肩関節
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49 巻, 2 号
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学術集会発表論文
基礎研究
  • 花井 洋人, 佐原 亘
    2025 年49 巻2 号 p. 348-351
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
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    間葉系間質細胞(mesenchymal stromal cell, MSC)は,エクソソームを主体とする細胞外小胞(extracellular vesicle, EV)を分泌し,組織修復に寄与することが知られており,肩腱板断裂においても,修復手術への補助としてEVの治療促進効果が期待されている.本研究の目的は,EVが腱板修復時に関与すると考えられるマクロファージ(Mf)に及ぼす影響を調査することである.ヒト脂肪組織由来MSC(adipose tissue derived MSC, ASC)を使用し,限外濾過にてEVを回収した.lipopolysaccharide(LPS)で刺激したMf様細胞株(RAW264.7)にEVを投与し,炎症性Mfのマーカーを評価した.また,培養上清液中に放出されるTNFαを評価した.LPS刺激によって炎症マーカーの発現は上昇したが,EVを投与することで減少した.上清中に分泌されたTNFαはEV投与によって有意に抑制された.ASC由来EVは抗炎症作用を有することが示唆された.今後はEVが腱細胞へ及ぼす影響や肩腱板断裂修復モデル動物の治癒過程に及ぼす影響を評価する必要がある.

診察・診断法
  • 白石 勝範, 山本 紘司, 曽我 孝, 森山 翔太, 望月 由
    2025 年49 巻2 号 p. 352-355
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    凍結肩にサイレントマニピュレーション (SM) や鏡視下肩関節授動術 (ACR) を施行後の自動肩関節可動域 (A-ROM) を評価し, 術前の腋窩嚢のT2緩和時間の平均値 (術前AT2値) との関連を検討した. 凍結肩にSMやACRを施行後1年以上経過した18肩 を対象とした. 検討項目は, 術前, 術後3ヵ月 (3M), 術後6ヵ月 (6M), 術後1年 (1Y) で屈曲, 外転, 下垂位外旋, 内旋のA-ROMを評価し各期間の改善値を算出した. さらにA-ROMの改善値に対する術前AT2値の影響を評価した. 目的変数を各期間のA-ROMの改善値, 説明変数を術前AT2値とした単回帰分析では, 術前から3Mの下垂位外旋の改善値のみ有意な差を認めた. 続いて, 目的変数を術前から3Mの下垂位外旋の改善値, 説明変数を術前AT2値, 年齢, 手術方法, 既往歴とした重回帰分析では術前AT2値のみ抽出された. 最後に, 術前から3Mの下垂位外旋の改善値を中央値で2群に分類した術前AT2値のカットオフ値は36.12 msecであった.

脱臼
  • 山田 有徳, 落合 信靖, 橋本 瑛子, 服部 史弥, 寺川 文英, 山川 奈々子, 澤田 良平
    2025 年49 巻2 号 p. 356-359
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    本研究の目的は新鮮肩鎖関節脱臼に対する鏡視下2ルート烏口鎖骨靭帯・肩鎖靭帯再建術の短期成績を報告することである.対象は新鮮肩鎖関節脱臼に対して本術式を実施し,術後6ヶ月以上経過観察が可能であった15例15肩とした.検討項目は手術時間,最終経過観察時の肩関節他動可動域,術前および最終経過観察時単純X線での肩峰下面-鎖骨下面距離(ACD),鎖骨-烏口突起距離(CCD),ACD・CCDの健患差(ΔACD, ΔCCD)および健患比(%ACD, %CCD),矯正損失率とした.平均手術時間は102.7 ± 22.1 分,最終経過観察時の肩関節他動可動域は屈曲147.9 ± 6.5 °,下垂位外旋39.6 ± 16.6 °,結帯T12であった.ACD,CCD,ΔACD,ΔCCD,%ACD,%CCDは術前後で全て有意に改善した.術後矯正損失は3肩(20%)に認めた.本術式は,短期的には整復位を保持し得たものの,矯正損失率は従来手技と同程度であり,従来手技を上回る優位性を示すには至らなかった.

  • 堀家 陽一, 古屋 貫治, 磯崎 雄一, 月橋 一創, 岡田 浩希, 小野寺 洋介, 田村 将希, 阿蘇 卓也, 筒井 廣明, 西中 直也
    2025 年49 巻2 号 p. 360-363
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
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    肩関節前方不安定症に対する鏡視下Bankart&Bristow変法(ASBB)の術後成績と合併症を評価するために,2014から2023年に再脱臼ハイリスク群に対しASBBを施行した44例46肩のうち,術後1年以上経過観察が可能であった19例20肩を後ろ向きに調査した.術後の日本肩関節学会肩関節不安定症評価法(JSS-SIS),Rowe scoreは術前に比べて有意に改善した(p<0.001).スポーツ例では日本肩関節学会肩のスポーツ能力の評価法(JSS-SSS)が有意に改善(p=0.002)し,復帰率は100%,平均復帰時期は4.7か月であった.一方,てんかん患者1例で再脱臼を認め,移植骨片関連の合併症が45%の症例で発生した.骨癒合率は45%と低値であったが,非癒合群でも良好な臨床成績を示した.また,術後の骨頭骨棘新規発生が3例で認められた.ASBBは再脱臼ハイリスク群に対して有用で,早期スポーツ復帰を可能にする術式である.しかし,特有な合併症も多く,術式の改良と長期成績の評価が必要である.

  • 荒巻 慶, 藤澤 基之, 原 正文
    2025 年49 巻2 号 p. 364-368
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
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    当院では若年のコリジョンアスリートなどの強い外力がかかる肩関節前方脱臼症例に対し,Hill-Sachs remplissage法(HR法)を鏡視下Bankart修復術に追加している.本術式を行い12ヵ月以上の経過を観察できた39例41肩を対象に,肩可動域を含む臨床成績と下肢機能を調査した.手術時年齢は17.9歳,種目は柔道14肩,ラグビー8肩,サッカー8肩,その他11肩.肩学会スポーツ能力評価法は,術後12ヵ月で94.5点に回復し,全例元のスポーツに復帰した.初期の1肩に術後腱板部分損傷を認めたがその他の合併症はなく,平均24.2ヵ月の経過で再脱臼はなかった.術後の肩可動域患健側差は,前方挙上5.3°,下垂位外旋9.2°,外転位外旋8.3°,内旋2.5椎体,外転位内旋5°であり有意な制限を認めた.術後より下肢機能訓練を行い,HBD,SLR,FFDは術前に比し術後に有意に向上した.HR法は合併症が少なく,術後は軽度の肩可動域制限を全方向に伴うがスポーツ復帰に支障はなかった.

