中 誠人, 林田 賢治
    2019 年 43 巻 3 号 p. 896-899
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル 認証あり
     リバース型人工肩関節置換術後,12か月以上経過観察可能であった28肩(術時平均年齢78.0歳(67~91),男性17肩,女性11肩,平均観察期間25.9か月(12~48か月))について,上腕骨の骨萎縮部位と程度を評価した.使用機種はTMReverse:16肩,Comprehensive:11肩,Aequalis:1肩であった.ステム周囲上腕骨を解剖学的特徴によってZone(Z)1~7に分類し,骨萎縮グレードをGrade(G)0:骨吸収無し,G1:皮質骨陰影の減少,G2:50 %以下の皮質骨菲薄化,G3:50%を超える皮質骨菲薄化,G4:皮質骨消失とし,それぞれ6か月,12か月,最終観察時点について評価した.最終観察時点において,25肩(89.3%)にいずれかの部位でG1<の骨萎縮を認めた.Z1,Z2,Z7で骨萎縮頻度が高く,グレードも進行しており,ストレスシールディングが原因と考えられた.
  • 原田 洋平, 岩堀 裕介, 梶田 幸宏, 森下 侑亮, 出家 正隆
    2019 年 43 巻 3 号 p. 900-903
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル 認証あり
     リバース型人工肩関節全置換術(RTSA)の短期成績を報告する.対象はRSTA術後1年以上経過した13例13肩(男性3例,女性10例,平均年齢75歳)で,cuff tear arthropathy(CTA)が5肩,広範囲腱板断裂が5肩,広範囲腱板断裂に肩不安定症を伴ったものが3肩であった.術前と最終観察時の可動域とJOA score,術中合併症,術後合併症を検討した.術前から術後の可動域は屈曲および外転が有意に改善した(それぞれ70°から133°,63°から121°)が,伸展,外旋,内旋可動域は有意な改善を認めなかった(それぞれ35°から33°,35°から40°,L3からL3棘突起レベル).X線評価を除いたJOA score(95点満点)は45点から73点と有意に改善した.術中合併症として上腕骨ステム挿入中に骨幹端部の亀裂骨折を1例で認め術中にテープ締結を行った.術後合併症として肩甲骨ノッチングを2例に,上腕骨近位部の骨吸収を1例で認めたが,臨床上問題なかった.術後に四辺形間隙症候群を併発した症例で臨床成績が不良であった.
  • 江草 真, 菅谷 啓之, 高橋 憲正, 松木 圭介, 渡海 守人
    2019 年 43 巻 3 号 p. 904-909
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル 認証あり
    対象:2014年4月から2018年3月までの当院でRSAを施行した214例222肩の内,感染症例の3例(1.2%)を対象とした.
    結果:発症時期は急性型1例,遅延型2例であった.感染菌種は急性型の1例のみ腸球菌が検出され,2例は培養陰性であった.遅延型2例に上腕骨ステムのゆるみを認めた.全例患肢の疼痛,腫脹,発赤を認めた.経過中CRP陰性例を遅延型の1例に認めた.
    まとめ:当院での感染発生率は他と比較して少ない傾向にあった.
  • 山縣 寛之, 落合 信靖, 橋本 瑛子, 秋本 浩二, 野島 大輔, 梶原 大輔
    2019 年 43 巻 3 号 p. 910-912
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル 認証あり
     上腕骨頭壊死に対して人工骨頭置換術を施行した45歳以下の若年者の術後短中期成績を検討した.対象は2011年1月から2017年7月までに人工骨頭置換術を施行した45歳以下の若年症例4例5肩,全例女性,手術時平均年齢33.3歳,全例でステロイド使用歴(パルス療法)を認めた.術前レントゲンにて全例Cruess分類ステージ3以上のハイグレードな骨頭壊死を認め,人工骨頭置換術を施行した.平均術後観察期間63.2カ月(16~126カ月)において,全例で疼痛は改善し,平均可動域は術前から術後で前方挙上118から161度,下垂位外旋31から60度,結帯L4からTh10と改善を認め,術後平均JOA スコア97.8点,UCLAスコア34.6点と臨床中期成績は良好であった.画像所見では,関節窩のエロージョン,骨頭の上方化,ステムのルースニングを全例で認めなかった.ハイグレードの骨頭温存不可能な若年者の上腕骨骨頭壊死に対して,人工骨頭置換術は有効な治療の一つであると考えられた.
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