九州歯科学会雑誌
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61 巻, 6 号
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総説
  • 今村 佳樹, 坂本 英治, 椎葉 俊司
    原稿種別: 総説
    2007 年 61 巻 6 号 p. 157-169
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/09/29
    ジャーナル フリー
    顎関節症における疼痛と関連する病態について概説した.
    顎関節症の痛みは,咀嚼筋および顎関節から生じ,その病態の発生には,安静時の無意識な上下歯牙の接触による閉口筋の筋緊張が存在していることが多い.この疼痛を寛解させるには,筋のリラックスとストレッチを中心とした行動療法とトリガーポイント注射,物理療法等の併用が推奨されており,三環系抗うつ薬を除く多くの薬物療法ならびにスプリント療法はそのエビデンスが証明されていない.疼痛性疾患は種々分類されるが,顎関節症として扱われる咀嚼筋,顎関節由来の疼痛は深部体性痛に属し,他の顔面の深部組織に由来する疼痛と性質は大きく変わらない.
    顎関節症と鑑別を要する病態としては,深部体性痛を呈する他の疾患や神経因性疼痛,精神疾患に伴う疼痛がある.深部体性痛を呈する疾患には,咀嚼筋以外の筋痛,一次性頭痛,鼻・上顎洞疾患,骨疾患(骨髄炎),頚椎疾患,頭頸部の自己免疫疾患などがあり,これらの病態には,末梢からの侵害刺激による中枢神経の感作,可塑化が深く関係している.深部体性痛では,二次ニューロンの感作,可塑化に伴って,受容野を共有する部位に関連痛を生じることになり,この関連痛が顎関節症の疼痛を複雑にする.神経因性疼痛としては,発作性神経痛,精神疾患としては,身体表現性障害やうつなどがあげられる.疼痛が発生している組織の病態の理解が重要である.
原著
  • 嶋村 知記, 吉岡 泉, 兒玉 正明, 土生 学, 古田 功彦, 平島 惣一, 冨永 和宏, 福田 仁一
    原稿種別: 原著
    2007 年 61 巻 6 号 p. 170-177
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/09/29
    ジャーナル フリー
    1994年から2003年までに九州歯科大学付属病院第1口腔外科において病理組織学的に唾液腺腫瘍と診断し,治療を行った63症例について臨床統計を行った.
    組織診断はWHO分類に基づき,組織型,年齢,性別,発生部位などについて検討した.
    1.全唾液腺腫瘍のうち良性腫瘍は68.0%,悪性腫瘍は31.7%であった.
    2.組織型別では多形性腺腫が49.2%で最も多かった.
    3.多形性腺腫は女性に,Warthin腫瘍は男性に有意に多かった.
    4.唾液腺腫瘍は40歳代から70歳代を中心に発生し,平均年齢は53.4歳であった.
    5.唾液腺腫瘍は口蓋(38.8%)に最も多く発生し,Warthin腫瘍は全て耳下腺に発生していた.
    6.全悪性腫瘍の5年および10年累積生存率はともに79.2%であった.
  • 高田 豊
    原稿種別: 原著
    2007 年 61 巻 6 号 p. 178-185
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/09/29
    ジャーナル フリー
    九州歯科大学附属図書館において平成16年,17年,18年度に貸出した書籍総数22,335件について検討した.歯学関連20,073冊,歯学以外2,262冊と89.9%が歯学関連書籍の貸出しであった.臨床歯学図書12,732冊,基礎歯学図書5,751冊と全体の57.0%が臨床歯学図書であった.臨床歯学教科では歯科補綴学関連が3,041冊(13.6%)と最も多く,次に口腔外科学1,485冊,予防歯科学1,237冊が多かった.基礎歯科学では口腔解剖学1,326冊(5.9%)が最も多く,次に歯科理工学1,005冊(4.5%),口腔病理学903冊(4.0%)であった.貸出し利用者では学生(歯学部学生,衛生学院学生,大学院学生,研究生,専修生)19,432冊(87.0%),学生以外(教職員,研修医,その他)2,903冊(13.0%)であった.歯学部学生が15,265冊(68.3%)を借り出しており最大の利用者群であった.歯学部学生は臨床歯学図書7,962冊,基礎歯学5,123冊を貸出しており両者で全体の58.6%を占めた.個別の貸出しが多い図書は,1位「歯学生のパーシャルデンチャー 第2版」153件,2位「歯科矯正学 第3版」115件,3位「歯科麻酔学 第5版」99件であった.
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