  • 宮﨑 哲哉, 松井 知之, 東 善一, 山﨑 勢那, 森原 徹
    2025 年49 巻2 号 p. 369-374
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
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    本研究は,初回かつ投球側の外傷性肩関節前方脱臼を呈した高校生野球選手5例に対する保存療法の臨床成績を報告するものである.全選手は,肩関節の不安定性を自覚し,MRI検査によってBankart病変を認めた.保存療法として,4週間の固定中から全身コンディショング,固定解除後には可動域練習と筋力トレーニングを開始した.競技復帰に必要な動的な安定性は肩関節外転位での内・外旋筋力,柔軟性は体幹後屈角度で評価した.投球練習開始の基準はAnterior apprehension testの陰性化,体幹後屈角度90°以上,内・外旋筋力の健患比80%以上の獲得,全力投球開始の基準は健患比90%以上とした.これらの基準に則り,投球練習を進行した.結果,全例が受傷前と同等の競技レベルで復帰し,競技復帰の期間は平均112±47日であった.これらの基準は,投球側肩関節前方脱臼後の保存療法における競技復帰に有用であると考えた.

  • 磯崎 雄一, 古屋 貫治, 木村 亮介, 堀家 陽一, 月橋 一創, 岡田 浩希, 小野寺 洋介, 田村 将希, 阿蘇 卓也, 西中 直也
    2025 年49 巻2 号 p. 375-379
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
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    肩鎖関節脱臼の治療方針の決定にはRockwood 分類(Rw 分類)が頻用され,type II 以下には保存,type IV 以上には手術が選択されることが多く,type IIIは意見が分かれる.今回,三角筋と僧帽筋の損傷に着目して治療方針を決定したため報告する.対象は当院を受診した受傷後 3 週間以内の症例で MRI を施行した3 例とした.治療方針は三角筋と僧帽筋の損傷が鎖骨円錐靱帯結節より遠位であれば保存,近位まで及んでいれば手術とした.初診時の Rw 分類は type III が 2 例,type V が 1 例であった.治療方針は保存が 2 例,手術が 1 例であり, 手術となった 1 例は type V であった.最終観察時のJOA スコア,日本肩関節学会肩鎖関節機能評価法,Constant Shoulder Score は初診時と比較し全て改善した.本研究はMRIによる三角筋と僧帽筋の損傷のみで初期治療方針を決定した.結果的に type III に対し保存を,type V に対し手術を選択したが,今後症例数を増やし有意差を認めた際は MRI が治療選択の新たなオプションとなり得る.

骨折
  • 津覇 雄一, 仲里 翔太, 呉屋 五十八, 吉川 誉士郎, 喜瀬 正行, 当真 孝, 山口 浩, 森山 朝裕, 西田 康太郎
    2025 年49 巻2 号 p. 380-383
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
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    近年,社会保障費の増大防止のため,骨粗鬆症性骨折の予防は勿論,二次性骨折防止の重要性が報告されている.椎体・大腿骨近位部骨折後に関しては,二次性骨折防止の認識が広まってきている.一方,上肢骨折(橈骨遠位端骨折,上腕骨近位部骨折)は,椎体・大腿骨近位部骨折と比較して若年発生で,骨折後の骨粗鬆症治療介入が少ないと報告されている.今回,八重山群島で発生した上腕骨近位部骨折に関して後ろ向きに調査した.本研究結果では,上腕骨近位部骨折は受傷時平均年齢65.5歳と比較的若年発生で,受傷前・後とも骨粗鬆症の介入が少なく,二次性骨折への移行は椎体・大腿骨近位部が多く,1年以内の死亡率は2.5%であった.上腕骨近位部骨折は,二次性骨折へ移行例・死亡例を認めるため治療を行う際には,合併症も含めた全身状態に十分注意して診療に臨むべきである.

筋腱疾患
  • 中邑 祥博, 福島 敏之
    2025 年49 巻2 号 p. 384-387
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
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    腱板修復術後の復職と再断裂の関係について調査した.就労している症例で腱板断裂に対して鏡視下腱板修復術を施行した157肩を対象とした.職業1(肩に負担なし),職業2(軽作業),職業3(重労働)に分類し,断裂サイズ,再断裂率,復職時期を評価した.職業3は男性と大きい断裂サイズの割合が有意に高かった.再断裂率は職業1:3.3%,職業2:15.5%,職業3:18.8%で有意差はなかった.術後復職時期は職業1:2.3 ± 1.1カ月,職業2:3.7 ± 2.8カ月,職業3:5.1 ± 2.8カ月で有意差があった.術後15週未満で復職した症例の再断裂率は職業1:3.6%,職業2:12.9%,職業3:33.3%で有意差があった.職業3において,術後15週未満で復職したかどうかで比較すると,復職した症例の再断裂率は有意に高かった.重労働の職業は他の職業と比べて復職に時間を要する一方で,復職が早いと再断裂が多かった.

  • 小田切 優也, 畑 幸彦, 石垣 範雄, 川上 拡
    2025 年49 巻2 号 p. 388-391
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    広範囲腱板断裂に対するpartial repair法施行後に高い患者満足度を得るための要件を調査した.partial repair法を施行後2年以上経過したmassive tear 149例155肩について術後2年時の患者満足度を10 cm visual analog scaleで評価してもらい,満足度が9.0 cm以上の満足群96肩と満足度が9.0 cm未満の不満足群59肩の2群に分けた.2群間で,患者背景,手術所見,術前と術後2年の臨床所見(ROM,MMT),肩関節機能評価(JOA score, UCLA score),MRI所見(fatty infiltration,cuff integrity)を比較検討した.満足群は不満足群と比較して関節可動域以外の肩関節機能,屈曲筋力および外転筋力が有意に良好であり,広範囲腱板断裂症例においてより高い患者満足度を得るための要件は挙上方向の筋力であると思われた.

  • 植村 剛, 福田 亜紀, 森田 哲正, 佐野 友彦
    2025 年49 巻2 号 p. 392-395
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    当院ではsuture bridge法を施行時,初期固定力向上を目的に内側列縫合を行ってきたが,内側列での断裂が多く内側列縫合を行わない方法へ変更した.本研究では内側列縫合の有無が術後成績に及ぼす影響を検討した.対象は術後1年以上経過した201肩で,内側列を縫合するKT群(112肩)と,縫合を行わないKL群(89肩)に分類した.評価項目は術前と最終診察時のJOAスコア,修復状況,再断裂形態とした.JOAスコアは両群で有意に改善したが群間差はなかった.再断裂率はKT群16.1%,KL群9.0%であり有意差はなかった.再断裂形態はKT群でType 1が55.6%,Type 2が44.4%,KL群でType 1が75.0%,Type 2が25.0%であった.内側列縫合を行わない修復法で再断裂率,Type 2 failureが少ない傾向にあったが,内側列縫合の有無で臨床成績,再断裂率,再断裂形態に差はなかった.ただType 2 failureの抑制という観点で内側列縫合を行わない術式は一定の可能性が示唆された.

