風工学シンポジウム論文集
第24回 風工学シンポジウム論文集
選択された号の論文の62件中51~62を表示しています
  • 松宮 央登, 西原 崇, 八木 知己
    セッションID: 51
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    着氷雪を伴う送電線に風が作用するとギャロッピングが発生することがある.本研究では,鉛直・水平・ねじれ3自由度系における応答振幅の基本特性や空力連成の影響を明らかにするために,考慮する自由度,振動数比をパラメータとして時刻歴応答解析を行った.まず,鉛直1自由度系において,空気力の仕事を分析することで,振動を励起する相対迎角範囲を明らかにした.また,物体に作用する力のエネルギー収支を分析することで,振動を発生させるために必要な初期変位(不安定なリミットサイクル振幅)を導出した.さらに,鉛直・水平・ねじれ3自由度系における応答特性は,平均ねじれ角に応じて3つの領域に区分でき,それぞれ,鉛直・水平2自由度振動,鉛直・ねじれ2自由度振動,鉛直1自由度振動,が支配的になることを示した.
  • 金 容徹, 田村 幸雄, 吉田 昭仁
    セッションID: 52
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    太陽光電池の新しい設置方式であるソーラーウィングシステムの振動特性を風洞実験より検討した。風洞実験より, 変動変位には風向より大きな差が見られた。風向が0度から30度間では風速の二乗に比例する振動が, 風向が40度以上では高風速で発散振動が見られた。風向が60度以上になると高風速での発散振動の他に低風速で限定振動が現れており, 風向により種々異なる振動現象が観測された。限定振動のメカニズムに関しては風下側に位置するパネルの隙間と深く関係している。サグ比5%の変動変位は複雑な変化を示しており, 広い風向でサグ比2%とほぼ同じ値を示しているが, 風向90度では大幅に大きくなる。
  • 木村 吉郎, 石井 誉大, 原尾 勇輝, 大幢 勝利
    セッションID: 53
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    斜張橋ケーブルのDry Inclined Cable Gallopingは,高風速域で発現する可能性のある空力振動である.同様の振動は,一般のケーブルでも発現する可能性があり,その発現メカニズムや発現可能性を明らかにしておくことは重要であるが,発現メカニズムや実験試行間での再現性は,十分には明らかではない.?本研究の結果,汎用的なサイズ・風速性能の風洞装置においても,比較的簡単な支持方法を用いて,斜円柱に生じる高風速域の空力振動をある程度再現性を確保した形で生じさせることができることがわかった.また,2つの風速域で生じた応答の特性やそれらの違いについても検討した.
  • 高森 浩治, 染川 大輔, 奥地 誠, 植松 康
    セッションID: 54
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    太陽光発電設備(PVS)の増加に伴い,それらの強風被害が増加している。建築物の屋根上に設置されたPVSは,風荷重の伝達経路が複雑であるため,その全てを再現した試験体を用いたアセンブリ試験の実施が耐風性能を評価するには有効である。本報では,金属製の屋根に設置された太陽光発電システムを対象に,屋根と太陽光発電システムに同時に載荷するアセンブリ試験の結果を示している。試験の結果,PVSと屋根の風荷重が集中する屋根固定部での破壊がみられた。
  • 今野 大輔, 吉田 早智子, ガヴァンスキ 江梨, 植松 康
    セッションID: 55
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    木造住宅の屋根勾配や経年劣化が小屋組の耐風性能に及ぼす影響を検討するために,「屋根勾配を変化させて製作した垂木-軒桁接合部を模擬した試験体」と「既存の木造建物から取り出した垂木―軒桁接合部」を用いた実物大耐力試験を行った。
    垂木-軒桁接合部の引張試験においては,屋根勾配が変化することで,破壊性状に違いが生じることが明らかになった。また,速い載荷速度の場合には最大耐力に影響を及ぼさないが,遅い載荷速度の場合には最大耐力の低下が見られた。
    取り出した垂木―軒桁接合部の引張試験においては,接合に用いられている釘表面に発錆している場合には,新品の釘を用いた場合よりも最大耐力が向上することが明らかとなった。よって,部材の劣化が接合部の持つ耐力に対して,必ずしも負の影響を与えるわけではないことが明らかとなった。
  • 染川 大輔, 飯田 有未, 谷口 徹郎
    セッションID: 56
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    角柱を対象とし風荷重の組合せについて検討を行った。時刻歴応答解析によって求めた荷重の組合せ係数は、相関係数から求めたものより大きくなることを示した。そこでPOD解析を行い、変動風圧のモードと振動モードとの相関の高い次数の規準座標のルートコヒーレンスを相関係数の代わりとして用いることを試み、時刻歴応答解析から得られる組合せ係数に近い値となることを示した。
  • 三浦 景祐, 松井 正宏, 真栄城 玄一
    セッションID: 57