  • 勝木 秀治, 岩噌 弘志
    2025 年49 巻2 号 p. 396-400
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    本研究は,一次修復可能な腱板大断裂および広範囲断裂に対する鏡視下腱板修復術(ARCR)の術後6ヶ月以内の再断裂因子を検討することを目的とする.2011年から2023年にSuture bridge法を用いたARCRを施行し,同一の術後プロトコルで術後リハビリテーションを行った96名,97肩(男性58名,女性38名,年齢66.1±9.6歳)を対象とした.再断裂は術後6ヶ月のMRIで評価し,年齢,性別,喫煙歴,糖尿病,肩甲下筋腱修復の有無,長頭腱の処置,術後2ヶ月の屈曲可動域を説明変数としてロジスティック回帰分析を行った.修復群は72肩,再断裂群は25肩で,再断裂率は25.8%であった.再断裂のリスク因子として術後2ヶ月の屈曲可動域および性別が抽出され,他動屈曲可動域のカットオフ値は130度であった.本研究により,術後2ヶ月での他動屈曲可動域が再断裂リスクに関連する可能性が示唆された.

  • 河崎 裕介, 横矢 晋, 原田 洋平, 渡邊 能, 松村 脩平, 住元 康彦
    2025 年49 巻2 号 p. 401-404
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    腱板修復後の早期成熟と再断裂予防を期待し,一次修復可能な棘上筋および棘下筋の腱板断裂に対して鏡視下にPGA(polyglycolic acid)シートをfootprintと腱板断端の間に介在させ腱板を修復する術式を考案した.この術式を対象とし,比較対照としてPGAシートを用いない従来法で修復した群を設定した.これらに対してcuff integrityと術後成績を統計学的に比較検討した.PGA群では術後6ヵ月でのMRIで評価した菅谷分類によるcuff integrityが有意に良好であった.PGAシートをfootprintと腱板断端の間に介在させることで術後6ヵ月で良好なcuff integrityを得た.

  • 廣瀨 聰明, 芝山 雄二, 杉 憲, 水島 衣美, 冨居 りら, 渡部 裕人, 本間 美由, 石谷 瞭
    2025 年49 巻2 号 p. 405-408
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    当院における初期のスーチャーブリッジ(SB)法(A群)とその後改良を加えたSB法(B群)の臨床成績を比較検討した.一次修復可能な腱板断裂に対して鏡視下腱板修復術を施行し,術後2年以上が経過した202肩を対象とした.A群73肩,B群129肩で,A群の術式に加えてB群で改良した点は,bone marrow stimulationとしてmicrofractureではなく,nanofracture変法を行うこと,腱板と肩甲骨関節窩の間の上方関節包解離を大断裂以上の症例だけでなく,中断裂症例にも行うことである.JOAスコア総合はA群術前平均62から93点に,B群62から95点へと有意に改善した.再断裂率はA群14%,B群7%で,いずれも両群間に有意差は認められなかった.また術前Goutallier分類別ではstage1または2であった症例の再断裂率はA群14%,B群6%で,B群の方が再断裂率が低い傾向にあった.再断裂形態はCho分類のtype 1がA群4肩(40%),B群2肩(22%),type 2がそれぞれ6肩(60%),7肩(78%)と,B群でtype 2が多い傾向にあった.B群のtype 2再断裂7肩中6肩は後方knot部近傍での再断裂であった.その要因として筋内腱の薄い棘下筋腱に対してknotするテープの緊張が強かった可能性が考えられた.

  • 新福 栄治, 内山 善康, 繁田 明義, 橋本 紘行, 今井 洸, 鷹取 直希, 和才 志帆, 渡辺 雅彦
    2025 年49 巻2 号 p. 409-412
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    腱板断裂患者において夜間痛は一般的な症状であるが,睡眠状態と中枢性感作,破局的思考との関連についての報告はない.今回我々は腱板断裂患者の睡眠障害をアテネ睡眠尺度(以下AIS)にて評価し,中枢性感作と破局的思考との関連を調査した.対象は2023年3月から2024年4月まで当院外来を受診し腱板断裂の診断となった121人中,夜間痛を訴えた94人(男性47人,女性47人,平均年齢66±11.3(SD)歳)である.評価項目は,初診時の疼痛強度VAS(visual analog scale),JOA score,AIS,central sensitization inventry (以下CSI),pain catastrophic scale (以下PCS)である.AIS 6点以上を不眠症群(以下I群 44例),5点以下を非不眠症群(以下NI群 50例)とし両群間にてJOA score, CSI, PCSを比較検討した.またAISの各項目(寝つき,中途覚醒,早期覚醒,聡睡眠時間,睡眠の質,日中気分,日中の活動性,日中の眠気)に関しても両群間で比較した.統計学的検定はChi-square test, Mann-Whitney U testを使用し,p<0.05を有意差とした.44例(46.8%)の症例がAIS 6点以上であり不眠症の診断であった.JOA scoreはI群にて70.8±9.7(SD),NI群にて73.2±10.5(SD)であり差はみられなかった(p=0.27).VASはI群にて6.6±2.2(SD),NI群にて5.2±2.4(SD)であり差がみられた(p=0.007).CSIはI群にて23.6±10.7(SD),NI群にて13.4±8.6(SD)でありI群で高値であった(p<0.001),PCSはI群にて26.4±9.9(SD),NI群にて17.5±11.8(SD)でありI群で高値であった(p=0.004).AISの各項目は8項目全てに有意差がみられた.夜間痛を訴える腱板断裂患者の46%は不眠症であり,睡眠障害を伴う患者ではCSIとPCSが高値であった.

  • 山川 奈々子, 落合 信靖, 橋本 瑛子, 服部 史弥, 寺川 文英, 澤田 良平, 山田 有徳
    2025 年49 巻2 号 p. 413-417
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    80歳以上の超高齢者に対する鏡視下腱板修復術(以下ARCR)の術後再断裂リスク因子の検討と80歳未満の高齢者と比較した再断裂率,再断裂リスク因子の検討を行った.超高齢者群の対象は80歳以上で,当院でARCRを施行した症例とした.高齢者群は80歳未満で,超高齢者群と性別,左右,断裂サイズ,手術施行時期を超高齢者群とマッチングした症例とした.術後1年以上の経過観察を行い,MRIでSugaya分類 type,4,5を術後再断裂あり群とした.評価項目は性別,左右,術前可動域(自動前方挙上,自動下垂位外旋,自動結帯),術前臨床スコア(JOA score),断裂サイズ,肩甲下筋断裂の有無,腱板筋の脂肪含有率(IDEAL法),修復方法,delaminationの有無,術後自動可動域,術後臨床スコアとした.さらに超高齢者群と高齢者群と比較して再断裂率,再断裂リスク因子を検討した.超高齢者群は93例(男性34例,女性59例)が組入れとなり,再断裂あり群は18例(19.4%)であった.再断裂あり群では再断裂なし群と比較して,有意に術前MRIでの棘上筋・肩甲下筋の脂肪含有率が高く(p=0.01, 0.0002),delaminationが多く(p=0.03),術後自動可動域で前方挙上が良好であった(p=0.04).高齢者群は93例(男性34例,女性59例)が組入れとなり,平均年齢は65±1.0歳,再断裂率は8.6%であり,超高齢者群と比較して有意に低かった(p=0.02).超高齢者の再断裂あり群は高齢者の再断裂あり群と比較して肩甲下筋の脂肪含有率が高く(p=0.01),術後1年の自動可動域で前方挙上,結帯が良好であった(p=0.03, p=0.02).高齢者の再断裂リスクは肩甲下筋の脂肪含有率が高いこと,術後の自動可動域が良好であることであった.再断裂予防には慎重な後療法が望ましいと考えられた.

  • 木村 岳弘
    2025 年49 巻2 号 p. 418-421
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    triple row法を用いた腱板修復術における腱板再断裂の危険因子について検討した. 対象は術後1年時に経過観察可能であった113肩で, 男性56肩, 女性57肩, 手術時平均年齢は66.8 (45-82) 歳であった. 術後MRIを用いて非再断裂群と再断裂群に分け, 年齢, 性別, 糖尿病の有無, 術前MRIによる断裂の内外径, Global fatty degeneration index (GFDI), stump分類の評価法であるC/D値, 棘上窩占拠率を比較した. 再断裂を10肩 (8.8%) に認め, 非再断裂群と再断裂群との比較では, 年齢, 断裂サイズ, GFDI, C/D値, 棘上窩占拠率において有意差を認めた. 多重ロジスティック回帰分析ではGFDI及びC/D値に再断裂との関連を認めた. ROC曲線によるGFDIのカットオフ値は1.333であり, C/D値のカットオフ値は1.108であった. triple row法における鏡視下腱板修復術では, 脂肪変性の進行及び断端の質の低下が再断裂の術前危険因子と考えられる.

  • 山田 恭平, 可児 拓也, 遠藤 佑哉, 室谷 光太, 小野 涼哉, 野口 隆史, 上野 栄和
    2025 年49 巻2 号 p. 422-426
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    鏡視下腱板修復術後(Arthroscopic Rotator Cuff Repair:ARCR)の下垂位外旋筋力健患比(External rotation Limb symmetry index:ER-LSI)が術後6ヶ月までに80%を達成するための術前,術後3ヶ月の目標値を設定することを目的とした.ARCRを施行した小断裂および中断裂の60名を対象に,術前,術後3ヶ月,6ヶ月のER-LSIを算出し,術後6ヶ月のER-LSI 80%以上を良好群,80%未満を不良群とした二分変数を目的変数とした.受信者操作特性曲線を用いて術前,術後3ヶ月のカットオフ値を求めた.また,術後6ヶ月のER-LSI良好群と不良群に分け,術前,術後3,6ヶ月の各評価項目との関連性を調査した.カットオフ値は術前52%(AUC0.776),術後3ヶ月63%(AUC0.819)であった.良好群にて,術前,術後3,6ヶ月の可動域が有意に高値を示した.術前から術後における予後予測が可能となり,術後6ヶ月までの期間に適切な介入を実施し,腱板機能を改善する必要があると考える.

  • 松本 美幸, 中根 康博, 出口 剛士, 三宅 凌
    2025 年49 巻2 号 p. 427-431
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    本研究の目的は鏡視下腱板修復術(ARCR)後3ヶ月までのShoulder Shrug sign の有無が術後成績に与える影響を調査することである. 対象はARCRを施行し12ヶ月以上経過観察可能であった133例135肩とした. 術後3ヶ月時点でShoulder Shrug sign 陰性群(A群:98肩)と陽性群(B群:37肩)の2群に分け, 治療成績を検討した. 調査項目は術後3,6,9,12ヶ月の可動域推移, 術後MRIにおける再断裂の有無(菅谷分類 Type 4, 5 を再断裂と判定), 術前・術後12ヶ月のJOA score とした. 術後可動域の2群間比較では全ての時期, 全ての方向においてA群が高く, 術後12ヶ月では挙上, 外旋に差を認めた. 術後3ヶ月時点の再断裂はB群がA群よりも多く, 2群間に差を認めた(p=0.02). JOA scoreは両群共に増加したが, 術後12ヶ月の2群間に差を認めた. 本調査より両群共に治療成績は良好であるが, B群は再断裂が多く Shoulder Shrug sign 陽性は再断裂の有無に影響する可能性が示唆された. 術後早期の後療法は慎重に進めるべきであると考える.

  • 横矢 晋, 河崎 裕介
    2025 年49 巻2 号 p. 432-436
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    滑液包側腱板不全断裂に対してアンカーによる一次修復後にbioinductive collagen implantで補強した手術法の早期術後臨床成績を,不全断裂部を全層化した後にsuture bridgeで行った対照群と比較検討した.補強群が21例,対照群が22例であった.術後外固定は補強群が三角巾固定,対照群が軟性外転装具をそれぞれ1か月間装着した.それぞれの群における術後3か月および6か月の可動域および術後6か月での等尺性筋力を測定し,統計的に比較検討した.その結果,術後3か月での可動域は補強群が対照群と比較して屈曲,外旋,内旋すべてにおいて有意に大きかったが,術後6か月では有意差はなかった.平均等尺性筋力は補強群が対照群と比較して術後6か月での外転筋力が有意に大きかった.滑液包側腱板不全断裂に対する補強術は可動域および筋力の回復が術後早期より得られるため,早期の社会復帰が可能となりえる.

  • 鈴木 真央, 村 成幸, 大石 隆太, 永井 惇, 宇野 智洋, 結城 一声, 高木 理彰
    2025 年49 巻2 号 p. 437-441
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    術前に拘縮を伴う腱板断裂に対する鏡視下腱板修復術(ARCR)において,術後3か月の自動可動域で屈曲制限を認める症例の術前の特徴と術後成績への関連を検討した.拘縮を伴う腱板断裂に対してARCRを行い,2年以上経過観察可能であった61例を対象とした.術後3か月の自動屈曲120°未満を制限あり群(R群),120°以上を制限なし群(N群)に分類し,患者背景,術前のNumerical Rating Scale(NRS),術翌日〜術後2週までのNRS,術前・術後自動可動域,術前・術後のJOAスコアを後ろ向きに比較検討した. R群で大断裂が多く,可動域は術後18・24か月の内旋以外はR群が不良であった.R群は術前の運動時痛が強く,JOAスコアは術前と術後24か月でR群が不良であった.術後3か月で屈曲制限を認める症例は断裂サイズが大きく,術前の運動時痛が強かった.また術前から屈曲制限を有しており,術後2年においても屈曲制限が残存していた.術後3か月で屈曲制限を認めない症例と比較して術後外旋可動域も不良であった.