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    台風のような自然現象の観測データを用いた風速予測には不確定性が存在するため、その影響も考慮する必要がある。一つは極めて稀に起こりうる事象に起因する現象論的不確定性、もう一つは知識やデータの不足に起因する認識論的不確定性である。前者は事象の偶然性に関わるものであるため、新たな観測データが蓄積したとしても低減させることができない。一方、後者は経験や知識を蓄積することで低減させることができるものである。本研究では、確率分布パラメータの推定方法が台風気圧場に及ぼす影響を検討するとともに台風観測記録のデータ数や分布パラメータの推定方法が風速評価に与える影響についても検討を行い、不確定性の低減を図る。
  • 田中 英之, 大竹 和夫, 土屋 直也, 今野 尚子
    セッションID: 58
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    建物の外装材用風荷重を算定するためのピーク外圧係数は,外装材の位置だけでなく,面積や形状に応じて設定されるべきである。しかし,風洞実験では圧力測定模型の製作上の制約があるため,外装材の受圧面積に応じた面平均値ではなく,時間軸上の移動平均値が代用されている。移動平均に用いる平均化時間は,荷重指針2)では1~10mの外装材寸法に対して0.5秒~1秒程度とされているが,ピーク外圧係数が作用する受圧面積や外装材の形状と移動平均に用いる平均化時間の関係については十分に示されていない。そこで本研究では,低層建物を対象に,風洞実験よりも空間平均評価の自由度が高いCFDを実施し,外装材の受圧面積や形状に応じた面平均評価と時間軸上の移動平均評価によるピーク外圧係数の関係を明らかにする。
  • 野田 辰徳, 八木 裕紀, 河本 卓朗, 深谷 茂広, 田中 剛, 森野 真之, 松田 一俊
    セッションID: 59
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    本稿は,中央支間475mの混合斜張橋用鋼箱桁の耐風安定性について述べている.鋼箱桁において,渦励振やギャロッピング,フラッターのような空力振動を抑制するためには,フェアリングやフラップのような空力対策を設置することが多い.しかし,これらの部材は,近年,維持管理において問題が生じており,耐風安定性のみではなく,初期コスト及び維持管理費についても考慮するべきである.そこで,久保等によって開発された剥離干渉法に基づいた小規模な耐風対策部材による耐風安定性の確保を試みた.二次元剛体模型を用いたバネ支持風洞試験により,基本断面では渦励振の発現が確認されたが,主桁下面の隅切りと,水平プレート(鋼床版の張出)及び物止め板(地覆の代用)を耐風対策として採用し,耐風安定性を確保した.
  • 深谷 茂広, 山田 芳人, 中村 和弘, 田上 太一, 岡本 淳一, 井之上 尚史
    セッションID: 60
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    この論文は主径間185mの3径間連続鋼箱桁橋の耐風性に関するものである。主桁標準部の幅員Bと有効高dの比B/dは1.56と既往実績より小さいため、ギャロッピングと渦励振の発現が懸念された。このため風洞試験により耐風対策を詳細に検討した。バネ支持模型風洞試験により,基本断面の比較選定、選定した張出式断面に対する下プレート、上プレート及びフラップの詳細な最適化とその併用を検討した。その結果、ギャロッピング対策には下プレートが、渦励振を抑制するためには上プレートとフラップの併用が必要であった。この耐風対策を全長に設置した全橋弾性模型風洞試験により、一様流中と境界層乱流中で耐風安定性が確保されることを確認した。
  • 南雲 洋介, 石原 孟
    セッションID: 61
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    本研究では、空気力推定値の不確かさを考慮した横風に対する鉄道車両の信頼性評価法を提案する。最初に、鉄道車両にはたらく空気力の推定精度を明らかにする。自然風下で実物大の車両模型にはたらく実測の空気力と観測風速から推定した空気力を比較した。その結果、空間平均風速もしくは3秒平均風速を用いることで鉄道車両にはたらく空気力の最大値を適切に推定できることがわかった。次に、信頼性設計法を用いて横風に対する鉄道車両の安全性を評価する。鉄道車両の転覆限界風速、列車運転規制風速および推定空気力の不確かさから安全性指標を計算した。その結果、安全性指標は、列車の耐風性能により大きく変化することがわかった。
  • 酒井 佑樹, 田村 哲郎, 喜々津 仁密, 河合 英徳, 丸山 勇祐
    セッションID: 62
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/18
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    本研究では、観測データのある実在地域を対象として、解析領域の上流側に存在する急峻な地形を越える風の流れを再現したLESを実施し、その再現性を確認する。そして、LESの結果を観測データと比較検討し、上流側の急峻な地形を越える風の流れを再現した解析の数理モデルを構築する。次に、構築した数理モデルを用いて、風力発電設備が存在する別の実在複雑地形を対象とした流れ場のLESを複数の風向について行う。そして、設置地点別で得られた風速の時刻歴波形を用いて風力発電設備の疲労損傷評価を行う。LESから得られた設置地点別での風の乱れと風力発電設備の累積疲労損傷度を関連付けることで、風力発電設備の疲労破壊のリスクが相対的に高くなる地形の特徴を明らかにする。また、LESと乱流生成プログラムを用いて計算した累積疲労損傷度をそれぞれ比較して、LESを用いた場合と乱流生成プログラムを用いた場合の疲労損傷評価結果の違いについても確認する。
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