変性疾患
  • 川上 基好, 柏木 孝介, 岩橋 幸紀, 浦 雄大, 三宅 稜, 出口 剛士, 中根 康博
    2025 年49 巻2 号 p. 442-446
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    変形性肩関節症に対する解剖学的人工肩関節置換術(TSA)とリバース型人工肩関節置換術(RSA)の機能成績とリハビリテーションの違いを比較検討した. 対象はTSAまたはRSAを施行し, 術後12ヶ月経過観察可能であった49例56肩とした. 術後リハビリテーションはTSAでは修復した肩甲下筋への考慮と関節の求心位に注意する必要があるため, 装具固定期間をTSAは4週間, RSAは2週間とTSAでは長くし, 自動運動もTSAは開始時期を遅くらせて実施した. 評価項目は術前, 術後3, 6, 9, 12ヶ月の自動可動域推移(屈曲, 下垂位外旋, 結帯),術前, 術後12ヶ月のConstant Score, 平均リハビリ期間とした. 可動域推移では, TSAとRSA共に屈曲, 外旋, 結帯は術後6ヶ月までに改善した. 両術式で差を認めたのは下垂位外旋のみで, 術前から術後12ヶ月まで常にTSAがRSAより高値を示した. Constant ScoreはTSAが術前42±6.0点から術後12ヶ月で72.8±12.4点, RSAが術前37.5±12.0点から術後67.3±8.8点と, 両術式とも有意な改善を認め, TSAがRSAより高値を示した. 平均リハビリ期間はTSAが10.2±2.1ヶ月, RSAが6.2±3.9ヶ月で, RSAがTSAより短かった. 以上の結果より変形性肩関節症に対して両術式とも良好な機能成績であった. TSAはRSAに比べ術後12ヶ月で下垂位外旋可動域が大きく, Constant Scoreが高いことがわかった. しかしながら, 修復した肩甲下筋に配慮し, 求心位に注意するためRSAよりリハビリ期間を要することがわかった.

  • 冨居 りら, 芝山 雄二, 杉 憲, 廣瀬 聰明, 水島 衣美, 寺本 篤史
    2025 年49 巻2 号 p. 447-451
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    On-lay型リバース型人工肩関節置換術 (RSA) の, lateralizationとdistalizationに関する画像評価と臨床成績との関係を調査した. 対象はRSA術後の27例27肩で, 術後単純X線にてlateralization shoulder angle (LSA), distalization shoulder angle (DSA) を計測した. LSAは75-95°の範囲内とそれ以外の群に, DSAは 40-65°の群とそれ以外の群に分け, 術後の臨床スコア (ASES, JOA), 自動可動域 (屈曲, 下垂位外旋, 内旋) と比較検討した. LSAは75-95°の範囲内で, DSAは 40-65°で内旋が有意に良かった. JOA score良好群でLSAは大きく, ASES score不良群でDSAは大きかった. On-lay型RSAにおけるlateralizationとdistalizationは, 至適角度で良好な術後成績を示すことが示唆された.

  • 水野 直子, 小谷 悠貴
    2025 年49 巻2 号 p. 452-456
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    近年RSAの上腕骨頚体角135度のinlay型上腕骨インプラントが開発されたが,その特徴は明らかになっていない.本研究ではその外方化の程度とscapular impingement の予防効果を検討した.対象は重度の関節窩骨欠損を有しない変形性または腱板断裂性肩関節症30肩である.全例CTを撮影し,三次元術前計画ソフトウェアを用いて,RSAのインプラントを仮想設置した.上腕骨側は,頚体角155度inlay(G),135度inlay(P),145度onlay(O),関節窩側は通常型(S)と外方化型(L)とし,組み合わせた6型(GS,GL,PS,PL,OS,OL)の外方化の程度を計測した.また内転,伸展,外旋,内旋の可動域をシミュレーションし比較検討した.外方化の程度は,GS, GL,PS,PL,OS,OL型 の順に大きくなり,PL型と他の型間に有意差を認めた.PL型の外方化の平均は1mmで,解剖学的位置とほぼ同等になることがわかった.いずれの可動域もPL型が最も有意に大きかった.これよりPL型はscapular impingement の予防に有用であるといえる.

  • 当真 孝, 山口 浩, 呉屋 五十八, 森山 朝裕, 西田 康太郎
    2025 年49 巻2 号 p. 457-460
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    我々は,修復が不能であった肩甲下筋腱断裂を含む腱板断裂性肩関節症(Cuff tear arthropathy:以下,CTA)に対して,大胸筋腱移行術を併用したリバース型人工肩関節置換術(pectoralis major tendon transfer reverse shoulder arthroplasty:以下,大胸筋移行RSA)を行ってきた.本研究では大胸筋移行RSAの治療成績を報告する.修復不能であった肩甲下筋腱断裂を含むCTAに対して大胸筋移行RSAを施行し1年以上経過観察可能であった16例16肩を対象とした.男性8肩,女性8肩,平均年齢77.6±21.7(SD)歳,経過観察期間は15カ月~60カ月(32カ月)であった.調査項目は自動肩関節可動域:屈曲,外旋,内旋(日本整形外科学会肩関節疾患治療成績判定基準(以下,JOAスコア)を用いて点数化),JOAスコアとし,統計学的検討はWilcoxonの順位和検定を使用し,危険率5%未満を有意差ありとした.屈曲は術前57.2±23.8°が術後130.3±19.4°(P<0.01)へ,24.7±24.6°が34.7°±21.7 (P=0.03)へ,内旋は2.5±1.9点が4.6±0.9点へ(P<0.01),JOAスコア45点が81.2点(P<0.01)へ有意に改善を認めた.

  • 野本 一希, 桐村 憲吾, 境田 萌人
    2025 年49 巻2 号 p. 461-464
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    前腕軸を基準とした上腕骨近位骨切りガイド(後捻角度20°)を用いて上腕骨インプラントを挿入したリバース型人工肩関節置換術32肩における術後後捻角度を評価した. 全例術後上腕骨全長を含むCTを撮像し多断面再構成像を用いて内側・外側上顆軸を基準とした術後上腕骨インプラント後捻角度を測定した. 術後上腕骨インプラントの後捻角度を15°以下,15-25°,25°以上の3群に分け, それぞれの頻度と性別を比較検討した. 術後後捻角度は平均14.4°±6.4°(SD)(3.6°-29.0°)で,15°以下が19例(57.6%), 15°~25°が10例(30.3%), 25°以上が3例(9.0%)であった. 性別での有意差は認めなかった. 約80%の症例が20°以下に挿入されており, 約60%の症例で上腕骨インプラントが予定より5°以上減捻して挿入されていた. 前腕軸を基準にして挿入された上腕骨インプラントは予定後捻角度よりも減捻して挿入されることを念頭に置く必要がある.

炎症疾患
  • 千住 隆博, 水城 安尋, 内村 大輝, 上田 幸輝
    2025 年49 巻2 号 p. 465-471
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    化膿性肩関節炎は診断・治療が遅れると重篤な機能障害を残す可能性があり, 早期介入が重要である. 本研究では当院で関節鏡視下デブリドマン術を施行した化膿性肩関節炎26例を対象に, 臨床的特徴と手術成績を後方視的に検討した. 平均年齢 72.1±13.7 (SD)歳, 男性が多く,糖尿病を10例に認めた. 感染経路は注射後や術後が多く, 起炎菌はMSSAが最多で, 次いでアクネ菌・MRSEであった. アクネ菌・MRSE感染では炎症反応が軽度であった. 菌同定率は92%と高く, 細菌学的検査前の抗菌薬未投与および複数培養の提出が寄与することが示唆された. 鏡視下洗浄デブリドマン術後開放ドレナージを行い, ドレーン留置期間は平均11日, CRP陰性化までの期間は平均48日, 最終平均自動可動域は屈曲120°, 外転 125°, 下垂位外旋64°であった. 再手術は4例(15%)で, いずれも基礎疾患を有し, 初期抗菌薬の選定が不適切であった可能性がある. 本治療法は一定の有用性を示し, 今後は長期成績の検討が必要と考えられた.

その他
  • 瀬尾 充弘, 村木 孝行, 黒川 大介, 勝田 紘史
    2025 年49 巻2 号 p. 472-475
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    本邦での保険診療で用いられる診断名である肩関節周囲炎(以下,肩周囲炎)は,学術的には凍結肩に該当すると考えられるがISAKOSが提言する「拘縮」に該当する症例は少ない.今回,拘縮肩に該当しない肩周囲炎に対する理学療法(Physical Therapy;以下,PT)を中心とした保存療法の効果を調べることを目的に治療成績を調査した.疼痛,自動ROM,患者主観評価についてPT初回時とPT修了時で比較した.肩周囲炎と診断された145例中140例(96.6%)が非拘縮肩に該当し,保存療法中に関節授動術を実施した患者はなかった.治療成績は,PT初回時からPT修了時で疼痛,自動ROM,患者主観評価で有意な改善を示した.さらに,77.3%が運動器リハビリテーション標準日数内でPTを修了した.本研究の結果から,疼痛,自動ROM,患者主観評価も有意に改善を示し,PTを中心とした保存治療の有効性が示唆された.

治療法
  • 石垣 範雄, 畑 幸彦, 小田切 優也, 川上 拡
    2025 年49 巻2 号 p. 476-480
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    リバース型人工肩関節置換術(RSA)術後の内転制限の影響を明らかにする目的で,RSA術後経過を調査した.術後2年以上の経過した169肩(男性95肩,女性74肩,手術時年齢75.3歳)を対象とし,術前と術後6か月,1年,2年の臨床所見を調査した.術直後と術後2年のspino-humeral angle(SHA)を計測し,術後2年時にSHAが改善した群とSHAが不変もしくは悪化した群の2群に分類して術後経過を比較検討した.術前と術後6ヵ月の間では,両群とも可動域,筋力,JOAスコアはすべて有意な改善を認め,改善群では屈曲・外転・外旋方向の可動域とJOAスコアは術後6ヵ月から1年の間でも有意な改善を認めたが,非改善群では屈曲と外転方向の可動域とJOAスコアの機能と可動域の項目は術後6ヵ月から有意に改善するのに2年を要したことから,術後の内転制限の変化は術後経過に影響すると思われた.

  • 城野 明裕, 清松 悠, 加藤 久佳
    2025 年49 巻2 号 p. 481-485
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    近年,人工知能(AI)によるデータ分析の発展に伴って,医療分野でも多くのAIが使用され始めている.AI予測ツール「Predict+TM」は主に欧米の白人患者のデータを機械学習に使用しているが,欧米とは骨格の異なる日本人患者においても有用であるかは不明である.本研究は日本人患者のリバース型人工肩関節置換術(rTSA)後可動域におけるAI予測ツールPredict+TMの精度を検証した.術前の患者情報をPredict+TMに入力し,術後6,12ヶ月の可動域とsubstantial clinical benefit (SCB),minimal clinically important difference(MCID)の達成を予測し,予測値と実測値の相関およびSCB,MCID達成予想の精度を評価した.結果,術後6ヶ月の屈曲においてのみ中等度の相関を認めた.一方,SCBおよびMCID達成予測の精度は良好で,area under the curve - receiver operating characteristic(AUC-ROC)は全て0.8以上であった.これらの結果から,Predict+TMは日本人患者において具体的な可動域数値の予測には限界があるものの,SCBやMCIDの達成可能性を予測するツールとしては有用性が高いことが示唆された.

  • 神田 拓郎, 木田 圭重, 四本 忠彦, 大西 興洋, 祐成 毅, 森原 徹, 古川 龍平, 櫛田 里恵, 佐々木 健太朗, 高橋 謙治
    2025 年49 巻2 号 p. 486-488
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    リバース型人工肩関節全置換術(RSA)の外方化と下方化の指標としてLateralization shoulder angle(LSA)とDistalization shoulder angle(DSA)があり,LSAが75-95°で外旋が,DSAが40-65°で屈曲,外転が大きいと報告されている.RSA後のLSA,DSAと臨床成績を比較した.対象は2014年8月から2023年4月までに手術を行い,1年以上経過観察可能であった52例59肩で,平均年齢は76.3歳,平均術後経過観察期間は36.0か月であった.LSAが75°-95°の症例(LP群)とそれ以外の症例(LN群),DSAが40°-65°の症例(DP群)とそれ以外の症例(DN群)の術前後の肩関節自動可動域,日本整形外科学会肩関節疾患治療成績判定基準(JOA score)を比較した.LP群は術後の外転とJOA scoreが,DP群は術後の屈曲・外転・JOA scoreが有意に良好であった.LSAが75°-95°,DSAを40°-65°となるように術前計画を立てることで良好な臨床成績が得られる可能性がある.

  • 板倉 良太朗, 山田 悠司, 櫛田 里恵, 平本 真知子, 竹内 晃洋, 松井 知之, 甲斐 義浩, 森原 徹
    2025 年49 巻2 号 p. 489-492
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    本研究では, 拘縮肩患者における屈曲可動域改善に優先される運動方向やその角度を検討した. 初回来院時の内転, 下垂位外旋, 下垂位内旋, 90°外転位内旋および外旋, 90°屈曲位内旋および外旋可動域の7項目を説明変数, リハビリテーション終了時の屈曲可動域を目的変数とし決定木分析を行った. その結果, 屈曲可動域150°以上の獲得に影響を与える因子として, 深度1で下垂位外旋(38°以上), 深度2で90°屈曲位内旋(-22°以上), 深度3で90°屈曲位外旋(68°以上)が抽出された. 下垂位外旋38°以上の可動域を有する場合, 84%が150°以上の屈曲可動域を獲得する結果となった. これらの基準を満たない場合, 屈曲可動域制限が改善されにくい可能性が示された. 今回の結果は, 拘縮肩患者における可動域改善の予後予測として活用できると考えた.

  • 大嶋 教勢, 阿部 真行
    2025 年49 巻2 号 p. 493-497
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    当院ではL字,V字断裂に代表される,断裂修復方向の調整を要する症例や,断端が翻転している症例に対してTriple row法を用いた鏡視下腱板修復術を施行しており,その短期臨床成績を評価した.対象は1年以上の経過観察が可能であった37例39肩である.検討項目は自動可動域(以下ROM),日本整形外科学会肩関節疾患治療成績判定基準(以下JOA score),Constant score,MRI菅谷分類を用いて再断裂を評価した.ROM(屈曲,外転,内旋),臨床成績はいずれも術前と比較して術後有意に改善し,再断裂は認めなかった.本研究からmiddle anchorによる腱板の修復方向の調整と張力の分散が可能なTriple row法は,適切な症例を選択することで様々な断裂形態に応用可能な術式であることが示唆された.

  • 関 展寿, 杉村 祐介, 東條 元旗, 木戸 忠人
    2025 年49 巻2 号 p. 498-500
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    鏡視下腱板修復術(ARCR)は右利きの術者の際,右肩の場合は右手がworking portalに左手がviewing portalになり手術を行いやすいが左肩の場合は逆になり手術を行いにくい印象がある.右肩と左肩で手術時間や内容に違いがあったのか検討した.2019年4月から2023年7月に当院で右利きの同一術者が行ったARCRを手術記録から後ろ向きに検討した.対象は平均年齢69.8歳の男性68名70肩,女性31名34肩の計104肩で右66肩,左38肩だった.手術時間・腱板修復に用いたアンカー数・修復方法・術中トラブルについて検討した.手術時間は平均で右149.3±33.4(平均±標準偏差)分,左169.4±30.0分と左が有意に長かった(p=0.003).使用アンカー数は平均で右3.6±1.2,左3.5±1.0本と有意差はなかった(p=0.647).修復方法は右がsingle row法(SR法)19肩・double row法(DR法)38肩・suture bridge法(SB法)が1肩・triple row法(TR法)8肩,左がSR法11肩・DR法25肩・SB法が2肩でTR法はなかった.術中トラブルは縫合糸パサーの針の折損が右1肩,左2肩であった.

  • 仲見 仁, 藤井 貴広, 廣瀨 毅人, 中井 秀和, 田中 誠人
    2025 年49 巻2 号 p. 501-504
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    ラグビー選手の肩前上方不安定症(asUPS)に対する保存療法において,症状改善と競技復帰への影響因子を検証した.初診でasUPSと診断されたラグビー選手21肩(全肩男性,19.1歳(16-25歳))を対象とした.関節内ステロイド注射と肩甲骨周囲筋強化を行い,症状改善後6か月間競技継続可能であった症状消退群17肩と,改善せず競技継続困難で手術に至った非消退群4肩の2群間で関連因子について比較検討した.単変量解析にて,復帰に要した期間6.4±0.9週vs7.8±1.3週(p=0.048)と復帰時の前鋸筋筋力4.5(四分位範囲3.75-4)vs4(3.75-4)(p=0.003)で有意差を認めた.この2項目でロジスティック回帰分析を行い,前鋸筋筋力が独立した有意因子として抽出された.非消退群4肩は手術となり,うち3肩が術中診断で前上方以外の関節唇損傷の併発を認めた.ラグビー選手の肩前上方不安定症における保存療法では,前鋸筋の筋力回復と,症状改善および競技復帰との関連性が示唆された.

  • 平本 真知子, 山田 悠司, 竹内 晃洋, 東 善一, 松井 知之, 森原 徹
    2025 年49 巻2 号 p. 505-507
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    本研究の目的は,凍結肩に対する非観血的関節授動術 (MUA)翌日の屈曲可動域と麻酔前後の関節可動域との関係を検討することとした.当クリニックで凍結肩と診断され,MUAを受けた29例(29肩),男性4例,女性25例を対象とした.関節可動域をMUA前(術前),MUA直前(麻酔下),MUA直後,MUA翌日(翌日)に,他動的に測定した.翌日の屈曲可動域と術前の90°屈曲位内旋可動域は相関係数0.43,麻酔下の下垂位外旋可動域は相関係数0.45と,有意な正の相関をみとめた.本研究の結果から,術前に後方組織の柔軟性を確保するアプローチが重要である可能性がある.下垂位外旋可動域だけでなく,90°屈曲位内旋可動域にも注目する必要があると考えた.

  • 新谷 尚子, 植木 博子, 岡田 浩典, 吉村 英哉
    2025 年49 巻2 号 p. 508-510
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    上腕骨大結節骨折に対する鏡視下suture bridge法の合併症として,外側アンカー挿入操作の際に外側皮質の骨折を経験したことから,骨折発生に関連する因子及び本術式の成績について検討した.対象は当院で本術式を行った12例で,外側アンカー挿入部の骨折は3例(25%)に発生した.平均身長は骨折群で有意に低かった(P=0.036).CTにて上腕骨頭外側縁から骨折線遠位端までの距離(FxD)と外側アンカー挿入部までの距離(LAD)を計測し,FxDは骨折群34.2mm,非骨折群21.2mm,LADは骨折群33.8mm,非骨折群27.5mmといずれも骨折群で有意に大きかった.術後1年時の関節可動域は挙上161.1度,外旋38.3度,JOAスコアは92.6点であった.本検討より,低身長,骨折線が遠位に及ぶこと,外側アンカー挿入位置が遠位になることが,アンカー挿入部の骨折発生と関連する可能性が示唆された.

  • 芝山 雄二, 廣瀬 聰明, 杉 憲, 水島 衣美, 渡部 裕人, 冨居 りら
    2025 年49 巻2 号 p. 511-514
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    リバース型人工肩関節置換術(RSA)におけるナビゲーション(NAVI)の使用の有無による短期臨床成績を比較調査した. 対象は腱板広範囲断裂または腱板断裂性肩関節症に対してRSAを行い術後2年以上経過観察可能であった40肩(NAVI群:23肩,未使用群:17肩). 評価項目は術前と最終経過時の臨床スコア(JOA,ASES),可動域(屈曲,下垂位外旋,内旋), 合併症(Scapular notch,肩甲骨骨折,その他)の発生率を両群間で比較検討した. JOA,ASES,屈曲,外旋可動域では両群で術前後とも差はなかったが,術後内旋可動域でのみNAVI群で良好な結果であった. 両群の改善度の比較では,JOA scoreでのみNAVI群で有意に改善していた.合併症の発生率に有意差はなかった. RSAにおけるNAVIの使用は安全であり,合併症のリスクが増加することなく,短期成績では,通常のRSAを行った場合と同等以上の結果をもたらすことがわかった. 今後,中長期成績の分析が必要と考えられる.

  • 東 善一, 松井 知之, 山﨑 勢那, 宮﨑 哲哉, 平本 真知子, 森原 徹
    2025 年49 巻2 号 p. 515-520
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,肩関節内インピンジメント症候群または肩関節唇損傷を有する投球障害肩の選手にまず,下肢・体幹機能不全を評価する全身即時調整法を行ったが,十分な疼痛軽減が得られなかった症例に対して,頚部・肩甲骨周囲筋に着目した評価として上肢帯周囲筋即時調整法を実施した.その結果,肩関節外旋可動域は有意に増加し,疼痛は有意に低下した.上肢帯周囲筋即時調整法は胸背部筋群弛緩,頚部前方筋群弛緩,頚部後方筋群弛緩,胸部筋群弛緩,頚部深層筋群賦活,肩甲骨周囲筋群賦活という6項目で構成されており,胸椎後弯を減弱させ,肩甲骨の後傾,外旋,上方回旋を改善させることにより,肩関節外旋可動域の増加と疼痛の軽減に繋がったと考えた.

症例報告
症例報告
  • 藤木 貴顕, 中根 康博, 出口 剛士, 三宅 稜
    2025 年49 巻2 号 p. 521-526
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    肩関節後方脱臼は稀であり,初診時の見落としが多いとされる.陳旧性脱臼とは,3週間以上脱臼した状態と定義され治療に難渋する場合もある.今回陳旧性肩関節後方脱臼の一例を経験したので報告する.症例は73歳女性で,転倒により左肩を受傷し,受傷3か月後に当院を受診した.下垂位外旋は-20°と高度に制限されていた.画像検査で後方脱臼およびreverse Hill-Sachs Lesionを認めた.徒手整復は可能だが整復位を保持できず手術療法を行った.手術は全身麻酔,ビーチチェア位で鏡視下reverse remplissage法を施行した.肩甲下筋腱を骨欠損部に充填するようにsuture-bridging法で固定し,肩甲上腕関節をK-wireで仮固定した.K-wireは術後3週で抜去した.術後1年で再脱臼なく,JOAスコアは100点(術前30点)であった.諸家の報告では脱臼期間が6か月以内,上腕骨頭の骨欠損が50%以内であれば関節機能の温存が可能とされ,様々な再建方法が報告されている.今回行った鏡視下で行う本手術法は侵襲が少なく良好な成績を得られると考えた.

  • 冨永 亨
    2025 年49 巻2 号 p. 527-530
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    リバース型人工肩関節置換術(以下RSA)が2014年4月より本邦に導入されて10年が経過した.当科では2014年11月より同手術を施行し,概ね良好な術後成績を得てきた.一方で腋窩動脈損傷により心臓血管外科医によりバイパス手術を要した1例を経験した.人工肩関節置換術の術中の動脈損傷や仮性動脈瘤発生の報告はいずれもケースレポートで散見される.RSAは元々外方化・下方化などにより神経・血管損傷の可能性が指摘されている.骨折症例については術前から周辺動脈と骨折部の位置関係を十分に把握する必要があると共に,可能な限り早期に手術を行うのが望ましい.

  • 藤巻 圭太, 内山 善康, 鷹取 直希
    2025 年49 巻2 号 p. 531-535
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    18歳男性,柔道選手の釣り手側.16歳時,柔道練習中に初回亜脱臼.術前3DCTで関節窩高度骨欠損に小さな骨性Bankart病変を認めた.鏡視下で骨性Bankart病変の小骨片を温存しつつ,腸骨小骨片を関節窩との間に挟んで修復し,直視下inferior capsular shift法を施行.術後1年で欠損部の幅を維持しつつ関節窩骨形態は改善した.

  • 森原 徹, 古川 龍平, 木田 圭重, 高橋 謙治
    2025 年49 巻2 号 p. 536-540
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    イメージで肩関節を外転挙上し,肩峰下インピンメントを生じた症例を報告する.症例は77歳男性である.術中インプラント挿入後,外転90度付近で肩峰と大結節部とのインピンジメントを認めた.大結節部tuberoplastyと肩峰下骨棘切除術を施行した.直視下に肩峰下インピンジメントが回避でき,再度透視下で挿入インプラントの設置位置と外転挙上での肩峰下インピンジメントのないことを確認した.術後1年では,肩峰骨折やscapular notchingの所見はなく,肩関節機能は改善した.

  • 濱畑 美帆, 落合 信靖, 橋本 瑛子, 山田 有徳, 服部 史弥, 寺川 文英, 山川 奈々子, 澤田 良平
    2025 年49 巻2 号 p. 541-543
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    Tapia症候群は片側性の反回神経麻痺と舌下神経麻痺を同時に生じる稀な症候群である.我々はビーチチェア位での全身麻酔下鏡視下腱板修復術後にTapia症候群を来した症例を経験した.症例は84歳女性.左肩腱板断裂に対し,鏡視下腱板修復術を施行した.術後,喉の違和感,嚥下困難,挺舌左偏位,構音障害,左声帯不全麻痺を認めTapia症候群と診断された.術後に嗄声や舌偏奇を生じた場合には本症候群を想起する必要がある.

  • 小野寺 洋介, 磯崎 雄一, 古屋 貫治, 志賀 研人, 堀家 陽一, 月橋 一創, 高橋 知之, 田村 将希, 筒井 廣明, 西中 直也
    2025 年49 巻2 号 p. 544-548
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/11/26
    ジャーナル 認証あり

    野球に関連する肩関節障害は投球動作で生じることが多く,打撃によるものは少ない.今回我々は,野球の打撃に起因した,押し手側のUPSを経験したため報告する.症例は17歳男性で右投げ右打ちの投手,捕手であった.試合中の打撃で右肩痛を自覚した.前医でのリハビリで改善しないため当院を受診した.初診時の身体所見は肩関節屈曲が100度,外転が100度,いずれも45度から100度にかけて肩関節前方に疼痛を認めた.画像所見では単純X線機能撮影(T-view挙上位)で右肩の挙上不良を認め,肩関節造影MRIでは,明らかな関節唇の損傷は認めなかった.以上の所見からUPSと診断した.鏡視所見で前方関節唇に損傷を認めたため,関節鏡下関節唇修復術を施行した.術後1年で競技へ完全復帰した.長期の保存加療が無効な症例では関節鏡視下に病態を適切に把握し,病変部位を修復することで競技に復帰できる可能性がある.

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